JP2000063822A - 陰極線管用赤色発光蛍光体および陰極線管 - Google Patents

陰極線管用赤色発光蛍光体および陰極線管

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JP2000063822A
JP2000063822A JP10240728A JP24072898A JP2000063822A JP 2000063822 A JP2000063822 A JP 2000063822A JP 10240728 A JP10240728 A JP 10240728A JP 24072898 A JP24072898 A JP 24072898A JP 2000063822 A JP2000063822 A JP 2000063822A
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ray tube
cathode ray
red
emitting phosphor
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JP10240728A
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English (en)
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Hirobumi Takemura
博文 竹村
Yohei Shimizu
洋平 清水
Hiroyasu Yashima
博泰 八島
Keiko Arubesaaru
恵子 アルベサール
Takeshi Koyaizu
剛 小柳津
Hiroshi Mikami
啓 三上
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Toshiba Corp
Toshiba Development and Engineering Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 陰極線管用赤色発光蛍光体を用いて形成され
る蛍光膜の緻密性を改善し、赤色発光蛍光体による蛍光
膜の輝度を高める。 【解決手段】 酸硫化イットリウムを母体とする赤色発
光蛍光体の粒子表面に、Mg、Ca、Sr、Baの酸化
物や水酸化物などのアルカリ土類金属化合物を付着させ
た陰極線管用赤色発光蛍光体である。陰極線管はそのよ
うな陰極線管用赤色発光蛍光体を用いた蛍光膜を具備す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラーブラウン管
などの陰極線管の蛍光膜の形成に用いられる赤色発光蛍
光体と、それを用いた陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】カラーブラウン管の蛍光膜は、一般に以
下のようにして作製される。すなわち、まずポリビニル
アルコール(PVA)、重クロム酸アンモニウムおよび
界面活性剤を含む水溶液に、蛍光体を分散させて蛍光体
スラリーを調製し、これをガラスパネルに塗布して蛍光
体の塗布膜を形成する。次いで、蛍光体の塗布膜にシャ
ドウマスクを通して紫外線を照射して、照射部分のPV
Aを硬化させた後、現像により硬化させた部分以外の蛍
光膜を除去する。このようにして、ストライプ状または
ドット状の蛍光膜が形成される。
【0003】上述したような塗布法を適用して蛍光膜を
形成する場合、その際に用いられる蛍光体には、 (1)緻
密なストライプ状またはドット状の蛍光膜が形成される
こと、 (2)混色を生じないこと、 (3)パネルに対する付
着力が強いこと、 (4)十分な蛍光膜厚が得られること、
(5)顔料付着蛍光体においてはスラリー溶液中での顔料
剥離がないこと、などが要求される。
【0004】従来、上記したような蛍光体への要求特性
を満足させるために、蛍光体に表面処理を施すことで種
々の改良・開発が行われてきた。例えば、特開昭 54-10
2299号公報や特公昭 59-8310号公報には、顔料付着蛍光
体を水溶性有機化合物溶液と接触させ、分散性を向上さ
せる処理方法が記載されている。
【0005】また、特公昭60-21675号公報、特公昭61-4
6512号公報、特公昭62-39186号公報には、無機化合物を
蛍光体表面に付着させて、蛍光体の分散性を向上させる
方法が記載されている。さらに、特開平2-178387号公報
には、無機化合物および有機化合物を蛍光体表面に付着
