JP2000106034A - 金属積層膜の形成方法 - Google Patents
金属積層膜の形成方法Info
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Abstract
かつ、耐久性に優れた多層構成の金属積層膜を形成する
方法を提供する。 【解決手段】スパッタリング法を用いて、下側金属酸化
物薄膜層、銀系薄膜層および、上側金属酸化物薄膜層を
順次、積層成膜した構成の金属積層膜を形成する方法で
あって、金属積層膜の支持体となる基板を電気的に絶縁
する手段と、スパッタリング時にスパッタリングターゲ
ットと基板との間に存在する電子線あるいはイオンを捕
獲する手段とを設けたことで、銀系薄膜層上に上側金属
酸化物薄膜層を積層成膜する際に、上側金属酸化物薄膜
層と接する銀系薄膜層の表面における光吸収層の形成を
防止したことを特徴とする金属積層膜の製造方法。
Description
置用透明電極、太陽電池用透明電極、電磁波シールド
膜、あるいは反射型液晶表示装置用反射電極等に用いら
れる金属薄膜を形成する方法に係わり、その中でも特
に、金属酸化物薄膜層にて銀系薄膜層を挟持した多層構
成の金属薄膜を形成する方法に関する。
る熱線反射膜として、金属酸化物薄膜にて銀薄膜を挟持
した3層構成の熱線反射膜が知られており、金属酸化物
の材質としては、酸化チタン(TiO2 )が一般的に用
いられている。また、各金属層の膜厚は、TiO2 を4
0nm、銀薄膜を10nm程度とすることが一般的とな
っている。
して、ITO(酸化インジウムと酸化スズよりなる混合
酸化物)を材質としたものが知られている。しかし、I
TOは、電気的抵抗値が比較的高く、また光透過率は比
較的低く、近年画質向上の要求が著しい表示装置に形成
する透明電極の材料としては、必ずしも満足できるもの
ではなかった。このため、上述した、金属酸化物薄膜に
て銀薄膜を挟持した3層構成の金属積層膜にて電極を形
成することが検討されるようになっている。この3層構
成の金属積層膜で形成した電極は面積抵抗値が約3Ω/
□程度のものが得られ、ITOで形成した場合の半分以
下の低抵抗値が得られる。さらに、3層構成の金属積層
膜で形成した電極は光透過率も高いことから、液晶表示
装置に形成する透明電極の材料として適しているといえ
る。
酸化物薄膜とする材質を高屈折率のものとした場合、E
MI(電磁波シールド)等への用途も可能であり、さら
には、挟持される銀薄膜の光反射率が高く、また、ガラ
ス等からなる基板への金属膜の密着性も高いことから、
銀薄膜の膜厚を厚くすれば、反射型液晶表示装置用の反
射電極への利用も可能である。
しやすく、耐久性が低いものであった。すなわち、使用
する銀がマイグレーションを生じやすい材質であるため
で、特に湿度が高い場所での使用や、金属積層膜を保持
する基板中に存在するNa(ナトリウム)等のアルカリ
金属により、銀は著しく劣化しやすく、銀の凝集や膜剥
がれ、変色等を生じていた。
を向上させるため、銀(Ag)に金(Au)、銅(C
u)、白金(Pt)、Pb等の金属を添加し銀合金化す
ることでマイグレーションを抑えることが検討されてい
る。
の金属積層膜を透明電極とする場合には一般的に、IT
O、ZnO、SnO2 等のバンドギャップが広い低抵抗
の半導体材料が用いられ、また、EMI等の用途に用い
る場合には、TiO2 、ZnS、CeO2 、ZrO2 、
Bi2 O3 等の高屈折率の誘電体が用いられている。
上させるべく、金属酸化物薄膜を銀と固溶しない材質と
したり、アモルファス化する試みも行われている。ま
た、建築物用の窓ガラスに形成する熱線反射膜では、熱
線反射膜をフィルムやガラス基板等で封止し、外気と遮
断させ耐久性を向上させることが構造上可能であり、実
際に実用化されている。
造上、電極を構成する金属積層膜を完全に封止し外気と
遮断するわけにはいかず、上述した材質の検討等により
