JP2000044513A - 新規ビニルベンゼン誘導体 - Google Patents

新規ビニルベンゼン誘導体

Info

Publication number
JP2000044513A
JP2000044513A JP11135141A JP13514199A JP2000044513A JP 2000044513 A JP2000044513 A JP 2000044513A JP 11135141 A JP11135141 A JP 11135141A JP 13514199 A JP13514199 A JP 13514199A JP 2000044513 A JP2000044513 A JP 2000044513A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
compound
group
acid
lower alkyl
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP11135141A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3616867B2 (ja
Inventor
Eiichi Shirasawa
栄一 白澤
Yasutsugu Motoi
康嗣 許斐
Masaki Ichikawa
正樹 市川
Hiroshi Suhara
寛 須原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Santen Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Santen Pharmaceutical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Santen Pharmaceutical Co Ltd filed Critical Santen Pharmaceutical Co Ltd
Priority to JP13514199A priority Critical patent/JP3616867B2/ja
Publication of JP2000044513A publication Critical patent/JP2000044513A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3616867B2 publication Critical patent/JP3616867B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 緑内障の治療剤として有用な新規化合物を提
供する。 【解決手段】 下記一般式[I]で表される化合物およ
びその塩類である。 【化1】 1 はH、低級アルキルまたはフェニルを示し、該フェ
ニルは、低級アルキル、ヒドロキシ、低級アルコキシ、
ハロゲン原子、ニトロまたはフェニルで置換されていて
もよい。R2 およびR3 は同一かまたは異なって、H、
ハロゲン原子または低級アルキルを示す。R4 およびR
5 は同一かまたは異なって、H、低級アルキルまたはカ
ルボキシルもしくはそのエステルを示す。R6 はカルボ
キシルまたはホスホノもしくはそれらのエステルを示
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は緑内障の治療剤とし
て有用な新規化合物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】緑内障とは、一般的に眼圧が上昇するこ
とにより、視機能が障害を受ける疾患である。房水の流
出は、眼圧上昇と密接な関係があり、房水の流出が妨げ
られると眼圧上昇を引き起こす。房水の大部分は、線維
柱帯からシュレム管を通って眼球外に流れ出る。この線
維柱帯における房水流出の抵抗を減弱させることによっ
て房水の流出を亢進させることができる。線維柱帯を形
成している細胞(線維柱帯細胞)はスルフヒドリル基を
有しているが、そのスルフヒドリル基と反応する化合物
を投与することにより、線維柱帯細胞に形態的変化を起
こさせ、房水流出能を亢進することによって眼圧を下げ
る方法が報告されている(特公平7-13013号公報参
照)。この特許には、スルフヒドリル基と反応する化合
物としてフェノキシ酢酸誘導体、特にエタクリン酸が好
適な化合物として開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】線維柱帯細胞に形態的
変化を起こさせることにより眼圧を下げる方法は、緑内
障の治療方法として非常に興味あるものである。しか
し、そのような作用機序を有する薬物の研究はまだ多く
はなされておらず、新たな薬物の創製研究は、緑内障治
療剤の開発において非常に興味ある課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者等は、
α,β−不飽和カルボニル基を有するフェノキシ酢酸誘
導体であるエタクリン酸が線維柱帯細胞に形態的変化を
起こさせ、眼圧を下げる効果を有することに着目し、種
々の新規化合物を合成し、それらの線維柱帯細胞の形態
に及ぼす効果および眼圧下降効果を調べた。その結果、
ビニルベンゼンを基本構造とし、そのベンゼン環にさら
にα,β−不飽和カルボニル基を導入した新規ビニルベ
ンゼン誘導体が優れた効果を有することを見出し、本発
明を完成させた。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明は下記一般式[I]で示さ
れる化合物およびその塩類(以下特記なき限り本発明化
合物と総称する)、並びにそれらを有効成分とする医薬
組成物に関するものである。
【0006】
【化2】
【0007】[式中、R1 は水素原子、低級アルキル基
またはフェニル基を示し、該フェニル基は、低級アルキ
ル基、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基、ハロゲン原
子、ニトロ基またはフェニル基で置換されていてもよ
い。
【0008】R2 およびR3 は同一かまたは異なって、
水素原子、ハロゲン原子または低級アルキル基を示す。
【0009】R4 およびR5 は同一かまたは異なって、
水素原子、低級アルキル基またはカルボキシル基もしく
はそのエステル基を示す。
【0010】R6 はカルボキシル基またはホスホノ基も
しくはそれらのエステル基を示す。]
【0011】上記で規定した基を以下に詳しく説明す
る。
【0012】低級アルキル基とはメチル、エチル、プロ
ピル、ブチル、ヘキシル、イソプロピル、イソブチル、
イソペンチル、イソヘキシル、t-ブチル、3,3−ジメ
チルブチル等の1〜6個の炭素原子を有する直鎖または
分枝のアルキルを示す。
【0013】低級アルコキシ基とはメトキシ、エトキ
シ、プロポキシ、ブトキシ、ヘキシルオキシ、イソプロ
ポキシ、t-ブトキシ等の1〜6個の炭素原子を有する直
鎖または分枝のアルコキシを示す。
【0014】ハロゲン原子とはフッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素を示す。
【0015】エステル基とは、メチルエステル、エチル
エステル、イソプロピルエステル、ヘキシルエステル等
の低級アルキルエステル、フェニルエステルまたはベン
ジルエステル、フェネチルエステル等のフェニル低級ア
ルキルエステルを示す。
【0016】本発明における塩類とは医薬として許容さ
れる塩であれば特に制限はなく、ナトリウム、カリウ
ム、カルシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金
属との塩などが挙げられる。また、本発明化合物に幾何
異性体または光学異性体が存在する場合には、それらの
異性体も本発明の範囲に含まれる。尚、本発明化合物は
溶媒和物、例えば水和物の形態をとっていてもよい。
【0017】本発明化合物の好ましい例としては、一般
式[I]で示される化合物において各基が下記のもので
ある化合物が挙げられる;(1a)R1 が水素原子、低級ア
ルキル基またはフェニル基を示し、該フェニル基は低級
アルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基またはフェニル基
から選択される基で置換されていてもよい;および/ま
たは(2a)R4 およびR5 が同一かまたは異なって、水素
原子、低級アルキル基またはカルボキシル基を示す。
【0018】すなわち、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(1a)の
化合物、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(2a)の
化合物、および ・一般式[I]で示される化合物において、上記(1a)お
よび上記(2a)の組合わせからなる化合物である。
【0019】本発明化合物のより好ましい例としては、
一般式[I]で示される化合物において各基が下記のも
のである化合物が挙げられる; (1b)R1 がフェニル基を示し、該フェニル基はハロゲン
原子、ニトロ基またはフェニル基から選択される基で置
換されていてもよい; (2b)R2 およびR3 がともに水素原子を示す; (3b)R4 およびR5 が同一かまたは異なって、水素原子
または低級アルキル基を示す;および/または (4b)R6 がカルボキシル基を示す。
【0020】すなわち、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(1b)の
化合物、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(2b)の
化合物、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(3b)の
化合物、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(4b)の
化合物、および ・一般式[I]で示される化合物において、上記(1b)、
