JP2000046102A - 鉄骨部材の圧着接合構造 - Google Patents

鉄骨部材の圧着接合構造

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JP2000046102A
JP2000046102A JP10217955A JP21795598A JP2000046102A JP 2000046102 A JP2000046102 A JP 2000046102A JP 10217955 A JP10217955 A JP 10217955A JP 21795598 A JP21795598 A JP 21795598A JP 2000046102 A JP2000046102 A JP 2000046102A
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plates
pressure
friction material
steel
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Yasuhiko Takahashi
泰彦 高橋
Yasumasa Suzui
康正 鈴井
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Obayashi Corp
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Obayashi Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 2つの鉄骨部材の圧着構造を工夫することに
より、振動入力時にこの圧着部分に発生する摩擦抵抗力
を最適状態として、接合した部材間の制振機能を大幅に
向上する。 【解決手段】 一対の外板10,12と、外板10,1
2間に挟み込まれる中板14とを備える。外板10,1
2および中板14は、建物架構にあって、互いに接合さ
れる鉄骨部材の一方および他方からそれぞれ一体に突設
される。外板10,12および中板14を互いに重合し
て、それぞれの間に複合摩擦材料で形成した摩擦材16
を介在する。外板10,12の外側間に油圧キャリパ1
8を設ける。キャリパ本体20の一端側に油圧シリンダ
ー22が組み込まれ、油圧シリンダー22のピストン2
4を一方の外板10に当接するとともに、キャリパ本体
20の他端側を他方の外板12に当接する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建物架構を構成す
る各鉄骨部材を結合する接合部に適用して、地震や強風
等により発生する建物架構の振動を該接合部で吸収する
ことにより効果的に制振し得るようにした鉄骨部材の圧
着接合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】鉄骨柱や鉄骨梁を互いに結合して構成さ
れる建物架構は、一般に多層階ビルディングに適用さ
れ、この鉄骨構造の建物架構ではブレースが地震や風等
の水平力に対する抵抗要素として用いられる。これら鉄
骨柱や鉄骨梁およびブレースなどの鉄骨部材は、溶接や
ボルトを介して相互に接合されてラーメン架構として構
成されるが、特にボルト接合の場合には、大地震や強風
などによって過大な水平力が作用すると、剛結構造とな
るラーメン架構にあっても接合した2部材の接合部分に
ズレが生じ、このズレによって大きな摩擦抵抗力が発生
される。この摩擦抵抗力は上記水平力のエネルギーが摩
擦力に変換されたもので、この摩擦抵抗力によって上記
地震や風による振動エネルギーが消耗され、延いては、
建物架構を制振する機能として働く。
【0003】図5は上記ボルト接合部の一例を示し、互
いに接合しようとする一方の部材から一体に一対の外板
1,1aが突設されているとともに、他方の部材から一
体に中板2が突設されており、一対の外板1,1a間に
中板2を挟み込み、これら外板1,1aと中板2とをボ
ルト3で貫通してナット3a締めされる。中板2のボル
ト挿通穴は長穴4として形成され、過大な相対変位力P
が入力された場合に外板1,1aと中板2との相対移動
が許容される。この相対移動時に発生される上記摩擦抵
抗力Rは、ボルト3の軸力Nと、外板1,1aと中板2
との接触面の摩擦係数μとの積、R=μ・Nによって決
定される。尚、軸力Nはナット3aの締付け力によって