耐久性を向上させようとしたとはいえ、長期間外気にさ
らされたり、長期にわたり使用する場合、実用上十分な
耐久性を確保できているとは言えない。例えば、銀の膜
厚を薄くした上記3層構成の金属積層膜で形成した透明
電極を用いた表示装置では、長期に渡り表示装置を使用
した場合、銀の膜厚が薄いため銀の動きがより活性化
し、銀の凝集や膜剥がれが発生し、透明電極としての機
能が無くなり、画像表示を行えなくなる等の問題を生じ
ていた。
題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、
各種の用途(例えば、透過型液晶表示装置用透明電極、
太陽電池用透明電極、電磁波シールド膜、あるいは反射
型液晶表示装置用反射電極等)に適用可能な十分な特性
(低抵抗、高透過率もしくは高反射率等)を保持し、か
つ、耐久性に優れた金属積層膜を形成する方法を提供し
ようとするものである。
平8−262466号公報等で多層構成の透明電極を提
案している。この透明電極は、低抵抗で高透過率である
ため、液晶表示装置用電極、太陽電池用電極または、電
磁波シールド膜等に好適に利用できるといえる。さらに
また、本発明者らは、特開平9−179116号公報、
特開平9−305126号公報等で、反射型液晶表示装
置用反射電極等に適用可能な耐久性を向上させた金属薄
膜を提案している。
おいても、長期に渡る使用や、使用条件等によっては、
必ずしも耐久性は満足すべきものではなかった。そこで
本発明者らは、上記課題を解決すべく耐久性の向上につ
きさらに鋭意検討を行ったものである。その結果、本発
明者らは、金属酸化物薄膜と銀系薄膜とを積層形成する
際、金属酸化物薄膜と銀系薄膜との界面に光吸収層が形
成され、この光吸収層が多層構成の金属積層膜の耐久性
に影響を与えていることを見いだしたものである。
ング法を用いることが一般的となっているが、スパッタ
リング法を用い金属酸化物薄膜および銀系薄膜を順次積
層形成すると、銀系薄膜層の表面にダメージが発生し、
浅い準位部(バンドギャップ部)が形成されやすいこと
を本発明者らは見いだした。この浅い準位部(バンドギ
ャップ部)が存在した場合、金属積層膜に光が入射した
際に、この浅い準位部(バンドギャップ部)が可視域の
光を吸収する。すなわち、浅い準位部(バンドギャップ
部)は光吸収層となるもので、この浅い準位部(バンド
ギャップ部)は銀の酸化還元反応(イオンマイグレーシ
ョン)を発生させ、銀の凝集や膜剥がれ等の劣化現象を
引き起こす要因となるものである。この劣化現象は、水
分やNa(ナトリウム)等のアルカリ金属の存在によっ
て、より進行しやすいといえる。ちなみに、本発明者ら
が行った耐湿性試験では、浅い準位(光吸収層)の存在
する金属積層膜を明るい場所と暗室とに置いた場合で
は、明るい場所に置いたほうが、2倍以上の速さで耐性
劣化が進行したものである。
の有無による光吸収の相違を比較するためのグラフ図で
ある。図5および図6の測定には、銀薄膜と金属酸化物
とを積層した2層構成の金属積層膜を用いた。図5で
は、銀薄膜と金属酸化物との界面にダメージ(光吸収
層)を有する試料Aを用い、図6では、銀薄膜と金属酸
化物との界面にダメージ(光吸収層)の無い試料Bを用
いた。また、ダメージの有無以外は、試料Aと試料Bと
は、膜厚、組成等同様のものを用いた。図5および図6
より分かるように、ダメージの発生した金属積層膜で
は、可視域で30%程度の光吸収があった。すなわち、
ダメージの発生部位は光吸収層となっているといえる。
属酸化物薄膜および銀系薄膜を順次積層形成する際、金
属酸化物薄膜と銀系薄膜層との界面のダメージ(すなわ
ち、銀系薄膜表面に生じる光吸収層)の発生を防止すれ
ば、金属積層膜の耐久性が向上すると考えたものであ
る。
果、スパッタリング法により金属薄膜を形成する際に発
生するプラズマ中のイオンが影響し、その中でも特に、
