JP2000095849A - ベンゾトリアゾール基含有ポリエステル、その製造方法、それを含む紫外線吸収剤、及び合成樹脂組成物 - Google Patents

ベンゾトリアゾール基含有ポリエステル、その製造方法、それを含む紫外線吸収剤、及び合成樹脂組成物

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JP2000095849A
JP2000095849A JP26587798A JP26587798A JP2000095849A JP 2000095849 A JP2000095849 A JP 2000095849A JP 26587798 A JP26587798 A JP 26587798A JP 26587798 A JP26587798 A JP 26587798A JP 2000095849 A JP2000095849 A JP 2000095849A
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synthetic resin
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Toshiro Endo
敏郎 遠藤
Tomohisa Isobe
知久 磯部
Koichi Okumura
浩一 奥村
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Daicel Chemical Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規なベンゾトリアゾール基含有ポリエステ
ル、その製造方法、それを含む紫外線吸収剤、及び耐光
性及び耐薬品性に優れる樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 3−(5−クロロ−2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエチル)
−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノール、3−(2H
−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−
ベンゼンエタノール、3−(5−メチル−2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエチル)
−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノール、ビス[3−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロ
キシ−ベンゼンエタノール]メタン等に、そのアルコー
ル性水酸基においてラクトン類を開環付加重合させて、
ベンゾトリアゾール基含有ポリエステルが得られ、これ
を紫外線吸収剤に用いて熱可塑性樹脂に配合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なベンゾトリ
アゾール基含有ポリエステル、その製造方法、それを含
む紫外線吸収剤、及び紫外線吸収剤を配合した耐光性お
よび耐薬品性に優れた樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】高強度、高耐久性及び良好な成形加工性
を有する合成樹脂は、例えば自動車、電気・電子、建築
等の広範な産業分野において汎用されているが、日光等
の紫外線を含む光に曝されると、紫外線によって劣化や
変色を受け、分子量低下ひいては強度低下を起こすとい
う欠点を有している。
【0003】合成樹脂の紫外線に対する耐久性(耐光
性)を向上させるために、紫外線吸収剤を添加すること
が通常行なわれている。このような紫外線吸収剤として
は、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール、5−クロロ−2−(2’−
ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール類や
2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ
−4−オクチルオキシベンゾフェノン等のベンゾフェノ
ン等が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
従来の紫外線吸収剤は低分子量の低沸点化合物であるた
め、これらを合成樹脂に添加すると種々の不都合を生ず
る。例えば紫外線吸収剤を多量に添加すると、相分離を
起こして合成樹脂の透明性や機械的強度を低下させるこ
とになる。そこで紫外線吸収剤の添加を極力少量に止め
ているが、その場合には合成樹脂の耐光性を満足できる
程度に向上し得ない。また紫外線吸収剤は合成樹脂の成
形時に揮散又は熱分解したり、或いは成形品表面に滲み
出すため、長期に亙って安定な耐光性を合成樹脂に付与
することが不可能になる。
【0005】上記のような欠点を解消するために、上記
紫外線吸収剤にビニル基等の重合性二重結合を有する基
を付与し、このものを重合させて高分子量化し、樹脂と
の相溶性を改善したり、紫外線吸収剤の揮散、熱分解、
滲出等を防止しようとする試みがなされている(特開昭
60−38411号公報、特開昭62−181360号
公報、特開平3−281685号公報等)。
【0006】しかしながら、これら紫外線吸収性重合体
にも、次に示すような欠点があり、改善の余地が残され
ている。即ち、合成樹脂の種類によっては相溶性が不充
