JP4291705B2 - 金属複合材の成形方法 - Google Patents

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Description

本発明は、軽金属を、所定の強化材から形成される多孔性予備成形体と複合化してなる金属複合材の成形方法に関するものである。
例えば、自動車にあって、燃費や操安性等を向上させるために、軽量化、高耐久性、低熱膨張性等に優れるアルミニウム合金等の軽金属により製造される部品が増加する傾向にある。この自動車を構成する部品には、エンジン部品等のように使用環境が厳しいものもあり、このような部品には、軽金属をセラミックス等の強化材と複合化して成る金属複合材が用いられ、軽量化と高耐久性等をさらに向上させている。さらに、軽金属の弱点である特定性能に優れた強化材と複合化することにより、軽金属の優れた特性と、強化材の優れた特性とを合わせ持つ金属複合材を成形することも可能である。例えば、耐摩耗性や摺動性の低いアルミニウム合金と、耐摩耗性や摺動性に優れた強化材とを複合化することにより、軽量化や低熱膨張性等と、耐摩耗性や摺動性との両者に優れた金属複合材を成形することができ得る。
このように、アルミニウム合金等の軽金属に、耐摩耗性や摺動性に優れた強化材を複合化してなる金属複合材にあっては、高い耐摩耗性や摺動性が要求される所要面を、当該強化材が複合化された複合面として形成してなるものである。尚、この金属複合材は、強化材により部分的に複合化されることが一般的である。このような金属複合材の成形方法としては、予め所定の強化材から形成した多孔性予備成形体を、当該金属複合材を成形する金型に形成されたキャビティの、所要面(複合面)を形成する成形金型に接触させるように配した後、軽金属の溶湯を該キャビティに加圧供給することにより成形する鋳造成形方法が良く知られている。この成形方法では、加圧供給された溶湯が、多孔性予備成形体の内部に含浸し、当該予備成形体と軽金属とが結合することにより、この多孔性予備成形体の有する特性を発揮し得る複合面を形成することができる。
上述のような金属複合材として、例えば、エンジンのシリンダブロックを成形する方法にあっては、上記した多孔性予備成形体として繊維成形体を用い、予め予熱した該繊維成形体をシリンダボア成形用中子の周囲に配置して、溶湯を充填するようにして鋳造する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。かかる方法は、予め繊維成形体を予熱することにより、溶湯が該繊維成形体内に充分に充填されるようにしたものである。
特開昭62−6766号公報
ところで、一般的な鋳造成形では、溶湯が供給されるキャビティを形成する金型の表面に予め離型材を塗布することにより、金型と溶湯との焼き付きを防ぎ、成形後に該金型と成形品とを容易に離間でき、かつ平滑な鋳肌に成形されるようにしている。上述した、多孔性予備成形体を結合してなる所要面(複合面)が形成される金属複合材の成形にあっても、同様に、離型材を塗布して成形している。ところが、多孔性予備成形体が接触される成形金型に離型材を塗布しても、金属複合材の複合面は、凹凸の存在する荒れた鋳肌に成形されてしまうという問題が生じている。このため、複合面を所望の平滑性とするため、後工程で当該複合面を比較的多量に切削加工することが必要となり、この切削加工に要する時間が長くなり、かつ、刃物の交換時期も早くなる。特に、多孔性予備成形体がセラミックス短繊維やセラミックス粒子からなるものとした場合には、刃物にかかる負担も大きいことから、切削加工の長時間化や刃物交換の早期化が顕著であり、製造時間や製造費用が増大する一因ともなっている。また、このように、複合面が荒れた鋳肌に成形されている場合には、該複合面の内側に在る多孔性予備成形体と軽金属との複合化部位に、空隙(欠陥)が生じ易く、当該金属複合材は、上述した複合化効果を充分に発揮できていないという問題もある。
ここで、上述した離型材として、一般的に良く知られている、チタニアやジルコニア等の粒子からなる離型材は、ほぼ均一な厚みで塗布することが容易にできるという利点を有している。ところが、この離型材を、複合面を形成する成形金型に塗布しても、上述したように、該複合面が荒れた鋳肌に成形されてしまう。
本発明は、かかる上記問題点を解決し、所要面(複合面)の平滑性を向上させ得る金属複合材の成形方法を提案するものである。
本発明は第一に、所要面に所定の強化材から形成される多孔性予備成形体が結合された金属複合材の成形方法において、前記多孔性予備成形体の、前記所要面を形成するための成形金型と接触する被成形面に、鱗片形状の組成物からなる離型材を塗布し、当該多孔性予備成形体を予熱することにより該被成形面を被覆する鱗状被覆層を形成した後、この多孔性予備成形体の被成形面に成形金型を接触させ、軽金属の溶湯を該多孔性予備成形体の背方に、加圧供給するようにしたことを特徴とする金属複合材の成形方法である。