電子線の影響が大きいことを見いだした。また、ダメー
ジは、銀系薄膜上に金属酸化物薄膜を積層形成する際
に、金属酸化物薄膜が積層される銀系薄膜表面に発生し
やすいことを見いだした。そこで本発明者らは、プラズ
マ中のイオンおよび電子線の影響を除いた金属積層膜の
製造方法を見いだしこれを提案するものである。すなわ
ち、請求項1に係わる発明は、スパッタリング法を用
い、下側金属酸化物薄膜、銀系薄膜および、上側金属酸
化物薄膜を順次、積層成膜した多層構成の金属積層膜を
形成する方法であって、金属積層膜の支持体となる基板
を電気的に絶縁する手段と、スパッタリング時にスパッ
タリングターゲットと基板との間に存在する電子線ある
いはイオンを捕獲する手段とを設けたことで、銀系薄膜
上に上側金属酸化物薄膜を成膜する際に、上側金属酸化
物薄膜と接する銀系薄膜の表面における光吸収層の形成
を防止したことを特徴とする金属積層膜の製造方法とし
たものである。
との間に存在する電子線あるいはイオンを捕獲する手段
として、スパッタリングの際に使用されるスパッタリン
グターゲットの下に設置するマグネット(磁石)を、強
磁場のものとすることが考えられ、また、スパッタリン
グターゲットと基板との間にアース電極を設置すること
が考えられる。さらには、スパッタリングターゲットと
基板との間にプラス(+)の電位とした電極板を設け、
この電極板により積極的に電子線やイオンを捕獲するこ
とであっても構わない。電極板の形状としては、基板へ
の金属薄膜の形成を妨げないよう、金属板にスリット
状、ドット状、またはメッシュ状の開口部を形成したも
のが考えられる。さらには、ダメージを低減するため、
RF−DCスパッタリング法を用いても構わず、基板に
プラズマ中のイオンをさらさぬよう、イオンビームスパ
ッタリング法を用いることであっても構わない。また、
これら設備や方法を2つ以上合わせて用いることであっ
ても構わない。
膜は、金属積層膜の用途に応じて透過率、反射率、ある
いは電気導電性等、求められる光学的特性、電気特性が
異なる。例えば、金属積層膜をEMI(電磁波シール
ド)等の用途として用いる場合、金属酸化物薄膜は可視
域における光吸収の小さな高屈折率の酸化物で形成する
ことが好ましい。また、金属積層膜を透明導電膜として
液晶表示装置等に用いる場合、その材質はバンドギャッ
プの広い低抵抗半導体とすることが好ましく、さらにま
た、反射型液晶表示装置に反射電極として用いる場合
は、低屈折率の材質が好ましい。
溶域の小さい元素もしくは、銀と固溶域を持たない元素
とすることが好ましい。このような元素としては、T
i、Zr、Ta等の遷移金属、Ce等のランタノイド系
金属、または、Bi、Ge、Si等の半金属等が挙げら
れる。
化物薄膜の材質を、Ti、Ce、Ta、Bi、Zr、I
n、Sn、Zn、Ga、Ge、Hf、Nb、La、S
b、W、Al、Si、およびMgの内から1種類以上選
ばれた金属の酸化物とすることを特徴とする請求項1に
記載の金属積層膜の製造方法としたものである。
形成する際、スパッタリング雰囲気中にガス(気体)を
導入することが一般的である。導入ガスはAr(アルゴ
ン)を主成分とすることが一般的であるが、スパッタリ
ング雰囲気中で欠損した酸素を補うため、金属酸化物薄
膜を形成する際に少量の酸素を導入することがある。な
お、導入する酸素の量は、成膜する金属薄膜の材質によ
り異なる。
膜を形成する際、導入ガス中に含まれる酸素が、上述し
た銀系薄膜表面に生じるダメージの生成に影響を与える
ことを見いだし、また、導入ガス中に含まれる酸素量が
少ない程、ダメージの生成を低減できることを見いだし
た。そこで本発明者らは、導入ガス中に含める酸素量を
少なくできる金属酸化物薄膜の材質につき検討したもの
であり、その結果、金属酸化物薄膜の材質を、酸化イン
ジウムに少なくとも酸化セリウムを混合した混合酸化物
とすることに想達したものである。
