JP2002105610A - 金属基複合材用プリフォーム及び金属基複合材料 - Google Patents

金属基複合材用プリフォーム及び金属基複合材料

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JP2002105610A
JP2002105610A JP2000296387A JP2000296387A JP2002105610A JP 2002105610 A JP2002105610 A JP 2002105610A JP 2000296387 A JP2000296387 A JP 2000296387A JP 2000296387 A JP2000296387 A JP 2000296387A JP 2002105610 A JP2002105610 A JP 2002105610A
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based composite
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Koichi Kimura
康一 木村
Yoshihiko Goto
嘉彦 後藤
Mitsuyuki Wadasako
三志 和田迫
Koji Iwata
耕治 岩田
Shinya Tomosue
信也 友末
Tsutomu Kobayashi
強 小林
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Nichias Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機粒子を使用することなく、高Vf 値の金
属基複合材料用プリフォームを得ること、また、熱膨張
率の小さな金属基複合材料を得ること。 【解決手段】 本発明に係る金属基複合材用プリフォー
ムは、セラミックス繊維が無機バインダで相互に結合さ
れ形成された3次元骨格構造であって、前記セラミック
ス繊維は、ウェットボリューム値(Vwet 値)が2〜2
5cc/10gのものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属基複合材用プ
リフォーム及び金属基複合材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属基複合材料用プリフォームはセラミ
ック繊維やセラミック粒子等の無機材料が無機バインダ
等で結合され形成された3次元骨格構造の無機成形体で
あり、機械的強度や耐磨耗性等に優れる金属基複合材料
(MMCともいう)の原料等として使用される。MMC
はプリフォームに金属溶湯を流し込み含浸させ冷却して
製造されるため、原料であるプリフォームには、金属溶
湯の流し込み初期圧力に耐えうる機械的強度を有するこ
と、及び、金属溶湯の含浸不足が生じたり含浸が困難な
ことにより発生する過剰圧力で破損等が生じないこと、
更に、最終的に得られる金属基複合材料の補強効果が得
られるようにプリフォーム中に占める骨格構造の体積分
率(Vf 値)が適度の範囲にあることが要求されてい
る。例えば、原料の一つであるセラミック粒子を配合せ
ずに、上記金属基複合材料用プリフォームを得ることも
できるが、この場合、Vf 値は小さくなり、これを用い
て得られる金属基複合材料は十分な補強効果が得られな
い。
【0003】金属基複合材料に要求される性能の一つ
に、金属材料の欠点である高い熱膨張率を金属基複合材
料用プリフォームから低減するという課題がある。この
課題を解決するには、(1) 熱膨張率の小さい材料を使用
して金属基複合材料用プリフォームを作製すること、
(2) Vf 値の高い金属基複合材料用プリフォームとする
こと、などが挙げられる。上記(2) の場合、セラミック
繊維以外にセラミック粒子を必須の配合成分とすれば、
セラミック繊維間にセラミック粒子が充填され、セラミ
ック繊維間を結合することができ、Vf 値のより高い金
属基複合材料用プリフォームを得ることができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、セラミ
ック粒子を用いた場合、金属基複合材料用プリフォーム
のVf 値は高めることができるものの、金属基複合材料
として使用する際、使用状況下にある該金属基複合材料
から、該セラミック粒子の脱落が観察されることがあ
