JP2000103003A - 酸化チタン蒸着フィルム - Google Patents

酸化チタン蒸着フィルム

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JP2000103003A
JP2000103003A JP27697898A JP27697898A JP2000103003A JP 2000103003 A JP2000103003 A JP 2000103003A JP 27697898 A JP27697898 A JP 27697898A JP 27697898 A JP27697898 A JP 27697898A JP 2000103003 A JP2000103003 A JP 2000103003A
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titanium oxide
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oxide thin
thickness
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Katsutaka Tateno
克孝 舘野
Hiroyuki Yamada
博之 山田
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高分子フィルムとの密着性が良好でかつ光触
媒反応を利用した悪臭分解能を有し、かつ周波数1〜3
00MHzの範囲内で30dB以上の電磁波シールド性
能を有する透明な酸化チタン薄膜からなる窓や壁等に貼
り替え可能な透明導電性フィルムを提供する 【解決手段】 高分子フィルムと、その少なくとも1面
上に金属薄膜または金属酸化物薄膜を、さらに酸化チタ
ン薄膜を順次積層してなるものである。また前記金属薄
膜または金属酸化物薄膜の膜厚が、50〜10000Å
であり、前記酸化チタン薄膜の膜厚が、100〜100
00Åであることが好ましく、前記酸化チタン薄膜が、
X線回折パターンで2θ=20〜30度に存在するルチ
ル型結晶のピーク強度とアナターゼ型結晶のピーク強度
との比I<110>/I<101>=0/1〜1/3で
ある酸化チタンから形成したものであることがより好ま
しい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】 本発明は防臭性、防汚性お
よび抗菌性に優れ、かつ妨害電磁波を減衰させる電磁波
シールド機能を有する酸化チタン蒸着フィルムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】 近年、住宅やビルの気密性の向上に伴
い、生活空間の中の臭いに対する快適性を求める要求が
強くなっている。この臭いへの対応として、古くから芳
香と脱臭の二つの方法が種々検討されてきている。特
に、悪臭を脱臭することが、芳香以前の問題として注目
されている。脱臭機構は、主として、物理吸着によるも
のと化学反応によるものとの2つに大別されるが、物理
吸着には、再放出の問題があり、化学反応には、脱臭成
分自体の有害性や反応後物質の有害性が懸念されるとい
う問題がある。
【0003】ところで、このような脱臭の要求に対し、
最近、酸化チタンは光触媒反応により有機物の分解を効
果的に行い、かつ半永久的に使用できること等から、注
目を浴びている。酸化チタンは、従来から白色顔料、紫
外線遮蔽剤、歯磨き剤等に広く使用されているが、光触
媒としての検討も行われており、特開昭63−8083
3号公報では、車室内の脱臭について、また特開平3−
69695号公報では脱臭の他に抗菌作用のあることが
開示されている。これらに使用される酸化チタン形状と
しては、粉末状、コロイド状、液体状等であり、そのま
まの状態で使用されたり、あるいは支持体に担持して使
用し、コロイド状や液体状のスラリーを支持体に担持さ
せる方法として、ディップコーティング法、スプレーコ
ーティング法、スピンコーティング法、グラビアコーテ
ィング等があげられることが開示されている。
【0004】一方、近年、コンピュータおよび情報端末
