JP2000080103A - カルボキシ多糖類の製造方法 - Google Patents

カルボキシ多糖類の製造方法

Info

Publication number
JP2000080103A
JP2000080103A JP11153457A JP15345799A JP2000080103A JP 2000080103 A JP2000080103 A JP 2000080103A JP 11153457 A JP11153457 A JP 11153457A JP 15345799 A JP15345799 A JP 15345799A JP 2000080103 A JP2000080103 A JP 2000080103A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ruthenium
salts
acid
polysaccharide
oxidizing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11153457A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiromitsu Nagashima
広光 長島
Hisashi Sakaitani
ひさし 堺谷
Hidechika Wakabayashi
英親 若林
Toshiaki Kanzaki
利昭 神崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Original Assignee
Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Gas Chemical Co Inc filed Critical Mitsubishi Gas Chemical Co Inc
Priority to JP11153457A priority Critical patent/JP2000080103A/ja
Publication of JP2000080103A publication Critical patent/JP2000080103A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/584Recycling of catalysts

Landscapes

  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ルテニウムと酸化剤との組み合わせにより多
糖類を酸化してカルボキシ多糖類を製造する方法におい
て、高価なルテニウムを容易かつ効率よく回収し、回収
されたルテニウムをカルボキシ多糖類の製造に再利用す
る方法を提供する。 【解決手段】 多糖類の酸化反応後の混合溶液に酸化剤
を添加してルテニウムを高酸化状態にし、これを水に不
溶な有機溶媒で抽出する。又、多糖類の酸化反応後の混
合溶液を加熱処理し、これに酸化剤を添加してルテニウ
ムを高酸化状態にし、次いで水に不溶な有機溶媒で抽出
する。抽出された高酸化状態のルテニウムは、還元剤に
より低酸化状態に転換され、カルボキシ多糖類の製造に
再利用される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多糖類をルテニウ
ム化合物と酸化剤の存在下に酸化してカルボキシ多糖類
又はその塩を製造すると共にルテニウムを効率よく回収
し、再利用する方法に関する。本発明により得られるカ
ルボキシ多糖類又はその塩は、スケール付着防止剤、顔
料分散剤、サイズ剤、コンクリート混和剤、洗剤ビルダ
ーとして好適に利用できる。
【0002】
【従来の技術】従来、洗剤ビルダーとして、アクリル酸
ポリマー又はアクリル酸/マレイン酸コポリマーが工業
的に製造されている。しかしながら、これら合成系ポリ
カルボン酸は、天然の高分子の化学構造としては一般的
でないビニル重合体構造からなるため、微生物による生
分解性がきわめて低いという問題点が知られている。こ
のため、多糖類をカルボキシル化して製造されたポリカ
ルボン酸が、生分解性ビルダーとしてこの問題点の解決
に役立つことが期待される。
【0003】例えば、特公昭49−1281号公報に
は、過ヨウ素酸と亜塩素酸塩の組み合わせ又は次亜塩素
酸塩を使用して多糖類を酸化する方法が開示されてお
り、多糖類構成単位単糖のC2位及びC3位を酸化して
得られるジカルボキシデンプンが洗剤ビルダー機能を有
することが記載されている。多糖類を酸化してトリカル
ボキシ多糖類を製造する方法として、特公昭47−40
552号公報及びチェコスロバキア特許235576号
公報には、デンプンを過ヨウ素酸塩でアルデヒド化した
後、四酸化二窒素により酸化カルボキシル化する方法が
開示されている。しかし、これらの公報に記載されてい
る方法は、高価な過ヨウ素酸塩を使用しなければならず
工業的に適当ではなかった。
【0004】特開平9−71601号公報には、ルテニ
ウム触媒の存在下、次亜塩素酸塩を用いて、反応pHを
塩基性条件にしてデンプンをカルボキシル化する方法が
開示されている。ここで用いるルテニウムはきわめて高
価な遷移金属であるため、トリカルボキシデンプン製造
工程におけるルテニウムの損失は厳しく制限されるとと
もに、その回収、再使用が強く望まれている。しかし、
特開平9−71601号公報は、酸化反応生成物を亜硫
酸塩等の還元剤で処理することにより沈殿物を生成せし
め、これをロ過することにより得られる生成物ポリカル
ボン酸の色調が改善されることを開示しているが、具体
的なルテニウム含有量減少、ルテニウム触媒の回収、再
使用については何も記載していない。
【0005】特公平6−31840号公報は、使用済み
核燃料の溶液から放射性ルテニウムを除去する方法を開
示しているが、ポリカルボン酸の製造方法において、ル