る。このセラミック粒子の径はせいぜい数μm 程度では
あるものの、金属基複合材料の使用雰囲気が高度な清浄
度が要求されるところでは、そのセラミック粒子の脱落
は大きな問題となる。
【0005】従って、本発明の目的は、無機粒子を使用
することなく、高Vf 値の金属基複合材料用プリフォー
ムを得ることにある。また、本発明の他の目的は、熱膨
張率の小さな金属基複合材料を得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる実情において、本
発明者は鋭意検討を行った結果、セラミック粒子の代わ
りに、特定繊維長分布を有するセラミック繊維を使用す
れば、該セラミック繊維間が隙間なく密に埋まり、より
f 値の高い金属基複合材料用プリフォームを得ること
ができること、特定繊維長分布を有するセラミック繊維
は、従来のセラミック繊維に比して、繊維長が短い領域
に密に分布するもので、このセラミック繊維の特徴は、
ウェットボリューム値(Vwet 値)でより明確に決定で
きることなどを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】すなわち、本発明は、セラミックス繊維が
無機バインダで相互に結合され形成された3次元骨格構
造の金属基複合材用プリフォームであって、前記セラミ
ックス繊維は、ウェットボリューム値(Vwet 値)が2
〜25cc/10gのものであることを特徴とする金属基複合
材用プリフォームを提供するものである。かかる構成を
採ることにより、無機粒子を使用することなく、セラミ
ック繊維間が隙間なく密に埋まり、Vf 値のより高い金
属基複合材料用プリフォームを得ることができる。
【0008】また、本発明は、セラミックス繊維が無機
バインダで相互に結合され形成された3次元骨格構造の
金属基複合材用プリフォームであって、前記セラミック
ス繊維は、繊維長10〜100μm の範囲のものが、全
セラミックス繊維中、85%以上含まれるものであるこ
とを特徴とする金属基複合材用プリフォームを提供する
ものである。かかる構成を採ることにより、前記発明と
同様の効果を奏する。
【0009】また、本発明は、前記金属基複合材用プリ
フォームにアルミニウム溶湯を流し込み含浸させて得ら
れる金属基複合材料を提供するものである。かかる構成
を採ることにより、得られる金属基複合材料は、使用状
況下において、脱落物が無く、クリーン度の高いものが
得られる。また、セラミックス繊維として、アルミナ繊
維を使用すれば、熱膨張率が20×10-6/K以下の低
熱膨張率のものが得られ、且つ金属材料単独では得られ
ない、200℃以上の熱間時の剛性を確保することがで
きる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の金属基複合材料用プリフ
ォームは、セラミックス繊維が無機バインダで相互に結
合され形成された3次元骨格構造であって、前記セラミ
ックス繊維は、ウェットボリューム値(Vwet 値)が2
〜25cc/10g、特に、2〜15cc/10gのものである。
【0011】Vwet 値は、次の方法で算出される。 (1) 乾燥した繊維材料10gを小数点1桁以上の精度を
有する秤で計量する。 (2) 計量した繊維材料を500ccのメスシリンダーに入
れる。 (3) 次いで、(2) のメスシリンダーに温度20〜25℃
の蒸留水を400cc程度入れ、攪拌棒を用いて繊維材料
を切断しないように慎重に攪拌し、分散させる。この分
散は超音波洗浄機を使用して行ってもよい。 (4) 次いで、(3) のメスシリンダーの水量をメスシリン
ダーの目盛りで500ccまで、蒸留水を加える。 (5) (4) のメスシリンダーの口を手などにより塞ぎ、水
が漏れないように注意しながら上下逆さまにして攪拌す
る。これを計10回繰り返す。 (6) 攪拌停止後、室温下で静置し、3時間経過後の繊維
沈降体積を目視で計測する。 (7) 上記操作を3サンプルについて行い、その平均値を
測定値とする。
【0012】本発明の金属基複合材料用プリフォームに
使用されるセラミックス繊維に、上記のウェットボリュ
ーム値(Vwet 値)の概念を導入したのは、従来より使
用されていたセラミックス繊維を特に短い繊維長が大き
な割合で存在するように粉砕すれば、これが後述する特
定繊維長分布を有し、繊維間隙間を埋めてプリフォーム
