JP2000044713A - ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体およびその製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体およびその製造方法

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JP2000044713A
JP2000044713A JP21262498A JP21262498A JP2000044713A JP 2000044713 A JP2000044713 A JP 2000044713A JP 21262498 A JP21262498 A JP 21262498A JP 21262498 A JP21262498 A JP 21262498A JP 2000044713 A JP2000044713 A JP 2000044713A
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foam
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heat
foaming agent
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Shigeo Kamijukkoku
成夫 上拾石
Motoi Naito
基 内藤
Masaru Morie
勝 森江
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面が平滑で、かつ、圧縮特性に優れたポリ
オレフィン系樹脂架橋発泡体およびその製造方法を提供
する。 【解決手段】 電子線照射により架橋可能なポリオレフ
ィン系樹脂組成物に、沸点が130〜160℃の液状物
をポーラス構造を持つ粉体に吸着担持させた添加剤と加
熱分解型化学発泡剤とを添加した発泡性樹脂組成物を、
前記液状物の沸点近傍で、かつ加熱分解型化学発泡剤の
分解温度よりも低い温度に設定した押出機に導入して発
泡性成形体とした後、電子線を照射して架橋を施し、次
いで加熱分解型化学発泡剤の分解温度より10〜50℃
高い温度に設定した発泡装置に導入して発泡することを
特徴とする、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の製造方
法およびその方法により製造されたポリオレフィン系樹
脂架橋発泡体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は気泡径を均一に大き
く制御でき、25%圧縮硬さに優れたポリオレフィン系
樹脂架橋発泡体およびその製造方法に関する。さらに詳
しくは緩衝材、断熱折板用途を主とする建材分野、ある
いは銅管などを被覆、断熱するパイプカバー用途等の産
業資材などに使用できる成形性、耐熱性、断熱性、耐圧
縮回復性に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体およ
びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体
は耐熱性、軽量性、断熱性、緩衝性、遮音性に優れてい
ることや各種の加工法による成形が容易であることから
自動車内装用パッド材や建築用途などの断熱材、パッキ
ン、カーペットアンダレイ用途など広範囲の分野で利用
されている。
【0003】しかし、ポリオレフィン系樹脂、特にポリ
エチレン、ポリプロピレン系樹脂の架橋発泡体の気泡構
造は架橋方法により異なる。具体的には過酸化物を用い
る化学架橋法、電離性放射線照射による放射線架橋法等
があるが、前者は気泡構造が粗く(気泡径が大径)、従
って、スキン表面の荒い物となるが、圧縮特性に優れる
と言う特徴がある。一方、後者の電子線架橋法によるも
のは気泡が細かく(気泡径が小径)、非常にスキン表面
がきれいで商品としては優れるが、気泡が細かいため一
般に圧縮特性が低くなる。このため放射線架橋法のよう
にスキン表面が平滑で、かつ圧縮特性に優れる気泡の粗
大化されたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体が切望され
