JP2000072415A - 結晶質の窒化炭素膜を形成する方法 - Google Patents

結晶質の窒化炭素膜を形成する方法

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JP2000072415A JP10251873A JP25187398A JP2000072415A JP 2000072415 A JP2000072415 A JP 2000072415A JP 10251873 A JP10251873 A JP 10251873A JP 25187398 A JP25187398 A JP 25187398A JP 2000072415 A JP2000072415 A JP 2000072415A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ECR(電子サイクロトロン共鳴)スパッタ法
によって、窒素対炭素比(N/C比)が1を越える結晶質
の窒化炭素膜を形成できる方法を提供する 【解決手段】 黒鉛ターゲット7を、窒素を主成分とす
るECRプラズマによってスパッタする。その際、導入ガ
スには窒素含有ガスを用いる。ターゲット7に印下する
負の直流電圧は250V以上、450V以下とする。基板10の電
位を負の浮遊電位とし、この基板浮遊電位の絶対値が45
V以上、65V以下の範囲となるようにプラズマ室1内のガ
ス圧力を制御する。基板温度を400℃以上、1100℃以下
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、窒化炭素薄膜の形
成方法に関するものである。特に、窒素対炭素(N/C)
の原子比が1を越える結晶質の窒化炭素膜を形成できる
方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】β−C34(β型窒化炭素)は、セラミ
ックスの中でも高強度を実現できているβ型窒化ケイ素
(β−Si3N4)と同じ結晶構造を持ち、ダイヤモンドよ
りも高い硬度を有することが理論計算から予測されてい
る有望な材料である。しかし、現時点では理論予測通り
のβ−C34は合成されていないのが現状である。
【0003】β−C34に代表される窒化炭素の合成方
法として、高圧合成法や気相合成法が検討されている。
これらの中でも最も有望とされているのがプラズマを使
った気相合成法による成膜技術である。
【0004】代表的な成膜方法としては、平行平板型電
極を用いた高周波または直流放電スパッタリング法があ
る。この手法では、黒鉛ターゲットからスパッタされて
飛び出した炭素原子の一部が、窒素を含んだプラズマ中
で窒化されてガス状の窒化炭素中間体が形成され、基板
上に窒化炭素薄膜として形成されると期待されている。
【0005】その他の成膜方法としては、蒸着とイオン
注入を併用するIVD法(Ion and Vapor Deposition法。I
BAD法;Ion Beam Assisted Deposition法とも呼ばれ
る)があるが、状況は上記スパッタリング法と同じであ
る。その他にアークイオンプレーテイング法なども検討
されている。またECR(Electron cyclotron resonanc
e:電子サイクロトロン共鳴)放電を利用したプラズマC
VD法も検討されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、いずれの手法
においても、現在に至るまで得られた膜は、非晶質の炭
素膜の中に窒素がわずかに取り込まれた状態にあり、β
−C34の化学量論比組成であるN/C=4 /3≒1.33に
極めて近い膜は実現されていない。一部の報告では、非
晶質相の中に極めて微細なβ−C34の結晶粒子が存在
することが透過電子顕微鏡観察および透過電子線回折法
を用いて確認されたという報告や、膜の組成比N/Cが1
を越える膜が形成できたという報告もなされているが、
X線回折法で結晶質のβ−C34が確認され、同時に膜
の組成比N/Cが1を越えるような化学量論比組成が検証
できたという報告は全く見られない。
【0007】他方、例えば特開昭61−114518号公報に開
示されたようなECRプラズマを利用したスパッタリング
法は、半導体用の絶縁膜や回路配線などを形成する手法
として開発された。
【0008】この手法を用いれば、高密度のプラズマが
形成できると同時に、成長中の膜に対するプラズマダメ
ージ(加速された高エネルギーイオンが成膜中の膜に衝
突し、膜の組成を変えてしまったり、膜の構造を崩した
りする現象)を回避できるとされている。しかし、この
手法を用いた窒化炭素膜合成はほとんど報告されていな
いのが現状であった。
【0009】従って、本発明の主目的は、ECRスパッタ
法によって、N/C比が1を越える結晶質の窒化炭素膜を
