JP2000062990A - シート材給送装置及び画像処理装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多様化するシート材に対しても重送等の給送
トラブルがない万能な給送能力を具備したシート材給送
装置を提供すること。 【解決手段】 給送カセット14に積載されたシート材Ｓ
を一枚ずつ分離給送する給送装置17において、前記給送
カセット14に積載された複数枚のシート材Ｓの送り方向
先端側を一枚ずつ捌くシート材捌き手段50を有すること
を特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、シート材を一枚ず
つ順次分離給送するシート材給送装置に関し、詳細に
は、例えばプリンタ、複写機等の画像処理装置に用いら
れるシート材給送装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、複写機等の画像処理装置に用いら
れるシート材給送装置としては、例えば、図６に示すよ
うなシート材給送装置201 がある。このシート材給送装
置201は、複写機等の画像処理装置の処理部（例えば、
複写機の画像形成部）に向けてシート材202 を一枚ずつ
順次供給する。図６に示すように、シート材給送装置20
1 は、図示しない積載台上に複数枚のシート材202 が積
み重ねられて収納されたシート材積載装置203 から最上
層のシート材202 を一枚ずつ給送するピックアップロー
ラ205 と、このピックアップローラ205 によりシート材
積載装置203 から給送されたシート材202 を前記処理部
（図示矢印ｂ方向）へ向けて搬送するフィードローラ20
6 と、このフィードローラ206 に対向配置されてシート
材収納装置203 から給送されたシート材202 が複数枚の
場合にはフィードローラ206 の回転方向と逆方向に回転
して一枚のシート材202 に分離するためのリタードロー
ラ207 と、分離された一枚のシート材202 を前記処理部
に搬送するための搬送ローラ対209 とを具備している。

【０００３】また、ピックアップローラ205 とフィード
ローラ206 及びリタードローラ207との間のシート材通
過領域210 にはガイド211 が配置され、フィードローラ
206及びリタードローラ207 と搬送ローラ対209 との
間、及び搬送ローラ対209 と前記処理部との間にはガイ
ド212 が配置され、それぞれシート材202 が案内搬送さ
れるようになっている。

【０００４】上記フィードローラ206 及びリタードロー
ラ207 は図７に示す駆動伝達装置213 によって駆動され
る。図７に示すように、駆動伝達装置213 には、フィー
ドローラ206 を軸支するフィードローラ軸215 と、リタ
ードローラ207 を軸支するリタードローラ軸216 及びこ
のリタードローラ軸216 に連結されたリタードローラ駆
動軸217 が略平行に設けられている。リタードローラ軸
216 は図示しない揺動自在な支持部材に支持されてフィ
ードローラ軸215 に対して平行に接離可能となってい
る。また、リタードローラ軸216 とリタードローラ駆動
軸217 との間にはカップリング219 及びトルクリミッタ
220 が配置されている。更に、フィードローラ軸215 の
端部には、図示しないメイン駆動手段から駆動入力ベル
ト221 を介して伝達された駆動力をフィードローラ軸21
5 に伝達する電磁クラッチ222 が設けられている。ま
た、フィードローラ軸215 とリタードローラ軸217 との
間には、フィードローラ軸215 に伝達された回転駆動力
をリタードローラ駆動軸217 に伝達するリタード駆動ベ
ルト223 が巻き掛けられている。尚、カップリング219
はリタードローラ207 が変位しても、駆動をリタードロ
ーラ駆動軸217 からリタードローラ軸216 に伝達するた
めのものである。

【０００５】上記駆動伝達装置213 によるフィードロー
ラ206 及びリタードローラ207 の駆動について説明す
る。図示しないメイン駆動手段から与えられた回転駆動
力は駆動入力ベルト221 に伝達され、給紙タイミングに
応じてＯＮ−ＯＦＦ制御される電磁クラッチ222 のアマ
チュア部に設けられたプーリ225 に入力される。ここ
で、電磁クラッチ222 のロータ部と一体に回転するフィ
ードローラ軸215 とリタードローラ駆動軸217 及びリタ
ードローラ軸216 はリタード駆動ベルト223 によって連
結されているので、フィードローラ軸215 とリタードロ
ーラ軸216 及びリタードローラ駆動軸217 は同方向に回
転し、フィードローラ206 とリタードローラ207 は給紙
タイミングＯＮ時に同期して回転駆動される。