ている。
【0004】従来、これらの圧縮特性に影響する気泡径
の制御の試みは、フィラーの添加や気泡内に被膜を形成
させるため融点が加熱発泡剤付近にある添加物を添加し
たりすることによりなされていたが、いずれも不十分で
あった。このため、近年、特開平8−302051号公
報に記載のようにポリオレフィン系樹脂に加熱分解型化
学発泡剤を配合した発泡性樹脂組成物に加圧下で低沸点
のガスや溶媒を含浸せしめ、加熱分解型化学発泡剤が分
解しない温度でいわゆる押出し発泡成形シートを作成後
に、電子線架橋して発泡する方法も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前者の
添加剤を添加して気泡径を粗大化する方法では、気泡径
の制御には不十分である。また、粗大化には添加剤のサ
イズを大きくする必要があるが、該添加剤のサイズを大
きくすると分散不良となりやすく、従って、気泡径の不
揃いが発生するので好ましくない。一方、後者は原理的
には押出し発泡法と架橋発泡法を併用したものである
が、成形体段階で気泡を混入させるため用いる低沸点の
ガス、具体的にはブタンガスなどは引火性が強いため、
従来の製造方法で一環製造するには危険性が高いという
問題点があった。
【0006】本発明者らは、ポリオレフィン系樹脂に加
熱分解型化学発泡剤(以下、「加熱分解型発泡剤」と言
うこともある。)と沸点が130〜160℃の液状物を
特殊な粉体に吸着担持させた添加剤とを配合し、従来の
製造方法で成形体とすると成形体中に球状の微細気泡が
均一に形成していることを見出だし、この成形体に電子
線架橋を施し、加熱発泡すると気泡径が均一の状態で大
きくなることを見出だし、本発明に至った。
【0007】本発明の課題は、気泡径を大きく制御で
き、25%圧縮硬さおよび表面の平滑性に優れたポリオ
レフィン系樹脂架橋発泡体およびその製造方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明のポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の製造方
法は、電子線照射により架橋可能なポリオレフィン系樹
脂組成物に、沸点が130〜160℃の液状物をポーラ
ス構造を持つ粉体に吸着担持させた添加剤と加熱分解型
化学発泡剤とを添加した発泡性樹脂組成物を、前記液状
物の沸点近傍で、かつ加熱分解型化学発泡剤の分解温度
よりも低い温度に設定した押出機に導入して発泡性成形
体とした後、電子線を照射して架橋を施し、次いで加熱
分解型化学発泡剤の分解温度より10〜50℃高い温度
に設定した発泡装置に導入して発泡することを特徴とす
る方法からなる。
【0009】また、本発明に係るポリオレフィン系樹脂
架橋発泡体は、発泡倍率が10〜50倍、架橋度が15
〜50%、平均気泡径が0.6〜1.5mmであり、か
つ、加熱分解型化学発泡剤だけを使用し、電子線を照射
して架橋したものから得られるポリオレフィン系樹脂架
橋発泡体の25%圧縮硬さの1.2〜2倍の25%圧縮
硬さを有することを特徴とする、上記方法により製造さ
れたものからなる。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態について詳細に説明する。本発明に用いるポリオレ
フィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂を用いるこ
とができる。ポリエチレン系樹脂は、エチレン単独の重
合体またはエチレンと炭素数が4〜12のα−オレフィ
ンを共重合した共重合体を用いることができる。これら
重合体または共重合体は密度が0.915〜0.940
g/cm3 、MFRが1.0〜30g/10分であるこ
とが好ましい。エチレンとα−オレフィンとの共重合体
では共重合するα−オレフィンの種数は特に限定されな
いが、一般的にはエチレンとα−オレフィンの2元共重
合体で、好ましくは炭素数4〜8のものを共重合したも
のが価格、物性の両面から有利である。密度は、好まし
くは0.915〜0.940g/cm3 、より好ましく
は0.920〜0.935g/cm3 である。密度が
0.915g/cm3 未満であると樹脂の柔軟性が顕著
