JP2000045207A - 空気浄化機能を備えた道路 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 場所を取らず、美観を損なうことなく汚染空
気を浄化できる空気浄化機能を備えた道路を提供するこ
と。 【解決手段】 道路１２は、表面が二酸化チタン層２０
により覆われている。道路１２には排水性舗装が施され
ており、降雨時に、雨水が表層１８を通過し基層１６の
上に沿って流れ、排出される。表層１８は、無数の小粒
径骨材１８０２がコンクリート層１８０４の表面全域か
ら突出している。二酸化チタン層２０は、二酸化チタン
と、セメントと、充填材と、水とを混合した混合物を前
記表層１８の表面全域に薄く吹き付けることにより形成
され、透水性を有している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は空気浄化機能を備え
た道路に関する。

【０００２】

【従来の技術】車から排出される排気ガスは、窒素酸化
物（ＮＯ_X）等の汚染物質を多量に含んでおり、大気を
汚染している。地球環境の保護が叫ばれている今日、こ
のような汚染空気はなるべく浄化されるべきである。従
来、触媒式の空気浄化装置は知られている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、空気汚
染が激しい箇所に、上述した触媒式の空気浄化装置を単
に設置するのでは、スペース的にも美観的にも問題が生
じ、実現することが難しい。一方、大気を汚染する車は
道路上を走行するので、汚染空気の拡散を防止する点か
らも汚染空気を道路上で浄化することができれば望まし
い。近年、常温の下でも光を受けることで光触媒反応を
起こす二酸化チタン（ＴｉＯ₂）が注目されている。こ
の二酸化チタンによれば、光を受けることで光触媒反応
を起こし、窒素酸化物等の汚染物質が光触媒反応により
変化されて保持され、この保持された物質は、水洗いに
より除去されることが知られている。本発明は上述の道
路及び二酸化チタンに着目して案出されたものであっ
て、本発明の目的は、場所を取らず、美観を損なうこと
なく汚染空気を浄化できる空気浄化機能を備えた道路を
提供することにある。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明は、排水性舗装が施された道路において、二酸化
チタンと、この二酸化チタンを保持する保持材からなる
二酸化チタン層が、固定材により前記道路の表面に固定
され、前記道路の表面が二酸化チタン層により覆われて
いることを特徴とする。また、本発明は、前記二酸化チ
タン層が透水性を有することを特徴とする。また、本発
明は、前記二酸化チタン層が、二酸化チタンと、セメン
トと、充填材と、水とが混合して構成され、前記保持材
と固定材は前記セメントにより構成されることを特徴と
する請求項１または２記載の空気浄化機能を備えた道
路。また、本発明は、前記二酸化チタン層が、二酸化チ
タンと無機系塗料とが混合して構成され、前記保持材と
固定材は前記塗料により構成されることを特徴とする。
また、本発明は、前記二酸化チタン層が、二酸化チタン
とフッ素樹脂とが混合さシート状に圧延されることで構
成され、前記保持材と固定材はフッ素樹脂により構成さ
れることを特徴とする。

【０００５】本発明では、日中、二酸化チタン層が太陽
光を受けると、二酸化チタンが光触媒反応を起こし、光
触媒反応により汚染空気が浄化される。また、二酸化チ
タン層で保持された汚染物質は、降雨時に雨により二酸
化チタン層から洗い流され、二酸化チタン層は再び光触
媒反応がより活発になされる状態となる。したがって、
既設の排水性舗装の表面に単に二酸化チタン層を設ける
ことで、スペース的にも美観的にも問題を生じることな
く、汚染空気が拡散される前に道路の表面により汚染空
気が浄化される。しかも、道路の表面は元々広大な表面
積を有し、排水性舗装の表面には無数の微細な凹凸が形
成されているので、二酸化チタン層の表面積が飛躍的に
増大し、二酸化チタン層による汚染空気の浄化が効果的
になされる。そして、車の走行により二酸化チタン層が
摩耗してきても、排水性舗装の表面には無数の微細な凹
凸が形成されているので、これらの凹部に二酸化チタン
層が残存し、二酸化チタン層の摩耗を低減する上でも有
利となる。

【０００６】

【発明の実施の形態】次に本発明の実施の形態について
説明する。図１は空気浄化機能を備えた道路の要部断面
図を示す。実施の形態に係る空気浄化機能を備えた道路
１２は、表面が二酸化チタン層２０により覆われてい
る。道路１２は排水性舗装が施された道路であり、騒音
低減効果を有している。すなわち、路盤１４の上に基層
１６が設けられ、基層１６の上に表層１８が設けられ、
表層１８は透水性を有し、降雨時に、雨水が表層１８を
通過し基層１６の上に沿って流れ、排出されるように構
成されている。表層１８は、無数の小粒径骨材１８０２
がコンクリート層１８０４の表面全域から突出してお
り、小粒径骨材１８０２の粒径は最大で４〜８ｍｍ程度
であり、これにより表層１８の表面には無数の凹凸が形
成されていることになる。