させて、蛍光体のスラリー溶液中での沈降性を改善する
方法が記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、蛍光
体に無機化合物や有機化合物を付着させる表面処理によ
って、蛍光膜の品位はある程度改良されてきた。しか
し、最近のコンピュータ市場の拡大に伴い、カラーブラ
ウン管はコンピュータディスプレイ用として高性能化が
求められており、それに用いられる蛍光膜にも高品質化
を要求されている。特に、高コントラスト化に対する要
求が強い。
【0007】高コントラスト化を達成する 1つの手法と
して、蛍光膜の発光輝度の向上が挙げられる。蛍光膜の
発光輝度を向上させるためには、蛍光体自体の発光輝度
を向上させるか、あるいはより緻密な蛍光膜を形成し
て、蛍光膜としての発光輝度を向上させることが考えら
れる。
【0008】ここで、本発明者等は蛍光膜の緻密化に基
づく発光輝度の向上、さらにはカラーブラウン管の高コ
ントラスト化に着目し、従来のカラーブラウン管用の赤
色、緑色および青色発光蛍光体による蛍光膜の品位を詳
細に調査した結果、赤色発光蛍光体による蛍光膜の緻密
性が緑色および青色発光蛍光体による蛍光膜に比べて著
しく低いことを見出した。赤色発光蛍光体の蛍光膜の緻
密性の低さは、 3色の蛍光体の塗布する順序に関係しな
い。
【0009】このような事実は、従来の赤色発光蛍光体
の表面処理方法が最適なものではなかったことを意味す
る。従って、赤色発光蛍光体による蛍光膜の緻密性を改
善することによって、赤色発光の蛍光膜の輝度を向上さ
せることができ、ひいてはカラーブラウン管の高コント
ラスト化を実現することが可能となる。
【0010】本発明はこのような課題に対処するために
なされたものであり、非常に緻密性の高い蛍光膜が得ら
れる陰極線管用赤色発光蛍光体を提供することを目的と
しており、またそのような赤色発光蛍光体を用いること
によって、蛍光膜の輝度の向上、ひいては高コントラス
ト化を実現した陰極線管を提供することを目的としてい
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の陰極線管用赤色
発光蛍光体は、請求項1に記載したように、酸硫化イッ
トリウムを母体とする陰極線管用赤色発光蛍光体におい
て、前記赤色発光蛍光体の粒子表面に、アルカリ土類金
属から選ばれる少なくとも 1種の元素を含む金属化合物
が付着していることを特徴としている。
【0012】本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体におい
て、蛍光体粒子の表面に付着させる金属化合物として
は、請求項2に記載したように、酸化マグネシウム、酸
化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水
酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロン
チウムおよび水酸化バリウムから選ばれる少なくとも 1
種が例示される。
【0013】また、本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体
において、金属化合物の平均粒径は、例えば請求項3に
記載したように 1μm 以下であることが好ましく、さら
には請求項4に記載したように 0.5μm 以下であること
が望ましい。金属化合物の付着量は、請求項5に記載し
たように蛍光体に対して0.01重量% 以上 2重量% 以下で
あることが好ましく、さらには請求項6に記載したよう
に 0.1重量% 以上 1重量% 以下であることが望ましい。
【0014】本発明の陰極線管は、請求項7に記載した
ように、外囲器を構成するパネルと、前記パネルの内面
に形成された蛍光膜と、前記蛍光膜に電子線を照射する
電子銃とを具備する陰極線管において、前記蛍光膜は赤
色発光蛍光体として、酸硫化イットリウムを母体とする
蛍光体粒子の表面に、アルカリ土類金属から選ばれる少
なくとも 1種の元素を含む金属化合物を付着させた陰極
線管用赤色発光蛍光体を含有することを特徴としてい
る。
【0015】本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体におい
ては、酸硫化イットリウムを母体とする赤色発光蛍光体
の粒子表面に、アルカリ土類金属の化合物、例えば酸化
物や水酸化物を付着させている。このように、粒子表面
