JP4072984B2 - 金属基複合材用プリフォーム及びその製造方法 - Google Patents

金属基複合材用プリフォーム及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属基複合材用プリフォーム及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
金属基複合材料用プリフォームは無機繊維や無機粒子等の無機材料が無機バインダ等で結合され形成された3次元骨格構造の無機成形体であり、機械的強度や耐磨耗性等に優れる金属基複合材料(MMCともいう)の原料等として使用される。MMCはプリフォームに金属溶湯を流し込み含浸させ冷却して製造されるため、原料であるプリフォームには、金属溶湯の流し込み初期圧力に耐えうる機械的強度を有すること、及び、金属溶湯の含浸不足が生じたり含浸が困難なことにより発生する過剰圧力で破損等が生じたりしないようにプリフォームの体積分率が小さい等の含浸容易な構造であること等が要求されている。
【0003】
しかし、近年、プリフォームの低コスト化が求められており、機械的強度及び含浸容易な構造であることを満たした上で、プリフォームを安価な材料で形成することが求められている。例えば、無機繊維やウィスカは高価であるため、安価なセラミック粒子等の配合量が多いことが望ましい。また、MMC製造の際の低コスト化を図れるように、従来一般的に採用されているスクイズキャスト法に代えて、生産性が高い反面金属溶湯の射出速度が速く初期圧力が大きいダイキャスト鋳造法を採用しうることが望まれており、プリフォームには該初期圧力に耐えうる程度の十分な機械的強度や金属溶湯の含浸し易さが求められている。
【0004】
さらに、プリフォームは低コスト化のため種々の体積分率のプリフォームを容易に製造できることが望ましい。すなわち、従来の吸引脱水成形法で体積分率の異なるプリフォームを製造するには、その都度スラリ中の無機繊維の繊維長や無機繊維とセラミック粒子との配合比率等を変化させたり吸引脱水条件を変化させる必要があるため煩雑でコストがかかっており、しかも、このように配合等を変化させてもプリフォームの体積分率を広範囲に渡って変化させることは困難であった。
【0005】
このようなプリフォームに関して、例えば、特開平10−245645号公報には、アルミニウム合金粉末と酸化物系セラミック粒子とポリマー樹脂と水等の液体とを混合して調製したスラリーから液体成分を除去し、乾燥し、ポリマー樹脂を焼失し、且つ、アルミニウム合金粉末及びセラミック粒子を焼結して形成した複合化用プリフォームの製造方法が開示されており、該方法によれば、体積分率が小さく、強度が高いプリフォームが得られると共に、低圧でアルミニウム鋳造することができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、該公報記載の方法で得られるプリフォームは、無機材料としてウィスカ等の無機繊維を全く配合しないため機械的強度が十分でなく、初期圧力が大きいダイキャスト鋳造法を採用できないという問題があった。一方、該公報記載の方法において、機械的強度を向上させるためにセラミック粒子等の配合量を多くすると、プリフォームの体積分率が大きくなり金属溶湯の含浸が困難になるという問題があった。
【0007】
また、プリフォームの体積分率を容易に広範囲に設定できる製造方法として、特開平10−8163号公報には、セラミックス材からなる強化材およびそのバインダに発砲スチロール等の高温焼失材を混合分散させ、これを成形機の金型にブローイングマシンで吹き込んで押し固めることによりプリフォームを成形し、プリフォーム中の高温焼失材を焼失させて空隙を形成し、軽合金溶湯を含浸させて軽合金複合材を製造する方法が開示されており、該方法によれば、高温焼失材の添加量調整という簡単な操作によりプリフォーム中の強化材含有率を調整できる。
【0008】
しかしながら、該公報記載の方法では、発砲スチロール等の高温焼失材を含む混合物をブローイングマシンで吹き込んで押し固めるため、吸引脱水成形法に比較して比重差が大きい原料や繊維と粒子など形態が違う原料を使用すると、プリフォームが不均一になり易いという問題があった。また、単に高温焼結材で空隙を形成しただけでは、鋳造時に溶湯の含浸が困難であったり十分に溶湯が含浸しない部分が形成されてしまうという問題があった。
【0009】