(2b)、(3b)および(4b)の2以上の組合わせからなる化合
物である。
【0021】本発明化合物のさらに好ましい例として
は、一般式[I]で示される化合物において各基が下記
のものである化合物が挙げられる; (1c)R1 がフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、4
−ニトロフェニル基または4−ビフェニリル基を示す; (2c)R2 およびR3 がともに水素原子を示す; (3c)R4 およびR5 が同一かまたは異なって、水素原子
またはメチル基を示す;および/または (4c)R6 がカルボキシル基を示す。
【0022】すなわち、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(1c)の
化合物、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(2c)の
化合物、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(3c)の
化合物、 ・一般式[I]で示される化合物において、上記(4c)の
化合物、および ・一般式[I]で示される化合物において、上記(1c)、
(2c)、(3c)および(4c)の2以上の組合わせからなる化合
物である。
【0023】本発明化合物の最も好ましい具体例として
は、下記化合物およびその塩類が挙げられる。
【0024】1) 4−[2−(2,3,4,5,6−
ペンタフルオロフェニル)アクリロイル]桂皮酸
【化3】
【0025】2) 4−[2−(4−ニトロフェニル)
アクリロイル]桂皮酸
【化4】
【0026】3) 4−(2−フェニルアクリロイル)
桂皮酸
【化5】
【0027】4) α−メチル−4−(2−フェニルア
クリロイル)桂皮酸
【化6】
【0028】5) β−メチル−4−(2−フェニルア
クリロイル)桂皮酸
【化7】
【0029】本発明化合物の代表的な合成経路図を下記
に示す。
【0030】
【化8】
【0031】本発明化合物[I]は、例えば前記反応経
路図に示される様に種々の合成ルートにて合成できる。
この合成方法をルート別に示すと次の様になる。但し、
これらのルートは代表的なルートを例示するものであっ
て、全ての方法を示すものではない。具体的合成方法の
詳細は後述の実施例で説明する。
【0032】 ルートA)[II]→[XVI]→[III]→[IV]→[I] ルートB)[II]→[XVI]→[IV]→[I] ルートC)[V]→[VI]→[IV]→[I] ルートD)[IV]→[VII]→[VIII]→[I] ルートE)[II]→[XVII]→[I] これらのルートの合成方法を以下に詳しく説明する。
【0033】ルートA)[II]→[XVI]→[III]→
[IV]→[I]
【化9】
【0034】カルボン酸誘導体[II]を塩化チオニルで
処理して酸塩化物[XVI]とし、これをt−ブチルエス
テル誘導体[IX]と塩基存在下で反応させて、式[II
I]で表される化合物に導き、その化合物[III]を酸存
在下でカルボン酸として脱炭酸させ、式[IV]で表され
る化合物を得る。次いで、化合物[IV]を2級アミン存
在下パラホルムアルデヒドとマンニッヒ反応により縮合
後、脱離反応により本発明化合物[I](但し、R2
よびR3 は水素原子を示す)を得る。
【0035】 ルートB)[II]→[XVI]→[IV]→[I]
【化10】
【0036】ルートA)と同様にカルボン酸誘導体[I
I]を塩化チオニルで処理して酸塩化物[XVI]とし、こ
れをグリニャール試薬[X]と縮合させ化合物[IV]を
得る。次いで、ルートA)と同様の方法にて本発明化合
物[I](但し、R2 およびR3 は水素原子を示す)を
得る。
【0037】 ルートC)[V]→[VI]→[IV]→[I]
【化11】
【0038】アルデヒド誘導体[V]をグリニャール試
薬[X]と縮合させヒドロキシ誘導体[VI]に導き、そ
のヒドロキシ誘導体を酸化剤(例えばジメチルスルホキ
シド(DMSO))と反応させ、式[IV]で表される化
合物を得る。次いで、ルートA)と同様の方法にて本発
明化合物[I](但し、R2 およびR3 は水素原子を示
す)を得る。
【0039】 ルートD)[IV]→[VII]→[VIII]→[I]
【化12】
【0040】ルートA)、B)またはC)の方法に従っ
て得られた化合物[IV]とカルボニル化合物[XI]を塩
基存在下反応させ、式[VII]で表される化合物を得る。
次いでこれをメシル酸クロライドと反応させ、メシルオ
キシ誘導体[VII]に導き、そのメシルオキシ誘導体[V
II]を強塩基(例えば1,8−ジアザビシクロ[5.
4.0]−7−ウンデセン(DBU))存在下で処理し
本発明化合物[I]を得る。
【0041】ルートE)[II]→[XVII]→[I]
【化13】 [式中、Xはハロゲン原子を示す。]
【0042】カルボン酸誘導体[II]をクロロ蟻酸イソ
ブチルエステル[XII]で処理して混合酸無水物[XVI
I]とし、次いでこれからワン−ポット合成法(Tetrahe
dronLett., 33, 337-340 (1992) )を用いて本発明化合
物[I]を得る。すなわちトシル酸 2,2,2−トリ
ハロエチルエステル[XIII]をn−ブチルリチウムで処
理したのち、有機ホウ素化合物[XIV]と反応させて
2,2−ジハロビニルボラン誘導体[XV]を得る。その
ボラン誘導体[XV]を単離することなく、上記混合酸無
水物[XVII]とヨウ化銅(I) の存在下で反応させて本発
明化合物[I](但し、R2 およびR3 はハロゲン原子
を示す)を得る。
【0043】上記合成方法において、反応物質が分子内
にヒドロキシ基を有する場合、それらの基は必要に応じ
て適当な保護基で保護していてもよく、またそれらの保
護基は反応後常法により除去することもできる。また、
反応物質が分子内にカルボキシル基またはホスホノ基を
有する場合、カルボキシル基またはホスホノ基は必要に
応じてエステル化してもよく、またそれらのエステルは
加水分解によりカルボン酸またはホスホン酸にすること
もできる。
【0044】本発明化合物は文献未知の新規化合物であ
るが、その化学構造的特徴は、ベンゼン環の置換基とし
て1個の二重結合を有する化合物であるビニルベンゼン
を基本構造とし、そのベンゼン環にさらにα,β−不飽
和カルボニル基を置換したところにある。
【0045】従来の技術の項で記載したように、エタク
リン酸は線維柱帯細胞に形態的変化を起こさせ、房水流
出能を亢進することによって眼圧を下げる効果があるこ
とが報告されている(特公平7-13013 )。エタクリン酸
は、α,β−不飽和カルボニル基を有するフェノキシ酢
酸誘導体であるが、本発明者等はこのエタクリン酸の化
学構造に着目し、鋭意研究した結果、そのベンゼン環の
置換基としてさらに1個の二重結合を導入すると、より
優れた効果を有する新規化合物が得られることを見出し
た。
【0046】薬物の投与方法としては、活性体そのもの
を投与する方法と共に、生体内で分解し、活性体に変換
される形、即ちプロドラッグの形で投与する方法も汎用
されている。本発明化合物においても、分子中にカルボ
ン酸またはホスホン酸を含むが、本発明化合物はカルボ
ン酸またはホスホン酸の形態で投与できると共に、加水
分解を受けカルボン酸またはホスホン酸に変換され得る
エステルの形態でも投与することができる。また、分子
中にヒドロキシ基を含む場合、ヒドロキシ基は適切な保
護基で保護された形態で投与されてもよい。
【0047】本発明化合物の有用性を調べるべく、本発
明化合物の線維柱帯細胞の形態に及ぼす作用および眼圧
に及ぼす影響を検討した。詳細については後述の薬理試
験の項で示すが、本発明化合物を添加することによる線
維柱帯細胞の形態変化を画像解析により検討した結果、
本発明化合物は線維柱帯細胞に対し優れた細胞形態変化
作用を示した。
【0048】さらに、本発明化合物の眼圧下降作用を直
接検討した。即ち、正常動物の前房内への注入投与およ
びレーザー誘発高眼圧動物モデルへの点眼投与による眼
圧への影響を検討した結果、本発明化合物は優れた眼圧
下降作用を示した。
【0049】本発明化合物は主として非経口投与される
が、経口でも投与することができる。投与剤型として
は、点眼剤、注射剤、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等が挙
げられ、それらの製剤は汎用技術を用いて調製すること
ができる。例えば、点眼剤であれば、塩化ナトリウム、
濃グリセリンなどの等張化剤、リン酸ナトリウム、酢酸
ナトリウムなどの緩衝化剤、ポリオキシエチレンソルビ
タンモノオレート、ステアリン酸ポリオキシ40,ポリ
オキシエチレン硬化ヒマシ油などの界面活性剤、クエン
酸ナトリウム、エデト酸ナトリウムなどの安定化剤、塩
化ベンザルコニウム、パラベンなどの防腐剤などを必要
に応じて用い製剤化することができ、pHは眼科製剤に
許容される範囲内にあればよいが、4〜8の範囲が好ま
しい。また、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等の経口剤は、
必要に応じて、乳糖、デンプン、結晶セルロース、植物
油等の増量剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクなど
の滑沢剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニル
ピロリドンなどの結合剤、カルボキシメチルセルロース
カルシウムなどの崩壊剤、ヒドロキシプロピルメチルセ
ルロース、マクロゴール、シリコン樹脂などのコーティ
ング剤、ゼラチン皮膜剤を用いて製剤化することができ
る。
【0050】本発明化合物の投与量は症状、年令、剤型
等によって適宜選択できるが、点眼剤であれば0.00
1〜3%(w/v)のものを1日1回〜数回点眼すれば
よく、経口剤であれば通常1日当り1mg〜1000m
gを1回または数回に分けて投与すればよい。
【0051】以下に、本発明化合物の製造例、製剤例お
よび薬理試験の結果を示すが、これらの例は本発明をよ
りよく理解するためのものであり、本発明の範囲を限定
