JP2000104145A - 部分複合軽金属系部品およびそれの製造に用いる予備成形体 - Google Patents

部分複合軽金属系部品およびそれの製造に用いる予備成形体

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JP2000104145A
JP2000104145A JP27902998A JP27902998A JP2000104145A JP 2000104145 A JP2000104145 A JP 2000104145A JP 27902998 A JP27902998 A JP 27902998A JP 27902998 A JP27902998 A JP 27902998A JP 2000104145 A JP2000104145 A JP 2000104145A
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brake rotor
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JP27902998A
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Makoto Fujita
誠 藤田
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Original Assignee
Mazda Motor Corp
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  • Manufacture Of Alloys Or Alloy Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的大型であっても、優れた耐摩耗性およ
び強度を発揮することができると共に高摩擦係数化が達
成でき、特にブレーキロータの素材として最適な部分複
合軽金属系部品、およびこの様な部分複合軽金属系部品
を得ることのできる予備成形体を提供する。 【解決手段】 少なくとも摺動面部が複合化される部分
複合軽金属系部品の製造に用いられる予備成形体であっ
て、硬質材料からなると共に気孔を有する多孔体であ
り、且つ融点が1000℃以上の金属材を含有するもの
である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両に搭載される
ブレーキロータ等の様に優れた耐摩耗性および強度を有
することが要求される箇所に使用される部分複合軽金属
系部品、およびこの部分複合軽金属系部品を製造する際
に用いられる予備成形体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】車両に搭載されるブレーキロータ等の様
に高度な耐摩耗性が求められる部品については、従来か
ら鋳鉄が使用されていたが、軽量化して車両のばね下重
量、つまりシャーシばねの下方にある車輪等の重量を軽
減して走行安定性を向上させると共に、ブレーキロータ
の冷却性を改善しつつ、高摩擦係数化を図って制動性を
向上させるという観点から様々な素材の適用が試みられ
ている。
【0003】こうした技術の一つとして、SiC粒子を
分散させたアルミニウム合金製インゴットを使用し、こ
れを砂型や金型鋳造によって作製したブレーキロータ
が、電気自動車やスポーツカー等の一部の車に適用され
ている。しかしながら、上記の様な素材をブレーキロー
タに適用しても下記の様な問題があり、更に改善の余地
が残されていた。
【0004】この様な技術では、セラミックスであるS
iC粒子の粒径や体積率等において自由度が低く、高摩
擦係数化には限界がある。またこうした技術では、Si
Cとの馴染み性の良好な母材を使用する必要があり、こ
うした観点から上記技術においては、母材としてAC4
C相当のアルミニウム合金が採用されているが、こうし
た母材を使用すると耐用限界温度が低くなるという問題
もある。特に、ブレーキロータの場合には、制動時には
450℃程度になるのであるが、この様な高温では早期
に摩耗してしまうという問題がある。更に、上記の様な
部材では、製品全体に難加工性の強化材が存在した状態
であるので、その材料費が高くなると共に、加工に要す
る費用も高いものとなる。
