JP2000104146A - 複合化部材製造用多孔質予備成形体およびこれを用いた複合化部材並びにこれらの製造方法 - Google Patents

複合化部材製造用多孔質予備成形体およびこれを用いた複合化部材並びにこれらの製造方法

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JP2000104146A
JP2000104146A JP10279030A JP27903098A JP2000104146A JP 2000104146 A JP2000104146 A JP 2000104146A JP 10279030 A JP10279030 A JP 10279030A JP 27903098 A JP27903098 A JP 27903098A JP 2000104146 A JP2000104146 A JP 2000104146A
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Makoto Fujita
誠 藤田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的大型であっても、優れた耐摩耗性およ
び強度を発揮することができると共に、高摩擦係数化が
達成でき、特にブレーキロータの素材として最適な複合
化部材、およびこの様な複合化部材を製造することので
きる予備成形体、並びにこれらを比較的簡単に製造する
ことのできる方法を提供する。 【解決手段】 複合化部材の製造に用いられる多孔質の
予備成形体を製造するに当たり、プリフォーム原料を分
散媒中に分散させ、該分散媒の一部が吸引・排出され、
若しくは吸引・排出されていないスラリーの全部または
一部に、連続気泡を有する焼失性発泡体を含浸させた状
態で、該スラリーから分散媒を吸引・排出し、その後こ
れを加熱して前記焼失性発泡体を焼失させ、引き続き前
記プリフォーム原料を焼結することによって、前記焼失
性発泡体が焼失した部分を軽合金溶湯の易浸入通路とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される
ブレーキロータ等の様に優れた耐摩耗性および強度を有
することが要求される箇所に使用される複合化部材、お
よびこの複合化部材を製造する際に用いられる予備成形
体、およびこれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載されるブレーキロータ等の様
に高度な耐摩耗性が求められる部品については、従来か
ら鋳鉄が使用されていたが、軽量化して車両のばね下重
量、つまりシャーシばねの下方にある車輪等の重量を軽
減して走行安定性を向上させると共に、ブレーキロータ
の冷却性を改善しつつ、高摩擦係数化を図って制動性を
向上させるという観点から様々な素材の適用が試みられ
ている。
【0003】こうした技術の一つとして、SiC粒子を
分散させたアルミニウム合金製インゴットを使用し、こ
れを砂型や金型鋳造によって作製されたブレーキロータ
が、電気自動車やスポーツカー等の一部の車に適用され
ている。しかしながら、上記の様な素材をブレーキロー
タに適用しても下記の様な問題があり、更に改善の余地
が残されていた。
【0004】この様な技術では、セラミックスであるS
iC粒子の粒径や体積率等において自由度が低く、高摩
擦係数化には限界がある。またこうした技術では、Si
Cとの馴染み性の良好な母材を使用する必要があり、こ
うした観点から上記技術においては、母材としてAC4
C相当のアルミニウム合金が採用されているが、こうし
た母材を使用すると耐用限界温度が低くなるという問題
もある。特に、ブレーキロータの場合には、制動時には
450℃程度になるのであるが、この様な高温では早期
に摩耗してしまうという問題がある。更に、上記の様な
部材では、製品全体に難加工性の強化材が存在した状態
であるので、その材料費が高くなると共に、加工に要す
る費用も高いものとなる。
【0005】近年、強化が要求される部分だけ複合化す
