JP2000063880A - 金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物 - Google Patents

金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物

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JP2000063880A JP8932099A JP8932099A JP2000063880A JP 2000063880 A JP2000063880 A JP 2000063880A JP 8932099 A JP8932099 A JP 8932099A JP 8932099 A JP8932099 A JP 8932099A JP 2000063880 A JP2000063880 A JP 2000063880A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塑性加工における潤滑剤として、リン酸塩に
よる下地皮膜を必要とせず、水系で、浸漬またはスプレ
ーにより付着させた後、乾燥する簡便な工程で優れた潤
滑性を付与する、金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物を
提供する。 【解決手段】 (A)合成樹脂、(B)水溶性無機塩お
よび水を含有し、(B)/(A)(固形分重量比)が
0.25/1〜9/1であって、合成樹脂が溶解または
分散している、金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物。該
組成物にはさらに滑剤、固形潤滑剤、極圧添加剤を含有
させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、潤滑性に優れる、
鉄鋼、チタン、アルミニウム等の金属材料の塑性加工用
潤滑剤組成物に関する。より詳しくは、本発明は塑性加
工を行う際、被加工物にスプレーまたは浸漬により塗布
した後、直ちに乾燥するという簡便な工程で、優れた潤
滑性を有する皮膜を形成する、金属材料の塑性加工用潤
滑剤組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に金属材料の塑性加工では、被加工
材と工具との金属接触により生ずる摩擦を低減し、焼き
付きやかじりを防止する目的で、液状または固体状の潤
滑剤が使用されている。使用される潤滑剤は使用方法で
大きく二つに分けることができる。一つは、金属表面に
物理的に付着させる潤滑剤で、もう一つは化学反応によ
り金属表面にキャリア皮膜を生成させた後、滑剤を付着
させる潤滑剤である。前者の潤滑剤としては、鉱油、植
物油または合成油を基油にして極圧剤を添加したもので
金属表面に付着後そのまま塑性加工を行うタイプのもの
や、金属石けん、黒鉛または二硫化モリブデン等の固体
潤滑剤をバインダー成分と共に水に分散させたもので、
金属表面に付着後乾燥させた後に塑性加工を行うタイプ
のもの等がある。これらの潤滑剤は使用方法が塗布や浸
漬によるため簡便である、液管理もほとんど必要がない
などの利点があるため、比較的軽い塑性加工の場合に使
用されることが多い。他方、後者の潤滑剤による処理は
いわゆる化成皮膜処理と呼ばれるものであり、化学反応
により金属表面にキャリアとしての役割を持つリン酸塩
皮膜を生成させた後、滑剤としてステアリン酸ナトリウ
ムやステアリン酸カルシウム等の反応石けんまたは非反
応石けんによる処理が行われる。このタイプは、キャリ
アとしての化成皮膜と滑剤としての金属石けんとの二層
構造を持っており、非常に高い耐焼き付き性を示す。そ
のため潤滑剤として伸線、伸管、鍛造などの塑性加工分
野において非常に広い範囲で使用されてきた。
【0003】しかしながら、リン酸塩処理は化学反応で
あるため、複雑な液管理が必要であり、さらに形成され
る化成皮膜上に滑剤を塗布するため、水洗や酸洗いまで
を含めると多数の処理工程が必要である。また、処理の
際に使用される水洗水や化成皮膜から多量の廃液が出る
ことおよび化学反応を制御するため加温が必要であるこ
とから、設備投資や操業に多額の費用がかかる。
【0004】このような問題点を解決するためコストの
かかるリン酸塩処理の代替のために、前述の物理的な方
法による潤滑膜の性能を化成処理と同等な程度に向上さ
せる努力がなされている。かかる努力の結果として、油
系の潤滑剤または水系の潤滑剤を使用する方法が提案さ
れている。油系潤滑剤としては、特公平4−1798号
公報に、「塩素化パラフィン、燐酸エステル等の極圧剤
とイソブチレン・n−ブテン共重合物と動植物等を配合
した潤滑油に金属石けんや固体潤滑剤を配合した冷間加
工用潤滑剤」が開示されている。しかしながら、これら
の高性能潤滑剤であっても、化成皮膜処理後反応石けん
潤滑処理を行う潤滑法との比較では加工性にやや難があ
り、また極圧添加剤を使用しているために加工時に臭気
が発生するという欠点がある。
【0005】また水系潤滑剤の場合には、湿式のままで
使用するものと、乾式皮膜として使用するものがある
が、湿式のまま使用する水系潤滑剤は前記の油系潤滑剤
のように工具あるいは加工材料に直接流しかけて使用さ
れるものであり、乾式皮膜として使用する水系潤滑剤と
は前記化成皮膜のように処理槽に浸漬処理した後乾燥工
程で水分を蒸発させ固体皮膜を得るものである。前者と
しては、特公昭58−30358号公報に「炭酸水素塩