形成できる方法、とりわけガス条件、スパッタリング条
件、基板温度条件、基板電位条件などを具体的に提供す
るものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、炭素含有ター
ゲットを、窒素を主成分とするECRプラズマによってス
パッタするECRスパッタ法により窒素対炭素(N/C)の
原子比が1以上の窒化炭素膜を形成するものである。す
なわち、本発明の窒化炭素膜形成方法は次の工程を含ん
でいる。
【0011】プラズマ室内にガスを流し、このプラズ
マ室の一端側からマイクロ波をプラズマ室へと導入し、
同時にプラズマ室の周囲に配置したマグネットコイルで
プラズマ室内に磁場を発生させる。
【0012】この磁場の発生によって、プラズマ室内
の少なくとも一部に電子サイクロトロン共鳴放電による
ガスプラズマを発生させる。そして、このガスプラズマ
中の正電荷を帯びたガスイオンを、プラズマ室の他端側
に設けた炭素含有ターゲットに衝突させることで炭素を
スパッタリングする。
【0013】前記ガスイオンとスパッタされた炭素と
をターゲットの近傍に配置した基板表面に導いて結晶質
の窒化炭素膜を形成する。
【0014】ここで、本発明は次の条件を限定したこと
を特徴とする。
【0015】<導入ガス>導入するガスを窒素含有ガス
とする。つまり、窒素のみからなるガスでも、窒素の他
にアルゴンなどを含むガスでも構わない。アルゴンを用
いる場合、プラズマ室に導入する全ガス中でアルゴンの
占める割合を10体積%以下とすることが好ましい。より
好ましくは5体積%以下である。
【0016】スパッタリングにおいては、スパッタする
ガスイオンの質量が大きいほどスパッタ効率(スパッタ
されるターゲット材料の量)が向上し、膜形成速度が向
上することが知られている。従って、窒素とアルゴンの
原子量が、それぞれ14、40であることを考慮すれば、ア
ルゴンの方がターゲットのスパッタ効率向上に大きく寄
与することが理解できる。しかし、基板表面に窒化炭素
膜を形成する際には、逆に原子量の大きなアルゴンは膜
に対して与えるダメージ(例えば膜中の窒素を選択的に
弾き出してしまい、膜中の窒素含有量が下がるというダ
メージ)も大きくなる。発明者らは、導入ガス中でのア
ルゴンの占める割合について詳細に検討した結果、アル
ゴンの占める割合が10体積%を越えると、膜中の窒素含
有量が急激に低下し、N/C組成比が1を下回ることを見
いだした。アルゴンの含有量を5体積%以下とすると、
特にβ−C34を含む膜が形成され易くなる。
【0017】<ターゲットの印加電圧>炭素含有ターゲ
ットに印加する負の直流電圧を250V以上、450V以下とす
る。より好ましくは300V以上、400V以下である。黒鉛タ
ーゲット7に印加する負の直流電圧が250Vを下回るとス
パッタ効率が極端に低下し、膜の形成速度が低下するた
め、好ましくない。また、450Vを越えると、ターゲット
のスパッタ量が増えすぎてしまい、膜中のN/C組成比が
1を下回って好ましくない。最適な負の直流電圧は300V
以上、400V以下である。
【0018】<基板電位>基板電位を浮遊電位とし、基
板浮遊電位が負電位であり、かつその絶対値が45V以
上、65V以下の範囲となるようにプラズマ室内のガス圧
力を制御する。より好ましくは50V以上、60V以下であ
る。本発明における最大の特徴の一つは、この基板浮遊
電位を特定の範囲に制御することにある。
【0019】従来、ECRプラズマを利用したCVD法あるい
はスパッタ法では、基板の電位について詳細に規定した
例は少なく、接地電位にしたり、浮遊電位にしたりと様
々であった。
【0020】しかし、実際には、プラズマがマグネット
コイルの発散磁場に沿ってプラズマ室出口から出てくる
時に、プラズマ室に発生するECRプラズマが特定のプラ
ズマ電位を持ち、接地されていない(電気的に浮いた状
態にある)基板には流入するプラズマによって生じる
「浮遊電位」が生じる。もし基板自身が接地されている
と、プラズマ電位と基板電位(=接地電位)との電位差
によってプラズマ中の荷電粒子が加速され、基板に衝突
するという現象が起きる。この衝突の際に、形成中の膜
がダメージ(例えば膜中の窒素を選択的に弾き出してし
まい、膜中の窒素含有量が下がるというダメージ)を受
けるために好ましくない。基板の電位を「浮遊電位」と
することで、このようなダメージが抑制できる。さら
に、浮遊電位の値を、負電位のある特定の値となるよう
にプラズマ室内圧あるいは成膜室内圧を制御すること
で、初めて基板表面に結晶質で、かつN/C組成比が1を
越える窒化炭素膜を形成することができることを発明者
は見いだした。これはプラズマ室内と基板表面との間に
おけるプラズマ電位の差が、ある特定の値になっている
ときに、炭素イオンと窒素イオンとの反応が最も効率的