従って、本発明の目的は、機械的強度が高く、金属溶湯の含浸が容易なプリフォームであって、しかも、吸引脱水成形法による成形でも無機繊維等の原料の繊維長や無機繊維とセラミック粒子との配合比率を変えることなくプリフォームの体積分率を容易に広範囲に設定可能である、低コストなプリフォーム及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を行った結果、無機繊維、セラミック粒子、無機バインダ、特定粒径の耐水性粒状有機物、有機バインダ及び水が特定比率で配合され、且つ、無機繊維とセラミック粒子とが特定の重量比で含まれるスラリを原料として、吸引脱水成形し、乾燥して金属基複合材用プリフォームを製造すれば、低コストで、吸引脱水成形法による成形でも無機繊維等の原料の繊維長や無機繊維とセラミック粒子との配合比率等を変えずに耐水性粒状有機物の配合量を変化させるだけでプリフォームの体積分率を容易に広範囲に設定可能であり、しかも、得られるプリフォームは特定気孔径の気孔及び特定細孔径分布を有する微細径空隙が形成されると共に特定の体積分率を有するため、十分に機械的強度が高く、金属溶湯の含浸が容易であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、無機繊維及びセラミック粒子が無機バインダで相互に結合され形成された3次元骨格構造の金属基複合材用プリフォームであって、該プリフォームは内部に0.05〜5μm の細孔径分布を有する微細径空隙及び平均径20〜500μm の気孔を有し、前記微細径空隙の少なくとも一部が前記プリフォームの表面及び前記気孔に連通すると共に、前記気孔の少なくとも一部が前記微細径空隙を介して前記プリフォームの表面に連通し、前記プリフォームは体積分率が10〜50%であることを特徴とする金属基複合材用プリフォームを提供するものである。
【0012】
また、本発明は、前記無機繊維と前記セラミック粒子との合計量100重量部、無機バインダ2〜50重量部、平均粒径20〜500μm の耐水性粒状有機物50〜200重量部、有機バインダ2〜100重量部及び水からなり、且つ、前記無機繊維と前記セラミック粒子とが重量比1:9〜3:2の割合で含まれるスラリを吸引脱水成形し、乾燥し、焼成することを特徴とする金属基複合材用プリフォームの製造方法を提供するものである。
【0013】
また、本発明は、前記無機繊維と前記セラミック粒子との合計量100重量部、無機バインダ2〜50重量部、平均粒径20〜500μm の耐水性粒状有機物50〜200重量部、有機バインダ2〜100重量部及び水からなり、且つ、前記無機繊維と前記セラミック粒子とが重量比1:9〜3:2の割合で含まれる可塑性混合物を成形し、乾燥し、焼成することを特徴とする金属基複合材用プリフォームの製造方法を提供するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る金属基複合材用プリフォームの第1の製造方法は、無機繊維とセラミック粒子との合計量100重量部、無機バインダ2〜50重量部、平均粒径20〜500μm の耐水性粒状有機物50〜200重量部、有機バインダ2〜100重量部及び水からなり、且つ、無機繊維とセラミック粒子とが重量比1:9〜3:2の割合で含まれるスラリを吸引脱水成形し、乾燥し、焼成するものである。
【0015】
無機繊維としては、例えば、アルミナ繊維、アルミノシリケート質繊維、ムライト繊維、石綿、ロックウール、炭素繊維等の天然又は合成の無機繊維、炭化珪素、窒化珪素、硼酸アルミニウム、チタン酸カリウム、チタニア等のウィスカ繊維等が挙げられる。無機繊維は、平均繊維径が1〜20μm 、好ましくは1〜10μm であり、平均繊維長が10〜500μm 、好ましくは50〜200μm である。平均繊維径及び平均繊維長が上記範囲内にあると、プリフォームの均一性が得られ易く、また特定の細孔径分布を有する微細径空隙の基となる適当な繊維間空隙が形成されるため好ましい。無機繊維は、上記のうち、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0016】
セラミック粒子としては、例えば、炭素粉、黒鉛粉やAl、Si、Ti、Zr、Mg、B及びFe等の酸化物、炭化物及び窒化物等が挙げられる。具体的には、アルミナ粉末、ムライト粉末、コージエライト粉末、シリカアルミナ粉末、シリカ粉末等が挙げられる。セラミック粒子は、平均粒径が1〜100μm 、好ましくは1〜50μm である。平均粒径が上記範囲内にあると、特に耐摩耗部材に使用される場合に相手部材に対する攻撃性が低下するため好ましい。セラミック粒子は、上記のうち、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0017】