また、第二の発明としては、所定の強化材から形成される多孔性予備成形体が結合される複合面を形成するための第1の成形金型と、それ以外の面を形成するための第2の成形金型間にキャビティを形成し、該キャビティに軽金属の溶湯を充填することにより、多孔性予備成形体が結合されて形成された複合面を有する金属複合材の成形方法において、前記多孔性予備成形体の、前記複合面を形成するための第1の成形金型と接触する被成形面に、鱗片形状の組成物からなる離型材を塗布し、当該多孔性予備成形体を予熱することにより該被成形面を被覆する鱗状被覆層を形成した後、この多孔性予備成形体の被成形面に第一の成形金型を接触させ、軽金属の溶湯をキャビティに加圧供給するようにしたことを特徴とする金属複合材の成形方法である。
ここで、上述した従来の、所要面(又は複合面)を形成する成形金型に離型材を塗布する成形方法では、該所要面(又は複合面)が荒れた鋳肌に成形される。この従来の鋳造成形方法について、発明者らが鋭意研鑽した結果、凹凸の在る荒れた鋳肌が形成される原因を解明するに至った。この原因としては、主に、多孔性予備成形体の形状と、成形金型の予熱温度による作用が大きい。この多孔性予備成形体にあっては、各孔毎に大きさが夫々に異なると共に、その形成位置もバラバラであり、この様々な孔形態に従って表面形状が凹凸となっている。このため、加圧供給される溶湯は、比較的大きな孔を通り易く、優先的に充填されていくことから、被成形面に在る該大きな孔を通じて来た溶湯が、比較的短時間で成形金型と接触することとなる。すなわち、被成形面の場所毎で、加圧供給される溶湯が成形金型に接触するまでの時間に差異が生じる。一方、多孔性予備成形体は、溶湯が含浸し易いように、該溶湯温度に近い温度で予熱されているが、成形金型は、軽金属との焼き付きを防ぐため、溶湯温度よりもかなり低い温度で予熱されている。このため、多孔性予備成形体内を通過した溶湯は、成形金型に接触すると共に凝固が開始されることとなっている。したがって、多孔性予備成形体の被成形面の、比較的大きな孔が存在する場所では、溶湯が早く到達して凝固が早く生じることとなり、溶湯の凝固場所が散在していく。そして、このように生じた凝固は、その周囲へ進行していくと共に、順次供給されてくる溶湯の充填を妨げることともなる。このため、被成形面で、成形金型まで溶湯が達することができない所も生じ、凹凸形状の鋳肌が形成されることとなっている。また、多孔性予備成形体の内部でも、凝固した溶湯によって充填が妨げられることとなっていくことから、溶湯が充分に行き渡らない部位が生成されて、空隙が形成されることとなり得る。尚、上述のように、被成形面と接触する成形金型に離型材を塗布しても、離型材の温度が低いことから、同様に凹凸の鋳肌が形成されることとなる。さらに、成形金型に離型材を塗布した場合には、成形金型の予熱温度が比較的低温であることから、離型材内に水分がわずかに残ることもあり得る。この水分が高温の溶湯によって熱されて水蒸気となることにより、空隙や表面の凹凸が形成されることともなっている。
このような荒れた鋳肌と内部の空隙とを生成しないように、本発明にあっては、多孔性予備成形体の被成形面に、鱗片形状の組成物からなる離型材を塗布し、これを予熱することにより鱗状被覆層を形成した後に、溶湯を加圧供給するようにした方法である。ここで、鱗片形状の組成物からなる離型材を加熱して形成された鱗状被覆層は、被成形面に存在する孔を塞ぐように、鱗片形状の組成物が付着しており、該組成物は、水分が蒸発した鱗状被覆層内で乱雑な状態で存在している。さらに、この鱗状被覆層は、被成形面に在る孔の大きさに応じて鱗片形状の組成物が乱在する状態が異なっている。すなわち、比較的大きな孔が在るところでは、この孔を塞ぐように組成物が一層乱れて存在する状態であり、かつ、水分が蒸発して成る空隙も比較的多く存在していることから、厚肉状の層形態となっている。一方、小さな孔が在るところは、前記大きな孔のところに比して、組成物が比較的揃って存在し、かつ空隙も少なく、薄肉状の層形態となっている。そして、このような鱗状被覆層は、被成形面に鱗片形状の組成物が、いわゆる担持された状態で形成されているものである。
そして、この鱗状被覆層は、多孔性予備成形体と共に、溶湯温度とほぼ近い温度に予熱されて、成形金型と接触することとなっている。このため、加圧供給された溶湯が、この多孔性予備成形体を通じて鱗状被覆層に接触しても、該鱗状被覆層は高温であることから、当該溶湯は直ぐに凝固を生じない。ここで、上述したように、加圧供給された溶湯は、先ず、比較的大きな孔を通じて充填していくことから、該大きな孔の在るところでは溶湯が早く鱗状被覆層と接触するが、該溶湯は凝固せず、後から次々に加圧供給される溶湯によって、当該予備成形体内に押し拡げられていくと共に、鱗状被覆層を成形金型に押し付けていく。このように、鱗状被覆層は溶湯から押圧作用を受けると、乱在する鱗片形状の組成物が徐々に引き揃えられ、かつ、層内の空隙も減少していき、層自体が圧縮変形することとなり得る。そして、溶湯が徐々に小さな孔を通じて鱗状被覆層に接触すると、同様の押圧作用により圧縮変形することとなる。この押圧作用は、被成形面の孔の大きさに応じて生じることから、鱗状被覆層は、全体的に、鱗片形状の組成物が重なり合って積層された形態に変形し、ほぼ均一な層厚みとなる。したがって、このように変形した鱗状被覆層に圧接している溶湯が凝固することによって、ほぼ平滑な表面形状を形成することができ得る。