となりベタツキを生じ発泡体としたときのブロッキング
が発生したり、機械的強度が低下するので好ましくな
い。一方、密度が0.940g/cm3 を越えると機械
的強度の点では好ましいが伸びが低下したり、発泡体と
したときの圧縮回復性が低下するので好ましくない。M
FRは、好ましくは1.0〜15g/10分、より好ま
しくは2〜8g/10分である。MFRが1.0g/1
0分未満であると樹脂の溶融粘度が高くなるため発泡用
シート製造時の剪断発熱により加熱分解型化学発泡剤ま
で分解し、目的外の粗大気泡を発生しやすくなるので好
ましくない。一方、MFRが15g/10分を越えると
溶融粘度は低くなるためシート製造上は好ましいが、液
状物の蒸気圧による気体ガスを保持する能力が低下し、
結果として成形体内に形成する微細気泡の不揃いが生じ
るので好ましくない。また、本発明においてはポリエチ
レン系樹脂に、エチレン単独重合体、具体的には高圧法
低密度ポリエチレン樹脂とエチレンとα−オレフィンの
共重合体(具体的には直鎖状超低密度ポリエチレン、直
鎖状低密度ポリエチレン樹脂または高密度ポリエチレン
樹脂)とを混合して用いてもよい。
【0011】一方、ポリプロピレン系樹脂を用いる場合
は、プロピレン単独、またはプロピレンとエチレンもし
くは炭素数が4〜8のα−オレフィンが2〜15重量%
ランダムもしくはブロック共重合された共重合体を用い
ることができる。これら樹脂は、融点が125〜155
℃、MFRが0.5〜10g/10分であることが好ま
しい。ポリプロピレン系共重合体の場合、共重合するエ
チレンもしくは炭素数が4〜8のα−オレフィンの種数
には特に制限はないが、エチレン、ブテン、ヘキセン、
あるいはエチレン・ブテン、エチレン・ヘキセンなどが
挙げられる。ただし、発泡体の機械強度を維持するには
炭素数が極力大きく、かつ、3元共重合のものが好まし
い。共重合されるエチレンもしくは炭素数が4〜8のα
−オレフィンは2〜15重量%、好ましくは3〜8重量
%である。2重量%未満であると樹脂の結晶性が高くな
り、また融点も高くなるため硬い発泡体となり緩衝性が
低下するとともに低温下での耐衝撃性が悪化したり、発
泡用シート製造時の剪断発熱により加熱分解型化学発泡
剤まで分解し、目的外の粗大気泡を発生しやすくなるの
で好ましくない。一方、15重量%を越えると緩衝性、
耐衝撃性の点では好ましいが融点が低下するため耐熱性
が低下するので好ましくない。樹脂の融点は、好ましく
は125〜155℃、より好ましくは130〜145℃
である。融点が125℃未満であると耐熱性の点から用
途的に制限が発生するので好ましくなく、155℃を越
えると融点が高くなり用途的に広範囲をカバーできる点
では好ましいが、発泡用シート製造時の剪断発熱により
加熱分解型化学発泡剤まで分解し、目的外の粗大気泡を
発生しやすくなるので好ましくない。MFRは、好まし
くは0.5〜5g/10分、より好ましくは1.5〜4
g/10分である。MFRが0.5g/10分未満であ
ると樹脂の溶融粘度が高くなるため前記同様に発泡用シ
ート製造時の剪断発熱により加熱型化学発泡剤の分解が
起こりやすくなり粗大気泡を発生しやすくなるので好ま
しくない。一方、10g/10分を越えると溶融粘度は
低くなるためシート製造上では好ましいが添加剤による
発生ガスの保持力が弱くなるため微細気泡の不揃いが生
じるので好ましくなかったり、発泡体の伸びが低下した
り、真空成形など加熱成形加工時に形状の保持力が悪化
し、良好な成形品が得られにくくなるので好ましくな
い。
【0012】本発明においては、上記のポリプロピレン
系樹脂とポリエチレン系樹脂を混合して用いてもよく、
この場合はポリエチレン系樹脂10〜50重量%、好ま
しくは15〜40重量%、ポリプロピレン系樹脂50〜
90重量%、好ましくは60〜85重量%である。圧縮
特性に加え、耐熱性、低温下の耐衝撃性、加熱成形性な
どを同時に要求される分野で使用するのに好適である。
なお、ポリプロピレン系樹脂を用いる場合、電子線架橋
性を付与する必要があるが、この場合、ビニル性2重結
合を2個以上含有している反応性モノマーを、具体的に
は1・9ノナンジアクリレートやp−ジビニルゼン、ジ