分であり、やはり合成樹脂の機械的強度を低下させる。
この傾向は特にポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ
塩化ビニリデン等の熱可塑性樹脂に顕著である。また長
期的な耐光性の点でも未だ満足できるものではない。更
に、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボ
ネート、ポリアミド、ポリエステル、熱可塑性ポリウレ
タン樹脂等の熱可塑性樹脂は極めて高い機械的強度を有
し、各種成形用材料として広く用いられているが、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、
ポリエステル及び熱可塑性ポリウレタン樹脂はアルカリ
成分によって分解を受け、その機械的強度が低下すると
いう欠点があり、またポリアミド樹脂はメタノール等の
汎用の溶剤に溶解するという欠点があり、いずれも耐ア
ルカリ性や耐溶剤性等の耐薬品性の改善が望まれてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
技術の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、公知の
紫外線吸収剤を原料にして得られる重合化合物が、広い
範囲の合成樹脂との相溶性に優れ、合成樹脂の好ましい
特性を損なうことなく優れた耐光性を付与することがで
き、しかも合成樹脂の成形時に揮散や熱分解を生ずるこ
とがなく且つ成形品表面に滲出することがないため、合
成樹脂に長期に亙って安定な耐光性を付与し得ることを
見い出した。更に上記特定の重合化合物を有効成分とす
る紫外線吸収剤は、耐アルカリ性や耐溶剤性に乏しい合
成樹脂に優れた耐アルカリ性や耐溶剤性を付与し得るこ
とをも見い出した。本発明は、斯かる知見に基づき完成
されたものである。
【0008】即ち、本発明の第1は、式(1)又は
(1’)で示されるベンゾトリアゾール基含有ポリエス
テルを提供する。
【0009】
【化3】
【0010】本発明の第2は、式(2)又は(2’)で
表わされる化合物に式(3)で表わされるラクトン類を
開環付加重合させて得られる本発明の第1に記載のベン
ゾトリアゾール基含有ポリエステルの製造方法を提供す
る。
【0011】
【化4】
【0012】本発明の第3は、本発明の第1に記載のベ
ンゾトリアゾール基含有ポリエステルを含有する紫外線
吸収剤を提供する。本発明の第4は、合成樹脂及び本発
明の第3に記載の紫外線吸収剤を含む樹脂組成物を提供
する。本発明の第5は、合成樹脂が、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリカーボネー
ト、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポ
リアミド、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン樹脂及び熱可塑性ポリウレタン樹脂からな
る群より選ばれた少なくとも1種である本発明の第4に
記載の樹脂組成物を提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の前記式(1)又は
(1’)で示されるベンゾトリアゾール基含有ポリエス
テル化合物は、新規な物質であり、合成樹脂の紫外線吸
収剤として使用できる。
【0014】前記式(1)又は(1’)で表わされるベ
ンゾトリアゾール基含有ポリエステルの製造方法として
は、前記式(2)又は(2’)で表わされるアルコール
に前記式(3)で表わされるラクトン類を開環付加重合
させて得るものである。
【0015】式(1)又は(1’)中、mは各ポリマー
分子については整数であるが、重合物全体では必ずしも
整数ではない。重合物全体のm又はm’が1未満である
と成形品表面への滲出が起こる傾向となり、逆にm又は
m’が20を越えると紫外線吸収性が不充分になる恐れ
が生ずるので、いずれも好ましくない。式(1)又は
(1’)で表わされる紫外線吸収性化合物としては、m
又はm’の値が上記の範囲内にある限り特に制限がなく
使用することができる。
【0016】前記式(2)で表わされるアルコール類と
しては、具体的には、3−(5−クロロ−2H−ベンゾ
トリアゾール−2−イル)−5−(1,1−ジメチルエ
チル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノール、3−
(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロ
キシ−ベンゼンエタノール、3−(5−メチル−2H−
ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−(1−メチルエ
チル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンプロパノール等が挙
げられる。
【0017】前記式(2’)で表わされるアルコール類
は、ビス[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノール]メタン等
が挙げられる。なお、式(2’)の二つのベンゾトリア
ゾール環には前記式(2)の置換基R1が置換されてい
てもよく、二つのベンゾトリアゾール環の置換基R1
互いに同じであっても、異なっていてもよい。
【0018】前記式(2)及び(2’)において、ラク
トン類が開環付加重合するベンゼン核に置換しているエ