無機バインダは、熱処理により軟化又は溶融し、無機繊維又はセラミック粒子同士を結合して3次元骨格構造のプリフォームを形成するに必要な機械的強度を得るものである。無機バインダとしては、例えば、ガラスフリット等の粉末状結合材、コロイダルシリカ、アルミナゾル等の無機結合材等が挙げられ、これらのうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。無機バインダの組み合わせは、無機繊維やセラミック粒子の組成、融点、反応性、比表面積、粒径等の化学的特性や物理的特性を考慮して決定すればよい。
【0018】
耐水性粒状有機物は、無機繊維等を含む焼成前の成形体中に粒状物で存在し、該成形体の焼成の際に焼失してプリフォーム中に気孔を生じさせるものである。耐水性粒状有機物としては、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、ナイロン等の合成樹脂が挙げられる。また、合成樹脂は、メルトフローレート(JIS K6760)が、好ましくは0.3〜10g/10min 、さらに好ましくは0.5〜5g/10min である。メルトフローレートが0.3g/10min 未満であると、焼成時の脱脂不良を生じ易いため好ましくない。また、メルトフローレートが10g/10min を越えると、成形体の焼成の際に、無機バインダやセラミック粒子が流動してこれらのプリフォーム中における分布が不均一になり、プリフォームの機械的強度が低下し易いため好ましくない。
【0019】
耐水性粒状有機物は、平均粒径が20〜500μm 、好ましくは50〜400μm 、さらに好ましくは150〜300μm の粒状物である。平均粒径が20μm 未満であると、MMCの鋳造時にアルミニウム溶湯の浸透抵抗が大きくなるためプリフォームに割れやクラックが生じ易く、これによりMMC製造時の圧縮変形率が大きくなるため好ましくない。また、平均粒径が500μm を越えるとプリフォームの機械的強度が小さくなると共に、耐摩耗性MMCに用いられる場合、耐スカッフ性が低下し易いため好ましくない。耐水性粒状有機物は、上記のうち1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、耐水性粒状有機物は、異なる粒径のものを混合して用いることもできる。
【0020】
有機バインダは、無機繊維等を含む焼成前の成形体中に含まれ、成形体を形成する際に可塑性混合物に可塑性を付与すると共に成形体に乾燥強度を付与するものであり、また、該成形体の焼成の際に焼失して水と共に除去されプリフォーム中に微細径空隙を生じさせるものである。有機バインダとしては、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ポリアクリル酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。有機バインダは、上記のうち、1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
第1の製造方法においては、まず、上述の無機繊維、セラミック粒子、無機バインダ、耐水性粒状有機物及び有機バインダを水に分散させてスラリを形成する。スラリ濃度としては、無機繊維の均一分散性の点から1〜10%であることが好ましい。
【0022】
スラリ中、無機繊維とセラミック粒子とは、重量比が1:9〜3:2、好ましくは1:3〜1:1の割合で含まれる。該重量比が該範囲内にあるとコストと成形性とのバランスがよいため好ましい。無機バインダは、スラリ中、無機繊維とセラミック粒子との合計量100重量部に対し、2〜50重量部、好ましくは5〜20重量部配合される。無機バインダの配合量が該範囲内にあると、耐摩耗性、曲げ強度、引っ張り強度、耐腐食性等のMMC物性と、機械的強度とのバランスがよいため好ましい。
【0023】
耐水性粒状有機物は、スラリ中、無機繊維とセラミック粒子との合計量100重量部に対し、50〜200重量部、好ましくは80〜120重量部配合される。耐水性粒状有機物の配合量が該範囲内にあると鋳造性が良好になるため好ましい。有機バインダは、スラリ中、無機繊維とセラミック粒子との合計量100重量部に対し、2〜100重量部、好ましくは5〜20重量部配合される。有機バインダの配合量が該範囲内にあると乾燥強度を充分確保できるため好ましい。
【0024】