【０００６】上記駆動伝達装置213 によりシート材202
が給送方向（図６及び図７に示す矢印ｂ方向）に一枚ず
つ送られる際、リタードローラ207 は、フィードローラ
206とシート材202 との間の摩擦力によりトルクリミッ
タ220 が空転して、リタードローラ217 の駆動回転方向
と逆方向（給送方向）に回転する。また、複数枚のシー
ト材202 が給送された際は、リタードローラ207 とシー
ト材202 との間の摩擦力に対して複数枚のシート材202
間の摩擦力が小さいことからトルクリミッタ220 は空転
せずに、リタードローラ207 はリタードローラ駆動軸21
7 の回転駆動方向と同方向（給送方向と逆方向）に回転
する。これにより、複数枚送られたシート材202 の中の
フィードローラ206 側、即ち最上部のシート材202 とそ
れ以外のシート材202 とを分離し、前記処理部へのシー
ト材202 の重送を防止するようになっている。

【０００７】次に、上記構成のシート材給送装置201 に
よるシート材202 の給送、分離条件を満足する理論式に
ついて説明する。下式において、μ_APはピックアップロ
ーラ205 とシート材202 間の摩擦係数、μ_BPはフィード
ローラ206 とシート材202 間の摩擦係数、μ_CPはリター
ドローラ207 とシート材202 間の摩擦係数、μ_APP はピ
ックアップローラ205 加圧部下のシート材202 間の摩擦
係数、μ_BPP はフィードローラ206 とリタードローラ20
7 とのニップ部のシート材202 間の摩擦係数、Ｎはリタ
ードローラ207 の加圧力、Ｔはトルクリミッタ220 の空
転トルク、ｒはリタードローラ207 の半径、Ｗはピック
アップローラ205 の加圧力である。

【０００８】 Ｎ＞Ｔ／ｒμ_BP＋（μ_APP −μ_AP）Ｗ／μ_BP…（１） Ｎ＜Ｔ／ｒμ_BPP −２μ_APP Ｗ／μ_BPP …（２） Ｎ＜Ｔ／ｒμ_CP…（３）

【０００９】上式（１）は給送条件、（２）は分離条
件、（３）はリタードローラ207 のつれまわり条件をそ
れぞれ満足する式である。尚、上式中で同一のシート材
を用いれば各ローラ加圧部の摩擦係数はさほど大きくば
らつくことはないため、前記摩擦係数をμ_APP ≒μ_BPP
＝μ_PPと置き換えると、上式（１）、（２）はそれぞれ
下式（４）、（５）となる。

【００１０】 Ｎ＞Ｔ／ｒμ_BP＋（μ_PP−μ_AP）Ｗ／μ_BP…（４） Ｎ＜Ｔ／ｒμ_PP−２Ｗ…（５）

【００１１】ここで、上式（３）、（４）、（５）の関
係をリタードローラ207 の加圧力Ｎとトルクリミッタ22
0 の空転トルクＴをパラメータとしてグラフ化したもの
を図８に示す。同図において、斜線部は前述の如きシー
ト材の分離給送が適正に行われる給送領域である。この
給送領域（斜線部）を拡大するためには、各ローラとシ
ート材間の摩擦係数を大きくするかピックアップローラ
205 の加圧力を小さくすることが必要となり、またリタ
ードローラ207 の加圧力Ｎとトルクリミッタ220 の空転
トルクＴを共に大きくする方向（図中右上の方向）の条
件下に給送条件を設定した方が給送領域（斜線部）は広
くなることが理解できる。但し、トルクリミッタ220 の
空転トルクをむやみに大きくすると、ローラ駆動におけ
る負荷トルクが増大するため、適正給送領域（斜線部）
の上限（図中右上の限界）もある程度の制約を受けるこ
とになる。