【0005】近年、強化が要求される部分だけ複合化す
る方法として、まず、所定形状に成形された連続気孔を
有する多孔質の予備成形体を製造し、この予備成形体に
軽金属の溶湯を浸漬し、溶湯を加圧することにより該予
備成形体の気孔内に軽金属を充填するという複合化方法
が提案され、当該方法に用いられる予備成形体およびそ
の製造方法が種々提案されている。
【0006】こうした技術として、例えば特開平7−1
08370号には、無機繊維とTiO2 を含有した予備
成形体について開示されている。また特開平6−182
524号には、ホウ酸アルミウィスカ、ケイ酸ナトリウ
ムおよび炭化珪素(SiC)等を含有した予備成形体に
ついて記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
で提案されている技術では、ブレーキロータの様に優れ
た耐摩耗性および高強度を有することが要求される部品
に適用する予備成形体としては、依然として不十分であ
り、特性の更なる改善が望まれているのが実状である。
【0008】また上記の様な予備成形体を用いて複合軽
金属系部品を製造する場合には、上記予備成形体を金型
内にセットした状態でアルミニウム合金等の軽金属溶湯
を金型のキャビティ内に注入し、この軽金属溶湯を上記
予備成形体の空孔内に充填させてこの予備成形体を鋳ぐ
るむ様に構成されるのが一般的である。しかしながら、
上記の様な各種予備成形体は、比較的小型の部材を製造
することを想定してなされたものであり、こうした予備
成形体を用いてブレーキロータの様な比較的大きな部材
に適用する複合軽合金部品を上記の様な製造工程で製造
しようとしても、上記軽金属溶湯の含浸が不十分となっ
た未複合化部分が形成されやすく、これによってブレー
キロータの耐摩耗性や強度が低下するという問題があ
る。
【0009】本発明は、このような事情に鑑みてなされ
たものであり、その目的とするところは、ブレーキロー
タの様に比較的大型であっても、優れた耐摩耗性および
強度を発揮することができると共に、高摩擦係数化が達
成でき、特にブレーキロータの素材として最適な部分複
合軽金属系部品、およびこの様な部分複合軽金属系部品
を製造する為の予備成形体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決すること
のできた本発明の予備成形体は、少なくとも摺動面部が
複合化される部分複合軽金属系部品の製造に用いられる
予備成形体であって、硬質材料からなると共に気孔を有
する多孔体であり、且つ融点が1000℃以上の金属材
を含有する点に要旨を有するものである。尚上記気泡は
連続気泡であることが好ましいが、連続していない気泡
を一部に含んでいても良い。
【0011】本発明の予備成形体で用いる前記金属材と
しては、粒子状または繊維状のもののいずれも採用でき
るが、粒子状金属材を使用する場合には、その平均粒径
は150μm以下であることが好ましい。またこうした
金属材としては、具体的にNi,Ni−Al,Ti,T
i−Ni,FeおよびCuよりなる群から選択される1
種以上のものが挙げられる。更に、前記金属材は複合母
材を構成する軽金属と電気陰性度が接近したものである
ことが好ましい。
【0012】一方、予備成形体の基本的な構成素材であ
る硬質材料は、セラミックス焼結体である。そしてこの
セラミックス焼結体は、具体的にはTiO2 ,SiCお
よびAl23 の少なくとも1種を含むものが挙げられ
る。またこのセラミックス焼結体として、少なくともT
iO2 およびSiCを使用した場合には、SiCがTi
2 中に海島構造で焼結されたものとなる。更に、この
硬質材料には、単繊維やウィスカを含有させることも好
ましい。
【0013】また上記の様な予備成形体の気孔部分に軽
金属を充填することによって、希望する特性の部分複合
軽合金系部品を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明者らは、特にブレーキロー
タの素材として最適な、高摩擦係数化が実現できる部分
複合軽金属系部品について様々な角度から検討した。そ
してまず、前述した様にブレーキロータの高摩擦係数化
を図るという観点からすれば、ブレーキロータを構成す
る軽金属系部品の表面自体における摩擦係数μを高める
ことも重要であるが、相手材との関係も重要であるとの