するものではない。
【0052】
【実施例】[製造例] 参考例1 (2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)酢酸
t−ブチルエステル(参考化合物1−1)
【化14】
【0053】窒素雰囲気下、ドライアイスで冷却しなが
ら、イソブテン(4ml)に(2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロフェニル)酢酸(3.0g)、エーテル
(1ml)および濃硫酸(0.07ml)を加え、耐圧
管中、室温で3日間撹拌する。10%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液と氷の混合物に、ドライアイスで冷却した反応
液を加え撹拌する。エーテルを加えて抽出し、有機層を
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、
減圧濃縮し、標記化合物(参考化合物1−1)3.10
g(83%)を得る。
【0054】(参考化合物1−1)IR(Film,c
-1)2983,2940,1740,1658,15
10,1371,1307,1159,981
【0055】参考例1と同様の方法を用いて以下の化合
物が得られる。
【0056】・(4−ニトロフェニル)酢酸 t−ブチ
ルエステル(参考化合物1−2) IR(Film,cm-1)2979,1731,160
7,1521,1369,1347,1231,114
【0057】・(4−ビフェニリル)酢酸 t−ブチル
エステル(参考化合物1−3) mp 44.5〜48.5℃ IR(KBr,cm-1)3028,2976,173
0,1602,1486
【0058】・(4−トリル)酢酸 t−ブチルエステ
ル(参考化合物1−4)
【0059】・(4−フルオロフェニル)酢酸 t−ブ
チルエステル(参考化合物1−5)
【0060】・(4−クロロフェニル)酢酸 t−ブチ
ルエステル(参考化合物1−6)
【0061】参考例2 4−カルボキシ桂皮酸 エチルエステル(参考化合物2
−1)
【化15】
【0062】4−ホルミル安息香酸(10g)のピリジ
ン(68ml)溶液にマロン酸エチルモノカリウム塩
(23g)、p−トルエンスルホン酸一水和物(25
g)およびピペリジン(0.99ml)を加え、混合液
を徐々に加熱したのち120℃で1.5時間撹拌する。
氷冷下、反応液に2N塩酸を加えて酸性とし、析出物を
濾取することにより標記化合物(参考化合物2−1)1
1.7g(79%)を結晶として得る。
【0063】(参考化合物2−1) mp 194.5〜197.0℃ IR(KBr,cm-1)2981,1711,168
7,1609,1569,1511,847
【0064】参考例2と同様の方法を用いて以下の化合
物が得られる。
【0065】・4−カルボキシ−α−メチル桂皮酸 エ
チルエステル(参考化合物2−2) mp 145〜149℃ IR(KBr,cm-1)2985,1707,167
8,1425,1293,1259,1203,112
5,771
【0066】・4−カルボキシ桂皮酸 t−ブチルエス
テル(参考化合物2−3) mp 210℃(分解) IR(KBr,cm-1)2979,1707,167
8,1639,1608,1567,1294,125
4,1202,1156,964
【0067】参考例3 4−カルボキシ−β−メチル桂皮酸 エチルエステル
(参考化合物3−1)
【化16】
【0068】1) 4−アセチル安息香酸(3.9g)
の無水塩化メチレン(120ml)溶液に、氷冷下、4
−ジメチルアミノピリジン(1.5g)、t−ブチルア
ルコール(4.6ml)、N−メチルモルホリン(3.
4ml)および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノ
プロピル)カルボジイミド 塩酸塩(6.0g)を加
え、氷冷下6時間、水冷下一晩撹拌する。反応液を減圧
濃縮し、水を加えてエーテルで抽出する。有機層を飽和
食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧
濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマトで精製
し、4−アセチル安息香酸 t−ブチルエステル 3.
13g(59%)を結晶として得る。
【0069】mp 57.5〜58.8℃ IR(KBr,cm-1)3350,2986,293
4,1708,1682,1503
【0070】2) 窒素雰囲気下、水素化ナトリウム
(60%、油性)(220mg)の無水テトラヒドロフ
ラン(15ml)溶液に氷冷しながらホスホノ酢酸トリ
エチルエステル(0.98ml)の無水テトラヒドロフ
ラン(4ml)溶液を滴下し、氷冷下10分間撹拌す
る。ついで4−アセチル安息香酸 t−ブチルエステル
(1.0g)の無水テトラヒドロフラン(4ml)溶液
を滴下し、室温で一晩撹拌する。氷冷下、反応液にエー
テルを加え抽出する。有機層を10%クエン酸水溶液、
水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後、減圧濃縮する。残留物をシリカゲルカラムクロマト
で精製し、4−(t−ブトキシカルボニル)−β−メチ
ル桂皮酸エチルエステル 0.76g(58%)を得
る。
【0071】IR(Film,cm-1)2979,29
34,1713,1631,1567,1455,11
69,1115
【0072】3) 4−(t−ブトキシカルボニル)−
β−メチル桂皮酸 エチルエステル(755mg)を4
N塩化水素酢酸エチル溶液(6.5ml)に溶解し、室
温で18時間撹拌する。反応液を減圧濃縮後、イソプロ
ピルエーテルを加え析出物を濾取し、標記化合物(参考
化合物3−1)550mg(90%)を結晶として得
る。
【0073】(参考化合物3−1) mp 160.0〜161.7℃ IR(KBr,cm-1)2979,2668,254
3,1712,1689,1626,1565,142
4,1367
【0074】参考例4 2−(4−ホルミルフェニル)マレイン酸 ジエチルエ
ステル(参考化合物4−1)
【化17】
【0075】1) 窒素雰囲気下、シュウ酸ジエチル
(6.5g)の無水テトラヒドロフラン(41ml)溶
液に、氷冷下、臭化4−トリルマグネシウムの1.0M
エーテル溶液(20.5ml)を滴下する。滴下終了5
分後に、室温で1.5時間撹拌する。反応液に1N塩酸
を加え、エーテルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水
で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮す
る。得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトで精製
し、4−トリルグリオキシル酸 エチルエステル 2.
99g(76%)を得る。
【0076】IR(Film,cm-1)2984,17
36,1684,1606,1307,1203,11
76,1015
【0077】2) 窒素雰囲気下、水素化ナトリウム
(60%、油性)(676mg)の無水テトラヒドロフ
ラン(30ml)懸濁溶液に、氷冷下、エトキシカルボ
ニルメチルホスホン酸 ジエチルエステル(3.3g)
の無水テトラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下し、
さらに4−トリルグリオキシル酸 エチルエステル
(2.96g)の無水テトラヒドロフラン(22ml)
溶液を滴下する。室温で30分間撹拌したのち、反応液
に10%クエン酸水溶液を加え、エーテルで抽出する。
有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後減圧濃縮する。得られる残留物をシリカゲル
カラムクロマトで精製し、2−(4−トリル)マレイン
酸 ジエチルエステル 3.57g(88%)を得る。
【0078】IR(Film,cm-1)2982,17
32,1714,1623,1608,1372,12
88,1205,1176,1033
【0079】3) 2−(4−トリル)マレイン酸 ジ
エチルエステル(1.5g)の四塩化炭素(29ml)
溶液にN−ブロモこはく酸イミド(3.1g)および
2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)(45m
g)を加え2日間加熱還流する。反応液を減圧濃縮し、
10%炭酸水素ナトリウム水溶液を加えエーテルで抽出
する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥後、減圧濃縮する。残留物をシリカゲル
カラムクロマトで精製し、2−[4−(ジブロモメチ
ル)フェニル]マレイン酸 ジエチルエステル 1.1
5g(56%)を結晶として得る。
【0080】mp 89.0〜92.5℃ IR(KBr,cm-1)3029,2991,171
4,1626,1372,1342,1295,118
6,1026,847
【0081】4) 窒素雰囲気下、2−[4−(ジブロ
モメチル)フェニル]マレイン酸 ジエチルエステル
(500mg)の2−メトキシエタノール(15ml)
溶液に、硝酸銀(607mg)の水(5ml)溶液を加
え、95℃に加熱しながら25分間撹拌する。氷冷下、
反応液に0.1N塩酸を加え、酢酸エチルで抽出する。
有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥後減圧濃縮する。残留物をシリカゲルカラムク
ロマトで精製し、標記化合物(参考化合物4−1)28
0mg(85%)を得る。
【0082】(参考化合物4−1)IR(Film,c
-1)2983,1722,1626,1372,13
43,1283,1209,1180
【0083】参考例5 (E)−2−(4−カルボキシフェニル)ビニルホスホ
ン酸 ジエチルエステル(参考化合物5−1)
【化18】
【0084】1) テレフタルアルデヒド酸(5.1
g)の無水ジメチルホルムアミド(110ml)溶液に