のVf 値を高めていた粒子状物の代替品として適当であ
ることを見出したところ、水中における繊維の沈降体
積、すなわち、Vwet 値で表すことが適切であることが
判明したためである。すなわち、平均繊維長10〜50
00μm 、平均繊維径3μm のセラミックス繊維の粉砕
品を種々用意し、上記方法でVwet 値を求め、Vwet
が2〜200cc/10gの範囲にある6種のものにつき、無
機バインダーを使用して常法によりプリフォームを作製
し、そのVf 値を求め、Vwet 値とVf 値の関係を求め
たところ、図1に示す相関図が得られた。この相関図
は、プリフォームのVf 値10〜25%の範囲でVwet
値とよく相関していることから、このVwet 値は金属基
複合材料用プリフォームに使用される繊維の特性を評価
するひとつの要素とすることができる。Vwet 値は同材
質の繊維を使用した場合、繊維長が長いほど大きな値と
なり、逆に、短い程小さな値となる。
【0013】また、同様にVwet 値が2cc/10g、9cc/1
0g、15cc/10g、35cc/10gであるセラミックス繊維の
粉砕品の繊維長分布を顕微鏡観察によって測定したとこ
ろ、図2〜図5に示す繊維長分布が得られた。図より明
らかなように、Vwet 値が大きくなる程、繊維長の長い
繊維の割合が増加し、繊維長分布がブロードな分布とな
る。Vwet 値が2cc/10g未満では、繊維長10μm 未満
の繊維が全繊維中、5%以上含まれることとなり、金属
基複合材料とした場合、繊維による補強効果が低下し、
また、粒子的な性質、すなわち脱落の問題が発現する点
で好ましくない。一方、Vwet 値が35cc/10gのよう
に、25cc/10gを越えるものは、Vf 値が目標値の15
%未満となり必要とする補強効果が得られない。
【0014】すなわち、本発明の金属基複合材料用プリ
フォームにおいて使用されるセラミックス繊維は、その
繊維長は、5〜500μm の範囲のものであり、特に、
繊維長10〜100μm の範囲のものが、全セラミック
ス繊維中、85%以上含まれるものである。また、その
繊維長が20μm の近傍に分布のピークを有しているも
のが好ましい。このセラミックス繊維は、従来、通常使
用されるセラミックス繊維が繊維長10〜5000μm
に広く分布するものと比べて、繊維長が10〜100μ
m のような短い領域で密に分布するものである。このよ
うな繊維長分布を有するセラミックス繊維を使用する金
属基複合材料用プリフォームは、短いセラミック繊維に
よって長いセラミック繊維の間が隙間なく密に埋められ
ており、粒子を使用しなくともVf 値がより高いものを
得ることができる。また、セラミックス繊維の平均繊維
径は、特に制限されず、1〜20μm 程度である。
【0015】前記セラミックス繊維としては、特に制限
されず、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、アルミ
ナ質が30重量%以上、好ましくは40重量%以上のシ
リカアルミナ繊維及びシリカ繊維が挙げられ、このう
ち、アルミナ繊維、ムライト繊維及びアルミナ質が30
重量%以上のシリカアルミナ繊維が耐蝕性の点で好まし
く、特に、アルミナ繊維は耐蝕性に優れ、且つ熱膨張率
が7.8×10-6/K(400℃)と小さい点で好適で
ある。これらのセラミックス繊維は、1種単独又は2種
以上を組み合わせて使用できる。
【0016】無機バインダは、セラミック繊維同士を結
合して3次元骨格構造のプリフォームを形成するに必要
な機械的強度を得るものである。無機バインダとして
は、例えば、ガラスフリット等の粉末状結合材、コロイ
ダルシリカ、アルミナゾル、チタニアゾル、マグネシア
ゾル等の無機結合材等が挙げられ、これらのうち1種又
は2種以上を組み合わせて用いることができる。無機バ
インダの組み合わせは、セラミック繊維の組成、融点、
反応性、比表面積、粒径等の化学的特性や物理的特性を
考慮して決定すればよい。
【0017】本発明の金属基複合材用プリフォームは、
体積分率(Vf 値)が15〜50%であることが好まし
い。Vf 値が15%未満では、金属溶湯の流し込み初期
圧力に耐えうる機械的強度が低下し易く、金属溶湯後の
金属基複合材料の熱膨張率が低いものを得ることはでき
ない。
【0018】次に、本発明の金属基複合材用プリフォー
ムの製造方法の一例について説明する。先ず、特定のセ
ラミック繊維、無機バインダ及び水が特定比率で配合さ