また、スラリ中、配合される耐水性粒状有機物及び有機バインダの量を増減することにより、無機繊維、セラミック粒子及び無機バインダの形態(例えば繊維長や粒子径等)や配合比率を変えずに、得られるプリフォームの体積分率を広範囲に渡って容易に調整することができる。すなわち、配合される耐水性粒状有機物及び有機バインダの量を少なくすると、相対的に無機繊維、セラミック粒子及び無機バインダの比率が高くなり、プリフォームの体積分率を高くすることができる。また、配合される耐水性粒状有機物及び有機バインダの量を多くすると、プリフォームの体積分率を低くすることができる。
【0025】
次に、スラリを吸引脱水成形して成形体を得る。成形体の形状としては、例えば、棒状、円筒状、リング状、円盤状等が挙げられる。次に、成形体を乾燥する。本工程においては、成形体中の有機バインダが硬化すると共に、成形体から水分が除去されて成形体の無機繊維間やセラミック粒子間又は無機繊維とセラミック粒子との間に微細径空隙が生じ、該空隙は次の焼成工程で固定される。乾燥条件としては、特に限定されず、有機バインダが硬化し水分が除去できればよく、常温下又は加熱下のいずれでもよい。
【0026】
次に、乾燥された成形体を焼成する。焼成条件としては、用いる無機バインダにより異なるため特に限定さないが、例えば低温焼成可能なガラスフリットを用いる場合には、通常500〜1000℃で0.5〜3時間、好ましくは600〜800℃で1〜2時間行えばよい。本工程においては、無機繊維、セラミック粒子等が無機バインダで融着されると共に、成形体中の耐水性粒状有機物が焼失し、焼失痕として略球状の気孔が形成される。さらに、有機バインダも焼失し、前記成形工程及び乾燥工程で生じた微細径空隙と共に、前記の略球状の記載を連通させる。焼成後冷却すると本発明の金属基複合材料用プリフォームが得られる。
【0027】
また、本発明の金属基複合材料用プリフォームは、上記脱水成形法以外に押出成形法等によっても形成することができる。押出成形法を採用する場合には、まず可塑性混合物を調製する。可塑性混合物の調製には、第1の製造方法のスラリにおいて、混合物が可塑性を発現する程度に水の配合量を少なくすればよい。また、可塑性混合物から成形する方法としては、押出成形法が汎用性が高いため好ましいが、この他にプレス成形法、ロールプレス成形法等が挙げられる。成形体の形状としては、例えば、棒状、円筒状、リング状、円盤状等が挙げられる。
【0028】
上記製造方法等により得られた本発明に係る金属基複合材用プリフォームは、無機繊維及びセラミック粒子が無機バインダで相互に結合され形成された3次元骨格構造の金属基複合材用プリフォームであり、内部に特定の細孔径分布を有する微細径空隙及び特定径の気孔を有し、微細径空隙の少なくとも一部が前記プリフォームの表面及び気孔に連通すると共に、気孔の少なくとも一部が微細径空隙を介して前記プリフォームの表面に連通している。以下、金属基複合材用プリフォームについて図1を参照して説明する。図1は、本発明に係る金属基複合材用プリフォームの表面近傍の断面図であり、図1中、1は気孔、2は微細径空隙、3はプリフォームの表面に露出した気孔、10はプリフォームを示す。
【0029】
微細径空隙2は、その存在割合の99%以上が直径0.05〜5μm にある特定の細孔径分布を有する空隙部であり、微細径空隙2の少なくとも一部がプリフォーム10の表面及び気孔1に連通している。微細径空隙2は、無機繊維間に形成される空隙と出発原料中の水分や有機バインダの焼失により形成される空隙とからなるものである。これらの空隙は特定の広い細孔径分布を有するもので、このため微細径空隙2は特定の広い細孔径分布を有する。このように微細径空隙2が特定の広い細孔径分布を有することで、プリフォームに溶湯がスムーズに含浸し、またプリフォーム内部の空気の抜けがよいため、MMC中に合金成分が緻密に充填され、さらに微細径空隙2の径が適当に分散していることでMMCとして強度の高い構造のものが得られる。
【0030】
気孔1は、平均径20〜500μm 、好ましくは50〜400μm 、さらに好ましくは150〜300μm の球状、楕円状等の空洞であり、金属基複合材用プリフォーム10中に略均一に分散していることが好ましい。気孔1の平均径が20μm 未満であると、MMCの鋳造時にアルミニウム等の金属溶湯の浸透抵抗が大きくなり、プリフォームの割れやクラックが生じ易いため好ましくない。また、500μm を越えると、プリフォームの機械的強度が小さくなると共に、耐摩耗性MMCに用いられる場合、耐スカッフ性が低下し易いため好ましくない。気孔1は、少なくとも一部が微細径空隙2を介してプリフォーム10の表面に連通している。また、気孔1は、全体がプリフォーム10の内部に包含されていても、図1に気孔3として示されるように一部分がプリフォーム10の表面に露出していてもよい。
【0031】