る方法として、まず所定形状に成形された連続気孔を有
する多孔質の予備成形体を製造し、この予備成形体に軽
金属の溶湯を浸漬し、溶湯を加圧することにより該予備
成形体の気孔内に軽金属を含充填するという複合化方法
が提案され、当該方法に用いられる予備成形体およびそ
の製造方法が種々提案されている。
【0006】こうした技術として、例えば特開平7−1
08370号公報には、無機繊維とTiO2 を含有した
予備成形体について開示されている。また特開平6−1
82524号公報には、ホウ酸アルミウィスカー、ケイ
酸ナトリウムおよび炭化珪素(SiC)を含有した予備
成形体について記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
で提案されている技術では、ブレーキロータの様に優れ
た耐摩耗性が要求される部材に適用する予備成形体とし
ては、依然として不十分であり、特性の更なる改善が望
まれているのが実状である。
【0008】また上記の様な予備成形体を用いて軽合金
複合部材を形成する場合には、上記予備成形体を金型内
にセットした状態でアルミニウム合金等の軽金属溶湯を
金型のキャビティ内に注入し、この軽金属溶湯を上記予
備成形体の気孔内に充填してこの予備成形体を鋳ぐるむ
様に構成されるのが一般的である。しかしながら、上記
の様な各種予備成形体は、比較的小型の部材を製造する
ことを想定してなされたものであり、こうした予備成形
体を用いてブレーキロータの様な比較的大きな部材に適
用する軽合金複合部材を上記の様な製造工程で製造しよ
うとしても、上記軽金属溶湯の含浸が不十分となった未
複合化部分が形成されやすく、これによってブレーキロ
ータの耐摩耗性や強度が低下するという問題がある。こ
れは、軽合金溶湯が予備成形体中に浸入していくとき
に、予備成形体が大きいことおよびセラミックス粒子等
の体積率が高いこと等の理由によって溶湯が充填されに
くく、溶湯が早期に冷却されてしまい、予備成形体の全
体に行き亘るまでに溶湯が凝固してしまうからと考えら
れる。
【0009】こうした問題を解消するという観点から、
例えば特開平8−226476号公報には、ブレーキロ
ータの摺動表面側部を空孔の少ない高密度とすると共
に、反摺動表面側部を空孔の多い低密度とした予備成形
体を使用し、ブレーキロータの中央部側に位置する反摺
動表面側部上記金属溶湯を十分に含浸させることによ
り、この軽金属溶湯によって形成されるブレーキロータ
の中央部分と、上記アルミニウム基複合材によって形成
されるブレーキロータの摺動表面部との結合強度を確保
する様にしている。また日本特許第2697851号に
は、多孔質芯材の周囲にプリフォームを形成し、この芯
材側からもプリフォーム内に溶湯を浸入させて溶湯の含
浸性の向上を図った技術が提案されている。
【0010】しかしながらこれらの技術では、上記予備
成形体の製造が煩雑になるという問題がある。また上記
空孔の多い予備成形体の反摺動表面部には、軽金属溶湯
を十分に含浸させることができるが、空孔の少ない摺動
表面側部には、上記金属溶湯を十分に含浸させることが
困難である。このため、特に耐摩耗性を向上することが
望まれるブレーキロータの摺動表面側部に未複合部分が
形成され易く、この部分の耐摩耗性および強度が低下す
ることが避けられないという問題があった。
【0011】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、比較的大型で
あっても、優れた耐摩耗性および強度を発揮することが
できると共に、高摩擦係数化が達成でき、特にブレーキ
ロータの素材として最適な複合化部材、およびこの様な
複合化部材を製造することのできる予備成形体、並びに
これらを比較的簡単に製造することのできる方法を提供
することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の予備成形体の製造方法は、複合化部材
の製造に用いられる多孔質の予備成形体を製造するに当
たり、プリフォーム原料を分散媒中に分散させ、該分散
媒の一部が吸引・排出され、若しくは吸引・排出されて
