JP2000095947A - 導電性樹脂組成物 - Google Patents

導電性樹脂組成物

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JP2000095947A
JP2000095947A JP26557598A JP26557598A JP2000095947A JP 2000095947 A JP2000095947 A JP 2000095947A JP 26557598 A JP26557598 A JP 26557598A JP 26557598 A JP26557598 A JP 26557598A JP 2000095947 A JP2000095947 A JP 2000095947A
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resin
weight
flame retardant
graphite
carbon fiber
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JP26557598A
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Kazuyuki Wakamura
和幸 若村
Kenji Kamiya
謙司 上谷
Yukinari Negi
行成 祢▲ぎ▼
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Unitika Ltd
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 導電性が高く電磁波のシールド性に優れ、剛
性が高く、反りの小さい成形品とすることのできる導電
性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 導電性樹脂組成物であって、熱可塑性樹
脂100重量部に対し、炭素繊維5〜40重量部と膨張
黒鉛5〜60重量部とを配合してなる。前記熱可塑性樹
脂はポリアミド樹脂が好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電性が高く電磁
波のシールド効果に優れ、剛性が高く、しかも反りの小
さい成形品とすることのできる導電性樹脂組成物に関
し、特に電気機器の筐体部品、中でもパソコンの筐体と
して好適に使用できる導電性樹脂組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】パソコンの筐体やカバーなどの電磁波シ
ールド用材料として使用される樹脂組成物には、電磁波
をシールドするために高い導電性が要求される。このよ
うな要求を満たすものとして、熱可塑性樹脂のマトリク
ス中に導電性のフィラーを分散した樹脂組成物が提案さ
れている。
【0003】熱可塑性樹脂に配合するフィラーとして
は、導電性を有し、しかも強化剤として効果も有するこ
とから一般に炭素繊維が使用されている。熱可塑性樹脂
に炭素繊維を配合した樹脂組成物からなる成形品は、剛
性に優れ、導電性を有するものの、電磁波のシールドを
目的として使用するためには、さらに高い導電性を有す
る必要があり、そのためには炭素繊維を熱可塑性樹脂に
多量に配合する必要がある。
【0004】しかしながら、上記のように多量に炭素繊
維を配合した樹脂組成物を成形品にすると、炭素繊維が
配向して反りが大きくなり、そのうえコスト高になると
いう問題がある。
【0005】このような問題を解決するものとして、特
開平3−181532号公報には、例えば、ポリエステ
ル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ
アミド樹脂、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン
共重合体(以下「ABS」と称す)、ポリアセタール樹
脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリカーボネ
ート樹脂などの熱可塑性樹脂に、粒径が20μm以下の
膨潤黒鉛を5〜30重量%の割合で配合した樹脂組成物
が提案されている。この樹脂組成物からなる成形品は、
反りは小さくなるものの、導電性の点で炭素繊維が配合
された成形品に較べて劣るものとなる。
【0006】また、膨張黒鉛は強化剤としての役割が十
分でないため、得られた成形品は、電気機器の筐体など
として使用するには剛性が不十分なものとなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記問題点を
解決し、導電性が高く電磁波のシールド性に優れ、剛性
が高く、しかも反りの小さい成形品とすることのできる
導電性樹脂組成物を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討をした結果、本発明に至った
ものである。すなわち本発明は、熱可塑性樹脂100重
量部に対し、炭素繊維5〜40重量部と、膨張黒鉛5〜
60重量部とを配合してなる導電性樹脂組成物を要旨と