タノール、プロパノール等のアルコールは末端アルコー
ル又は分岐アルコールであってもよい。
【0019】これらアルコール類は、合成物や市販品を
用いることができる他、エステル基を有する市販のベン
ゾトリアゾール系紫外線吸収剤をリチウムアルミニウム
ハイドライド等で還元することによっても得られる。
【0020】前記式(3)で表わされるラクトン類とし
てはε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラク
トン、モノメチル−ε−カプロラクトン、γ−ブチロラ
クトン、δ−バレロラクトン等が挙げられる。
【0021】前記式(2)又は(2’)で表わされるア
ルコールに、前記式(3)で表わされるラクトン類を開
環付加重合させる場合に用いる触媒としてはテトラエチ
ルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラプロピ
ルチタネート等の有機チタン系化合物、オクチル酸第一
スズ、ジブチルスズオキサイド、ジブチルスズジラウレ
ート、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩等の有機スズ化合
物、塩化第一スズ、臭化第一スズ、ヨウ化第一スズ等の
ハロゲン化第一スズ等が挙げられる。
【0022】触媒の使用量は仕込み原料アルコールに対
して0.1〜10,000ppm、好ましくは1〜5,
000ppmである。触媒の使用量が0.1ppm未満
ではラクトン類の開環反応が著しく遅く、経済的でな
い。逆に10,000ppm以上では開環反応時間は早
くなるが、得られたベンゾトリアゾール基含有ポリエス
テルを用いた合成樹脂の耐久性、耐水性などの物性が悪
くなるのでいずれも好ましくない。
【0023】反応温度は90〜240℃、好ましくは1
00〜220℃である。反応温度が90℃未満ではラク
トン類の開環反応が著しく遅く、経済的でない。逆に、
240℃以上では開環付加重合したポリラクトンの解重
合反応が生じるので、いずれも好ましくない。また、反
応中は窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気で合成すること
が製品の色相等に良い結果を与える。このようにして本
発明のベンゾトリアゾール基含有ポリエステルが合成さ
れる。
【0024】本発明において、ベンゾトリアゾール基含
有ポリエステル(紫外線吸収性化合物または紫外線吸収
性重合物とも称する。)を紫外線吸収剤として添加する
合成樹脂としては、特に限定がなく従来公知のものを広
く使用することができるが、本発明のベンゾトリアゾー
ル基含有ポリエステルの添加し易さ等を考慮すると、熱
可塑性樹脂がより好適に使用できる。熱可塑性樹脂とし
ては、例えばポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポ
リオレフィン、ポリカーボネート、ポリスチレン、アク
リル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミド、ポリエステ
ル、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(AB
S)樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、塩化ビニル−塩
化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニ
トリル−スチレン(AS)樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリ
フェニレンエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスル
ホン、ポリエーテルエーテルケトン、液晶プラスチック
等を挙げることができる。この中でも、例えばポリ塩化
ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリオレフィン、ポリカ
ーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、メタクリル
樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂、熱可塑
性ポリウレタン樹脂等を好ましく使用できる。更にこれ
らの中でもポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ
カーボネート、ポリエステル、熱可塑性ポリウレタン樹
脂等の耐アルカリ性に乏しい熱可塑性樹脂やポリアミド
等の耐溶剤性に乏しい熱可塑性樹脂を特に好ましく使用
できる。本発明ではこれら合成樹脂を1種単独で使用し
てもよいし、2種以上混合して使用してもよい。
【0025】本発明の組成物中に配合される前記合成樹
脂及び式(1)及び/又は(1’)の紫外線吸収性化合
物の配合割合としては、特に制限がなく広い範囲内から
適宜選択できるが、通常、合成樹脂:紫外線吸収性化合
物を重量比で80〜99.995:20〜0.005、
好ましくは90〜99.9:10〜0.1となるように
配合するのがよい。
【0026】本発明の組成物には、更に必要に応じて酸
化防止剤、光安定剤、加工安定剤、老化防止剤、相溶化
剤等の公知の添加剤の少なくとも1種を配合することが
できる。酸化防止剤としては、例えば1,6−ヘキサン
ジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−tert−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホス
ホネート−ジエチルエステル等のヒンダードフェノール
系酸化防止剤、ジラウリル 3,3’−ジチオジプロピ
オネート等の有機イオウ系酸化防止剤、トリアルキルフ
ェニルホスフェート等のリン系酸化防止剤等を挙げるこ
とができる。光安定剤としては、例えばビス(2,2,
6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート等
のヒンダードアミン系光安定剤、ジブチルジチオカルバ
ミン酸ニッケル等のニッケル塩系光安定剤等を挙げるこ
とができる。加工安定剤としては、例えばトリス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート等の
リン系加工安定剤等を挙げることができる。老化防止剤
としては、例えば1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)シクロヘキセン、N,N’−ジフェニル−p−フェ
ニレンジアミン等を挙げることができる。相溶化剤とし
ては、例えばスチレン−ブタジエン−スチレン・ブロッ
ク共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン
・ブロック共重合体等の熱可塑性ゴム等を挙げることが
できる。これら添加剤の配合量は特に制限されないが、
通常合成樹脂に対して0.01〜20重量%程度用いる
のがよい。
【0027】本発明の組成物は、合成樹脂が使用される
全ての用途に使用可能であるが、特に日光又は紫外線を
含む光に曝される可能性のある用途に特に好適に使用で
きる。具体例としては、例えばガラス代替品とその表面
コーティング材、住居、施設、輸送機器等の窓ガラス、
採光ガラス及び光源保護ガラス用のコーティング材、住
居、施設、輸送機器等の内外装材及び内外装用塗料、蛍
光灯、水銀灯等の紫外線を発する光源用部材、精密機
械、電子電気機器用部材、各種ディスプレーから発生す
る電磁波等の遮断用材、食品、化学品、薬品等の容器又
は包装材、農工業用シート又はフィルム材、印刷物、染
色物、染顔料等の退色防止剤、日焼け止めクリーム、シ
ャンプー、リンス、整髪料等の化粧品、スポーツウェ
ア、ストッキング、帽子等の衣料用繊維製品及び繊維、
カーテン、絨毯、壁紙等の家庭用内装品、プラスチック
レンズ、コンタクトレンズ、義眼等の医療用器具、光学
フィルター、プリズム、鏡、写真材料等の光学用品、テ
ープ、インク等の文房具、標示板、標示器等とその表面
コーティング材等を挙げることができる。
【0028】
【実施例】以下に、合成例(紫外線吸収性化合物の製造
実施例)、実施例(合成樹脂組成物の製造実施例)及び
比較例を掲げて本発明をより一層明らかにするが、本発
明はこれらに限定されるものではない。なお「%」は、
特に示す場合を除くほか「重量%」を示す。
【0029】(1)暴露試験 使用機種:デューサイクルサンシャインウェザーメータ
ーWEL−SUN−DC、スガ試験機(株)製、光源:
カーボンアーク、降雨サイクル:120分毎に18分間
降雨、温度:ブラックパネル80℃ (2)引張り破壊伸び率試験 使用機種:島津オートグラフDSC、(株)島津製作所
製、条件:200kg/FS、クロスヘッドスピード5
0mm/分、GL=30mm
【0030】初めに、式(1)で示される紫外線吸収剤
について説明する。 (合成例1)冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌器を
備えたガラス製フラスコに、3−(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノ
ール(商品名「JF−269」、城北化学(株)製)1
34.5gにε-カプロラクトン342g、モノ−n−
ブチルスズ脂肪酸塩(商品名「SCAT−24」、三共
有機合成(株)製)50ppmを加えた。反応温度を1
50℃に保ち6時間後、反応液中のε−カプロラクトン
濃度をガスクロマトグラフで測定したところ0.45%
であったので反応を終了させた。この反応物は、酸価
(mgKOH/g)1.9、室温固体の化合物であっ
た。得られた化合物(1)の赤外線吸収スペクトル(I
R)を測定した結果、3−(2H−ベンゾトリアゾール
−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノールの
特性吸収波長である1460、1257、1217、8
70、748cm-1に吸収を持つとともにポリカプロラ
クトンの特性吸収波長である2941、2864、12
57cm-1に吸収を持っていた。また、プロトンNMR
の測定結果は、ベンゾトリアゾール環の芳香環プロトン
に帰属される7.5ppmのシグナル(NMRスペクト
ルの積分値A1)と7.9ppmのシグナル(NMRス
ペクトルの積分値A2)に対して、ポリカプロラクトン
のカルボニル炭素に隣接したメチレンプロトンに帰属さ
れる2.3ppmのシグナル(NMRスペクトルの積分
値B)の積分値の比(B/(A1+A2))が3となり化
合物(1)の構造を確認した。また化合物(1)10m
gをクロロホルム50mlに溶解し、光路長1mmの石
英セルを使用して、紫外線吸収スペクトル(UV)を測
定した。その結果、220nm(吸光度0.98)、3
00nm(吸光度0.51)、350nm(吸光度0.
58)に特性吸収を持ち、またその吸光度の大きさから
紫外線吸収領域で充分大きなUV吸収を示すことが分か
った。
【0031】(合成例2)合成例1と同様な装置を使用