いないスラリーの全部または一部に、連続気泡を有する
焼失性発泡体を含浸させた状態で、該スラリーから分散
媒を吸引・排出し、その後これを加熱して前記焼失性発
泡体を焼失させ、引き続き前記プリフォーム原料を焼結
することによって、前記焼失性発泡体が焼失した部分を
軽合金溶湯の易浸入通路とする点に要旨を有するもので
ある。
【0013】また上記方法において、分散媒の吸引・排
出を2回に分けて行ない、その間に、スラリーの一部に
前記焼失性発泡体を含浸させる様に配置して操業するこ
とも有用である。
【0014】一方、本発明に係る予備成形体の構成は、
上記の方法によって得られる複合化予備成形体であり、
該予備成形体の構成材料によって、嵩密度が高い部分と
低い部分が存在する様に形成されたものである点に要旨
を有するものである。
【0015】本発明の予備成形体は、耐摩耗性および高
摩擦係数化が要求される複合化部材の製造に用いられる
ものとして有用であり、この場合には前記構成材料が硬
質粒子を含有するものとするのが良い。こうした硬質粒
子としては、セラミックス粒子が挙げられ、具体的には
TiO2 ,SiCおよびAl23 の少なくとも1種が
挙げられる。またセラミックス粒子として、少なくとも
TiO2およびSiCを使用した場合には、SiCがT
iO2 中に海島構造で焼結されたものとなる。更に、上
記構成材料は、短繊維および/またはウィスカを含有さ
せることも有効である。
【0016】本発明の複合化部材の製造方法は、上記本
発明の複合化部材製造用多孔質予備成形体に、軽金属の
溶湯を充填する工程を含むことを特徴とする。
【0017】本発明の複合化部材は、上記本発明の複合
化部材の製造方法により製造されるもので、本発明の複
合化部材製造用多孔質予備成形体の気孔部分に軽合金が
充填されていることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明者らは、比較的大型であっ
ても、優れた耐摩耗性および強度を発揮することがで
き、特にブレーキロータの素材として最適な複合化部材
の実現を目指して様々な角度から検討した。そして、上
記の様に複合化部材を実現する為には、比較的大型であ
ってもその全域に亘って軽金属溶湯が浸入し易い通路を
有し、且つ強度的にも十分である予備成形体の実現が必
要であると考えた。
【0019】こうした着想の下で、本発明者らは更に鋭
意研究を重ねた。その結果、上記した手順によって製造
すれば、希望する特性を発揮する予備成形体が得られる
ことを見出し、本発明を完成した。
【0020】本発明の予備成形体を製造する方法につい
て図面を用いて説明する。図1および図2は、本発明に
おける予備成形体の製造方法の一例を示す断面図であ
る。まずセラミックス粒子等のプリフォーム原料(この
原料については、後に詳述する)を水等の分散媒に攪拌
・分散させてスラリーを調製する。そして図1に示すよ
うに、底部に濾過部4および脱水吸引口5が設けられた
容器6内に、連続気泡を有する焼失性発泡体9(この焼
失性発泡体9は環状の形状である)を予め配置してお
き、この上から上記スラリー7を注入し、上記脱水吸引
口5から分散媒を吸引して、図2に示す様なスラリー7
の全部に焼失性発泡体9を含浸した状態の脱水体8を形
成する。即ち、この脱水体8は、前記焼失性発泡体9と
ほど同一形状のものとなる。尚上記方法において、スラ
リー7の注入と分散媒の吸引の関係は、スラリー7を注
入しつつ分散媒を下から吸引する様にしても良いし、所
定量のスラリー7を全部注入してから吸引する様にして
も良い。
【0021】得られた脱水体8を100℃程度で水分が
除去するまで乾燥して所定形状の成形体とする。次い
で、この形成体を300℃以上の温度で加熱して、消失
性発泡体9を分解・焼失させる。更に、上記成形体の加
熱温度を1100℃程度に上昇させて、セラミックス粒
子等の硬質粒子の焼結を行なうことにより予備成形体と
する。
【0022】この様にして得られた予備成形体は、前記
焼失性発泡体が焼失した部分が、軽金属が浸入し易い様