知が得られた。即ち、ブレーキロータでは、その相手材
としてのパッド材があるが、ブレーキロータの高摩擦係
数化を発揮させる為には、こうした相手材との関係を考
慮することも有効であると考えられた。
【0015】上記パッド材は、合成樹脂にセラミックス
粒子を分散させた素材が一般的に用いられるが、本発明
者らは、こうしたパッド材との関係において高摩擦係数
化を達成するためのブレーキロータの構成について様々
検討した。
【0016】まず本発明者らは、TiO2粒子、アルミ
ナ単繊維およびホウ酸アルミウィスカを原料として用
い、これらを種々の組み合わせで様々な予備成形を作製
し、これにアルミニウム合金を含浸したブレーキロータ
を作製し、摩擦係数μの温度依存性について検討した。
尚上記原料は、従来のディーゼルエンジンのピストント
ップリング溝補強手段として採用されている予備成形体
の成分組成である。
【0017】その結果、後記比較例に示すように、上記
した原料を使用して作製した予備成形体を用いて複合化
したブレーキロータでは、上記原料の組み合わせによっ
ては比較的低温においては高摩擦係数化が発揮されたの
であるが、いずれの組み合わせにおいても400℃程度
の高温における高摩擦係数化を実現することはできなか
った。但し、こうした成分組成の予備成形体を用いたブ
レーキロータは、電気自動車等においては、十分な性能
を発揮するものと考えられた。
【0018】本発明者らは、スポーツカーの様に、軽量
性の他に高速からの制動性を特に重視した用途を意識
し、高温においても高い摩擦係数μが維持できる様なブ
レーキロータの開発を目指して検討を重ねてきた。とこ
ろでこの様な用途に使用される従来のブレーキロータ用
複合材料としては、SiCを強化材として使用して溶湯
攪拌法で作製したデュランキャン材(商品名)や、Al
23 を強化材として使用して無加圧含浸法で作製した
ランクサイド材(商品名)等が知られている。
【0019】これらの技術は、SiCやAl23 等の
セラミックス粒子を比較的多量に含有させたものである
が、本発明者らはこうした技術の存在を考慮して、Ti
2粒子−アルミナ短繊維からなる予備成形体を基本に
し、更に強化粒子として粒径が20〜100μmのアル
ミナ粒子を体積率Vf(体積率Vfについては後述す
る)で10%以上含有させた予備成形体を用いてディス
ク部を複合化したアルミブレーキロータを作製し、摩擦
係数μの温度依存性について検討した。
【0020】その結果、後記参考例に示すように、Ti
2 およびAl23 のセラミックス粒子を比較的多量
に添加した予備成形体を用いて複合化したブレーキロー
タでは、比較的高温においても高摩擦係数化が発揮され
たのである。こうした効果が発揮されるのは、TiO2
とAl23 が焼結時に反応を生じ、新たな化合物が生
成する為であると考えることができた。そして、こうし
た反応はAl23 の粒径が大きい方がTiO2 と反応
し易く、またスプレーフォーミングによって微細なAl
23 が集まって球状となっている形態であることが、
より良好な特性が発揮されることが判明した。これは、
0.3μm程度の微細なTiO2 粒子がAl23 粒子
の間に入り込むからである。
【0021】しかしながら、こうした軽金属複合系部品
においても、100℃程度の低温においては、摩擦係数
μは低いものとなり、前述したTiO2 粒子−アルミナ
短繊維の組み合わせで作製した予備成形体を用いて複合
化した部品よりもむしろ低くなる傾向が認められた。ま
たこうした構成で高温における高摩擦係数化を発揮させ
ようとすると、セラミックス粒子の含有量が必然的に多
くなり、軽金属を含浸させるときの圧力が必然的に大き
なものとなるという欠点もある。
【0022】そこで本発明者らは、低温における高摩擦
係数を維持しつつ、高温における高摩擦係数化も同時に
実現できるようにな予備成形体の実現を目指して更に検
討した。
【0023】その結果、セラミックス粒子等を焼結して
なる硬質材料を主体とし、これに1000℃以上の融点
を有する金属材を添加してやれば、それほど多くのセラ
ミックス粒子を含有させなくとも、低温における高摩擦
係数を維持しつつ、高温における高摩擦係数化も同時に
実現できる予備成形体が得られることを見出し、本発明
を完成した。
【0024】本発明の係る予備成形体の特徴は、上述の
