JP2000204454A - 金属基複合材用プリフォ―ム及びその製造方法 - Google Patents

金属基複合材用プリフォ―ム及びその製造方法

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JP2000204454A JP11007702A JP770299A JP2000204454A JP 2000204454 A JP2000204454 A JP 2000204454A JP 11007702 A JP11007702 A JP 11007702A JP 770299 A JP770299 A JP 770299A JP 2000204454 A JP2000204454 A JP 2000204454A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プリフォーム自体の機械的強度が高く、溶湯
が流し込まれる際の抵抗が小さく、しかも、焼成温度が
低い低コスト性金属基複合材用プリフォーム及びその製
造方法を提供すること。 【解決手段】 ガラス繊維100重量部に対して、セラ
ミック繊維又はセラミック粒子1〜100重量部と、ガ
ラスバインダ5〜100重量部とを含むスラリーを、脱
水成形し、乾燥し、次いで前記ガラス繊維の軟化点と前
記ガラス材料の軟化点との間の温度で焼成する方法によ
り、ガラス繊維と、セラミック繊維又はセラミック粒子
とから構成される3次元骨格構造を有し、少なくともガ
ラス繊維同士の交絡点の一部又は全部がガラスバインダ
で結合されている金属基複合材用プリフォームが得られ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属をマトリック
スとし、ガラス繊維と、セラミック繊維又はセラミック
粒子等で強化された金属基複合材用プリフォーム及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】鋼やアルミニウム合金等の素材金属に炭
素繊維、アルミナ繊維等のセラミック繊維、炭化ケイ素
等のセラミックウイスカ耐熱性繊維又はウイスカ、アル
ミナ及びムライト等のセラミック粒子を埋設して補強す
ると、その素材金属が通常有する機械的強度や耐摩耗性
等の物性をはるかに上回る高物性を有する材料となる。
このような無機繊維、ウイスカ及びセラミック粒子等で
補強された金属基複合材(Metal Matrix Comosite:以下
「MMC」とも言う)は、航空機、自動車等の軽量で高
物性の素材を求める分野で注目されている。
【0003】該金属基複合材は、予め、無機繊維、ウイ
スカ及びセラミック粒子等で構成される所定の形状を有
する多孔質構造の成型体(以下、プリフォームとい
う。)をスクイズキャストあるいはダイカスト鋳造機等
の金型に配置し、前記プリフォーム内にマトリックス金
属の溶湯を流し込み含浸させる方法により得られる。そ
して、近年においては、生産性向上のため、より高速で
高圧な鋳造条件で金属基複合材を得ることが求められて
いる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、高速・
高圧条件で鋳造すると、金型内にセットされたプリフォ
ームにマトリックス金属の溶湯が流し込まれる際、鋳造
負荷が大きく掛かり、プリフォームが圧力変形したり、
割れが生じることがある。このような圧力変形や割れの
あるプリフォームにマトリックス金属が含浸されても、
プリフォームが金属基複合材中で偏在したり破断したり
しているため、成形される金属基複合材は、本来期待さ
れる耐熱性、機械的強度、耐磨耗性が発現されないとい
う問題がある。
【0005】このため、プリフォームには、高速・高圧
で鋳造されてもその負荷で圧力変形や割れが生じたりす
ることのない機械的強度が要求されると共に、マトリッ
クス金属の溶湯が流し込まれる際の抵抗が小さい構造を
有することも要求される。さらに、生産効率や省エネル
ギー等の観点から、プリフォームの焼成温度は低いこと
が好ましい。
【0006】従って、本発明の目的は、プリフォーム自
体の機械的強度が高く、溶湯が流し込まれる際の抵抗が
小さく、しかも、焼成温度が低い低コスト性金属基複合
材用プリフォーム及びその製造方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意検討を行った結果、ガラス繊維とセラミッ
ク繊維又は粒子を、軟化点が前記ガラス繊維の軟化点よ
り低いガラスバインダと共に水に分散させ、所定の形状