な易浸入通路となった多孔質のものとなる。従って、こ
うした予備成形体を、ブレーキロータの様な比較的大型
の複合化部材の製造に適用しても、軽金属は予備成形体
の全域に亘って浸入し易くなり、未複合部分が生じるこ
とが防止される。尚上記焼失性発泡体として用いる素材
については、300℃以上の温度で焼失できるものであ
れば特に限定するものではないが、代表的なものとして
は、発泡ウレタンが挙げられる。また本発明で用いる焼
失性発泡体は、その気泡の数(セル範囲)は、6〜10
個/25mm2 程度のものでも使用できるが、17〜2
3個/25mm2 程度若しくはそれより多いものである
ことが好ましい。
【0023】図3および図4は、本発明における予備成
形体の製造方法の他の例を示す断面図であり、基本的な
構成は前記図1、2と類似し、対応する部分には同一の
参照符号が付してある。前記図1、2に示した製造方法
では、スラリー7の全部に焼失性発泡体9を含浸して焼
失性発泡体9とほど同一形状の予備成形体を製造するも
のであったが、図3、4に示す方法はスラリー7の一部
に焼失性発泡体を含浸させるものである。
【0024】まず図3に示す様に、環状の焼失性発泡体
9を、その周囲に空間を形成しつつ容器6の柱部3に嵌
め込む様に配置し、この上から上記と同様にしてスラリ
ー7を入れ、脱水吸引口5から分散媒を吸引して、図4
に示す様なスラリー7の一部に焼失性発泡体9を含浸し
た状態の脱水体8を形成する。即ち、この脱水体8は、
前記焼失性発泡体9を部分的に含んだものとなる。
【0025】得られた脱水体8を、上記と同様にして乾
燥、加熱して、消失性発泡体9を分解・焼失させると共
に、1100℃程度に上昇させてセラミックス粒子等の
硬質粒子の焼結を行なうことにより予備成形体とする。
【0026】この様にして得られた予備成形体は、前記
焼失性発泡体が焼失した部分が、軽金属が浸入し易い様
な易浸入通路となるのであるが、こうした通路が形成さ
れる領域が部分的なものとなる(後記図7参照)。即
ち、この様にして製造された予備成形体では、該予備成
形体の構成材料によって、嵩密度が高い部分と低い部分
が存在する様に形成されたものとなる。こうした構成の
予備成形体は、前述した特開平8−226476号や日
本特許第2697851号に開示された発明と思想的に
共通するものと言えるが、本発明では簡単な製造工程に
よって、しかも前述した様な芯材を用いなくとも製造で
きたのである。尚上記嵩密度は、体積率Vf(この体積
率Vfについては後述する)に対応するものであるが、
上記易浸入通路が形成された領域では、一般に嵩密度が
低くなって体積率Vfが小さなものとなる。
【0027】上記図3、4に関連して説明した手順で
は、環状の焼失性発泡体9を容器6の柱部3に嵌め込む
様に配置してから、スラリー7を入れるものであった
が、こうした手順では焼失性発泡体9の形状・大きさに
よっては、焼失性発泡体9の下部空間にはスラリーが進
入しにくい場合があり、その部分が予備成形体の欠陥部
分となることがある。こうした事態を回避するという観
点からして、分散媒の吸引・排出を2回に分けて行な
い、その間に、スラリー7の一部に前記焼失性発泡体を
含浸させる様に配置することも有効である。即ち、環状
の焼失性発泡体9を容器6の柱部3に嵌め込む位置を予
測して、その位置まで上記の手順によって脱水体8の一
部を先に形成し、その上に焼失性発泡体9を配置し、そ
の後この焼失性発泡体9の上に、残部の脱水体8を形成
する様に操業するものである。こうした手順で操業する
ことによって、上記の様な欠陥部分の発生を回避しつ
つ、良好な特性の予備成形体を得ることができる。上記
各方法によって製造されたブレーキロータ用予備成形体
の外形例を、図5に示す。
【0028】本発明の予備成形体は、耐摩耗性および高
μ化が要求されるブレーキロータの様な複合化部材の製
造に用いられることを想定したものであり、その為には
予備成形体の構成材料には硬質粒子を含有する必要があ
る。こうした硬質粒子は主とっしてセラミックス粒子で
あるが、このセラミックス粒子としては、具体的にはT