物薄膜の材質を、酸化インジウムに少なくとも酸化セリ
ウムを混合した混合酸化物とすることを特徴とする請求
項1または2に記載の金属積層膜の製造方法としたもの
である。酸化インジウムに少なくとも酸化セリウムを混
合した混合酸化物にて金属酸化物薄膜を形成すると、導
入ガス中に含めるべき酸素量は、ITOにて金属酸化物
薄膜を形成したときの1/2程度の量で済むことにな
り、銀系薄膜表面に生じるダメージの形成を低減するこ
とが可能となる。また、金属酸化物薄膜の材質を、酸化
インジウムに少なくとも酸化セリウムを混合した混合酸
化物とすると、金属酸化物薄膜は結晶粒界の無いアモル
ファス状(非晶質)となり、金属酸化物薄膜と界面を接
する粒界拡散を起こしやすい銀の移動を抑制させるた
め、金属積層膜の耐久性向上につながるといえる。
マイグレーションを生じやすい材料といえる。例えば、
銀を厚さ10nm程度の薄膜とすると、より活性化し劣
化を生じやすい。
金とすることがマイグレーションの発生防止に有効とい
える。銀への添加元素は、移動しやすい銀の動きを抑制
する観点から、金(Au)等の重い元素が好ましく、銀
合金にて金属積層膜を形成した際の導電性、透過率の観
点からは、金もしくは銅(Cu)のいずれか一方を添加
することが好ましい。また、銀への添加量を3at%
(原子パーセント)より多くすると、金属積層膜を電極
とした場合に抵抗値が上昇し、また、透過率も低下する
等の理由のため、銀への元素の添加量は3at%(原子
パーセント)以下とすることが好ましい。請求項4に係
わる発明はこれに基づきなされたものである。すなわ
ち、銀系薄膜の材質を、金もしくは銅の少なくとも一方
を含有させた銀合金とし、含有量を3at%(原子パー
セント)以下としたことを特徴とする請求項1、2また
は3に記載の金属積層膜の製造方法としたものである。
例につき、図面に基づいて説明する。 <実施例1>図3に示すように、本実施例1に係わる金
属積層膜15は、SiO2 (酸化珪素)を表面コートした
ソーダガラス基板10上に形成した。なお、本実施例1に
おいては、ソーダガラス基板10から金属積層膜15へのN
a(ナトリウム)金属等の析出防止を完全とするため、
SiO2 (酸化珪素)を表面コートしたソーダガラス基
板10上にさらに膜厚50nmのSiO2 (酸化珪素)層11
をスパッタリング成膜している。金属積層膜15は、金属
酸化物薄膜にて銀系薄膜を挟持した3層構成であり、ソ
ーダガラス基板10と対向する金属酸化物薄膜を下側金属
酸化物薄膜12とし、銀系薄膜13上に形成する金属酸化物
薄膜を上側金属酸化物薄膜14としている。また、各薄膜
の膜厚は、下側金属酸化物薄膜12を34nm、銀系薄膜13
を15nm、上側金属酸化物薄膜14を34nmとした。
よび上側金属酸化物薄膜14)は、酸化インジウムと酸化
セリウムからなる混合酸化物にて形成したものであり、
混合酸化物の組成は、酸素原子を数に含めない金属原子
のみのat%(原子パーセント)にて、酸化インジウム
を66.7at%(原子パーセント)、酸化セリウムを33.3
at%(原子パーセント)とした。次いで、銀系薄膜13
は、銀に金および銅を添加した銀合金にて形成したもの
で、銀合金の組成は、銀98.5at%(原子パーセン
ト)、金 1.0at%(原子パーセント)、銅 0.5at%
(原子パーセント)とした。
のように形成した。すなわち、まず、SiO2 (酸化珪
素)を表面コートしたソーダガラス基板10上に、RF
(高周波)スパッタリング法にて膜厚50nmのSiO2
層11を成膜した。なお、SiO2 層11の成膜時、ガラス
基板10は無加熱とした。次いで、ガラス基板10に温度 3
00℃のベーキングを行った。上述したように、SiO2
層11は、ガラス基板10からのアルカリ金属の溶出を防止
する膜となるものである。
板10に脱脂、洗浄、乾燥処理を行った後、ガラス基板10
をスパッタリング装置内に投入、載置した。
