JP2000048325A - ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド及びその製造方法 - Google Patents

ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド及びその製造方法

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JP2000048325A
JP2000048325A JP10214446A JP21444698A JP2000048325A JP 2000048325 A JP2000048325 A JP 2000048325A JP 10214446 A JP10214446 A JP 10214446A JP 21444698 A JP21444698 A JP 21444698A JP 2000048325 A JP2000048325 A JP 2000048325A
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yoke
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magnetoresistive
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JP10214446A
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Shingo Yagyu
慎悟 柳生
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Victor Company of Japan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気抵抗効果素子と磁界誘導ヨークとの間の
オーバーラップ領域における磁化量低下、磁気抵抗効果
素子の定電流駆動で得られる再生電圧並びに磁気抵抗効
果素子に流入する磁束量を改善することにより再生出力
を向上し、高記録密度化が実現できるヨークタイプ磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを提供する。 【解決手段】 ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘ
ッドにおいて、磁界誘導ヨーク2のヨークギャップ2G
部分にトラック幅方向に磁気抵抗効果素子(MR素子又は
GMR素子)7A、7Bを複数配列する。この磁気抵抗効
果素子7A、7Bのそれぞれは連結配線74により電気
的に直列に接続され、それぞれの磁気抵抗効果素子7
A、7Bにおいて検出電流の流れる方向Isが磁界誘導
ヨーク2に流れる信号磁界方向Msと実質的に平行に設
定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヨークタイプ磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッド及びその製造方法に関する。
特に本発明は、磁界誘導ヨークのヨークギャップ部分に
磁気抵抗効果素子(MR素子又はGMR素子)を配設するヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜磁気ヘッドは、インダクタンスが低
く、周波数特性に優れていることからハードディスクド
ライブ(HDD)に組み込まれる磁気ヘッドとして数多く
使用されている。最近では、HDDと同様に、デジタルビ
デオテープレコーダ(VTR)やデジタルストレージの用
途として、薄膜磁気ヘッドはテープ系磁気記録媒体に記
録されたデータの再生に使用される。
【0003】HDDを含むデジタルストレージの用途にお
いては、記録密度の高密度化に加えてデータ転送速度の
高速化が望まれており、薄膜磁気ヘッドには更なる再生
出力の増加及び低インダクタンス化が要望されている。
【0004】このような要望に応えるべく、HDDにおい
ては磁気抵抗効果素子が利用されつつある。図17は一
般的な磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概略平面図であ
る。磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは、基板100上に
配設された磁気抵抗効果素子101を備える。磁気抵抗
効果素子101にはMR素子が使用される。磁気抵抗効果
素子101の一端側、他端側には一対のリード配線10
2が電気的に接続されており、リード配線102は磁気
抵抗効果素子101に検出電流を供給しかつ供給された
検出電流の取り出しを行う。磁気記録媒体103に記録
された磁気データにより(磁場の影響により)磁気抵抗
効果素子101の抵抗値が変化し、リード配線102で
供給された検出電流が変化する。この検出電流の変化は
リード配線102で取り出され、取り出された検出信号
は磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの再生出力になる。一
対のリード配線102間はトラック幅Tである。
【0005】図17に示す磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドは磁気記録媒体103から浮上した状態でHDDに組み
込まれるので、磁気記録媒体103と磁気抵抗効果素子
101との接触がない。ところが、VTR等に組み込まれ
る磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗
効果素子とテープ系磁気記録媒体との間が常時接触状態
にある。このため、磁気抵抗効果素子に一定の電流が流
れ、短絡、放電又は腐食により磁気抵抗効果素子の特性
変化や特性劣化が発生し、さらに磨耗により磁気抵抗効
果素子の特性変化や特性劣化が発生する恐れがある。
【0006】そこで、テープ系磁気記録媒体の再生に
は、磁気記録媒体から離れた位置に磁気抵抗効果素子を
配設し、磁気記録媒体と磁気抵抗効果素子との間に磁束
導入用磁性体を配設したヨークタイプ磁気抵抗効果型薄
膜磁気ヘッドが使用される。図18は一般的なヨークタ
イプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの概略平面図、図1
9は図18に示すF19−F19切断線で切ったヨーク
タイプ磁気抵抗効果型ヘッドの側面図である。図18中
上側、図19中左側には、図示しないがテープ系磁気記
録媒体が高速走行する。ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄
膜磁気ヘッドは、基板110上に配設された磁界誘導ヨ
ーク111及び磁気抵抗効果素子113を備える。磁界
誘導ヨーク111は下部磁性層111A、磁気記録媒体
側において下部磁性層111A上に磁気ギャップ層11
2を介して配設された上部磁性層111F、磁気記録媒
体側とは反対側において下部磁性層111A上に直接配
設された上部磁性層111Rで構成される。この磁界誘
導ヨーク111は磁気ギャップ層112で検出される信
号磁界の閉磁路を構築する。上部磁性層111F、11
1Rのそれぞれの間には隙間が形成され、この隙間はヨ
ークギャップ(ヨーク内ギャップ)114として機能す
る。磁気抵抗効果素子113はヨークギャップ114部
分に図示しない絶縁体を介在して配設される。磁気抵抗
効果素子113の一端側、他端側にはそれぞれリード配
線115が電気的に接続され、このリード配線115は
検出電流の供給及び検出電流の取り出しを行う。
【0007】図20は磁界誘導ヨーク111の形状と磁
気抵抗効果素子113中の磁化との関係について3次元
有限要素法で計算した結果を示す図である。一般的に、
磁気抵抗効果素子113中の磁化が大きいほど、ヨーク
タイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの再生効率は良く
なる。図20に示すように、再生効率の向上には以下の
3点が必要である。
【0008】(1)磁界誘導ヨーク111の幅を狭くす
る。 (2)磁界誘導ヨーク111の厚さ、すなわち磁性層の
膜厚を厚くする。 (3)ヨークギャップ114を狭くする。
【0009】しかしながら、単純に再生効率を向上する
ことができない。すなわち、第1に、磁界誘導ヨーク1
11の幅を狭くすると、磁気抵抗効果素子113の長さ
(一対のリード配線115間の距離に相当する。)が短
くなることと等しく、磁気抵抗効果素子113の抵抗値
そのものが低くなる。例えば、磁界誘導ヨーク111の