し、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシ−ベンゼンエタノール(商品名「JF−2
69」、城北化学(株)製)134.5gにε−カプロ
ラクトン570g、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩(商
品名「SCAT−24」、三共有機合成(株)製)50
ppmを加えた。反応温度を150℃に保ち8時間後、
反応液中のε−カプロラクトン濃度をガスクロマトグラ
フで測定したところ0.30%であったので反応を終了
させた。この反応物は、酸価(mgKOH/g)2.0
5、室温固体の化合物であった。得られた化合物(2)
のIRを測定した結果、化合物(1)と同様の吸収位置
に、3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4
−ヒドロキシ−ベンゼンエタノールの特性吸収波長とポ
リカプロラクトンの特性吸収波長に吸収を持っていた。
また、プロトンNMRの測定結果は、化合物(1)と同
様に、ベンゾトリアゾール環の芳香環プロトンと、ポリ
カプロラクトンのカルボニル炭素に隣接したメチレンプ
ロトンを持ち、その積分値の比(B/(A1+A2))が
5となり化合物(2)の構造を確認した。また化合物
(2)のUVを化合物(1)と同様にして測定した結
果、220nm(吸光度0.82)、300nm(吸光
度0.39)、350nm(吸光度0.42)に特性吸
収を持ち、またその吸光度の大きさから紫外線吸収領域
で充分大きなUV吸収を示すことが分かった。
【0032】(実施例1及び比較例1)ポリプロピレン
100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収性重
合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−1に示す割合で
混合し、射出成形してJIS2号ダンベルを得た。
【0033】
【表1】
【0034】得られたダンベルをサンシャインウェザー
メーターによる暴露試験に供し、所定時間暴露後引張り
強度試験を行ない、それぞれの引張り破壊伸び率を調べ
た。試験条件を以下に示す。引張破壊伸び率試験の試験
結果を図1に示す。図1から、本発明の紫外線吸収剤を
用いた組成物(本発明品)が従来の紫外線吸収剤を用い
た組成物(従来品)に比し優れた耐光性を有しているこ
とが判る。
【0035】(実施例2及び比較例2)ポリ塩化ビニル
100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収性重
合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−2に示す割合で
混合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板を得た。得
られた平板を、実施例1と同様にして暴露試験に供し
た。結果を表−2に併せて示す。
【0036】
【表2】
【0037】(実施例3及び比較例3)ポリ塩化ビニリ
デン100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収
性重合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−3に示す割
合で混合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板を得
た。得られた平板を、実施例1と同様にして暴露試験に
供した。結果を表−3に併せて示す。
【0038】
【表3】
【0039】(実施例4及び比較例4)ポリスチレン1
00重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収性重合
体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−4に示す割合で混
合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板を得た。
【0040】
【表4】
【0041】得られた平板を、実施例1と同様にして暴
露試験に供した後、色差計(商品名:カラーコンピュー
ターSM−2、スガ試験機(株))を用いて暴露前と暴
露後の平板表面の色差(ΔEab*)を定量した。結果
を図2に示す。図2より、本発明品が従来品に比し優れ
た耐光性を有することが判る。
【0042】(実施例5及び比較例5)アクリロニトリ
ル−ブタジエン−スチレン共重合体100重量部に対
し、上記合成例で得た紫外線吸収性重合体又は従来の紫
外線吸収剤を下記表−5に示す割合で混合し、射出成形
して厚さ1.6mmの平板を得た。
【0043】
【表5】
【0044】得られた平板を、実施例1と同様にして暴
露試験に供した後、色差計(商品名:カラーコンピュー
ターSM−2、スガ試験機(株))を用いて平板表面の
色差(ΔEab*)を定量した。結果を図3に示す。図
3より、本発明品が従来品に比し優れた耐光性を有する
ことが判る。
【0045】(実施例6及び比較例6)ポリカーボネー
ト100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収性
重合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−6に示す割合
で混合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板を得た。
【0046】
【表6】