iO2 ,SiCおよびAl23 の少なくとも1種が挙
げられる。またこのセラミックス粒子として、少なくと
もTiO2 およびSiCを使用した場合には、得られる
予備成形体の組織はSiCがTiO2 中に海島構造で焼
結されたものとなる。こうした形態となることによっ
て、予備成形体に十分な強度を付与することができる。
更に、この上記構成材料には、短繊維やウィスカを含有
させることも好ましく、これによって予備成形体の特性
を更に向上させることができる。
【0029】ところで、高圧鋳造での複合化を比較的容
易に行なうのに必要な通気性を確保する為には、予備成
形体における構成材料の体積率Vfとしては、30%前
後が限度である。ここで体積率Vfは、予備成形体全体
に対する体積率を示している。気孔も含めた予備成形体
の体積をV1 、気孔の体積をV0 とすると、硬質材料の
体積率は(V1 −V0 )となるので、予備成形体に占め
る硬質材料の体積率は(V1 −V0 )/V1 で示される
ことになる。尚前述した様な方法によって、本発明の予
備成形体を製造すれば、焼結前後における体積収縮がほ
とんどないので、体積率Vfは吸引脱水した最密充填状
態の混合体の見掛け密度と各配合物の配合重量および密
度とから算出できる。そして、予備成形体の構成材料と
してTiO2 およびアルミナ短繊維を用いた場合には、
焼結によって予備成形体の強度を確保する為には、前記
体積率Vfでいずれも2%以上必要となる。
【0030】本発明の予備成形体は、セラミックス等の
硬質粒子を基本的な構成材料とするものであるが、これ
らの他に硬質粒子の焼結を促進させる焼結助剤や、上記
した短繊維およびウィスカの少なくともいずれかからな
る骨格形成材、体積率調節用の消失性粉末、無機バイン
ダまたは凝集剤等を添加したものをプリフォーム原料と
し、これを焼結することによって形成する様にしても良
い。そしてこうしたプリフォーム原料を採用して予備成
形体を製造する場合には、これらを上記分散媒に添加し
て攪拌することにより前述した様なスラリー7を調製す
れば良い。
【0031】上記焼結助剤は、焼結温度でセラミックス
粒子と反応して化合物を形成するものであり、具体的に
はCaCO3 等の炭酸塩、またはCaO、MgO若しく
はAl23 等の金属酸化物が挙げられる。例えば、上
記焼結助剤としてCaCO3を使用した場合には、この
CaCO3 が900℃程度の温度でCaOとCO2 ガス
とに分解され、このCaOが、上記TiO2 粒子等から
なるセラミックス粒子と反応してCaTiO3 が生成さ
れる。このCaTiO3 生成によって、SiC等からな
る高硬度セラミックス粒子を上記CaTiO3 によって
強固に結び付けることができる。従って、上記構成材料
として特性の異なる複数種のセラミックス粒子を上記予
備成形体に配合した場合においても、この予備成形体の
空孔率が高められて複合化しやすい予備成形体が得ら
れ、そのハンドリング性が確保されると共に、大型化が
可能となる。
【0032】上記骨格形成材となる短繊維としては、繊
維径が2〜10μm程度で、繊維長が200〜300μ
m程度のアルミナ繊維またはSiC繊維等が挙げられ、
上記ウィスカとしては、繊維径が2〜10μm程度で、
繊維長が10〜30μm程度のほう酸アルミニウムウィ
スカが挙げられる。
【0033】上記体積率調節用の消失粉末としては、上
記焼結温度で消失する粒子、例えばポリプロピレン粒
子、ポリエチエン粒子、ポリアクリルアミド粒子等の樹
脂粉末または黒鉛粉末等が挙げられ、消失し易さの点で
は黒鉛粉末が好ましく用いられる。こうした消失性粉末
を添加することによって、焼結された予備成形体の空孔
率を増大させることができる。
【0034】上記無機バインダとしては、シリカゲルや
アルミナゾル等のコロイド物質が用いられる。更に、上
記凝集剤としては、ポリアクリルアミドゲル等が挙げら
れ、その他、上記予備成形体を形成する混合物に硫酸ア
ンモニウム等の添加物を添加するようにしても良い。
尚、無機バインダー等の他の添加剤が配合されていた場
合には、セラミックス粒子とともに予備成形体の骨格部