ビニルビフェニルなどを樹脂100重量部に2〜5重量
部添加すればよい。
【0013】本発明において用いる加熱分解型化学発泡
剤としては、アゾ系化学発泡剤、具体的にはアゾジカル
ボンアミド、アゾジカルボン酸金属塩、N.N´−ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン、P.P´−オキシベ
ンゼンスルフォニルヒドラジド、テトラゾール系、具体
的には5−フェニルテトラゾールが例示される。
【0014】沸点が130〜160℃の液状物は、沸点
がこの範囲内の物であれば特に限定されないが、粘度が
50cps以下のシリコン系オイル、ポリエチレングリ
コール、ポリプロピレングリコールなどが例示される。
このものを直接添加すると押出機で成形体とするとき成
形体内に形成される微少気泡の径が不揃いとなり、架橋
発泡体としたときの気泡径が不均一になるので、ポーラ
スな空孔を持つ粉体、具体的には絶乾シリカゲル微粉末
やホワイトカーボンなど吸油率の高い無機系微粉体、ア
クリルや酢酸ビニルなどが共重合された塩化ビニル系共
重合体、超低密度ポリエチレンなどの重合直後の顆粒状
粉体などに吸着担持させて用いることがポイントであ
る。液状物の沸点が130℃未満であると液状物が気体
となったときの蒸気圧が高すぎて、溶融状態の樹脂中で
の微少気泡のサイズが成長し過ぎたり、あるいは成形体
の表面を荒らしたりするので好ましくなく、一方、16
0℃を越えると沸点が高くなりすぎて成形体製造時の樹
脂温度では吸着粉体からの液状物が樹脂中に流出しにく
くなり、結果的に、最終工程の加熱発泡工程で発生し、
気泡径が必要以上に大きくなり不均一な気泡状態となる
ので好ましくない。吸着量としては粉体に対し、5〜2
0%が好ましい。5%未満では成形体中の気泡径の制御
には好ましいが、粉体が大量に添加されることになり製
品物性を低下させるので好ましくなく、20%を越える
と、押出機内での溶融混練り時、液状物の気化量が多く
なりすぎて、結果的に、成形体内の気泡径が不均一にな
るので好ましくない。
【0015】本発明のポリオレフィン系樹脂架橋発泡体
は独立気泡架橋発泡体であり、発泡倍率が10〜50
倍、架橋度が15〜50%、平均気泡径が0.6〜1.
5mmである。また、加熱分解型化学発泡剤だけを使用
し、電子線を照射して架橋したものから得られるポリオ
レフィン系樹脂架橋発泡体の25%圧縮硬さの1.2〜
2倍の25%圧縮硬さを有するものである。発泡倍率は
10〜50倍である発泡倍率が10倍未満では気泡径を
大きくすると圧縮特性について優れることについては好
ましいが、発泡体用シートに電子線を照射して架橋させ
る際の電子線エネルギーディプスドーズによる発泡体用
シートの厚さ制限、最終的には製品厚さの任意性に問題
が生じる。さらに本発明では電子線が照射されるシート
が微細気泡を含んでいるため、微細気泡での電子線散乱
が予想され、従来以上に発泡体用シートの厚さ制限がで
るので、低発泡品は不利になるからである。一方、発泡
倍率が50倍を越えると、いくら気泡径を大きくしても
基本的には必要とする圧縮特性、緩衝性を満足させるに
は高発泡過ぎて結果として圧縮回復性、緩衝性が低下す
るで好ましくない。架橋度は15〜50%であるが、架
橋度が15%未満では発泡体としたとき発泡ガスを保持
する能力が不足し気泡が破れてガスが逸散し所定の発泡
倍率にならない場合があるので好ましくない。一方、架
橋度が50%を越えると発泡ガスを保持する能力の点で
は好ましいが、一般に架橋度を高くする場合は気泡を細
かくする方向であるため、微細気泡部分、すなわち気泡
粗大化の気泡核となる部分の加熱分解型発泡剤による発
泡過程での伸びが不足し、気泡が一部破れたりして、結
果として気泡分布が悪化するので好ましくない。本発明
では平均気泡径が0.6〜1.5mm、25%圧縮硬さ
は加熱分解型化学発泡剤だけを使用し、電子線を照射し
て架橋したものから得られる発泡体の1.2〜2.0倍
である。一般に、電子線架橋法による平均気泡径は、発
泡倍率や架橋度の影響をうけるが、加熱分解型化学発泡
剤だけを使用し、電子線を照射して架橋したものから得
られる平均気泡径の範囲は0.2〜0.5mm、大きく
ても0.6mmである。この範囲での25%圧縮硬さは