調節され、また、摩擦係数μは外板1,1aと中板2と
の接触面の表面粗さによって調節される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
ボルトを用いた接合部にあっては、ボルト3の軸力N
は、単にナット3aの締付け力により発生され、この軸
力Nが直接外板1,1a間の締付け力として作用するよ
うになっている。このため、所定の摩擦抵抗力Rを発生
させるためにはナット3aの締付け力調整が難しくな
り、また、一旦締付け力を付加した場合にあっても、外
板1,1aと中板2とが幾度と無く滑りを生ずると、双
方の滑動面が摩耗して摩擦係数μが徐々に小さくなって
しまうとともに、摩耗された分だけ上記ナット3aによ
る締付け力が減少し、延いては、ボルト3の軸力Nが小
さくなってしまう。このことにより、予め設定した摩擦
抵抗力R(=μ・N)が、μとNとの双方の減少により
大きく変動して、当初の制振効果が得られなくなってし
まう課題があった。
【0005】ここで、上述したボルト接合部は、2つの
鉄骨部材の接合部をナットの締付け力で圧着するもので
あり、このように圧着により2つの鉄骨部材を接合でき
る点を考慮すると、ボルトを介することなく2部材を互
いに圧着することによっても接合することができる。
【0006】そこで、本発明は2つの鉄骨部材をボルト
を用いることなく圧着することにより接合できることに
着目し、この圧着構造を工夫することにより、振動入力
時にこの圧着部分に発生する摩擦抵抗力を最適状態とし
て、接合した部材間の制振機能を大幅に向上することが
できる鉄骨部材の圧着接合構造を提供することを目的と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに本発明の請求項1に示す鉄骨部材の圧着接合構造に
あっては、2つの鉄骨部材を互いに接合する構造にあっ
て、一方の鉄骨部材から突設した第1圧着板と、他方の
鉄骨部材から突設した第2圧着板とを互いに重合すると
ともに、これら第1圧着板と第2圧着板との重合部分間
に複合摩擦材料で形成される摩擦材を介在し、かつ、第
1,第2圧着板の重合部分の外側間に、これら両圧着板
を互いに圧接する方向に押圧力を付加する加圧機構を設
ける。
【0008】また、本発明の請求項2に示す鉄骨部材の
圧着接合構造にあっては、上記摩擦材を、熱硬化型樹脂
を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン
繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料
と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリ
ュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成す
る。
【0009】更に、本発明の請求項3に示す鉄骨部材の
圧着接合構造にあっては、上記第1圧着板を加圧機構の
押圧力作用方向に対峙する複数枚の外板で形成するとと
もに、上記第2圧着板を上記複数枚の外板間にそれぞれ
挟み込まれる中板で形成し、各外板と各中板との間にそ
れぞれ上記摩擦材を介在するとともに、複数枚の外板の
うち最外側に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を
作用させる。
【0010】更にまた、本発明の請求項4に示す鉄骨部
材の圧着接合構造にあっては、上記加圧機構を、第1圧
着板と第2圧着板との重合部分の外側間に跨って配置さ
れ、かつ、一定圧に保持される液圧によって押圧力を発
生するキャリパで構成する。以上の構成により本発明の
鉄骨部材の圧着接合構造の作用を以下述べると、請求項
1では、一方の鉄骨部材から突設した第1圧着板と、他
方の鉄骨部材から突設した第2圧着板とが摩擦材を介し
て互いに重合されており、この重合部分には加圧機構の
押圧力が付加されるので、この押圧力によって上記重合
部分が圧着されることにより2つの鉄骨部材が接合され
る。この状態で地震や風により2つの鉄骨部材間に振動
変位力が入力され、この変位力が所定値以上になると上
記第1圧着板と上記第2圧着板とは相対移動し、上記摩
擦材との間で大きな摩擦抵抗力が発生される。この摩擦
抵抗力は上記加圧機構による押圧力と、第1,第2圧着