機器の作動速度の高速化および携帯電話等の無線通信シ
ステムの増加に伴い、これらの機器が出す電磁波が他の
機器に進入し、誤動作や通信障害等を引き起こしてい
る。
【0005】これらの外部からの有害電磁波対策とし
て、建物そのものをシールドする方法がとられており、
窓については透視性とシールド特性を兼備えた金属メッ
シュやカーボンネット等の導電性ネットをガラスの中間
層または表面に設ける方法や、蒸着ガラスを使用する方
法、蒸着フィルムを窓ガラスに貼り付ける方法が取られ
ている。
【0006】しかしながら、導電性ネットをガラスの中
間層または表面に設けた場合は、透視性が低く、視野が
狭い等の問題がある。電磁波シールド性能を有する蒸着
ガラスや蒸着フィルムには、金属薄膜、金属酸化物薄膜
が使用されており真空蒸着法、スパッタリング法、イオ
ンプレーティング法により成膜されているが、これらの
蒸着ガラスや蒸着フィルムに金属薄膜を使用した場合、
十分な電磁波シールド性能を得るためには透視性が低く
なる等の問題がある。広い視野と高い透視性を得るため
には、金属酸化物薄膜を蒸着法により形成することが適
当であるが、真空蒸着法では、十分に低い抵抗を得るた
めには成膜後の加熱が必要であり、耐熱性の低い基材に
は適用が難しく、スパッタリング法においては成膜速度
が低いため、十分に低い表面抵抗を得るには時間がかか
り、コスト高となる等の問題がある。
【0007】また既に通常のガラスが施工されているも
のに関して蒸着ガラスを使用する場合は、全て交換しな
ければならず、コスト高となる問題がある。
【0008】またこれらの電磁波シールド性能を有する
ものが、屋内外の窓に使用された場合、表面に汚れ等が
付着しても洗浄液等で窓を拭く以外に有効な方法がなか
った。
【0009】この酸化チタン膜の形成方法としては、デ
ィップコーティング法、スプレーコーティング法、スピ
ンコーティング法、グラビアコーティング法等があげら
れが、高分子フィルム上に酸化チタンを直接形成する
と、高分子フィルムが酸化チタンの光触媒反応により分
解されてしまい、高分子フィルムとの密着性が低下する
等の問題を生じるので、酸化チタン層とフィルム基材間
に無機系のアンダーコート層を設ける必要がある。また
これらの成膜方法は高温での焼成が必要であり、耐熱性
の低い基材には、酸化チタン層の形成が難しい。さらに
通常、電磁波シールド性能を有する金属薄膜や金属酸化
物薄膜上にこの塗工液を使用し、酸化チタン層を設けた
場合、酸化チタン層用塗工液は強酸性のため、金属薄膜
や金属酸化物薄膜が溶解してしまい、支持体との密着性
が低下する問題がある。
【0010】一方、これまでにイオンビーム法やスパッ
タリング法により、酸化チタン薄膜をガラス基板上に成
膜する技術開発が行われているが、光触媒反応を応用し
て、悪臭の分解を検討したものはなかった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、低
温で高分子フィルム上に薄膜形成が可能であり、高分子
フィルムとの密着性が良好で、光触媒反応を利用した悪
臭分解能を有し、かつ周波数1〜300MHzの範囲内
で30dB以上の電磁波シールド性能を有する透明な酸
化チタン薄膜からなる酸化チタン蒸着フィルムを提供す
るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の
課題を解決するため、高分子フィルムの一面上に金属薄
膜または金属酸化物薄膜を設け、さらにその上に酸化チ
タン薄膜を順次設けることにより、高分子フィルムと酸
化チタン薄膜の密着性を付与し、、酸化チタン中に発生
した正電荷と負電荷を効果的に分解し、再結合までの時
間を長くすることにより、高い光触媒反応が得られるこ
とを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】すなわち本発明に係る酸化チタン蒸着フィ
ルムは、 (1)高分子フィルムと、その少なくとも1面上に金属
薄膜または金属酸化物薄膜を、さらに酸化チタン薄膜を
順次積層してなることを特徴とするものである。 (2)前記金属薄膜または金属酸化物薄膜の膜厚が、5