れるスラリを原料として、吸引脱水成形し、乾燥して金
属基複合材用プリフォームを製造する。具体的には、特
定のセラミック繊維80〜95重量%、無機バインダ3
〜15重量%、凝集剤又は有機バインダー0.5〜3重
量%及び水からなるスラリを吸引脱水成形し、乾燥し、
焼成するものである。上記配合比率は水を除く原料中に
占める重量%を言う。また、スラリーは、上記の特定の
セラミック繊維以外のセラミック繊維や無機繊維を、本
発明の効果を妨げない範囲で使用してもよい。
【0019】原料の一つであるセラミックス繊維は、前
述のものと同様のものであり、その繊維長は、5〜50
0μm の範囲のものであり、特に、繊維長10〜100
μmの範囲のものが、全セラミックス繊維中、85%以
上含まれるものである。また、その繊維長が20μm の
近傍に分布のピークを有しているものが好ましい。この
セラミックス繊維は、従来、通常使用されるセラミック
ス繊維が繊維長10〜5000μm に広く分布するもの
と比べて、繊維長が10〜100μm のような短い領域
で密に分布するものである。また、セラミックス繊維の
平均繊維径は、特に制限されず、1〜20μm 程度であ
る。
【0020】前記セラミックス繊維としては、特に制限
されず、例えば、アルミナ繊維、ムライト繊維、アルミ
ナ質が30重量%以上、好ましくは40重量%以上のシ
リカアルミナ繊維及びシリカ繊維が挙げられ、このう
ち、アルミナ繊維、ムライト繊維及びアルミナ質が30
重量%以上のシリカアルミナ繊維が耐蝕性の点で好まし
く、特に、アルミナ繊維は耐蝕性に優れ、且つ熱膨張率
が7.8×10-6/K(400℃)と小さい点で好適で
ある。これらのセラミックス繊維は、1種単独又は2種
以上を組み合わせて使用できる。前記セラミックス繊維
は、ウェットボリューム値(Vwet 値)が2〜25cc/1
0gのものである。
【0021】前記特定のVwet 値を有するセラミックス
繊維は、通常使用される繊維長10〜5000μm のセ
ラミックス繊維自体を粉砕して得ることができる。粉砕
方法としては、特に制限されず、例えば、プレスによる
粉砕方法が、低コストで、繊維長が10〜100μm の
ような短い領域で密に分布したものが容易に得られる点
で好ましい。また、プレスによる粉砕は、繊維長10〜
5000μm のセラミックス繊維と水を混合したスラリ
ー状態で行ってもよく、脱水成形と同時に得らえた成形
体にプレスに掛けることで繊維長を制御してもよい。粉
砕程度を変化させれば、所望のVwet 値のものを得るこ
とができる。当該特定のセラミックス繊維は、繊維長が
10〜100μm のような短い領域で密に分布している
ため、顕微鏡観察によって従来のセラミック繊維と判別
することができる。
【0022】他の原料の一つである無機バインダは、熱
処理により軟化又は溶融し、セラミック繊維同士を結合
して3次元骨格構造のプリフォームを形成するに必要な
機械的強度を得るものである。無機バインダとしては、
前述のものと同様であり、例えば、ガラスフリット等の
粉末状結合材、コロイダルシリカ、アルミナゾル、チタ
ニアゾル、マグネシアゾル等の無機結合材等が挙げら
れ、これらのうち1種又は2種以上を組み合わせて用い
ることができる。
【0023】凝集剤は、セラミック繊維等を含む焼成前
の成形体中に含まれ、成形体を形成する際に混合物に可
塑性を付与すると共に成形体に乾燥強度を付与し、ま
た、該成形体の焼成の際に焼失して水と共に除去されプ
リフォーム中に微細径空隙を生じさせる有機バインダー
としての機能を有するものである。凝集剤としては、例
えば、ポリアクリルアミド、メチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、
ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ポリアクリル
酸エステル、ポリアクリル酸ソーダ等が挙げられる。こ
れらの凝集剤は、1種又は2種以上を組み合わせて用い
ることができる。また、任意の添加成分として、硫酸ア
ルミニウム等の定着剤を用いてもよい。
【0024】任意の成分である前記セラミックス繊維以
外の無機繊維としては、例えば、石綿、ロックウール、
炭素繊維等の天然又は合成の無機繊維等が挙げられる。
無機繊維は、平均繊維径が1〜20μm 、好ましくは1
〜10μm であり、平均繊維長が10〜500μm 、好
