JP2000079436A - ホイール用リム素環の転圧方法および装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロールの圧下部の幅Ｂを大きくすることなく
圧下幅Ａを大きくすることができるホイール用リム素環
の転圧方法とその装置の提供。 【解決手段】 リム素環１の内側に加圧ロール２を配
し、リム素環１の外側に圧延ロール４を配し、加圧ロー
ル２と圧延ロール４の何れか一方に、半径方向に突出す
る圧下部３を設けておき、加圧ロール２を圧延ロール４
に向けて加圧して回転させ、転圧によりリム素環１を素
材軸方向に部分的に薄肉化する方法または装置であっ
て、圧下部３の軸方向両端縁部３ａ、３ｂを、圧下部３
が設けられたロールのロール軸芯６と直交する平面７か
ら角度α°だけ傾けておき、ロールの回転につれて圧下
部３の圧下幅Ｂをリム素環１の軸方向に逐次移動させて
圧下部３の幅Ｂより大きな圧下幅Ａにわたってリム素環
１を圧下し薄肉化するホイール用リム素環の転圧方法お
よび装置。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用ホイール
のリム素環の転圧方法、とくに転圧成形における減肉方
法と、その方法の実施に直接使用する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】自動車用２ピースディスクホイールは、
別々に製作したリムとディスクを組み合わせて溶接接合
して作製される。リムの製作においては、平板を丸めて
端部を突合わせ溶接して環状リム素環とし、これを多段
ロールに通してリム形状に成形する。リムを軽量化する
従来方法として、強度的に不必要な部位の板厚を減肉す
る方法がある。この減肉は、実際には、リム形状へのリ
ム成形工程か、またはリム素環の段階で行われる。この
うち、本発明の方法はリム素環の段階で行われる方法の
改良である。従来の、リム素環の段階で行われる減肉方
法は、特開平９−７６０３９号に開示された、リム素環
の内周側に配された加圧ロール（第１成形ロール）とリ
ム素環の外周側に配された圧延ロール（第２成形ロー
ル）とを用いて、転圧（ロールの回転を伴う加圧）によ
り板厚を減肉する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】試験によれば、図３に
示すように、加圧ロール１２に幅Ｂの突出圧下部１３を
形成しておいてリム素環１１を圧下幅Ａ（図３では、圧
下部の幅Ｂ＝圧下幅Ａである）で圧下すると、圧下部の
幅Ｂが所定値以下の範囲では、材料は幅方向に移動し、
周方向には移動しないのでリム素環１１の径は変化しな
い。したがって、幅の狭い素環から、ある部位を減肉す
ることによって目標とする幅に拡げ、これをリム形状に
成形することによって軽量化をはかることができる。し
かし、軽量化率を向上させる目的で圧下部の幅Ｂを大き
くすると、径方向への変形挙動が生じ、目標とする幅方
向への増加が期待できなくなる。本発明の目的は、ロー
ルの圧下部の幅Ｂを大きくすることなく、圧下幅Ａを大
きくすることができ、それによってリム素環の軽量化率
を向上させることができる、ホイール用リム素環の転圧
方法およびその装置を提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明はつぎの通りである。 （１） 環状のリム素環の内側に加圧ロールを配し、環
状のリム素環の外側に圧延ロールを配し、加圧ロールと
圧延ロールの何れか一方に軸方向に部分的に半径方向に
突出する圧下部を形成しておき、加圧ロールを圧延ロー
ルに向けて加圧して回転させ、転圧によりリム素環を素
材幅方向に部分的に薄肉化する方法であって、前記圧下
部の幅方向両端縁部を圧下部が形成されているロールの
ロール軸芯と直交する平面から傾けておき、圧下部が形
成されているロールの回転につれて、圧下部による圧下
幅をリム素環の幅方向に逐次移動させて薄肉化するホイ
ール用リム素環の転圧方法。 （２） 転圧により環状リム素環を素環幅方向に部分的
に薄肉化する装置であって、前記リム素環の内側に配さ
れる加圧ロールと、前記環状リム素環の外側に配される
圧延ロールと、加圧ロールと圧延ロールの何れか一方に
形成された軸方向に部分的に半径方向に突出する圧下部
と、からなり、前記圧下部の幅方向両端縁部が圧下部が
形成されているロールのロール軸芯と直交する平面から
傾けられている、ホイール用リム素環の転圧装置。

【０００５】上記（１）の方法および上記（２）の装置
では、圧下部端縁を該圧下部が形成されているロールの
ロール軸芯と直交する平面から傾けたので、圧下部が形
成されているロールを回転させると圧下部が逐次リム素
環の幅方向（リム素環の軸方向）に移動し、圧下部の幅
Ｂは小さく維持したまま、圧下部の幅Ｂより広い幅Ａを
圧下することができ、リム素環の軽量化率を向上させる
ことができる。

【０００６】

【発明の実施の形態】まず、本発明の一実施例に係るホ
イール用リム素環の転圧装置を、図１、図２を参照して
説明する。本発明実施例のホイール用リム素環の転圧装
置は、転圧により直円筒状の環状リム素環１を素環幅方
向に部分的に薄肉化する装置であって、リム素環１の内
側に配された加圧ロール２と、リム素環１の外側に配さ
れた圧延ロール４と、からなる。加圧ロール２と圧延ロ
ール４の何れか一方は、軸方向に部分的に半径方向に突
出する圧下部３を有し、他方のロールはストレートな外
周面を有する。図示例では圧延ロール４の方に圧下部３
が形成されている。以下、圧延ロール４に圧下部３が形
成されている場合を例にとって説明する。圧延ロール４
は加圧ロール２と反対側からバックアップロール５によ
って接触、支持されることにより、小径ロールとされて
いる。

【０００７】圧延ロール４の圧下部３は幅方向両端縁部
３ａ、３ｂを有し、圧下部３の幅方向両端縁部３ａ、３
ｂは、圧延ロール軸芯６と直交する平面７から角度α°
（ただし、αは０より大きく９０より小さな値）だけ、
図２の側面視状態において、傾けられている。円滑な減
肉と効果的な軽量化率の向上をはかるには、αは２５以
上で６５の間の値であることが望ましい。

【０００８】また、圧下部３の幅Ｂは、圧下部の幅方向
両端縁部が圧延ロール軸芯と直交する平面から傾けられ
ていない場合に（図３の場合に）圧下時に材料の周方向
伸びを生じさせない（したがってリム素環の径変化を伴
わない）最大圧下部幅値かまたはそれより小さい値に設
定される。また、圧下部３の幅方向両端縁部３ａ、３ｂ
には、半径方向外側にいくほど幅（端縁部３ａ、３ｂ間
距離）が小さくなる方向に傾斜するテーパが付けられて
いる。

【０００９】つぎに、上記装置を用いて実行される、本
発明実施例のホイール用リム素環の転圧方法を図１、図
２を参照して説明する。本発明実施例のホイール用リム
素環の転圧方法は、環状のリム素環１の内側に加圧ロー
ル２を配し、環状のリム素環１の外側に直円筒状の外周
面を有する圧延ロール４を配して、加圧ロール２と圧延
ロール４の何れか一方に、軸方向に部分的に半径方向に
突出する圧下部３を設けておき、加圧ロール２を圧延ロ
ール４に向けて加圧して回転させ、転圧によりリム素環
１を素材幅方向に部分的に薄肉化する方法であって、圧
下部３の幅方向両端縁部３ａ、３ｂを圧下部３が設けら
れているロールのロール軸芯６と直交する平面７から角
度α°（αは０より大きく９０より小さな値）だけ傾け
ておき、圧下部３が設けられているロールの回転につれ
て、圧下部３の圧下幅Ｂをリム素環１の幅方向に逐次移
動させて圧下部３の幅Ｂより大きな圧下幅Ａにわたって
リム素環１を圧下し薄肉化するホイール用リム素環の転
圧方法からなる。図示例では、圧延ロール４に圧下部３
が設けられている場合を示している。以下、圧延ロール
４に圧下部３が設けられている場合を例にとって説明す
る。

【００１０】圧下部３の幅Ｂは、この幅Ｂをもち端縁が
圧延ロール軸芯と直交する平面に平行な圧下部で材料を
圧下した場合に材料が幅方向にのみ移動し周方向には移
動しないかほとんど移動しない幅に設定されている。し
たがって、圧下部３の幅Ｂは、図３の従来の圧下部１３
の幅Ｂと等しいかまたはそれより小である。圧延ロール
４は加圧ロール２と反対側からバックアップロール５に
より接触、支持されてもよい。

【００１１】つぎに、本発明実施例の方法および装置の
作用を説明する。本発明実施例の方法および装置では、
加圧ロール２を回転させつつ圧延ロール４に向かって押
し、リム素環１を周方向に局部的に押圧成形しながら、
この押圧成形を逐次周方向に移動させていき、材料を軸
方向に局部的に薄肉化していく。この場合、圧下部端縁
３ａ、３ｂを圧延ロール軸芯６と直交する平面７から傾
けてあるので、圧延ロール４を回転させると圧下部３が
逐次リム素環１の幅方向（リム素環の軸方向）に移動
し、圧下部３の幅Ｂは小さく維持したまま、圧下部の幅
Ｂより広い幅Ａを圧下することができ、リム素環の軽量
化率を向上させることができる。ただし、薄肉化が材料
の全円周で幅Ａの薄肉化が完了するまで圧延ロール４を
回転させ、したがってリム素環１は複数回（１回より多
い回転数）、回転される。

【００１２】

【発明の効果】請求項１の方法および請求項２の装置の
何れによっても、圧下部端縁を該圧下部が形成されてい
るロールのロール軸芯と直交する平面から傾けたので、
圧下部が形成されているロールを回転させると圧下部が
逐次リム素環の幅方向（リム素環の軸方向）に移動し、
圧下部の幅Ｂは小さく維持したまま、圧下部の幅Ｂより
広い幅Ａを圧下することができ、リム素環の軽量化率を
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係るホイール用リム素環の
転圧方法を実施する装置の、斜視図である。

【図２】図１の装置のうち圧下部とその圧下による材料
の薄肉化を示す側面図である。

【図３】従来の装置のうち圧下部とその圧下による材料
の薄肉化を示す側面図である。

【符号の説明】

１ リム素環 ２ 加圧ロール ３ 圧下部 ３ａ、３ｂ 圧下部端縁 ４ 圧延ロール ５ バックアップロール ６ ロール軸芯 ７ ロール軸芯に直交する平面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 志垣 和幸 東京都千代田区四番町５番地９ トピー工 業株式会社内 (72)発明者 菅原 光紀 東京都千代田区四番町５番地９ トピー工 業株式会社内 (72)発明者 松尾 直哉 東京都千代田区四番町５番地９ トピー工 業株式会社内 (72)発明者 森 謙一郎 兵庫県宝塚市長尾台１−13−２

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 環状のリム素環の内側に加圧ロールを配
   し、環状のリム素環の外側に圧延ロールを配し、加圧ロ
   ールと圧延ロールの何れか一方に軸方向に部分的に半径
   方向に突出する圧下部を形成しておき、加圧ロールを圧
   延ロールに向けて加圧して回転させ、転圧によりリム素
   環を素材幅方向に部分的に薄肉化する方法であって、 前記圧下部の幅方向両端縁部を圧下部が形成されている
   ロールのロール軸芯と直交する平面から傾けておき、圧
   下部が形成されているロールの回転につれて、圧下部に
   よる圧下幅をリム素環の幅方向に逐次移動させて薄肉化
   するホイール用リム素環の転圧方法。
2. 【請求項２】 転圧により環状リム素環を素環幅方向に
   部分的に薄肉化する装置であって、 前記リム素環の内側に配される加圧ロールと、 前記環状リム素環の外側に配される圧延ロールと、 加圧ロールと圧延ロールの何れか一方に形成された軸方
   向に部分的に半径方向に突出する圧下部と、 からなり、 前記圧下部の幅方向両端縁部が圧下部が形成されている
   ロールのロール軸芯と直交する平面から傾けられてい
   る、ホイール用リム素環の転圧装置。