にアルカリ土類金属の化合物を付着させた赤色発光蛍光
体を用いることによって、陰極線管の赤色発光蛍光体に
よる蛍光膜の緻密性を大幅に向上させることが可能とな
る。
【0016】すなわち、酸硫化イットリウムを母体とす
る赤色発光蛍光体の粒子表面にアルカリ土類金属の化合
物を付着させると、赤色発光蛍光体は正に帯電する。こ
のように、赤色発光蛍光体を正に帯電させることによっ
て、パネル面との付着性が向上するため、赤色発光蛍光
体による蛍光膜の緻密性が大幅に向上する。
【0017】前述したように、緑色および青色発光蛍光
体による蛍光膜と比べて緻密性が著しく劣っていた赤色
発光蛍光体による蛍光膜の緻密性を、上記したようにア
ルカリ土類金属の化合物を用いた表面処理により改善す
ることによって、そのような蛍光膜を有するカラーブラ
ウン管などの陰極線管の輝度を向上させることができ
る。従って、高コントラストで高品位のカラーブラウン
管を提供することが可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施するための形
態について説明する。
【0019】本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体は酸硫
化イットリウムを母体としており、その代表例としては
ユーロピウム付活酸硫化イットリウム(Y2 2 S:E
u)蛍光体が挙げられる。このような酸硫化イットリウ
ム蛍光体には、ユーロピウム(Eu)以外に、Tb、P
r、Er、Smなどの希土類元素を共付活剤として含有
させてもよく、さらにはW、Sbなどを含有させること
も可能である。
【0020】付活剤としてのEuは、例えば 3〜 8重量
% の範囲で含有させることが好ましい。Euの含有量が
3重量% 未満であると発光色がオレンジ色となり、赤色
発光成分としての特性が低下する。また、 8重量% を超
えると輝度の低下を招くおそれがある。Tb、Pr、E
r、Smなどの希土類元素やW、Sbなどの共付活剤
は、例えば0.0001〜 1重量% の範囲で含有させることが
好ましいこともある。
【0021】なお、本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体
における蛍光体材料は、上記したユーロピウム付活酸硫
化イットリウム蛍光体に限定されるものではなく、種々
の酸硫化イットリウムを母体とする蛍光体を使用するこ
とができる。
【0022】本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体におい
て、上述したような赤色発光蛍光体の粒子表面には、マ
グネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチ
ウム(Sr)、バリウム(Ba)などのアルカリ土類金
属から選ばれる少なくとも 1種の元素を含む金属化合物
を付着させている。蛍光体粒子表面に付着させるアルカ
リ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の酸化物
や水酸化物が挙げられる。具体的には、酸化マグネシウ
ム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウ
ム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ス
トロンチウムおよび水酸化バリウムから選ばれる 1種ま
たは 2種以上の化合物を用いることが好ましい。
【0023】また、本発明の赤色発光蛍光体に付着させ
る金属化合物の平均粒径は 1μm 以下であることが好ま
しい。金属化合物の平均粒径が 1μm を超えると、蛍光
膜を形成した際にブツが生じるなど、膜面不良が発生す
るおそれがある。金属化合物の平均粒径は特に 0.5μm
以下であることが望ましい。なお、本発明で規定する金
属化合物の平均粒径とは、 1次粒子の段階での平均粒径
を指すものとする。
【0024】さらに、アルカリ土類金属化合物は蛍光体
粒子に対して0.01重量% 以上 2重量% 以下の範囲で付着
させることが好ましい。蛍光体粒子に対するアルカリ土
類金属化合物の付着量が0.01重量% 未満の場合には、付
着粒子による赤色発光蛍光体の特性改善効果を十分に得
ることができないおそれがあり、一方 2重量% を超える
と赤色発光蛍光体の分散性が低下し、カラーブラウン管
などの陰極線管としての蛍光膜品位が保てなくなるおそ
れある。特に、蛍光体粒子に対するアルカリ土類金属化