ましくは50〜200μm のものが使用できる。当該無
機繊維は、上記のうち、1種又は2種以上組み合わせて
用いることができる。
【0025】本発明の製造方法においては、先ず、上述
のセラミック繊維及び無機バインダを水に分散させてス
ラリを形成する。スラリ濃度としては、無機繊維の均一
分散性の点から1〜10%であることが好ましい。スラ
リーの水を除いた固形分中、セラミック繊維は80〜9
5重量%、無機バインダは3〜15重量%、及び凝集剤
は0.5〜3重量%とすることが、耐摩耗性、曲げ強
度、引っ張り強度、耐腐食性等のMMC物性と、機械的
強度とのバランスがよいため好ましい。また、当該方法
で得られた金属基複合材用プリフォームは、無機粒子を
使用しなくとも、セラミック繊維の繊維長が10〜10
0μm のような短い領域で密に分布するため、セラミッ
ク繊維間が隙間なく緻密な構造で、且つVf 値がより高
いものとなる。
【0026】次に、スラリを吸引脱水成形して成形体を
得る。成形体の形状としては、例えば、板状、円筒状、
リング状、円盤状等が挙げられる。次に、成形体を乾燥
する。本工程においては、成形体から水分が除去されて
成形体のセラミック繊維間に微細径空隙が生じ、該空隙
は次の焼成工程で固定される。乾燥条件としては、特に
限定されず、有機バインダがあれば、有機バインダが硬
化し水分が除去できればよく、常温下又は加熱下のいず
れでもよい。
【0027】次に、乾燥された成形体を焼成する。焼成
条件としては、用いる無機バインダにより異なるため特
に限定さないが、例えば低温焼成可能なガラスフリット
を用いる場合には、通常500〜1000℃で0.5〜
3時間、好ましくは600〜800℃で1〜2時間行え
ばよい。本工程においては、セラミック繊維等が無機バ
インダで融着される。さらに、凝集剤や有機バインダが
あれば、凝集剤や有機バインダは焼失し、前記成形工程
及び乾燥工程で生じた微細径空隙と共に、前記の略球状
の気孔を連通させることもできる。焼成後冷却すると本
発明の金属基複合材料用プリフォームが得られる。
【0028】また、本発明の金属基複合材料用プリフォ
ームは、上記脱水成形法以外に押出成形法等によっても
形成することができる。押出成形法を採用する場合に
は、まず可塑性混合物を調製する。可塑性混合物の調製
には、本発明の製造法のスラリにおいて、混合物が可塑
性を発現する程度に水の配合量を少なくすればよい。ま
た、可塑性混合物から成形する方法としては、押出成形
法が汎用性が高いため好ましいが、この他にプレス成形
法、ロールプレス成形法等が挙げられる。成形体の形状
としては、例えば、板状、円筒状、リング状、円盤状等
が挙げられる。
【0029】上記製造方法等により得られた本発明に係
る金属基複合材用プリフォームは、セラミック繊維が無
機バインダで相互に結合され形成された3次元骨格構造
の金属基複合材用プリフォームであり、特に、セラミッ
ク繊維間の間隙が密に埋められているため、Vf 値が高
いものとなっている。また、内部に微細径空隙を有し、
微細径空隙の少なくとも一部が前記プリフォームの表面
や気孔に連通すると共に、気孔の少なくとも一部が微細
径空隙を介して前記プリフォームの表面に連通してい
る。
【0030】このように微細径空隙を有することで、プ
リフォームに溶湯がスムーズに含浸し、またプリフォー
ム内部の空気の抜けがよいため、MMC中に合金成分が
緻密に充填され、さらに微細径空隙の径が適当に分散
し、且つ骨格構造部分であるV f 値が高いためMMCと
して強度の高い構造のものが得られると共に、低熱膨張
率のものが得られる。
【0031】本発明に係る金属基複合材用プリフォーム
は、体積分率が15〜50%である。体積分率が15%
未満であると、プリフォームの機械的強度が低下し易
く、金属溶湯後の金属基複合材料の熱膨張率が低いもの
を得ることはできない。
【0032】上記本発明に係る金属基複合材用プリフォ
ームは、例えば、アルミニウム等の金属の溶湯を流し込
み含浸し冷却してMMCを製造する原料として使用する
ことができる。具体的には、スクイズキャスト、又はダ
イキャスト等の鋳造機の金型内に配置し、該プリフォー
ムにアルミニウム合金等のマトリックス金属の溶湯を流
し込み含浸させる方法等によりMMCを製造することが
できる。ダイキャスト法による鋳造条件としては、特に
制限されないが、プリフォームの予熱温度を室温〜60