板と摩擦材との間の摩擦係数との積によって決定され、
この摩擦抵抗力によって上記2つの鉄骨部材間を制振す
ることができる。
【0011】ここで、上記第1圧着板と上記第2圧着板
との間には、複合摩擦材料で形成される上記摩擦材が介
在されるので、これら第1,第2圧着板は直接接触する
ことがなく、それぞれが摩擦材と接触されることにな
る。このため、2つの鉄骨部材が相対移動する際の滑動
部分の摩擦係数を安定させて、常時ほぼ一定した摩擦抵
抗力を発生させることができる。
【0012】また、請求項2では、上記摩擦材を、熱硬
化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,
ビニロン繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの
繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、
硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で
形成したので、該摩擦材が一定の摩擦係数を有する摩耗
の著しく少ない部材として形成される。従って、第1圧
着板と第2圧着板とが相対移動した際にも、これら第
1,第2圧着板と摩擦材との間の摩擦係数は常時ほぼ一
定に維持され、かつ、滑動部分の摩耗がほとんどないた
め加圧機構の押圧力もほぼ一定に維持される。
【0013】このため、上記第1,第2圧着板間の相対
移動部分に発生する、摩擦係数と加圧機構の押圧力との
積として得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持すること
ができる。従って、2つの部材間の減衰力特性が安定化
され、延いては、当初設定した制振機能を長期に亘って
維持することができる。
【0014】更に、請求項3では、上記第1圧着板を加
圧機構の押圧力作用方向に対峙する複数枚の外板で形成
するとともに、上記第2圧着板を上記複数枚の外板間に
それぞれ挟み込まれる中板で形成し、各外板と各中板と
の間にそれぞれ上記摩擦材を介在するとともに、複数枚
の外板のうち最外側に位置する外板間に上記加圧機構の
押圧力を作用させたので、外板と中板との相対移動時の
摩擦力発生箇所を増加して、小さな押圧力によってもよ
り大きな摩擦抵抗力を発生させることができる。そし
て、2つの鉄骨部材間に相対変位力が入力された際に、
複数枚の外板間にそれぞれ中板が挟まれた状態で相対移
動し、加圧機構による押圧力が作用した状態で外板と中
板とが滑動する際に、こじれを生ずることなくスムーズ
に相対移動する。
【0015】更にまた、請求項4では、上記加圧機構
を、第1圧着板と第2圧着板との重合部分の外側間に跨
って配置され、かつ、一定圧に保持される液圧によって
押圧力を発生するキャリパで構成したので、押圧力を発
生させたときにキャリパが第1,第2圧着板の積層方向
に移動して、これら第1,第2圧着板の重合部分の外側
間に等しい押圧力を作用させることができる。このと
き、押圧力は一定圧に保持される液圧によって発生され
るため、摩擦材と第1圧着板または第2圧着板との間の
摺動部分が摩耗した場合にも、一定の押圧力を常時作用
させることができ、延いては、これによって発生する摩
擦抵抗力が一定となって、接合した2つの鉄骨部材間の
減衰力特性が安定化され、延いては、当初の制振能力を
長期に亘って維持することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を添付図
面を参照しつつ詳細に説明する。図1から図3は本発明
にかかる鉄骨部材の圧着接合構造の一実施形態を示し、
図1は要部の側面図、図2は要部の平面図、図3は図1
中A−A線からの断面図である。
【0017】即ち、本発明の制振構造が適用される接合
部は、図1に示すように第1圧着板としての一対の外板
10,12と、該一対の外板10,12間に挟み込まれ
る第2圧着板としての中板14とを備える。上記外板1
0,12および上記中板14は、建物架構にあって互い
に接合される鉄骨部材の一方および他方からそれぞれ一
体に突設される。
【0018】上記鉄骨部材としては鉄骨柱や鉄骨梁、更
にはブレースなどがあり、垂直配置される鉄骨柱と水平
配置される鉄骨梁とを、六面体の各辺を構成するように
互いに接合して建物架構が構成される。上記ブレースは
傾斜部分を備え、互いに隣設される鉄骨柱と鉄骨梁との
間、または対向する上下鉄骨梁間に跨って接合される。
【0019】そして、本発明の接合構造を上記鉄骨柱と
鉄骨梁との接合部分に適用する場合には、鉄骨柱の梁接
続部分に鉄骨梁と同じ型鋼材を短尺に切断したブラケッ
ト材を溶接して一体化し、このブラケット材に上記鉄骨
梁の接続端部を結合させるようにする。即ち、鉄骨梁と
してH型鋼を用いた場合は、鉄骨柱の側面にこのH型鋼
を短尺に切断したブラケット材を溶接して突設し、上記
鉄骨梁の接続端を上記ブラケット材の先端に突き合せ
て、これら鉄骨梁とブラケット材の互いに対応される上
方フランジ部および下方フランジ部の各部に両部材間に
跨ってその両面に外板10,12を配置し、これら外板
10,12により上記上下フランジ部の両部材を挟圧す
ることにより、上記鉄骨梁と上記ブラケット材つまり鉄
骨柱とを結合する。より具体的には、ブラケット材の上
下フランジ部にそれぞれ上記外板10,12を溶接(高
力ボルト接合でも可)して突設し、鉄骨梁の上下フラン
ジ部を上記中板14として用いる。あるいは、その取り
合い関係を逆にして、鉄骨梁のフランジ部に外板10,
12を溶接などで一体的に固定し、ブラケット材のフラ
ンジ部を中板14とすることもできる。
【0020】また、本発明の接合構造を上記ブレースに
適用する場合には、鉄骨柱及び鉄骨梁に一体的に固設す
るブレース取り付け用のブラケットとブレースとの間に
跨らせて上記外板10,12を配置する。あるいは、ブ
レースの途中を分断し、その分断した両部材の端部間に
跨らせて上記外板10,12を配置する。また、このブ
レースの場合も、外板10,12を跨らせるいずれか一
方の部材側を中板14としてこれを上記外板10,12
で挟み込んで挟圧支持し、他方の部材側に外板10,1
2を溶接や高力ボルト接合などにより一体化させる。
【0021】ところで、上記外板10,12および上記
中板14は互いに重合され、この状態で一対の外板1
0,12と中板14の両面との間に、複合摩擦材料で形
成される摩擦材16がそれぞれ介在される。この摩擦材
16は、熱硬化型樹脂を結合材として、アラミド繊維,
ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンファイバー,アス
ベストなどの繊維材料と、カシューダスト,鉛などの摩
擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填剤とからなる複
合摩擦材料で形成される。上記熱硬化型樹脂としては、
フェノール樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミ
ド樹脂,DFK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,
キシレン樹脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹
脂,不飽和ポリエステル樹脂などがある。
【0022】上記摩擦材16は上記外板10,12およ
び中板14両者に当接するが、本実施形態では中板14
の両面を適切に磨き仕上げして円滑面14aとし、この
円滑面14aに上記摩擦材16を摺接させることによ
り、中板14と摩擦材16との間で所定の摩擦係数μを
もって滑動するようになっている。
【0023】上記一対の外板10,12の外側には加圧
機構としての油圧キャリパ18が設けられ、この油圧キ
ャリパ18によって外板10,12と中板14との重合
部分に、これらを互いに圧接する方向に押圧力を付加す
るようになっている。この油圧キャリパ18は図3に示
すように外板10,12に跨って配置されるコ字状のキ
ャリパ本体20を備え、このキャリパ本体20の一端側
(図中上側)には油圧シリンダー22が一体に組み込ま
れている。そして、該油圧シリンダー22のピストン2
4は一方の外板10に当接されるとともに、キャリパ本
体20の他端側(図中下側)は他方の外板12に当接さ
れる。
【0024】上記油圧シリンダー22のシリンダー室2
6には、タンク28内に溜められた油圧が供給されるよ
うになっており、この供給される油圧は調圧弁30によ
って一定圧に調圧されている。尚、タンク28には油圧
ポンプ32から油圧が補充されるとともに、シリンダー
室26への油圧供給路には油圧変動を吸収するアキュム
レータ34が設けられる。
【0025】以上の構成により本実施形態の鉄骨部材の
圧着接合構造にあっては、一対の外板10,12間に中
板14を挟み込んで、それぞれの間に摩擦材16が介在
されており、この状態で油圧キャリパ18のシリンダー
室26に油圧を導入すると、ピストン24は一方の外板
10に押圧力Nを作用させる。この押圧力Nはキャリパ
本体20が浮動状態であるため、反作用により図中上下
方向に移動して他方の外板12に等しい押圧力Nが作用
する。このときの押圧力Nによって外板10,12と中
板14とは摩擦材16を介して互いに圧着され、このと
きの圧着力により外板10,12と中板14、延いて
は、接続しようとする2つの鉄骨部材を接合することが
できる。
【0026】そして、このように接合された2つの鉄骨
部材は、地震や風などの外力によって建物架構が振動す
る際に、この振動による変位力が所定値を超えると、外
板10,12と中板14とは中板14両面の円滑面14
aと上記摩擦材16との滑動を伴って相対移動する。こ
のとき、中板14と摩擦材16との間は油圧キャリパ1
8の押圧力Nによって圧着されているため、これら両者
間に所定の摩擦係数μが作用しており、これら中板14
と摩擦材16とが滑動される際に、押圧力Nと摩擦係数
μとの積として得られる摩擦抵抗力Rが発生する。この
摩擦抵抗力Rによって上記接合された2つの鉄骨部材間
が振動減衰され、延いては、建物架構を制振することが
できる。
【0027】このとき、上記摩擦材16は、フェノール
樹脂,メラミン樹脂,フラン樹脂,ポリイミド樹脂,D
FK樹脂,グアナミン樹脂,エポキシ樹脂,キシレン樹
脂,シリコーン樹脂,ジアリルフタレーン樹脂,不飽和
ポリエステル樹脂などの熱硬化型樹脂を結合材として、
アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カーボンフ
ァイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシューダス
ト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなどの充填
剤とからなる複合摩擦材料で形成されるので、該摩擦材
16は硬度が高く、かつ、強度に富む材質となって、一
定の摩擦係数を有する摩耗の著しく少ない部材として形
成することができる。
【0028】従って、外板10,12と中板14とが相
対移動された際にも、異音の発生が抑制されて円滑にす
べり、中板14と摩擦材16との間の摩擦係数μは常時
ほぼ一定に維持され、かつ、滑動部分の摩耗がほとんど
ないため油圧キャリパ18による押圧力Nもほぼ一定に
維持される。更に、該油圧キャリパ18の作動油圧は調
圧弁30によって一定圧に保持されるため、摩擦材16
と外板10,12および中板14との間の滑動部分が摩
耗した場合にも、常時一定した押圧力Nを外板10,1
2間に作用させることができ、これによって発生する摩
擦抵抗力が一定となって接合した2つの鉄骨部材間の減
衰力特性が安定化され、延いては、当初の制振能力を長
期に亘って維持することができる。
【0029】また、本実施形態では第1圧着板を上記一
対の外板10,12で形成するとともに、第2圧着板を
これら外板10,12間に挟まれる上記中板14で形成
し、油圧キャリパ18の押圧力Nを上記外板10,12
の外側間に作用させたので、該油圧キャリパ18の押圧
力Nが作用した状態で外板10,12と中板14が滑動
する際に、キャリパ本体20が傾斜されるなどしてこじ
れを生ずることなく、スムーズに相対移動させることが
できる。
【0030】ところで、本実施形態では中板14の両面
を円滑面14aとして、これに摩擦材16を摺接させた
が、このように円滑面14aを形成することなく、表面
が滑らかなステンレス板などの図外の滑動板を取り付け
て、この滑動板と上記摩擦材16との間で滑動させても
良い。また、摩擦材16と中板14との間で滑動させる
ようにした場合を開示したが、これに限ることなく摩擦
材16と外板10,12との間、若しくは、これら摩擦
材16と中板14との間および摩擦材16と外板10,
12との間の両方で滑動させることもできる。更に、加
圧機構として液圧により押圧力Nを発生する油圧キャリ
パ18を用いた場合を開示したが、これに限ることなく
機械的手段、例えばジャッキを用いて押圧力Nを発生さ
せることもできる。