の型に入れ脱水成形し、乾燥し、次いで前記ガラス繊維
の軟化点と前記ガラスバインダの軟化点との間の温度で
焼成すると、ガラスバインダが少なくともガラス繊維同
士の一部又は全部の交絡点を結合して、適度な空隙を有
する強固な3次元骨格構造を形成すると共に、高速、高
圧下の鋳造条件においても圧縮変形が少なく優れた鋳造
性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明は、ガラス繊維と、セラ
ミック繊維又はセラミック粒子とから構成される3次元
骨格構造を有し、少なくとも該ガラス繊維同士の交絡点
の一部又は全部がガラスバインダで結合されていること
を特徴とする金属基複合材用プリフォームを提供するも
のである。
【0009】また、本発明は、ガラス繊維100重量部
に対して、セラミック繊維又はセラミック粒子1〜10
0重量部及びガラスバインダ5〜100重量部を含むス
ラリーを脱水成形し、乾燥し、次いで前記ガラス繊維の
軟化点と前記ガラスバインダの軟化点との間の温度で焼
成することを特徴とする金属基複合材用プリフォームの
製造方法を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の金属基複合材用プリフォ
ームにおいて、ガラス繊維はセラミック繊維又はセラミ
ック粒子と、後述するガラスバインダと共働して3次元
骨格構造を形成する。ガラス繊維としては、その軟化点
がガラスバインダの軟化点よりも高いものであれば特に
制限されないが、例えば、Eガラス、Cガラス、Tガラ
ス及びARガラス等が挙げられる。このようなガラス繊
維は、これらの1種又は2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。ガラス繊維の軟化点は、具体的には、
プリフォームの焼成温度よりも100℃以上高いことが
好ましく、150℃以上高いことがより好ましい。これ
により、プリフォームの焼成の際、ガラス繊維が軟化す
ることなく、他の繊維と共働して強固な3次元構造を保
つことができる。また、ガラス繊維は、ガラスバインダ
との軟化点の差が大きいほど、バインダーの選択範囲が
広くなり、また焼成条件等の設定も容易になることから
好ましい。従って、特に好ましいガラス繊維は、軟化点
が840℃と高いEガラスである。
【0011】ガラス繊維の平均繊維径は、通常3〜20
μmであり、好ましくは5〜15μmである。平均繊維
径が20μmを越えると、スラリーの均一性を確保でき
なかったり、繊維の交絡点が少なくなるので強度が弱く
なり好ましくなく、3μm未満であるとプリフォームの
気孔径が小さくなりマトリックス合金の浸透が悪くな
り、圧縮変形率が大きくなるため好ましくない。また、
ガラス繊維には連続繊維と短繊維があり、本発明におい
てはミルド処理品で平均繊維長が50〜300μm 、好
ましくは70〜200μmものが使用できる。平均繊維
長が300μmを越えるとスラリーの均一性を確保でき
ないため好ましくなく、50μm未満であるとプリフォ
ームが高密度化し、マトリックス合金の浸透性が悪くな
り、圧縮変形率が大きくなるため好ましくない。
【0012】本発明の金属基複合材用プリフォームにお
いて、セラミック繊維又はセラミック粒子は、ガラス繊
維と、後述するガラスバインダと共働して3次元骨格構
造を形成するものであり、当該セラミック繊維は、前記
ガラス繊維以外のセラミック繊維である。このようなセ
ラミック繊維としては、例えば、アルミナ繊維、アルミ
ナシリカ繊維、ムライト繊維、石綿、ロックウール、炭
素繊維等の天然又は合成の無機繊維;炭化ケイ素ウィス
カ、窒化ケイ素ウィスカ、硼酸アルミウィスカ、チタン
酸カリウィスカ等のウィスカ繊維等が挙げられ、これら
の1種又は2種以上を組み合わせて使用することができ
る。これらのうち、特に、アルミナ繊維及びアルミナシ
リカ繊維が好ましい。
【0013】セラミック繊維の平均繊維径は、通常1〜
5μmであり、好ましくは2〜4μmである。平均繊維
径が5μmを越えると、ガラス繊維同士の交絡点を阻害
し、3次元骨格が得られ難くなるため好ましくなく、1
μm未満であるとガラスバインダに混ざりやすくなりバ
インド効果を低下させる。セラミック繊維は平均繊維長
が、通常50〜200μmのミルドファイバーが用いら
れ、好ましくは70〜150μmである。平均繊維長が
200μmを越えるとガラス繊維同士の交絡点を阻害
し、3次元骨格が得られ難くなるため好ましくなく、5
0μm未満であるとガラスバインダに混ざりやすくなり