【００１２】

【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におけ
る画像処理装置の高速化、シート材の多様化に伴い、オ
ールマイティな給送領域を設定することが困難になりつ
つある。即ち、各種シート材に対して重送を未然に防止
すること、及びフィードローラとリタードローラの耐久
性を十分確保することの両立が達成しにくくなってきて
いる。具体的には、重送を防止するにはトルクリミッタ
の空転トルクを大きくしたり、リタードローラの加圧力
を小さくすればよいのであるが、裏を返せば、この構成
はフィードローラとリタードローラの耐久性を短くする
方向に移行するわけである。

【００１３】また、シート材の多様化の中には、例えば
ＯＨＰ用紙のようにシート材間が水分的又は静電気的に
吸着してしまっていたり、或いは裁断性の悪いシート材
においてはシート材端部がくっついてしまっている場合
が現実には存在する。このため、前記のようなシート材
における重送防止対策としては、使用者に対する指導と
して例えばコピー前にシート材積載装置に積載収納され
たシート材の束或いはこれから収納するシート材の束を
手で捌くことを前提に製品仕様を確立せざるを得ないの
が現状である。

【００１４】そこで、本発明の目的は、多様化するシー
ト材に対しても重送等の給送トラブルがない万能な給送
能力を具備したシート材給送装置を提供することにあ
る。

【００１５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の代表的な構成は、積載手段に積載されたシー
ト材を一枚ずつ分離給送するシート材給送装置におい
て、前記積載手段に積載された複数枚のシート材の送り
方向先端側を一枚ずつ捌くシート材捌き手段を有するこ
とを特徴とする。

【００１６】前記シート材捌き手段は、シート材の送り
方向先端側に当接する可撓性部材を回転方向に複数有す
る回転軸と、該回転軸を任意のタイミングで回転駆動さ
せる駆動手段を有し、前記回転軸をシート材の非給送時
の任意のタイミングで回転駆動して、前記可撓性部材を
シート材の送り方向先端側に当接させることで、該シー
ト材の送り方向先端側を一枚ずつ積載方向に変形させて
捌くことを特徴とする。

【００１７】前記シート材捌き手段は、シート材の送り
方向先端側端面に沿って積載方向に往復移動可能である
ことを特徴とする。

【００１８】前記シート材捌き手段は、シート材の送り
方向先端側に当接する複数の可撓性部材の一部又は全部
が除電機能を有することを特徴とする。

【００１９】前記シート材捌き手段は、シート材の送り
方向先端側端面に向けて風を吹き付ける送風手段を有す
ることを特徴とする。

【００２０】前記積載手段は、シート材の送り方向端部
の位置を規制する側板又は規制部材が送り方向上流側か
ら下流側に向けて傾斜していることを特徴とする。

【００２１】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して、本発明を
適用したシート材給送装置の実施の形態について具体的
に説明する。尚、以下の説明では、画像処理装置に用い
られるシート材給送装置を例示している。

【００２２】〔第１実施形態〕第１実施形態に係るシー
ト材給送装置について図１〜図２、及び図５を用いて詳
しく説明する。尚、本実施形態では、画像処理装置とし
ての複写機に用いられるシート材給送装置を例示してい
る。

【００２３】以下の説明の順序としては、画像処理装置
としての複写機について説明し、次にシート材給送装置
について説明する。

【００２４】まず、図５を用いて画像処理装置の概略構
成について説明する。本画像処理装置は、画像処理装置
本体11の一側部に多量のシート材Ｓを積載収納した給送
デッキ12を備えるほか、画像処理装置本体11内の下部に
所定量のシート材Ｓを積載収納した複数の給送カセット
13，14を備えている。

【００２５】そして、シート材Ｓを給送するための給送
部としての給送デッキ12、及び各給送カセット13，14の
設置部位にはそれぞれリタード分離方式の給送装置15，
16，17が備えられている。この給送装置については後で
詳しく説明する。

【００２６】給送デッキ12、及び給送カセット13，14内
のシート材Ｓはそれぞれの給送装置15，16，17によって
給送されると、まず回転停止しているレジストローラ対
18に送られて、ここで斜行状態の矯正が行われる。