本発明に係る金属基複合材用プリフォームは、体積分率が10〜50%、好ましくは15〜30%である。体積分率が10%未満であると、プリフォームの機械的強度が低下し易いため好ましくない。体積分率が50%を越えると、プリフォームの空隙に金属溶湯が含浸し難くなるため好ましくない。
【0032】
また、前記プリフォーム中の空隙の全量、すなわちプリフォーム中における微細径空隙の体積と気孔の体積との合計量、において全気孔が占める体積(以下、「総気孔率」ともいう)は、通常30〜80%、好ましくは40〜60%である。総気孔率が30%未満であると、アルミニウム等の金属溶湯が含浸し易い気孔が少ないため含浸が困難になり、プリフォームが鋳造圧力により潰れ易いため好ましくない。また、総気孔率が80%を越えると、プリフォームの機械的強度が低下するため好ましくない。
【0033】
また、前記プリフォーム中において無機繊維と前記セラミック粒子とは重量比が1:9〜3:2、好ましくは1:3〜1:1の割合で含まれる。無機繊維の配合量が上記範囲より多いとコストアップになると共に高Vf 値のプリフォームを得難くなるため好ましくない。また、無機繊維の配合量が上記範囲より少ないとプリフォームの機械的強度が低下するため好ましくない。
【0034】
また、前記プリフォーム中において無機繊維は通常8〜60重量%、好ましくは20〜50重量%含まれる。無機繊維の含まれる量が8重量%未満であるとプリフォームの耐スポーリング性が低下し易いため好ましくなく、60重量%を越えるとプリフォームが高価になるため好ましくない。また、前記プリフォーム中、セラミック粒子は通常40〜90重量%、好ましくは50〜80重量%含まれる。セラミック粒子の含まれる量が40重量%未満であるとプリフォームが高価になるため好ましくなく、90重量%を越えるとプリフォームの機械的強度や、耐熱衝撃性が低下し易く、MMCの製造の際の予熱及びアルミニウム等の金属の溶湯の含浸の際にクラックや割れが生じ易いため好ましくない。また、前記プリフォーム中、無機バインダは通常2〜33重量%、好ましくは10〜25重量%含まれる。無機バインダの含まれる量が2重量%未満であると無機バインダの効果が小さく、33重量%を越えると結合に寄与しない無機バインダが多くなるため好ましくない。
【0035】
上記本発明に係る金属基複合材用プリフォームは、例えば、アルミニウム等の金属の溶湯を流し込み含浸し冷却してMMCを製造する原料として使用することができる。具体的には、スクイズキャスト、又はダイキャスト等の鋳造機の金型内に配置し、該プリフォームにアルミニウム合金等のマトリックス金属の溶湯を流し込み含浸させる方法等によりMMCを製造することができる。ダイキャスト法による鋳造条件としては、特に制限されないが、プリフォームの予熱温度を室温〜600℃、溶湯温度を600〜800℃、金型温度を150〜300℃、射出速度を0.1〜1.0m/秒、鋳造圧力を250〜1000kgf/cm2 とすることが好ましい。
【0036】
本発明に係る金属基複合材用プリフォームは、上記特定の細孔径分布を有する微細径空隙及び特定径の気孔を有し、体積分率が特定範囲であることにより、MMC製造の際、金属溶湯はまず気孔に優先的に浸透し次いで微細径空隙に拡散するため含浸の抵抗が低くなっているものと考えられる。
【0037】
【実施例】
次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0038】
実施例1
平均繊維径3μm 、平均繊維長100μm のアルミナシリカ繊維20重量部と、平均粒径5μm のアルミナ粉末80重量部と、無機バインダとして軟化点600℃のガラスフリット50重量部と、平均粒径50μm のポリプロピレン粉末100重量部と、メチルセルロース10重量部と、水900重量部とを混練して可塑性混合物を得た。該混合物を押出成形で外径100mm×内径90mm×高さ150mmの円筒形状に成形し、105℃で12時間乾燥して乾燥した成形体を得た。次に該成形体を800℃で1時間焼成し、プリフォームを得た。
プリフォームは、焼成によりポリプロピレン粉末が溶融・分解され、プリフォーム表面に連通する平均径150μm の気孔が形成されると共に、気孔及びプリフォーム表面に連通して0.12〜2μm の細孔径分布を有する微細径空隙が形成されており、プリフォームの体積分率は25%、プリフォーム中の総気孔率は50%であった。また、プリフォームの3点強度を測定した。これらの結果を表1及び図2に示す。