(固形物)を主成分とし、これに少量の分散剤と界面活
性剤と固体潤滑剤とを加えた金属管の冷間乃至温間加工
用潤滑剤」が開示されているが、化成皮膜処理に代わっ
て広く使用されるまでには至っていない。また後者とし
ては、「水溶性高分子またはその水性エマルジョンを基
材とし、固体潤滑剤と化成皮膜形成剤とを配合した潤滑
剤組成物」(特開昭52−20967号公報)等が示さ
れているが、化成皮膜処理に匹敵するようなものは得ら
れていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記従来技術
の抱える問題を解決するためのものであり、塑性加工に
おける潤滑剤として、リン酸塩による下地皮膜を必要と
せず、水系で、浸漬またはスプレーにより付着させた
後、乾燥する簡便な工程でリン酸塩処理法に匹敵する潤
滑性を有する金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため鋭意研究を行った結果、合成樹脂と水溶性
無機塩とを含有する水溶液または水分散液に金属板を浸
漬し乾燥すると、非常に密着性の良い強靭な皮膜が得ら
れることを見出した。さらにこの水溶液または水分散液
中に滑剤や固体潤滑剤などを含ませることにより、得ら
れる皮膜に優れた潤滑性能を付与することができること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】すなわち、本発明の金属材料の塑性加工用
潤滑剤組成物は、(A)合成樹脂、(B)水溶性無機塩
および水を含有し、(B)/(A)(固形分重量比)が
0.25/1〜9/1であって、合成樹脂が溶解または
分散していることを特徴とする。本発明の金属材料の塑
性加工用潤滑剤組成物には、さらに滑剤成分として、金
属石けん、ワックス、ポリテトラフルオロエチレンおよ
び油よりなる群から選ばれる少なくとも一種を1〜20
重量%含有させるのが好ましい。前記水溶性無機塩とし
ては、硫酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナジン酸
塩およびタングステン酸塩よりなる群から選ばれる少な
くとも一種が好ましい。前記合成樹脂としては、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリル樹
脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂およ
びフェノール系樹脂よりなる群から選ばれる少なくとも
一種が好ましい。本発明組成物において、成分(A)と
成分(B)の好ましい組合せは成分(A)がウレタン樹
脂で成分(B)がホウ酸塩である組合せである。すなわ
ち、本発明組成物の好ましい態様は、成分(A)として
ウレタン樹脂を固形分として0.3〜10.0重量%お
よび成分(B)としてホウ酸塩を1.0〜10.0重量
%含有し、さらに滑剤を含有する上記した金属材料の塑
性加工用潤滑剤組成物である。本発明組成物には、さら
に固体潤滑剤として、二硫化モリブデン、黒鉛、ポリテ
トラフルオロエチレン、窒化ホウ素、雲母およびフッ化
黒鉛よりなる群から選ばれる少なくとも一種を1〜20
重量%含有させるのが好ましい。また本発明組成物に
は、さらに、極圧添加剤として、硫黄系極圧添加剤、有
機モリブデン系極圧添加剤、リン系極圧添加剤および塩
素系極圧添加剤よりなる群から選ばれる少なくとも一種
を0.5〜5重量%含有させるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明をより詳細に説明す
る。本発明の金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物に使用
される(A)合成樹脂は、塑性加工に耐える密着性およ
び皮膜強度を有する皮膜を形成し得るものであれば特に
限定されず、例えばポリビニルアルコール、ポリビニル
ピロリドン、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキ
シ樹脂、ウレタン樹脂およびフェノール系樹脂を使用で
きる。使用する樹脂は水溶性または水分散性のどちらで
も使用できるので、使用目的により選択するのが好まし
い。例えば、塑性加工後に脱膜が必要な場合は水溶性合
成樹脂を、耐水性が必要であれば水分散性合成樹脂を選
択することができる。本発明で使用する合成樹脂は本発
明組成物中に溶解しているか分散している。分散のため
必要に応じ公知の界面活性剤を用いることができる。ポ
リビニルアルコールはポリ酢酸ビニルを加水分解して製
造されるが、完全加水分解物のみならず50%以上の加
水分解度のものも使用可能である。本発明でポリビニル
アルコールは50モル%以上のビニルアルコール単位と
エチレン単位からなる共重合体も含むものとする。ポリ
ビニルアルコールの分子量はゲルパーミエーションクロ
マトグラフィーで測定した場合、300〜2,000で
あることが好ましい。ポリビニルピロリドンはN−ビニ
ル−2−ピロリドンを重合して得られる。ポリビニルピ
ロリドンの分子量はゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーで測定した場合、500〜1,000であること
が好ましい。
【0010】アクリル系樹脂はアクリル系モノマーの少
なくとも一種を重合して得られるものが挙げられる。ア
クリル系モノマーとしては、メチルアクリレート、メチ
ルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタク
リレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルア
クリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘ
キシルメタクリレート、オクチルアクリレート等のアル
キル(C=1〜8)(メタ)アクリレート;メトキシメ
チルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、エト
キシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレー
ト、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメ
タクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキ
シエチルメタクリレート、メトキシブチルアクリレート
等の低級アルコキシ低級アルキル(メタ)アクリレー
ト;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−
ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキ
シ低級アルキル(メタ)アクリレート;アクリルアミ
ド、メタクリルアミド;N−メチロールアクリルアミ
ド、N−メチロールメタクリルアミド、N−ブトキシメ
チルアクリルアミド、N−ブトキシメチルメタクリルア
ミド等のN−非置換もしくは置換(特に低級アルコキシ
置換)メチロール基を有する(メタ)アクリルアミド;
ホスホニルオキシメチルアクリレート、ホスホニルオキ
シエチルアクリレート、ホスホニルオキシプロピルアク
リレート、ホスホニルオキシメチルメタクリレート、ホ
スホニルオキシエチルメタクリレート、ホスホニルオキ
シプロピルメタクリレート等のホスホニルオキシ低級ア
ルキル(メタ)アクリレート;アクリロニトリル;アク
リル酸、メタクリル酸等が挙げられる。本発明において
はアクリル系樹脂は、上記のごときアクリル系モノマー
の少なくとも一種とスチレン、メチルスチレン、酢酸ビ
ニル、塩化ビニル、ビニルトルエン、エチレン等の他の
エチレン性モノマーの少なくとも一種との共重合体であ
ってアクリル系モノマー単位を30モル%以上含有する
ものをも包含するものとする。アクリル系樹脂の分子量
はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した
場合、1,000〜1,000,000、特に100,
000〜600,000であることが好ましい。
【0011】酢酸ビニル樹脂は酢酸ビニルの重合によっ
て得られる。本発明では酢酸ビニル樹脂はポリ酢酸ビニ
ル樹脂中の酢酸ビニル単位が50%未満加水分解された
ものも包含するものとする。また本発明で酢酸ビニル樹
脂は酢酸ビニルとエチレンとの共重合体(酢酸ビニル単
位50モル%以上)も包含するものとする。酢酸ビニル
樹脂の分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーで測定した場合、200〜2,000であることが好
ましい。エポキシ樹脂としては、ビスフェノール類、特
にビスフェノールA(2,2−ビス(4´−ヒドロキシ
フェニル)プロパン)とエピクロルヒドリンとを反応さ
せて得られる、ビスフェノール型エポキシ樹脂、特に下
記式で表わされるビスフェノールA型エポキシ樹脂をま
ず挙げることができる。他の例として、フェノールノボ
ラック樹脂のフェノール性水酸基をグリシジルエーテル
化したノボラック型エポキシ樹脂、芳香族カルボン酸の
グリシジルエステル、エチレン性不飽和化合物の二重結
合を過酸でエポキシ化した過酸エポキシ型等を挙げるこ
とができる。さらに、上記のごときエポキシ樹脂の樹脂
骨格にエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付
加したもの、多価アルコールのグリシジルエーテル型等
も挙げることができる。これらの中でビスフェノールA
型エポキシ樹脂を用いるのがもっとも好ましい。エポキ
シ樹脂の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーで測定した場合、350〜5,000であること
が好ましい。
【0012】
【化1】
【0013】ウレタン樹脂は、ウレタン結合(NHCO
O)を有する合成樹脂であり、ウレタン樹脂としては、
一般にイソシアネート基を2個以上有するポリイソシア
ネート化合物と活性水素基を2個以上有するポリオール
との重付加反応によって得られるものを用いることがで
きる。かかるポリオールとしてはポリエステルポリオー
ルおよびポリエーテルポリオールが挙げられる。ポリエ
ステルポリオールとしては、例えば、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、
1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレング
リコール、ネオペンチルグリコール、1,2−ブチレン
グリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブ
チレングリコール、3−メチルペンタンジオール、ヘキ
サメチレングリコール、水添ビスフェノールA、トリメ
チロールプロパン、グリセリン等の低分子量のポリオー