無水炭酸カリウム(4.7g)を加え室温で10分間撹
拌したのち、ヨウ化メチル(2.5ml)を加え一晩撹
拌する。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出する。有
機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで
乾燥後減圧濃縮する。得られる残留物をシリカゲルカラ
ムクロマトで精製し、4−ホルミル安息香酸 メチルエ
ステル4.7g(84%)を結晶として得る。
【0085】mp 58.9〜60.5℃ IR(KBr,cm-1)3021,1728,168
4,1578,1435,1392
【0086】2) 窒素雰囲気下、ドライアイスで冷却
しながら、リチウム ビス(トリメチルシリル)アミド
の1.0Mテトラヒドロフラン溶液(17ml)を無水
テトラヒドロフラン(81ml)で希釈したのち、メチ
レンビス(ホスホン酸) テトラエチルエステル(4.
6g)の無水テトラヒドロフラン(8ml)溶液を滴下
する。ドライアイス冷却下30分間撹拌したのち、4−
ホルミル安息香酸 メチルエステル(2.64g)の無
水テトラヒドロフラン(12ml)溶液を滴下する。ド
ライアイス冷却下で1.5時間、さらに氷冷下で2.5
時間撹拌する。反応液に酢酸エチルを加え、有機層を
水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後
減圧濃縮する。得られる析出物を濾取し、(E)−2−
[4−(メトキシカルボニル)フェニル]ビニルホスホ
ン酸 ジエチルエステル4.1g(86%)を結晶とし
て得る。
【0087】mp 60〜65℃ IR(KBr,cm-1)3003,1720,162
0,1568,1433,1236
【0088】3) (E)−2−[4−(メトキシカル
ボニル)フェニル]ビニルホスホン酸ジエチルエステル
(4.0g)をエタノール(26ml)−テトラヒドロ
フラン(13ml)混液に溶解したのち、1N水酸化ナ
トリウム水溶液(15ml)を加え室温で24時間撹拌
する。反応液に10%クエン酸水溶液を加えて酸性とし
酢酸エチルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮する。得られ
る析出物を濾取し、標記化合物(参考化合物5−1)
3.4g(89%)を結晶として得る。
【0089】(参考化合物5−1) mp 135.0〜136.5℃ IR(KBr,cm-1)2990,1707,157
0,1480,1240
【0090】実施例1 4−[(2RS)−2−(t−ブトキシカルボニル)−
2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニル)
アセチル]桂皮酸 エチルエステル(化合物1−1)
【化19】
【0091】窒素雰囲気下、4−カルボキシ桂皮酸 エ
チルエステル(参考化合物2−1、1.7g)のクロロ
ホルム(5ml)溶液に塩化チオニル(2.8ml)を
滴下したのち、ジメチルホルムアミド(1滴)を加え3
0分間加熱還流する。反応液を減圧濃縮し酸クロライド
を得る。
【0092】窒素雰囲気下、(2,3,4,5,6−ペ
ンタフルオロフェニル)酢酸 t−ブチルエステル(参
考化合物1−1、2.17g)のテトラヒドロフラン
(20ml)溶液に、ドライアイスで冷却しながらカリ
ウム ビス(トリメチルシリル)アミドの0.5Mトル
エン溶液(18ml)を滴下する。5分後、さらに上記
酸クロライドのテトラヒドロフラン(20ml)溶液を
滴下する。滴下終了20分後に、室温で1.5時間撹拌
する。反応液に10%クエン酸水溶液を加え、エーテル
で抽出する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮する。得られる残留物
をシリカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化
合物1−1)526mg(12%)を結晶として得る。
【0093】(化合物1−1) mp 87.5〜88.5℃ IR(KBr,cm-1)2979,1716,163
7,1522,1496,1373,1177
【0094】実施例1と同様の方法を用いて以下の化合
物が得られる。
【0095】・4−[(2RS)−2−(t−ブトキシ
カルボニル)−2−(4−ニトロフェニル)アセチル]
桂皮酸 エチルエステル(化合物1−2) IR(Film,cm-1)2980,1715,163
9,1603,1523,1368,1348,127
8,1148
【0096】・4−[(2RS)−2−(t−ブトキシ
カルボニル)−2−(4−ビフェニリル)アセチル]桂
皮酸 エチルエステル(化合物1−3) IR(Film,cm-1)2980,1713,163
9,1603,1486
【0097】・4−[(2RS)−2−(t−ブトキシ
カルボニル)−2−(4−トリル)アセチル]桂皮酸
エチルエステル(化合物1−4)
【0098】・4−[(2RS)−2−(t−ブトキシ
カルボニル)−2−(4−フルオロフェニル)アセチ
ル]桂皮酸 エチルエステル(化合物1−5)
【0099】・4−[(2RS)−2−(t−ブトキシ
カルボニル)−2−(4−クロロフェニル)アセチル]
桂皮酸 エチルエステル(化合物1−6)
【0100】実施例2 4−[(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ
ル)アセチル]桂皮酸(化合物2−1)
【化20】
【0101】4−[(2RS)−2−(t−ブトキシカ
ルボニル)−2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオ
ロフェニル)アセチル]桂皮酸 エチルエステル(化合
物1−1、500mg)のジオキサン(2ml)溶液を
耐圧管に入れ、濃塩酸(2ml)を加える。130℃に
加熱しながら4時間撹拌する。反応液を氷冷して析出物
を濾取し、標記化合物(化合物2−1)256mg(7
0%)を結晶として得る。
【0102】(化合物2−1) mp 228〜234℃ IR(KBr,cm-1)2975,1673,152
6,1502,1307,1280
【0103】実施例2と同様の方法を用いて以下の化合
物が得られる。
【0104】・4−[(4−ニトロフェニル)アセチ
ル]桂皮酸(化合物2−2) mp 247〜251℃ IR(KBr,cm-1)2895,1683,162
8,1601,1518,1343,1228,991
【0105】・4−[(4−ビフェニリル)アセチル]
桂皮酸(化合物2−3) mp 250℃以上 IR(KBr,cm-1)3030,1682,163
1,1600,1558,1487
【0106】・4−[(4−トリル)アセチル]桂皮酸
(化合物2−4)
【0107】・4−[(4−フルオロフェニル)アセチ
ル]桂皮酸(化合物2−5)
【0108】・4−[(4−クロロフェニル)アセチ
ル]桂皮酸(化合物2−6)
【0109】実施例3 4−(フェニルアセチル)桂皮酸 エチルエステル(化
合物3−1)
【化21】
【0110】窒素雰囲気下、4−カルボキシ桂皮酸 エ
チルエステル(参考化合物2−1、2.0g)のクロロ
ホルム(4ml)溶液に塩化チオニル(3.3ml)を
滴下したのち、ジメチルホルムアミド(1滴)を加え3
0分間加熱還流する。反応液を減圧濃縮し、酸クロライ
ドの残留物を得る。窒素雰囲気下、残留物をテトラヒド
ロフラン(30ml)に溶解しドライアイスで冷却す
る。塩化ベンジルマグネシウムの2.0Mテトラヒドロ
フラン溶液(4.5ml)を滴下する。滴下終了12分
後ドライアイス冷却下、反応液に10%クエン酸水溶液
を加えたのち室温とし、エーテルで抽出する。有機層を
水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥
後減圧濃縮する。得られる残留物をシリカゲルカラムク
ロマトで精製し、標記化合物(化合物3−1)685m
g(26%)を結晶として得る。
【0111】(化合物3−1) mp 110.5〜111.3℃ IR(KBr,cm-1)2986,1690,141
0,1330,1206,970,704
【0112】実施例3と同様の方法を用いて以下の化合
物が得られる。
【0113】・4−(n−ブチリル)桂皮酸 エチルエ
ステル(化合物3−2) mp 51.7〜53.9℃ IR(KBr,cm-1)2963,1770,168
0,1603,1561,1472,1371,999
【0114】・α−メチル−4−(フェニルアセチル)
桂皮酸 エチルエステル(化合物3−3) mp 35.5〜37.8℃ IR(KBr,cm-1)2983,1706,168
3,1602,1452,1254,1112
【0115】・β−メチル−4−(フェニルアセチル)
桂皮酸 エチルエステル(化合物3−4) mp 81.7〜83.0℃ IR(KBr,cm-1)3040,2982,171
3,1683,1624,1601,1478,126
8,1225
【0116】・4−プロピオニル桂皮酸 エチルエステ
ル(化合物3−5)
【0117】・4−イソバレリル桂皮酸 エチルエステ
ル(化合物3−6)
【0118】・4−アセチル桂皮酸 エチルエステル
(化合物3−7)
【0119】実施例4 4−(フェニルアセチル)桂皮酸(化合物4−1)
【化22】
【0120】窒素雰囲気下、4−(フェニルアセチル)
桂皮酸 エチルエステル(化合物3−1、675mg)
のエタノール(6ml)−テトラヒドロフラン(6m
l)混液に1N水酸化ナトリウム水溶液(2.3ml)
および水(4ml)を加え、室温で6.5時間撹拌す
る。反応液に1N塩酸を加えて酸性とし、酢酸エチルで
抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥後減圧濃縮する。得られる析出物を濾取
し、標記化合物(化合物4−1)553mg(91%)
を結晶として得る。
【0121】(化合物4−1) mp 232〜236℃(分解) IR(KBr,cm-1)3036,2589,168
4,1630,1337,1230,993
【0122】実施例4と同様の方法を用いて以下の化合