基板10は、図2に示すように、基板ホルダー31にて保持
され、次いで図1に示すように、スパッタリング装置内
で基板ホルダー31は基板トレー38にて保持させている。
ここで、本発明の特徴の一つとして、ガラス基板10はス
パッタリング装置内では電気的に他と絶縁するものであ
る。そこで本実施例1においては、ガラス基板10を、導
電性を持たないテフロン製の治具32(すなわち、絶縁
体)を介して、基板ホルダー31に保持させている。な
お、テフロン製の治具32は真空中で気体(ガス)を発生
させスパッタリング装置内を汚染する可能性があるた
め、テフロン製治具32の体積が極力最小となるよう、そ
の形状を工夫した。
10とスパッタリングターゲット33との間に、スパッタリ
ング放電中に発生する二次電子、イオン等を捕獲するた
めの電極板35を設置している。電極板35はメッシュ状と
し、また、電極板35はアースを取っている。また、電極
板35の設置位置は極力基板10に近づけた。さらに、メッ
シュの形状はスパッタリングターゲット33より放出され
基板10に蒸着する金属蒸気の分布を変えないよう工夫し
たものであり、蒸着される金属膜の膜厚分布が良くなる
ようメッシュ開口部の形状を調整したものである。な
お、電極板35の材質は、Al、SUS、Cu等が考えら
れ、本実施例ではSUSを用いた。
を投入、載置した後、スパッタリング装置内を真空排気
した。スパッタリング装置内の真空度が5×10-4Pa
となった段階でAr(アルゴン)ガスおよびO2 (酸
素)ガスを導入し、スパッタリング装置内のガス圧を
0.4Paに調整した。このとき、導入ガス中のO2 (酸
素)は、導入ガス中のO2 %で0.75%(例えば、導入A
rガス 100SCCMに対し、導入O2 ガスを0.75SCCMの割
合)とするよう調整した。次いで、上記ガスを導入後、
上記組成とした混合酸化物ターゲットに電圧を印加し、
基板10に下側金属酸化物薄膜12を形成した。
階で放電およびガスの導入を停止し、スパッタリング装
置内を真空度5×10-4Paまで排気した。次いで、ス
パッタリング装置内にArガスを導入し、ガス圧を 0.4
Paとなるよう調整し、上記組成の銀系ターゲットに電
圧を印加し、銀系薄膜13を形成した。
よびガスの導入を停止し、スパッタリング装置内を真空
度5×10-4Paまで排気した。次いで、Ar(アルゴ
ン)ガスおよびO2 (酸素)ガスを導入し、スパッタリ
ング装置内のガス圧を 0.4Paに調整した。このとき、
導入ガス中のO2 (酸素)ガス量を0.75%とするよう調
整した。次いで、上記ガスを導入後、上記組成とした混
合酸化物ターゲットに電圧を印加し、上側金属酸化物薄
膜14を形成し、3層構成の金属積層膜15を形成した。
は行わず、成膜は真空を保ったまま連続して行った。
率は、可視域の波長範囲( 400〜 700nm)で85%以
上となり、抵抗値も2.8Ω/□と、低抵抗であった。
また、銀系薄膜13と上側金属酸化物薄膜14との界面に
は、ダメージ(すなわち、銀系薄膜13表面に生じる光吸
収層)の発生は認められなかった。このため、本実施例
1で得られた金属積層膜15においては、銀系薄膜13と上
側金属酸化物薄膜14との界面における光吸収が無く、耐
湿性においても、通常のスパッタリング処理(ガラス基
板10を基板ホルダー31で直接に保持し、電極板35を設置
せずに処理)で得られた金属積層膜の2倍以上の耐湿性
が得られた。
膜25は、図3に示すように、SiO2 (酸化珪素)を表
面コートしたソーダガラス基板10上に形成した。なお、
本実施例2においても、金属積層膜25へのNa(ナトリ
ウム)金属等の析出防止を完全とするため、SiO
2 (酸化珪素)を表面コートしたソーダガラス基板10上
にさらに膜厚50nmのSiO2 層11をスパッタリング成
膜している。金属積層膜25は、金属酸化物薄膜にて銀系
薄膜を挟持した3層構成であり、ソーダガラス基板10と