また、上述したように、鱗状被覆層に接触することによって溶湯の凝固が進行しないことから、順次加圧供給される溶湯は多孔性予備成形体内に充分に拡がって充填されることとなり得る。このように充填されていく溶湯により、該予備成形体内に存在した空気が鱗状被覆層に向かって押し出される。この空気は、鱗状被覆層の、重なり合った鱗片形状の組成物間を通じて外に抜けていくことができるから、内部に空隙(欠陥)が形成されることも防がれる。尚、上述した、当初の鱗状被覆層に内在する空気も、同様に、溶湯の押圧作用によって外に抜けていくこととなっている。
このように、本発明の成形方法によれば、金属複合材の所要面(又は、複合面)をほぼ平滑な鋳肌に成形できると共に、内部に空隙(欠陥)が形成されることも防止できる。而して、軽金属と多孔性予備成形体との、それぞれの優れた特性を充分に発揮し得る金属複合材を成形することができる。また、この後に切削工程を行う場合にあっても、上述した従来方法に比して、切削量を少なくでき、製造工程を効率化することができ得る。
一方、本発明にあっては、上述したように、被成形面に形成された鱗状被覆層が、加圧供給される溶湯の押圧作用を、圧縮変形することにより柔軟に吸収できることから、該鱗状被覆層によって溶湯と成形金型との接触を確実に遮ることができ得る。このため、溶湯が凝固した後でも、金属複合材を成形金型から比較的容易に離型させることができるという優れた利点もある。例えば、上述したシリンダブロックのような、中空円筒形状のキャビティを形成する内側の第1成形金型と、外側の第2成形金型とによって中空円筒形状の金属複合材を成形する場合にあっては、通常、軽金属の凝固収縮により、該金属複合材を第1の成形金型から離型することが難しい。ここで、上述した従来の、粒子形状の組成物からなる離型材を第1の成形金型に塗布する方法では、該成形金型表面に固着する該離型材がほとんど圧縮変形できないものであることから、加圧供給される溶湯の押圧力や凝固収縮力によって、当該金属複合材は第1の成形金型に強く押し付けられることとなり、充分な離型性を発揮することができない。ところが、本発明の方法によれば、前記中空円筒形状の金属複合材を成形する場合にあっても、上述のように、溶湯の押圧作用と収縮力とを鱗状被覆層が圧縮変形により緩和できるため、第1の成形金型に押し付ける力を軽減でき、金属複合材を比較的容易に離型することができ得る。
このような金属複合材の成形方法にあって、離型材を成す鱗片形状の組成物が、鱗片形状の黒鉛であるとした方法が提案される。又は、鱗片形状の組成物が、鱗片形状のボロンナイトライドであるとした方法が提案される。ここで、黒鉛やボロンナイトライドは、摺動性に優れるものであるから、溶湯の押圧作用を受けた場合に、比較的容易に動くことができ、一層整一に引き揃って積層することとなり得るため、当該鱗状被覆層は圧縮変形し易く、かつ平滑性も高くなる。而して、かかる方法にあっては、上述した本発明の作用効果を一層適切に発揮することができ得る。
また、上述した金属複合材の成形方法にあって、多孔性予備成形体が、骨格を成す短繊維と所定の特性を有する粒子とを焼結してなるものであるとした方法が提案される。この多孔性予備成形体にあっては、骨格を成す短繊維が、加圧供給されて内部に含浸する溶湯から受ける力により変形することを防ぐことができ、軽金属と適切に結合した複合化部位を形成できる。そして、この短繊維による強度の向上と、粒子の有する特性とを充分に発揮できる金属複合材を成形することができる。尚、このような予備成形体は、短繊維が複雑に絡み合ってなるものであるから、粗密な多孔性の形態を有しているものである。このような多孔性予備成形体として、例えば、アルミニウム合金等の軽金属の弱点である耐摩耗性や摺動性に優れた粒子を焼結してなるものとした場合には、かかる多孔性予備成形体から形成される金属複合材は、耐摩耗性や摺動性に優れたものとなる。而して、上述した本発明の成形方法によれば、かかる予備成形体から、上述したように、軽金属の特性と予備成形体の特性との両者を充分に発揮できる金属複合材を適正に成形することができる。
本発明は、上述したように、金属複合材の所要面に結合される多孔性予備成形体の被成形面に、鱗片形状の組成物からなる離型材を塗布し、当該多孔性予備成形体を予熱することにより鱗状被覆層を形成した後、所要面を形成する成形金型に該被成形面を接触させ、軽金属の溶湯を該多孔性予備成形体の背方に、加圧供給するようにした成形方法である。または、多孔性予備成形体の被成形面に、鱗片形状の組成物からなる離型材を塗布し、当該多孔性予備成形体を予熱することにより鱗状被覆層を形成した後、多孔性予備成形体が結合される複合面を形成するための第1の成形金型に該被成形面を接触させ、軽金属の溶湯をキャビティに加圧供給するようにした方法である。このような成形方法により、被成形面を被覆した鱗状被覆層が、加圧供給される溶湯の押圧作用によって圧縮変形し、全体的にほぼ均一な厚みとなることから、該鱗状被覆層に圧接する溶湯が凝固して、ほぼ平滑な鋳肌の所要面又は複合面を形成することができる。また、加圧供給される溶湯が多孔性予備成形体内に充分に行きわたることができ、かつ、該多孔性予備成形体内に存在した空気を外部に排出できるため、空隙が形成されることを防止できる。このように複合化された金属複合材は、軽金属と多孔性予備成形体とがそれぞれ有する優れた特性を充分に発揮することができ得るものとなる。また、このような成形後に行われる切削工程も、上述した従来方法に比して、切削量を少なくできるため、製造工程を効率化することができることなる。