【0031】ところで、上記実施形態では一対の外板1
0,12間に1枚の中板14を挟み込んだ構造を示した
が、これに限ることなく図4に示すように3枚以上(こ
の実施形態では4枚)の外板30,30a,30b,3
0cを用い、これら外板30,30a,30b,30c
間にそれぞれ中板32,32a,32bを挟み込むよう
にして積層することもできる。勿論、それぞれの外板3
0,30a,30b,30cと中板32,32a,32
bとの間に摩擦材16が介在されるとともに、積層され
た最外側の外板30,30c間に図外の油圧キャリパな
どの加圧機構の押圧力が付加される。
【0032】従って、この図4に示した実施形態では上
記実施形態と同様の機能を発揮できるのは勿論のこと、
外板30,30a,30b,30cと中板32,32
a,32bとの相対移動時の摩擦力発生箇所が増加され
るため、小さな押圧力Nによってもより大きな摩擦抵抗
力Rを発生させることができる。このため、加圧機構の
小型化を図りつつ、必要な制振効果を十分に得ることが
できる。
【0033】
【発明の効果】以上説明したように本発明の請求項1に
示す鉄骨部材の圧着接合構造にあっては、一方の鉄骨部
材から突設した第1圧着板と、他方の鉄骨部材から突設
した第2圧着板とを摩擦材を介して互いに重合し、この
重合部分の外側間に、これら両圧着板を互いに圧接する
方向に押圧力を付加する加圧機構を設け、この押圧力に
よって第1,第2圧着板を圧着することにより2つの鉄
骨部材を接合するようにしたので、地震や風により2つ
の鉄骨部材間に入力される振動変位力が所定値以上にな
ると、上記第1圧着板と上記第2圧着板とが相対移動し
て上記摩擦材との間に、上記加圧機構による押圧力と、
第1,第2圧着板と摩擦材との間の摩擦係数との積によ
って決定される摩擦抵抗力が発生され、上記2つの鉄骨
部材間を制振することができる。
【0034】ここで、上記第1圧着板と上記第2圧着板
との間には、複合摩擦材料で形成される上記摩擦材が介
在されるので、これら第1,第2圧着板は直接接触する
ことがなく、それぞれが摩擦材と接触されることにな
る。このため、2つの鉄骨部材が相対移動する際の滑動
部分の摩擦係数を安定させて、常時ほぼ一定した摩擦抵
抗力を発生させることができ、延いては、安定した制振
機能を発揮することができる。
【0035】また、本発明の請求項2に示す鉄骨部材の
圧着接合構造にあっては、上記摩擦材を、熱硬化型樹脂
を結合材として、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン
繊維,カーボンファイバー,アスベストなどの繊維材料
と、カシューダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリ
ュームなどの充填剤とからなる複合摩擦材料で形成した
ので、該摩擦材が一定の摩擦係数を有する摩耗の著しく
少ない部材として形成される。従って、第1圧着板と第
2圧着板とが相対移動した際にも、これら第1,第2圧
着板と摩擦材との間の摩擦係数は常時ほぼ一定に維持さ
れ、かつ、滑動部分の摩耗がほとんどないため加圧機構
の押圧力もほぼ一定に維持される。
【0036】このため、上記第1,第2圧着板間の相対
移動部分に発生する、摩擦係数と加圧機構の押圧力との
積として得られる摩擦抵抗力をほぼ一定に維持すること
ができる。従って、2つの部材間の減衰力特性が安定化
され、延いては、当初設定した制振機能を長期に亘って
維持することができる。
【0037】更に、本発明の請求項3に示す鉄骨部材の
圧着接合構造にあっては、上記第1圧着板を加圧機構の
押圧力作用方向に対峙する複数枚の外板で形成するとと
もに、上記第2圧着板を上記複数枚の外板間にそれぞれ
挟み込まれる中板で形成し、各外板と各中板との間にそ
れぞれ上記摩擦材を介在するとともに、複数枚の外板の
うち最外側に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を
作用させたので、外板と中板との相対移動時の摩擦力発
生箇所を増加して、小さな押圧力によってもより大きな
摩擦抵抗力を発生させることができ、加圧機構の小型化
を図りつつ、必要な制振効果を十分に得ることができ
る。
【0038】また、最外側に位置する外板間に上記加圧
機構の押圧力を作用させたので、2つの鉄骨部材間に相
対変位力が入力された際に、複数枚の外板間にそれぞれ