バインド効果を低下させる。このように、セラミック繊
維は、ガラス繊維より平均繊維径が小さいため、プリフ
ォームの空隙にマトリックス金属の溶湯を流し込む際の
圧力が小さくて済む一方、プリフォーム成形体中におい
て、ガラスバインダを捕捉して、これをプリフォーム中
に均一に分散させる。
【0014】また、本発明で用いられるセラミック粒子
としては、例えば、炭素、黒鉛粉、Al、Si、Ti、
Zr、Mg、B、Fe等の金属酸化物、炭化物、窒化物
等が挙げられ、具体的には、アルミナ粉末、ムライト粉
末、コージェライト粉末、シリカアルミナ粉末、シリカ
粉末等であり、これらの1種又は2種以上を組み合わせ
て使用することができる。セラミック粒子の粒子径は、
通常1〜50μmである。
【0015】本発明において、前記セラミック繊維又は
セラミック粒子の配合割合は、ガラス繊維100重量部
に対して、1〜100重量部の範囲とすることが好まし
い。配合量が100重量部を越えると、プリフォームの
3次元骨格構造中、同質のガラスバインダにより結合さ
れるガラス繊維の割合が少なくなり、プリフォーム全体
としての強度が低下する。また、1重量部未満ではプリ
フォーム成形中、ガラスバインダが十分捕捉されず、そ
の結果高い強度を有するプリフォームは得られない。
【0016】本発明の金属基複合材用プリフォームにお
いて、ガラスバインダは、前記ガラス繊維と、前記セラ
ミック繊維又はセラミック粒子とから構成される3次元
骨格構造における少なくとも該ガラス繊維同士の交絡点
の一部又は全部を結合する。また、該ガラスバインダは
ガラス繊維と同質であるため両者は馴染みがよく、特
に、ガラス繊維同士を強固に結合するのに寄与するが、
ガラス繊維とセラミック繊維の異質繊維同士の交絡点又
はセラミック繊維同士の交絡点を結合することもでき
る。当該ガラスバインダは、ガラス繊維の軟化点よりも
低い軟化点を有するものであり、さらに、ガラス繊維と
ガラスバインダの軟化点の差は大きいほど好ましい。こ
れにより、焼成時においては、ガラス繊維はそれ自体強
度が充分であるため3次元構造を保つことができ、一方
ガラスバインダは溶融してガラス繊維を結合するのに必
要な流動状態となり易い。従って、ガラス繊維及びガラ
スバインダの選択範囲が広くなり、また焼成条件等の設
定も容易になる。
【0017】ガラスバインダの軟化点としては、具体的
には、プリフォームの焼成温度よりも通常100℃以
上、さらに150℃以上低いことが好ましい。低い軟化
点を有することにより、焼成温度が低くできるためエネ
ルギーコストを低減できると共に、ガラス繊維の軟化を
抑制できるため強固な3次元構造を保つことができる。
【0018】上述のように、前記ガラス繊維の軟化点は
プリフォームの焼成温度よりも通常100℃以上、さら
に150℃以上高いことが好ましく、一方、ガラスバイ
ンダの軟化点はプリフォームの焼成温度よりも通常10
0℃以上、さらに150℃以上低いことが好ましいか
ら、結果としてガラス繊維の軟化点とガラスバインダの
軟化点との差は、通常200℃以上、さらには300℃
以上あることが好ましい。
【0019】このようなガラスバインダとしては、例え
ば、ガラスフリットが挙げられる。ガラスフリットとし
ては、例えば、リン酸塩フリット、ホウケイ酸塩フリッ
ト、鉛カリフリット、ホウケイ酸鉛フリット、チタンフ
リット、ジルコンフリット等が挙げられ、特に、リン酸
塩フリットが軟化点400℃程度と低いため好ましい。
このようなガラスバインダは、これらの1種又は2種以
上を組み合わせて使用することができる。
【0020】ガラスバインダの配合量としては、ガラス
繊維100重量部に対して、5〜100重量部、好まし
くは10〜60重量部である。ガラスバインダの配合量
が100重量部を越えるとプリフォームの焼成時に溶融
したガラスバインダがガラス繊維で構成される3次元骨
格構造の隙間を埋めてしまい、溶湯の浸漬抵抗が大きく
なり、鋳造時にプリフォームの割れや潰れ、変形が発生
する。また、ガラスバインダの配合量が5重量部未満で
はガラス繊維やセラミック繊維等を十分結合させること
ができず、強固な骨格構造を得ることができない。
【0021】本発明の金属基複合材用プリフォームは、
成形助材として、上記のガラスバインダ以外に、シリカ
ゾル、アルミナゾゾル又は有機バインダーを配合しても
よい。有機バインダーとしては、例えば、ポリアクリル
アミド、ポリビニルアルコール、メチルセルロース等が
挙げられる。以上のような構造を有するプリフォーム
は、密度が通常0.3〜1.0g/cm3 である。