一方、上述した離型材を成す鱗片形状の組成物が、鱗片形状の黒鉛か、又は、鱗片形状のボロンナイトライドのいずれかであるとした方法にあっては、鱗状被覆層が、優れた摺動性を有する黒鉛やボロンナイトライドにより形成されることから、溶湯の押圧作用によって圧縮変形し易く、かつ平滑性も高くなり、上述した本発明の作用効果を一層適切に発揮することができ得る。
また、上述した多孔性予備成形体が、骨格を成す短繊維と所定の特性を有する粒子とを焼結してなるものであるとした方法にあっては、骨格を成す短繊維が、内部に含浸する溶湯から受ける力により変形することを防ぎ、多孔性予備成形体と軽金属とを適切に結合させることができ、短繊維と粒子とのそれぞれが有する特性を充分に発揮し得る金属複合材を成形できる。
本発明の一実施形態例を添付図面を用いて詳述する。
本実施形態例にあっては、アルミニウム合金2に、平板形状の多孔性予備成形体1を所要面(複合面4)に結合してなる直方体状の金属複合材3を形成する実施例1と、円筒形状の多孔性予備成形体41を、内周面(複合面44)に結合してなる円筒形状の金属複合材43を形成する実施例2について例示している。また、本発明の作用効果を明確に表すために、実施例1に対して、同様の鱗片形状の組成物からなる離型材を、多孔性予備成形体1に塗布せず、成形金型22に塗布するようにした比較例も例示している。
(実施例1)
図1は、本発明にかかる多孔性予備成形体(いわゆる、プリフォーム)1を成形する工程を表している。図1(イ)のように、所定の容器61で、アルミナ短繊維10とアルミナ粒子11とを、水中で攪拌して混合させる。さらに、無機バインダーとしてアルミナゾル12を添加して、アルミナ短繊維10、アルミナ粒子11、及びアルミナゾル12がほぼ均質に混合した混合水溶液13をつくる。そして、この混合水溶液13を容器61から吸引成形器63に移す。この吸引成形器63には真空ポンプ(図示省略)が接続されており、図1(ロ)のように、フィルター64を介して真空ポンプによって混合水溶液13の水分を吸引する。これにより、アルミナ短繊維10にアルミナ粒子11がほぼ均一に分散して擬結された前成形体14を得る。そして、この前成形体14を、吸引成形器63から取り出し、約120℃に保持された乾燥炉で乾燥させ、充分に水分を除去する(図示省略)。ここで、前成形体14は、アルミナ短繊維10の体積含有率が約12%、アルミナ粒子11の体積含有率が約10%となっており、残りの領域は空隙である。尚、このような体積含有率となるように、上記の混合水溶液13を調合している。
次に、この前成形体14を、図1(ハ)のように、加熱炉65内のテーブル66に設置し、炉内を約1000℃まで加熱して、1時間保持した。その後、室温まで炉冷し(図示省略)、平板形状の多孔性予備成形体1を得た。このように成形された多孔性予備成形体1は、図2(イ)のように、複雑に絡み合って骨格を成すアルミナ短繊維10とアルミナ粒子11とが結合してなるものであり、粗の部位(比較的大きな孔)と密の部位(比較的小さな孔)とが混在する、いわゆる多孔性の形態となっている。
一方、水溶性の鱗片状黒鉛8(図2(ロ),図4参照)を水で約二倍に希釈して、本発明にかかる離型材(図示せず)を生成する。尚、本実施形態例にあっては、この鱗片状黒鉛にヒタゾール242B(日立製)を用いている。この離型材を、上述した多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2とが結合されてなる所要面(以下、複合面)4を形成する、該多孔性予備成形体1の被成形面5に塗布する。その後、約120℃に保持された乾燥炉で乾燥させ、充分に水分を除去する(図示省略)。この乾燥後の多孔性予備成形体1には、図2(ロ)のように、鱗片状黒鉛8が乱雑に存在してなる鱗状被覆層6が被成形面上に形成されている。さらに、この鱗状被覆層6は、水分が蒸発した後に形成された空隙を内在している(図4(イ)参照)。ここで、鱗状被覆層6の、被成形面5の粗な部位では、鱗片状黒鉛8の乱雑性が高く、かつ空隙も多く存在しており、層厚みが厚肉状となっている。一方、密な部位では、鱗片状黒鉛8が比較的引き揃った状態であり、かつ空隙も少なく、層厚みが薄肉状となっている(図4(イ)参照)。このような鱗状被覆層6は、多孔性予備成形体1の被成形面5に、鱗片状黒鉛8が担持された状態で形成されてなるものと言える。
ここで、本実施形態例にあっては、多孔性予備成形体1が約40mm×約40mm、厚さ約10mmの平板形状としている。そして、前記乾燥後に重量を測定した結果、約1gの増加となっており、これが鱗片状黒鉛8の付着量である。その後、被成形面5に鱗状被覆層6が形成された多孔性予備成形体1を、所定の予熱炉(図示省略)により、高温雰囲気中に曝して、約600℃に予熱する。この時、鱗状被覆層6も同様に約600℃に予熱される。尚、本実施形態例にあっては、離型材を塗布後、一旦乾燥炉で乾燥して重量の測定を行っているが、これを行わず、直接予熱炉で予熱することによっても、同様の鱗状被覆層6を形成することができる。
予熱炉により予熱された多孔性予備成形体1は直ちに、図3(イ)のように、所望形状の金属複合材3を形成する金型20の所定位置に配置される。ここで、金型20は、内側四面を、上方から下方へ向かって内側に夫々に傾斜する傾斜面とした略中空直方体形状の外枠金型21と、該外枠金型21の下部に嵌合され、複合面4を形成する成形金型22と、該外枠金型21に内嵌し、内側四面を垂直面とした入れ子23とからなる。ここで、入れ子23は、左右に分割された構成となっており、前記外枠金型21から取り出した場合には分割して、その内側に形成される金属複合材3を容易に離型できるようになっている。このような金型20は、多孔性予備成形体1が配置される前に、外枠金型21を約300℃に予熱し、成形金型22と入れ子23とを約200℃に予熱する。尚、入れ子23の内側垂直面には、予め離型材を塗布している。この離型材は、上述した鱗片状黒鉛を希釈したもの、或いは、その他の一般的な粒子状の組成物からなる離型材など、いずれのものであっても良い。
そして、上述のように、予熱された多孔性予備成形体1を、その被成形面5を下側にして、成形金型22上に配置する(図3(イ))。この時、被成形面5は、該被成形面5に塗布された鱗状被覆層6(図2(ロ)参照)を介して成形金型22と接触している。その後、入れ子23と成形金型22とにより形成されたキャビティ25に、図3(ロ)のように、約760℃に熱せられたアルミニウム合金(JIS AC4CH合金)の溶湯2aを所定量流し込む。そして、図示しない油圧プレス機により、図3(ハ)から図3(ニ)のように、略平面形状の押し出し面を有し、かつ、キャビティ25内に嵌入可能な押圧子24を、約50MPaの圧力で、上方から溶湯2aを直接押圧する。このようにして溶湯2aが加圧供給されると、多孔性予備成形体1の内部に徐々に含浸していくこととなる。そして、この状態で冷却した後、金型20から取り出し、多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2とを複合化した複合化部位7と、アルミニウム合金2とが一体的に形成されてなる金属複合材3を得る。
このように成形された金属複合材3にあって、多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2とが複合化されてなる複合面4は、図5(イ)のように、ほぼ平滑な鋳肌に成形されている。これは、上述した溶湯2aを加圧供給していく過程にあって、図4(イ)のように、多孔性予備成形体1に、溶湯2aが被成形面5の背面側から含浸していくと、該溶湯2aは多孔性予備成形体1の粗の部位を速く進行する。そして、図4(ロ)のように、溶湯2aが鱗状被覆層6に接触しても、該鱗状被覆層6は多孔性予備成形体1と同様に予熱されていることから、当該溶湯2aが直ちに凝固することもない。このため、鱗状被覆層6に接触した溶湯2aは、順次加圧供給される溶湯2aにより、その周囲に押し拡げられて当該予備成形体1内に充填されていくと共に、後から加圧供給される溶湯2aの押圧作用により、鱗状被覆層6を成形金型22に押し付ける。この溶湯2aの押圧作用を受けた鱗状被覆層6の部位では、図4(ハ)のように、鱗片状黒鉛8が徐々に重なり合うように引き揃えられていくと共に、該鱗状被覆層6に内在する空気が成形金型22の表面を通じて外部に流出することにより空隙が減少していき、層自体が圧縮変形することとなる。さらに、加圧供給される溶湯2aが徐々に多孔性予備成形体1の密の部位にも進行することにより、被成形面5の全域に亘って、溶湯2aが鱗状被覆層6に接触していく。そして、鱗状被覆層6と溶湯2aが接触するに従って、前記同様に圧縮変形することとなり、該鱗状被覆層6の全域が圧縮変形することとなる。ここで、この圧縮変形は、粗の部位では比較的大きな押圧作用によって、鱗状被覆層6の厚肉な部分を大きく圧縮変形させ、密な場位では比較的小さな押圧作用によって、薄肉な部分を小さく圧縮変形させることとなる。こうして、鱗状被覆層6は、図4(ニ)のように、鱗片状黒鉛8が引き揃ったように積層された、全体的にほぼ均一な層厚みに圧縮変形されることとなる。したがって、この鱗状被覆層6に圧接する溶湯2aが凝固することにより、ほぼ平滑な複合面4が形成されることとなる。
尚、溶湯2aが、多孔性予備成形体1に充填されていく過程にあって、該多孔性予備成形体1の内部に滞留していた空気は、該溶湯2aにより鱗状被覆層6に押し付けられ、該鱗状被覆層6を構成する鱗片状黒鉛(図示省略)間を通じて成形金型22の表面に流れ、外部に流出する。これにより、多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2とからなる複合化部位7に空隙が生じることを防止でき得る。