0〜10000Åである前記(1)記載のものである。 (3)前記酸化チタン薄膜の膜厚が、100〜1000
0Åである前記(1)記載のものである。 (4)前記酸化チタン薄膜が、X線回折パターンで2θ
=20〜30度に存在するルチル型結晶のピーク強度と
アナターゼ型結晶のピーク強度との比I<110>/I
<101>=0/1〜1/3である酸化チタンから形成
したものである前記(1)または前記(3)記載のもの
である。 (5)前記金属薄膜または金属酸化物薄膜が、圧力勾配
型放電によるイオンプレーティング法で形成されたもの
である前記(1)または前記(2)記載のものである。 (6)前記酸化チタン薄膜が、高周波イオンプレーティ
ング法で形成されたものである。 (7)全光線透過率が70%以上である前記(1)〜
(6)記載のものである。
【0014】
【発明の実施の形態】 高分子フィルムの材料として
は、耐熱性を有する透明な高分子フィルムであれば、特
に制限はなく、100℃以上においても耐熱性を有する
ものが好ましく、たとえばポリエステル、ポリオレフィ
ン、ポリアミド、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルサルフォン、ポ
リサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアリ
レート、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレン
オキサイド、ポリパラバン酸等が例示できる。また高分
子フィルムの厚みとしては、25〜250μmが好まし
く、より好ましくは50〜200μmである。上記の高
分子フィルム上に密着性向上のため、予めコロナ放電処
理、表面改質を行うプラズマ処理や、サンドブラストを
用いた粗面化処理等の表面処理、または有機系樹脂によ
る公知のアンカーコート処理を施してもよい。
【0015】このような金属酸化物薄膜は、スプレー
法、メッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオン
プレーティング法、あるいはCVD法等の各種成膜法に
より作成されている。なかでも、金属薄膜を形成する際
は、蒸着法が膜厚のコントロールが容易であること等か
ら好適であり、また陰極と陽極の間に中間電極を設ける
圧力勾配型イオンプレーティング法は、成膜速度、イオ
ン化効率が高く、金属薄膜または金属酸化物薄膜の厚膜
化が容易に行えるので、表面抵抗の低い金属薄膜または
金属酸化物薄膜を成膜するのに好適である。
【0016】高分子フィルム上に設けられる金属薄膜ま
たは金属酸化物薄膜の膜厚としては、50〜10000
Åが好ましく、より好ましくは100〜8000Åであ
る。金属薄膜または金属酸化物薄膜の膜厚が50Å未満
であると、電荷の分離および高分子フィルムの隠蔽性が
十分では無く、10000Åより厚いと、コストが高く
なる等の問題がある。
【0017】高分子フィルム上に設けられる金属薄膜ま
たは金属酸化物薄膜の表面抵抗としては、3〜800Ω
/□であり、好ましくは5〜100Ω/□、より好まし
くは、5〜80Ω/□である。金属薄膜または金属酸化
物薄膜の表面抵抗が3Ω/□未満の場合は、金属薄膜ま
たは金属酸化物薄膜の膜厚が厚くなるため、透明性が低
下し、かつコストが高くなるという問題を生じ、800
Ω/□より大きいと、電磁波シールド性能が不十分であ
る等の問題を生じる。
【0018】また金属薄膜または金属酸化物薄膜上に設
けられる酸化チタン薄膜は、蒸着法、スプレー法、ディ
ップコーティング法、スプレーコーティング法、スピン
コーティング法、グラビアコーティング法等の各種方式
により成膜を行われているが、なかでも低温で成膜が可
能であり、均一な薄膜形成が容易であること等から高分
子フィルムのように耐熱性の低い基材には、蒸着法が好
適である。なかでも本発明では、蒸発材料の活性化が可
能な高周波イオンプレーティング法が好適である。
【0019】金属薄膜または金属酸化物薄膜上に設けら
れる酸化チタン薄膜の膜厚としては、100〜1000
0Åであり、より好ましくは300〜3000Å、さら
に好ましくは500〜2000Åである。酸化チタン薄