物が得られる。
【0123】・4−(n−ブチリル)桂皮酸(化合物4
−2) mp 204〜210℃(分解) IR(KBr,cm-1)2965,1689,163
0,1601,1560,992
【0124】・α−メチル−4−(フェニルアセチル)
桂皮酸(化合物4−3) mp 148.0〜149.3℃ IR(KBr,cm-1)2968,1685,162
1,1409,1266,728
【0125】・β−メチル−4−(フェニルアセチル)
桂皮酸(化合物4−4) mp 143〜149℃ IR(KBr,cm-1)2898,1684,162
3,1559,1499
【0126】・4−プロピオニル桂皮酸(化合物4−
5)
【0127】・4−イソバレリル桂皮酸(化合物4−
6)
【0128】・4−アセチル桂皮酸(化合物4−7)
【0129】実施例5 2−[4−[(1RS)−1−ヒドロキシ−2−フェニ
ルエチル]フェニル]マレイン酸 ジエチルエステル
(化合物5−1)
【化23】
【0130】窒素雰囲気下、2−(4−ホルミルフェニ
ル)マレイン酸 ジエチルエステル(参考化合物4−
1、250mg)の無水テトラヒドロフラン(4.5m
l)溶液にドライアイス冷却下撹拌しながら、塩化ベン
ジルマグネシウムの2.0Mテトラヒドロフラン溶液
(0.45ml)を滴下する。滴下終了10分後、室温
で1時間撹拌する。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶
液を加え、エーテルで抽出する。有機層を水、飽和食塩
水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮す
る。得られる残留物をシリカゲルカラムクロマトで精製
し、標記化合物(化合物5−1)100mg(30%)
を得る。
【0131】(化合物5−1)IR(Film,c
-1)3512,2983,1719,1624,13
72,1342,1290,1180,1032,70
【0132】実施例6 2−[4−(フェニルアセチル)フェニル]マレイン酸
ジエチルエステル(化合物6−1)
【化24】
【0133】2−[4−[(1RS)−1−ヒドロキシ
−2−フェニルエチル]フェニル]マレイン酸 ジエチ
ルエステル(化合物5−1、280mg)のジメチルス
ルホキシド(3ml)溶液に室温で撹拌しながらトリエ
チルアミン(0.53ml)を加え、さらに三酸化硫黄
ピリジンコンプレックス(484mg)のジメチルスル
ホキシド(5ml)溶液を加える。室温で2.5時間撹
拌したのち、反応液に0.1N塩酸(50ml)を加え
エーテルで抽出する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄、
無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮する。析出物を
濾取し、標記化合物(化合物6−1)85mg(31
%)を結晶として得る。
【0134】(化合物6−1) mp 111〜120℃ IR(KBr,cm-1)2985,1716,169
1,1627,1412,1374,1183,102
4,728
【0135】実施例7 2−[4−(フェニルアセチル)フェニル]マレイン酸
(化合物7−1)
【化25】
【0136】2−[4−(フェニルアセチル)フェニ
ル]マレイン酸 ジエチルエステル(化合物6−1、8
0mg)のジオキサン(3ml)溶液を耐圧管に入れ、
濃塩酸(2ml)を加えたのち120℃で1時間撹拌す
る。反応液を減圧濃縮し、標記化合物(化合物7−1)
90mg(定量的)を得る。
【0137】実施例8 4−[2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェ
ニル)アクリロイル]桂皮酸(化合物8−1)
【化26】
【0138】4−[(2,3,4,5,6−ペンタフル
オロフェニル)アセチル]桂皮酸(化合物2−1、23
0mg)のジオキサン(13ml)溶液を耐圧管に入
れ、パラホルムアルデヒド(78mg)、ジメチルアミ
ン塩酸塩(210mg)、酢酸(1滴)および無水硫酸
マグネシウム(適量)を加えて130℃に加熱しながら
一晩撹拌する。氷冷下、反応液に0.1N塩酸を加えて
酸性とし酢酸エチルで抽出する。有機層を飽和食塩水で
洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮する。析
出物を濾取し、標記化合物(化合物8−1)222mg
(93%)を結晶として得る。
【0139】(化合物8−1) mp 218〜220℃ IR(KBr,cm-1)2837,1691,166
8,1518,1494,1283,994
【0140】実施例8と同様の方法を用いて以下の化合
物が得られる。
【0141】・4−[2−(4−ニトロフェニル)アク
リロイル]桂皮酸(化合物8−2) mp 224.2〜225.5℃ IR(KBr,cm-1)2841,1689,165
6,1508,1426,1344,1313,848
【0142】・4−[2−(4−ビフェニリル)アクリ
ロイル]桂皮酸(化合物8−3) mp 239℃(分解) IR(KBr,cm-1)2989,1688,165
5,1632,1601,1562,982
【0143】・4−[2−(4−トリル)アクリロイ
ル]桂皮酸(化合物8−4)
【0144】・4−[2−(4−フルオロフェニル)ア
クリロイル]桂皮酸(化合物8−5)
【0145】・4−[2−(4−クロロフェニル)アク
リロイル]桂皮酸(化合物8−6)
【0146】・4−(2−フェニルアクリロイル)桂皮
酸(化合物8−7) mp 175.3〜177.8℃ IR(KBr,cm-1)2969,1690,166
7,1631,1600,1561,1493,141
2,914,858
【0147】・4−(2−エチルアクリロイル)桂皮酸
(化合物8−8) mp 174.5〜175.0℃ IR(KBr,cm-1)2968,1689,165
0,1627,1601,1561,989
【0148】・α−メチル−4−(2−フェニルアクリ
ロイル)桂皮酸(化合物8−9) mp 134.5〜136.5℃ IR(KBr,cm-1)2966,1666,160
0,1414,1265,1215,980
【0149】・β−メチル−4−(2−フェニルアクリ
ロイル)桂皮酸(化合物8−10) mp 116.2〜118.8℃ IR(KBr,cm-1)2924,1684,162
7,1600,1495,1415,981,855
【0150】・4−(2−メチルアクリロイル)桂皮酸
(化合物8−11)
【0151】・4−(2−イソプロピルアクリロイル)
桂皮酸(化合物8−12)
【0152】・4−アクリロイル桂皮酸(化合物8−1
3)
【0153】・2−[4−(2−フェニルアクリロイ
ル)フェニル]マレイン酸(化合物8−14) IR(Film,cm-1)2928,1769,171
8,1622,1416,1226,1123,759
【0154】実施例9 4−[(2RS,3RS)−3−ヒドロキシ−2−フェ
ニルブチリル]桂皮酸エチルエステル(化合物9−1)
【化27】
【0155】4−(フェニルアセチル)桂皮酸 エチル
エステル(化合物3−1、2.0g)をエタノール(1
4ml)−テトラヒドロフラン(34ml)混液に溶解
し、水(14ml)、アセトアルデヒド(1.9ml)
および炭酸カリウム(1.9g)を加え、室温で3時間
撹拌する。反応液に1N塩酸を加えて酸性とし、酢酸エ
チルで抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫
酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮する。得られる残留物
をシリカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化
合物9−1)1.75g(76%)を得る。
【0156】(化合物9−1)IR(Film,c
-1)3484,2977,1712,1677,16
37,1603,1562,1492,1312,12
09,1177
【0157】実施例10 4−[(2RS,3RS)−3−(メシルオキシ)−2
−フェニルブチリル]桂皮酸 エチルエステル(化合物
10−1)
【化28】
【0158】4−[(2RS,3RS)−3−ヒドロキ
シ−2−フェニルブチリル]桂皮酸エチルエステル(化
合物9−1、1.70g)の無水塩化メチレン(25m
l)溶液に、氷冷下、トリエチルアミン(1.05m
l)およびメシルクロライド(0.6ml)を加え、
2.5時間撹拌する。反応液に10%クエン酸水溶液を
加えて酸性とし、エーテルで抽出する。有機層を水、飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧
濃縮し、標記化合物(化合物10−1)1.75g(8
4%)を得る。
【0159】(化合物10−1)IR(Film,cm
-1)3030,1713,1681,1353,117
4,906
【0160】実施例11 4−[(E,Z)−2−フェニル−2−ブテノイル]桂
皮酸 エチルエステル(化合物11−1)
【化29】
【0161】4−[(2RS,3RS)−3−(メシル
オキシ)−2−フェニルブチリル]桂皮酸 エチルエス
テル(化合物10−1、800mg)のテトラヒドロフ
ラン(10ml)溶液に1,8−ジアザビシクロ[5.
4.0]−7−ウンデセン(0.32ml)を加え、室
温で1時間撹拌する。反応液に10%クエン酸水溶液を
加えて酸性とし、エーテルで抽出する。有機層を水、飽
和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧
濃縮する。得られる油状物をシリカゲルカラムクロマト
で精製し、標記化合物(化合物11−1)535mg
(87%)を得る。
【0162】(化合物11−1)IR(Film,cm
-1)2980,1713,1639,1602,136
6,1312,1270,1204,1175
【0163】実施例12 4−[(E,Z)−2−フェニル−2−ブテノイル]桂
皮酸(化合物12−1)
【化30】