また、このように溶湯2aが加圧供給された場合にあって、上述のように、鱗状被覆層6は、該溶湯2aの押圧作用を圧縮変形することにより柔軟に吸収することができるから、成形金型22と溶湯2aとを確実に遮ることができる。したがって、成形金型22にアルミニウム合金2が焼き付くことがなく、多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2とが複合化された複合面4は、成形金型22から比較的容易に離型することができる。これからも、複合面4の平滑性が保たれることとなっている。
(比較例)
次に、上述した実施例1に対する比較例として、実施例1と同様の鱗片状黒鉛を希釈した離型材を、成形金型22の、被成形面5が接触する面に塗布し、溶湯2aを加圧供給することにより金属複合材を成形する(図1,図3参照)。すなわち、上述した実施例1と同様に多孔性予備成形体1を成形し、該多孔性予備成形体1の被成形面5には、鱗片状黒鉛を希釈した離型材を塗布せず(図2(イ)の状態)、約600℃に予熱する。一方、成形金型22の、金属複合材の複合面を形成する面に、前記離型材を塗布する(図示省略)。ここで、離型材の塗布量は、上述の実施例1とほぼ同量となるようにする。その後、この成形金型22を約200℃で予熱することにより、該成形金型22を被覆するほぼ平滑な鱗状被覆層が形成される。この成形金型22と、各々予熱された外枠金型21及び入れ子23とによりキャビティ25を形成する。このキャビティ25の成形金型22上に、予熱した多孔性予備成形体1を配置した後、アルミニウム合金2の溶湯2aを流し込み、該溶湯2aを押圧子24により上方から直接押圧する。このように溶湯2aが加圧供給されることにより、該溶湯2aが多孔性予備成形体1に含浸する。そして、冷却後、金型20から取り出し、多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2とが複合化された複合化部位と、アルミニウム合金2とを一体的に形成してなる金属複合材3を得る。
この比較例にあっては、鱗片状黒鉛を希釈した離型材を、多孔性予備成形体1の被成形面5には塗布せず、成形金型22に塗布するようにした以外は、上述した実施例1と同様に成形しており、同じ符号及び説明は省略している。
このように成形された金属複合材にあって、多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2とが複合化されてなる複合面4’は、図5(ロ)のように、凹凸の在る荒れた鋳肌となった。この複合面4’と、上述した実施例1の金属複合材3の複合面4(図5(イ))とを比較すると、比較例の複合面4’の鋳肌が荒れていることがわかる。この比較例では、アルミニウム合金2の溶湯2aが加圧供給されて、多孔性予備成形体1に含浸していく過程で、該多孔性予備成形体1の粗の部位を速く通過した溶湯2aが、成形金型22の表面に在る鱗状被覆層に接触すると、該溶湯2aの凝固が開始される。これは、この鱗状被覆層が溶湯2aに比して低い温度であるためである。この溶湯2aの凝固は、多孔性予備成形体1の粗の部位から密の部位に徐々に進行していくこととなり、該多孔性予備成形体1の粗密形態に従って進行する。そして、溶湯2aが凝固した場所では、順次供給されてくる新たな溶湯2aの充填が妨げられることとなるため、被成形面5の密の部位には溶湯2aが到達できないことともなり得る。このようにして、凹凸形状が形成され、荒れた鋳肌の複合面4’が形成されることとなっている。また、このように、被成形面側では、内部に比して早く凝固が進行すると、多孔性予備成形体1内に空隙を内包することとなり得る。このように成形された複合化部位では、多孔性予備成形体1とアルミニウム合金2との複合化による強度向上や耐摩耗性向上等の効果が充分に発揮されない。
さらにまた、荒れた鋳肌の複合面4’を所望の平滑な面にするためには、比較的多量に切削加工する必要が生じる。ところが、複合面4’を切削しても、内部に在る空隙が表面に現れることとなり、前記した複合化による効果の発生に限界が生じている。一方、上述した実施例1の金属複合材3は、複合面4の鋳肌がはぼ平滑であることから、この比較例の場合に比して、切削量は僅かでよく、この切削工程を短縮化することができる。したがって、本発明にかかる実施例1の成形方法によれば、製造工程に要する時間と費用を短縮しつつ、複合化効果を充分に発揮できる金属複合材3を得ることができる。
尚、上述した比較例では、離型材に、鱗片状黒鉛8を希釈したものを使用したが、一般的な粒子形状の組成物からなる離型材を、成形金型22に塗布した場合でも、同様に、金属複合材の複合面は、凹凸形状の荒れた鋳肌に成形されることとなる。
(実施例2)