膜の膜厚が100Å未満であると、十分な光触媒反応が
起こらず、10000Åより厚いと、膜割れやコストが
高くなる等の問題を生じる。
【0020】本発明に使用する酸化チタンは、Ti、T
iO2、Ti23、Ti35、Ti47を出発材料とし
て、適度に酸化反応を行えば良い。酸化チタンの結晶形
態には、アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型の3
形態があるが、工業的に利用されているのは、アナター
ゼ型とルチル型であり、ブルッカイト型は、学術的に取
り上げられているのみで、工業的な利用はない。3結晶
形態の中、ルチル型が最も安定で、アナターゼ型、ブル
ッカイト型は、加熱によりルチル型に転位する。光触媒
反応としては、アナターゼ型、ルチル型とも光化学活性
を持っているが、光化学活性はアナターゼ型の方が強い
ことが一般に知られている。高周波イオンプレーティン
グ法により、酸化チタン薄膜を成膜した場合、高周波出
力、蒸着速度、酸素分圧等の成膜条件によって異なる結
晶構造のものが生成することが知られている。特に、蒸
着速度を5〜10Å/秒で成膜すると、X線回折パター
ンで2θ=20〜30度に存在するルチル型の面指数<
110>のピーク強度と、アナターゼ型の面指数<10
1>のピーク強度との比I<110>/I<101>が
0/1〜1/3の範囲にある酸化チタン薄膜が生成し、
悪臭のアンモニア分解能が高いことを見出した。
【0021】本発明で使用する光照射の光エネルギー
は、光触媒を励起させるのに対応した波長を有するもの
であって、光触媒反応に寄与する400nm以下の紫外
線波長を多く含む光エネルギーが好ましい。この光エネ
ルギー源としては、太陽光の自然光光源、水銀灯、蛍光
灯、ハロゲンランプ、アークキセノンランプ等が挙げら
れる。
【0022】酸化チタン薄膜のアンモニア分解能として
は、12時間後に90%以上のアンモニアが分解される
こと好ましい。アンモニアの分解能が12時間後に90
%未満であると、日常的に堆積してくる汚れから発生す
る臭いを十分に分解することができない。
【0023】本発明に係る酸化チタン蒸着フィルムの、
酸化チタン薄膜の他の1面に粘着層を形成してもよい。
粘着層を形成する粘着剤としては、従来公知のものが用
いることが可能である。たとえば、溶剤型粘着剤であれ
ば、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等があり、それ
ら単独または、混合物に粘着付与剤、可塑剤等を添加し
たものが挙げられる。無溶剤粘着剤であれば、天然もし
くは合成ゴム系、アクリル系エマルジョンが利用でき
る。粘着剤には、顔料、架橋剤、老化防止剤等を必要に
より混合して使用することができる。
【0024】本発明に係る酸化チタン蒸着フィルムに設
けられる前記粘着層の粘着力は、200〜900gf/
10mmであることが、窓や壁等に貼り替え可能とな
り、好ましい。200gf/mm未満では、粘着力が弱
くて端部より剥離し易くなり、900gf/10mmよ
り大きいと、貼り直しが困難であり、剥がした場合でも
糊残りを生じ易くなることがある。
【0025】
【実施例】 以下に実施例を挙げて、本発明をより具体
的に説明するが、本発明はこれによって何ら限定される
ものではない。なお実施例および比較例で得られた酸化
チタン薄膜の評価は以下のように行い、評価結果を表1
に示す。
【0026】a.アンモニア分解率 10cm角にサンプリングした試料を3000mlのフ
ラスコ中に挿入し、アンモニアガスを3ml注入する。
アンモニア注入後、紫外線ランプを試料上面で2mW/
cm2の紫外線強度になるように、紫外線照射を行っ
た。初期のアンモニア濃度と12時間経過後のアンモニ
ア濃度の測定をガスクロマトグラフにて行い、測定前後
のアンモニア濃度の変化率を算出した。アンモニアの分
解率が70%未満のものを×、70〜90未満のものを
△、90%以上のものを○とした。
【0027】b.アセトアルデヒド分解率 10cm角にサンプリングした試料を3000mlのフ
ラスコ中に挿入し、アセトアルデヒドを3ml注入す