幅を2分の1に設定すると磁気抵抗効果素子113の磁
化量は1.5倍に増加するが、磁気抵抗効果素子113の
抵抗値が半分になるので、定電流駆動で得られる再生電
圧はむしろ低下する。
【0010】第2に、ヨークギャップ114を狭くすれ
ば再生効率は向上できるが、フォトリソグラフィ技術並
びにエッチング技術の加工精度向上に限界があり、製造
上、ヨークギャップ114は狭くできない。磁界誘導ヨ
ーク111、すなわち磁性層の膜厚を薄くすればヨーク
ギャップ114をある程度狭くすることが可能である
が、図20に示すように磁性層の膜厚を厚くしなければ
再生効率が向上できない。
【0011】第3に、図19に示すように、磁気抵抗効
果素子113と上部磁性層111Fとの間、磁気抵抗効
果素子113と上部磁性層111Rとの間にはそれぞれ
磁気的結合を行うために互いに重なり合うオーバーラッ
プ領域Lが必要になるが、このオーバーラップ領域Lに
おいては磁気抵抗効果素子113の中心部分に比べては
るかに磁化量が小さい。すなわち、磁気抵抗効果素子1
13のオーバーラップ領域Lにおいては、検出電流の抵
抗変化に寄与する割合が小さく、むしろ再生効率が低下
する。
【0012】第4に、図示しないが、オーバーラップ領
域Lにおいては、磁気抵抗効果素子113と上部磁性層
111Fとの間、磁気抵抗効果素子113と上部磁性層
111Rとの間にはそれぞれ電気的分離を行う絶縁体が
形成されるが、この絶縁体は信号磁界に対する磁気抵抗
として作用して大幅な再生効率の低下を生じる。
【0013】このような技術的課題のうちいくつかを解
決できるヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
が、特開平8−235535号公報、特開平8−147
632号公報にそれぞれ開示されている。これらの公報
に開示された磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは、図18
に示す磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素
子113に流れる検出電流とは直交方向に、すなわち磁
界誘導ヨークで構築される磁路と平行方向に、磁気抵抗
効果素子に検出電流を流す構造としたものである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述の
公報に開示された磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおい
ては、以下の点について配慮がなされていない。磁気抵
抗効果素子の抵抗値をある程度高くして定電圧駆動で得
られる再生電圧を高め、高記録密度化を図るためには、
トラック幅方向において磁気抵抗効果素子の幅を狭くす
るか、磁界誘導ヨークのヨークギャップの長さを長くし
て磁路方向に磁気抵抗効果素子の長さを長くすることが
考えられる。ところが、いずれの方法も、磁路全体の磁
気抵抗が増加し、かえって再生効率が低下してしまう。
【0015】本発明は上記課題を解決するためになされ
たものである。従って、本発明の目的は、再生出力を向
上させることができ、高記録密度化が実現できるヨーク
タイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを提供することで
ある。さらに詳細には、本発明の目的は、磁気抵抗効果
素子と磁界誘導ヨークとの間のオーバーラップ領域にお
ける磁化量低下を改善し、磁気抵抗効果素子の定電流駆
動で得られる再生電圧を改善し、かつ磁気抵抗効果素子
に流入する磁束量を改善することにより再生出力を向上
させ、高記録密度化が実現できるヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドを提供することである。
【0016】さらに、本発明の目的は、バルクハウゼン
ノイズを減少させて再生出力特性を向上させることがで
き、構造が簡易に実現できるヨークタイプ磁気抵抗効果
型薄膜磁気ヘッドを提供することである。
【0017】さらに、本発明の目的は、閉磁路全体の磁
気抵抗を減少させて、再生出力を向上させることができ
るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを提供す
ることである。
【0018】さらに、本発明の目的は、スピンバルブ型
巨大磁気抵抗効果素子を備えたヨークタイプ磁気抵抗効
果型薄膜磁気ヘッドにおいて、上記目的を達成すること
である。
【0019】さらに、本発明の目的は、上記スピンバル
ブ型巨大磁気抵抗効果素子の微細加工、特に自由層とこ
の自由層の磁区制御を行う硬磁性層とを微細に加工でき
るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方
法を提供することである。
【0020】さらに、本発明の目的は、交換結合型巨大
磁気抵抗効果素子を備えたヨークタイプ磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドにおいて、上記目的を達成することであ
る。
【0021】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、この発明の第1の特徴は、ヨークタイプ磁気抵抗効
果型薄膜磁気ヘッドにおいて、ヨークギャップを有する
磁界誘導ヨークと、磁界誘導ヨークのヨークギャップ部
分においてトラック幅方向に複数配列された磁気抵抗効
果素子(MR素子又はGMR素子)と、複数配列された磁気
抵抗効果素子のそれぞれを電気的に直列に接続し、それ
ぞれの磁気抵抗効果素子において検出電流の流れる方向
を磁界誘導ヨークに流れる信号磁界方向と実質的に平行
にする連結配線と、を備えたことである。
【0022】このように構成されるヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗効果素子
に検出電流が流れる方向と磁界誘導ヨークに信号磁界が
流れる方向とをほぼ平行にしたので、磁界誘導ヨークと
磁気抵抗効果素子とのオーバーラップ領域における磁化
量低下が防止でき、再生出力が向上できる。さらに、ヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、
複数の磁気抵抗効果素子がトラック幅方向に配列され、
この複数の磁気抵抗効果素子が電気的に直列に接続され
るので、複数の磁気抵抗効果素子の合計の抵抗値が高
く、定電流駆動で得られる再生電圧が高くなり、再生出
力が向上できる。さらに、ヨークタイプ磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗効果素子の合計の
抵抗値が高く、再生電圧が高く設定でき、磁界誘導ヨー
クのトラック幅方向の幅を狭くして磁気抵抗効果素子に
流入する磁束量が増加できるので、再生出力が向上でき
る。従って、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドの高記録密度化が実現できる。
【0023】この発明の第2の特徴は、ヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいて、連結配線が反強
磁性層又は硬磁性層で形成されたことである。
【0024】このように構成されるヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、前述の第1の特徴
で得られる効果に加え、反強磁性層又は硬磁性層により
磁気抵抗効果素子の単磁区構造の安定性が確保できるの
で、バルクハウゼンノイズが減少でき、再生出力特性が
向上できる。さらに、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドにおいては、連結配線が反強磁性層又は硬磁
性層で形成されるので、連結配線の形成に別途新たに薄
膜を形成する必要がなくなり、構造が簡易に実現でき
る。ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造
プロセスにおいては、連結配線を形成する工程を削減で
きるので、製造工程数が減少できる。
【0025】この発明の第3の特徴は、ヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいて、磁気抵抗効果素
子の一部が磁界誘導ヨークに直接接続されたことであ
る。磁気抵抗効果素子の一部と磁界誘導ヨークとの間の
直接接続は双方のオーバーラップ領域で行われることが
好ましい。さらに好ましくは、磁気抵抗効果素子の一部
と磁界誘導ヨークとの間の直接接続は磁気記録媒体に近
接する側で行われる。