0℃、溶湯温度を600〜800℃、金型温度を150
〜300℃、射出速度を0.1〜1.0m/秒、鋳造圧力
を250〜1000kgf/cm2 とすることが好ましい。
【0033】当該MMCは機械的強度に優れ、使用状況
下において、当該MMCからの脱落物は無く、クリーン
度の高いものである。特に、セラミック繊維として、ア
ルミナ繊維を使用した場合、耐蝕性に優れる他、低熱膨
張率のものが得られる。
【0034】
【実施例】次に、実施例を挙げて、本発明を更に具体的
に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限
するものではない。
【0035】実施例1 (粉砕セラミックスの調製)アルミナ質組成比が90重
量%以上の繊維径1〜5μm 、繊維長10〜5000μ
m のアルミナ繊維を水中で解し、これを脱水することに
よりプレス前予備成形体を得た。この予備成形体をロー
ルプレス機にかけ、アルミナ繊維を粉砕した。粉砕後は
脱水し、乾燥して粉末状アルミナ繊維Aを得た。これを
前述のVwet値測定方法の手順でVwet 値を算出したと
ころ、Vwet は9cc/10gであった。また、乾燥アルミナ
繊維の繊維長分布を測定したところ、図3に示すものが
得られた。すなわち、この粉砕アルミナ繊維は、その全
てが繊維長5〜250μm の範囲にあるもので、繊維長
5〜100μm の範囲のものが、全セラミックス繊維
中、90%以上含まれ、繊維長の分布のピークが20μ
m にあるものであった。また、粉砕アルミナ繊維の径は
1〜5μm であった。
【0036】(金属基複合材用プリフォームの作製)上
記の調製方法で得られた粉砕アルミナ繊維A100重量
部と、コロイダルシリカ5重量部と、硫酸アルミニウム
0.5重量部と、ポリアクリルアミド1.5重量部と、
水1000重量部)とを配合してスラリーを形成した。
このスラリーを吸引脱水成形して板状の成形体を得た。
次いで、これを110℃の温度で乾燥し、更に、120
0℃、1時間の条件で焼成を行い、金属基複合材用プリ
フォームを得た。得られた金属基複合材用プリフォーム
のVf 値を測定したところ、V f =23%であった。
【0037】実施例2 実施例1で得られた金属基複合材用プリフォームにアル
ミニウムの溶湯を注入し、更に冷却することで金属基複
合材料を得た。この金属基複合材料の熱膨張率を測定し
たところ、18×10-6/Kであった。また、この金属
基複合材料について、pH6.5の弱酸性域に調整した
塩化ナトリウム溶液(濃度4%)を噴霧して24時間保
持し、その後、純水中において、超音波洗浄機を用いて
5分間の超音波洗浄処理を行い、当該処理部材と未処理
部材の表面を比較観察して金属基複合材料の使用部材の
脱落の程度を評価したところ、脱落物は無かった。
【0038】比較例1 (粉砕セラミックスの調製)ロールプレス機での粉砕を
緩めに調整した以外は、実施例1と同様の方法で粉末状
アルミナ繊維Bを得た。これを前述のVwet 値測定方法
の手順でVwet 値を算出したところ、Vwet は35cc/1
0gであった。また、乾燥アルミナ繊維の繊維長分布を測
定したところ、図5に示すものが得られた。
【0039】(金属基複合材用プリフォームの作製)粉
砕アルミナ繊維Aの代わりに、粉末状アルミナ繊維Bを
使用した以外は、実施例1と同様の方法で行った。得ら
れた金属基複合材用プリフォームのVf 値を測定したと
ころ、Vf =13%であった。
【0040】比較例2 比較例1で得られた金属基複合材用プリフォームにアル
ミニウムの溶湯を注入し、更に冷却することで金属基複
合材料を得た。この金属基複合材料の熱膨張率を測定し
たところ、21.5×10-6/Kであった。また、実施
例に示す方法と同様の試験を行い、この金属基複合材料
の使用部材の脱落の程度を評価したところ、脱落物は無
かった。
【0041】参考例1 粉砕アルミナ繊維の粉砕度及び粉砕アルミナ繊維の配合
量を種々変化させた以外は、実施例1と同様の方法で行
い、Vf 値が5、10、18、25及び30%の5種の
金属基複合材用プリフォームを作製した。次いで、これ
らの金属基複合材用プリフォームにアルミニウムの溶湯
を注入し、更に冷却することで5種の金属基複合材料を
得た。これらの金属基複合材料の熱膨張率を測定し、図
6に示す結果を得た。なお、図6中、Vf 値0%はアル
ミニウム自体の熱膨張率を示す。
【0042】図6から明らかなように、Vf 値が高くな