【0047】得られた平板を、実施例1と同様にして暴
露試験に供した後、色差計(商品名:カラーコンピュー
ターSM−2、スガ試験機(株))を用いて平板表面の
色差(ΔEab*)を定量した。結果を図4に示す。図
4より、本発明品が従来品に比し優れた耐光性を有する
ことが判る。
【0048】(実施例7及び比較例7)上記合成例で得
た紫外線吸収性重合体又は従来の紫外線吸収剤とポリス
チレンとをテトラクロルエタン中で下記表−7に示す配
合量で混合し、均一溶液とした。これらの溶液を、スピ
ンコーターを用いて直径30mm、厚さ1mmの石英ガ
ラス製ディスク上に滴下し、厚さ0.9〜1.0μmの
均一薄膜を作製した。該ディスクを70℃の温水中に入
れ、該薄膜の340nmにおける吸光度を2時間毎に測
定した。
【0049】従来の紫外線吸収剤(比較例7)を用いた
ものは、用いた紫外線吸収剤の溶出により吸光度がほぼ
直線的に減少した。これに対し、合成例1の重合体(実
施例7、本発明の紫外線吸収剤)を用いたものは溶出
(滲出し)がなく、吸光度が初期と同程度に保持されて
いた。それぞれの薄膜の340nmにおける初期吸光度
(A0)、10時間後の吸光度(A10)及び吸光度保持
率(%、A10/A0)を表−7に併記する。
【0050】
【表7】
【0051】また、10時間後のディスクを実施例1と
同様のサンシャインウエザーメーターで暴露試験を行な
ったところ、実施例7で得たディスクは500時間経過
後も目視による変化は認められなかったのに対して、比
較例7で得たディスクは200時間で黄色化が確認され
た。従って、本発明の組成物が安定な耐光性を有してい
ることが判る。
【0052】(実施例8及び比較例8)上記合成例2で
得た紫外線吸収性重合体又は従来の紫外線吸収剤とポリ
メタクリル酸メチル(PMMA)とをテトラクロルエタ
ン中で下記表−8に示す配合量で混合し、均一溶液とし
た。これらの溶液を用いて、実施例7で示した方法と同
様にして厚さ約1μmの均一薄膜を調製した。該ディス
クを70℃の温水中に入れ、該薄膜の340nmにおけ
る吸光度を2時間毎に測定した。結果を表−8に示す。
【0053】
【表8】
【0054】表−8の結果から、本発明の組成物におい
ては、紫外線吸収性重合体が樹脂マトリックス中にほぼ
完全に保持されて溶出または滲出しすることが殆どない
ことが判明した。
【0055】(実施例9及び比較例9)合成例2で得た
紫外線吸収性重合体15mgとポリエチレンテレフタレ
ート85mg(実施例9)又は従来の紫外線吸収剤(2
−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾ
トリアゾール)5mgとポリエチレンテレフタレート9
5mg(比較例9)をそれぞれ実施例7と同様にして薄
膜とした。得られた薄膜を70℃の2%水酸化ナトリウ
ム水溶液中に入れた。該膜の340nm又は231nm
における吸光度(At)を2時間毎に測定し、保持率を
At/Aoとして表わした。10時間後の紫外線吸収性能
及び膜の保持率を測定したところ、従来の紫外線吸収剤
を含むポリエチレンテレフタレート膜又はポリエチレン
テレフタレート単独膜では紫外線吸収剤の溶出(340
nmでの保持率の減少率が85%)に加えてポリエチレ
ンテレフタレート膜の溶解(231nmにおける保持率
の減少率が50%)が顕著であるのに対し、実施例9で
はいずれもほぼ100%保持されていた。
【0056】次に、式(1’)で示される紫外線吸収剤
について説明する。 (合成例3)冷却管、窒素導入管、温度計及び攪拌器を
備えたガラス製フラスコに、ビス−[3−(2H−ベン
ゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベンゼ
ンエタノール]メタン(商品名「MBEP」、大塚化学
(株)製)129.3g、ε−カプロラクトン170.
3g、モノ−n−ブチルスズ脂肪酸塩(商品名「SCA
T−24」、三共有機合成(株)製)50ppm加え
た。反応温度を150℃に保って6時間後、反応液中の
ε−カプロラクトン濃度をガスクロマトグラフで測定し
たところ0.43%であったので反応を終了させた。こ
の反応物は、酸価(mgKOH/g)1.8,粘度26
45cP/60℃、GPC分析から数平均分子量(M
N)1391、重量平均分子量(MW)1688、MW
/MN1.213の室温液状の物が得られた。得られた
化合物(3)のIRスペクトルを図5に、NMRスペク
トルを図6に示す。また、化合物(3)10mgをクロ
ロホルム50mlに溶解し、光路長1mmの石英セルを
使用して、紫外可視吸収スペクトルを測定した。この結
果を図7に示す。図7より化合物(3)は紫外線領域で
充分大きな吸収を示すことが判る。
【0057】(合成例4)合成例3と同様な装置を使用
し、ビス−[3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−4−ヒドロキシ−ベンゼンエタノール]メタン
(商品名「MBEP」、大塚化学(株)製)93.7
g、ε−カプロラクトン206.3g、モノ−n−ブチ
ルスズ脂肪酸塩(商品名「SCAT−24」、三共有機
合成(株)製)50ppm加えた。反応温度を150℃
に保ち6時間後反応液中のε−カプロラクトン濃度をガ
スクロマトグラフで測定したところ0.55%であった
ので反応を終了させた。この反応物は、酸価(mgKO
H/g)2.5、粘度987cP/60℃、GPC分析
からMN2017、MW2465、MW/MN1.22
2の室温固体の化合物が得られた。得られた化合物
(4)のIRを測定した結果、ビス−[3−(2H−ベ
ンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシ−ベン
ゼンエタノール]メタンの特性吸収波長である146
0、1257、1217、870、748cm-1に吸収
を持つとともにポリカプロラクトンの特性吸収波長であ
る2941、2864、1257cm-1に吸収を持って
いた。また、プロトンNMRの測定結果は、ベンゾトリ
アゾール環の芳香環プロトンに帰属される7.5ppm
のシグナル(NMRスペクトルの積分値A1)と7.9
ppmのシグナル(NMRスペクトルの積分値A2)に
対して、ポリカプロラクトンのカルボニル炭素に隣接し
たメチレンプロトンに帰属される2.3ppmのシグナ
ル(NMRスペクトルの積分値B)の積分値の比(B/
(A1+A2))が5となり化合物(4)の構造を確認し
た。
【0058】また、化合物(4)10mgをクロロホル
ム50mlに溶解し、光路長1mmの石英セルを使用し
て、紫外可視吸収スペクトルを測定した。この結果を図
8に示す。図8より化合物(4)は紫外線領域で充分大
きな吸収を示すことが判る。
【0059】(実施例10及び比較例10)ポリプロピ
レン100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収
性重合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−9に示す割
合で混合し、射出成形してJIS2号ダンベルを得た。
【0060】
【表9】
【0061】得られたダンベルをサンシャインウェザー
メーターによる暴露試験に供し、所定時間暴露後引張り
強度試験を行ない、それぞれの引張り破壊伸び率を調べ
た。試験条件を以下に示し、試験結果を図9に示す。図
9から、本発明品が従来品に比し優れた耐光性を有して
いることが判る。
【0062】(実施例11及び比較例11)ポリ塩化ビ
ニル100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収
性重合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−10に示す
割合で混合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板を得
た。得られた平板を、実施例10と同様にして暴露試験
に供した。結果を表−10に併せて示す。
【0063】
【表10】
【0064】(実施例12及び比較例12)ポリ塩化ビ
ニリデン100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線
吸収性重合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−11に
示す割合で混合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板
を得た。得られた平板を、実施例10と同様にして暴露
試験に供した。結果を表−11に併せて示す。
【0065】
【表11】
【0066】(実施例13及び比較例13)ポリスチレ
ン100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸収性
重合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−12に示す割
合で混合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板を得
た。
【0067】
【表12】
【0068】得られた平板を、実施例10と同様にして
暴露試験に供した後、色差計(商品名:カラーコンピュ
ーターSM−2、スガ試験機(株))を用いて平板表面
の色差(ΔEab*)を定量した。結果を図10に示
す。図10より、本発明品が従来品に比し優れた耐光性
を有することが判る。
【0069】(実施例14及び比較例14)アクリロニ
トリル−ブタジエン−スチレン共重合体100重量部に
対し、上記合成例で得た紫外線吸収性重合体又は従来の
紫外線吸収剤を下記表−13に示す割合で混合し、射出
成形して厚さ1.6mmの平板を得た。
【0070】
【表13】
【0071】得られた平板を、実施例10と同様にして
暴露試験に供した後、色差計(商品名:カラーコンピュ
ーターSM−2、スガ試験機(株))を用いて平板表面
の色差(ΔEab*)を定量した。結果を図11に示
す。図11より、本発明品が従来品に比し優れた耐光性
を有することが判る。
【0072】(実施例15及び比較例15)ポリカーボ
ネート100重量部に対し、上記合成例で得た紫外線吸
収性重合体又は従来の紫外線吸収剤を下記表−14に示
す割合で混合し、射出成形して厚さ1.6mmの平板を
得た。
【0073】
【表14】
【0074】得られた平板を、実施例10と同様にして
暴露試験に供した後、色差計(商品名:カラーコンピュ
ーターSM−2、スガ試験機(株))を用いて平板表面
の色差(ΔEab*)を定量した。結果を図12に示
す。図12より、本発明の紫外線吸収剤を用いた組成物
(本発明品)が従来の紫外線吸収剤を用いた組成物(従
来品)に比し優れた耐光性を有することが判る。
【0075】(実施例16及び比較例16)上記合成例
で得た紫外線吸収性重合体又は従来の紫外線吸収剤とポ
リスチレンとをテトラクロルエタン中で下記表−15に
示す配合量で混合し、均一溶液とした。これらの溶液
を、スピンコーターを用いて直径30mm、厚さ1mm
の石英ガラス製ディスク上に滴下し、厚さ0.9〜1.
0μmの均一薄膜を作成した。該ディスクを70℃の温
水中に入れ、該薄膜の340nmにおける吸光度を2時
間毎に測定した。
【0076】従来の紫外線吸収剤(比較例16)を用い
たものは、用いた紫外線吸収剤の溶出により吸光度がほ
ぼ直線的に減少した。これに対し、合成例3の重合体
(実施例16、本発明の紫外線吸収性重合体)を用いた
ものは溶出または滲出しがなく、吸光度が初期と同程度
に保持されていた。それぞれの薄膜の340nmにおけ
る初期吸光度(A0)、10時間後の吸光度(A10)及
び吸光度保持率(%、A10/A0)を表−15に併記す
る。
【0077】
【表15】
【0078】また、10時間後のディスクを実施例10
と同様のサンシャインウェザーメーターで暴露試験を行
なったところ、実施例16で得たディスクは500時間
経過後も目視による変化は認められなかったのに対し
て、比較例16で得たディスクは200時間で黄色化が
確認された。従って、本発明の組成物が安定な耐光性を
有していることが判る。
【0079】(実施例17及び比較例17)上記合成例
4で得た紫外線吸収性重合体又は従来の紫外線吸収剤と
ポリメタクリル酸メチル(PMMA)とをテトラクロル
エタン中で下記表−16に示す配合量で混合し、均一溶
液とした。これらの溶液を用いて、実施例16で示した
方法と同様にして厚さ約1μmの均一薄膜を調製した。
該ディスクを70℃の温水中に入れ、該薄膜の340n
mにおける吸光度を2時間毎に測定した。結果を表−1
6に示す。
【0080】
【表16】
【0081】表−16の結果から、本発明の組成物にお
いては、紫外線吸収性重合体が樹脂マトリックス中にほ
ぼ完全に保持されて溶出または滲出しすることが殆どな
いことが判明した。
【0082】(実施例18及び比較例18)合成例4で
得た紫外線吸収性重合体15mgとポリエチレンテレフ
タレート85mg(実施例18)又は従来の紫外線吸収
剤(2−(2’−ヒドロキシ−5’メチルフェニル)ベ
ンゾトリアゾール)5mgとポリエチレンテレフタレー
ト95mg(比較例18)をそれぞれ実施例16と同様
にして薄膜とした。得られた薄膜を70℃の2%水酸化
ナトリウム水溶液中に入れた。該膜の340nm又は2
31nmにおける吸光度(At)を2時間毎に測定し、
保持率をAt/Aoとして表わした。10時間後の紫外線
吸収性能及び膜の保持率を測定したところ、従来の紫外
線吸収剤を含むポリエチレンテレフタレート膜又はポリ
エチレンテレフタレート単独膜では紫外線吸収剤の溶出
(340nmでの保持率の減少率が85%)に加えてポ
リエチレンテレフタレート膜の溶解(231nmにおけ
る保持率の減少率が50%)が顕著であるのに対し、実
施例18ではいずれもほぼ100%保持されていた。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、高いレベルでしかも長
期的に安定した耐光及び耐薬品性を有する樹脂組成物を
提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 暴露試験後の本発明品(実施例1)と従来品
(比較例1)の引張り特性を示すグラフである。
【図2】 暴露試験後の本発明品(実施例4)と従来品
(比較例4)の色差(ΔEab*)を示すグラフであ
る。
【図3】 暴露試験後の本発明品(実施例5)と従来品
(比較例5)の色差(ΔEab*)を示すグラフであ
る。
【図4】 暴露試験後の本発明品(実施例6)と従来品
(比較例6)の色差(ΔEab*)を示すグラフであ
る。
【図5】 合成例3で得られた化合物(3)の赤外線吸
収スペクトルである。
【図6】 合成例3で得られた化合物(3)のプロトン
NMRスペクトルである。
【図7】 合成例3で得られた化合物(3)の紫外可視
吸収スペクトルである。
【図8】 合成例4で得られた化合物(4)の紫外可視
吸収スペクトルである。
【図9】 暴露試験後の本発明品(実施例10)と従来
品(比較例10)の引張り特性を示すグラフである。
【図10】 暴露試験後の本発明品(実施例13)と従
来品(比較例13)の色差(ΔEab*)を示すグラフ
である。
【図11】 暴露試験後の本発明品(実施例14)と従
来品(比較例14)の色差(ΔEab*)を示すグラフ
である。
【図12】 暴露試験後の本発明品(実施例15)と従
来品(比較例15)の色差(ΔEab*)を示すグラフ
である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J029 AA02 AB01 AC02 AD01 AD02 AE01 AE02 AE03 AE04 AE06 AE11 BH01 DA17 EG05 EG07 EG08 EG09 JE043 JE053 JE063 JE093 JE163 JE173 JE193 JE203 KB02 KB05 KD01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1)又は(1’)で示されるベンゾ
    トリアゾール基含有ポリエステル。 【化1】
  2. 【請求項2】 式(2)又は(2’)で表わされる化合
    物に式(3)で表わされるラクトン類を開環付加重合さ
    せて得られる請求項1に記載のベンゾトリアゾール基含
    有ポリエステルの製造方法。 【化2】
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のベンゾトリアゾール基
    含有ポリエステルを含有する紫外線吸収剤。
  4. 【請求項4】 合成樹脂及び請求項3に記載の紫外線吸
    収剤を含む樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 合成樹脂が、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化
    ビニリデン、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリ
    スチレン、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリアミ
    ド、ポリエステル、アクリロニトリル−ブタジエン−ス
    チレン樹脂及び熱可塑性ポリウレタン樹脂からなる群よ
    り選ばれた少なくとも1種である請求項4に記載の樹脂
    組成物。
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