【0022】本発明の金属基複合材用プリフォームの構
造を示すSEM写真の例を図1に示す。図1に示される
ように、本発明のプリフォームは、ガラス繊維1とアル
ミナ繊維2とから構成される3次元骨格構造を有してお
り、また、ガラス繊維1同士の交絡点には、ガラスフリ
ット3が溶着してガラス繊維同士を結合している。この
ようなプリフォームは、充分な空隙を有する3次元骨格
構造となっている。
【0023】本発明の金属基複合材用プリフォームは、
次の製造方法により得ることができる。すなわち、前記
ガラス繊維100重量部に対して、前記セラミック繊維
又はセラミック粒子1〜100重量部と、前記ガラスバ
インダ5〜100重量部を配合した出発原料に、成形助
剤として水を加えて混合し、均一な可塑性混合物(スラ
リー)とする。この際、必要により有機バインダーを加
えてもよい。有機バインダーを加えると、ガラスフリッ
ト等のガラスバインダがガラス繊維あるいはセラミック
繊維又は粒子等に均一に分布するようになる。このよう
にして得られたスラリーは、金型に流し込まれ、棒状、
円筒状、リング状、円盤状等製品の用途に応じた所定の
形状に脱水成形される。かかる脱水成形法としては、特
に制限されず、製品の形状に応じて選択すればよく、押
出し成形法、射出成形法、プレス成形法等が挙げられ
る。得られた成形体は常温又は加熱下に乾燥して有機バ
インダを硬化させると共に水分を除きプリフォームの原
型となる成形体を得る。次いで、この成形体を焼成して
プリフォームを得る。
【0024】焼成温度は、ガラス繊維の軟化点とガラス
材料の軟化点との間の温度であり、好ましくは、ガラス
繊維の軟化点とガラス材料の軟化点との中間位の温度で
ある。この際、前述のように、焼成の温度は、ガラス繊
維の軟化点よりも通常100℃以上、さらに150℃以
上低いことが好ましく、一方、ガラス材料の軟化点より
も通常100℃以上、さらに150℃以上低いことが好
ましい。具体的には400〜800℃、好ましくは50
0〜700℃である。このような焼成温度に設定するこ
とにより、焼成時、ガラス繊維自体の強度が充分である
ために3次元構造を保つことができると共に、ガラス繊
維及びバインダーの選択範囲が広くなり、また焼成条件
等の設定も容易にすることができる。
【0025】以上のようにして得られた金属基複合材用
プリフォームを、スクイズキャスト、ダイキャスト等の
鋳造機の金型内に配置し、該プリフォーム内にアルミニ
ウム合金等のマトリックス金属の溶湯を流し込みこれを
加圧・浸透させる方法によりMMCを得ればよい。ま
た、MMC中、プリフォームの体積分率は、10〜50
%の範囲となることが好ましい。なお、ダイキャストに
よる鋳造条件は、特に制限されないが、プリフォーム予
熱温度が150〜400℃、溶湯温度が600〜800
℃、金型温度が150〜300℃、鋳造圧力が250〜
1000kg/cm2とすることが好ましい。このような方法
により製造されたMMCは軽量で耐熱性、機械的強度、
耐磨耗性に優れるため、その用途として、例えば、ピス
トンの耐磨環やレシプロエンジンのシリンダブロック等
に代表される自動車あるいは航空産業の部品等に使用さ
れる。
【0026】
【発明の効果】本発明によれば、セラミック繊維や粒子
と絡み合って均一に分散されたガラスバインダが、主に
ガラス繊維同士の交絡点を強固に結合して機械的強度に
優れた金属基複合材用プリフォームを得ることができ
る。また、ガラス繊維とガラスバインダとの配合量比を
特定範囲とすることにより、プリフォームの3次元骨格
構造の空隙容積が充分に確保されて、高圧、高速鋳造に
おいてもプリフォームが変形したり破壊されることがな
い。そのため、機械的強度に優れ、且つ鋳造性に優れた
金属基複合材用プリフォームを得ることができる。さら
に、ガラス繊維と同質のガラスバインダを使用するた
め、ガラス繊維同士の交絡点が強固に結合できるため、
バインダーとして軟化点の低いガラス材料を使用するこ
とが可能になり、プリフォームの焼成温度を低くするこ
とができる。以上から、本発明の金属基複合材用プリフ
ォームは、高い生産性と低コスト性を有する。
【0027】
【実施例】実施例1 ガラス繊維(Eガラス:軟化点840℃、平均繊維径1
0μm、平均繊維長150μm)100重量部と、アル
ミナ繊維(平均繊維径3μm、平均繊維長100μm)
20重量部と、ガラスバインダ(リン酸塩フリット:軟
化点約400℃)と、水とを配合してスラリーを形成し
た。ここで、ガラスフリットの配合量は、ガラス繊維1
00重量部に対して、1.5〜120重量部の間で1.