る。アセトアルデヒド注入後、紫外線ランプを試料上面
で2mW/cm2の紫外線強度になるように、紫外線照
射を行った。初期のアセトアルデヒド濃度と12時間経
過後のアセトアルデヒド濃度の測定をガスクロマトグラ
フにて行い。測定前後のアセトアルデヒド濃度の変化率
を算出した。アセトアルデヒドの分解率が60%未満の
ものを×、60〜80%未満のものを△、80%以上の
ものを○とした。
【0028】c.電磁波シールド性能 アドバンテスト法にて1〜300MHzの周波数範囲の
電磁波シールド性能の評価を行った。周波数範囲1〜3
00MHzでの電磁波シールド性能が20dB未満のも
のを×、20〜30dB未満のものを△、30dB以上
のものを○とした。
【0029】d.全光線透過率 村上色彩研究所社製の反射透過率計(HR-100)を
用い、全光線透過率の測定を行った。全光線透過率が5
0%未満のものを×、50〜70%未満のものを△、7
0%以上のものを○とした。
【0030】e.密着性 10cm角にサンプリングした試料に、紫外線ランプを
試料上面で5mW/cm2の紫外線強度になるように調
整し、紫外線照射を48時間行った。紫外線照射後、J
IS K 5400に基づき、セロハンテープによる碁
盤目テープ法にて付着状態を目視により観察した。評価
方法としては、1mm角の100ます中、剥がれが全く
ないものを○、剥がれた面積が35%未満のものを△、
剥がれた面積が35%以上のものを×とした。
【0031】実施例1 高分子フィルムとして厚さ125μmのポリエステルフ
ィルム(帝人社製、以下、PETフィルムという)を使
用し、蒸着材料には純度5Nの粒状銅(Cu)、純度5
Nの粒状酸化チタン(TiO2)を使用した。PETフ
ィルムの1面上にCuを50Åの厚さに蒸着を行い、金
属薄膜としてCu薄膜を形成し、そのCu薄膜上にTi
2薄膜を200Åの厚さに蒸着して酸化チタン蒸着フ
ィルムを作製した。
【0032】実施例2 Cu薄膜を1000Åの厚さに蒸着を行い、そのCu薄
膜上にTiO2薄膜を200Åの厚さに蒸着を行う以
外、実施例1と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製し
た。
【0033】実施例3 Cu薄膜を50Åの厚さに蒸着を行い、そのCu薄膜上
にTiO2薄膜を5000Åの厚さに蒸着を行う以外、
実施例1と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製した。
【0034】実施例4 Cu薄膜を1000Åの厚さに蒸着を行い、そのCu薄
膜上にTiO2薄膜を5000Åの厚さに蒸着を行う以
外、実施例1と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製し
た。
【0035】実施例5 基材に厚さ125μmのPETフィルムを使用し、蒸着
材料には純度4Nの酸化インジウム(In23)を用
い、高周波イオンプレーティング法により、膜厚200
ÅのIn23膜をPETフィルムの1面上に形成した。
そのときの光線透過率は、89%であった。そのIn2
3膜上に純度4Nの粒状酸化チタン(Ti 35)を使
用し、高周波イオンプレーティング法により、高周波出
力20Wとし、蒸着速度8Å/秒で膜厚1000Åの酸
化チタン膜を形成し、酸化チタン蒸着フィルムを作製し
た。その時の酸化チタンの結晶性は、X線回折パターン
で2θ=20〜30度に存在するルチルの面指数<11
0>のピーク強度と、アナターゼの面指数<101>の
ピーク強度比が、I<110>/I<101>=1/3で
あった。
【0036】実施例6 実施例5と同様にして、酸化チタン蒸着フィルムを作製
した。ただし、高周波イオンプレーティング法により、
高周波出力500Wとし、蒸着速度8Å/秒で膜厚10
00Åの酸化チタン膜を形成した。その時の酸化チタン
の結晶性は、X線回折パターンで2θ=20〜30度に
存在するルチルの面指数<110>のピーク強度とアナ
ターゼの面指数<101>のピーク強度比が、I<11
0>/I<101>=0/1であった。
【0037】実施例7 金属酸化物としてSnO2を5重量%含むITO焼結体