【0026】このように構成される磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗効果素子の一部と磁界
誘導ヨークとの間の磁気抵抗が直接接続で減少できるの
で、閉磁路全体の磁気抵抗が減少できる。すなわち、磁
気抵抗効果素子に流入する磁束量が増加できるので、磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの再生出力が向上できる。
【0027】この発明の第4の特徴は、ヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいて、ヨークギャップ
を有する磁界誘導ヨークと、磁界誘導ヨークのヨークギ
ャップ部分においてトラック幅方向に複数配列され、そ
れぞれトラック幅方向と実質的に平行な方向に磁化され
た自由層を有するスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子
(GMR素子)と、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子
の自由層の側部に配設され、自由層の磁区制御を行う硬
磁性層と、複数配列されたスピンバルブ型巨大磁気抵抗
効果素子のそれぞれを電気的に直列に接続し、それぞれ
のスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子において検出電
流の流れる方向を磁界誘導ヨークに流れる信号磁界方向
と実質的に平行にする連結配線と、を備えたことであ
る。トラック幅方向に複数配列されたスピンバルブ型磁
気抵抗効果素子の自由層と硬磁性層との間は電気的には
絶縁される。
【0028】このように構成されるヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、前述の第1の特徴
のヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドで得られ
る効果がスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子で得ら
れ、さらにスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子は自由
層の磁化方向を磁路に対して垂直方向に設定しているの
で、数倍の再生出力が得られる。さらに、スピンバルブ
型巨大磁気抵抗効果素子の自由層の磁区は側部に配設さ
れた硬磁性層により単磁区化されるので、バルクハウゼ
ンノイズの発生が減少できる。さらに、第1の特徴のヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドと同様に、複
数のスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子が直列に接続
されたことにより、複数のスピンバルブ型巨大磁気抵抗
効果素子の合計の抵抗値が高く、定電流駆動で得られる
再生電圧が高くなり、再生出力が向上できる。
【0029】この発明の第5の特徴は、ヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法において、
(1)基板上に自由層、非磁性導電層、固定層、反強磁
性層のそれぞれを順次積層する工程と、(2)反強磁性
層上においてトラック幅方向に所定間隔でマスクを形成
し、このマスクを使用して反強磁性層、固定層、非磁性
導電層、自由層の各層をパターンニングする工程と、
(3)パターンニングされた各層の側部並びにマスク上
に絶縁層及び硬磁性層を堆積する工程と、(4)マスク
及びマスク上の不必要な絶縁層及び硬磁性層を除去しつ
つ、各層間には硬磁性層を残し、自由層、非磁性導電
層、固定層、反強磁性層及びこれらの側部に硬磁性層を
有するスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子をトラック
幅方向に複数形成する工程と、を備えたことである。
【0030】このような製造方法で形成されるヨークタ
イプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、トラッ
ク幅方向に複数配列されたスピンバルブ型巨大磁気抵抗
効果素子のそれぞれの自由層に対して硬磁性層がリフト
オフ法により自己整合(セルフアライメント)で形成で
きる。従って、スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の
微細加工が実現できる。
【0031】この発明の第6の特徴は、ヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいて、ヨークギャップ
を有する磁界誘導ヨークと、磁界誘導ヨークのヨークギ
ャップ部分においてトラック幅方向に複数配列され、そ
れぞれ、第1反強磁性層による交換結合でトラック幅方
向と実質的に平行な方向に磁化された自由層及び第1反
強磁性層とはブロッキング温度が異なる第2反強磁性層
による交換結合でトラック幅方向と実質的に直交する方
向に磁化された固定層を有する交換結合型巨大磁気抵抗
効果素子(GMR素子)と、複数配列された交換結合型巨
大磁気抵抗効果素子のそれぞれを電気的に直列に接続
し、それぞれの交換結合型巨大磁気抵抗効果素子におい
て検出電流の流れる方向を磁界誘導ヨークに流れる信号
磁界方向と実質的に平行にする連結配線と、を備えたこ
とである。
【0032】このように構成されるヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、前述の第4の特徴
で得られる効果に加えて、交換結合型巨大磁気抵抗効果
素子は第1反強磁性層の交換結合作用により自由層の単
磁区化の制御を行えるので、第4の特徴における硬磁性
層がなくなる。従って、トラック幅方向に複数配列され
た複数の磁気抵抗効果素子間に硬磁性層を形成する必要
がなく、第1、第2反強磁性層、自由層、固定層の各層
を積層した単純な構造で交換結合型巨大磁気抵抗効果素
子が形成できるので、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドの構造が簡易に実現できる。さらに、製造プ
ロセスにおいては、リフトオフ法により硬磁性層を形成
する工程がなくなるので、ヨークタイプ磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドの製造工程数が削減できる。
【0033】
【発明の実施の形態】(第1の実施の形態)以下、図面
を参照して本発明の第1の実施の形態について説明す
る。図1は本発明の第1の実施の形態に係るヨークタイ
プ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの平面構成図、図2は
図1に示すF2−F2切断線で切ったヨークタイプ磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構成図である。
【0034】図1及び図2に示すように、ヨークタイプ
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは、ヨークギャップ2G
を有する磁界誘導ヨーク2と、磁界誘導ヨーク2のヨー
クギャップ2G部分においてトラック幅T方向に複数配
列された磁気抵抗効果素子7A及び7Bと、複数配列さ
れた磁気抵抗効果素子7A、7Bのそれぞれを電気的に
直列に接続し、それぞれの磁気抵抗効果素子7A、7B
において検出電流の流れる方向Isを磁界誘導ヨーク2
に流れる信号磁界方向Msと実質的に平行にする連結配
線74と、を備える。直列接続された複数の磁気抵抗効
果素子7A及び7Bは1つの磁気抵抗効果素子7として
構築される。これらの磁界誘導ヨーク2、磁気抵抗効果
素子7、連結配線74はいずれも基板1の表面上に配設
される。
【0035】磁界誘導ヨーク2は、基板1上に配設され
た下部磁性層21、図示しない磁気記録媒体側(図1中
上側、図2中左側)において下部磁性層21上に直接配
設された中間磁性層22F、中間磁性層22F上に磁気
ギャップ層4を介在して配設された上部磁性層23F、
磁気記録媒体側と反対側において下部磁性層21上に直
接配設された中間磁性層22R、中間磁性層22R上に
直接配設された上部磁性層23Rを備えて構築される。
中間磁性層22Fと上部磁性層23Fとの間の磁気ギャ
ップ層4は磁気記録媒体に記録された磁気情報の検出を
行う。上部磁性層23Fと上部磁性層23Rとの間の隙
間はヨークギャップ2Gとして使用され、本実施の形態
においてヨークギャップ2G部分上側には磁気抵抗効果
素子7が配設される。ヨークギャップ2Gは磁気ギャッ