中板が挟まれた状態で相対移動し、加圧機構による押圧
力が作用した状態で外板と中板とが滑動する際に、こじ
れを生ずることなくスムーズに相対移動させることがで
きる。
【0039】更にまた、本発明の請求項4に示す鉄骨部
材の圧着接合構造にあっては、上記加圧機構を、第1圧
着板と第2圧着板との重合部分の外側間に跨って配置さ
れ、かつ、一定圧に保持される液圧によって押圧力を発
生するキャリパで構成したので、押圧力を発生させたと
きにキャリパが第1,第2圧着板の積層方向に移動し
て、これら第1,第2圧着板の重合部分の外側間に等し
い押圧力を作用させることができる。このとき、押圧力
は一定圧に保持される液圧によって発生されるため、摩
擦材と第1圧着板または第2圧着板との間の摺動部分が
摩耗した場合にも、一定の押圧力を常時作用させること
ができ、延いては、これによって発生する摩擦抵抗力が
一定となって、接合した2つの鉄骨部材間の減衰力特性
が安定化され、延いては、当初の制振能力を長期に亘っ
て維持することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す要部の側面図であ
る。
【図2】本発明の一実施形態を示す要部の平面図であ
る。
【図3】本発明の一実施形態を示す図1中A−A線から
の断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態を示す要部の側面図であ
る。
【図5】従来の鉄骨部材の接合構造を示す要部の断面図
である。
【符号の説明】
10,12,30,30a,30b,30c 外板(第
1圧着板) 14,32,32a,32b 中板(第2圧着板) 16 摩擦材 18 油圧キャリパ(加圧機構)

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2つの鉄骨部材を互いに接合する構造に
    あって、一方の鉄骨部材から突設した第1圧着板と、他
    方の鉄骨部材から突設した第2圧着板とを互いに重合す
    るとともに、これら第1圧着板と第2圧着板との重合部
    分間に複合摩擦材料で形成される摩擦材を介在し、か
    つ、第1,第2圧着板の重合部分の外側間に、これら両
    圧着板を互いに圧接する方向に押圧力を付加する加圧機
    構を設けたことを特徴とする鉄骨部材の圧着接合構造。
  2. 【請求項2】 上記摩擦材は、熱硬化型樹脂を結合材と
    して、アラミド繊維,ガラス繊維,ビニロン繊維,カー
    ボンファイバー,アスベストなどの繊維材料と、カシュ
    ーダスト,鉛などの摩擦調整材と、硫酸バリュームなど
    の充填剤とからなる複合摩擦材料で形成することを特徴
    とする請求項1に記載の鉄骨部材の圧着接合構造。
  3. 【請求項3】 上記第1圧着板を加圧機構の押圧力作用
    方向に対峙する複数枚の外板で形成するとともに、上記
    第2圧着板を上記複数枚の外板間にそれぞれ挟み込まれ
    る中板で形成し、各外板と各中板との間にそれぞれ上記
    摩擦材を介在するとともに、複数枚の外板のうち最外側
    に位置する外板間に上記加圧機構の押圧力を作用させる
    ことを特徴とする請求項1に記載の鉄骨部材の圧着接合
    構造。
  4. 【請求項4】 上記加圧機構は、第1圧着板と第2圧着
    板との重合部分の外側間に跨って配置され、かつ、一定
    圧に保持される液圧によって押圧力を発生するキャリパ
    で構成したことを特徴とする請求項1または3に記載の
    鉄骨部材の圧着接合構造。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002276732A (ja) * 2001-03-14 2002-09-25 Starlite Co Ltd 制震ダンパー
CN111828450A (zh) * 2020-07-21 2020-10-27 福州福田工艺品有限公司 正方形框板定位成型装置

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JP2002276732A (ja) * 2001-03-14 2002-09-25 Starlite Co Ltd 制震ダンパー
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