対向する金属酸化物薄膜を下側金属酸化物薄膜22とし、
銀系薄膜23上に形成する金属酸化物薄膜を上側金属酸化
物薄膜24としている。また、各薄膜の膜厚は、下側金属
酸化物薄膜22を15nm、銀系薄膜23を 150nm、上側金
属酸化物薄膜24を 8.5nmとした。
膜22および上側金属酸化物薄膜24)は、酸化インジウム
と酸化セリウムからなる混合酸化物にて形成したもので
あり、混合酸化物の組成は、酸素原子を数に含めない金
属原子のみのat%(原子パーセント)にて、酸化イン
ジウムを66.7at%(原子パーセント)、酸化セリウム
を33.3at%(原子パーセント)とした。次いで、銀系
薄膜23は、銀に金および銅を添加した銀合金にて形成し
たもので、銀合金の組成は、銀98.5at%(原子パーセ
ント)、金 1.0at%(原子パーセント)、銅 0.5at
%(原子パーセント)とした。
のように形成した。すなわち、まず、SiO2 (酸化珪
素)を表面コートしたソーダガラス基板10上に、雰囲気
温度 350℃としたRF(高周波)スパッタリング法にて
膜厚50nmのSiO2 層11を成膜した。上述したよう
に、SiO2 層11は、ガラス基板10からのアルカリ金属
の溶出を防止する膜となるものである。
板10に脱脂、洗浄、乾燥処理を行った後、ガラス基板10
をスパッタリング装置内に投入、載置した。本実施例2
で用いたスパッタリング装置内は水平方向に連続した3
部屋に分割されている。後述する成膜中の汚染が隣接し
た部屋での処理に影響を及ぼさないよう、各部屋は所定
の間隔をもって配置され、また、シールドおよび排気の
工夫も行っている。また、ガラス基板10を投入後、スパ
ッタリング装置内は真空排気し、真空度が5×10-4P
aに達した段階でArガスを導入し、スパッタリング装
置内が 0.4Paとなるよう調整した。
基板10は、図2に示すように、基板ホルダー31にて保持
され、また図1に示すように、スパッタリング装置内で
基板ホルダー31は搬送用トレー48にて保持される。搬送
用トレー48はスパッタリング装置内を所定の速度で水平
移動し、スパッタリング装置内の各部屋を移動する。そ
の際、各部屋で順次、下側金属酸化物薄膜22、銀系薄膜
23、上側金属酸化物薄膜24が形成される。本実施例2に
おいても、ガラス基板10は、導電性を持たないテフロン
製の治具32を介して基板ホルダー31に保持させた。な
お、テフロン製の治具32は真空中で気体(ガス)を発生
させスパッタリング装置内を汚染する可能性があるた
め、テフロン製の治具32の体積が極力最小となるよう、
その形状を工夫した。
10が通過する際、第一部屋内に設置した上記組成の混合
酸化物ターゲットに電圧を印加し、下側金属酸化物薄膜
22を形成した。同様に第二部屋内を基板10が通過する
際、上記組成とした銀系ターゲットに電圧を印加し銀系
薄膜23を、また、第三部屋内を基板10が通過する際、上
記組成とした混合酸化物ターゲットに電圧を印加し上側
金属酸化物薄膜24を、順次成膜した。なお、金属酸化物
薄膜を成膜する際、第一部屋内および第三部屋内には、
導入ガス中のO2 %で0.75%(例えば、導入Arガス 1
00SCCMに対し、導入O2 ガスを0.75SCCMの割合)となる
ようO2 (酸素)ガスを導入した。なお、基板10への成
膜中、基板10は無加熱とした。
00℃、1時間のベークを行い金属積層膜25を形成した。
したと同様に、スパッタリングターゲットと基板10との
間に、スパッタリング放電中に発生する二次電子、イオ
ン等を捕獲するための電極板を設置している。この電極
板の位置は基板10になるべく近づけて設置したものであ
り、本実施例2においては、電極板にプラス30Vの電
圧をかけた。 また、形成する金属酸化物薄膜の膜厚が
非常に薄いため、電極板にはスリット状に絞り込んだ開
口部を設け、10nm程度の成膜を可能とした。さらに、