を使用し、圧力勾配型放電によるイオンプレーティング
法により、放電電流値190Aで膜厚500Åになるよ
うに、PETフィルムの1面上に金属酸化物薄膜を成膜
し、さらにその金属酸化物薄膜からなる透明導電層上に
酸化チタン蒸着膜を厚さ500Åに成膜し、酸化チタン
蒸着フィルムを作製した。
【0038】実施例8 酸化チタン蒸着膜を厚さ2000Åに成膜を行う以外、
実施例7と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製した。
【0039】比較例1 Cu薄膜を10Åの厚さに蒸着を行い、そのCu薄膜上
にTiO2薄膜を200Åの厚さに蒸着を行う以外、実
施例1と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製した。
【0040】比較例2 Cu薄膜を10Åの厚さに蒸着を行い、そのCu薄膜上
にTiO2薄膜を5000Åの厚さに蒸着を行う以外、
実施例1と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製した。
【0041】比較例3 Cu薄膜を50Åの厚さに蒸着を行い、そのCu薄膜上
にTiO2薄膜を50Åの厚さに蒸着を行う以外、実施
例1と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製した。
【0042】比較例4 実施例5と同様にして、酸化チタン蒸着フィルムを作製
した。ただし、高周波イオンプレーティング法により、
高周波出力500Wとし、蒸着速度25Å/秒で膜厚1
000Åの酸化チタン膜を形成した。その時の酸化チタ
ンの結晶性は、X線回折パターンで2θ=20〜30度
に存在するルチルの面指数<110>のピーク強度とア
ナターゼの面指数<101>のピーク強度比が、I<1
10>/I<101>=1/0であった。
【0043】比較例5 実施例5と同様にして、酸化チタン蒸着フィルムを作製
した。ただし、高周波イオンプレーティング法により、
高周波出力0Wとし、蒸着速度5Å/秒で膜厚1000
Åの酸化チタン膜を形成した。その時の酸化チタンの結
晶性は、X線回折パターンで2θ=20〜30度に存在
するルチルの面指数<110>のピーク強度とアナター
ゼの面指数<101>のピーク強度比が、I<110>
/I<101>=1/5であった。
【0044】比較例6 実施例5と同様にして、酸化チタン蒸着フィルムを作製
した。ただし、高周波イオンプレーティング法により、
高周波出力20Wとし、蒸着速度8Å/秒で膜厚110
00Åの酸化チタン膜を形成した。その時の酸化チタン
の結晶性は、X線回折パターンで2θ=20〜30度に
存在するルチルの面指数<110>のピーク強度とアナ
ターゼの面指数<101>のピーク強度比が、I<11
0>/I<101>=1/3であった。
【0045】比較例7 放電電流値190Aで膜厚30Åになるように金属酸化
物薄膜を成膜し、さらにその金属酸化物薄膜上に酸化チ
タン蒸着膜を厚さ500Åに成膜を行う以外、実施例7
と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製した。
【0046】比較例8 酸化チタン蒸着膜を厚さ50Åに成膜を行う以外、実施
例7と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製した。
【0047】比較例9 酸化チタン蒸着膜を厚さ11000Åに成膜を行う以
外、実施例7と同様に酸化チタン蒸着フィルムを作製し
た。
【0048】
【表1】
【0049】実施例1〜4より、下地の金属薄膜または
金属酸化物薄膜を50〜10000Å設け、その金属薄
膜または金属酸化物薄膜上に酸化チタン薄膜を100〜
10000Å設けることにより、アンモニアの分解率が
90%以上あり、密着性の良好な酸化チタン薄膜を得ら
れた。一方、比較例1では、金属薄膜または金属酸化物
薄膜が50Å未満であるため、アンモニア分解率、密着
性とも充分なものが得られず、比較例2では、金属薄膜
または金属酸化物薄膜の膜厚が薄いため、高分子フィル
ムPETフィルムの隠蔽効果が充分に得られず、密着性