テニウムを回収し、再利用することについては何も教示
していない。
【0006】上述の如く、ポリカルボン酸の製造方法に
おいて、ルテニウムを回収し、再利用する工業的方法は
未だ提案されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、多糖
類の酸化反応に酸化剤と組み合わせて用いられるルテニ
ウムを回収・再使用することが可能なカルボキシ多糖類
の工業的生産方法を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の課
題を解決する方法を検討した結果、カルボキシ多糖類合
成後の反応混合溶液に、加熱後或いは加熱することな
く、酸化剤を添加し、次いで水不溶性の有機溶剤により
抽出することによりルテニウムを有効に抽出・回収でき
ることを見い出した。本発明者らは、更に、上記のよう
にして抽出した後の溶液(抽出残液)を加熱処理し、そ
の後、酸化剤を添加し、水不溶性の有機溶剤により抽出
するとルテニウムを更に有効に回収できることを見い出
した。本発明者らは、更に、抽出液に還元剤を添加する
ことによってルテニウムをカルボキシ多糖類の製造に再
使用できることを見い出した。
【0009】即ち、本発明の第一の態様は、カルボキシ
多糖類を製造する方法において、(1)水性媒体中で多
糖類をルテニウム化合物と酸化剤との組み合わせにより
酸化し;(2)酸化反応後の反応混合液に酸化剤を添加
してルテニウムを高酸化状態にし;(3)水に不溶な有
機溶媒により高酸化状態のルテニウムを反応混合液から
抽出・分離し;次いで(4)ルテニウム抽出後の反応混
合液からカルボキシ多糖類を分離することを特徴とする
カルボキシ多糖類の製造方法である。
【0010】本発明の第二の態様は、カルボキシ多糖類
を製造する方法において、(1)水性媒体中で多糖類を
ルテニウム化合物と酸化剤との組み合わせにより酸化
し;(2)酸化反応後の混合溶液に酸化剤を添加してル
テニウムを高酸化状態にし;(3)水に不溶な有機溶媒
により高酸化状態のルテニウムを抽出・分離し;(4)
分離後の抽残液を常圧において50℃〜沸点温度で加熱
し;(5)加熱後の溶液に酸化剤を添加してルテニウム
を高酸化状態にし;(6)水に不溶な有機溶媒により高
酸化状態のルテニウムを反応混合液から抽出・分離し;
次いで(7)ルテニウム抽出後の反応混合液からカルボ
キシ多糖類を分離することを特徴とするカルボキシ多糖
類の製造方法である。
【0011】本発明の第三の態様は、カルボキシ多糖類
を製造する方法において、(1)水性媒体中で多糖類を
ルテニウム化合物と酸化剤との組み合わせにより酸化
し;(2)酸化反応後の混合溶液を常圧において50℃
〜沸点温度で加熱処理し;(3)加熱処理後の溶液に酸
化剤を添加してルテニウムを高酸化状態にし;(4)水
に不溶な有機溶媒により高酸化状態のルテニウムを反応
混合液から抽出・分離し;次いで(5)ルテニウム抽出
後の反応混合液からカルボキシ多糖類を分離することを
特徴とするカルボキシ多糖類の製造方法である。
【0012】本発明の第四の態様は、(1)上記ルテニ
ウム抽出液に還元剤を添加してルテニウムを回収し、
(2)回収したルテニウムを多糖類の酸化に再使用する
工程を更に含むことを特徴とするカルボキシ多糖類の製
造方法である。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で使用される多糖類は、デ
ンプン、アミロース、アミロペクチン、ペクチン、プロ
トペクチン、ペクチン酸などのα結合型多糖類及びセル
ロ−スなどβ結合型多糖類である。反応の容易性からデ
ンプンが好ましい。デンプンとしては、トウモロコシデ
ンプン、バレイショデンプン、タピオカデンプン、小麦
デンプン、サツマイモデンプン、米デンプンなどが挙げ
られ、これらを原料として低分子化させた水溶性デンプ
ンも使用できる。ここで、これらの原料は、反応液中濃
度で0.1〜80重量%、好ましくは1〜50重量%の
範囲で使用される。
【0014】本発明の製造方法により製造されるカルボ
キシ多糖類は、多糖類を構成する単糖ピラノース環のC
6位のフリー又はエステル化された一級アルコール残基
が平均10モル%以上酸化されてカルボキシル基もしく
は加水分解されてその塩に転化され、同時にピラノース
環のC2、C3位間の結合が開裂し、C2,C3位の二
級アルコ−ル残基が平均10モル%以上酸化されてカル
ボキシル基もしくはその塩に転化した構造からなる平均
分子量が1,000〜100,000のトリカルボキシ
多糖類である。
【0015】多糖類の酸化は、ルテニウム化合物と酸化
剤とにより生成させた高酸化状態のルテニウムにより行
われる。本発明において高酸化状態のルテニウムとは、
原子価がVI〜VIIIのルテニウムをいう。本発明において
使用するルテニウム化合物には、ルテニウム金属;二酸
化ルテニウム、四酸化ルテニウムなどのルテニウム酸化
物;ルテニウム酸ナトリウムなどのルテニウム酸塩;塩
化ルテニウム、臭化ルテニウムなどのハロゲン化ルテニ
ウム;硝酸ルテニウム;硫酸ルテニウム;酢酸ルテニウ
ムなどのカルボン酸ルテニウム;ヘキサクロロルテニウ
ム酸アンモニウム、ヘキサクロロルテニウム酸カリウ
ム、ペンタクロロアクアルテニウム酸カリウム、ペンタ
クロロアクアルテニウム酸アンモニウム、ペンタクロロ
ニトロシルルテニウム酸カリウム、ヘキサアンミンルテ
ニウム塩化物、ヘキサアンミンルテニウム臭化物、ヘキ
サアンミンルテニウムヨウ化物、ニトロシルペンタアン
ミンルテニウム塩化物、ヒドロキソニトロシルテトラア
ンミンルテニウム硝酸塩、エチレンジアミン四酢酸ルテ
ニム、ルテニウムドデカカルボニウムなどのルテニウム
錯体が挙げられる。これらルテニウム化合物の使用量
は、原料多糖類の構成単糖単位1モルに対して0.00
001〜1.0モル、好ましくは、0.0001〜0.