ルと、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバチン
酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリ
ット酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラ
ヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等の多塩基酸と
の反応によって得られる末端に水酸基を有するポリエス
テル化合物が挙げられる。
【0014】また、ポリエーテルポリオールとしては、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコー
ル、1,3−プロピレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレ
ングリコール、1,4−ブチレングリコール、3−メチ
ルペンタンジオール、ヘキサメチレングリコール、ビス
フェノールA、水添ビスフェノールA、トリメチロール
プロパン、グリセリン等の低分子量のポリオールまたは
これらのエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオ
キシド高付加物、ポリエチレングリコール、ポリプロピ
レングリコール、ポリエチレン/プロピレングリコール
等のポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリ
オール、ポリオレフィンポリオール、ポリブタジエンポ
リオール等が挙げられる。
【0015】またポリイソシアネートとしては、脂肪
族、脂環式および芳香族ポリイソシアネートが挙げら
れ、具体的には、テトラメチレンジイソシアネート、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネー
トエステル、水添キシリレンジイソシアネート、1,4
−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4´−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート、2,4´−ジシ
クロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイ
ソシアネート、3,3´−ジメトキシ−4,4´−ビフ
ェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソ
シアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシ
アネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6
−トリレンジイソシアネート、4,4´−ジフェニルメ
タンジイソシアネート、2,4´−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、フェニレンジイソシアネート、キシリ
レンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソ
シアネート等が挙げられる。ウレタン樹脂の分子量は、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した場
合、500〜500,000であることが好ましい。
【0016】フェノール樹脂としては、フェノール、ク
レゾール、キシレノール等のフェノール類の少なくとも
一種とホルムアルデヒドとの反応によって得られるもの
が挙げられ、ノボラック型樹脂、レゾール型樹脂のいず
れであっても良い。ノボラック型樹脂を使用する場合に
は硬化剤としてヘキサメチレンテトラミン等を共存させ
る必要がある。フェノール樹脂皮膜は後述の乾燥工程で
硬化する。フェノール樹脂の分子量については特に制限
はない。
【0017】これらの各種合成樹脂して市販のものを用
いることはもちろん可能であり、その場合、一般に、合
成樹脂が水溶性の場合水溶液として入手することがで
き、合成樹脂が水不溶性の場合、後述する、滑剤を分散
させるために使用する場合の界面活性剤と同様の界面活
性剤で水に分散させた分散液として入手することができ
る。
【0018】次に水溶性無機塩(B)は、乾燥により合
成樹脂と共に均一な皮膜を生成することで、皮膜に硬さ
と強度を付与するために添加している。そのため選ばれ
る水溶性無機塩は溶液中で均一に溶解し、乾燥時に合成
樹脂と均一に析出することにより皮膜の強度を高める性
質を持つことが必要である。そのような性質の水溶性無
機塩として、硫酸塩、ホウ酸塩、モリブデン酸塩、バナ
ジン酸塩およびタングステン酸塩よりなる群から選ばれ
る少なくとも一種を使用することが好ましい。一例とし
て硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、ホウ酸ナトリウム
(四ホウ酸ナトリウム等)、ホウ酸カリウム(四ホウ酸
カリウム等)、ホウ酸アンモニウム(四ホウ酸アンモニ
ウム等)、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸ナ
トリウム、タングステン酸ナトリウム、バナジン酸ナト
リウムなどが挙げられる。これらは単独で用いても良い
し、2種以上組み合わせて用いても良い。
【0019】本発明での合成樹脂(A)と水溶性無機塩