プ層4で検出された信号磁界を磁気抵抗効果素子7に流
入させる。すなわち、磁界誘導ヨーク2は磁気ギャップ
層4で検出された信号磁界を磁気抵抗効果素子7に流入
させる閉磁路を構築する。図1中及び図2中に示す符号
Msを付した矢印が指し示す方向は閉磁路における信号
磁界が流れる方向を表す。
【0036】磁気抵抗効果素子7の磁気抵抗効果素子7
A、7Bはいずれも一端側が磁界誘導ヨーク2の上部磁
性層23F上に重複(オーバーラップ)して配設され、
他端側が上部磁性層23R上に重複して配設される。本
実施の形態において磁気抵抗効果素子7A、7Bのそれ
ぞれの一端側は上部磁性層23Fに絶縁層6を介在せず
に直接接続されており、双方の間の磁気抵抗が減少され
る。磁気抵抗効果素子7A、7Bのそれぞれの他端側は
上部磁性層23Rに絶縁層6を介在して間接的に接続さ
れる。磁気抵抗効果素子7Aの他端側には検出電流Is
を供給するリード配線8が電気的に接続され、磁気抵抗
効果素子7Bの他端側には供給された検出電流Isの取
り出しを行うリード配線8が電気的に接続される。
【0037】磁気抵抗効果素子7A、7Bは、いずれも
バイアス層71、中間層72、MR層73、反強磁性層7
4のそれぞれを順次積層した積層構造で形成される。バ
イアス層71は例えば15nmの膜厚を有するCoZrMo膜で形
成される。中間層72は例えば20nmの膜厚を有するTa膜
で形成される。MR層73は例えば20nmの膜厚を有するNi
Fe膜で形成される。反強磁性層74は磁気抵抗効果素子
7A、7Bのそれぞれの一端側及び他端側に形成され、
この反強磁性層74は磁気抵抗効果素子7A、7Bのそ
れぞれの単磁区構造の安定性を確保してバルクハウゼン
ノイズを減少できる。反強磁性層74は例えば10nmの膜
厚を有するFeMn膜で形成される。
【0038】磁気抵抗効果素子7Aの一端側に形成され
た反強磁性層74、磁気抵抗効果素子7Bの一端側に形
成された反強磁性層74のそれぞれは、互いに連結され
一体的に形成され、連結配線74として使用される。こ
の連結配線74は、前述のように複数配列された磁気抵
抗効果素子7A、7Bのそれぞれを電気的に直列に接続
し、それぞれの磁気抵抗効果素子7A、7Bにおいて検
出電流Isの流れる方向を磁界誘導ヨーク2に流れる信
号磁界方向Msと実質的に平行にする。
【0039】なお、図2中、符号3、5はいずれも絶縁
層である。また、図示しないが、図2中、磁気抵抗効果
素子7及びリード配線8上には保護膜が形成される。
【0040】次に、前述のヨークタイプ磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する。図3乃至図8は
製造方法を工程毎に説明するヨークタイプ磁気抵抗効果
型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【0041】(1)まず、基板1が準備され、図3に示
すように、基板1上に下部磁性層21を形成する。基板
1にはAl2O3-TiC基板、CaTiO基板等のセラミックス基板
が実用的に使用できる。下部磁性層21にはNiFe膜、Co
ZrNb膜等の軟磁性膜が実用的に使用でき、軟磁性膜は例
えばスパッタリング法により3μmの膜厚で形成され
る。下部磁性層21は、フォトリソグラフィ技術で形成
されたマスクを使用し、イオンミリング法によりパター
ンニングされる。
【0042】(2)図4に示すように、下部磁性層21
上に中間磁性層22F、22Rのそれぞれを同一製造工
程で形成する。中間磁性層22F、22Rには、いずれ
も下部磁性層21と同様に、NiFe膜、CoZrNb膜等の軟磁
性膜が実用的に使用でき、軟磁性膜は例えばスパッタリ
ング法により3μmの膜厚で形成される。中間磁性層2
2F、22Rは、フォトリソグラフィ技術で形成された
マスクを使用し、イオンミリング法によりパターンニン
グされる。
【0043】(3)中間磁性層22F及び22Rの周囲
に絶縁層3を埋設する(図5参照)。絶縁層3にはSiO2
等の無機絶縁膜が実用的に使用できる。絶縁膜3は、例
えばスパッタリング法により無機絶縁膜を基板1全面に
例えば7μmの膜厚で形成した後に、中間磁性層22
F、22Rのそれぞれの表面と一致する高さまで(中間
磁性層22F、22Rのそれぞれの表面が露出するま
で)機械研磨される。
【0044】(4)図5に示すように、少なくとも中間
磁性層22Fの表面上に磁気ギャップ層4を形成する。
磁気ギャップ層4にはAl2O3膜、SiO2等の無機絶縁膜が
実用的に使用でき、この無機絶縁膜はスパッタリング法
により例えば0.15μmの膜厚で形成される。磁気ギャッ
プ層4の少なくとも中間磁性膜22Rの表面上は例えば
RIE等のエッチングにより除去され、中間磁性膜22R
と上部磁性膜23Rとの接続部分の磁気抵抗が低減され
る。
【0045】(5)図6に示すように、中間磁性層22
F上に磁気ギャップ層4を介して上部磁性層23Fを形
成し、同一製造工程で中間磁性層22R上に直接上部磁
性層23Rを形成する。上部磁性層23F、23Rには
いずれも下部磁性層21と同様に、NiFe膜、CoZrNb膜等
の軟磁性膜が実用的に使用でき、軟磁性膜は例えばスパ
ッタリング法により3μmの膜厚で形成される。上部磁
性層23F、23Rは、フォトリソグラフィ技術で形成
されたマスクを使用し、イオンミリング法によりパター
ンニングされる。上部磁性層23F及び23Rの形成に
より上部磁性層23F、23Rのそれぞれの間にヨーク
ギャップ2Gが形成される。
【0046】(6)上部磁性層23F、23Rのそれぞ
れの周囲並びにヨークギャップ2G部分に絶縁層5を埋
設する(図7参照)。絶縁層5にはSiO2等の無機絶縁膜
が実用的に使用できる。絶縁層5は、例えばスパッタリ
ング法により無機絶縁膜を基板1全面に例えば4μmの
膜厚で形成した後に、上部磁性層23F、23Rのそれ
ぞれの表面と一致する高さまで(上部磁性層23F、2
3Rのそれぞれの表面が露出するまで)機械研磨され
る。このとき、上部磁性層23F及び23Rの磁気特性
が変化しないように、上部磁性層23F、23Rのそれ
ぞれの表面粗さRaは30nm以下に設定される。
【0047】(7)図7に示すように、上部磁性層23
Fと磁気抵抗効果素子7の一部との間の接続部分を除
き、上部磁性層23F、23R、絶縁層5上に絶縁層6
を形成する。絶縁層6は、上部磁性層23Rと磁気抵抗
効果素子7との間の絶縁ギャップ層を形成するために、
例えば100nmの膜厚を有するAl2O3膜で形成される。Al2O
3膜は上部磁性層23Fと磁気抵抗効果素子7の一部と
の間の接続部分に予めマスクを形成した状態で基板1全
面にスパッタリング法で形成され、マスクの選択的除去
とともにマスク上のAl2O3膜の選択的除去を行うことに
より、接続部分が開口された絶縁層6が形成できる。す
なわち、上部磁性層23Fと磁気抵抗効果素子7の一部
との間の接続部分の開口はリフトオフ法により形成され
る。
【0048】(8)図8に示すように、ヨークギャップ
2G部分であって絶縁層6上に磁気抵抗効果素子7(7
A及び7B)を形成する。磁気抵抗効果素子7Aの一端
側、磁気抵抗効果素子7Bの一端側はいずれも絶縁層6
に形成された開口を通して上部磁性層23Fに接続され
る。磁気抵抗効果素子7は、バイアス層71、中間層7
2、MR層73、反強磁性層74のそれぞれを順次積層し
て形成される。すなわち、まずバイアス層71である例
えば15nmの膜厚を有するCoZrMo膜、中間層72である例
えば20nmの膜厚を有するTa膜、MR層73である例えば20
nmの膜厚を有するNiFe膜のそれぞれを順次スパッタリン
グ法で形成し、フォトリソグラフィ技術で形成したマス
クを使用してこれらの膜をイオンミリング法によりパタ
ーンニングする。
【0049】この後、MR層73上に反強磁性層74であ
る例えば10nmの膜厚を有するFeMn膜をスパッタリング法
で形成し、RIE等のエッチングによりFeMn膜は所定の形
状にパターンニングされる。磁気抵抗効果素子7Aの一
端側(磁気記録媒体側)の反強磁性層74、磁気抵抗効
果素子7Bの一端側(同様に磁気記録媒体側)の反強磁
性層74のそれぞれは相互に連結され(一体的に形成さ
れ)、連結配線74として形成される。
【0050】(9)前述の図1及び図2に示すように、
磁気抵抗効果素子7の反強磁性層74に接続されるリー
ド配線8を形成する。リード配線8は例えばCu膜、Cr膜
のそれぞれを順次積層した積層構造で形成し、このリー
ド配線8は例えばリフトオフ法で形成される。
【0051】そして、図示しないが、リード配線8上を
含む基板1全面に保護膜を形成することにより、本実施
の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドが完成する。