【００２７】次いで、処理手段である画像形成部を構成
する感光体ドラム21上に形成される潜像とのタイミング
をとって回転するレジストローラ対18により、感光体ド
ラム21と転写帯電器22との間に送られて、ここで感光体
ドラム21上のトナー像が転写される。

【００２８】この後、シート材Ｓは搬送ベルト23により
定着器24に送られて、ここで転写されたトナー像をシー
ト面に定着させるための定着処理がなされる。

【００２９】本画像処理装置はシート材Ｓへの両面複写
を行う両面複写モードと多重複写を行う多重複写モード
を備えているが、通常複写モード（片面複写モード）の
場合、定着処理後のシート材Ｓは内排出ローラ対26によ
り機外の排出トレイ27上に排出される。

【００３０】また、両面複写モード及び多重複写モード
の場合には、内排出ローラ対25又はスイッチバックロー
ラ対29により再給送パス28及び両面搬送パス30を介して
中間トレイ31上に一時的に積載収納される。

【００３１】そして、中間トレイ31上に収納されたシー
ト材Ｓは再給送装置32により再び画像形成のためにレジ
ストローラ対18に搬送され、以後片面複写と同一のプロ
セスを経て機外に排出される。

【００３２】次に、本発明を適用したシート材給送装置
としての給送装置16，17について図１〜図２を用いて説
明する。尚、ここでは、給送装置17を用いてその構成に
ついて説明するが、給送装置16も同様の構成となってい
る。また、その他の給送装置15，32についても適宜必要
に応じて同様の構成としても良いことは言うまでもな
い。

【００３３】本シート材給送装置17は、前述した画像形
成部に向けてシート材を一枚ずつ順次分離給送するもの
であり、図１に示すように、複数枚のシート材Ｓが積載
収納された給送カセット14から最上層のシート材Ｓを一
枚ずつ給送する給送手段としてのピックアップローラ３
と、このピックアップローラ３により給送カセット14か
ら給送されたシート材Ｓを画像処理装置本体内へ搬送す
るフィードローラ１と、このフィードローラ１に対向配
置されて給送カセット14から給送されたシート材Ｓが複
数枚の場合にはフィードローラ１の回転方向（矢印ａ方
向）と逆方向（矢印ｃ方向）に回転して一枚のシート材
Ｓに分離するためのリタードローラ２とからなる分離搬
送手段としての分離ローラ対１，２を具備している。

【００３４】尚、図１において、33，34，35はそれぞれ
シート材Ｓを案内するガイドであり、ガイド33はピック
アップローラ３と分離ローラ対１，２との間に配置さ
れ、ガイド34は分離ローラ対１，２と搬送ローラ対４と
の間に配置され、ガイド35は搬送ローラ対４の下流側に
配置されている。また、36はフィードローラ１を軸支す
るフィードローラ軸であり、37はリタードローラ２を軸
支するリタードローラ軸である。

【００３５】更に本実施形態に係るシート材給送装置17
は、図１及び図２に示すように、前記給送カセット14に
積載された複数枚のシート材Ｓの送り方向（矢印ｂ方
向）先端側を一枚ずつ捌くシート材捌き手段50を有する
構成となっている。

【００３６】前記シート材捌き手段50は、図２に示すよ
うに、シート材Ｓの送り方向先端側に当接する可撓性部
材52を回転方向に複数有する回転軸51と、該回転軸51を
任意のタイミングで回転駆動させる駆動手段54を有して
いる。

【００３７】尚、図１では、ピックアップローラ３がシ
ート材Ｓを画像形成部方向（矢印ｂ方向）へ送り出す前
にシート材捌き手段50がシート材Ｓを捌いている状態
（実線）と、給送動作中の状態（二点鎖線）を示してい
る。

【００３８】前記回転軸51は、シート材Ｓの送り方向下
流側（先端側）の上部近傍であり、送り方向と直交する
幅方向に平行に配設されている。更に回転軸51に設けた
シート材Ｓの送り方向先端側に当接する複数の可撓性部
材52は、その一部又は全部が除電機能を有する構成とな
っている。本実施形態では、可撓性部材52と除電針53が
前記回転軸51の回転方向に複数設けられた構成となって
いる。