次に、プリフォームをダイカストマシンにセットし、射出速度1.0m/sec 、鋳造圧力500kgf/cm2 、ゲート速度30m/sec 、充填時間0.17sec の条件でアルミ溶湯を流し込んでダイカスト鋳造し、冷却してMMCを得た。MMC製造前のプリフォームの厚み(T)と、MMC製造後のプリフォームの厚み(Ta )とから、下記式によりプリフォームの圧縮変形率(A)を算出した。
A(%)=100(T−Ta )/T
圧縮変形率(A)は、プリフォーム自体の機械的強度及び金属溶湯の含浸の抵抗の程度を示す指標である。結果を表1及び図3に示す。
【0039】
【表1】
Figure 0004072984
【0040】
実施例2、3及び比較例1、2
平均粒径50μm のポリプロピレン粉末100重量部に代えて、表1に示す平均粒径を有するポリプロピレン粉末100重量部を用いる以外は、実施例1と同様にしてプリフォーム及びMMCを得た。3点強度等の測定結果を表1、図2及び図3に示す。
【0041】
3点曲げ強度はプリフォームのハンドリング性が良好であること及びダイキャスト鋳造で不具合が生じないこと等より10kgf/cm2 を越えることが好ましく、一方、圧縮変形率は10%未満であることが好ましい。従って、表1、図2及び図3より、ポリプロピレン粉末の粒径は10μm を越えて600μm 未満であることが好ましいことが分かる。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る金属基複合材用プリフォームは組織構造が緻密で機械的強度が高く、金属溶湯の含浸が容易な構造を有するため、金属溶湯が含浸し易く、MMC製造の際にプリフォームの変形や破損がない。また、本発明に係る金属基複合材用プリフォームは、無機骨格材として無機繊維とセラミック粒子とを組み合わせて用いるため無機繊維のみで形成したプリフォームよりも安価である。さらに、本発明に係る金属基複合材用プリフォームの製造方法は、プリフォームの体積分率を設計変更する場合、無機繊維の繊維長等を変えたり無機繊維とセラミック粒子との配合比率を変えたりすることなく、スラリや可塑性混合物中の耐水性粒状有機物等の配合量を変えて脱水成形又は押出成形することにより、容易、且つ、広範囲に渡って部の体積分率を調整することができ、プリフォームを低コストで製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属基複合材用プリフォームの断面の模式図である。
【図2】プリフォームのポリプロピレン粒子径と3点曲げ強度との関係を示す図である。
【図3】プリフォームのポリプロピレン粒子径と圧縮変形率との関係を示す図である。
【符号の説明】
1 気孔
2 微細径空隙
3 プリフォームの表面に露出した気孔
10 金属基複合材用プリフォーム

Claims (5)

  1. 無機繊維及びセラミック粒子が無機バインダで相互に結合され形成された3次元骨格構造の金属基複合材用プリフォームであって、該プリフォームは内部に0.05〜5μm の細孔径分布を有する微細径空隙及び平均径20〜500μm の気孔を有し、前記微細径空隙の少なくとも一部が前記プリフォームの表面及び前記気孔に連通すると共に、前記気孔の少なくとも一部が前記微細径空隙を介して前記プリフォームの表面に連通し、前記プリフォームは体積分率が10〜50%であることを特徴とする金属基複合材用プリフォーム。
  2. 前記無機繊維が8〜60重量%、前記セラミック粒子が40〜90重量%、前記無機バインダが2〜33重量%含まれることを特徴とする請求項1記載の金属基複合材用プリフォーム。
  3. 前記無機繊維は平均繊維径が1〜20μm 、平均繊維長が10〜500μm であり、且つ、前記セラミック粒子は平均粒径が1〜100μm であることを特徴とする請求項1又は2記載の金属基複合材用プリフォーム。
  4. 前記無機繊維と前記セラミック粒子との合計量100重量部、無機バインダ2〜50重量部、平均粒径20〜500μm の耐水性粒状有機物50〜200重量部、有機バインダ2〜100重量部及び水からなり、且つ、前記無機繊維と前記セラミック粒子とが重量比1:9〜3:2の割合で含まれるスラリを吸引脱水成形し、乾燥し、焼成することを特徴とする金属基複合材用プリフォームの製造方法。
  5. 前記無機繊維と前記セラミック粒子との合計量100重量部、無機バインダ2〜50重量部、平均粒径20〜500μm の耐水性粒状有機物50〜200重量部、有機バインダ2〜100重量部及び水からなり、且つ、前記無機繊維と前記セラミック粒子とが重量比1:9〜3:2の割合で含まれる可塑性混合物を成形し、乾燥し、焼成することを特徴とする金属基複合材用プリフォームの製造方法。
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