【0052】このように構成されるヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗効果素子
7の検出電流Isが流れる方向と磁界誘導ヨーク2の信
号磁界が流れる方向Msとをほぼ平行にしたので、磁界
誘導ヨーク2と磁気抵抗効果素子7とのオーバーラップ
領域における磁化量低下が防止でき、再生出力が向上で
きる。
【0053】さらに、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドにおいては、複数の磁気抵抗効果素子7A、
7Bがトラック幅T方向に配列され、この複数の磁気抵
抗効果素子7A、7Bが電気的に連結配線74で直列に
接続されるので、複数の磁気抵抗効果素子7A、7Bの
合計の抵抗値が高く、定電流駆動で得られる再生電圧が
高くなり、再生出力が向上できる。
【0054】さらに、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗効果素子7A、7Bの
合計の抵抗値が高く、再生電圧が高く設定でき、磁界誘
導ヨーク2のトラック幅T方向の幅Wを狭くして磁気抵
抗効果素子7A、7Bに流入する磁束量が増加できるの
で、再生出力が向上できる。本実施の形態においては、
磁界誘導ヨーク2の幅Wをトラック幅Tよりも狭く絞り
込むことができる。従って、再生出力の増加に伴い、ヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの高記録密度
化が実現できる。
【0055】さらに、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドにおいては、磁気抵抗効果素子7の反強磁性
層74により磁気抵抗効果素子7の単磁区構造の安定性
が確保できるので、バルクハウゼンノイズが減少でき、
再生出力特性が向上できる。さらに、ヨークタイプ磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、連結配線74自
体が反強磁性層74で形成されるので、連結配線74の
形成に別途新たに薄膜を形成する必要がなくなり、構造
が簡易に実現できる。ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドの製造プロセスにおいては、連結配線74を
形成する工程を削減できるので、製造工数が減少でき
る。
【0056】さらに、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドにおいて、磁気抵抗効果素子7の一部と磁界
誘導ヨーク2との間の磁気抵抗が直接接続で減少できる
ので、閉磁路全体の磁気抵抗が減少できる。すなわち、
磁気抵抗効果素子7に流入する磁束量が増加できるの
で、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの再生
出力が向上できる。
【0057】なお、本実施の形態に係るヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは磁界誘導ヨーク2のヨー
クギャップ2G部分においてトラック幅T方向に2個の
磁気抵抗効果素子7A、7Bのそれぞれを直列接続した
が、本発明は3個又はそれ以上の個数の磁気抵抗効果素
子をトラック幅方向に配設しかつそれぞれの磁気抵抗効
果素子を直列に接続してもよい。
【0058】(第2の実施の形態)本実施の形態は、ヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいて、磁
気抵抗効果素子にスピンバルブ型GMR素子が使用される
場合を説明する。図9は本発明の第2の実施の形態に係
るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの平面構
成図、図10は図9に示すF10−F10切断線で切っ
たヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構
成図、図11は図9に示すF11−F11切断線で切っ
たヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構
成図である。
【0059】図9乃至図11に示すように、ヨークタイ
プ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは、ヨークギャップ2
Gを有する磁界誘導ヨーク2と、磁界誘導ヨーク2のヨ
ークギャップ2G部分においてトラック幅T方向に複数
配列された磁気抵抗効果素子9A〜9Dと、複数配列さ
れた磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれを電気的に
直列に接続し、それぞれの磁気抵抗効果素子9A〜9D
において検出電流の流れる方向Isを磁界誘導ヨーク2
に流れる信号磁界方向Msと実質的に平行にする連結配
線81と、を備える。直列接続された複数の磁気抵抗効
果素子9A〜9Dは1つの磁気抵抗効果素子9として構
築される。これらの磁界誘導ヨーク2、磁気抵抗効果素
子9、連結配線81はいずれも基板1の表面上に配設さ
れる。
【0060】磁界誘導ヨーク2は、前述の第1の実施の
形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
と同様に、基板1上に配設された下部磁性層21、図示
しない磁気記録媒体側(図9中上側、図10中左側)に
おいて下部磁性層21上に直接配設された中間磁性層2
2F、中間磁性層22F上に磁気ギャップ層4を介在し
て配設された上部磁性層23F、磁気記録媒体側と反対
側において下部磁性層21上に直接配設された中間磁性
層22R、中間磁性層22R上に直接配設された上部磁
性層23Rを備えて構築される。中間磁性層22Fと上
部磁性層23Fとの間の磁気ギャップ層4は磁気記録媒
体に記録された磁気情報の検出を行う。上部磁性層23
Fと上部磁性層23Rとの間の隙間はヨークギャップ2
Gとして使用され、本実施の形態においてヨークギャッ
プ2G部分上側には磁気抵抗効果素子9が配設される。
ヨークギャップ2Gは磁気ギャップ層4で検出された信
号磁界を磁気抵抗効果素子9に流入させる。すなわち、
磁界誘導ヨーク2は磁気ギャップ層4で検出された信号
磁界を磁気抵抗効果素子9に流入させる閉磁路を構築す
る。図9中及び図10中に示す符号Msを付した矢印が
指し示す方向は閉磁路を流れる信号磁界の流れる方向を
表す。
【0061】磁気抵抗効果素子9の磁気抵抗効果素子9
A〜9Dはいずれも一端側が磁界誘導ヨーク2の上部磁
性層23F上に重複して配設され、他端側が上部磁性層
23R上に重複して配設される。本実施の形態において
磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれの一端側は上部
磁性層23Fに絶縁層6を介在して間接的に接続され、
同様に磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれの他端側
は上部磁性層23Rに絶縁層6を介在して間接的に接続
される。磁気抵抗効果素子9Aの他端側には検出電流I
sを供給するリード配線8が電気的に接続され、磁気抵
抗効果素子9Dの他端側には供給された検出電流Isの
取り出しを行うリード配線8が電気的に接続される。
【0062】磁気抵抗効果素子9A〜9Dは、本実施の
形態においてスピンバルブ型GMR素子で構成され、いず
れも自由層91、非磁性導電層(中間層)92、固定層
93、反強磁性層94、硬磁性層95を備える。自由層
91、非磁性導電層92、固定層93、反強磁性層94
のそれぞれは順次積層され、自由層91、非磁性導電層
92及び固定層93は反強磁性層94と磁気的にカップ
リング状態にある。自由層91は軟磁性薄膜、例えば10
nmの膜厚を有するFeCo膜で形成される。非磁性導電層9
2は例えば2nmの膜厚を有するCu膜で形成される。固定
層93は例えば2nmの膜厚を有するCo膜で形成される。
反強磁性層94は例えば10nmの膜厚を有するFeMn膜で形
成される。本実施の形態において、固定層93の磁化の
向きと自由層91の磁化の向きとは無磁界状態で直交
し、しかも自由層91の磁化の向きは磁界誘導ヨーク2
に流れる信号磁界の流れの方向Msに対して直交する設
定がなされる。
【0063】硬磁性層95は磁気抵抗効果素子9A〜9
Dのそれぞれの両側部に配設される。図11に示すよう
に、符号は付けないが、自由層91、非磁性導電層9
2、固定層93及び反強磁性層94と硬磁性層95との
間には絶縁層が配設され、双方の間は絶縁分離される。
磁気抵抗効果素子9Aと9Bとの間、磁気抵抗効果素子