開口部にメッシュ状の金網を取り付け、二次電子の捕獲
をより確実なものとした。
率は、可視域の波長範囲( 400〜 700nm)で88%以
上となり、抵抗値も0.27Ω/□と、低抵抗であっ
た。また、銀系薄膜23と上側金属酸化物薄膜24との界面
には、ダメージ(すなわち、銀系薄膜表面に生じる光吸
収層)の発生は認められなかった。このため、本実施例
2で得られた金属積層膜25においては、銀系薄膜23と上
側金属酸化物薄膜24との界面における光吸収が無く、耐
湿性においても、通常のスパッタリング処理(ガラス基
板10を基板ホルダー31で直接に保持し、電極板を設置せ
ずに処理)で得られた金属積層膜の2倍以上の耐湿性が
得られた。
たが、本発明の実施の形態は上述した説明および図面に
限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の
変形を行っても構わないことはいうまでもない。例え
ば、上述した説明では、金属酸化物薄膜にて銀系薄膜を
挟持した3層構成の金属積層膜の形成につき説明した
が、金属酸化物薄膜と銀系薄膜との界面に銀の動きを抑
制するための酸化物薄膜を別途形成する5層構成の金属
積層膜の形成に本発明を用いても構わない。
極、電磁波シールド膜、熱線反射膜、反射電極等に用い
られていた、金属酸化物で銀薄膜を挟持した従来の多層
構成の金属積層膜は、成膜中に銀薄膜表面にダメージ
(光吸収層)が形成されており、耐久性の低いものであ
った。しかるに、本発明の形成方法で得られる多層構成
の金属積層膜は、銀薄膜表面のダメージ(光吸収層)の
形成を低減したものであり、ダメージ(光吸収層)が銀
のマイグレーションを発生させ、銀の凝集や膜剥がれ等
の劣化現象を引き起こすという問題を解決している。す
なわち、本発明の形成方法で得られた多層構成の金属積
層膜は、各種用途に適合する優れた特性(低抵抗、高透
過率もしくは高反射率等)を有したまま、耐久性が向上
しているものであり、従来の多層構成の金属積層膜と比
較して例えば2倍以上の耐久性を持つことが可能とな
る。
す断面説明図。
す断面説明図。
示す断面説明図。
を示すグラフ図。
示すグラフ図。
Claims (4)
- 【請求項1】スパッタリング法を用い、下側金属酸化物
薄膜、銀系薄膜および、上側金属酸化物薄膜を順次、積
層成膜した構成の金属積層膜を形成する方法であって、
金属積層膜の支持体となる基板を電気的に絶縁する手段
と、スパッタリング時にスパッタリングターゲットと基
板との間に存在する電子線あるいはイオンを捕獲する手
段とを設けたことで、銀系薄膜上に上側金属酸化物薄膜
を成膜する際に、上側金属酸化物薄膜と接する銀系薄膜
の表面における光吸収層の形成を防止したことを特徴と
する金属積層膜の製造方法。 - 【請求項2】金属酸化物薄膜の材質を、Ti、Ce、T
a、Bi、Zr、In、Sn、Zn、Ga、Ge、H
f、Nb、La、Sb、W、Al、Si、およびMgの
内から1種類以上選ばれた金属の酸化物とすることを特
徴とする請求項1に記載の金属積層膜の製造方法。 - 【請求項3】金属酸化物薄膜の材質を、酸化インジウム
に少なくとも酸化セリウムを混合した混合酸化物とする
ことを特徴とする請求項1または2に記載の金属積層膜
の製造方法。 - 【請求項4】銀系薄膜の材質を、金もしくは銅の少なく
とも一方を含有させた銀合金とし、含有量を3at%
(原子パーセント)以下としたことを特徴とする請求項
1、2または3に記載の金属積層膜の製造方法。
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- 1998-09-30 JP JP27751498A patent/JP4156098B2/ja not_active Expired - Lifetime
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