【0164】4−[(E,Z)−2−フェニル−2−ブ
テノイル]桂皮酸 エチルエステル(化合物11−1、
260mg)をテトラヒドロフラン(4ml)−エタノ
ール(4ml)混液に溶解し、水(3ml)および1N
水酸化ナトリウム水溶液(0.32ml)を加え、室温
で4.5時間撹拌する。反応液に1N塩酸を加えて酸性
とし、酢酸エチルで抽出する。有機層を飽和食塩水で洗
浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後減圧濃縮する。析
出物を濾取し、標記化合物(化合物12−1)115m
g(49%)を結晶として得る。
【0165】(化合物12−1) mp 153〜156℃ IR(KBr,cm-1)2974,1690,163
0,1425,1265,700
【0166】実施例13 4−(3,3−ジフルオロ−2−フェニルアクリロイ
ル)桂皮酸 t−ブチルエステル(化合物13−1)
【化31】
【0167】窒素雰囲気下、4−カルボキシ桂皮酸 t
−ブチルエステル(参考化合物2−3、1.9g)の無
水テトラヒドロフラン(38ml)溶液に、氷−食塩寒
剤冷却下、N−メチルモルホリン(0.29ml)を加
えたのち、クロロ蟻酸 イソブチルエステル(0.99
ml)を滴下し、16分間撹拌し混合酸無水物を得る。
【0168】窒素雰囲気下、ドライアイスで冷却しなが
らトシル酸 2,2,2−トリフルオロエチルエステル
(1.95g)の無水テトラヒドロフラン(18ml)
溶液にn−ブチルリチウムの1.6Mヘキサン溶液(1
0ml)を滴下後35分間撹拌する。次いで、ドライア
イス冷却下、トリフェニルボラン(2.0g)の無水テ
トラヒドロフラン(20ml)溶液を滴下後1時間、さ
らに室温で3時間撹拌する。氷冷下、反応液にヘキサメ
チルホスホルアミド(12ml)およびヨウ化銅(I)
(2.9g)を加え、45分間撹拌したのち、上記混合
酸無水物溶液を滴下し、室温で一晩撹拌する。反応液に
10%クエン酸水溶液を加えて酸性とし、エーテル抽出
する。有機層を水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグ
ネシウムで乾燥後減圧濃縮する。得られる油状物をシリ
カゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化合物1
3−1)442mg(16%)を得る。
【0169】(化合物13−1) mp 88〜94℃ IR(KBr,cm-1)3006,1740,170
9,1637,1608,1569,1271,119
2,1151
【0170】実施例14 4−(3,3−ジフルオロ−2−フェニルアクリロイ
ル)桂皮酸(化合物14−1)
【化32】
【0171】窒素雰囲気下、4−(3,3−ジフルオロ
−2−フェニルアクリロイル)桂皮酸 t−ブチルエス
テル(化合物13−1、302mg)を4N塩化水素ジ
オキサン溶液(2.45ml)に溶解し、室温で19.
5時間撹拌する。反応液にエーテルを加え析出物を濾取
し、標記化合物(化合物14−1)116mg(45
%)を得る。
【0172】(化合物14−1) mp 235〜248℃ IR(KBr,cm-1)2833,1724,168
9,1631,1605,1569,1278,922
【0173】実施例15 (E)−2−[4−(フェニルアセチル)フェニル]ビ
ニルホスホン酸 モノエチルエステル(化合物15−
1)
【化33】
【0174】(E)−2−(4−カルボキシフェニル)
ビニルホスホン酸 ジエチルエステル(参考化合物5−
1、3.27g)のクロロホルム(5ml)溶液に塩化
チオニル(5.0ml)を滴下したのち、ジメチルホル
ムアミド(1滴)を加え24時間加熱還流する。反応液
を減圧濃縮し、酸クロライドを得る。
【0175】窒素雰囲気下、活性化亜鉛(1.6g)お
よび塩化パラジウム(II)−ビス(トリフェニルホスフ
ィン)錯体(0.89g)を無水1,2−ジメトキシエ
タン(33ml)に加え、氷冷下、臭化ベンジル(1.
5ml)を撹拌しながら滴下する。さらに上記酸クロラ
イドの無水1,2−ジメトキシエタン(25ml)溶液
を滴下後、室温で3日間撹拌する。反応液をセライト濾
過し、濾液を減圧濃縮する。1N塩酸を加え、酢酸エチ
ルで抽出する。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸
ナトリウムで乾燥後減圧濃縮する。得られる残留物をシ
リカゲルカラムクロマトで精製し、標記化合物(化合物
15−1)1.96g(52%)を得る。
【0176】(化合物15−1)IR(Film,cm
-1)3030,1681,1603,1561,149
6,1454,1269,1200,945
【0177】実施例16 (E)−2−[4−(2−フェニルアクリロイル)フェ
ニル]ビニルホスホン酸 モノエチルエステル(化合物
16−1)
【化34】
【0178】(E)−2−[4−(フェニルアセチル)
フェニル]ビニルホスホン酸 モノエチルエステル(化
合物15−1、1.96g)のジオキサン(11ml)
溶液を耐圧管に入れ、パラホルムアルデヒド(0.66
g)、ジメチルアミン塩酸塩(1.8g)、酢酸(1
滴)および無水硫酸マグネシウム(適量)を加えて13
0℃に加熱しながら5時間撹拌する。氷冷下、反応液に
1N塩酸を加えて酸性とし酢酸エチルで抽出する。有機
層を飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減
圧濃縮する。得られる油状物をシリカゲルカラムクロマ
トで精製し、標記化合物(化合物16−1)0.55g
(29%)を得る。
【0179】(化合物16−1)IR(Film,cm
-1)2983,2904,1719,1665,161
8,1410,1214,984,856,833
【0180】実施例17 (E)−2−[4−(2−フェニルアクリロイル)フェ
ニル]ビニルホスホン酸(化合物17−1)
【化35】
【0181】窒素雰囲気下、(E)−2−[4−(2−
フェニルアクリロイル)フェニル]ビニルホスホン酸
モノエチルエステル(化合物16−1、180mg)の
無水塩化メチレン(1.3ml)溶液に、室温でブロモ
トリメチルシラン(0.28ml)を滴下し1時間撹拌
する。酢酸エチルを加え、有機層を水、飽和食塩水で洗
浄、無水硫酸ナトリウムで乾燥後減圧濃縮する。
【0182】得られる油状物を塩化メチレン(4.7m
l)に溶解し、トリエチルアミン(0.20ml)を加
え室温で1時間撹拌する。酢酸エチルを加え、有機層を
0.1N塩酸、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウム
で乾燥後減圧濃縮する。析出物を濾取し、標記化合物
(化合物17−1)22mg(13%)を結晶として得
る。
【0183】(化合物17−1) mp 137〜147℃ IR(KBr,cm-1)3025,1654,160
2,1495,1409,1216,929
【0184】[製剤例]本発明化合物の点眼剤および経
口剤の製剤例を以下に示す。
【0185】1)点眼剤 処方1 10ml中 本発明化合物 1mg 濃グリセリン 250mg ポリソルベート80 200mg リン酸二水素ナトリウム二水和物 20mg 1N水酸化ナトリウム 適量 1N塩酸 適量 滅菌精製水 適量
【0186】 2)錠剤 処方1 100mg中 本発明化合物 1 mg 乳糖 66.4mg トウモロコシデンプン 20 mg カルボキシメチルセルロース カルシウム 6 mg ヒドロキシプロピルセルロース 6 mg ステアリン酸 マグネシウム 0.6mg
【0187】
【発明の効果】[薬理試験]本発明化合物の緑内障に対
する有用性を調べるため、1)線維柱帯細胞の形態に及
ぼす作用、2)前房内投与による眼圧下降作用、および
3)レーザー誘発高眼圧動物モデルを用いた点眼投与に
よる眼圧下降作用について検討した。
【0188】1)線維柱帯細胞の形態に及ぼす作用 薬物の培養線維柱帯細胞の形態に及ぼす作用を評価する
ことで、房水流出を亢進させる作用を有する薬物を見出
し得る可能性が報告されている(Invest. Ophthalmol.
Vis. Sci., 33, 2631-2640 (1992) )。そこで上記文献
に記載された方法に準じて本発明化合物のウシ培養線維
柱帯細胞の形態に及ぼす作用を検討した。
【0189】(実験方法)アッセイは、本発明化合物を
添加することによるウシ培養線維柱帯細胞の形態変化
を、画像解析により定量評価した。
【0190】[細胞の調製] ウシ胎児血清(10
%)、アンフォテリシンB(2.5μg/ml)および
ゲンタマイシン(50μg/ml)を添加したほ乳類細
胞培養基本培地D−MEM(Dulbecco′s Modified Eag
le Medium 、Gibco 社製)で培養したウシ線維柱帯細胞
(継代数2〜5)を後述の薬物処理24時間前に、トリ
プシン−EDTA溶液(0.05%トリプシン、0.5
3mM EDTA・4Na)で処理して、24穴プレー
トに播種(104 cells/well)した。後述の薬物 処理
12時間前にりん酸緩衝生理食塩液による洗浄を行った
後、培地をアンフォテリシンB(2.5μg/ml)お
よびゲンタマイシン(50μg/ml)を添加したD−
MEM(以下培地Aという)に交換した。後述の薬物処
理1時間前に、上記のように調製した細胞から細胞同士
が接触していない細胞を選び実験に用いた。
【0191】[被験化合物溶液の調製] 被験化合物
は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、培地
Aを加えて濾過滅菌し、さらに培地Aを加えて所定の濃
度に希釈した。この希釈液を5%炭酸ガス雰囲気下、後
述の薬物処理1時間前から37℃で1時間恒温保持して
被験化合物溶液を調製した。
【0192】[測定方法] まず、薬物処理1時間前の
細胞を自動位置検出装置(well-scanner)を用いて写真
撮影した。次いで、細胞の培地を被験化合物溶液に交換
して薬物処理を行い、5%炭酸ガス雰囲気下、37℃で
3時間インキュベートをした後、well-scannerを用いて