如く、硬質材料からなると共に気孔を有する多孔体に、
融点が1000℃以上の金属材を含有するものである
が、こうした構成を採用することによって上記の効果が
得られた理由については、次の様に考えることができ
た。
【0025】前述の如くブレーキロータの相手材となる
パッド材は、合成樹脂にセラミックス粒子を分散させた
素材が一般的に用いられるが、こうしたパッド材に対し
てセラミックス粒子だけを主体とした予備成形体を用い
たブレーキロータでは、硬質材料同士の接触となり、摩
擦係数μはそれらの表面性状(硬さや凹凸)に主として
左右され、高摩擦係数化にはどうしても限界がある。こ
れに対して、硬質材料に金属材を含有させると、この金
属材がパッド材との間で凝着作用を発揮し、これが高摩
擦係数化を発揮するものと考えられる。
【0026】金属材によるこうした効果を発揮させる為
には、その融点が1000℃以上である必要がある。こ
れは、400℃程度の高温においても軟化することなく
適度の硬さを有し、且つ金属材による凝着性を発揮させ
る為に必要な要件である。
【0027】本発明の予備成形体で用いる前記金属材と
しては、粒子状または繊維状のもののいずれも採用でき
るが、粒子状金属材を使用する場合には、その平均粒径
は150μm以下であることが好ましい。これは、平均
粒径が150μmよりも大きくなると、予備成形体を製
造する際に金属材を多孔体中に均一に分散させるのが困
難になるからである。
【0028】上記の様な金属材の具体例としては、N
i,Ni−Al,Ti,Ti−Ni,FeおよびCu等
が挙げられ、これらのうちから1種以上を選んで使用す
れば良い。更に、前記金属材は複合母材を構成する軽金
属と電気陰性度が接近したものであることが好ましく、
これによって異種金属接触による腐食電位差を小さくで
き、腐食を効果的に防止することができる。
【0029】尚本発明で母材として用いる軽金属として
代表的なものとしては、AlまたはAl合金等が挙げら
れるが、これを母材として用いたときには、上記に列挙
した各種金属材はいずれも電気陰性度が接近したものと
なる。また母材としては、AlやAl合金以外にも、マ
グネシウム等が挙げられるが、これらを母材として用い
るときには、上記金属材のうちから軽金属と電気陰性度
が接近したものを適宜選ぶ様にすれば良い。
【0030】一方、予備成形体の基本的な構成素材であ
る硬質材料は、セラミックス焼結体であるが、このセラ
ミックス焼結体としては、具体的にはTiO2 ,SiC
およびAl23 の少なくとも1種を含むものが挙げら
れる。またこのセラミックス焼結体として、少なくとも
TiO2 およびSiCを含ませた場合には、SiCがT
iO2 中に取り囲まれた様な海島構造で焼結されたもの
となり、こうした形態となることによって予備成形体に
十分な強度を付与することができる。更に、この硬質材
料には、短繊維やウィスカを含有させることも好まし
く、これによって予備成形体の特性を更に向上させるこ
とができる。
【0031】ところで、高圧鋳造での複合化を比較的容
易に行なうのに必要な通気性を確保補する為には、予備
成形体における硬質材料の体積率Vfとしては、30%
前後が限度である。ここで体積率Vfは、予備成形体全
体に対する体積率を示している。気孔も含めた予備成形
体の体積をV1 、気孔の体積をV0 とすると、硬質材料
の体積率は(V1 −V0 )となるので、予備成形体に占
める硬質材料の体積率は(V1 −V0 )/V1 で示され
ることになる。尚後述する様な方法によって、本発明の
予備成形体を製造すれば、焼結前後における体積収縮が
ほとんどないので、体積率Vfは吸引脱水した最密充填
状態の混合体の見掛け密度と各配合物の配合重量および
密度とから算出できる。
【0032】そして、予備成形体の硬質材料としてTi
2 およびアルミナ短繊維を用いた場合に、焼結によっ
て予備成形体の強度を確保する為には、前記体積率Vf
でいずれも2%以上必要となるので、添加できる金属材
の体積率Vfは、最大で26%程度となる。但し、金属
材の添加量が体積率Vfで20%程度になると、焼結性
が悪くなって予備成形体の強度が低くなる可能性があ
る。こうした場合には、焼結温度を金属材の一部を溶融
させるようにすれば、予備成形体における強度の低下が
抑制されるので有効である。
【0033】本発明の予備成形体は、セラミックスと金