【００３９】前記回転軸51は給送カセット14に設けられ
た軸受部14ｂ（２ヶ所）に軸受されている。この回転軸
51の一方の端部にはカップリング54ａが設けられ、給送
カセット14を画像処理装置本体11（図２中矢印ｆ方向）
に収納した際に、本体側に設けられたカップリング54ｂ
に係合し、不図示の駆動源から図１中矢印ｄ方向への回
転駆動力が伝達される。これらの部材で前記駆動手段54
を構成している。

【００４０】また前記給送カセット14には切欠部14ａが
設けられており、前記シート材捌き手段50の可撓性部材
52と除電針53が給送カセット14に積載収納されたシート
材Ｓの送り方向先端側下面に当接可能なように構成して
いる。

【００４１】更に前記給送カセット14は、シート材Ｓの
送り方向先端の位置を規制する壁14ｃ及び後端の位置を
規制する規制部材（不図示）が、図２に示すように、送
り方向上流側から下流側に向けて傾斜した構成となって
いる。即ち、シート材Ｓの束は給送カセット14の壁14ｃ
と後端規制部材（不図示）の積載方向への傾斜により、
ほぼ瓦積みされた状態となる。

【００４２】そして、前記回転軸51をシート材Ｓの非給
送時の任意のタイミングで回転駆動して、前記可撓性部
材52をシート材Ｓの送り方向先端側に当接させること
で、該シート材Ｓの送り方向先端側を一枚ずつ積載方向
に変形させて捌いている。

【００４３】即ち、上記構成のシート材捌き手段50は、
給送カセット14によって瓦積みされたシート材Ｓの束の
うち、最上位から数枚のシート材Ｓの先端側下面を可撓
性部材52によって一枚毎に跳ね上げて捌き、該シート材
の吸着を解消している。同時に、除電針53によって前記
シート材Ｓの静電気的な吸着も解消している。

【００４４】また、上述の動作はシート材Ｓの非給送時
の任意のタイミングで行われる。例えば、本発明を複写
機で採用する場合、コピーキーを押してから給送開始ま
での間や、複写機電源投入時、或いは電源投入後５分毎
等が適当である。

【００４５】上述したように、本実施形態によれば、上
記構成の給送カセット14によって瓦積みされた複数枚の
シート材Ｓの送り方向（矢印ｂ方向）先端側を、上記構
成のシート材捌き手段50によってシート材Ｓの非給送時
の任意のタイミングで捌いているので、使用するシート
材の種類や環境等にかかわらず、例えば使用者がシート
材を給送カセットに補充する際に該シート材の束を手で
捌く必要がなくなり、更にシート材の水分的、静電気的
な吸着、或いは裁断の悪いシート材同士の端部の引っ掛
かり等を原因とする給送時のトラブルを防止することが
できる。

【００４６】尚、図示していないが、上記構成に加えて
更に、給送カセットに積載したシート材が吸湿して水分
的に吸着することを防止するために、該給送カセット近
傍にヒータを設置すれば更に効果的であることは言うま
でもない。

【００４７】〔第２実施形態〕第２実施形態に係るシー
ト材給送装置について図３〜図４を用いて詳しく説明す
る。尚、装置全体の概略構成は前述した実施形態と同様
であるため、以下の説明では本実施形態に係る給送装置
の特徴部分について説明する。また前述した実施形態と
同一の構成部分については同一の番号を付してその説明
を省略する。

【００４８】本実施形態では、図３及び図４に示すよう
に、前記シート材捌き手段50の回転軸51がシート材Ｓの
送り方向先端側端面に沿って積載方向（矢印ｅ、ｅ′方
向）に往復移動可能に構成され、更に前記シート材Ｓの
送り方向先端側端面に向けて風を吹き付ける送風手段55
を有する構成となっている。

【００４９】前記シート材捌き手段50の回転軸51は、給
送カセット14の軸受部14ｂに回転可能に且つ図３中矢印
ｅ、ｅ′方向に往復移動可能に支持されている。この回
転軸51の一方の端部にはカップリング54ａが設けられて
おり、該カップリング54ａは給送カセット14が画像処理
装置本体11（図４中矢印ｆ方向）に装着された際に、該
本体側に設けられたカップリング54ｂと係合する。本体
側のカップリング54ｂはマウント54ｃに回転可能に支持
されている。このマウント54ｃにはラック54ｄが設けら
れており、モータ54ｅの正逆回転駆動によりマウント54
ｃがカップリング54ｂ、回転軸51と共に図３中矢印ｅ、
ｅ′方向に往復移動するようになっている。更に回転軸
51にはギア56が支持されており、モータ54ｅによる往復
移動と給送カセット14に設けたラック部14ｄによって回
転駆動力が得られる。これらの部材によってシート材捌
き手段50を積載方向に往復移動しつつ回転駆動する駆動
手段54を構成している。

【００５０】また前記給送カセット14には切欠部14ａが
設けられており、前記シート材捌き手段50の可撓性部材
52と除電針53が給送カセット14に積載収納されたシート
材Ｓの送り方向先端側上下面に当接可能なように構成し
ている。

【００５１】尚、前記給送カセット14の、シート材Ｓの
送り方向先端の位置を規制する壁14ｃ及び後端の位置を
規制する規制部材（不図示）は、前述した実施形態と同
様に、送り方向上流側から下流側に向けて傾斜した構成
となっている。即ち、シート材Ｓの束は給送カセット14
の壁14ｃと後端規制部材（不図示）の積載方向への傾斜
により、ほぼ瓦積みされた状態となる。

【００５２】そして、上記構成のシート材捌き手段50は
図３の実線で示すように、シート材Ｓの非給送時の任意
のタイミングで、前記回転軸51を図３中矢印ｅ、ｅ′方
向に往復移動しつつ回転駆動して、前記可撓性部材52を
シート材Ｓの送り方向先端側に当接させることで、該シ
ート材Ｓの送り方向先端側を一枚ずつ積載方向に変形さ
せて捌いている。

【００５３】即ち、上記構成のシート材捌き手段50は、
給送カセット14によって瓦積みされたシート材Ｓの束の
最上位から最下位までの全てのシート材Ｓの先端側上面
又は下面を、矢印ｅ方向への移動時には可撓性部材52に
よって一枚毎に跳ね上げて捌き、又は矢印ｅ′方向への
移動時には可撓性部材52によって一枚毎に跳ね下げて捌
き、該シート材の吸着を解消している。同時に、除電針
53によって前記シート材Ｓの静電気的な吸着も解消して
いる。更に同時に、送風手段55によって前記シート材の
水分的な吸着も解消している。

【００５４】尚、上記シート材捌き手段50の動作タイミ
ングは前述した第１実施形態と同様であるので、ここで
は説明は省略する。

【００５５】本実施形態によれば、前述した実施形態の
効果に加えて更に、以上のような効果が得られる。

【００５６】給送カセット14に積載されたシート材Ｓの
送り方向先端側端面に向けて風を吹き付ける送風手段55
によってシート材捌き手段50の捌き力を増すことがで
き、更にシート材周辺の水分を飛ばすことができるの
で、水分的吸着を含めたシート材の吸着を更に解消する
ことができる。

【００５７】またシート材捌き手段50が自身の回転だけ
でなく、シート材Ｓの送り方向先端側端面に沿って積載
方向（図３中矢印ｅ、ｅ′方向）に往復移動する構成と
なっているので、例えばシート材を給送カセットに補充
した後に、環境やシート材の自重でシート材（特に束の
下方側のシート材）の吸着力が経時的に増すことを防止
でき、より重送を防止することが可能となる。

【００５８】更に前述の如くしてシート材捌き手段50の
捌き力が増すことで、ひいては従来例で述べたリタード
ローラの加圧力及びトルクリミッタの空転トルクを小さ
く設定することができるので、該リタードローラ及びフ
ィードローラの耐久性の向上が可能となる。

【００５９】〔他の実施形態〕前述した実施形態では、
回転軸51に設けた複数の可撓性部材52の一部又は全部が
除電機能を有する構成として、可撓性部材52と除電針53
が回転軸51の回転方向に複数設けられた構成を例示した
が、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば回
転軸51に設けた複数の可撓性部材52のうち、一部又は全
部の可撓性部材52を導電性を有する部材で形成すること
で除電機能を有する構成としても良い。この構成によっ
ても同様の効果が得られる。

【００６０】また前述した実施形態では、積載手段に積
載されたシート材を一枚ずつ分離給送する方式として、
搬送方向とは逆方向に一定のトルクで回転駆動されるリ
タードローラによるリタード分離方式を例示したが、本
発明はこれに限定されるものではなく、例えば分離爪に
よる爪分離方式、分離パッドによるパッド分離方式等の
その他の分離方式であっても良く、該分離方式を採用す
るシート材給送装置に本発明を適用することにより同様
の効果を得ることができる。

【００６１】また前述した実施形態では、画像処理装置
として複写機を例示したが、本発明はこれに限定される
ものではなく、例えばスキャナ、プリンタ、ファクシミ
リ装置等の他の画像処理装置であっても良く、該画像処
理装置に用いられるシート材給送装置に本発明を適用す
ることにより同様の効果を得ることができる。

【００６２】また前述した実施形態では、画像処理装置
本体に対して着脱自在に装着されたシート材給送装置を
例示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、
例えば画像処理装置が一体的に有するシート材給送装置
であっても良く、該シート材給送装置に本発明を適用す
ることにより同様の効果を得ることができる。

【００６３】また前述した実施形態では、記録対象とし
ての記録紙等のシート材を処理手段である画像形成部に
給送するシート材給送装置を例示したが、本発明はこれ
に限定されるものではなく、例えば、読取対象としての
原稿等のシート材を処理手段である読取部に給送するシ
ート材給送装置に適用しても同様の効果を得ることがで
きる。

【００６４】また前述した実施形態では、記録方式とし
て電子写真方式を例示したが、これに限定されるもので
はなく、例えばインクジェット方式等の他の記録方式で
あっても良い。

【００６５】

【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
積載手段に積載された複数枚のシート材の送り方向先端
側を一枚ずつ積載方向に変形させて捌くシート材捌き手
段を有する構成となっており、更に具体的には前記シー
ト材捌き手段は、シート材の送り方向先端側に当接する
可撓性部材を回転方向に複数有する回転軸と、該回転軸
を任意のタイミングで回転駆動させる駆動手段を有し、
前記回転軸をシート材の非給送時の任意のタイミングで
回転駆動して、前記可撓性部材をシート材の送り方向先
端側に当接させることで、該シート材の送り方向先端側
を一枚ずつ積載方向に変形させて捌く構成となっている
ので、シート材の種類や環境変化等にかかわらず、シー
ト材同士の吸着を解消することができ、該シート材同士
の吸着を原因とする重送等の給送時のトラブルを防止す
ることができる。よって、シート材の安定した分離、給
送が行える。

【００６６】また前記シート材捌き手段は、シート材の
送り方向先端側端面に沿って積載方向に往復移動可能に
構成されているので、積載手段に積載された最上位から
最下位までの全てのシート材を捌くことができ、例えば
積載手段にシート材を補充した後に環境や自重によるシ
ート材同士の水分的、静電気的吸着力を解消することが
でき、該シート材同士の吸着を原因とする重送等の給送
時のトラブルを更に確実に防止することができる。

【００６７】また前記シート材捌き手段は、シート材の
送り方向先端側に当接する複数の可撓性部材の一部又は
全部が除電機能を有する構成となっているので、シート
材の静電気的吸着力をより効率的に除去することが可能
となる。

【００６８】また前記シート材捌き手段は、シート材の
送り方向先端側端面に向けて風を吹き付ける送風手段を
有する構成となっているので、シート材の束を捌く力が
増し、更にシート材周辺の吸着する一因である水分を除
去し、該シート材同士の吸着を原因とする重送等の給送
時のトラブルを更に確実に防止することができる。

【００６９】また前記積載手段は、シート材の送り方向
端部の位置を規制する側板又は規制部材が送り方向上流
側から下流側に向けて傾斜しているので、シート材捌き
手段を構成する可撓性部材をシート材のエッジ部でなく
シート材の面に当接させることができ、該シート材の捌
き力及び除電力が更に増し、該シート材同士の吸着を原
因とする重送等の給送時のトラブルを更に確実に防止す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施形態に係る給送装置の概略構成を示す
模式断面図

【図２】第１実施形態に係る給送装置におけるシート材
捌き手段を詳細に示す説明図

【図３】第２実施形態に係る給送装置の概略構成を示す
模式断面図

【図４】第２実施形態に係る給送装置におけるシート材
捌き手段を詳細に示す説明図

【図５】画像処理装置の概略構成を示す模式断面図

【図６】従来の給送装置の断面図

【図７】従来の給送装置の斜視図

【図８】従来の給送領域図

【符号の説明】

Ｓ …シート材 １ …フィードローラ ２ …リタードローラ ３ …ピックアップローラ ４ …搬送ローラ対 11 …画像処理装置本体 12 …給送デッキ 13，14…給送カセット 14ａ …切欠部 14ｂ …軸受部 14ｃ …壁 14ｄ …ラック部 15，16，17…給送装置 18 …レジストローラ対 19 …制御手段 21 …感光体ドラム 22 …転写帯電器 23 …搬送ベルト 24 …定着器 25，26…内排出ローラ対 27 …排出トレイ 28 …再給送パス 29 …スイッチバックローラ対 30 …両面搬送パス 31 …中間トレイ 32 …再給送装置 33，34，35…ガイド 36 …フィードローラ軸 37 …リタードローラ軸 50 …シート材捌き手段 51 …回転軸 52 …可撓性部材 53 …除電針 54 …駆動手段 54ａ，54ｂ…カップリング 54ｃ …マウント 54ｄ …ラック 54ｅ …モータ 55 …送風手段 56 …ギア

Claims (7)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 積載手段に積載されたシート材を一枚ず
   つ分離給送するシート材給送装置において、 前記積載手段に積載された複数枚のシート材の送り方向
   先端側を一枚ずつ捌くシート材捌き手段を有することを
   特徴とするシート材給送装置。
2. 【請求項２】 前記シート材捌き手段は、シート材の送
   り方向先端側に当接する可撓性部材を回転方向に複数有
   する回転軸と、該回転軸を任意のタイミングで回転駆動
   させる駆動手段を有し、 前記回転軸をシート材の非給送時の任意のタイミングで
   回転駆動して、前記可撓性部材をシート材の送り方向先
   端側に当接させることで、該シート材の送り方向先端側
   を一枚ずつ積載方向に変形させて捌くことを特徴とする
   請求項１に記載のシート材給送装置。
3. 【請求項３】 前記シート材捌き手段は、シート材の送
   り方向先端側端面に沿って積載方向に往復移動可能であ
   ることを特徴とする請求項２に記載のシート材給送装
   置。
4. 【請求項４】 前記シート材捌き手段は、シート材の送
   り方向先端側に当接する複数の可撓性部材の一部又は全
   部が除電機能を有することを特徴とする請求項２又は請
   求項３に記載のシート材給送装置。
5. 【請求項５】 前記シート材捌き手段は、シート材の送
   り方向先端側端面に向けて風を吹き付ける送風手段を有
   することを特徴とする請求項２又は請求項３に記載のシ
   ート材給送装置。
6. 【請求項６】 前記積載手段は、シート材の送り方向端
   部の位置を規制する側板又は規制部材が送り方向上流側
   から下流側に向けて傾斜していることを特徴とする請求
   項２又は請求項３に記載のシート材給送装置。
7. 【請求項７】 シート材に対して画像の処理を行う処理
   手段と、該処理手段に対してシート材を給送する給送手
   段とを有する画像処理装置において、 前記給送手段として、請求項１〜請求項６のいずれか１
   項に記載のシート材給送装置を備えていることを特徴と
   する画像処理装置。