するものである。
【0009】本発明によれば、熱可塑性樹脂に対し炭素
繊維を配合することで、樹脂組成物に導電性と高い剛性
とが付与される。ただし、熱可塑性樹脂に炭素繊維を配
合するだけで電磁波をシールドするだけの高い導電性を
付与しようとすれば、炭素繊維を多量に配合する必要が
生じる。炭素繊維を多量に配合すると、炭素繊維の配向
によって成形品の反りが大きくなったり、成形品の表面
に炭素繊維が浮き出して外観不良となる。
【0010】ところが本発明では、前記炭素繊維に加え
て導電性を有する膨張黒鉛を配合することで、熱可塑性
樹脂に対する炭素繊維の配合量を少なくすることがで
き、成形品とした際の反りを小さくして、外観性の良い
ものとすることができる。
【0011】すなわち、熱可塑性樹脂に炭素繊維を配合
することで剛性を付与し、導電性を有する膨張黒鉛を配
合することで成形品の反りを抑えるとともに高い導電性
を付与することができる。
【0012】そのため、電気機器の筐体、特にパソコン
の筐体やカバーとして好適に使用できる導電性樹脂組成
物を提供することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の導電性樹脂組成物は、熱
可塑性樹脂100重量部に対し、炭素繊維5〜40重量
部と、膨張黒鉛5〜60重量部とを配合する必要があ
る。
【0014】熱可塑性樹脂100重量部に対する炭素繊
維の配合割合が5重量部よりも少なくなると、成形品と
した際の剛性に劣り、配合割合が40重量部を超える
と、炭素繊維が配向して成形品の反りが大きくなるため
外観性に劣る。
【0015】熱可塑性樹脂100重量部に対する膨張黒
鉛の配合割合が5重量部よりも少なくなると、導電性を
付与するために炭素繊維を多量に配合する必要が生じて
成形品とした際の反りが大きくなり、配合割合が60重
量部を超えると、機械的特性が低下する。
【0016】導電性樹脂組成物の主成分となる熱可塑性
樹脂としては、例えば、ナイロン6やナイロン66など
のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリ
ブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリ
カーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、塩化ビニル樹
脂、ポリエチレン樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素
化ポリプロピレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチ
レン樹脂、アクリロニトリル・スチレン系樹脂、ABS
樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、熱可塑性
ポリイミド樹脂、ブタジエン樹脂、ポリアセタール樹
脂、アイオノマー樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹
脂、エチレン−酢酸ビニルコポリマー樹脂、ポリフェニ
レンオキサイド樹脂、変性ポリフェニレンオキサイド樹
脂、ポリサルホン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹
脂、フェノキシ樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリ
ビニルブチラール樹脂などが挙げられ、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリア
リレート樹脂が好ましく、中でもポリアミド樹脂は炭素
繊維や膨張黒鉛との親和性が良好である点で特に好まし
い。
【0017】ポリアミド樹脂としては、ラクタム、アミ
ノカルボン酸及び/又はジアミンとカルボン酸などのモ
ノマーを重合して得られるホモポリアミドおよびコポリ
アミドそしてこれらの混合物が挙げられる。すなわち、
ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレン
アジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジ
パミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミ
ド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド
(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド
(ナイロン116)、ポリビス(4−アミノシクロヘキ
シル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポ
リビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタン
ドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリノ
ナメチレンテレフタルアミド(ナイロン9T)、ポリウ
ンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、
ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド
(ナイロン11T(H))、ポリウンデカミド(ナイロ
ン11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリトリ
メチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTM
DT)、ポリヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロ
ン6T)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイ
ロン6I)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロン
MXD6)及びこれらの共重合物、混合物等が挙げら
れ、中でも、ナイロン6、ナイロン66、これらの共重
合ポリアミドや混合ポリアミドが特に好ましい。
【0018】なお、本発明においては上記結晶性のポリ
アミド樹脂に非晶性ポリアミドを配合すると、外観性に
優れた樹脂組成物が得られる。非晶性ポリアミド樹脂と
しては、例えば、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサ
メチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシク
ロヘキシル)メタンの重縮合体、テレフタル酸/2,
2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,
4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イ
ソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキ
シル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体、イソフ
タル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮
合体、イソフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメ
チレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレ
ンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,
4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合
体、イソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシク
ロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体等
が挙げられる。また、これらの重縮合体を構成するテレ
フタル酸成分及び/又はイソフタル酸成分のベンゼン環
が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含ま
れる。さらに、これらの非晶性ポリアミドは2種以上併
用することもできる。好ましくは、イソフタル酸/テレ
フタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル
−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、又は
テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレン
ジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジア
ミンの重縮合体、又はイソフタル酸/テレフタル酸/ヘ
キサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノ
シクロヘキシル)メタンの重縮合体とテレフタル酸/
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,
4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体
との混合物が用いられる。
【0019】ポリアミド樹脂の結晶性の緩和を考慮する
と、この非晶性ポリアミド樹脂の融解熱量は、示差走査
熱量計を用いて窒素雰囲気下で16℃/分の昇温速度に
より測定したとき、1cal/g以下であることが好ま
しい。
【0020】結晶性ポリアミドと非晶性ポリアミドとの
配合割合は特に限定されるものではないが、(結晶性ポ
リアミド)/(非晶性ポリアミド)=50/50〜95
/5(重量比)であることが好ましい。非晶性ポリアミ
ドが5重量%より少ないと、高濃度に導電剤(炭素繊維
と膨張黒鉛)を配合した際に、表面平滑性すなわち光沢