属材を含んだ硬質材料を基本的な構成材料とするもので
あるが、これらの他に硬質材料の焼結を促進させる焼結
助剤や、上記した短繊維およびウィスカの少なくともい
ずれかからなる骨格形成材、体積率調節用の消失性粉
末、無機バインダまたは凝集剤等を添加したものを焼結
することによって形成されるものである。
【0034】上記焼結助剤としては、1100℃程度の
比較的低温でセラミックス粒子と反応して化合物を形成
するものであり、具体的にはCaCO3 等の炭酸塩、ま
たはCaO、MgO若しくはAl23 等の金属酸化物
が挙げられる。また上記骨格形成剤となる短繊維として
は、繊維径が2〜10μm程度で、繊維長が200〜3
00μm程度のアルミナ繊維またはSiC繊維等が挙げ
られ、上記ウィスカとしては、繊維径が2〜10μm程
度で、繊維長が10〜30μm程度のほう酸アルミウィ
スカが挙げられる。
【0035】上記体積率調節用の消失性粉末としては、
焼結温度で消失する粒子、例えばポリプロピレン粒子、
ポリエチエン粒子、ポリアクリルアミド粒子等の樹脂粉
末または黒鉛粉末等が挙げられ、消失し易さの点では黒
鉛粉末が好ましく用いられる。こうした消失性粉末を添
加することによって、強度を維持しつつ予備成形体の空
孔率を増大させることができ、複合化し易いものとな
る。
【0036】上記無機バインダとしては、シリカゲルや
アルミナゾル等のコロイド物質が用いられる。更に上記
凝集剤としては、ポリアクリルアミドゲル等が挙げら
れ、その他、上記予備成形体を形成する混合物に硫酸ア
ンモニウム等の添加物を添加するようにしても良い。
【0037】本発明の予備成形体を成形するには、金属
材とセラミックスを含む硬質材料と、上記焼結助剤とを
水等の分散媒に混合すると共に、必要に応じて上記骨材
形成材、体積率調節用の消失性粉末、無機バインダを混
合すると共に、または凝集剤を添加して攪拌することに
よりスラリーを調製する。そして、図1に示すように、
底部に濾過部4および脱水吸引口5が設けられた容器6
内に上記スラリー7を入れ、上記脱水吸引口5から分散
媒を吸引して、図2に示す様な脱水体8を形成する。
【0038】次いで、この脱水体8を700〜800℃
程度の温度で加熱して、上記黒鉛粉末等からなる消失性
粉末を消失させると共に、上記成形体を乾燥させる。更
に、上記成形体の加熱温度を上昇させて、上記焼結助剤
によってセラミックス粒子および金属材とからなる硬質
材料の焼結を促進させることにより、優れた耐摩耗性を
有する通気性の高い多孔体からなる予備成形体が形成さ
れる。この様にして形成されたブレーキロータ用の予備
成形体の外形例を図3に示す。
【0039】例えば、上記焼結助剤としてCaCO3
使用した場合には、このCaCO3が900℃程度の温
度でCaOとCO2 ガスとに分解され、このCaOが、
上記TiO2粒子等からなるセラミックス粒子と反応し
てCaTiO3 が生成される。そして、この新たに生成
された化合物(CaTiO3 )は、一般に上記焼結性セ
ラミックスよりも低温で焼結することができる。
【0040】このため、1100℃程度の温度で焼結し
た上記CaTiO3 により、SiC等からなる高硬度セ
ラミックス粒子を上記CaTiO3 によって強固に結び
付けることができる。従って、上記硬質材料として特性
の異なる複数種のセラミックス粒子を上記予備成形体に
配合した場合においても、この予備成形体の空孔率が高
められて複合化しやすい予備成形体が得られ、そのハン
ドリング性が確保されると共に、大型化が可能となる。
【0041】この様にして、焼結性セラミックスと焼結
助剤が反応して生成された新たなセラミックスを介し
て、セラミックス粒子、金属材および骨格形成材が夫々
の結合部分で融合焼結され、多数の間隙からなる連通孔
が形成された多孔質の予備成形体が得られる。そして配
合された炭酸塩または金属酸化物からなる焼結助剤は、
予備成形体内においてセラミックス粒子の一部と反応し
てなる化合物として存在している。また黒鉛粉等からな
る体積率調節用の消失性粉末が配合されている場合には
焼結時に上記黒鉛粉等がCOまたはCO2 となって系外
へ排出されることにより、消失性粉末の配合部に空孔が
形成されて予備成形体の空孔率が上昇する。
【0042】焼結温度は、セラミックス粒子が焼結でき
る温度であればよい。使用するセラミックス粒子が0.