に起きるためであると思われる。基板浮遊電位が負電位
の45Vを下回っても、65Vを越えても、膜中のN/C組成比
が1を大きく下回るために好ましくない。膜中のN/C組
成比を1以上にするには、50V以上、60V以下の範囲に制
御されることが特に好ましい。
【0021】<基板温度>被膜形成中の基板温度を400
℃以上、1100℃以下とする。より好ましくは450℃以
上、800℃以下である。この基板温度条件は、膜の結晶
性向上には必須であり、400℃以下の基板温度では非晶
質の窒化炭素膜しか得られないために好ましくない。ま
た、基板温度が1100℃を越えると、膜中のN/C組成比が
1を下回るために好ましくない。結晶質でN/C組成比が1
を越える窒化炭素膜を形成するには、基板温度は450℃
以上、800℃以下であることが好ましい。
【0022】このような方法により得られる高硬度の窒
化炭素としては、β型、α型が最も好ましい結晶構造で
あるため、少なくともβ型結晶を含むことが好ましい。
また、β型結晶以外にα型結晶を含んでいても良い。い
ずれにしても膜中のN/C比が1以上であって、1.40以下
であることが肝要である。もしこの比率が1を下回る
と、膜の硬度が十分に向上しないために好ましくない。
また1.40を越えると、膜中に化学量論比を大きく越え
る量の窒素原子が取り込まれ、膜質の低下を招くために
好ましくない。
【0023】なお、得られた窒化炭素膜の評価方法に
は、次のものが挙げられる。 薄膜X線回折(XRD:X‐ray diffraction)法にお
ける面間隔の測定による化合物の同定。 X線光電子分光分析(XPS:X‐ray photo-electron
ic spectroscopy)法における炭素あるいは窒素の結合
状態の同定。 透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission electron mic
roscope)観察による結晶粒径評価と格子像観察及び写
真撮影。 透過電子線回折(TED:Transmission electron beam
diffraction)法による回折パターンの解析による化合
物の同定と結晶構造解析。
【0024】これらの評価結果については以下の実施例
において詳しく説明するが、得られた窒化炭素膜にはβ
−C34が少なくとも含まれており、β−C34以外の
結晶としてα−C34と、その他の未確認の結晶が含ま
れていることが確認された。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例をあげて本
発明の実施の形態を説明する。図1は、ECRスパッタリン
グ装置の概略説明図である。プラズマ室1内にガス導入
口2から窒素ガスを含む原料ガスを流し、プラズマ室1の
周りに配置されているマグネットコイル3によってプラ
ズマ室1内の少なくとも1箇所に所定の磁場を発生させ
る。同時にマイクロ波発振器6で発生させたマイクロ波
を、導波管4を経てマイクロ波を透過する窓5を通して導
入し、プラズマ室1内にECRプラズマを発生させる。この
時にターゲット7として円筒形状の黒鉛を配置し、この
ターゲット7に直流の負の電圧を直流電源8から印加す
る。すると、プラズマ中で正電荷に帯電したガスイオン
が黒鉛ターゲット7をスパッタし(弾き出し)、ガス中
に窒素イオンと炭素イオンが生成される。これらの窒素
イオンと炭素イオンはプラズマ中あるいは成膜室9に配
置された基板10の表面上で化学的に反応し、窒化炭素膜
を形成する。
【0026】このような装置自体は特開昭61−114518号
公報に記載されているが、成膜条件を極めて狭い範囲内
に制御しなければ、基板表面に結晶質でN/C組成比が1
を越える窒化炭素膜を形成することができないことを次
の試験により発明者は見い出した。
【0027】図1で示した成膜装置を用い、以下の手順
により膜形成条件を種々変化させて窒化炭素膜を成膜
し、得られた膜のN/C比、X線回折による結晶構造解析
を行った。設定した膜形成条件を表1と表2に、膜質評
価結果を表3、表4に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】
【表4】
【0032】すなわち、黒鉛ターゲット7には外径80m
m、内径60mm、長さ60mmの純度99.85%以上の黒鉛を用
い、ターゲット7と基板10との距離を5cmとなるようにセ
ットした。基板10には直径2インチ(5.08mm)のシリコ
ンウェハ(面方位は(100))を用い、絶縁支持台12で
支持されて電気的に浮遊電位にある基板テーブル11の上
面にセットした。成膜室9には油拡散ポンプと油回転ポ
ンプとからなる真空排気ポンプ14が接続され(図示せ
ず)、コーティングに入る前に1.33×10-4paまで排気