度が失われる傾向にあり、非晶性ポリアミドが50重量
%より多いと、高濃度に導電剤を配合した際に、非晶性
ポリアミドは一般的に溶融粘度が高いため高温の金型で
成形しなければ平滑な表面が得られず、又結晶性が低く
なるため射出成形等での成形サイクルが延び生産性が悪
くなる。
【0021】本発明に用いるポリアミド樹脂の相対粘度
は、特に限定されないが、溶媒として96重量%濃硫酸
を用いて温度が25℃で濃度が1g/dlの条件で測定
した相対粘度が、1.4〜4.0の範囲であることが好
ましい。相対粘度が1.4より小さいと、低粘度の為、
溶融混練後の引き取り性が困難となり組成物に所望の物
性が得られにくくなる。また4.0より大きいと、高粘
度のため成形加工時の流動性が悪く、十分な射出圧力が
かからないため、成形品が作りにくくなる。
【0022】本発明において、導電剤および強化剤とし
ての役割を果たす炭素繊維は、高強度、高導電率を有す
るポリアクリロニトリル系(PAN系)やピッチ系の炭
素繊維が挙げられる。PAN系炭素繊維としては、具体
的には、東邦レーヨン社製のベスファイト・チョップド
ファイバーやベスファイト・ミルドファイバー、東レ社
性のトレカ・チョップドファイバーやトレカ・ミルドフ
ァイバーなどが挙げられ、また、ピッチ系炭素繊維とし
ては、具体的には、大阪ガス社製のドナカーボ・チョッ
プドファイバーやドナカーボ・ミルドファイバー、クレ
ハ化学社製のクレカ・チョップドファイバーやクレカ・
ミルドファイバーなどが挙げられる。
【0023】炭素繊維は繊維長が40μm〜7mmのも
のが好ましく、0.1〜6mmのものが特に好ましい。
また、繊維径は6〜8μmの範囲にあるものが好まし
い。本発明で導電剤として配合される膨張黒鉛は、リン
片状黒鉛に硫酸などによる薬品処理を施して層間化合物
としてから加熱膨張させたものである。すなわち、一般
の方法によって得られるものが使用され、例えば、天然
鱗状黒鉛を濃硫酸−濃硝酸の混酸などで処理した後に洗
浄脱水を行い、800℃〜1200℃で膨張させること
により原料黒鉛の体積の10〜200倍に膨張した膨張
黒鉛を得ることができる。黒鉛としては、天然の鱗状黒
鉛や、人造黒鉛などが使用できる。黒鉛を酸処理する系
としては、発煙硝酸、濃硫酸−過マンガン酸カリウム、
濃硫酸、過硫酸アンモニウムなどが使用できる。
【0024】本発明に使用する膨張黒鉛の形状は、均一
混合性、導電性改善効果などを考慮すると、その大きさ
を1〜100μm、特に5〜50μmとすることが望ま
しい。あまり大きすぎる場合には、均一混合性や組成物
としての成形性などに難点が生じ、空隙のない緻密な成
形品が得られ難くなる。
【0025】上記のように構成された導電性樹脂組成物
には、臭素系難燃剤あるいは赤リン系難燃剤を、熱可塑
性樹脂100重量部に対し50重量部以下、好ましくは
20〜40重量部の割合で配合すると、上記の特性に加
えてさらに難燃性も向上できるため好ましい。配合割合
が50重量部を超えると、成形品としての機械的強度が
損なわれる傾向にある。
【0026】本発明で用いる臭素系難燃剤は、臭素含有
率が50〜90重量%であるものが好ましい。臭素含有
率が50重量%未満では、難燃効果に乏しく多量の難燃
剤を添加する必要があり、機械的強度が損なわれる。ま
た、臭素含有率が90重量%を超えると、成形加工時に
臭素が遊離しやすいので本発明の効果を充分発揮するこ
とができない。具体的には、例えば、臭素化ポリスチレ
ン、臭素化架橋芳香族重合体、臭素化スチレン/無水マ
レイン酸共重合体、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭
素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂などがある
が、中でもとくに臭素化ポリスチレンが好適に使用でき
る。
【0027】ここで用いられる臭素化ポリスチレンとし
ては、ポリスチレンに臭素を付加させたもの、もしくは
臭素が付加したスチレンモノマーを重合したもの、ある
いはこれらの両者の混合物が挙げられ、特に、臭素を付
加したスチレンモノマーを重合したグレートレイクス社
製のPDBSや、ポリスチレンに臭素を付加させたフェ
ロ社製のパイロチェック68PBが、色調、流動性及び
耐熱性の点で好ましい。
【0028】赤リン系難燃剤としては、赤リンの名称で
販売されている様々な色の同素体種(赤、紫または黒リ
ン)が使用できる。熱可塑性樹脂に配合する際の赤リン
の形状は特に限定されるものではないが、樹脂組成物へ
の分散性を考慮すると、一般的に微細に分割された形、
例えば200μm以下の粒子径に分割された形、好まし
くは1〜100μmの範囲の平均粒径を有する粒子の形
の赤リンを使用するのが望ましい。
【0029】赤リンは、赤リンのみで使用してもよく、
必要に応じて赤リン粒子の表面をポリマー皮膜で被覆し
た形状で使用しても良い。赤リン粒子の表面を被覆する
ポリマーとしては、エポキシ樹脂や、マレイン酸、フマ
ル酸またはアリル不飽和結合を有するポリマーや、50
〜90℃の融点でかつ10000以下の分子量を有する
不飽和ポリエステルや、ノボラックタイプの熱可塑性フ