分を形成することになる。
【0035】以上のようにして得られる複合化用予備成
形体を用いて、ブレーキロータからなる複合化部材(部
分的に複合化された軽金属系部品)を製造する方法につ
いて以下に説明する。まず、図6に示すように、上記予
備成形体1(前記図5参照)を金型10の内部にセット
し、次いでこの予備成形体1に向けて母材となる軽金属
の溶湯12をピストン13により加圧して注入する。こ
の様にして、予備成形体に向けて軽金属溶湯12を加圧
注入することによって、この軽金属溶湯12が予備成形
体1の前記易進入通路を通って空孔内に軽金属溶湯12
が効率よく充填され、予備成形体1の全体が軽金属溶湯
によって適正に鋳ぐるまれた部分複合軽金属系部品が製
造されることになる。
【0036】こうした方法では、その全域に易進入通路
を形成した予備成形体1(前記図1、2に示した方法で
得られた予備成形体)であっても、基本的に軽金属溶湯
を効率よく充填することができるのであるが、こうした
予備成形体1では軽金属溶湯12を充填する際に、予備
成形体1の表面部分に存在する易進入通路を瞬時に通過
して予備成形体1の表面が先に覆われてしまうこともあ
る。
【0037】こうした事態が生じると、予備成形体1の
内部まで軽金属溶湯12が進入しなくなって、未複合化
部分が生じることがある。この事態を回避する構成とし
て、中央部に易進入通路を部分的に形成した領域(図7
において参照符号14で示す)を有する予備成形体1
(前記図3、4に示した方法で得られた予備成形体)を
採用することが推奨される。即ち、こうした構成の予備
成形体1を使用すると、この予備成形体1に向けて注入
された軽金属溶湯12は、まず中央部分の易進入通路が
形成された領域14から優先的に進入し、その後それ以
外の領域に軽金属溶湯12が進入するので予備成形体1
の全体が軽金属溶湯によって適正に鋳ぐるまれることに
なる。即ち、本発明方法によれば、易進入通路が形成さ
れた領域14以外の領域においても、易進入通路ほどで
はないが適正な空孔が形成されているので、上記構成で
は予備成形体1の全体が軽金属溶湯によって適正に鋳ぐ
るまれた状態になるのである。
【0038】尚本発明の部分複合軽金属部品で適用でき
る軽金属としては、アルミニウム、アルミニウム系合
金、マグネシウム合金等が挙げられる。
【0039】以下本発明を実施例によって、この効果を
より具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定するも
のではなく、前・記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0040】
【実施例】実施例 焼失性発泡体9として、発泡ウレタン「エバライトHR
−08」(商品名:ブリヂストン株式製)を使用し、前
記図3、4に示した方法に従って前記図5に示したブレ
ーキロータ用の予備成形系体1を製造した。このとき用
いたプリフォーム原料は、下記の通りであり、上記発泡
ウレタンは厚み:10mm、セル範囲6〜10個/25
mm2 のものである。また焼結温度は1140℃とし
た。 (プリフォーム原料) 強化材 :SiC粒子(15.5Vf%)、TiO2
粒子(7.5Vf%) 焼結助剤 :CaCO3 (1.0Vf%) 骨格形成材:アルミナ短繊維(3.0Vf%)、ほう酸
アルミウィスカ(3.0Vf%) 体積率調節材:黒鉛粉(適量添加)
【0041】得られた予備成形体を用いて、溶湯鍛造
(前記図6、7)によってアルミニウム合金と複合化し
てブレーキロータを作製し、400℃において摩耗試験
を行ない、摩擦係数μを測定した。このとき、温度別摩
耗試験の相手材としては、アルミディスクブレーキ用の
パッド材TS−16(商品名:日清紡株式会社製)を使
用した。
【0042】その結果、摩擦係数μは0.45であり、
400℃の高温においても高μ化が達成されていた。
【0043】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、比
較的大型であっても、優れた耐摩耗性および強度を発揮