1モルの範囲の触媒量である。
【0016】多糖類の酸化のためにルテニウム化合物と
組み合わせて使用される酸化剤としては、塩素、臭素な
どの分子状ハロゲン;一酸化二塩素、二酸化塩素、一酸
化二臭素、二酸化臭素などの酸化ハロゲン;過ヨウ素
酸、過塩素酸などの過ハロゲン酸およびその塩;臭素
酸、塩素酸などのハロゲン酸およびその塩;亜臭素酸、
亜塩素酸などの亜ハロゲン酸およびその塩;亜臭素酸、
次亜塩素酸などの次亜ハロゲン酸およびその塩;分子状
酸素;過蟻酸、過酢酸、過安息香酸などの過酸;クメン
ヒドロペルオキシド、ベンジルヒドロペルオキシドなど
のヒドロペルオキシド;tert−ブチルベンジルペル
オキシド、ジベンゾイルペルオキシド、過酸化水素など
のペルオキシド;ペルオキシ二硫酸、カロー酸などの過
硫酸およびその塩;およびフェリシアン化カリウム、フ
ェリシアン化ナトリウムなどのフェリシアン化塩からな
る群から選ばれる少なくとも一種が用いられる。これら
の酸化剤のうち、水溶性のハロゲン酸およびその塩が好
ましい。これらの酸化剤の使用量は、多糖類の酸化反応
では、原料多糖類1モルに対して1.0〜10モル、好
ましくは、1.5〜8モルである。
【0017】多糖類の酸化反応の溶媒としては、通常水
または水と酸化剤に安定な溶媒との混合溶媒などの水性
媒体が使用される。酸化剤に安定な溶媒として具体的に
は、酢酸などの有機酸;四塩化炭素、クロロホルム、ジ
クロロメタンなどのハロゲン化炭素;ペンタン、ヘキサ
ン、n−へプタンなどの鎖状飽和炭化水素;シクロヘキ
サンなどの環状飽和炭化水素が挙げられる。これらの溶
媒のうち有機酸、ハロゲン化炭素、鎖状飽和炭化水素が
好ましい。また、水と不均一な混合溶媒になる場合は、
撹拌を十分行うことにより反応速度を上げることができ
る。
【0018】本発明では、多糖類、ルテニウム化合物及
び水性媒体の混合物に撹拌しながら酸化剤、通常水溶液
を約0.5〜10時間かけて徐々に添加して、高酸化状
態のルテニウムを生成させながら、温度0〜100℃、
pH1〜13で反応させる。酸化反応は通常0.5〜1
2時間で終了する。反応混合物には、生成したカルボキ
シ多糖類の他、ルテニウム化合物、溶媒、未反応の微量
の原料などが含まれる。生成したカルボキシ多糖類は以
下に説明するルテニウム回収工程を経た後、常法に従っ
て分離される。
【0019】本発明におけるルテニウムの回収は、多糖
類の酸化反応終了後、反応液に酸化剤を添加してルテニ
ウムを高酸化状態にする第1工程と、水に不溶な有機溶
媒により高酸化状態のルテニウムを抽出する第2工程か
らなる方法によって行われる。
【0020】(A)第1工程(酸化剤添加工程) 高酸化状態の四酸化ルテニウムは、揮発性であるととも
に油溶性を有し、四塩化炭素、クロロホルムのような非
酸素含有溶媒に良く溶解することが知られている(F.
S.Martin,J.Chem.Soc.,2564
(1954))。従って、第1工程は、第2工程の抽出
工程に先立って多糖類の酸化反応終了付近で、酸化剤を
更に添加することによって低酸化状態のルテニウムの存
在化学種をできるだけ多く高酸化状態の四酸化ルテニウ
ムにして抽出効率を上げるための工程である。この工程
を省略すると、主として反応終了付近で存在している四
酸化ルテニウムのみが第2工程の抽出工程で抽出され抽
出効率が悪くなるので好ましくない。ここで使用する酸
化剤としては、上記した多糖類の酸化反応に使用される
酸化剤として例示したものが用いられる。多糖類の酸化
反応で用いた酸化剤と同一種でも他の種類でも良いが、
反応後の処理を考慮に入れると同一種の酸化剤の使用が
好ましい。また、酸化剤の使用量は、含有ルテニウム量
に対して1〜100倍モルの範囲、好ましくは、1〜5
0倍モルの範囲である。また、多糖類の酸化反応後に酸
化剤を添加する際のpHは、反応終了時のpH1〜13
のままでもいいが、添加する酸化剤及び生成する四酸化
ルテニウムの安定性の点から好ましくはpH2〜13、
より好ましくはpH4〜10に調整した後に酸化剤を添
加するのが望ましい。
【0021】(B)第2工程(溶媒抽出工程) 第1工程で生成させた四酸化ルテニウムを水不溶性有機
溶媒により抽出する工程である。抽出は、第1工程の水
溶液と水不溶性有機溶媒を混合後、分液することにより
行われる。水溶液と有機溶媒との混合・分液には、単段
又は多段のミキサーセトラ−、抽出塔などの公知な抽出
装置を使用することができる。抽出溶媒は四酸化ルテニ
ウムに安定であると共に、水に不溶な溶媒であることが
必要である。具体的には、パーフルオロヘプタン、パー
フルオロペンタン、パーフルオロメチルシクロヘキサ
ン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタンなどの
ハロゲン化炭化水素;n−ペンタン、n−ヘキサン、n
−ペプタンなどの鎖状飽和炭化水素;シクロヘキサン等
の環状飽和炭化水素、流動パラフィンなどが挙げられ
る。これらの溶媒のうちハロゲン化炭化水素、鎖状飽和
炭化水素が好ましい。これらの抽出溶媒は、精製品でも
未精製品でもよい。また、抽出温度は、高温ほど抽出速
度が早くなるが四酸化ルテニウムの揮発性などの物性か
ら、通常、常圧では0〜100℃、好ましくは、10〜
80℃である。
【0022】上記の第1工程と第2工程による抽出工程
前に、多糖類の酸化反応終了後の反応溶液を下記に示す
ように加熱処理して溶液中のルテニウムを抽出し易くし
てもよい。
【0023】(C)加熱処理工程 加熱処理温度は、常圧においては50℃〜沸点温度であ
る。温度が低いとルテニウムの抽出効率を高めるのに長
時間を要し、温度が高すぎるとカルボキシ多糖類の分解
を引き起こす。また、加熱処理時の反応溶液のpHは、
酸性側では分解し易いため通常は、pH7〜13、好ま
しくは、8〜10に調整して行う。加熱処理時間は、他
の条件により異なるが、5分〜24時間、好ましくは、
30分〜10時間である。加熱処理を行う際、圧力を変
えることによって、温度、処理時間などを変えることが