ェノール−ホルムアルデヒド重縮合生成物や、熱可塑性
フェノール−イソブチルアルデヒド重縮合生成物が挙げ
られ、中でも熱可塑性フェノール−イソブチルアルデヒ
ド重縮合生成物が好適に使用できる。これらのポリマー
の配合量は特に限定されるものではないが、赤リンと被
覆用ポリマーとの混合物の合計重量に対し高々90重量
%であり、一般的には、5〜50重量%であることが好
ましい。
【0030】また、本発明の樹脂組成物には、難燃剤の
効果を十分に引出す目的で上記の難燃剤に加えて難燃助
剤を配合しても良い。臭素系難燃剤とともに使用する難
燃助剤としては、三酸化アンチモン、アンチモン酸ナト
リウム、酸化スズ(IV)、酸化鉄(III)、酸化亜
鉛、ホウ酸亜鉛などが挙げられ、赤リン系難燃剤ととも
に使用する難燃助剤としては、ポリリン酸メラミン、メ
ラミンシアヌレート、水酸化マグネシウムなどが挙げら
れる。難燃助剤の難燃剤に対する配合割合は、重量比で
難燃剤:難燃助剤=5:1〜1:1であることが好まし
い。
【0031】また、本発明の導電性樹脂組成物には、さ
らに加えて必要に応じて離型剤、熱安定剤、酸化防止
剤、光安定剤、滑剤、顔料、可塑剤、架橋剤、耐衝撃性
向上剤、無機物、染料などの各種添加剤を添加してもよ
く、これらは樹脂組成物を溶融混練もしくは溶融成形す
る際に加えられる。
【0032】本発明の導電性樹脂組成物の製造方法は特
に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂と炭素繊維
と膨張黒鉛と、必要に応じて配合した難燃剤および各種
の添加剤とともに二軸押出機を用いて溶融混練し、ペレ
ット化することが好ましい。このようにして得られた樹
脂組成物により成形品を得るためには、射出成形機を用
いて、前記樹脂組成物を射出成形すればよい。
【0033】上記のように構成された導電性樹脂組成物
からなる成形品は、導電性が高く電磁波シールド効果に
優れ、剛性が高く、反りが小さい成形品とすることがで
きるため、電気機器の筐体、特にパソコンの筐体やカバ
ー、メカニカル軸受けや、メカニカルパッキングシール
剤として好適に使用できる。
【0034】
【実施例】次に実施例に基づき本発明を具体的に説明す
るが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるもので
はない。なお、以下の実施例、比較例における各種物性
値の測定は、以下の方法により実施した。
【0035】(1)相対粘度:ポリアミド樹脂の相対粘
度は、96重量%の濃硫酸を溶媒として、濃度1g/d
l、温度25℃の条件で測定した。
【0036】(2)導電性(Ω・cm):ASTM−D
257記載の方法に準じて体積固有抵抗を測定した。
【0037】(3)反り:厚み1.6mmで直径100
mmの円板成形品を水平盤上に置き最大高さと最小高さ
をゲージで測定しその差を反り量とし、以下の評価法に
より3段階で評価した。なお、完全に反りがない場合に
は反り量の値は0になる。
【0038】 ○:反り量が1mm未満であった △:反り量が1mm以上5mm未満の範囲であった ×:反り量が5mm以上であった
【0039】(4)曲げ弾性率(GPa):ASTM−
D790に記載の方法に準じて測定した。
【0040】(5)難燃性:UL−94規格に準じ、長
さ127mm、幅12.7mm、厚さ0.8mmの試験
片を用いて測定した。すなわち、まず初めに試験片を垂
直に保ち、下端にバーナーの火を10秒間接炎させた
後、炎を取り除き、試験片に着火した火が消える時間を
測定した。次に、火が消えると同時に2回目の接炎を1
0秒間実施し、1回目と同様にして着火した火が消える
時間を測定した。また、試験片の下に設置した綿が落下
する火種により着火するか否かについても同時に評価し
た。
【0041】1回目と2回目の燃焼時間、綿の着火の有
無などから、燃焼ランクをつけた。UL−94規格によ
れば、難燃性のランクはV−0が最高のものであり、以
下V−1、V−2、HBとなるにつれて難燃性は低下す
る。
【0042】実施例1 熱可塑性樹脂として相対粘度2.3のナイロン6(ユニ
チカ社製、A1030BRL)100重量部と、炭素繊
維(東邦レーヨン社製、ベスファイト・チョップドファ
イバー HTA−CMF−0160)25重量部と、膨
張黒鉛(丸豊鋳型材製作所社製、カルファイトCS−1
00)55重量部とを用いた。
【0043】上記配合割合のナイロン6と炭素繊維と膨
張黒鉛とを、シリンダー温度を280℃に設定した内径
37mmの2軸押出機(東芝機械社製、TEM−37B
S)を用いて溶融混練し、ストランド状に押出し、冷却
した後、切断することにより樹脂ペレットを作製した。
【0044】得られた樹脂ペレットは、100℃の温度
で12時間真空乾燥した。この樹脂ペレットを用いて、
シリンダー温度280℃、金型温度80℃に調整された
射出成形機(東芝機械社製、IS−100E)により上
述の試験片を作製した。
【0045】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例2 熱可塑性樹脂としてナイロン6の代りに、相対粘度2.