すると共に、高μ化が達成でき、特にブレーキロータの
素材として最適な複合化部材、およびこの様な部分複合
軽金属部品を得ることのできる予備成形体が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における予備成形体の製造方法の一例を
示す断面図である。
【図2】本発明における予備成形体の製造方法の一例を
示す断面図である。
【図3】本発明における予備成形体の製造方法の他の例
を示す断面図である。
【図4】本発明における予備成形体の製造方法の他の例
を示す断面図である。
【図5】本発明方法によって製造されたブレーキロータ
用予備成形体の外形例を示す概略説明図である。
【図6】本発明に係る複合化部材の製造方法を示す断面
図である。
【図7】本発明に係る複合化部材の製造方法を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 予備成形体 4 濾過部 5 脱水吸引口 6 容器 7 スラリー 8 脱水体 9 焼失性発泡体 10 金型 12 軽金属溶湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C04B 41/88 C04B 41/88 U

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複合化部材の製造に用いられる多孔質の
    予備成形体を製造するに当たり、プリフォーム原料を分
    散媒中に分散させ、該分散媒の一部が吸引・排出され、
    若しくは吸引・排出されていないスラリーの全部または
    一部に、連続気泡を有する焼失性発泡体を含浸させた状
    態で、該スラリーから分散媒を吸引・排出し、その後こ
    れを加熱して前記焼失性発泡体を焼失させ、引き続き前
    記プリフォーム原料を焼結することによって、前記焼失
    性発泡体が焼失した部分を軽合金溶湯の易浸入通路とす
    ることを特徴とする複合化部材製造用多孔質予備成形体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 分散媒の吸引・排出を2回に分けて行な
    い、その間に、スラリーの一部に前記焼失性発泡体を含
    浸させる様に配置して操業する請求項1に記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2によって製造される複
    合化予備成形体であり、該予備成形体の構成材料によっ
    て、嵩密度が高い部分と低い部分が存在する様に形成さ
    れたものであることを特徴とする複合化部材製造用多孔
    質予備成形体。
  4. 【請求項4】 耐摩耗性および高摩擦係数化が要求され
    る複合化部材の製造に用いられるものであり、前記構成
    材料が硬質粒子を含有するものである請求項3に記載の
    予備成形体。
  5. 【請求項5】 前記硬質粒子は、セラミックス粒子であ
    る請求項4に記載の予備成形体。
  6. 【請求項6】 前記セラミックス粒子はTiO2 ,Si
    CおよびAl23の少なくとも1種である請求項5に
    記載の予備成形体。
  7. 【請求項7】 SiCがTiO2 中に海島構造で焼結さ
    れたものである請求項6に記載の予備成形体。
  8. 【請求項8】 構成材料は、更に短繊維および/または
    ウィスカを含有するものである請求項3〜7のいずれか
    に記載の予備成形体。
  9. 【請求項9】 請求項3〜8のいずれかに記載の予備成
    形体に、軽金属の溶湯を充填する工程を含むことを特徴
    とする複合化部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 請求項3〜8のいずれかに記載の予備
    成形体の気孔部分に軽合金が充填されたものであること
    を特徴とする複合化部材。
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