できる。加熱方法としては、特に制限はなく、蒸気また
は温水での熱交換器による加熱、ヒーター加熱、赤外線
加熱、高周波加熱などの通常の加熱方法を使用できる。
【0024】加熱処理後、上記したように、第1工程と
第2工程によりルテニウムを高酸化状態にし、これを水
不溶性有機溶剤により抽出する。
【0025】上述のように、多糖類の酸化反応後の溶液
は、加熱処理(C)を施された後、或いは施されること
なく第1工程及び第2工程に従って抽出処理される。抽
出処理された後の溶液を、更に加熱処理(C)を施した
後、第1工程及び第2工程に従って再度抽出処理してル
テニウムの抽出効率を更に改善することができる。再抽
出処理後の溶液に、加熱処理(C)、第1工程及び第2
工程を更に施してもよい。加熱処理後に抽出処理を行う
ことにより、ルテニウムの抽出および回収効率が改善さ
れ、カルボキシ多糖類中のルテニウム含有量を100p
pm未満にすることができる。
【0026】上記のようにして抽出された高酸化状態の
ルテニウムは還元後、次の多糖類の酸化反応に再利用さ
れる。
【0027】(D)ルテニウムの還元・再利用工程 抽出後の四酸化ルテニウムを還元剤により低酸化状態の
酸化ルテニウムの沈殿にし、ロ別又はエバポレーターで
乾固して回収する。回収されたルテニウムは、乾固物の
まま、又は、水に分散させて次の多糖類の酸化反応に再
使用される。還元剤としては、亜硫酸塩、ヒドラジン及
びその塩、ヒドロキシルアミン及びその塩、過酸化水
素、キノン類、メタノール、エタノール、2−プロパノ
ールなどの低級アルコールなどの一般的な還元剤を用い
ることができる。還元剤の使用量は、ルテニウム1モル
に対して、1〜100モル量、好ましくは、1〜50モ
ル量である。
【0028】
【実施例】以下、本発明について実施例にて詳述する。
生成トリカルボキシデンプン中のルテニウム濃度はIC
P(誘導結合型プラズマ発光分析法、セイコー電子工業
社製1200VR型分析計)を用いて測定した。また、
塩化ナトリウム含有量はXRF(蛍光X線分析法、理学
電機RIX3100)を用いて測定した。
【0029】実施例1 攪拌機、温度計及びポンプを備えた300ml容丸底パ
イレックスフラスコに水25ml、トウモロコシデンプ
ン(敷島スターチ社製)7.5g及び酸化ルテニウム
0.299g(ルテニウム含有量52重量%)を入れ、
攪拌しながら、冷水浴で20℃に冷却した。この混合物
にデンプンの5倍モル量になるように12.9重量%次
亜塩素酸ナトリウム水溶液を3時間かけて添加した。反
応液のpHは、2規定の水酸化ナトリウム水溶液で9.
0に制御した。
【0030】添加終了後、反応液を各々70mlに分液
し、これらの溶液をpH9のまま及び塩酸水溶液でpH
4、7に調整した。これらのpH調整した反応分液に各
々、12.9重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を2
g、四塩化炭素を20g添加し、室温で振とう(1
分)、遠心分離(2,000pm、1分)、静置(1
分)した後、四酸化ルテニウムを溶解した四塩化炭素層
を水溶液から分離した。この抽出操作を室温で4回行っ
た。抽出液は、2−プロパノールを添加処理した後、ロ
ータリエバポレーターで減圧乾固して酸化ルテニウムを
得た。また、pH4、7、9の抽残液には、各々2倍容
量のメタノールを加えて白色沈澱物を生成させた。沈澱
物をロ別し、更に、水に溶解しメタノールを加えて沈殿
させた後、60℃、5時間真空乾燥して、pH4、7、
9の抽残液から生成物I、II、IIIを得た。
【0031】生成物I、II、IIIを13C−NMR、I
Rによって分析したところ、全て同一の生成物で、原料
トウモロコシデンプンを構成するグルコピラノース単位
のC6位の一級アルコ−ルが100モル%カルボキシル
基に酸化されていると同時にC2−C3位が開裂し、C
2、C3位の二級アルコ−ルが75モル%カルボキシル
基に酸化されたトリカルボキシデンプンナトリウム塩で
あった。各生成物I、II、III中のルテニウム濃度をI
CPでを測定したところ300ppm(ルテニウム除去
率98.0重量%)、318ppm(ルテニウム除去率
97.9重量%)、226ppm(ルテニウム除去率9
8.5重量%)であった。
【0032】実施例2 酸化ルテニウムの添加量を0.05g、pHを4.0に
変更した以外は、実施例1と同様にしてトウモロコシデ
ンプンの酸化反応を行った。酸化反応終了後、反応液を
各々70mlに分液し、これらの溶液をpH4のまま及
び2N水酸化ナトリウム水溶液でpH7、9に調整し
た。以下、それぞれの分液を実施例1と同様に処理し、
pH4、7、9の分液から生成物IV、V、VIを得た。こ
れらの生成物を13C−NMR、IRによって分析した
ところ、全て同一の生成物で、原料トウモロコシデンプ
ンを構成するグルコピラノース単位のC6位の一級アル
コ−ルが100モル%カルボキシル基に酸化されている
と同時にC2−C3位が開裂し、C2、C3位の二級ア
ルコ−ルが80モル%カルボキシル基に酸化されたトリ
カルボキシデンプンナトリウム塩であった。各生成物I
V、V、VI中のルテニウム濃度をICPでを測定したと
ころ350ppm(ルテニウム除去率87.0重量
%)、378ppm(ルテニウム除去率86.0重量
%)、297ppm(ルテニウム除去率89.0重量
%)であった。
【0033】実施例3 ルテニウム触媒として塩化ルテニウム0.327g(ル
テニウム含有量42重量%)を用いた以外は、実施例1
と同様にしてトウモロコシデンプンの酸化反応を行っ
た。また、反応後の分液、pH調整、抽出、沈澱化、乾
燥を実施例1と同様に行い、pH4、7、9の抽残液か
ら生成物VII、VIII、IXを得た。これらの生成物を13
C−NMR、IRによって分析したところ、実施例1と
同一のトリカルボキシデンプンナトリウム塩であった。
各生成物VII、VIII、IX中のルテニウム濃度をICPで
を測定したところ85ppm(ルテニウム除去率99.