7のナイロン66(デュポン社製、ザイテル101)を
用いた。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、試験
片を作製した。
【0048】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率及び難燃性の測定結果を表1に示す。
【0049】実施例3 熱可塑性樹脂としてナイロン6の代りに、ポリエチレン
ナフタレート(ユニチカ社製、MA−2103)を用い
た。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、試験片を
作製した。
【0050】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表1に示す。
【0051】実施例4 熱可塑性樹脂としてナイロン6の代りに、ポリアリレー
ト(ユニチカ社製、U−100)を用いた。そしてそれ
以外は実施例1と同様にして、試験片を作製した。
【0052】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表1に示す。
【0053】実施例5 熱可塑性樹脂としてナイロン6の代りに、ポリカーボネ
ート(出光石油化学工業社製、タフロンIV2500)
を用い、溶融混練および成形時の温度を300℃に変え
た。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、試験片を
作製した。
【0054】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表1に示す。
【0055】実施例6 熱可塑性樹脂としてナイロン6とナイロン66とをそれ
ぞれ50重量部づつ用い、溶融混練および成形時の温度
を270℃に変えた。そしてそれ以外は実施例1と同様
にして、試験片を作製した。
【0056】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表1に示す。
【0057】実施例1〜6は、いずれも熱可塑性樹脂に
対し炭素繊維と膨張黒鉛とが本発明の範囲内の割合で配
合されていたため、導電性が良く、反りが小さく、剛性
の高い成形品とすることのできる樹脂組成物が得られ
た。
【0058】なお、いずれの樹脂組成物も難燃剤が配合
されていなかったため、難燃性に劣るものであった。
【0059】比較例1 導電剤として炭素繊維50重量部のみを用い、膨張黒鉛
を配合しなかった。そしてそれ以外は実施例1と同様に
して、試験片を作製した。
【0060】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】実施例7〜実施例10 炭素繊維と膨張黒鉛の配合割合をそれぞれ表2に示すよ
うにした。そしてそれ以外は実施例1と同様にして、試
験片を作製した。
【0063】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表2に示す。
【0064】比較例2 導電剤として膨張黒鉛50重量部のみを用い、炭素繊維
を配合しなかった。そしてそれ以外は実施例1と同様に
して、試験片を作製した。
【0065】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表2に示す。
【0066】比較例1は膨張黒鉛が配合されていなかっ
たため、成形品とした際の反りが大きくなった。実施例
7〜10は、いずれもナイロン6に対する炭素繊維と膨
張黒鉛との配合割合が本発明の範囲内であったため、導
電性に優れ、反りが小さく、しかも曲げ弾性率に優れた
ものが得られた。
【0067】比較例2は、炭素繊維が配合されていなか
ったため、曲げ剛性に劣るものとなった。なお、上記比
較例1、2および実施例7〜10はいずれも難燃剤が配
合されていなかったため、難燃性に劣るものであった。
【0068】実施例11 熱可塑性樹脂として、結晶性のポリアミド樹脂であるナ
イロン6(ユニチカ社製、A1030BRL)70重量
部と、非晶性ポリアミド樹脂であるイソフタル酸/テレ
フタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル
−4アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体(ユニチ
カ社製、CX−3000)30重量部とを用いた。そし
てそれ以外は実施例8と同様にして、試験片を作製し
た。
【0069】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性の測定結果を表2に示す。
【0070】実施例11は、炭素繊維および膨張黒鉛の
配合割合が本発明の範囲内であったため、上記実施例1
〜10と同様に導電性に優れ、反りが小さく、剛性の高
いものであった。さらに、結晶性のナイロン6に加えて
非晶性のナイロンを配合したため、外観性が良く、光沢
感のあるものが得られた。ただし、難燃剤は配合されて
いなかったため、難燃性には劣るものであった。
【0071】実施例12 実施例1と同様のナイロン6と、炭素繊維と、膨張黒鉛
とに加えて、さらに難燃剤として臭素化ポリスチレン
(フェロ社製、パイロチェック68PB)30重量部と
難燃助剤として三酸化アンチモン(日本精鉱社製、PA