合物の付着量は 0.1重量% 以上 1重量% 以下とすること
が望ましい。
【0025】酸硫化イットリウムを母体とする赤色発光
蛍光体の粒子表面に、上述したようなアルカリ土類金属
化合物を付着させることによって、赤色発光蛍光体を正
に帯電させることができる。このように、赤色発光蛍光
体を正に帯電させることによって、パネル面との付着性
が向上するため、赤色発光蛍光体による蛍光膜の緻密性
を大幅に向上させることができる。
【0026】本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体は、酸
硫化イットリウムを母体とする赤色発光蛍光体の帯電傾
向と蛍光膜の緻密性との関係を調査した結果、赤色発光
蛍光体の粒子表面にアルカリ土類金属化合物を付着さ
せ、赤色発光蛍光体を正に帯電させることによって、蛍
光膜の緻密性が向上することを見出したことに基づくも
のである。
【0027】本発明の陰極線管用赤色発光蛍光体は、例
えば以下に示すような方法にしたがって作製することが
できる。
【0028】すなわち、まず純水中にユーロピウム付活
酸硫化イットリウム蛍光体などの赤色発光蛍光体を入
れ、これを十分に撹拌する。これとは別の純水中に酸化
マグネシウム、酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属
化合物を入れて十分に撹拌する。必要に応じて、ガラス
ビーズミルなどの手段で微粒子化してもよい。また、例
えば 500メッシュサイズの篩を通すなどの手段を用いて
もよい。
【0029】上記したアルカリ土類金属化合物の分散液
の所定量を、蛍光体粒子の分散液中によく撹拌しながら
加える。このとき、事前にまたは事後に珪酸亜鉛、シリ
カなどの無機化合物、あるいはポリアクリル酸などの有
機化合物で、蛍光体を表面処理してもよい。
【0030】アルカリ土類金属化合物の分散液を添加し
て十分に撹拌した後、純水にて数回洗浄する。そして、
ろ過または沈降させ、得られたウェットケーキ状の蛍光
体を十分に乾燥させる。その後、例えば 500メッシュ篩
を通して篩別することによって、本発明の陰極線管用赤
色発光蛍光体が得られる。
【0031】本発明の陰極線管は、上述したような本発
明の陰極線管用赤色発光蛍光体を用いた蛍光膜を具備す
るものである。すなわち、外囲器を構成するパネルの内
面に形成され、電子銃からの電子線照射により発光する
蛍光膜の赤色発光蛍光体として、本発明の陰極線管用赤
色発光蛍光体を用いたものである。ここで、カラーブラ
ウン管を構成する際の赤色発光蛍光体以外の蛍光体、例
えば緑色発光蛍光体や青色発光蛍光体には、従来から用
いられている公知の蛍光体が使用される。
【0032】また、本発明の陰極線管における蛍光膜
は、ストライプ形状またはドット形状を有する。ストラ
イプ状の蛍光膜はカラーテレビ用ブラウン管に対して有
効であり、ドット状の蛍光膜はコンピュータディスプレ
イ用ブラウン管に対して有効である。
【0033】上述したように、本発明の陰極線管はアル
カリ土類金属化合物で表面処理した赤色発光蛍光体によ
る蛍光膜を具備している。ここで、従来の陰極線管にお
いては、緑色および青色発光蛍光体による蛍光膜に比べ
て、赤色発光蛍光体による蛍光膜の緻密性が著しく劣っ
ていた。
【0034】このような点に対して、本発明においては
アルカリ土類金属化合物を用いた表面処理によって、赤
色発光蛍光体による蛍光膜の緻密性を向上させているた
め、非常に緻密なストライプまたはドット状の蛍光膜を
得ることができる。その結果、そのような蛍光膜を具備
するカラーブラウン管などの陰極線管の輝度を向上させ
ることができ、高コントラストで高品位のカラーブラウ
ン管を提供することが可能となる。
【0035】
【実施例】次に、本発明の具体的な実施例およびその評
価結果について述べる。
【0036】実施例1 まず、ユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体 1kg
を 8L(リットル)の純水中に分散させた。この分散液に
水硝子(Siを 25%含む)を 3.3cc加えて15分間撹拌
し、次いで0.4mol/Lの硫酸亜鉛溶液を33cc加えた後、30
分間撹拌した。撹拌後、蛍光体を沈降させ、上澄み液を
デカンテーションにて除去した。さらに 10Lの純水を加
え、撹拌した状態に保つ。
【0037】これとは別に平均粒径(1次粒子の平均粒
径) 0.3μm の酸化マグネシウム100gを2Lの純水中に分