4重量%)、92ppm(ルテニウム除去率99.4重
量%)、78ppm(ルテニウム除去率99.5重量
%)であった。
【0034】実施例4 塩化ルテニウム0.055g(ルテニウム含有量42重
量%)を用いた以外は実施例2と同様にしてトウモロコ
シデンプンの酸化反応を行った。また、反応後の分液、
pH調整、抽出、沈澱化、乾燥を実施例2と同様に行
い、pH4、7、9の抽残液から生成物X、XI、XII
を得た。これらの生成物を13C−NMR、IRによっ
て分析したところ、実施例2と同一のトリカルボキシデ
ンプンナトリウム塩であった。各生成物X、XI、XII
中のルテニウム濃度をICPでを測定したところ280
ppm(ルテニウム除去率89.6重量%)、261p
pm(ルテニウム除去率90.3重量%)、261pp
m(ルテニウム除去率90.3重量%)であった。
【0035】実施例5 実施例1と同様にしてトウモロコシデンプンの酸化反応
を行った後、pH9の反応液を各々70ml分液し、抽
出溶媒として四塩化炭素の代わりn−ヘプタン、パーフ
ルオロヘプタンを用いた以外は実施例1と同様に行い、
実施例1と同一のトリカルボキシデンプンナトリウム塩
XIIIとXIVを得た。各生成物XIIIとXIV中のルテニウ
ム濃度をICPでを測定したところ198ppm(ルテ
ニウム除去率98.8重量%)、4,397ppm(ル
テニウム除去率70.7重量%)であった。
【0036】実施例6 実施例1と同様にしてトウモロコシデンプンの酸化反応
を行った後、pH9の反応分液について四塩化炭素を用
いた抽出操作を50℃で4回行った以外は実施例1と同
様に行い、実施例1と同一のトリカルボキシデンプンナ
トリウム塩XVを得た。生成物XV中のルテニウム濃度
をICPでを測定したところ134ppm(ルテニウム
除去率99.1重量%)であり実施例1の室温、4回抽
出後生成物III中のルテニウム濃度226ppm(ルテ
ニウム除去率98.5重量%)より減少した。
【0037】実施例7 攪拌機、温度計及びポンプを備えた300ml容丸底パ
イレックスフラスコに水25ml、トウモロコシデンプ
ン(敷島スターチ社製)7.5g及び塩化ルテニウム
0.327g(ルテニウム含有量43重量%、ルテニウ
ム1.39ミリモル)を入れ、攪拌しながら、冷水浴で
20℃に冷却した。この混合物にデンプンの5倍モル量
になるように12.9重量%次亜塩素酸ナトリウム水溶
液を3時間かけて添加した。反応液のpHは、2規定の
水酸化ナトリウム水溶液で9.0に制御した。
【0038】反応終了後、反応液を各40gずつに分液
し、この反応分液の一つに12.9重量%次亜塩素酸ナ
トリウム水溶液を1g、n−ヘプタンを10g添加し、
室温で振とう(1分)、遠心分離(2,000pm、1
分)、静置(1分)した後、四酸化ルテニウムを溶解・
抽出したn−ヘプタン層を水溶液から分離した。この抽
出操作を室温で4回行った。抽出液には、2−プロパノ
ールを添加した後、ロータリエバポレーターで減圧乾固
して酸化ルテニウムを得た。次に抽残液を温度計、冷却
管を備えた100ml容の丸底反応パイレックスフラス
コに入れオイル浴により98℃(常圧)、2時間加熱還
流処理した。冷却後、加熱処理した溶液を上記と同様に
して酸化剤添加処理、抽出処理を行った。抽出液には、
2−プロパノールを添加した後、ロータリエバポレータ
ーで減圧乾固して酸化ルテニウムを得た。また、抽残液
には、2倍容量のメタノールを加えて白色沈澱物を生成
させた。沈澱物をロ別し、更に、水に溶解しメタノール
を加えて沈殿させた後、60℃、5時間真空乾燥して生
成物XVIを得た。
【0039】生成物XVIを13C−NMR、IRによっ
て分析したところ、原料トウモロコシデンプンを構成す
るグルコピラノース単位のC6位の一級アルコ−ルが1
00モル%カルボキシル基に酸化されていると同時にC
2−C3位が開裂し、C2、C3位の二級アルコ−ルが
75モル%カルボキシル基に酸化されたトリカルボキシ
デンプンナトリウム塩であった。生成物XVIのルテニウ
ム濃度をICPでを測定したところ5ppm(ルテニウ
ム除去率99.96重量%)であった。
【0040】実施例8 実施例7の反応分液の一つを加熱処理を行わない以外は
実施例7と同様に抽出処理を行い生成物XVIIを得た。
この生成物を13C−NMR、IRによって分析したと
ころ、実施例7と同一のトリカルボキシデンプンナトリ
ウム塩であった。生成物XVII中のルテニウム濃度をI
CPで測定したところ87ppm(ルテニウム除去率9
9.42重量%)であった。
【0041】実施例9 実施例7の反応分液の一つを加熱温度を80℃(常圧)
で行った以外は、実施例7と同様に処理を行い、生成物
XVIIIを得た。この生成物を13C−NMR、IRによっ
て分析したところ、実施例7と同一のトリカルボキシデ
ンプンナトリウム塩であった。生成物XVIII中のルテニ
ウム濃度をICPで測定したところ12ppm(ルテニ
ウム除去率99.92重量%)であった。
【0042】実施例10 実施例7の反応分液の一つを加熱温度を50℃(常圧)
で行った以外は、実施例7と同様の処理を行い、生成物
XIXを得た。この生成物を13C−NMR、IRによっ
て分析したところ、実施例7と同一のトリカルボキシデ
ンプンナトリウム塩であった。生成物XIX中のルテニウ
ム濃度をICPで測定したところ30ppm(ルテニウ
ム除去率99.80重量%)であった。
【0043】実施例11 実施例7の反応分液の一つを加熱時間を30分で行った
以外は、実施例7と同様の処理を行い、生成物XXを得
た。この生成物を13C−NMR、IRによって分析し
たところ、実施例7と同一のトリカルボキシデンプンナ
トリウム塩であった。生成物XX中のルテニウム濃度を
ICPで測定したところ6ppm(ルテニウム除去率9
9.96重量%)であった。
【0044】実施例12 実施例7の反応分液の一つを加熱処理前の抽出処理をn
−ヘプタンで1回抽出した以外は、実施例7と同様の処
理を行い、生成物XXIを得た。この生成物を13C−
NMR、IRによって分析したところ、実施例7と同一
のトリカルボキシデンプンナトリウム塩であった。生成
物XXI中のルテニウム濃度をICPで測定したところ
73ppm(ルテニウム除去率99.51重量%)であ
った。
【0045】実施例13 実施例7の反応分液の一つを実施例7と同様の処理を行
い、さらに酸化剤添加、溶媒抽出、加熱処理、酸化剤添
加及び溶媒抽出を繰り返して、沈澱化および乾燥を行
い、生成物XXIIを得た。この生成物を13C−NM
R、IRによって分析したところ、実施例7と同一のト
リカルボキシデンプンナトリウム塩であった。生成物X
XII中のルテニウム濃度をICPで測定したところ検出
限界以下であった。
【0046】実施例14 実施例7の反応分液の一つを第1の抽出工程を行わなか
った以外は実施例7と同様の処理を行い、生成物XXII
Iを得たこの生成物を13C−NMR、IRによって分
析したところ、実施例7と同一のトリカルボキシデンプ
ンナトリウム塩であった。生成物XXIII中のルテニウ
ム濃度をICPで測定したところ95ppm(ルテニウ
ム除去率99.37重量%)であった。
【0047】実施例15 実施例7の反応分液の一つを加熱処理を行わなかった以
外は、実施例14と同様の処理を行い、生成物XXIVを
得た。この生成物を13C−NMR、IRによって分析
したところ、実施例7と同一のトリカルボキシデンプン
ナトリウム塩であった。生成物XXIV中のルテニウム濃
度をICPで測定したところ126ppm(ルテニウム
除去率99.2重量%)であった。
【0048】実施例16 (1回目のカルボキシ多糖類の製造)攪拌機、温度計及
びポンプを備えた1L容丸底パイレックスフラスコに水
50ml、トウモロコシデンプン(敷島スターチ社製)
15g及び塩化ルテニウム0.70g(ルテニウム含有
量43重量%、ルテニウム2.8ミリモル)を入れ、攪
拌しながら、冷水浴で20℃に冷却した。この混合物に
デンプンの5倍モル量になるように12.9重量%次亜
塩素酸ナトリウム水溶液を3時間かけて添加した。反応
液のpHは、2規定の水酸化ナトリウム水溶液で9.0
に制御した。
【0049】反応終了後、反応液452gに12.9重
量%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を12.9g、n−ヘ
プタンを130g添加し、室温で振とう(1分)、遠心
分離(2,000pm、1分)、静置(1分)した後、
四酸化ルテニウムを溶解・抽出したn−ヘプタン層を水
溶液から分離した。この抽出操作を室温で4回行った。
抽出液には、2−プロパノール1.5gを添加処理した
後、ロータリエバポレーターで減圧乾固して酸化ルテニ
ウムを得た。また、抽残液には、2倍容量のメタノール
を加えて白色沈澱物を生成させた。沈澱物をロ別し、更
に、水に溶解しメタノールを加えて沈殿させた後、60
℃、5時間真空乾燥して生成物XXV23.9gを得
た。
【0050】生成物XXVを13C−NMR、IR、X
RFによって分析したところ、原料トウモロコシデンプ
ンを構成するグルコピラノース単位のC6位の一級アル
コ−ルが100モル%カルボキシル基に酸化されている
と同時にC2−C3位が開裂し、C2、C3位の二級ア
ルコ−ルが75モル%カルボキシル基に酸化されたトリ
カルボキシデンプンナトリウム塩が99.5重量%(収
率94.4%)、塩化ナトリウムが0.5重量%含まれ
ていた。生成物XXVのルテニウム濃度をICPで測定
したところ126ppm(ルテニウム除去率99.2重
量%)であった。
【0051】(2回目のカルボキシ多糖類の製造・ルテ
ニウム再使用)減圧乾固して得られた酸化ルテニウムを
水45gに分散後、1回目の反応と同様に多糖類の酸化
反応、抽出、ルテニウム分離を行った。また、抽残液
は、1回目の反応と同様に、メタノール添加、沈澱化、
ロ別、再溶解、乾燥して生成物XXVI23.5gを得
た。生成物XXVIを13C−NMR、IR、XRFによ
って分析したところ、1回目の反応で得られた生成物X
XVと同一のトリカルボキシデンプンナトリウム塩が9
9.4重量%(収率92.7%)、塩化ナトリウムが
0.6重量%含まれていた。
【0052】実施例17 (1回目のカルボキシ多糖類の製造)塩化ルテニウムの
代わりに酸化ルテニウム0.600g(ルテニウム含有
量47重量%、2.8ミリモル)を用いた以外は、実施
例16と同様に反応した。反応後、実施例16と同様に
してn−ヘプタンで4回抽出した後、抽残液を温度計、
冷却管を備えた1L容の丸底反応パイレックスフラスコ
に入れオイル浴により98℃、2時間加熱還流処理し
た。冷却後、加熱処理した溶液をn−ヘプタンで4回抽
出した後、実施例16と同様に沈澱化、乾燥を行い、生
成物XXVII23.6gを得た。
【0053】この生成物を13C−NMR、IR、XR
Fによって分析したところ、生成物XXVと同一のトリ
カルボキシデンプンナトリウム塩が99.5重量%(収
率93.2%)、塩化ナトリウムが0.5重量%含まれ
ていた。生成物XXVII中のルテニウム濃度をICPで
測定したところ5ppm(ルテニウム除去率99.96
重量%)であった。n−ヘプタン抽出液は、30%過酸
化水素2gを添加した以外は実施例16と同様にして処
理した後、ロータリエバポレーターで減圧乾固して酸化
ルテニウムを得た。
【0054】(2回目のカルボキシ多糖類の製造・ルテ
ニウム再使用)1回目の反応で得られた酸化ルテニウム
を水45gに分散後、1回目の反応と同様に反応、抽
出、ルテニウム分離を行った。また、抽残液は、1回目
の反応と同様に、メタノール添加、沈澱化、ロ別、再溶
解、乾燥して生成物XXVIII23.8gを得た。生成物
XXVIIIを13C−NMR、IR、XRFによって分析
したところ、1回目の反応で得られた生成物XXVIIと
同一のトリカルボキシデンプンナトリウム塩が99.4
重量%(収率93.9%)と塩化ナトリウムが0.6重
量%含まれていた。
【0055】実施例18 2−プロパノールの代わりに10重量%塩酸ヒドラジン
水溶液を用いた以外は実施例16と同様に反応、後処理
を行い1回目反応の生成物XXIX23.3g、2回目反
応の生成物XXX23.5gを得た。生成物XXIX、X
XXを13C−NMR、IR、XRFによって分析した
ところ、実施例16と同一のトリカルボキシデンプンナ
トリウム塩が99.6重量%(収率92.1%)、9
9.5重量%(収率92.8%)と塩化ナトリウムが
0.4重量%、0.5重量%含まれていた。
【0056】実施例19 2−プロパノールの代わりに10重量%塩酸ヒドロキシ
アミン水溶液を用いた以外は実施例16と同様に反応、
後処理を行い1回目反応の生成物XXXI、2回目反応
の生成物XXXIIをそれぞれ23.4g得た。生成物X
XXI、XXXIIを13C−NMR、IR、XRFによ
って分析したところ、実施例16と同一のトリカルボキ
シデンプンナトリウム塩99.3重量%(収率92.2
%)、99.5重量%(収率92.4%)と塩化ナトリ
ウム0.7重量%、0.5重量%であった。
【0057】
【発明の効果】本発明によれば、多糖類の酸化に用いら
れた高価なルテニウムを容易に効率よく回収し、次のカ
ルボキシ多糖類の製造に有効に再利用できる。又、ルテ
ニウムを効率よく回収できるので、ルテニウム含有量が
少ないカルボキシ多糖類が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神崎 利昭 東京都葛飾区新宿6丁目1番1号 三菱瓦 斯化学株式会社東京研究所内

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシ多糖類を製造する方法におい
    て、 (1)水性媒体中で多糖類をルテニウム化合物と酸化剤
    との組み合わせにより酸化し; (2)酸化反応後の反応混合液に酸化剤を添加してルテ
    ニウムを高酸化状態にし; (3)水に不溶な有機溶媒により高酸化状態のルテニウ
    ムを反応混合液から抽出・分離し;次いで (4)ルテニウム抽出後の反応混合液からカルボキシ多
    糖類を分離することを特徴とするカルボキシ多糖類の製
    造方法。
  2. 【請求項2】 前記工程(1)の酸化剤及び工程(2)
    の酸化剤は同一又は異なっていてもよく、それぞれハロ
    ゲン、酸化ハロゲン、過ハロゲン酸およびその塩、ハロ
    ゲン酸およびその塩、亜ハロゲン酸およびその塩、次亜
    ハロゲン酸およびその塩、酸素、過酸、過酸化物、過硫
    酸及びその塩、並びにフェリシアン化塩からなる群から
    選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記水に不溶な有機溶媒が飽和鎖状炭化
    水素、飽和環状炭化水素またはハロゲン化炭化水素であ
    る請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 抽出温度が常圧で0〜100℃である請
    求項1記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記工程(3)の抽出液に還元剤を添加
    してルテニウムを回収し、回収したルテニウムを多糖類
    の酸化に再使用する工程を更に含むことを特徴とする請
    求項1記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記還元剤が亜硫酸塩、ヒドラジン及び
    その塩、ヒドロキシルアミン及びその塩、過酸化水素、
    キノン類および低級アルコールから選ばれる少なくとも
    一種である請求項5に記載の製造方法。
  7. 【請求項7】 カルボキシ多糖類を製造する方法におい
    て、 (1)水性媒体中で多糖類をルテニウム化合物と酸化剤
    との組み合わせにより酸化し; (2)酸化反応後の混合溶液に酸化剤を添加してルテニ
    ウムを高酸化状態にし; (3)水に不溶な有機溶媒により高酸化状態のルテニウ
    ムを抽出・分離し; (4)分離後の抽残液を常圧において50℃〜沸点温度
    で加熱し; (5)加熱後の溶液に酸化剤を添加してルテニウムを高
    酸化状態にし; (6)水に不溶な有機溶媒により高酸化状態のルテニウ
    ムを反応混合液から抽出・分離し;次いで (7)ルテニウム抽出後の反応混合液からカルボキシ多
    糖類を分離することを特徴とするカルボキシ多糖類の製
    造方法。
  8. 【請求項8】 前記工程(1)で得られた混合溶液を、
    前記工程(2)に先だって、常圧において50℃〜沸点
    温度で加熱することを特徴とする請求項7記載の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 前記工程(1)、工程(2)および工程
    (5)の酸化剤は同一でも異なっていてもよく、それぞ
    れハロゲン、酸化ハロゲン、過ハロゲン酸およびその
    塩、ハロゲン酸およびその塩、亜ハロゲン酸およびその
    塩、次亜ハロゲン酸およびその塩、酸素、過酸、過酸化
    物、過硫酸及びその塩、並びにフェリシアン化塩からな
    る群から選ばれる少なくとも一種である請求項7記載の
    製造方法。
  10. 【請求項10】 前記水に不溶な有機溶媒が飽和鎖状炭
    化水素、飽和環状炭化水素またはハロゲン化炭化水素で
    ある請求項7記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記工程(3)および工程(6)の抽
    出温度が常圧で0〜100℃である請求項7記載の製造
    方法。
  12. 【請求項12】 前記工程(3)および工程(6)の抽
    出液に還元剤を添加してルテニウムを回収し、回収した
    ルテニウムを多糖類の酸化に再使用する工程を更に含む
    ことを特徴とする請求項7記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 前記還元剤が亜硫酸塩、ヒドラジン及
    びその塩、ヒドロキシルアミン及びその塩、過酸化水
    素、キノン類、および低級アルコールから選ばれる少な
    くとも一種である請求項12に記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 カルボキシ多糖類を製造する方法にお
    いて、 (1)水性媒体中で多糖類をルテニウム化合物と酸化剤
    との組み合わせにより酸化し; (2)酸化反応後の混合溶液を常圧において50℃〜沸
    点温度で加熱処理し; (3)加熱処理後の溶液に酸化剤を添加してルテニウム
    を高酸化状態にし; (4)水に不溶な有機溶媒により高酸化状態のルテニウ
    ムを反応混合液から抽出・分離し;次いで (5)ルテニウム抽出後の反応混合液からカルボキシ多
    糖類を分離することを特徴とするカルボキシ多糖類の製
    造方法。
  15. 【請求項15】 前記工程(1)及び工程(3)の酸化
    剤は同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン、
    酸化ハロゲン、過ハロゲン酸およびその塩、ハロゲン酸
    およびその塩、亜ハロゲン酸およびその塩、次亜ハロゲ
    ン酸およびその塩、酸素、過酸、過酸化物、過硫酸及び
    その塩、並びにフェリシアン化塩からなる群から選ばれ
    る少なくとも一種である請求項14記載の製造方法。
  16. 【請求項16】 前記水に不溶な有機溶媒が飽和鎖状炭
    化水素、飽和環状炭化水素またはハロゲン化炭化水素で
    ある請求項14記載の製造方法。
  17. 【請求項17】 抽出温度が常圧で0〜100℃である
    請求項14記載の製造方法。
  18. 【請求項18】 前記工程(4)の抽出液に還元剤を添
    加してルテニウムを回収し、回収したルテニウムを多糖
    類の酸化に再使用する工程を更に含むことを特徴とする
    請求項14記載の製造方法。
  19. 【請求項19】 前記還元剤が亜硫酸塩、ヒドラジン及
    びその塩、ヒドロキシルアミン及びその塩、過酸化水
    素、キノン類、および低級アルコールから選ばれる少な
    くとも一種である請求項18に記載の製造方法。
JP11153457A 1998-06-04 1999-06-01 カルボキシ多糖類の製造方法 Pending JP2000080103A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11153457A JP2000080103A (ja) 1998-06-04 1999-06-01 カルボキシ多糖類の製造方法

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15605698 1998-06-04
JP17475598 1998-06-22
JP10-174755 1998-06-26
JP10-180901 1998-06-26
JP10-156056 1998-06-26
JP18090198 1998-06-26
JP11153457A JP2000080103A (ja) 1998-06-04 1999-06-01 カルボキシ多糖類の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000080103A true JP2000080103A (ja) 2000-03-21

Family

ID=27473224

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11153457A Pending JP2000080103A (ja) 1998-06-04 1999-06-01 カルボキシ多糖類の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000080103A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10204102A (ja) 水溶性トリカルボキシ多糖類の製造方法
FR2688787A1 (fr) Procede d'oxydation d'amidons cationiques et amidons amphoteres carboxyliques et cationiques ainsi obtenus.
JP2000080103A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
US6111097A (en) Process for producing carboxypolysaccharide
JP2000159804A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
JP2000080101A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
JP2000159803A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
US6130328A (en) Process for preparing carboxypolysaccharide
JP2000178301A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
CN113318730B (zh) δ-MnO2催化剂及其制备方法和应用
JP2000001503A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
JP2000007703A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
JPH11322804A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
JPH10298203A (ja) 水溶性トリカルボキシ多糖類
US6333438B1 (en) Process for producing adamantanols
JPH11310601A (ja) 高濃度トリカルボキシ多糖類水溶液の製造方法
JPH11322805A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
JP2001089502A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
JPH11140101A (ja) カルボキシ多糖類の製造方法
WO1997035890A1 (en) Catalyst-free ozone oxidation of starch
EP3880645A1 (en) Ester synthesis using heterogeneous au/tio2catalyst
JPH1112302A (ja) トリカルボキシ多糖類の製造方法
JPH03101672A (ja) 2,5―フランジカルボキシアルデヒドの製法
WO1997032903A1 (en) Method for oxidizing polysaccharides using ozone in the presence of a halogenide-containing catalyst
JPH10279603A (ja) トリカルボキシ多糖類の製造方法