TOX−M)10重量部とを用いた。そしてそれ以外は
実施例1と同様にして試験片を作製した。
【0072】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率および難燃性を表3に示す。
【0073】
【表3】
【0074】実施例13 難燃剤として赤リン(リン化学社製、ノーバエクセル1
40)30重量部と、難燃助剤としてポリリン酸メラミ
ン(日産化学工業社製、PMP−100)10重量部と
を用いた。そしてそれ以外は実施例12と同様にして、
試験片を作製した。
【0075】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率及び難燃性の測定結果を表3に示す。
【0076】実施例14 熱可塑性樹脂として相対粘度2.7のナイロン66(デ
ュポン社製、ザイテル101)100重量部を用い、難
燃剤として臭素化ポリスチレン(フェロ社製、パイロチ
ェック68PB)30重量部と、難燃助剤である三酸化
アンチモン(日本精鉱社製、PATOX−M)10重量
部とを用いた。そしてそれ以外は実施例12と同様にし
て、試験片を作製した。
【0077】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率及び難燃性の測定結果を表3に示す。
【0078】実施例12〜14はいずれも、炭素繊維と
膨張黒鉛とが配合されるとともに、難燃剤および難燃助
剤が配合されていたため、導電性や剛性に優れ、反りが
小さいだけでなく、難燃性にも優れたものであった。
【0079】比較例3 導電剤として膨張黒鉛を用いずに炭素繊維のみを用い
た。そしてそれ以外は実施例12と同様にして、試験片
を作製した。
【0080】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率及び難燃性の測定結果を表3に示す。
【0081】比較例4 導電剤として炭素繊維を用いずに膨張黒鉛のみを用い
た。そしてそれ以外は実施例12と同様にして、試験片
を作製した。
【0082】得られた試験片の導電性、反りの大小、曲
げ弾性率及び難燃性の測定結果を表3に示す。
【0083】比較例3,4は、難燃剤および難燃助剤が
配合されていたため難燃性に優れたものであった。しか
し、比較例3は、膨張黒鉛が配合されていなかったため
反りが大きく、比較例4は、炭素繊維が配合されていな
かったため剛性に劣るものであった。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、熱可塑性樹脂に炭素繊
維を所定の割合で配合することで、導電性に加えて高い
剛性が得られる。また、前記熱可塑性樹脂と炭素繊維と
に加えて膨張黒鉛を所定の割合で配合することで、電磁
波のシールド用に使用できる程の導電性が得られるとと
もに、成形品とした際に反りの小さい成形品とすること
ができる。
【0085】また、本発明においては、熱可塑性樹脂と
炭素繊維と膨張黒鉛とに加えてさらに難燃剤を配合する
ことで、導電性樹脂組成物に難燃性が付与される。従っ
て、導電性や剛性を必要とする電磁波シールドとして好
適に使用でき、特に成形品とした際の反りを抑えること
ができるため、電気機器、特にパソコンの筐体やカバー
として好適に使用できる導電性樹脂組成物を提供でき
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01Q 17/00 H01Q 17/00 (72)発明者 祢▲ぎ▼ 行成 京都府宇治市宇治樋ノ尻31−3 ユニチカ 株式会社宇治プラスチック工場内 Fターム(参考) 4J002 AA011 AC031 BB031 BB061 BB121 BB231 BB241 BC031 BC061 BC112 BD041 BD061 BD101 BE061 BF021 BG041 BG051 BH012 BN151 CB001 CD122 CF061 CF071 CF161 CG001 CH071 CH072 CH081 CH082 CL001 CL011 CL031 CL051 CM041 CN031 DA016 DA027 DA058 FA017 FA046 FB077 FD016 FD116 FD117 FD132 FD138 GG01 GQ02 GR01 5G301 DA19 DA20 DA32 DA42 DA51 DA53 DD06 DD08 5J020 BD02 BD03 EA03 EA04 EA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂100重量部に対し、炭素
    繊維5〜40重量部と、膨張黒鉛5〜60重量部とを配
    合してなることを特徴とする導電性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 熱可塑性樹脂が、ポリアミド樹脂である
    ことを特徴とする請求項1記載の導電性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 臭素系難燃剤あるいは赤リン系難燃剤
    を、熱可塑性樹脂100重量部に対し50重量部以下の
    割合で配合したことを特徴とする請求項1記載の導電性
    樹脂組成物。
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