2〜1μmのTiO2 の場合には、1000℃以上、好
ましくは1000〜1200℃で、2時間程度で焼結で
きる。尚前記焼失性粉末が黒鉛粉末の場合には、700
℃程度からCO,CO2 となって系外へ放出除去、すな
わち焼失しはじめる。
【0043】尚無機バインダー等の他の添加剤が配合さ
れていた場合には、これがセラミックスの部分とともに
予備成形体の骨格部分を形成することになる。
【0044】以上のようにして得られる複合化用予備成
形体を用いて、ブレーキロータからなる部分複合軽金属
系部品を製造する方法について以下に説明する。まず図
4に示すように、上記予備成形体1を金型10の内部に
セットし、次いで図5に示す様に、この予備成形体1に
向けて母材となるアルミニウム等の軽金属溶湯12をピ
ストン13により加圧して注入する。この様にして、予
備成形体1に向けて軽金属溶湯12を加圧注入すること
によって、この軽金属溶湯12が予備成形体1の空孔内
に軽金属溶湯12が効率よく充填され、予備成形体1の
全体が軽金属溶湯によって適正に鋳ぐるまれた部分複合
軽金属系部品が製造されることになる。
【0045】以下、本発明を実施例によってその効果を
より具体的に示すが、下記実施例は本発明を限定するも
のではなく、前・記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0046】
【実施例】実施例 下記表1に示す原料A〜Cを用い、前述した方法に従っ
て前記図3に示した様なブレーキロータ用の予備成形体
を作製した。このとき、硬質材料に添加する金属材とし
ては、平均粒径が0.5μmのNi粉末と平均粒径が3
0μmのNi−Al粉末を用いた。また焼結温度は11
40℃とした。
【0047】
【表1】
【0048】得られた予備成形体を用いて、溶湯鍛造に
よってアルミニウム合金と複合化し、温度別摩耗試験に
よって摩擦係数μを比較した。このとき、温度別摩耗試
験の相手材としては、アルミディスクブレーキ用のパッ
ド材TS−16(商品名:日清紡株式会社製)を使用し
た。溶湯鍛造による摩耗試験片作製条件を下記表2に、
温度別摩耗試験の条件を下記表3に示す。上記原料Aお
よびBによって形成された複合材の組織を、夫々図6、
7(いずれも図面代用光学顕微鏡写真)に示す。
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】試験結果を図8に示すが、金属材を添加し
た予備成形体を用いたものでは、400℃の高温におい
ても高摩擦係数化が達成されていると共に、100℃程
度の比較的低温においても高い摩擦係数μが維持されて
いることが分かる。
【0052】比較例 下記表4に示す原料D〜Gを用い、前述した方法に従っ
て前記図3に示したブレーキロータ用の予備成形体を作
製した。この比較例は、TiO2 粒子、アルミナ短繊維
およびホウ酸アルミウィスカを原料として用い、金属材
を用いずにこれらを種々の組み合わせで様々な予備成形
を作製したものである。尚体積率調節材としては、吸引
成形後の予備成形体の体積率の合計が約38%となる様
に適量添加した。
【0053】
【表4】
【0054】得られた予備成形体を用いて、溶湯鍛造に
よってアルミニウム合金と複合化し、実施例と同様にし
て温度別摩耗試験によって摩擦係数μを比較した。試験
結果を図9に示すが、金属材を添加せず、上記した原料
を使用して作製した予備成形体を用いて複合化したブレ
ーキロータでは、上記原料の組み合わせによっては比較
的低温においては高摩擦係数化が発揮されたのである
が、いずれの組み合わせにおいても400℃程度の高温
における高摩擦係数化を発揮できないことが分かる。但
し、前述した様に、こうした成分組成の予備成形体を用
いたブレーキロータは、電気自動車等においては、十分
な性能を発揮するものと考えられる。
【0055】参考例 下記表5に示す原料H〜Kを用い、前述した方法に従っ
て前記図3に示したブレーキロータ用の予備成形体を作
製した。この参考例は、TiO2 粒子−アルミナ短繊維
からなる予備成形体を基本にし、更に強化粒子として粒
径が20〜100μmのアルミナ粒子を体積率Vfで1
0%以上含有させた予備成形体である。尚下記表5に示
した原料のうち、Hは平均粒径が30μmのAl23
を用いたもの、Iは平均粒径が0.3μmのAl23