薬物処理1時間前に撮影したのと同じ細胞を写真撮影し
た。
【0193】(画像解析)撮影した細胞像を写真からC
CDカメラ(HAMAMATU社製)にて、画像解析システムに
取り込んだ。取り込んだ細胞像の輪郭をトレースし、面
積を測定した。
【0194】被験化合物の線維柱帯細胞に及ぼす形態変
化の程度は、下記の面積変化率(%)で示す。
【0195】
【式1】
【0196】(結果)表1に試験結果の一例として、線
維柱帯細胞の細胞面積を50%縮小させるのに要した濃
度(EC50)を示す。また、対照薬物としてエタクリン
酸を用いた結果も示す。
【0197】
【表1】
【0198】表1に示されるように、本発明化合物は線
維柱帯細胞に対し、優れた細胞形態変化作用を有するこ
とが認められた。これらの効果は、公知の比較対照薬物
であるエタクリン酸に比べて10倍以上優れたものであ
った。
【0199】2)前房内投与による眼圧下降作用 薬物の眼圧下降作用を評価する一つの方法として、薬物
をカニクイザルの前房内に投与する方法が報告されてい
る(Am. J. Ophthalmol., 113, 706-711 (1992) )。そ
こで上記文献に記載された方法に準じて本発明化合物の
眼圧への影響を検討した。
【0200】(実験方法)[実験動物] 動物は体重
4.0〜7.0kg、4〜7才齢の健常な雄性カニクイ
ザルを使用した。
【0201】[被験化合物溶液の調製] 使用被験化合
物はジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、りん
酸緩衝生理食塩液を加えて所定の濃度に(10-3M、1
%DMSO)希釈し、濾過滅菌して調製した。
【0202】[薬物投与方法] 塩酸ケタミン(5〜1
0mg/kg)を筋肉内投与して全身麻酔を施したカニ
クイザルに、マイクロシリンジおよび30G針を用い
て、被験化合物溶液(10μl)を片眼の前房内に投与
した。なお、他方の眼には基剤のみを投与した。
【0203】[測定方法] 眼圧測定は、被験化合物投
与直前、投与後所定時間に圧平式眼圧計を用いて行っ
た。なお、眼圧測定の際には塩酸ケタミン(5〜10m
g/kg)で全身麻酔したのち、局所麻酔剤の0.4%
塩酸オキシブプロカイン点眼液を1滴点眼した。
【0204】(結果)被験化合物投与t時間後の被験化
合物の眼圧に対する作用は、下記の眼圧下降値(mmHg)
で示す。
【0205】眼圧下降値(mmHg)=[IOP(V-t) -IOP(D-
t)]- [IOP(V-0) - IOP(D-0)] IOP(D-t):被験化合物投与t時間後の被験化合物投与眼
の眼圧 IOP(D-0):被験化合物投与直前の被験化合物投与眼の眼
圧 IOP(V-t):基剤投与t時間後の基剤投与眼の眼圧 IOP(V-0):基剤投与直前の基剤投与眼の眼圧
【0206】試験結果の一例として、被験化合物溶液
(化合物8−7)を前房内に注入後の最大眼圧下降値
(mmHg)を表2に示す。また、対照薬物としてエタクリ
ン酸を用いた結果も示す。
【0207】
【表2】 *)数値は6例の平均値を示す。
【0208】**)数値は5例の平均値を示す。
【0209】表2に示されるように、本発明化合物は優
れた眼圧下降作用を示した。また、比較対照薬物である
エタクリン酸に比べても優れた眼圧下降作用を示した。
【0210】3)レーザー誘発高眼圧動物モデルを用い
た点眼投与による眼圧下降作用薬物の眼圧下降作用を評
価する方法の一つとして、レーザー誘発高眼圧サルモデ
ルに薬物を点眼投与する方法が報告されている(Arch.
Ophthalmol., 105, 249-252 (1987))。そこで上記文献
に記載された方法に準じて本発明化合物の点眼投与によ
る眼圧下降作用を検討した。
【0211】(実験方法) [実験動物] 実験には、体重5〜6kgの雄性カニク
イザルを使用した。アルゴンレーザー(Coherent Radia
tion、Models 800)を用い、1週間間隔でサルの線維柱
帯に100〜150spots 照射して高眼圧眼にした4頭
5眼を使用した。なお、レーザー照射条件は1000m
W、0.2sec.に設定した。
【0212】[被験化合物溶液の調製] 被験化合物を
精製水に溶解後、濃グリセリンおよび塩化ナトリウムを
加えて浸透圧を1に、0.1M水酸化ナトリウム水溶液
でpHを7.4に調整し、0.3%溶液とした後、濾過
滅菌して調製した。
【0213】[薬物投与方法] まず、基剤の眼圧に及
ぼす影響を調べるため、基剤のみを1日2回(午前10
時および午後5時)1週間連続点眼した。次いで、被験
化合物溶液を1日2回(午前10時および午後5時)1
週間連続点眼した。
【0214】[測定方法] 眼圧測定は、薬物投与開始
前および点眼後所定時間に、圧平式眼圧計を用いて行っ
た。なお、眼圧測定は、測定1時間前にクロルプロマジ
ン(1mg/kg)を筋肉内投与して鎮静状態にしたカ
ニクイザルに、局所麻酔剤の0.4%塩酸オキシブプロ
カイン点眼液を1滴点眼したのち行った。
【0215】(結果)被験化合物溶液の午前点眼6時間
後の眼圧に対する作用を、下記式により求められる眼圧
変化差(mmHg)で示す。
【0216】眼圧変化差(mmHg)=[ IOP(D-6) - IOP
(D-0)]- [IOP(V-6)- IOP(V-0)] IOP(D-6):被験化合物溶液午前点眼6時間後の眼圧 IOP(D-0):被験化合物溶液投与開始前の眼圧 IOP(V-6):基剤午前点眼6時間後の眼圧 IOP(V-0):基剤投与開始前の眼圧
【0217】試験結果の一例として、被験化合物(化合
物8−7)溶液点眼後の眼圧変化差の経日変化を表3に
示す。
【0218】
【表3】
【0219】表中の数値は5眼の平均値を示す。
【0220】表3に示したように被験化合物(化合物8
−7)は優れた眼圧下降作用を示した。なお、前眼部の
障害性はすべての点眼期間を通じて認められなかった。
【0221】以上のことから、本発明化合物は優れた眼
圧下降作用を有しており、緑内障の治療剤として有用で
あることが認められた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 49/794 C07C 49/794 69/618 69/618 205/56 205/56 C07F 9/38 C07F 9/38 Z 9/40 9/40 Z (72)発明者 市川 正樹 奈良県生駒市高山町8916番−16 参天製薬 株式会社(奈良RDセンター)内 (72)発明者 須原 寛 大阪市東淀川区下新庄3丁目9番19号 参 天製薬株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式[I]で表される化合物およ
    びその塩類。 【化1】 [式中、R1 は水素原子、低級アルキル基またはフェニ
    ル基を示し、該フェニル基は、低級アルキル基、ヒドロ
    キシ基、低級アルコキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基ま
    たはフェニル基で置換されていてもよい。R2 およびR
    3 は同一かまたは異なって、水素原子、ハロゲン原子ま
    たは低級アルキル基を示す。R4 およびR5 は同一かま
    たは異なって、水素原子、低級アルキル基またはカルボ
    キシル基もしくはそのエステル基を示す。R6 はカルボ
    キシル基またはホスホノ基もしくはそれらのエステル基
    を示す。]
  2. 【請求項2】 1)R1 が水素原子、低級アルキル基ま
    たはフェニル基を示し、該フェニル基は低級アルキル
    基、ハロゲン原子、ニトロ基またはフェニル基から選択
    される基で置換されていてもよい;および/または2)
    4 およびR5 が同一かまたは異なって、水素原子、低
    級アルキル基またはカルボキシル基を示す;請求項1記
    載の化合物およびその塩類。
  3. 【請求項3】 1)R1 がフェニル基を示し、該フェニ
    ル基はハロゲン原子、ニトロ基またはフェニル基から選
    択される基で置換されていてもよい; 2)R2 およびR3 がともに水素原子を示す; 3)R4 およびR5 が同一かまたは異なって、水素原子
    または低級アルキル基を示す;および/または 4)R6 がカルボキシル基を示す;請求項1記載の化合
    物およびその塩類。
  4. 【請求項4】 1)R1 がフェニル基、ペンタフルオロ
    フェニル基、4−ニトロフェニル基または4−ビフェニ
    リル基を示す; 2)R2 およびR3 がともに水素原子を示す; 3)R4 およびR5 が同一かまたは異なって、水素原子
    またはメチル基を示す;および/または 4)R6 がカルボキシル基を示す;請求項1記載の化合
    物およびその塩類。
  5. 【請求項5】 4−[2−(2,3,4,5,6−ペン
    タフルオロフェニル)アクリロイル]桂皮酸、4−[2
    −(4−ニトロフェニル)アクリロイル]桂皮酸、4−
    (2−フェニルアクリロイル)桂皮酸、α−メチル−4
    −(2−フェニルアクリロイル)桂皮酸、β−メチル−
    4−(2−フェニルアクリロイル)桂皮酸よりなる群か
    ら選ばれる化合物およびそれらの塩類。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の化合物またはその塩類を
    有効成分とする医薬組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の化合物またはその塩類を
    有効成分とする房水流出改善剤。
  8. 【請求項8】 請求項1記載の化合物またはその塩類を
    有効成分とする眼圧下降剤。
JP13514199A 1998-05-25 1999-05-17 新規ビニルベンゼン誘導体 Expired - Fee Related JP3616867B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP13514199A JP3616867B2 (ja) 1998-05-25 1999-05-17 新規ビニルベンゼン誘導体