【０００７】前記二酸化チタン層２０は、二酸化チタン
（ＴｉＯ₂）と、この二酸化チタンを保持する保持材か
らなり、固定材を介して表層１８の表面に設けられてい
る。二酸化チタン層２０は、本実施の形態では、二酸化
チタンと、セメントと、充填材と、水とを混合した混合
物を前記表層１８の表面全域に薄く吹き付けることによ
り形成され、したがって、セメントが保持材と固定材に
相当しており、二酸化チタン層２０は透水性を有してい
る。充填材は、容積を増すために用いられるもので、実
施例では砂が用いられている。充填材としては、砂の他
に、ガラス粒子やセラミックス粒子等を用いることがで
きる。二酸化チタンと、セメントと、充填材との混合比
は、例えば、重量比で１：３：２とすることができる。
このような混合物を表層１８の表面に薄く吹き付けるこ
とで、表層１８の表面は、無数の小粒径骨材１８０２か
ら形成され無数の凹凸に追従した凹凸に形成され、更
に、この凹凸には前記混合物の吹き付け跡からなる無数
の凹凸が加えられることになる。なお、混合物の中に活
性炭等の吸着剤を混入させ、汚染物質の吸着作用を高め
る等、任意である。

【０００８】このような構成からなる道路１２は、日
中、二酸化チタン層２０が太陽光を受けると、二酸化チ
タンが光触媒反応を起こし、従って、汚染空気の汚染物
質のうち、例えば、一酸化窒素や二酸化窒素等の窒素酸
化物が光触媒反応により最終的に硝酸に変化し、硝酸と
して二酸化チタン層２０上で保持され、これにより汚染
空気が浄化される。また、二酸化チタン層２０で保持さ
れた硝酸等の汚染物質は、降雨時に雨により二酸化チタ
ン層２０から洗い流されて除去される。これにより、二
酸化チタン層２０では再び光触媒反応がより活発になさ
れる状態となる。

【０００９】本実施の形態によれば、既設の排水性舗装
の表面に、単に二酸化チタンが混合された混合物を吹き
付けることで、スペース的にも美観的にも問題を生じる
ことなく、また、排水性機能や騒音低減機能を損なうこ
となく、汚染空気が拡散される前に道路の表面により汚
染空気が浄化される。そして、道路の表面は元々広大な
表面積を有し、また、小粒径骨材１８０２からなる無数
の凹凸が形成された表層１８の表面に混合物を吹きつけ
るため二酸化チタン層２０も凹凸に形成され、更に、こ
の凹凸に混合物の吹き付け跡からなる無数の凹凸が加え
られることから、大気と接触する二酸化チタン層２０の
面積が大幅に拡大され、二酸化チタン層２０による汚染
空気の浄化が効果的になされる。そして、車の走行によ
り二酸化チタン層２０が摩耗してきても、表層１８の表
面は無数の小粒径骨材１８０２からなる無数の凹凸が形
成されているので、これら小粒径骨材１８０２の間の凹
部に二酸化チタン層２０が残存し、二酸化チタン層２０
の摩耗を低減する上でも有利となる。

【００１０】なお、二酸化チタン層２０を道路の表面に
形成する方法は任意である。例えば、二酸化チタンを無
機系塗料に混合し、この混合された液を道路の表面に塗
布したり、あるいは、吹き付けることで構成するように
してもよく、この場合には、塗料が前記保持材と固定材
に相当することにある。また、二酸化チタンをフッ素樹
脂に混合してシート状に圧延し、このシート状に圧延さ
れたものを道路に圧着するようにしてもよく、この場合
には、フッソ樹脂が前記保持材と固定材に相当すること
になる。

【００１１】

【発明の効果】以上の説明で明らかなように本発明は、
排水性舗装が施された道路において、二酸化チタンと、
この二酸化チタンを保持する保持材からなる二酸化チタ
ン層が、固定材により前記道路の表面に固定され、前記
道路の表面が二酸化チタン層により覆われている構成と
した。そのため、場所を取らず、美観を損なうことなく
道路上において汚染空気を浄化することが可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】空気浄化機能を備えた道路の要部断面図であ
る。

【符号の説明】

１２ 道路 １４ 路盤 １６ 基層 １８ 表層 ２０ 二酸化チタン層

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 592049531 フジタ道路株式会社 東京都中央区日本橋３丁目15番８号 (72)発明者 野々山 登 東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目６番15号 株 式会社フジタ内 (72)発明者 古賀 博巳 三重県四日市市石原町１番地 石原産業株 式会社内 Ｆターム(参考） 2D051 AA02 AA05 AF02 AF11 AF17 EA01

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 排水性舗装が施された道路において、 二酸化チタンと、この二酸化チタンを保持する保持材か
   らなる二酸化チタン層が、固定材により前記道路の表面
   に固定され、前記道路の表面が二酸化チタン層により覆
   われている、 ことを特徴とする空気浄化機能を備えた道路。
2. 【請求項２】 前記二酸化チタン層は透水性を有するこ
   とを特徴とする請求項１記載の空気浄化機能を備えた道
   路。
3. 【請求項３】 前記二酸化チタン層は、二酸化チタン
   と、セメントと、充填材と、水とが混合して構成され、
   前記保持材と固定材は前記セメントにより構成されるこ
   とを特徴とする請求項１または２記載の空気浄化機能を
   備えた道路。
4. 【請求項４】 前記二酸化チタン層は、二酸化チタンが
   無機系塗料に混合して構成され、前記保持材と固定材は
   前記塗料により構成されることを特徴とする請求項１ま
   たは２記載の空気浄化機能を備えた道路。
5. 【請求項５】 前記二酸化チタン層は、二酸化チタンが
   フッ素樹脂に混合さシート状に圧延されることで構成さ
   れ、前記保持材と固定材はフッ素樹脂により構成される
   ことを特徴とする請求項１または２記載の空気浄化機能
   を備えた道路。