(B)との重量比(固形分重量比)(B)/(A)は
0.25/1〜9/1であることが必要である。該重量
比が0.25/1未満であると皮膜の硬度が十分でな
く、金属材料にかじりや焼き付きが発生する。また該重
量比が9/1を超えると皮膜の密着性および追随性が低
下し、加工時に皮膜が脱落しやすくなり潤滑性が低下す
る。上記重量比(B)/(A)は好ましくは0.3/1
〜8/1であり、さらに好ましくは0.5/1〜7/1
である。形成される皮膜の性質は水溶性または水分散性
合成樹脂と水溶性無機塩との重量比で調整が可能であ
り、加工または摺動部位の厳しさに応じ最適な重量比が
存在する。すなわち水溶性無機塩の割合を多くすると皮
膜の硬度が上昇し、耐加重性能が向上するが、皮膜の密
着性が低下する。例えば、塑性加工で閉塞鍛造のように
加工が厳しい場合は水溶性無機塩の添加量を多くするほ
うが良い。具体的には合成樹脂(A)と水溶性無機塩
(B)との重量比(固形分重量比)(B)/(A)は
1.5/1〜9/1にするのが好ましく、2/1〜8/
1にするのがより好ましく、2/1〜7/1にするのが
さらに一層好ましい。また薄板のプレス加工のような場
合には皮膜の追随性が大きい方が良いので水溶性無機塩
の割合を少なくするほうが良く、この重量比は0.25
/1〜2/1であるのが好ましく、0.3/1〜2/1
であるのがさらに好ましい。
【0020】合成樹脂及び水溶性無機塩の配合量につい
ては、両者の合計(固形分合計)が本組成物の1〜20
重量%になるようにするのが好ましく、1〜15重量%
になるようにするのがより好ましく、3〜10重量%に
なるようにするのがさらに一層好ましい。
【0021】本発明の金属材料の塑性加工用潤滑剤組成
物を金属材料表面上に適用するに際し、塑性加工が一段
階の塑性加工である場合には、上記の成分(A)、
(B)及び水よりなる組成物にはさらに、必要に応じ滑
剤成分、固体潤滑剤および/または極圧添加剤を含有さ
せ、それを金属材料に適用するのが好ましいが、塑性加
工が多段階の塑性加工(例えば伸線や鍛造での多段加
工)である場合には、上記の成分(A)、(B)および
水よりなる組成物を金属材料に塗布し、乾燥して生成さ
せた皮膜をキャリアとして、その上に各段の加工毎にさ
らに、必要に応じ滑剤成分、固体潤滑剤および/または
極圧添加剤を塗布して(例えば振りかけて)、塑性加工
を行うのが好ましい。
【0022】したがって、本発明の金属材料の塑性加工
用潤滑剤組成物は、特に金属材料の一段階の塑性加工に
供する場合には、または多段加工の場合でも望まれる場
合にはさらに、必要に応じ滑剤成分、固体潤滑剤および
/または極圧添加剤を含有しているのが好ましい。上記
成分中、滑剤成分は、通常、該組成物中に含有させるの
が好ましい。かかる滑剤成分としては、水溶液中で安定
でなおかつ皮膜強度を落とさないものが望ましく、その
ようなものとして金属石けん、ワックス、ポリテトラフ
ルオロエチレンおよび油が挙げられる。具体的には、金
属石けんとしては、例えば、ステアリン酸カルシウム、
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸バリウム、ス
テアリン酸リチウム、ステアリン酸亜鉛等、ワックスと
しては、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレ
ンワックス、カルナウバロウ、ミツロウ、パラフィンワ
ックス等、ポリテトラフルオロエチレンとしては、重合
度例えば100万〜1,000万程度のポリテトラフル
オロエチレンを挙げることができる。また、油としては
植物油、鉱物油、合成油等を使用でき、例えば、植物油
としてはパーム油、ひまし油、菜種油、ひまし油等を、
鉱物油としてはマシン油、タービン油、スピンドル油
等、合成油としてはエステル油、シリコーン油等を挙げ
ることができる。これらは水デイスパージョンや水エマ
ルジョンの形態で他成分と混合して本組成物中に含有さ
せるのが良い。滑剤は本発明組成物中に通常分散または
乳化している。
【0023】滑剤の配合量は1〜20重量%とするのが
好ましく、1〜10重量%とするのがより好ましく、2
〜7重量%とするのがさらに一層好ましい。配合量が1
重量%未満であると皮膜の摩擦が大きくなり焼付きが発
生し易くなり、20重量%を超えると皮膜の密着性が低
下する。
【0024】上記成分(A)、成分(B)、滑剤および
水を含有する本発明組成物の好ましい態様は、(A)ウ
レタン樹脂を固形分として0.3〜10.0重量%、
(B)ホウ酸塩を1.0〜10.0重量%、滑剤および
水を含有し、(B)/(A)(固形分重量比)が0.2
5/1〜9/1である、金属材料の塑性加工用潤滑剤組
成物である。ウレタン樹脂に関し、0.3重量%以上は
皮膜の密着性の低下を防ぐ観点からの好ましい値であ
り、10.0重量%以下は皮膜硬度が低下し焼付きが発
生するのを防ぐ観点からの好ましい値である。またホウ
酸塩に関し、1.0重量%以上は皮膜の硬度が不十分と
なり金属材料にかじりや焼付きが発生するのを防ぐ観点
からの好ましい値であり、10.0重量%以下は皮膜の
密着性や皮膜の伸び性が低下し、加工時に皮膜が脱落し
易くなり、それによって潤滑性が低下するのを防ぐ観点
からの好ましい値である。この態様においても、滑剤の
種類およびその配合量は上記と同様で良い。
【0025】加工が厳しい塑性加工では本発明組成物中
にさらに固体潤滑剤を含有させることが好ましい。かか
る場合の固体潤滑剤としては、皮膜中に安定して存在