0.3〜1.5kg/cm2 である。本発明では平均気
泡径を0.6〜1.5mmにすることが可能で、この時
の25%圧縮硬さは加熱分解型化学発泡剤だけを使用
し、電子線を照射して架橋したものから得られる発泡体
の1.2〜2.0倍となる。従って、本発明を適用する
ことにより電子線架橋法でも気泡径を制御された状態で
大きくするとことができ、圧縮特性の向上を図ることが
できる。
【0016】また、本発明の樹脂成分には前記ポリプロ
ピレン系、ポリエチレン系樹脂以外のポリオレフィン系
樹脂を30重量%以下混入してもよい。具体的には低密
度ポリエチレン、エチレン−プロピレンゴム(EP
M)、エチレン−プロピレンゴム−ジエンゴム(EPD
M)、高密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重
合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−(メ
タ)アルキルアクリレート共重合体あるいはこれらのエ
チレンとの共重合体に第三成分として無水マレイン酸を
共重合した3元共重合体等が例示される。中でもエチレ
ン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン
ゴム−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−(メタ)ア
ルキルアクリレート共重合体あるいはこれらのエチレン
との共重合体に第三成分として無水マレイン酸を共重合
した3元共重合体ものが好ましい。混入量が30重量%
を越えると柔軟性、緩衝性の点では好ましいが、耐熱
性、機械強度、成形性が低下するので好ましくない。そ
の他、必要に応じて熱安定剤、耐候剤、難燃剤、難燃助
剤(具体的にはアンチモン化合物)、分散剤、架橋剤、
架橋助剤を添加してもよい。
【0017】電子線を照射して行う電子線架橋法は公知
の手法の適用が好ましい。
【0018】本発明による発泡方法は、公知の方法が適
用できるが、具体的には縦型熱風発泡法、横型熱風発泡
法、横型薬液発泡法などの連続シート状として製造でき
るものに限定される。
【0019】次に本発明によるポリエチレン系樹脂架橋
発泡体およびその製造方法の一態様について説明する。
【0020】高圧法低密度ポリエチレン(融点:112
℃、MFR 4.8g/10分)(A)100kg、熱
安定剤としてIrganox1010を0.3kg、加
熱分解型化学発泡剤としてアゾジカルボンアミド6.5
kg、平均粒経1.2μmのホワイトカーボンに沸点が
152℃のシリコンオイルを70%を担持させた添加剤
0.3kgを内容積450リットルのヘンシェルミキサ
ーに投入し、第一次混合し、発泡性樹脂組成物を得た。
この発泡性樹脂組成物を加熱分解型発泡剤の分解しない
温度、具体的には140〜160℃に加熱したベント付
き押出機に導入して、セットされている口金より押し出
し、ロール温度が75℃のポリシングタイプのシート成
形機にかけ厚さ3.0mm、幅が500mmの表面の平
滑な連続シート状にして巻き取った。このシートの断面
を厚さ50μmにスライスし、透過型拡大鏡(倍率:4
00倍)で観察した結果、口径が5〜10μmの微細気
泡がシートの中央から表面に掛けて気泡数が暫減する分
布で確認された。
【0021】このシートに電子線を照射し、発泡に適し
た架橋、すなわち発泡体としたときに架橋度が15〜5
0%となるように電子線を照射して架橋を付与した。こ
のシートを発泡剤の分解温度より30〜100℃高い温
度に加熱した熱媒浴上に連続的に供給して発泡させた。
このようにして得られた発泡体は厚みが6.1mm、幅
1300mm、発泡倍率が25倍、平均気泡径が0.9
3mm、25%圧縮硬さが0.86kg/cm3 の表面
の平滑な発泡体であった。
【0022】本発明は上述したように、ポリオレフィン
系樹脂に特定の沸点範囲の液状物を直接添加するのでは
なくポーラス構造を持つ粉体に担持させて添加すること
によりシート成形段階で気泡核を形成することにより、
結果的に気泡径を大きくすることが可能となり、そのた
めに表面の平滑性を失うことなく圧縮特性の優れたもの
になった。
【0023】本発明の効果の得られることについては定