次に、実施例2では、内周面に複合面44を形成するようにした、中空円筒形状の金属複合材43を成形する(図6参照)。先ず、上述の実施例1と同様の成形方法により、中空円筒形状の多孔性予備成形体41を成形する(図1参照)。ここで、この多孔性予備成形体41の内周面が、金属複合材43の複合面44を形成する被成形面45である。また、この金属複合材43は、円筒径方向内側に、多孔性予備成形体41とアルミニウム合金2とを複合化した複合化部位47が形成され、該複合化部位47の外側にアルミニウム合金2が一体的に形成されてなるものとしている(図6(ニ))。尚、この実施例2は、内周面に多孔性予備成形体41と複合化された複合面44を有する、中空円筒形状の金属複合材43を成形するようにした以外は、上述の実施例1と同様の成形方法であり、同じ過程では符号や説明を適宜省略している。
実施例2では、アルミナ短繊維10、アルミナ粒子11、及びアルミナゾル12がほぼ均質に混合した混合水溶液13を、中央に円筒型の中子を配した円筒形状の貯留槽に吸引成形器に移し、真空ポンプにより吸引させることにより、中空円筒形状の前成形体を得る(図1参照)。そして、乾燥炉にて乾燥させた場合に、この前成形体は、上述した実施例1と同様に、アルミナ短繊維10の体積含有率が約12%、アルミナ粒子11の体積含有率が約10%となっている。その後、この前成形体を、約1000℃、1時間の加熱を行うことにより焼結させ、中空円筒形状の多孔性予備成形体41を得た(図6参照)。ここで、本実施例2にあっては、多孔性予備成形体41を、外周面がほぼストレート形状であり、内周面が約0.5度傾くテーパー形状としている。そして、高さが約80mm、外径約80mm、最小内径約70mmとなるように成形している。
このような多孔性予備成形体41の被成形面45(内周面)に、上述した実施例1と同様の、鱗片状黒鉛を希釈してなる離型材を塗布し、約120℃に保持された乾燥炉で充分に水分を除去して乾燥させる。この乾燥後には、被成形面45上に、鱗片状黒鉛が重なり合って積層されてなる鱗状被覆層(図示省略)が形成されている(図2(ロ)、図4参照)。ここで、鱗状被覆層は、上述した実施例1と同様に、被成形面45の粗密形態に応じて鱗片状黒鉛の乱在する状態が異なって形成されている。この乾燥後における重量を測定した結果、鱗片状黒鉛の付着量は約2gであった。この後、上述の実施例1と同様に、当該多孔性予備成形体41を予熱炉により約600℃に予熱する。
一方、中空円筒形状の金属複合材43を形成するキャビティ55は、図6のように、内側に上方から下方に向けて内側に傾斜する内周傾斜面を備えてなる外枠金型51と、該外枠金型51の下部に嵌合され、金属複合材43の一方の開口端面を形成する下部金型52と、該外枠金型51に内嵌し、内側に金属複合材43の外周面を形成する垂直面を備えた入れ子53と、該下部金型52の中央に着脱可能に配置され、上方に向かって内側に傾くテーパー角度の付いた外周面を備えた中子56とから構成される。ここで、中子56は、上部外径が約70mm、外周面のテーパー角が約0.5度に形成されてなり、僅かに設けた公差によって、上述した多孔性予備成形体41を外嵌可能としている。また、入れ子53は、上述と同様に、左右に分割された構成である。ここで、多孔性予備成形体41の被成形面45と接触する中子56が、本発明にかかる第1の成形金型であり、入れ子53及び下部金型52が第2の成形金型である。
そして、上記の外枠金型51、下部金型52、入れ子53は、多孔性予備成形体1が配置される前に、約300℃に予熱し、中子56は約200℃に予熱する。尚、下部金型52及び入れ子53の、キャビティ55を形成する面には、予め離型材を塗布する。その後、予熱された多孔性予備成形体41を、直ちに、図6(イ)のように、中子56に外嵌させ、下部金型52の中央に配置する。これにより、多孔性予備成体45が、キャビティ55内に配置されたことになる。尚、ここで、多孔性予備成形体41は、入れ子53の内周面とは接触しておらず、キャビティ55の内側に配されている。そして、このキャビティ55に、図6(ロ)のように、約760℃に熱せられたアルミニウム合金(JIS AC4CH合金)の溶湯2aを所定量流し込み、図6(ハ)から図6(ニ)のように、入れ子52の内側に嵌入可能な押圧子54を約50MPaの圧力により、溶湯2aの上方から直接押圧する。このようにして溶湯2aを加圧供給することにより、多孔性予備成形体41の内部に溶湯2aが徐々に含浸していく。そして、この状態で冷却した後に取り出し、内周側に、多孔性予備成形体41とアルミニウム合金2とが複合化された複合化部位47と、その外側に硬化されたアルミニウム合金2とを一体的に形成してなる中空円筒形状の金属複合材43を得る。
このように成形した中空円筒形状の金属複合材43にあっても、上述した実施例1と同様に、その複合面44はほぼ平滑な鋳肌に形成されている(図5(イ)参照)。これは、実施例1で示したように、多孔性予備成形体41の被成形面45に形成した鱗状被覆層が、加圧供給された溶湯2aの押圧作用によって圧縮変形することにより、ほぼ平滑な複合面44を形成できる作用効果が発揮できているからである(図4参照)。