にも問題を生じた。また比較例3では、酸化チタン薄膜
の膜厚が薄いため、充分なアンモニア分解率が得られな
い等の問題を生じた。
【0050】表1の実施例5,6より明らかなように、
酸化チタン薄膜のX線回折パターンが、ルチルの面指数
<110>のピーク強度とアナターゼの面指数<101
>のピーク強度比が、I<110>/I<101>=0/
1〜1/3の時、アンモニアガスの残留率が、2%以下
となった。一方、比較例1では、アンモニアガスの残留
率は、70%以上となり、分解能が低かった。また比較
例4では、アンモニアガスの残留率は、48.5%であ
ったが、密着性が弱かった。また比較例5では、アンモ
ニアガスの残留率は、2%以下であったが、全光線透過
率が35%と低かった。
【0051】実施例7,8より、高分子フィルム上に圧
力勾配型放電方式によるイオンプレーティング法により
所定厚さの金属酸化物薄膜を設け、さらにその金属酸化
物薄膜上に所定膜厚の酸化チタン蒸着膜を設けることに
より、周波数範囲1〜300MHzで30dBの電磁波
シールド性能を有し、かつ波長550nmでの光線透過
率が70%以上であり、防臭、防汚、抗菌性に優れた電
磁波シールド用に適する酸化チタン蒸着フィルムが得ら
れた。
【0052】
【発明の効果】 本発明に係る酸化チタン蒸着フィルム
は、高分子フィルム上に金属薄膜または金属酸化物薄膜
を50Å〜10000Å形成し、その金属薄膜または金
属酸化物薄膜上に酸化チタン薄膜を100Å〜1000
0Å形成することにより、高分子フィルムとの密着性が
良好で、光触媒反応を利用した悪臭分解能を有し、かつ
周波数1〜300MHzの範囲内で30dB以上の電磁
波シールド性能を有するものであり、実用上極めて有用
である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA17B AA17E AA21C AA21D AB01B AB01E AB17 AB33 AB33B AB33E AK01A AK41 AT00A BA10C BA10D EH66B EH66C EH66D EH66E EH662 GB08 JD08 JL08 JM02B JM02C JM02D JM02E JN01 YY00B YY00C YY00D YY00E 4K029 AA11 AA25 BA08 BA48 BB02 BB07 BC00 CA03 EA01 5E321 AA23 AA46 BB23 BB25 CC16 GG05 GH01

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高分子フィルムと、その少なくとも1面
    上に、金属薄膜または金属酸化物薄膜を、さらに酸化チ
    タン薄膜を順次積層してなることを特徴とする酸化チタ
    ン蒸着フィルム。
  2. 【請求項2】 前記金属薄膜または金属酸化物薄膜の膜
    厚が、50〜10000Åである請求項1記載の酸化チ
    タン蒸着フィルム。
  3. 【請求項3】 前記酸化チタン薄膜の膜厚が、100〜
    10000Åである請求項1記載の酸化チタン蒸着フィ
    ルム。
  4. 【請求項4】 前記酸化チタン薄膜が、X線回折パター
    ンで2θ=20〜30度に存在するルチル型結晶のピー
    ク強度とアナターゼ型結晶のピーク強度との比I<11
    0>/I<101>=0/1〜1/3である酸化チタン
    から形成したものである請求項1または請求項3記載の
    酸化チタン蒸着フィルム。
  5. 【請求項5】 前記金属薄膜または金属酸化物薄膜が、
    圧力勾配型放電によるイオンプレーティング法で形成さ
    れたものである請求項1または請求項2記載の酸化チタ
    ン蒸着フィルム。
  6. 【請求項6】 前記酸化チタン薄膜が、高周波イオンプ
    レーティング法で形成されたものである請求項1記載の
    酸化チタン蒸着フィルム。
  7. 【請求項7】 全光線透過率が70%以上である請求項
    1から請求項6記載の酸化チタン蒸着フィルム。
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