し、高い荷重での潤滑を助ける働きがあるものが望まし
い。そのようなものとして、黒鉛、二硫化モリブデン、
窒化ホウ素、フッ化黒鉛、雲母等が挙げられる。該固体
潤滑剤の配合量は1〜20重量%とするのが好ましく、
1〜10重量%とするのがより好ましく、1〜5重量%
とするのがさらに一層好ましい。配合量が1重量%未満
では耐焼付き性が不十分となる恐れがあり、20重量%
を超えると密着性が低下する恐れがある。
【0026】加工がさらに厳しい塑性加工では上記組成
物中にさらに極圧添加剤を含有させることが好ましい。
かかる場合の極圧添加剤としては、皮膜中で安定で、加
工により、工具と金属との接触面で極圧効果を発揮する
ものが好ましい。そのようなものとして、硫化オレフィ
ン、硫化エステル、サルファイト、チオカーボネート、
塩素化脂肪酸、リン酸エステル、亜リン酸エステル、モ
リブデンジチオカーバメート(MoDTC)、モリブデ
ンジチオホスフェート(MoDTP)、亜鉛ジチオホス
フェート(ZnDTP)等の硫黄系極圧添加剤、有機モ
リブデン系極圧添加剤、リン系極圧添加剤および塩素系
極圧添加剤を挙げることができる。該極圧添加剤の配合
量は0.5〜5重量%とするのが好ましく、1〜3重量
%とするのがより好ましい。配合量が0.5重量%未満
では極圧効果が不十分となる恐れがあり、5重量%を超
えると皮膜の密着性が低下する恐れがある。
【0027】合成樹脂、滑剤、固体潤滑剤および/また
は極圧添加剤を分散または乳化させるために界面活性剤
が必要な場合、かかる界面活性剤としては、非イオン性
界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤お
よび陽イオン性界面活性剤のいずれをも用いることがで
きる。非イオン性界面活性剤としては、特に限定されな
いが、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポ
リオキシアルキレン(エチレンおよび/またはプロピレ
ン)アルキルフェニルエーテル、ポリエチレングリコー
ル(もしくはエチレンオキシド)と高級脂肪酸(例えば
炭素数12〜18)とから構成されるポリオキシエチレ
ンアルキルエステル、ソルビタンとポリエチレングリコ
ールと高級脂肪酸(例えば炭素数12〜18)とから構
成されるポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステ
ル等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、特
に限定されないが、例えば脂肪酸塩、硫酸エステル塩、
スルホン酸塩、リン酸エステル塩、ジチオリン酸エステ
ル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、特に限
定されないが、例えばアミノ酸型およびベタイン型のカ
ルボン酸塩、硫酸エステル塩、スルホン酸塩、リン酸エ
ステル塩等が挙げられる。陽イオン性界面活性剤として
は、特に限定されないが、例えば脂肪族アミン塩、第四
級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの界面活性剤
は各単独でまたは2種以上組み合わせて使用することが
できる。
【0028】本発明の潤滑剤組成物の製造方法について
は、製造された潤滑剤組成物が上述の条件を満足してい
れば特に制限されない。例えば、水溶性無機塩の水溶液
に水溶性または水分散性合成樹脂を加えて良く撹拌後、
任意成分としての滑剤、固体潤滑剤および/または極圧
添加剤を、必要に応じ界面活性剤及び水を用いて分散液
または乳化液とした後、添加し、撹拌することにより製
造することができる。
【0029】本発明の潤滑剤組成物は、鉄もしくは鋼、
銅もしくは銅合金、アルミニウムもしくはアルミニウム
合金、チタンもしくはチタン合金等の金属材料を冷間塑
性加工(伸線、伸管、鍛造等)する際に使用する潤滑剤
として用いることができる。金属材料の形状について
は、棒材やブロック材等の素材だけでなく、熱間鍛造後
の形状物(ギヤやシャフトトウ)の加工も考えられるの
で、特に限定されない。本発明の潤滑剤組成物を塗布す
るに先立って、加工する金属材料を脱脂(通常アルカリ
脱脂剤を使用することができる)、水洗、酸洗(金属材
料の酸化スケールを除去し、皮膜の密着性を高めるため
に塩酸等を用いて行う)、水洗の順に前処理することに
よって、表面を清浄にしておくことが好結果を得るため
に好ましい。酸化スケールが付着していない場合に、酸
洗→水洗は省いても構わない。これらの前処理は常法に
より行えば良い。
【0030】本発明の潤滑剤組成物は、浸漬、スプレ
ー、流しかけ等の常法により金属材料に塗布する。塗布
は金属表面が潤滑剤組成物で十分に覆われれば良く、塗
布する時間に特に制限はない。塗布後、潤滑剤組成物は
乾燥する必要がある。乾燥は常温放置でも構わないが、
通常60〜150℃で10〜60分行うのが好適であ
る。本発明組成物の塗布乾燥後の皮膜重量は、焼付きを
防ぐ観点から1g/m2以上であるのが好ましく、また
コスト面から30g/m2以下であるのが好ましく、5
〜20g/m2であるのがより好ましく、8〜15g/
2であるのがさらに一層好ましい。
【0031】本発明の潤滑機構については、水溶性また
は水分散性合成樹脂と水溶性無機塩との複合皮膜による
ものと考えられる。すなわち、水溶性または水分散性樹
脂と水溶性無機塩とが混合した水溶液を金属表面に付着
させ、その後乾燥させる工程のため、まず水の蒸発によ
り水溶液の濃度が上昇し水溶性無機塩の結晶析出が始ま
る。そしてその後水のさらなる蒸発により合成樹脂の濃
度が上り徐々に析出して金属表面に密着していくと考え
られる。この時すでに無機塩結晶が析出しているので、
水溶性または水分散性合成樹脂はこの水溶性無機塩結晶
を均一に分散させた皮膜となる。したがって、合成樹脂
と無機塩とを共に均一に析出させることで、合成樹脂の
柔軟性と密着性、無機塩の硬さと強度を共に兼ね備えた
皮膜が形成されるものと考えられる。
【0032】
【実施例】本発明の実施例を比較例と共に挙げることに
よって、本発明をその効果と共にさらに具体的に説明す
る。実施例1〜3、比較例1〜2 表1に示す割合で潤滑剤組成物を調製した。調製は水溶
性無機塩を水に溶解後、フェノール樹脂を溶解しよく攪
拌することにより行った。この潤滑剤組成物にバウデン
試験片(材質:SPC鋼板 150mm×75mm×
1.0mm)を30秒浸漬した後、100℃で30分乾
燥した。そして乾燥後の皮膜にステアリン酸カルシウム
粉末(日本油脂(株)製)を全体に良く振りかけた後、
バウデン試験に供した。なお、バウデン試験潤滑剤組成
物塗布に先立ち試験片に以下の前処理工程(1)〜
(2)を行い、熱風乾燥した。 (1)アルカリ脱脂(日本パーカライジング(株)製フ
ァインクリーナー4360、濃度20g/L、温度60
℃、浸漬10分) (2)水洗 常温の水道水スプレー 皮膜重量(g/m2)は潤滑剤組成物塗布前後の重量差
より算出した。バウデン試験は、試験荷重5kg、試験
温度室温、試験鋼球5mmφとし、摩擦係数と焼付き回
数(摩擦係数が0.25になるまでの摺動回数)を測定
した。平均摩擦係数は焼付き回数×1/2回数の前後1
0回の平均を測定した。
【0033】実施例4〜17、比較例3〜6 表2に示す割合で潤滑剤組成物を調製した。水溶性無機
塩を水に溶解後、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコー
ル、フェノール樹脂またはアクリル樹脂を溶解し良く攪
拌した。さらに表2に示した添加剤1(滑剤)(ポリエ
チレンワックスディスパージョン、ステアリン酸カルシ
ウムディスパージョン、ポリテトラフルオロエチレンま
たはパーム油エマルジョン)を添加攪拌し、潤滑剤組成
物とした。この潤滑剤組成物にバウデン試験片(材質:
SPC鋼板 150mm×75mm×1.0mm)を3
0秒浸漬した後、100℃で30分乾燥し、バウデン試
験に供した。バウデン試験およびバウデン試験片の前処
理は実施例1〜3と同様に行った。
【0034】後方せん孔試験片は潤滑剤組成物に30秒
浸漬した後、オーブンで100℃で30分放置し、完全
に乾燥させてから試験を行った。なお、後方せん孔試験
片は潤滑剤組成物塗布に先立ち試験片に以下の前処理工
程(1)〜(4)を行った後、熱風乾燥した。 (1)アルカリ脱脂:日本パーカライジング(株)製フ
ァインクリーナー4360、濃度20g/L、温度60
℃、浸漬10分) (2)水洗:常温の水道水スプレー 30秒 (3)酸洗:塩酸、濃度17.5重量%、温度室温、浸
漬時間10分 (4)水洗:常温の水道水スプレー 30秒 後方せん孔試験に供した材料は市販のS45C球状化焼
鈍材で、試験片の形状は直径30mmφで高さが16〜
40mmまで2mm単位で変えたものである(13水
準)。
【0035】後方せん孔試験は、200トンクランクプ
レスを用い、金型をセットし外周部を拘束した円柱状試
験片の上に、50%の減面率になるような直径のパンチ
にて上方から打ち付け、カップ状の成型物を得る方法で
行った。この時プレスの下死点は試験片底部の残し代が
10mmとなるよう調整した。後方せん孔試験は試験片
を高さの低いものから順番に加工を行い、加工面に傷が
入るまで試験した。評価は内面に傷が入らなかった試験
片のカップ内高さを良好せん孔深さとした。 金型 :SKD11 パンチ :HAP40、ランド径21.21mmφ 試験片 :S45C、球状化焼鈍材 せん孔深さ:16、20、24、28、32、36、4
0、44、48、52、56、60mm 加工速度 :30ストローク/分 後方せん孔試験を図1に示す。
【0036】比較例7 実施例4〜10と同じバウデン試験片、後方せん孔試験
片に表2に示す条件で化成処理および反応型石けん潤滑
処理に付した。得られた試験片を実施例4〜10と同様
にバウデン試験および後方せん孔試験に供した。
【0037】実施例18〜34 表3に示す割合で潤滑剤組成物を調製した。すなわち、
実施例4〜10と同様な操作を行った後、添加剤B(二
硫化モリブデン、黒鉛、窒化ホウ素、フッ化黒鉛、硫化
植物油、MoDTC、MoDTP、ZnDTPまたは亜
リン酸エステル)を界面活性剤(ノニオン系)2重量%
と水に予め混合してから添加した。皮膜処理、バウデン
試験およぴ後方せん孔試験は実施例4〜10と同様に行
った。
【0038】以上の試験の結果を表1〜表3に示す。表
1〜表3から明らかなように、本発明の金属材料の塑性
加工用潤滑剤組成物を用いた実施例1〜34は簡便な作
業により優れた潤滑性を発揮することが分る。他方、本
発明の範囲外の、構成要件を満たさない比較例1〜6で
は、優れた潤滑性と簡便な作業性を同時に満足するもの
はない。また比較例7のリン酸塩皮膜は本発明と同等の
潤滑性を示すが、工程多く簡便な設備では使用できな
い。
【0039】なお表1〜表3で使用した各成分について
の説明を以下に示す。 フェノール樹脂:フェノールノボラックをアミノ化し水
溶化したもの(分子量500〜6,000)。ウレタン
樹脂:ポリエチレングリコール分子量1,000とヘキ
サメチレンジイソシアネートとを重付加させたもの(分
子量50,000以上)。 アクリル樹脂:アクリル酸、メチルメタクリレートおよ
びn−ブチルアクリレートの共重合物。分子量15万以
上、使用界面活性剤ポリオキシエチレンアルキルフェニ
ルエーテル。 PVA:ポリビニルアルコール(分子量1,000)。 PEワックス(ポリエチレンエマルジョンワックス):
エチレンの乳化重合により製造(分子量16,000〜
20,000)。 PTFE(ポリテトラフルオロエチレンワックス):住
友スリーエム製。 StCaディスパージョン(ステアリン酸カルシウムデ
ィスパージョン):中京油脂製。 パーム油エマルジョン:パーム油をポリオキシアルキレ
ンアルキルフェニルエーテルで分散した。 硫化植物油:日本油脂製。 亜リン酸エステル:堺化学製。 添加剤2(固体潤滑剤または極圧添加剤)はいずれもポ
リオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルで分散し
た。なお、各成分の重量%は成分そのものの重量%を示
す。したがって例えば、水ディスパージョンの場合、水
や分散させるために用いた界面活性剤は含まない。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
の金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物を用いると簡便な
処理で高い潤滑性を有する皮膜を生成することができ
る。また廃棄物も少なく、作業環境も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塑性加工用潤滑剤組成物を用いて行っ
た後方せん孔試験の概要を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C10M 145/04 C10M 145/04 145/14 145/14 145/20 145/20 147/02 147/02 149/14 149/14 159/06 159/06 159/08 159/08 // C10N 10:02 10:04 10:10 10:12 40:24

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)合成樹脂、(B)水溶性無機塩お
    よび水を含有し、(B)/(A)(固形分重量比)が
    0.25/1〜9/1であって、合成樹脂が溶解または
    分散している、金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物。
  2. 【請求項2】 滑剤として、金属石けん、ワックス、ポ
    リテトラフルオロエチレンおよび油よりなる群から選ば
    れる少なくとも一種を1〜20重量%含有する、請求項
    1記載の金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物。
  3. 【請求項3】 水溶性無機塩が硫酸塩、ホウ酸塩、モリ
    ブデン酸塩、バナジン酸塩およびタングステン酸塩より
    なる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1ま
    たは2記載の金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物。
  4. 【請求項4】 合成樹脂がポリビニルアルコール、ポリ
    ビニルピロリドン、アクリル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、
    エポキシ樹脂、ウレタン樹脂およびフェノール系樹脂よ
    りなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1
    〜3のいずれかに記載の金属材料の塑性加工用潤滑剤組
    成物。
  5. 【請求項5】 成分(A)としてウレタン樹脂を固形分
    として0.3〜10.0重量%および成分(B)として
    ホウ酸塩を1.0〜10.0重量%含有し、さらに滑剤
    を含有する請求項1記載の金属材料の塑性加工用潤滑剤
    組成物。
  6. 【請求項6】 滑剤として、金属石けん、ワックス、ポ
    リテトラフルオロエチレンおよび油よりなる群から選ば
    れる少なくとも一種を1〜20重量%含有する、請求項
    5記載の金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物。
  7. 【請求項7】 固体潤滑剤として、二硫化モリブデン、
    黒鉛、窒化ホウ素、雲母およびフッ化黒鉛よりなる群か
    ら選ばれる少なくとも一種を1〜20重量%含有する、
    請求項1〜6のいずれかに記載の金属材料の塑性加工用
    潤滑剤組成物。
  8. 【請求項8】 極圧添加剤として、硫黄系極圧添加剤、
    有機モリブデン系極圧添加剤、リン系極圧添加剤および
    塩素系極圧添加剤よりなる群から選ばれる少なくとも一
    種を0.5〜5重量%含有する、請求項1〜7のいずれ
    かに記載の金属材料の塑性加工用潤滑剤組成物。
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