かではないが、本発明者らの経験では、通常、押出工程
での加熱で成形シートに気泡を含んだものが発生する場
合があるが、この時も架橋発泡すると気泡径は大きくな
るものの、制御されたものとはほど遠く、商品価値の劣
るものであった。また、加熱分解型化学発泡剤の部分分
解で生じる気泡は樹脂部分に比べ温度が高くなるため、
樹脂の部分的な温度上昇で樹脂粘度が低下し、気泡の会
合が生じるため気泡径が不揃いになる。しかし、本発明
の場合は、特定の沸点範囲の液状物をポーラス構造の粉
体に担持させて添加するため、その蒸気圧により徐々に
担持体から液状物が溶出して、微細気泡を形成し、この
状態を保ったまま電子線架橋し、加熱発泡したことによ
り電子線架橋によっても気泡径を制御した状態で成長さ
せることが可能になったと考えられる。従来、電子線架
橋法による発泡体は化学架橋法による発泡体に対し特に
圧縮特性が劣るとされていたが、本発明による発泡体
は、表面が平滑で圧縮特性にも優れているため金属板と
張り合わせて折板加工する分野や硝子板や鋼板の運搬時
の緩衝材分野、さらにスキンの強度が極めて高く耐引っ
掻き性に優れるため自動車のトランクマット等に使用す
ることができる。また、加熱成形して機械部品ケースな
どの分野にも適応できる。
【0024】[評価方法及び評価基準]本発明における
評価方法および評価基準は次の通りである。 (1)架橋度 発泡体を細断し、0.2g精秤する。このものを130
℃のテトラリン中に浸積し、攪拌しながら3時間加熱し
溶解部分を溶解せしめ、不溶部分を取り出しアセトンで
洗浄してテトラリンを除去後、純水で洗浄しアセトンを
除去して120℃の熱風乾燥機にて水分を除去して室温
になるまで自然冷却する。このものの重量(W1 )gを
測定し、次式で架橋度を求める。 架橋度 =(0.2−W1 /0.2)×100 (%)
【0025】(2)発泡倍率 発泡体シートから10×10cmを切り出し、厚みt1
(cm)と重量W2 (g)を測定し、次式で本発明の発
泡倍率を算出する。 発泡倍率= W2 /(10×10×t1 ) (g/cm3
【0026】(3)平均気泡径 発泡体シートのシート長手方向(MD)、幅方向(T
D)に切り出した断面を20倍に拡大観察し、各方向1
cm長に存在する気泡の短径(a)、長径(b)を測定
し次式で算出した値を平均気泡径とする。 平均気泡径=Σ((a)+(b)/2)/n 平均気泡径が0.6〜1.5mmを合格とする。
【0027】(4)圧縮特性 JIS−K−6767に準じ、本発明の発泡体と添加剤
を除いて作成した発泡体の25%圧縮硬さを測定し、次
式で圧縮特性を算出する。 本発明の発泡体の25%圧縮硬さ(c) 通常発泡体25%圧縮硬さ (d) 圧縮特性= (c)/(d) 圧縮特性は1.2〜2倍を合格とする。
【0028】(5)表面平滑性 発泡体の表面にトルエンで5倍希釈したマジックインキ
を塗布し、その塗布面をガーゼで素早くふき取り、気泡
破れや表面の荒れに起因して表面に残存しているマジッ
クインキの残り具合で判定する。点状やモヤモヤ模様状
にマジックインキの残っていない物を合格とする。
【0029】(6)融点 示査走査熱量計(パーキンエルマー社製:DSCII
I)で測定した溶融吸熱スペクトルでもっとも大きなピ
ークを融点とする。
【0030】(7)MFR JIS−K−6760に準じて測定した。
【0031】(8)密度 JIS−K−6760に準じて測定した。
【0032】
【実施例】次に本発明を実施例に基づいて説明する。 実施例1 高圧法低密度ポリエチレン(融点:108℃、MFR
1.5g/10分)の粉体100kg、熱安定剤として
MarkAO30を0.5kg、DSTDPを1.0k
g、加熱分解型化学発泡剤としてアゾジカルボンアミド
8kg、平均粒経が2.1μmのシリカゲルに沸点が1
60℃のポリエチレングリコールを50%担持させた添
加剤0.7kgを内容積450リットルのヘンシェルミ
キサーに投入し、第一次混合した。この発泡性樹脂組成
物を加熱分解型化学発泡剤の分解しない温度、具体的に
は140〜160℃に加熱したベント付き押出機に導入
して、セットされているTダイから押し出し、厚さが
2.0mm、幅が500mmの連続シート状にして巻き
取った。