散させた。30分間撹拌した後、ナイロン 500メッシュを
通し、通過した液のうち 100ccを上述した蛍光体の撹拌
液にゆっくりと添加した。これを30分間撹拌した後、蛍
光体を沈降させ、上澄み液をデカンテーションにて除去
した。そして、純水で 3回洗浄した後、ろ過、乾燥し
た。十分に乾燥させた後、400メッシュ篩で篩別するこ
とによって、本発明の蛍光体を得た。
【0038】得られた蛍光体を分析した結果、Mg定量
分析値からユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体
の粒子表面にMgO換算で0.45重量% のMg化合物が付
着していることが判明した。ただし、X線回折、示差熱
分析および熱重量分祈の結果、MgOの大部分がMg
(OH)2 に変化していることが判明した。この蛍光体
を 400℃で30分間ベーキングすると、大部分がMgOに
戻ることが判明したが、蛍光体粉体でのMg化合物の形
態にかかわらず、蛍光膜を作製する際には水溶性スラリ
ーを調製するため、蛍光体スラリー状態では大部分がM
g(OH)2 の形態になっている。
【0039】上述した本発明の赤色発光蛍光体を用い
て、通常の方法で蛍光体スラリーを調製した。これを通
常の方法でカラーブラウン管用パネル上に塗布し、蛍光
膜を形成した。このようにして形成した蛍光膜の状態を
光学顕微鏡で観察したところ、従来の赤色発光蛍光体
(表面処理せず)を用いて形成した蛍光膜に比べて緻密
性が高く、また発光輝度を測定したところ、従来の蛍光
体を用いて形成した蛍光膜よりも赤色単色で8%高い輝度
が得られた。
【0040】また、これら各蛍光膜の透過率を測定し
た。図1にこの実施例1による蛍光膜の透過率を、図2
に従来の蛍光体を用いて形成した蛍光膜の透過率を示
す。従来の蛍光体を用いた蛍光膜の平均透過率を 100と
すると、本発明の蛍光体を用いた蛍光膜の平均透過率は
90であり、これは 10%緻密性が改善されたことを示唆し
ている。なお、赤色の蛍光膜の緻密性が向上したため、
アルミ成膜性もよくなり、その結果として緑色および青
色の輝度もそれそれ5%、2%向上し、白色輝度も7%向上し
た。
【0041】なお、上述した本発明の赤色発光蛍光体を
400℃で30分間ベーキングした後、同様に蛍光膜を形成
して輝度を評価したところ、同様な結果が得られた。
【0042】実施例2 まず、ユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体 1kg
を8Lの純水中に分散させた。この分散液に水硝子(Si
を 25%含む)を 3.3cc加えて15分間撹拌し、次いで0.4m
ol/Lの硫酸亜鉛溶液を33ccを加えた後、30分間撹拌し
た。撹拌後、蛍光体を沈降させ、上澄み液をデカンテー
ションにて除去した。さらに 10Lの純水を加え、撹拌し
た状態に保つ。
【0043】これとは別に平均粒径 0.3μm の酸化マグ
ネシウム100gを2Lの純水中に分散させた。30分間撹拌し
た後、ナイロン 500メッシュを通し、通過した液のうち
200ccを上述した蛍光体の撹拌液にゆっくりと添加し
た。これを30分間撹拌した後、蛍光体を沈降させ、上澄
み液をデカンテーションにて除去した。そして、純水で
3回洗浄した後、ろ過、乾燥した。十分に乾燥させた
後、 400メッシュ篩で篩別することによって、本発明の
蛍光体を得た。
【0044】得られた蛍光体を分析した結果、Mg定量
分析値からユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体
の粒子表面にMgO換算で0.95重量% のMg化合物が付
着していることが判明した。
【0045】上述した本発明の赤色発光蛍光体を用い
て、通常の方法で蛍光体スラリーを調製した。これを通
常の方法でカラーブラウン管用パネル上に塗布し、蛍光
膜を形成した。形成した蛍光膜は緻密性が高く、また発
光輝度を測定したところ、従来の蛍光体を用いて形成し
た蛍光膜よりも赤色単色で8%高い輝度が得られた。さら
に、各蛍光膜の透過率を測定したところ、従来の蛍光体
を用いた蛍光膜の平均透過率を 100とすると、本発明の
蛍光体を用いた蛍光膜の平均透過率は88であり、やはり
実施例1と同様に緻密性が改善されたことを示唆してい
る。なお、白色輝度も7%向上した。
【0046】実施例3 まず、ユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体 1kg
を8Lの純水中に分散させた。これとは別に、平均粒径