を用いたものである。また体積率調節材としては、上記
比較例と同様に吸引成形後の予備成形体の体積率の合計
が約38%となる様に適量添加した。
【0056】
【表5】
【0057】得られた予備成形体を用いて、溶湯鍛造に
よってアルミニウム合金と複合化し、実施例と同様にし
て温度別摩耗試験によって摩擦係数μを比較した。尚上
記原料JおよびKのものは、夫々Al23 を強化材と
して使用して無加圧含浸法で作製したランクサイド材
(商品名)、およびSiCを強化材として使用して溶湯
攪拌法で作製したデュランキャン材(商品名)である。
【0058】その試験結果を図10に示すが、アルミナ
粒子を体積率Vfで10%以上含有させた予備成形体を
用いてディスク部を複合化したアルミブレーキロータで
は、100℃程度の低温においては、摩擦係数μは低い
ものとなり、前述したTiO 2 粒子−アルミナ短繊維の
組み合わせで作製した予備成形体を用いた複合化部材よ
りもむしろ低くなる傾向が認められることが分かる。
【0059】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、比
較的大型であっても、優れた耐摩耗性および強度を発揮
すると共に、高摩擦札係数化が達成でき、特にブレーキ
ロータの素材として最適な部分複合軽金属系部品、およ
びこの様な部分複合軽金属系部品を得ることのできる予
備成形体が実現できた。
【図面の簡単な説明】
【図1】予備成形体の製造方法を示す断面図である。
【図2】予備成形体の製造方法を示す断面図である。
【図3】形成されたブレーキロータ用の予備成形体の外
形例を示す概略説明図である。
【図4】本発明に係る部分複合軽金属系部品に製造する
方法を示す断面図である。
【図5】本発明に係る部分複合軽金属系部品に製造する
方法を示す断面図である。
【図6】実施例の原料Aによって形成された複合材の組
織を示す図面代用光学顕微鏡写真である。
【図7】実施例の原料Bによって形成された複合材の組
織を示す図面代用光学顕微鏡写真である。
【図8】実施例における温度別摩耗試験の結果を示すグ
ラフである。
【図9】比較例における温度別摩耗試験の結果を示すグ
ラフである。
【図10】参考例における温度別摩耗試験の結果を示す
グラフである。
【符号の説明】
1 予備成形体 4 濾過部 5 脱水吸引口 8 脱水体 10 金型 12 軽金属溶湯

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも摺動面部が複合化される部分
    複合軽金属系部品の製造に用いられる予備成形体であっ
    て、硬質材料からなると共に気孔を有する多孔体であ
    り、且つ融点が1000℃以上の金属材を含有するもの
    であることを特徴とする予備成形体。
  2. 【請求項2】 前記金属材は粒子状または繊維状のもの
    である請求項1に記載の予備成形体。
  3. 【請求項3】 前記粒子状金属材の平均粒径が150μ
    m以下である請求項2に記載の予備成形体。
  4. 【請求項4】 前記金属材は、Ni,Ni−Al,T
    i,Ti−Ni,FeおよびCuよりなる群から選択さ
    れる1種以上のものである請求項1〜3のいずれかに記
    載の予備成形体。
  5. 【請求項5】 前記金属材は複合母材を構成する軽金属
    と電気陰性度が接近したものである請求項目1〜4に記
    載の予備成形体。
  6. 【請求項6】 前記硬質材料は、セラミックス焼結体で
    ある請求項1〜5のいずれかに記載の予備成形体。
  7. 【請求項7】 前記セラミックス焼結体はTiO2 ,S
    iCおよびAl2 3 の少なくとも1種を含むものであ
    る請求項6に記載の予備成形体。
  8. 【請求項8】 SiCがTiO中に海島構造で焼結され
    たものである請求項7に記載の予備成形体。
  9. 【請求項9】 硬質材料は、更に短繊維および/または
    ウィスカを含有するものである請求項6〜8のいずれか
    に記載の予備成形体。
  10. 【請求項10】 請求項1〜9のいずれかに記載の予備
    成形体の気孔部分に軽金属が充填されたものであること
    を特徴とする部分複合軽合金系部品。
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