【0033】このシートに7Mradの電子線を照射
し、架橋せしめた。このシートを210→225→22
5℃の順に加熱したシリコーン薬液法の発泡装置に導入
し発泡し連続シート状発泡体として巻き取った。この製
品の組成、製造条件等を表1に、製品の特性を表2に示
した。
【0034】比較例1 表1に示したような成分の物を用い、架橋発泡体とし、
得られた発泡体の特性を表2に示した
【0035】
【表1】
【0036】
【表2】
【0037】このように、実施例1に示した本発明によ
る発泡体は、ポリオレフィン系樹脂に添加剤と加熱分解
型発泡剤とを添加し、その分解時期を制御することによ
り、気泡核形成と高発泡化の過程を明確に分けたため電
子線架橋法により化学架橋法並みの気泡形状で、かつ表
面が平滑で、圧縮特性に優れたポリオレフィン系樹脂架
橋発泡体を得ることができる。
【0038】一方、比較例1に示した従来の公知の方法
によるポリオレフィン系樹脂架橋発泡体は気泡形状がマ
バラであったり、電子線架橋法による気泡径の領域を脱
することができなかったり、また表面の凹凸が改善され
なかったりし、かつ、圧縮特性の劣るものであった。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のポリオレ
フィン系樹脂架橋発泡体およびその製造方法によるとき
は、表面が平滑で、圧縮特性(とくに、25%圧縮硬
さ)に優れたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体を得るこ
とができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森江 勝 滋賀県大津市園山1丁目1番1号 東レ株 式会社滋賀事業場内 Fターム(参考) 4F074 AA16 AA20 AC00 AC32 AD00 AD04 AE07 BA01 BA13 BB25 CA29 CC06X CC22X CC48 DA02 DA03 DA04 DA08 DA32 DA33

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子線照射により架橋可能なポリオレフ
    ィン系樹脂組成物に、沸点が130〜160℃の液状物
    をポーラス構造を持つ粉体に吸着担持させた添加剤と加
    熱分解型化学発泡剤とを添加した発泡性樹脂組成物を、
    前記液状物の沸点近傍で、かつ加熱分解型化学発泡剤の
    分解温度よりも低い温度に設定した押出機に導入して発
    泡性成形体とした後、電子線を照射して架橋を施し、次
    いで加熱分解型化学発泡剤の分解温度より10〜50℃
    高い温度に設定した発泡装置に導入して発泡することを
    特徴とする、ポリオレフィン系樹脂架橋発泡体の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 発泡倍率が10〜50倍、架橋度が15
    〜50%、平均気泡径が0.6〜1.5mmであり、か
    つ、加熱分解型化学発泡剤だけを使用し、電子線を照射
    して架橋したものから得られるポリオレフィン系樹脂架
    橋発泡体の25%圧縮硬さの1.2〜2倍の25%圧縮
    硬さを有することを特徴とする、請求項1の方法により
    製造されたポリオレフィン系樹脂架橋発泡体。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016069082A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 大日本印刷株式会社 包装容器
JP2016069080A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 大日本印刷株式会社 包装容器
JP2016069081A (ja) * 2014-09-30 2016-05-09 大日本印刷株式会社 包装容器
KR101851234B1 (ko) 2016-01-05 2018-04-24 넥쌍 미세발포성 나노복합체 및 이의 제조방법

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