0.3μm の酸化マグネシウム100gを2Lの純水中に分散さ
せた。30分間撹拌した後、ナイロン 500メッシュを通
し、通過した液のうち50ccを上述した蛍光体の撹拌液に
ゆっくりと添加した。これを30分間撹拌した後、蛍光体
を沈降させ、上澄み液をデカンテーションにて除去し
た。そして、純水で 3回洗浄した後、ろ過、乾燥した。
十分に乾燥させた後、 400メッシュ篩で篩別することに
よって、本発明の蛍光体を得た。
【0047】得られた蛍光体を分析した結果、Mg定量
分析値からユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体
の粒子表面にMgO換算で0.22重量% のMg化合物が付
着していることが判明した。
【0048】上述した本発明の赤色発光蛍光体を用い
て、通常の方法で蛍光体スラリーを調製した。これを通
常の方法でカラーブラウン管用パネル上に塗布し、蛍光
膜を形成した。形成した蛍光膜は緻密性が高く、また発
光輝度を測定したところ、従来の蛍光体を用いて形成し
た蛍光膜よりも赤色単色で6%高い輝度が得られた。さら
に、各蛍光膜の透過率を測定したところ、従来の蛍光体
を用いた蛍光膜の平均透過率を 100とすると、本発明の
蛍光体を用いた蛍光膜の平均透過率は91であり、やはり
実施例1と同様に緻密性が改善されたことを示唆してい
る。なお、白色輝度も5%向上した。
【0049】実施例4 まず、ユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体 1kg
を8Lの純水中に分散させた。この分散液に水硝子(Si
を 25%含む)を 3.3cc加えて15分間撹拌し、次いで0.4m
ol/Lの硫酸亜鉛溶液を33ccを加えた後、30分間撹拌し
た。撹拌後、蛍光体を沈降させ、上澄み液をデカンテー
ションにて除去した。さらに 10Lの純水を加え、撹拌し
た状態に保つ。これにコロイダルシリカ 2.3cc(10%Si
2 溶液)を添加して撹拌した。
【0050】これとは別に、平均粒径 0.5μm の酸化バ
リウム100gを2Lの純水中に分散させた。30分間撹拌した
後、ナイロン 500メッシュを通し、通過した液のうち 2
00ccを上述した蛍光体の撹拌液にゆっくりと添加した。
これを30分間撹拌した後、蛍光体を沈降させ、上澄み液
をデカンテーションにて除去した。これを純水で 3回洗
浄した後、分子量4300のポリアクリル酸の5%溶液を20cc
添加し、さらに純水を加えて全量を1Lとした。60分間撹
拌後、そのままろ過、乾燥した。十分に乾燥させた後、
400メッシュ篩で篩別することによって、本発明の蛍光
体を得た。
【0051】得られた蛍光体を分析した結果、Ba定量
分析値からユーロピウム付活酸硫化イットリウム蛍光体
の粒子表面にBaO換算で0.48重量% のBa化合物が付
着していることが判明した。
【0052】上述した本発明の赤色発光蛍光体を用い
て、通常の方法で蛍光体スラリーを調製した。これを通
常の方法でカラーブラウン管用パネル上に塗布し、蛍光
膜を形成した。形成した蛍光膜は緻密性が高く、また発
光輝度を測定したところ、従来の蛍光体を用いて形成し
た蛍光膜よりも赤色単色で8%高い輝度が得られた。さら
に、各蛍光膜の透過率を測定したところ、従来の蛍光体
を用いた蛍光膜の平均透過率を 100とすると、本発明の
蛍光体を用いた蛍光膜の平均透過率は88であり、やはり
実施例1と同様に緻密性が改善されたことを示唆してい
る。なお、白色輝度も7%向上した。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の陰極線管
用赤色発光蛍光体によれば、それを用いた蛍光膜の緻密
性を大幅に向上させることができる。従って、そのよう
な蛍光膜を具備する本発明の陰極線管は発光輝度に優
れ、さらには高コントラスト化を実現することが可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の赤色発光蛍光体を用いて形成した蛍
光膜の透過率を示す図である。
【図2】 従来の赤色発光蛍光体を用いて形成した蛍光