9Bと9Cとの間、磁気抵抗効果素子9Cと9Dとの間
の各々の硬磁性層95は双方で兼用される。硬磁性層9
5は例えば30nmの膜厚を有するCoPt膜で形成される。硬
磁性層95は、磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれ
の自由層91に隣接配置され、自由層91の単磁区構造
の安定性を確保してバルクハウゼンノイズを減少でき
る。
【0064】磁気抵抗効果素子9A〜9Dはそれぞれ連
結配線81を通して電気的に直列に接続される。詳細に
は、磁気抵抗効果素子9Aの一端側と磁気抵抗効果素子
9Bの一端側との間、磁気抵抗効果素子9Bの他端側と
磁気抵抗効果素子9Cの他端側との間、磁気抵抗効果素
子9Cの一端側と磁気抵抗効果素子9Dの一端側との間
にそれぞれ連結配線81が配設される。前述の第1の実
施の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘ
ッドと同様に、本実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、それぞれの磁気抵
抗効果素子9A〜9Dにおいて検出電流Isの流れる方
向は磁界誘導ヨーク2に流れる信号磁界方向Msと実質
的に平行になる。本実施の形態において、連結配線81
はリード配線8と同一製造工程により同一導電層、具体
的には例えばMo膜などの非磁性金属膜で形成される。
【0065】なお、図10中及び図11中、符号3、5
はいずれも絶縁層である。また、図示しないが、図10
中及び図11中、磁気抵抗効果素子9及びリード配線8
上には保護膜が形成される。
【0066】次に、前述のヨークタイプ磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドの製造方法を説明する。図12乃至図1
5は製造方法を工程毎に説明するヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図(前述の図9に示す
F11−F11切断線部分に相当する工程断面図)であ
る。前述の第1の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法で説明した図3に示
す工程から図7に示す工程(磁界誘導ヨーク2の形成工
程及び絶縁層6の形成工程)までは同一であるので、本
実施の形態での説明は省略する。
【0067】(1)図12に示すように、ヨークギャッ
プ2G部分であって絶縁層6上に磁気抵抗効果素子9
(9A〜9D)の自由層91、非磁性導電層92、固定
層93、反強磁性層94のそれぞれを基板1全面に順次
形成する。すなわち、自由層91である例えば10nmの膜
厚を有するFeCo膜、非磁性導電層92である例えば2nm
の膜厚を有するCu膜、固定層93である例えば2nmの膜
厚を有するCo膜、反強磁性層94である例えば10nmの膜
厚を有するFeMn膜のそれぞれを4元スパッタリング法に
より順次形成する。
【0068】(2)図13に示すように、自由層91、
非磁性導電層92、固定層93、反強磁性層94の各層
をマスク9Rを使用しパターンニングする。マスク9R
には例えばフォトリソグラフィ技術で形成されたレジス
トマスクが使用される。パターンニングにはイオンミリ
ングが使用される。このパターンニングにより磁気抵抗
効果素子9A〜9Dの合計4個のスピンバルブ型GMR素
子がほぼ形成される。
【0069】(3)図14に示すように、マスク9R上
を含む基板1全面に絶縁層(符号は付けない。)、硬磁
性層95のそれぞれを順次形成する。絶縁層には例えば
8nmの膜厚を有するAl2O3膜が使用され、硬磁性層95に
は例えば30nmの膜厚を有するCoPt膜が使用される。絶縁
層、硬磁性層95のそれぞれは2元スパッタリング法に
より形成される。
【0070】(4)図15に示すように、マスク9Rを
選択的に除去することによりマスク9R上の不必要な絶
縁層及び硬磁性層95は除去され、磁気抵抗効果素子9
の側部に絶縁層を介して硬磁性層95が形成される。マ
スク9Rの選択的な除去には例えばアセトンが使用され
る。すなわち、絶縁層並びに硬磁性層95はいわゆるリ
フトオフ法により形成され、硬磁性層95は自由層9
1、非磁性導電層92、固定層93、反強磁性層94の
各層の側壁に自己整合で形成される。この後、フォトリ
ソグラフィ技術及びエッチング技術を使用し、硬磁性層
95を所定の形状にパターンニングする(図11参
照)。
【0071】(5)前述の図9乃至図11に示すよう
に、リード配線8及び連結配線81を形成する。リード
配線8及び連結配線81は例えばスパッタリング法で形
成したMo膜を所定の形状にパターンニングすることによ
り形成できる。
【0072】(6)そして、図示しないが、リード配線
8及び連結配線81上を含む基板1全面に保護膜を形成
することにより、本実施の形態に係るヨークタイプ磁気
抵抗効果型薄膜磁気ヘッドが完成する。
【0073】このように構成されるヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、前述の第1の実施
の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドで得られる効果がスピンバルブ型GMR素子である磁気
抵抗効果素子9で実現でき、さらに磁気抵抗効果素子9
は自由層91の磁化方向を磁路に対して垂直方向に設定
しているので、数倍の再生出力が得られる。さらに、磁
気抵抗効果素子9の自由層91の磁区は側部に配設され
た硬磁性層95により単磁区化されるので、バルクハウ
ゼンノイズの発生が減少できる。さらに、第1の実施の
形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
と同様に、複数の磁気抵抗効果素子9A〜9Dが直列に
接続されたことにより、複数の磁気抵抗効果素子9A〜
9Dの合計の抵抗値が高く、定電流駆動で得られる再生
電圧が高くなり、再生出力が向上できる。
【0074】さらに、ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドの製造方法においては、トラック幅T方向に
複数配列された磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれ
の自由層91に対して硬磁性層95がリフトオフ法によ
り自己整合で形成できる。従って、磁気抵抗効果素子9
が微細加工、すなわち複数の磁気抵抗効果素子9A〜9
Dが微小加工でき、自由層91の磁区制御を行う硬磁性
層95が製造上のマスク合わせ余裕なしに磁気抵抗効果
素子9A〜9Dのそれぞれの間に配設できる。
【0075】なお、本実施の形態に係るヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドは磁界誘導ヨーク2のヨー
クギャップ2G部分においてトラック幅T方向に4個の
磁気抵抗効果素子(スピンバルブ型GMR素子)9A〜9
Dのそれぞれを直列接続したが、本発明は2個、3個又
は5個以上の個数の磁気抵抗効果素子をトラック幅方向
に配設しかつそれぞれの磁気抵抗効果素子を直列に接続
してもよい。
【0076】(第3の実施の形態)本実施の形態は、ヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいて、磁
気抵抗効果素子に交換結合型GMR素子が使用される場合
を説明する。前述のスピンバルブ型GMR素子である磁気
抵抗効果素子9は自由層91への磁界の付与を硬磁性層
95で行っていたが、本実施の形態に係る交換結合型GM
R素子である磁気抵抗効果素子9は反強磁性層との積層
による交換結合により自由層に磁界を付与する。図16
は本発明の第3の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構成図である。
【0077】図16に示すように、ヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドは、ヨークギャップ2Gを有す
る磁界誘導ヨーク2と、磁界誘導ヨーク2のヨークギャ
ップ2G部分においてトラック幅T方向(前述の図9参
照)に複数配列された磁気抵抗効果素子9A〜9Dと、
複数配列された磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれ
を電気的に直列に接続し、それぞれの磁気抵抗効果素子
9A〜9Dにおいて検出電流の流れる方向Isを磁界誘
導ヨーク2に流れる信号磁界方向Msと実質的に平行に
する連結配線81と、を備える。直列接続された複数の
磁気抵抗効果素子9A〜9Dは1つの磁気抵抗効果素子
9として構築される。これらの磁界誘導ヨーク2、磁気
抵抗効果素子9、連結配線81はいずれも基板1の表面
上に配設される。
【0078】磁界誘導ヨーク2は、前述の第2の実施の
形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド
と同様に、基板1上に配設された下部磁性層21、中間
磁性層22F、上部磁性層23F、中間磁性層22R、
上部磁性層23Rを備えて構築される。中間磁性層22
Fと上部磁性層23Fとの間の磁気ギャップ層4は磁気
記録媒体に記録された磁気情報の検出を行う。上部磁性
層23Fと上部磁性層23Rとの間の隙間はヨークギャ
ップ2Gとして使用され、本実施の形態においてヨーク
ギャップ2G部分上側には磁気抵抗効果素子9が配設さ
れる。ヨークギャップ2Gは磁気ギャップ層4で検出さ
れた信号磁界を磁気抵抗効果素子9に流入させる。すな
わち、磁界誘導ヨーク2は磁気ギャップ層4で検出され
た信号磁界を磁気抵抗効果素子9に流入させる閉磁路を
構築する。
【0079】磁気抵抗効果素子9の磁気抵抗効果素子9
A〜9Dはいずれも一端側が磁界誘導ヨーク2の上部磁
性層23F上に重複して配設され、他端側が上部磁性層
23R上に重複して配設される。本実施の形態において
磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれの一端側は上部
磁性層23Fに絶縁層6を介在して間接的に接続され、
同様に磁気抵抗効果素子9A〜9Dのそれぞれの他端側
は上部磁性層23Rに絶縁層6を介在して間接的に接続
される。磁気抵抗効果素子9Aの他端側には検出電流を
供給するリード配線8が電気的に接続され、磁気抵抗効
果素子9Dの他端側には供給された検出電流Isの取り
出しを行うリード配線8が電気的に接続される。
【0080】磁気抵抗効果素子9A〜9Dは、本実施の
形態において交換結合型GMR素子で構成され、いずれも
下地層96、第1反強磁性膜97、自由層91、非磁性
導電層(中間層)92、固定層93、第2反強磁性層9
4の各層を順次積層して構成される。下地層96は例え
ば10nmの膜厚を有するCu膜で形成される。第1反強磁性
膜97は例えば10nmのFeMn膜で形成される。自由層91
は軟磁性薄膜、例えば10nmの膜厚を有するFeCo膜で形成
される。非磁性導電層92は例えば2nmの膜厚を有するC
u膜で形成される。固定層93は例えば2nmの膜厚を有す
るCo膜で形成される。第2反強磁性層94は例えば10nm
の膜厚を有するIrMn膜で形成される。
【0081】第1反強磁性層97、第2反強磁性層94
のそれぞれは、双方の間の交換結合がゼロになる、互い
に異なるブロッキング温度を有する。例えば、220℃の
温度で信号磁界が流れる方向Msに平行に100KA/mの磁
場を印加した状態で第1回目の熱処理を行い、引き続き
150℃の温度でトラック幅T方向に平行に100KA/mの磁場
を印加した状態で第2回目の熱処理を行う。第1回目の
熱処理で固定層93は第2反強磁性層(IrMn膜)94と
の交換結合により信号磁界の流れる方向と平行な方向に
磁化される。第2回目の熱処理はブロッキング温度より
も低いので、固定層93の磁化方向は信号磁界の流れる
方向に平行な方向で維持され変化しない。一方、第1反
強磁性層(FeMn膜)97のブロッキング温度は低いの
で、第2回目の熱処理温度つまり150℃の温度において
自由層91は磁化され、この自由層91はトラック幅T
方向に磁化される。
【0082】従って、本実施の形態に係る磁気抵抗効果
素子9は、前述の第2の実施の形態に係るヨークタイプ
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの磁気抵抗効果素子9と
同様に、固定層93の磁化の向きと自由層91の磁化の
向きとは無磁界状態で直交し、しかも自由層91の磁化
の向きは磁界誘導ヨーク2に流れる信号磁界の流れの方
向Msに対して直交する設定がなされる。そして、磁気
抵抗効果素子9においては、第1反強磁性層97により
自由層91の単磁区構造の安定性を確保できるので、バ
ルクハウゼンノイズを減少できる。つまり、第2の実施
の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドに使用されていた硬磁性層95は必要なくなる。
【0083】図16及び前述の第2の実施の形態の説明
で使用した図9に示すように、磁気抵抗効果素子9A〜
9Dはそれぞれ連結配線81を通して電気的に直列に接
続される。すなわち、それぞれの磁気抵抗効果素子9A
〜9Dにおいて検出電流Isの流れる方向は磁界誘導ヨ
ーク2に流れる信号磁界方向Msと実質的に平行にな
る。本実施の形態において、連結配線81はリード配線
8と同一製造工程により同一導電層、具体的には例えば
Mo膜などの非磁性金属膜で形成される。
【0084】なお、図16中、符号3、5はいずれも絶
縁層である。また、図示しないが、図16中、磁気抵抗
効果素子9及びリード配線8上には保護膜が形成され
る。
【0085】このように構成されるヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドにおいては、前述の第2の実施
の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドで得られる効果に加えて、磁気抵抗効果素子(交換結
合型GMR素子)9は第1反強磁性層97の交換結合作用
により自由層91の単磁区化の制御を行えるので、前述
の硬磁性層95がなくなる。従って、トラック幅T方向
に複数配列された磁気抵抗効果素子9A〜9D間に硬磁
性層95を形成する必要がなく、第1反強磁性層97、
第2反強磁性層94、自由層91、固定層93の各層を
積層した単純な構造で形成できるので、ヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの構造が簡易に実現でき
る。さらに、製造プロセスにおいては、リフトオフ法に
より硬磁性層95を形成する工程がなくなるので、ヨー
クタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造工程数を
削減できる。
【0086】なお、本発明は前述の実施の形態に限定さ
れない。例えば、本発明は、磁界誘導ヨーク2の下部磁
性層21にヨークギャップを形成し、このヨークギャッ
プ部分に磁気抵抗効果素子7又は9を配設してもよい。
さらに、本発明は、磁界誘導ヨーク2の磁性層の層数を
2層(下部磁性層及び上部磁性層)又は4層(下部磁性
層、下部中間磁性層、上部中間磁性層及び上部磁性層)
にしてもよい。
【0087】
【発明の効果】本発明は、再生出力を向上させることが
でき、高記録密度化が実現できるヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドを提供できる。特に本発明は、磁
気抵抗効果素子と磁界誘導ヨークとの間のオーバーラッ
プ領域における磁化量低下を改善し、磁気抵抗効果素子
の定電流駆動で得られる再生電圧を改善し、かつ磁気抵
抗効果素子に流入する磁束量を改善することにより再生
出力を向上させることができ、高記録密度化が実現でき
るヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを提供で
きる。
【0088】さらに、本発明は、バルクハウゼンノイズ
を減少させて再生出力特性を向上させることができ、構
造が簡易に実現できるヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜
磁気ヘッドを提供できる。
【0089】さらに、本発明は、閉磁路全体の磁気抵抗
を減少させて、再生出力を向上させることができるヨー
クタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを提供できる。
【0090】さらに、本発明は、上記効果が得られるス
ピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子を備えたヨークタイ
プ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを提供できる。
【0091】さらに、本発明は、上記スピンバルブ型巨
大磁気抵抗効果素子の微細加工、特に自由層とこの自由
層の磁区制御を行う硬磁性層とを微細に加工できるヨー
クタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの製造方法を提
供できる。
【0092】さらに、本発明は、上記効果が得られる交
換結合型巨大磁気抵抗効果素子を備えたヨークタイプ磁