した。その後、ガス導入口2に接続されたマスフローコ
ントローラー(図示せず)から窒素ガス及びアルゴンガ
スを所定の流量でプラズマ室1内へと流した。圧力の測
定は成膜室に接続された絶対圧真空計(バラトロン圧力
計)と電離真空計を併用して行った(いずれも図示せ
ず)。
【0033】また、マグネットコイル3に19.5アンペア
の直流電流を流し、プラズマ室内に875ガウスの磁場が
生じるようにした。次に、マイクロ波発振器6(周波数
は2.45GHz)から出力400ワットのマイクロ波を発生さ
せ、導波管4と窓5を通してプラズマ室にマイクロ波を導
き、プラズマ室1内部にECR放電を発生させた。また、黒
鉛ターゲット7には直流電源8から、所定の負の直流電圧
を印加した。基板10には負の浮遊電圧が発生するので、
基板の浮遊電位が所定の電圧になるように電圧計13で読
み取りながらガスの総流量を変化させて成膜室9内の圧
力を変化させた。なお、基板10の加熱については、基板
テーブル11内に装着されている抵抗加熱ヒーターと熱電
対(いずれも図示せず)を用いて、所定の温度になるよ
うにした。膜の形成時間は1時間とした。
【0034】得られた膜についてXPS法により窒素対炭
素比率を評価し、XRD法により膜の結晶性を評価して、
同時に窒化炭素膜の結晶系を同定した。また、得られた
膜については、膜の成長速度が極端に遅くなっていない
か、緻密な膜になっているかなどの観点からも調査し
た。
【0035】上記の各表より、以下の事実がわかった。 <基板加熱を行わないときの基板浮遊電位依存性(表
1、3)>基板浮遊電位が−50V〜−60Vの範囲にある場
合に、膜中の窒素含有量がβ−C34の化学量論比組成
に極めて近くなる。基板浮遊電位が−55Vのときには炭
素と窒素の化学結合が成立していることが確認できた
が、膜質は非晶質を主体とした超微結晶であった。
【0036】膜中でにおける炭素の結合状態(ラマンシ
フト)の基板浮遊電位依存性を図2に示す。基板浮遊電
位が−50V〜−60Vの範囲にある場合に、N/C比が1.0以
上であることわかる。また、膜中の窒素含有量の基板浮
遊電位依存性を図3に示す。基板浮遊電位が−40Vと−45
Vでは非晶質炭素に由来するピーク(波数1300〜1700cm
-1)が見られるが、基板浮遊電位が−55Vでは炭素−窒
素結合に由来する新しいピーク(波数1050〜1100cm-1
が観察される。
【0037】<基板温度依存性(表1、3)>基板温度
の上昇に伴って膜の結晶化が進むが、膜中の窒素含有量
が低下するという挙動を示す。結晶質であると同時に窒
素含有量が1以上になる条件範囲は、基板温度400℃以
上、1100℃以下であった。
【0038】<基板加熱を行ったときの基板浮遊電位依
存性(表1、3)>適切な基板温度600℃のもとでの基
板浮遊電位依存性を調査したところ、基板浮遊電位が−
45V〜−65Vの範囲にある場合に、膜中の窒素含有量がβ
−C34の化学量論比組成になり、同時に膜はβ−C3
4を主体とした結晶質であった。
【0039】<基板加熱を行わないときの黒鉛ターゲッ
ト印加電圧依存性(表2、4)>黒鉛ターゲットヘの印
加電圧を増大させると、膜中の窒素含有量が低下する傾
向にある。基板温度が室温であるために、得られた膜は
高い窒素含有量であっても、いずれも非晶質であった。
【0040】<基板加熱を行ったときのターゲット印加
電圧依存性(表2、4)>適切な基板温度600℃のもと
でのターゲット印加電圧依存性を調査したところ、膜中
の窒素含有量が1以上であると同時に結晶質の膜が適当
な成長速度で得られたのは、ターゲット印加電圧が−30
0V〜−400Vの範囲にあることが必要であった。
【0041】<基板加熱を行わないときのアルゴン添加
量依存性(表2、4)>アルゴン添加量が増大すると、
膜中の窒素含有量は減少する。しかし基板加熱を行わな
いときは、膜はいずれも非晶質か超微結晶から構成され
ていた。
【0042】<基板加熱を行ったときのアルゴン添加量
依存性(表2、4)>適切な基板温度500℃のもとで、
アルゴンガス添加量依存性を調査したところ、アルゴン
添加量が10体積%以下の場合に、膜中の窒素添加量が1
以上となることがわかった。表1の実施例6についての走
査型電子顕微鏡写真を図4に、X線回折スペクトルを図5
にそれぞれ示す。図4の走査型電子顕微鏡写真より、実
施例6は粒径1μm以下の結晶から構成された膜になって
いることがわかる。また、図5のX線回折スペクトルよ
り、実施例6はβ−C34以外にα−C34や未確認の
結晶構造を持った物質から膜が構成されていることがわ
かる。
【0043】以上の実施例によって、本発明に記された
方法を使えば、窒素含有量が1を越え、β−C34を主
成分とする結晶質の膜が得られることが示された。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のECRスパ