5重量部、5重量部、10重量部、30重量部、50重
量部、70重量部、100重量部、120重量部と変化
させて各スラリーを作製した。次いで、各スラリーを金
型に流し込み、吸引脱水成形した後105℃で乾燥さ
せ、プリフォームの原型となる成形体を得た。次いで、
この成形体を600℃、1時間の条件で焼成し、金属基
複合材用プリフォームを得た。また、上記方法によって
得られたプリフォームを400℃の温度に予熱した後、
金型にセットし、これに750℃の温度、1000kg/c
m2の圧力でアルミニウム合金(JIS 規格AC8A) の溶湯を
流し込み、溶湯が完全に凝縮するまで保持して金属基複
合材(MMC)を得た。なお、用いたEガラスの組成成
分を表1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】こうして得られた金属基複合材用プリフォ
ームの曲げ強度及び圧縮変形率を測定した。曲げ強度の
結果を図1に示し、圧縮変形率の結果を図2に示す。曲
げ強度はプリフォーム自体の強度の指標である。また、
圧縮変形率はプリフォームに対するマトリックス金属の
溶湯含浸のし易さの指標である。圧縮変形率(%)は、
以下に示す式によって算出され、その値が小さいほど、
マトリックス金属の溶湯が含浸し易いことを表す。従っ
て、圧縮変形率(%)の値は小さいほど好ましい。
【0030】圧縮変形率(%)=100 ×(鋳造前のプリ
フォームの厚さ−MMC層の厚さ)/(鋳造前のプリフ
ォームの厚さ) (式中、MMC層の厚さは鋳造により得られた金属基複
合材料(MMC)を切断して測定される。)
【0031】得られたプリフォームの曲げ強度の測定結
果を図2に示し、圧縮変形率の測定結果を図3に示す。
図2から、ガラス繊維100重量部に対して、ガラスフ
リットの配合量が10重量部以上であると、プリフォー
ムは20kgf/cm2 以上の曲げ強度を有しているので好ま
しいことがわかる。図3から、ガラス繊維100重量部
に対して、ガラスフリットの配合量が5〜100重量部
であると、プリフォームは圧縮変形率が充分に低いこと
がわかる。さらに、ガラスフリットの配合量が10〜6
0重量部であると、圧縮変形率が非常に低いことがわか
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における金属基複合材用プ
リフォームのSEM写真(倍率500倍)の一例であ
る。
【図2】実施例1で得られた金属基複合材用プリフォー
ムにおけるガラスフリットの配合量と曲げ強度の関係を
示すグラフである。
【図3】実施例1で得られた金属基複合材用プリフォー
ムにおけるガラスフリットの配合量と圧縮変形率の関係
を示すグラフである。
【符号の説明】
1 ガラス繊維 2 アルミナ繊維 3 ガラスフリット(ガラスバインダ)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岩田 耕治 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 金田 和巳 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 小林 強 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 Fターム(参考) 4K020 AA05 AA09 AA22 BA05

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス繊維と、セラミック繊維又はセラ
    ミック粒子とから構成される3次元骨格構造を有し、少
    なくとも該ガラス繊維同士の交絡点の一部又は全部がガ
    ラスバインダで結合されていることを特徴とする金属基
    複合材料用プリフォーム。
  2. 【請求項2】 前記ガラスバインダの軟化点が、前記ガ
    ラス繊維の軟化点よりも低いことを特徴とする請求項1
    記載の金属基複合材用プリフォーム。
  3. 【請求項3】 前記ガラスバインダの配合割合が、前記
    ガラス繊維100重量部に対して5〜100重量部であ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の金属基複合材
    用プリフォーム。
  4. 【請求項4】 ガラス繊維100重量部に対して、セラ
    ミック繊維又はセラミック粒子1〜100重量部及びガ
    ラスバインダ5〜100重量部とを含むスラリーを脱水
    成形し、乾燥し、次いで前記ガラス繊維の軟化点と前記
    ガラスバインダの軟化点との間の温度で焼成することを
    特徴とする金属基複合材用プリフォームの製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003048049A (ja) * 2001-05-11 2003-02-18 Schwaebische Huettenwerke Gmbh キャストイン硬質材料体を含む金属鋳造鋳型体
WO2008086930A1 (de) * 2007-01-19 2008-07-24 Robert Bosch Gmbh Keramischer vorkörper zur herstellung von metall-keramik verbundwerkstoffen
JP2009262158A (ja) * 2008-04-22 2009-11-12 Chuo Motor Wheel Co Ltd 金属複合材の製造方法

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