膜の透過率を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 洋平 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 八島 博泰 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 (72)発明者 アルベサール 恵子 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株 式会社東芝研究開発センター内 (72)発明者 小柳津 剛 埼玉県深谷市幡羅町1丁目9番2号 株式 会社東芝深谷電子工場内 (72)発明者 三上 啓 埼玉県深谷市幡羅町1丁目9番2号 株式 会社東芝深谷電子工場内 Fターム(参考) 4H001 CA06 CC03 XA08 XA16 XA39 YA51 YA59 YA62 YA63 YA65 YA68 YA74 5C036 CC02 CC18

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸硫化イットリウムを母体とする陰極線
    管用赤色発光蛍光体において、 前記赤色発光蛍光体の粒子表面に、アルカリ土類金属か
    ら選ばれる少なくとも1種の元素を含む金属化合物が付
    着していることを特徴とする陰極線管用赤色発光蛍光
    体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の陰極線管用赤色発光蛍光
    体において、 前記金属化合物は、酸化マグネシウム、酸化カルシウ
    ム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、水酸化マグネ
    シウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウムおよ
    び水酸化バリウムから選ばれる少なくとも 1種からなる
    ことを特徴とする陰極線管用赤色発光蛍光体。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の陰極線管用赤色発光蛍光
    体において、 前記金属化合物の平均粒径が 1μm 以下であることを特
    徴とする陰極線管用赤色発光蛍光体。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の陰極線管用赤色発光蛍光
    体において、 前記金属化合物の平均粒径が 0.5μm 以下であることを
    特徴とする陰極線管用赤色発光蛍光体。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の陰極線管用赤色発光蛍光
    体において、 前記金属化合物の付着量は、前記蛍光体に対して0.01重
    量% 以上 2重量% 以下であることを特徴とする陰極線管
    用赤色発光蛍光体。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の陰極線管用赤色発光蛍光
    体において、 前記金属化合物の付着量は、前記蛍光体に対して 0.1重
    量% 以上 1重量% 以下であることを特徴とする陰極線管
    用赤色発光蛍光体。
  7. 【請求項7】 外囲器を構成するパネルと、前記パネル
    の内面に形成された蛍光膜と、前記蛍光膜に電子線を照
    射する電子銃とを具備する陰極線管において、 前記蛍
    光膜は赤色発光蛍光体として、酸硫化イットリウムを母
    体とする蛍光体粒子の表面に、アルカリ土類金属から選
    ばれる少なくとも 1種の元素を含む金属化合物を付着さ
    せた陰極線管用赤色発光蛍光体を含有することを特徴と
    する陰極線管。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の陰極線管において、 前記蛍光膜はストライプ形状を有することを特徴とする
    陰極線管。
  9. 【請求項9】 請求項7記載の陰極線管において、 前記蛍光膜はドット形状を有することを特徴とする陰極
    線管。
JP10240728A 1998-08-26 1998-08-26 陰極線管用赤色発光蛍光体および陰極線管 Withdrawn JP2000063822A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009054031A1 (en) * 2007-10-24 2009-04-30 Daiken Chemical Co., Ltd. Phosphor screen in rare gas discharge device

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