ッタ法によれば、化学量論組成に極めて近い組成を持つ
結晶質の窒化炭素膜を形成することができる。特に、高
硬度の窒化炭素であるβ−C34を主成分とする膜を形
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例で用いたECRスパッタリング装
置の概略説明図である。
【図2】本発明実施例に関る膜中窒素含有率(膜中のN
/C組成比)の基板浮遊電位依存性を表すグラフであ
る。
【図3】本発明実施例に関るラマンスペクトルを表すグ
ラフである。
【図4】本発明実施例6の窒化炭素膜の走査型電子顕微
鏡写真である。
【図5】本発明実施例6のX線回折スペクトルを示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 プラズマ室 2 ガス導入口 3 マグネットコイ
ル 4 導波管 5 窓 6 マイクロ波発振器 7 黒鉛ターゲット
8 直流電源 9 成膜室 10 基板 11基板テーブル 12 絶縁支持
台 13 電圧計 14 真空排気ポンプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上條 栄治 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1−5 龍谷 大学理工学部内 (72)発明者 谷 庸治 滋賀県大津市瀬田大江町横谷1−5 龍谷 大学理工学部内 (72)発明者 大原 久典 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 辻岡 正憲 兵庫県伊丹市昆陽北一丁目1番1号 住友 電気工業株式会社伊丹製作所内 Fターム(参考) 5F045 AA10 AB40 AC15 AC16 AD08 AD09 AD10 AD11 AD12 AD13 AD14 AD15 BB12 DP03 EH18 EH20

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プラズマ室内にガスを流し、このプラズ
    マ室の一端側からマイクロ波をプラズマ室へと導入し、
    同時にプラズマ室の周囲に配置したマグネットコイルで
    プラズマ室内に磁場を発生させることによって、プラズ
    マ室内の少なくとも一部に電子サイクロトロン共鳴放電
    によるガスプラズマを発生させ、このガスプラズマ中の
    正電荷を帯びたガスイオンを、プラズマ室の他端側に設
    けた炭素含有ターゲットに衝突させることで炭素をスパ
    ッタリングし、前記ガスイオンとスパッタされた炭素と
    をターゲットの近傍に配置した基板表面に導いて結晶質
    の窒化炭素膜を形成する方法において、 前記ガスが窒素を含み、 前記ターゲットに印加する負の直流電圧を250V以上、45
    0V以下とし、 前記基板電位を浮遊電位とし、 この基板浮遊電位が負電位であり、かつその絶対値が45
    V以上、65V以下の範囲となるようにプラズマ室内のガス
    圧力を制御し、 基板温度を400℃以上、1100℃以下とすることを特徴と
    する結晶質の窒化炭素膜を形成する方法。
  2. 【請求項2】 前記ガスがさらにアルゴンを含み、プラ
    ズマ室内に導入する全ガス中でアルゴンの占める割合を
    10体積%以下としたことを特徴とする請求項1記載の結
    晶質の窒化炭素膜を形成する方法。
  3. 【請求項3】 プラズマ室内に導入する全ガス中でアル
    ゴンの占める割合を5体積%以下とし、 前記ターゲットに印加する負の直流電圧を300V以上、40
    0V以下とし、 前記基板電位の絶対値が50V以上、60V以下となるように
    プラズマ室内の圧力を制御し、 基板温度を450℃以
    上、800℃以下とすることを特徴とする請求項2記載の
    結晶質の窒化炭素膜を形成する方法。
  4. 【請求項4】 得られる窒化炭素膜がβ型の四窒化三炭
    素(化学式β−C34)を含むことを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の結晶質の窒化炭素膜を形成す
    る方法。
  5. 【請求項5】 得られる窒化炭素膜がさらにα型の四窒
    化三炭素(化学式α−C34 )を含むことを特徴とす
    る請求項4記載の結晶質の窒化炭素膜を形成する方法。
  6. 【請求項6】 得られる窒化炭素膜中の窒素対炭素(N
    /C)の原子比が1以上、1.40以下であることを特徴と
    する請求項1〜5のいずれかに記載の結晶質の窒化炭素
    膜を形成する方法。
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