気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るヨークタイプ
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの平面構成図である。
【図2】図1に示すF2−F2切断線で切ったヨークタ
イプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構成図であ
る。
【図3】第1の実施の形態に係る製造方法を工程毎に説
明するヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの工
程断面図である。
【図4】第1の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図5】第1の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図6】第1の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図7】第1の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵抗
効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図9】本発明の第2の実施の形態に係るヨークタイプ
磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの平面構成図である。
【図10】図9に示すF10−F10切断線で切ったヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構成図
である。
【図11】図9に示すF11−F11切断線で切ったヨ
ークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構成図
である。
【図12】第2の実施の形態に係る製造方法を工程毎に
説明するヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの
工程断面図である。
【図13】第2の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図14】第2の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図15】第2の実施の形態に係るヨークタイプ磁気抵
抗効果型薄膜磁気ヘッドの工程断面図である。
【図16】本発明の第3の実施の形態に係るヨークタイ
プ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッドの断面構成図である。
【図17】従来技術に係る磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッ
ドの概略平面図である。
【図18】従来技術に係るヨークタイプ磁気抵抗効果型
薄膜磁気ヘッドの概略平面図である。
【図19】図18に示すF18−F18切断線で切った
ヨークタイプ磁気抵抗効果型ヘッドの側面図である。
【図20】従来技術に係る磁界誘導ヨークの形状と磁気
抵抗効果素子中の磁化との関係について3次元有限要素
法で計算した結果を示す図である。
【符号の説明】
1 基板 2 磁界誘導ヨーク 21,22F,23F,22R,23R 磁性層 2G ヨークギャップ 4 磁気ギャップ層 7,7A,7B,9,9A〜9D 磁気抵抗効果素子 71 バイアス層 72 中間層 73 MR層 74 連結配線又は反強磁性層 91 自由層 92 非磁性導電層 93 固定層 94 反強磁性層又は第2反強磁性層 95 硬磁性層 96 下地層 97 第1反強磁性層 9R マスク 8 リード配線 81 連結配線

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヨークギャップを有する磁界誘導ヨーク
    と、 前記磁界誘導ヨークのヨークギャップ部分においてトラ
    ック幅方向に複数配列された磁気抵抗効果素子と、 前記複数配列された磁気抵抗効果素子のそれぞれを電気
    的に直列に接続し、それぞれの磁気抵抗効果素子におい
    て検出電流の流れる方向を前記磁界誘導ヨークに流れる
    信号磁界方向と実質的に平行にする連結配線と、 を備えたことを特徴とするヨークタイプ磁気抵抗効果型
    薄膜磁気ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記連結配線は、反強磁性層又は硬磁性
    層で形成されたことを特徴とする請求項1に記載のヨー
    クタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記磁気抵抗効果素子の一部が磁界誘導
    ヨークに直接接続されたことを特徴とする請求項1又は
    請求項2に記載のヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気
    ヘッド。
  4. 【請求項4】 ヨークギャップを有する磁界誘導ヨーク
    と、 前記磁界誘導ヨークのヨークギャップ部分においてトラ
    ック幅方向に複数配列され、それぞれトラック幅方向と
    実質的に平行な方向に磁化された自由層を有するスピン
    バルブ型巨大磁気抵抗効果素子と、 前記スピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子の自由層の側
    部に配設され、前記自由層の磁区制御を行う硬磁性層
    と、 前記複数配列されたスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素
    子のそれぞれを電気的に直列に接続し、それぞれのスピ
    ンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子において検出電流の流
    れる方向を前記磁界誘導ヨークに流れる信号磁界方向と
    実質的に平行にする連結配線と、 を備えたことを特徴とするヨークタイプ磁気抵抗効果型
    薄膜磁気ヘッド。
  5. 【請求項5】 ヨークタイプ磁気抵抗効果型薄膜磁気ヘ
    ッドの製造方法において、 基板上に自由層、非磁性導電層、固定層、反強磁性層の
    それぞれを順次積層する工程と、 前記反強磁性層上においてトラック幅方向に所定間隔で
    マスクを形成し、このマスクを使用して反強磁性層、固
    定層、非磁性導電層、自由層の各層をパターンニングす
    る工程と、 前記パターンニングされた各層の側部並びに前記マスク
    上に絶縁層及び硬磁性層を堆積する工程と、 前記マスク及びマスク上の不必要な絶縁層及び硬磁性層
    を除去しつつ、各層間には硬磁性層を残し、自由層、非
    磁性導電層、固定層、反強磁性層及びこれらの側部に硬
    磁性層を有するスピンバルブ型巨大磁気抵抗効果素子を
    トラック幅方向に複数形成する工程と、 を備えたことを特徴とするヨークタイプ磁気抵抗効果型
    薄膜磁気ヘッドの製造方法。
  6. 【請求項6】 ヨークギャップを有する磁界誘導ヨーク
    と、 前記磁界誘導ヨークのヨークギャップ部分においてトラ
    ック幅方向に複数配列され、それぞれ第1反強磁性層に
    よる交換結合でトラック幅方向と実質的に平行な方向に
    磁化された自由層及び第1反強磁性層とはブロッキング
    温度が異なる第2反強磁性層による交換結合でトラック
    幅方向と実質的に直交する方向に磁化された固定層を有
    する交換結合型巨大磁気抵抗効果素子と、 前記複数配列された交換結合型巨大磁気抵抗効果素子の
    それぞれを電気的に直列に接続し、それぞれの交換結合
    型巨大磁気抵抗効果素子において検出電流の流れる方向
    を前記磁界誘導ヨークに流れる信号磁界方向と実質的に
    平行にする連結配線と、 を備えたことを特徴とするヨークタイプ磁気抵抗効果型
    薄膜磁気ヘッド。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US7068475B2 (en) 2001-02-27 2006-06-27 Fujitsu Limited Magnetic head having a flux-guide regulating film regulating a magnetic domain of a flux guide

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