る程、熱膨張率は低くなる。Vf 値が15%以上の金属
基複合材用プリフォームを使用したMMCの熱膨張率
は、MMCとしての有効性を発揮する20×10-6/K
以下である。また、実施例1ではセラミック繊維とし
て、粉砕アルニナ繊維を使用したが、この粉砕アルニナ
繊維以外の、粉砕シリカアルミナ繊維や粉砕シリカ繊維
についても同様のことが言える。
【0043】
【発明の効果】本発明に係る金属基複合材用プリフォー
ムは、無機粒子を使用しなくとも組織構造が緻密で、プ
リフォーム中に占める骨格構造の体積分率Vf 値が高
い。また、本発明に係る金属基複合材用プリフォーム
は、無機骨格材として粉砕セラミック繊維を使用すれば
よいため、無機繊維やセラミック粒子を使用して形成し
たプリフォームよりも安価である。さらに、本発明に係
る金属基複合材料は、使用状況下、使用部材の脱落がな
いためクリーン度が高く、且つ、熱膨張率が低く実用上
価値のあるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】アルニナ繊維のVWET 値とプリフォームのVf
値との関係を示す図である。
【図2】粉砕アルミナ繊維(VWET =2cc/10g)の繊維
長分布を示す図である。
【図3】粉砕アルミナ繊維(VWET =9cc/10g)の繊維
長分布を示す図である。
【図4】粉砕アルミナ繊維(VWET =15cc/10g)の繊
維長分布を示す図である。
【図5】粉砕アルミナ繊維(VWET =35cc/10g)の繊
維長分布を示す図である。
【図6】MMCの熱膨張率とプリフォームのVf 値との
関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22C 49/06 C22C 49/06 //(C22C 47/06 (C22C 47/06 101:04 101:04 101:06) 101:06) (72)発明者 和田迫 三志 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 岩田 耕治 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 友末 信也 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 (72)発明者 小林 強 静岡県浜松市新都田1−8−1 ニチアス 株式会社浜松研究所内 Fターム(参考) 4K020 AA06 AA07 AC01 BA05 BB02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミックス繊維が無機バインダで相互
    に結合され形成された3次元骨格構造の金属基複合材用
    プリフォームであって、前記セラミックス繊維は、ウェ
    ットボリューム値(Vwet 値)が2〜25cc/10gのもの
    であることを特徴とする金属基複合材用プリフォーム。
  2. 【請求項2】 セラミックス繊維が無機バインダで相互
    に結合され形成された3次元骨格構造の金属基複合材用
    プリフォームであって、前記セラミックス繊維は、繊維
    長10〜100μm の範囲のものが、全セラミックス繊
    維中、85%以上含まれるものであることを特徴とする
    金属基複合材用プリフォーム。
  3. 【請求項3】 前記セラミックス繊維は、アルミナ繊
    維、ムライト繊維及びアルミナ質が30重量%以上のシ
    リカアルミナ繊維から選ばれる1種又は2種以上である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の金属基複合材用
    プリフォーム。
  4. 【請求項4】 プリフォーム中に占める骨格構造の体積
    分率が15〜50%であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1項記載の金属基複合材用プリフォーム。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項記載の金属
    基複合材用プリフォームにアルミニウム溶湯を流し込み
    含浸させて得られることを特徴とする金属基複合材料。
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