一方、このような中空円筒形状の成形品を鋳造成形する場合では、キャビティ内に供給したアルミニウム合金の溶湯が、冷却過程で収縮変形することから、一般的に中子を抜き取ることが難しい。ここで、上述の実施例2の場合に、中子56を抜き取るに要した荷重(以下、抜き荷重)を測定した。また、比較対象として、被成形面45に鱗片状黒鉛を希釈した離型材を塗布せず、中子56の外周面に、一般的な粒子形状のチタニアからなる離型材を塗布して、同様に金属複合材を成形し、中子56の抜き荷重を測定した。その結果、比較対象の、粒子形状のチタニアからなる離型材を塗布した場合に比して、本発明にかかる実施例2の場合は、中子56の抜き荷重が約70%低下した。ここで、この比較対象の場合にあっては、中子56の外周面に塗布された離型剤が固着してなる離型層はほとんど圧縮変形できないことから、加圧供給される溶湯の押圧力と溶湯の凝固収縮力とによって、当該金属複合材は中子56に強く押し付けられることとなる。一方、本発明にかかる実施例2の場合には、上述のように、鱗状被覆層が圧縮変形できることから、溶湯の押圧力と収縮力とを緩和することができ、前記比較対象の場合に比して中子56に押し付けられる力が軽減されることとなる。而して、本発明の成形方法によれば、金属複合材を比較的容易に脱型することができる。したがって、脱型を容易に行い得るように、中子の外周面のテーパー角度を大きくして成形し、成形後に切削する方法等を用いる必要もなく、成形工程に要する時間と費用とを低減することも可能である。
本発明は、上述した本実施形態例に限定されるものではなく、上述した本発明の主旨を逸脱しない範囲において利用可能である。例えば、上述の実施形態例では、多孔性予備成形体を、アルミナ短繊維とアルミナ粒子とを焼結してなるものとしているが、その他に、金属繊維、セラミックス繊維、炭素繊維等の短繊維と、セラミックス粒子、金属粒子等の粒子とからなるものや、多孔性の金属等を用いる場合にあっても、本発明の作用効果を適切に発揮し得る。また、アルミニウム合金の他、マグネシウム合金の溶湯を加圧供給する場合も同様である。そして、本発明の金属複合材を成形する方法は、高圧鋳造、ダイカスト、気体加圧鋳造などのように、溶湯を加圧供給して充填させる様々な方法に好適に用いることができる。
本実施形態例の多孔性予備成形体1を成形する工程を表す説明図である。 (イ)多孔性予備成形体1の表面形態を表す拡大写真、及び(ロ)鱗片状黒鉛を希釈した離型材を塗布した表面形態を表す拡大写真である。 実施例1の金属複合材3を鋳造成形する工程を表す説明図である。 実施例1の、多孔性予備成形体1に溶湯2aが含浸して複合面4が形成される過程を概略的に表す説明図である。 (イ)実施例1の複合面4を表す拡大写真、及び(ロ)比較例の複合面4’を表す拡大写真である。 実施例2の金属複合材3を鋳造成形する工程を表す説明図である。
符号の説明
1,41 多孔性予備成形体
2 アルミニウム合金(軽金属)
2a 溶湯(アルミニウム合金)
3,43 金属複合材
4,44 複合面
5,45 被成形面
6 鱗状被覆層
7,47 複合化部位
10 アルミナ短繊維
11 アルミナ粒子
22 成形金型
25,55 キャビティ
56 中子(第1の成形金型)

Claims (5)

  1. 所要面に所定の強化材から形成される多孔性予備成形体が結合された金属複合材の成形方法において、
    前記多孔性予備成形体の、前記所要面を形成するための成形金型と接触する被成形面に、鱗片形状の組成物からなる離型材を塗布し、当該多孔性予備成形体を予熱することにより該被成形面を被覆する鱗状被覆層を形成した後、この多孔性予備成形体の被成形面に成形金型を接触させ、軽金属の溶湯を該多孔性予備成形体の背方に、加圧供給するようにしたことを特徴とする金属複合材の成形方法。
  2. 所定の強化材から形成される多孔性予備成形体が結合される複合面を形成するための第1の成形金型と、それ以外の面を形成するための第2の成形金型間にキャビティを形成し、該キャビティに軽金属の溶湯を充填することにより、多孔性予備成形体が結合されて形成された複合面を有する金属複合材の成形方法において、
    前記多孔性予備成形体の、前記複合面を形成するための第1の成形金型と接触する被成形面に、鱗片形状の組成物からなる離型材を塗布し、当該多孔性予備成形体を予熱することにより該被成形面を被覆する鱗状被覆層を形成した後、この多孔性予備成形体の被成形面に第一の成形金型を接触させ、軽金属の溶湯をキャビティに加圧供給するようにしたこ
    とを特徴とする金属複合材の成形方法。
  3. 離型材を成す鱗片形状の組成物が、鱗片形状の黒鉛であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属複合材の成形方法。
  4. 離型材を成す鱗片形状の組成物が、鱗片形状のボロンナイトライドであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の金属複合材の成形方法。
  5. 多孔性予備成形体が、骨格を成す短繊維と所定の特性を有する粒子とを焼結してなるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の金属複合材の成形方法。
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