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP10-143307 1998-05-25
JP14330798 1998-05-25
JP13514199A JP3616867B2 (ja) 1998-05-25 1999-05-17 新規ビニルベンゼン誘導体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000044513A true JP2000044513A (ja) 2000-02-15
JP3616867B2 JP3616867B2 (ja) 2005-02-02

Family

ID=26469067

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP13514199A Expired - Fee Related JP3616867B2 (ja) 1998-05-25 1999-05-17 新規ビニルベンゼン誘導体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3616867B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004091662A1 (ja) * 2003-04-18 2004-10-28 Senju Pharmaceutical Co. Ltd. 角膜知覚回復剤
WO2008078762A1 (ja) * 2006-12-26 2008-07-03 Santen Pharmaceutical Co., Ltd. ウレア構造を有する新規n-(2-アミノフェニル)ベンズアミド誘導体

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004091662A1 (ja) * 2003-04-18 2004-10-28 Senju Pharmaceutical Co. Ltd. 角膜知覚回復剤
WO2008078762A1 (ja) * 2006-12-26 2008-07-03 Santen Pharmaceutical Co., Ltd. ウレア構造を有する新規n-(2-アミノフェニル)ベンズアミド誘導体
JP2008179624A (ja) * 2006-12-26 2008-08-07 Santen Pharmaceut Co Ltd ウレア構造を有する新規n−(2−アミノフェニル)ベンズアミド誘導体

Also Published As

Publication number Publication date
JP3616867B2 (ja) 2005-02-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100371297B1 (ko) 치환된티아졸리딘디온유도체
KR100284838B1 (ko) 새로운 아릴프로피온 유도체, 그 제조방법 및 진통제로서의 이용방법
US6329547B1 (en) Vinylbenzene derivatives
JP2943089B2 (ja) イソプレノイドホスホリパーゼ▲a2▼阻害剤およびそれを包含する製剤
AU2010321831B2 (en) 7-[3,5-dihydroxy-2- (3-hydroxy-5-phenyl-pent-1-enyl)- cyclopentyl]-N-ethyl-hept-5-enamide (bimatoprost) in crystalline form II, methods for preparation, and methods for use thereof
KR880001466B1 (ko) 피리딜 화합물의 제조방법
JP2008503567A (ja) α−アリールメトキシアクリレート誘導体を含有する代謝性骨疾患の予防及び治療用医薬組成物
JPH02240065A (ja) 脂肪族2‐ヒドロキシ酸と1‐ベンジル‐3‐ヒドロキシメチル‐インダゾールのエーテル
KR930001832B1 (ko) 천식 또는 특정 피부 질환의 치료를 위한 피리미돈 유도체 및 동족체
JPH0710852A (ja) ベンズオキサジン誘導体、その製法およびその治療上の応用
KR20010070966A (ko) 이상지혈증, 아테롬성 동맥 경화증 및 당뇨병의 치료에유용한 고리형 화합물, 약제학적 조성물 및 제조방법
JP3616867B2 (ja) 新規ビニルベンゼン誘導体
KR20010108437A (ko) Lta4 히드롤라제 저해제
JPH0692363B2 (ja) アゼチジン誘導体
JP2725378B2 (ja) カルバミド酸エステル誘導体
JP2948076B2 (ja) 新規チアゾリジンジオン化合物
JP3134097B2 (ja) オキサゾール化合物
IL93814A (en) History of benzothiophyranilamines, their preparation and pharmaceutical preparations containing them
CA2308478C (en) Indole derivatives useful as endothelin receptor antagonist
JP3733457B2 (ja) 新規シクロヘキシル脂肪酸誘導体
JP2002510283A (ja) 抗糖尿病性、低脂質性及び抗高血圧性を有する置換チアゾリンジオンとオキサゾリジンジオン
US4034100A (en) Antihypertensive agents
JP3677649B2 (ja) 新規1,2−ジフェニル−2−プロペン−1−オン誘導体
JPH01308227A (ja) プロテアーゼ阻害剤
WO1998013333A1 (fr) Derives de 2-amino-1-(4-hydroxy-2-methylphenyl)propanol

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20040427

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20040625

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040928

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20041025

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees