JP3547077B2 - 金属基複合材用プリフォームの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、無機粒子や無機繊維等の無機材料からなる金属基複合材用プリフォームに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭化珪素やアルミナ等のセラミック繊維又はセラミック粒子を補強材としてマトリックス金属を強化した繊維強化金属材が知られている。この繊維強化金属材は、例えば、炭化珪素やアルミナ等のセラミック繊維又はセラミック粒子及び結合材からなる多孔質構造を有する金属基複合材用プリフォーム(以下、単に「プリフォーム」とも言う。)を作製し、その空隙部に金属マトリックスの溶湯を流し込み、加圧により含浸させることにより得られる。
【0003】
従来、自動車用エンジンのシリンダブロックとして、鋳鉄製のシリンダライナをアルミニウム合金等の金属マトリックスで鋳ぐるんだ構造のものが知られている。このシリンダブロックは、鋳鉄製のシリンダライナを含むことから重く、また鋳鉄とアルミニウム合金という熱膨張率の違う金属を使用することに伴う、密着性と放熱性の低下が問題となる。このため、シリンダライナをアルミニウム合金にしたシリンダブロックが数多く提案されている(特公平4−11612号公報、特公平5−33295号公報、特公平8−9093号公報参照)。
【0004】
すなわち、このシリンダブロックは、まず、アルミナ繊維や炭素繊維等の無機繊維の多孔質構造体で所定の形状にした金属基複合材用プリフォームを作製し、このプリフォームを上記のようにシリンダブロックの鋳型に配置し、その鋳型にアルミニウム合金の溶湯を流し込み、プリフォーム中の空隙にアルミニウム合金の溶湯を含浸させてシリンダブロックを得るものである。冷却後、鋳型から取り出されたシリンダブロックは、シリンダライナ部分がプリフォームを骨組みとした繊維強化複合材料で構成され、全体がアルミニウム合金で一体的に鋳ぐまれたものとなっている。
【0005】
また、多孔質構造体であるプリフォームを製造する際、無機繊維以外にセラミック等の粒子も添加したものとして、特開昭63−149342号公報、特開平2−194132号公報、特開平3−44432号公報、特開平9−14045号公報等が知られている。これらのうち、特開平9−14045号公報には、セラミック粒子とアルミナ短繊維とからなるものが、シリンダライナのプリフォームを製造する際の変形、割れ、撓み、金属マトリックスの浸透不良を起こすことがなく、繊維強化金属材料として適していることが記載されている。
【0006】
また、特開平3−44432号公報には、平均繊維径1μm以下の短繊維と、平均粒径10〜50μmの無機粒子と、これらのバインダーとを混合したものを吸引脱水成形して得られた多孔質成形体は収縮や割れを生じることがなく、良質な繊維強化金属材料が得られることが記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来例のように、プリフォームを得る際、その構成材料として耐熱性の繊維材料、例えば、無機繊維を用いることは、プリフォーム内に適度の空隙が形成され、その空隙に金属マトリックスを浸透させ易く、更に無機繊維同士がランダムに絡み合いプリフォームの強度を確保出来て、都合がよい。しかしながら、繊維材料は二次加工品であるため一般的に高価であり、例えば、同じ無機性の繊維状のものと粒子状のものとを比較すると、繊維状のものは粒子状のものの10倍以上の価格である。従って、プリフォームの構成材料として繊維材料のみに頼ることは、その最終製品である、例えば、シリンダブロックの価格を押し上げることになる。
【0008】
従って、繊維材料の一部をセラミック、金属、金属間化合物、炭素等の粒子に置き換えた従来例は、プリフォームとして繊維材料の果たす高い性能と価格面とを両立させる点で、極めて都合がよいものである。しかしながら、従来例を検証すると、かかる方法はプリフォームの作製工程中、吸引脱水成形時の脱水性が悪く生産性を低下させる。すなわち、プリフォームは、繊維材料とセラミック等の粒子とを含んだスラリーを所定の形状の型に入れ、フィルタを介して吸引脱水成形され、その後、乾燥と焼成を行うことで作製されるが、この吸引脱水成形時にセラミック等の粒子の割合が高くなるとフィルタの目詰りを起こし、脱水性が著しく低下し、プリフォームの生産性を低下させるという問題がある。
【0009】
更に、従来例の検証では、耐熱性の繊維材料間の空隙にセラミック等の無機粒子が密に充填され易く、そのようなプリフォームでは金属マトリックスの溶湯を含浸させ難くなる。この場合、無理に含浸させるために溶湯の圧力を高めると、プリフォームに過大な圧力がかかり、プリフォームに割れや変形が生じる結果となる。更に、このプリフォームから得られる金属基複合材をシリンダブロックのシリンダライナに適用した場合は、シリンダライナの破損、変形が起きるという問題がある。
【0010】
従って、本発明の目的は、耐熱性の繊維材料の一部をセラミック等の無機粒子にて置き換えたものでありながら、プリフォームを容易に作製でき、プリフォームへの金属マトリックスの溶湯を容易に行うことができ、更に、コストパフォーマンスに優れた多孔質構造を有する金属基複合材用プリフォームの製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる実情において、本発明者らは鋭意検討を行った結果、耐熱性の繊維材料を、平均繊維径が2〜5μmで平均繊維長が10〜200μmである小径無機繊維と、平均繊維径が4〜20μmで平均繊維長が10〜200μmである大径無機繊維とに分け、これらに平均粒径が1〜50μmの無機粒子をバインダーと共に水に分散させ、シリンダライナ等の目的形状の型に入れフィルタを介して吸引脱水成形すると、小径無機繊維は無機粒子を主に捕捉し、プリフォーム中に無機粒子を分散させて、大径無機繊維の空隙に無機粒子が密に充填するのを防いで吸引脱水成形性を高め、更にこの小径無機繊維が無機粒子を捕捉する作用は最終的に得られる金属基複合材の耐摩耗性を向上させることに寄与すること、一方、大径無機繊維はプリフォーム中に適度のサイズの空隙を作り出し、吸引脱水成形性を高めると共に、金属マトリックスの溶湯がプリフォーム中に含浸し易い状況を作り出すこと等を見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、請求項1の発明は、平均粒径が1〜50μmの無機粒子と、平均繊維径(d 1 )が2〜5μmで平均繊維長が10〜200μmの小径無機繊維と、平均繊維径(d 2 )が4〜20μmであり且つ、前記(d 1 )と前記(d 2 )が、2d 1 <d 2 の関係であり平均繊維長が10〜200μmの大径無機繊維を、水に分散し更に結合材を入れてスラリーを得る際、プリフォーム形成後の前記小径無機繊維及び大径無機繊維が占める体積(V 2 )中、前記小径無機繊維が占める体積(V s )の比率(100×V s /V 2 )が20〜80%となるような割合で配合し、該スラリーを所定形状の型に入れ吸引脱水成形し、乾燥し、焼成することを特徴とする金属基複合材用プリフォームの製造方法を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明で用いられる無機粒子としては、平均粒径が1〜50μmの範囲であり、金属マトリックスの溶湯を多孔質構造体に含浸させる際の温度に耐え得るものあれば特に制限されず、例えば、アルミニウム、シリコン、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、ボロン、鉄等の金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物が挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。具体的には、アルミナ粉末、ムライト粉末、コージェライト粉末、シリカ粉末等である。但し、多孔質構造体であるプリフォームがシリンダライナのように耐摩耗性を要求される場合には、それに耐えうる無機粒子を選択することが好ましい。
【0014】
本発明で用いられる小径無機繊維としては、平均繊維径が2〜5μmの範囲であり、平均繊維長が10〜200μmの範囲であって、金属マトリックスの溶湯を多孔質構造体に含浸させる際の温度に耐え得るものであれば特に制限されず、例えば、アルミナ繊維、アルミナシリか繊維、ガラス繊維、炭素繊維、セラミック繊維、ムライト繊維、石綿、ロックウールが挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
【0015】
本発明で用いられる大径無機繊維としては、平均繊維径が4〜20μmの範囲であり、平均繊維長が10〜200μmの範囲であり、金属マトリックスの溶湯を多孔質構造体に含浸させる際の温度に耐え得るものであれば良く、上記小径無機繊維と同じものが使用される。
なお、小径無機繊維及び大径無機繊維は、無機繊維であるが、耐熱性があれば良く、将来的には有機繊維であることを妨げない。
【0016】
前記無機粒子並びに小径及び大径無機繊維を結合する結合材としては、熱処理によりこれらを結合し、プリフォームとして必要な強度を得ることができるものであれば特に制限されないが、例えば、フリット等の粉末状結合材、コロイダルシリカ、アルミナゾル等が挙げられる。これらは、1種あるいは2種以上を組み合わせて使用される。
【0017】
本発明において、前記小径無機繊維の平均繊維径(d1 )と前記大径無機繊維の平均繊維径(d2 )は、2d1 <d2 の関係、好ましくは3d1 <d2 の関係があることが好ましい。当該d1 とd2 がこの範囲外であると、無機繊維を小径無機繊維と大径無機繊維に分けたことにより得られる上述の作用、効果が小さくなり好ましくない。
【0018】
本発明の金属基複合材用プリフォームにおける空隙率は、50〜90%(多孔質構造体の体積分率は10〜50%となる)の範囲が好ましい。50%未満ではプリフォームの多孔質構造体に金属マトリックスを含浸させることが困難になり、90%を越えるとプリフォームの多孔質構造体自体の強度が不足する。
【0019】
本発明の金属基複合材用プリフォームにおいて、前記無機粒子の体積V1 と前記小径無機繊維及び大径無機繊維の体積V2 が、V1 /V2 =0.5〜2であることが好ましい。V1 /V2 が0.5未満であると、最終的に得られる金属基複合材である強化金属材の耐摩耗性が低下する傾向にある。無機粒子は主に小径無機繊維により捕捉され、それにより耐摩耗性を向上させるため、V1 が小さくなることは耐摩耗性も低下することになる。逆に、V1 /V2 が2を越えると、無機粒子が多過ぎてプリフォームを形成する際の吸引脱水成形性が低下し、生産性が低下する。
【0020】
本発明の金属基複合材用プリフォームにおいて、前記小径繊維及び大径無機繊維の合計体積量V2 中、前記小径無機繊維が占める体積Vs の比率100 ×Vs /V2 は、20〜80%が好ましく、特に50〜70%が好ましい。この比率が20%未満であると、大径無機繊維による繊維間空隙の存在が顕著になり、小径無機繊維が少なくなって、プリフォームの形成時に無機粒子を充分捕捉できなくなり、フィルタの目を詰め吸引脱水成形性を低下させ、かつこの大径繊維間空隙に無機粒子が密に充填されることになって金属マトリックスを含浸させることを困難にする。逆に、この比率が80%を越えると、小径無機繊維が多くなり、小径繊維間空隙(小さな空隙)が多くなって吸引脱水成形性を低下させ、かつ大径繊維間空隙による金属マトリックスの溶湯のし易さの効果が得られない。
【0021】
このような傾向から、プリフォームの吸引脱水成形性と金属マトリックス溶湯の含浸性は相関性を有する。いずれにしても、比率100×Vs /V2 が20〜80%の範囲から外れると、プリフォームの形成時の吸引脱水成形性が低下し、かつプリフォームの多孔質構造体に金属マトリックスの溶湯がしずらくなり、繊維強化金属材の鋳造時におけるプリフォームの圧縮変形率(A)を増大させる結果となる。ここで、圧縮変形率Aは、鋳造前の多孔質構造体の厚み(T)と、鋳造後における多孔質構造体の厚み(Ta )の差(T−Ta =ΔT)との百分率(%)で定義される(A=100 ×ΔT/T)。
【0022】
また、本発明の金属基複合材用プリフォームの好ましい例としては、アルミナ粒子を金属基複合材用プリフォーム中、体積率で7〜11%含有し、且つカーボン繊維及びカーボン粒子の双方又は一方を含有するものである。この場合、カーボン繊維は、小径繊維であっても、大径繊維であっても、また双方に使用するものであってもよい。これにより、シリンダライナとした場合、必要とされる滑り性及び耐スカッフィング性能を共に満足する。
【0023】
本発明において、繊維強化金属材は上記プリフォームの多孔質構造体を骨構造とし、その多孔質構造体に金属マトリックスを含浸させることで作製される。該金属マトリックスとしては、アルミニウム、チタン、マグネシウム、ニッケル、銅及びこれら各金属の合金が挙げられ、このうち、アルミニウム合金が最も多く使用される。すなわち、繊維強化金属材は、目的とする特定形状に形成されたプリフォームにアルミニウム合金等の金属マトリックスを含浸させて得られる。
【0024】
本発明の金属基複合材用プリフォーム及び繊維強化金属材は、以下のようにして作製される。先ず、上記に記載の条件を満たすサイズの無機粒子、小径無機繊維及び大径無機繊維を用意し、小径無機繊維と大径無機繊維とはそれらの繊維径の間に2d1 <d2 の条件を満たすものとする。且つ、これら無機粒子、小径無機繊維及び大径無機繊維の配合は、50〜90%の空隙率を有し、無機粒子の体積V1 と小径無機繊維及び大径無機繊維の合計体積V2 はV1 /V2 =0.5〜2であり、上記V2 中、小径無機繊維が占める体積Vs の比率100×Vs /V2 が20〜80%である多孔質構造体のプリフォームが得られる配合とする。
【0025】
次に、これら配合物を水に分散し更に結合材を入れてスラリーを得る。このスラリーを目的とする所定形状の型に入れ吸引脱水成形法により脱水し、更に乾燥して所定形状の成形体を得、この成形体を焼成して多孔質構造体である金属基複合材用プリフォームを得る。また、繊維強化金属材をシリンダブロックのシリンダライナに適用する場合、このプリフォームをシリンダブロックの鋳型内に配置して金属マトリックスであるアルミニウム合金の溶湯を流し込み、プリフォーム中にアルミニウム合金の溶湯を含浸させる。含浸が終了したら、冷却し鋳型から外せばシリンダブロックが得られる。このシリンダブロックは、シリンダライナ部分が多孔質構造体であるプリフォームにより強化された繊維強化金属材であり、しかも一体化されている。
【0026】
【実施例】
次に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、これは単に例示であって、本発明を制限するものではない。
【0027】
実施例1
下記出発原料を下記の配合に従い水に分散し、スラリーを得た。
(出発原料)
・無機粒子;平均粒径20μm のアルミナ粒子
・小径無機繊維;平均繊維径3μm 、平均繊維長100 μm のアルミナシリカ繊維
・大径無機繊維;平均繊維径10μm 、平均繊維長150 μm のガラス繊維
・結合材;ガラスフリット及びアルミナゾル
(配合)
表1に示す配合割合(表中の数値は配合比率を示す)で行い、プリフォームの体積分率は30%、無機粒子体積(V1 )/小径無機繊維及び大径無機繊維の合計体積(V2 )=1.0、固形分比5%とし、100(%)×小径無機繊維体積(Vs )/小径及び大径無機繊維体積(V2 )は10%、20%、50%、70%、80%、90%の6種類の配合とした。
【0028】
【表1】
【0029】
次に、各配合のスラリーを円盤形状の型に流し込み脱水して、105℃で乾燥して各配合の成形体(直径100mm 、厚さ10mm) を得、この成形体を600℃の温度で1時間焼成し、各配合の多孔質構造体のプリフォームを得た。この多孔質構造体について、下記の濾水性試験を行った。その結果を図1に示す。次に、この多孔質構造体を円盤形状の鋳型内に配置して800℃のアルミニウム合金(JIS 規格ADC12)の溶湯を流し込み、1000kg/cm2の圧力で加圧して多孔質構造体中にアルミニウム合金の溶湯を含浸させ多孔質構造体により強化された各配合の繊維強化金属材を得た。この繊維強化金属材について、鋳造前の多孔質構造体の厚み(T)と、鋳造後における多孔質構造体の厚み(Ta )とを測定し、前記定義の圧縮変形率A=100(T−Ta )/Tを算定した。その結果を図2に示す。
【0030】
(濾水性試験)
水分量90%のスラリー1Lを減圧度−600mmHg下、細孔径300μm のフィルターを通して吸引脱水する際、水分量10%にまで脱水するまでの濾水時間(秒)で表す。従って、濾水時間が長いものは濾水性が悪いことを意味する。
【0031】
図1から、100 ×(Vs /V2)が50%、70%の場合、最も濾水時間が短く、10%、90%になると急激に濾水時間が長くなる。このことから、濾水性に関し、100 ×(Vs /V2)値は20〜80%が最適の範囲であることが判る。また、図2から、100 ×(Vs /V2)が50%、70%のものが最も圧縮変形率が少なく、10%、20%、90%のものは圧縮変形率が大きい。このことから、圧縮変形率に関しても、100 ×(Vs /V2)値は20〜80%が最適の範囲であることが判る。
【0032】
実施例2
小径無機繊維体積(Vs ) ×100(%)/小径無機繊維及び大径無機繊維体積(V2)値は50%とし、無機粒子体積(V1)/小径無機繊維及び大径無機繊維体積(V2)の比率は、0.3、0.5、1.0、1.5及び2.0の5種類の配合とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。得られた繊維強化金属材について、以下に示す摩耗性試験を行った。その結果を図3に示す。また、配合表(表中の数値は配合比率を示す)は表2に示す。
【0033】
【表2】
【0034】
(摩耗性試験)
繊維強化金属材(MMC)の表面にピン状の相手材を荷重50kgf で圧接させ、接触部に潤滑油を1ml/ 分で供給しながら、ストローク50mm、速度200サイクル/分の条件で2時間往復動させ、その時のMMCの摩耗量を測定する。
【0035】
図3から、V1/V2 の比率が1.5の場合、最も摩耗量が少なく、次いで、2.0、1.0のものが少なく、0.3の場合、急激に摩耗量が増える。これから、V1/V2 値は0.5〜2が最適の範囲であることが判る。
【0036】
実施例3
下記出発原料を下記の配合に従い水に分散し、スラリーを得た。
【0037】
このスラリーを円盤形状の型に入れ吸引脱水成形法により脱水してプリフォームを得、次いで繊維強化金属材とする方法は実施例1と同様の方法で行った。
また、実施例2と同様の摩耗試験を行った。なお、摩耗試験ではピン状の相手材がクロムメッキリング材の場合と窒化リング材の場合のそれぞれについて摩耗量を測定した。その結果、クロムメッキリング材及び窒化リング材の双方共に、MMCの摩耗量は約1μm と少なかった。
【0038】
実施例4
下記出発原料及び配合に従って水に分散させスラリーを作製する以外は、実施例3と同様の方法で繊維強化金属材を得た。また、同様に摩耗試験を行った。その結果、クロムメッキリング材及び窒化リング材の双方共に、MMCの摩耗量は約1μm と少なかった。
【0039】
アルミナ粒子(平均粒径20μm) 45重量部
アルミナシリカ繊維(平均繊維径3μm、平均繊維長100μm)10重量部
ガラス繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長150μm) 10重量部
カーボン繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長60μm) 10重量部
ガラスフリット(結合材) 20重量部
アルミナゾル(結合材) 5重量部
【0040】
実施例5
下記出発原料及び配合に従って水に分散させスラリーを作製する以外は、実施例3と同様の方法でシリンダブロックを得た。また、同様に摩耗試験を行った。その結果、クロムメッキリング材及び窒化リング材の双方共に、MMCの摩耗量は約1μm と少なかった。
【0041】
アルミナ粒子(平均粒径20μm) 35重量部
アルミナシリカ繊維(平均繊維径3μm、平均繊維長100μm)10重量部
ガラス繊維(平均繊維径10μm、平均繊維長150μm) 20重量部
黒鉛粉(平均粒径30μm) 10重量部
ガラスフリット(結合材) 20重量部
アルミナゾル(結合材) 5重量部
【0042】
【発明の効果】
本発明の多孔質構造体は、耐熱性の繊維材料の一部を無機粒子で置き換えたものでありながら、プリフォームを容易に作製でき、また、プリフォームへの金属マトリックスの溶湯を容易に行うことができ、コストパフォーマンスに優れたものとすることができる。また、この多孔質構造体を使用して作製された繊維強化金属材は、当該多孔質構造体を使用するため、鋳造中の不都合がなく鋳造し易さからコストパフォーマンスに優れ、しかも無機粒子の関与により耐摩耗性にも優れたものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である多孔質構造体における100(%)×V s /V2 の比率と濾水時間との関係を示す特性図である。
【図2】本発明の実施形態である多孔質構造体における100(%)×V s /V2 の比率と鋳造時の多孔質構造体の圧縮変形率との関係を示す特性図である。
【図3】本発明の実施形態である多孔質構造体におけるV1/V2 の比率と各比率の多孔質構造体から得られた強化金属材の磨耗量との関係を示す特性図である。
Claims (1)
- 平均粒径が1〜50μmの無機粒子と、平均繊維径(d1)が2〜5μmで平均繊維長が10〜200μmの小径無機繊維と、平均繊維径(d2)が4〜20μmであり且つ、前記(d1)と前記(d2)が、2d1<d2の関係であり平均繊維長が10〜200μmの大径無機繊維を、水に分散し更に結合材を入れてスラリーを得る際、プリフォーム形成後の前記小径無機繊維及び大径無機繊維が占める体積(V2 )中、前記小径無機繊維が占める体積(Vs )の比率(100×Vs /V2 )が20〜80%となるような割合で配合し、該スラリーを所定形状の型に入れ吸引脱水成形し、乾燥し、焼成することを特徴とする金属基複合材用プリフォームの製造方法。
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