JP2000038301A - 植物の土壌病の感染抑制方法 - Google Patents

植物の土壌病の感染抑制方法

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JP2000038301A
JP2000038301A JP10208971A JP20897198A JP2000038301A JP 2000038301 A JP2000038301 A JP 2000038301A JP 10208971 A JP10208971 A JP 10208971A JP 20897198 A JP20897198 A JP 20897198A JP 2000038301 A JP2000038301 A JP 2000038301A
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成彬 川端
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 植物に病気を引き起こす病原微生物が土壌を
介して植物に侵入することを防止するための方法。 【解決手段】 【化1】 〔式中、Rはベンジル基または置換されたベンジル基、
1〜C18のアルキル基、アルケニル基、アリル基、ア
ルキニル基またはアリール基、Xはハロゲン原子〕で示
されるピリジニウム基を構造単位として含む高分子、オ
リゴマーまたは低分子化合物である感染抑制剤を土壌に
散布することにより、解決される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、土壌を介して植物
に病害を引き起こす病原性微生物に植物が感染すること
を抑制する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】果樹、穀物、野菜、観賞植物、街路樹、
芝生などの植物に病気を引き起こす病原微生物が土壌を
介して植物に進入することを防止するため、従来から種
々の殺菌剤や防除剤が使われている。
【0003】最も一般的な方法は、殺菌剤を用いて土壌
を殺菌する方法である。しかしながら、殺菌剤として用
いられる薬剤の約半分を占めているメチルブロミドには
オゾン層を破壊する性質があるため、2010年までに
使用を全面的に禁止する方針が国際条約によって既に決
められている。残りの約半分を占めているクロロピクリ
ンは極めて毒性の強い化学物質であり、人体や植物自体
に悪い影響を及ぼすため、休耕期間中に限定して使用さ
れる薬剤であり、植物の栽培期間中は使用することはで
きない。土壌殺菌法に代わる新しい方法の開発が緊急を
要する重要課題となっている。
【0004】土壌殺菌剤の他に種々の防除剤が使われて
いるが、これらの防除剤は特定の植物の特定の病害にし
か効果がないものが多く、汎用性に乏しい。分解性に乏
しく土壌に蓄積して汚染するものもあり、改善が望まれ
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の従来技
術の欠点を解消すべくなされたものである。本発明の
「植物の土壌病の感染抑制剤」を用いる方法には以下の
ような利点が期待される。 1)本発明に用いる「土壌病の感染抑制剤」は殺菌作用の
ような強い毒性を示さないので、人体や植物に対して安
全性が高い。 2)本発明の方法では、病原微生物を殺すことなく病害
を抑制するので、生態系を破壊する危険性が少ない。 3)本発明に用いる「土壌病の感染抑制剤」は作物等の
被処置植物および病原微生物の種類に関係なく用いるこ
とができるので汎用性がある。 4)本発明で「土壌病の感染抑制剤」として用いるピリ
ジニウム基を構造単位として含む分子は微生物によって
容易に分解されるので、土壌に散布しても土壌中で速や
かに分解され、プラスチック類のように分解されずに土
壌中に残留して環境を汚染する心配がない。
【0006】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
は、請求項2〜6に記載する「土壌病の感染抑制剤」を
植物の周囲の土壌に散布することを特徴とする、植物の
土壌病の感染抑制方法を提供するものである。
【0007】請求項2に記載の「土壌病の感染抑制剤」
は、請求項1に記載の発明において、植物が病原性微生
物に感染することを抑制する薬剤が
【化3】 〔式中、Rはベンジル基または置換されたベンジル基、
1〜C18のアルキル基、アルケニル基、アリル基、ア
ルキニル基またはアリール基、Xはハロゲン原子〕で示
される構造単位を含む分子(即ち、ピリジニウム基を含
む分子)であることを特徴とする、土壌病害の抑制方法
に属する。
【0008】本発明に使用するピリジニウム基を構造単
位として含む分子は、微生物に対する強い親和性および
微生物によって容易に分解される性質により、植物が病
原菌に感染する頻度を減少させ、病害の発生を抑制する
方法であり、水に可溶性であっても不溶性であってもよ
い。水に可溶性であれば、感染抑制効果に即効性があ
り、水に不溶性であれば感染抑制効果に持続性がある。
【0009】本発明に使用するピリジニウム基を含む分
子は低重合度あるいは高重合度のビニル系重合体として
用いてもよく、ビニル系重合体としては2−または4−
ビニルピリジンとビニルモノマーを共重合した後にハロ
ゲン化物を作用させて得られる、下記の一般式で表され
るビニル系重合体あるいは共重合体を使用することがで
きる。これらのピリジニウム基を含む分子の分子量は、
200〜10,000,000の範囲で用いるが、好まし
くは5,000〜300,000である。
【0010】本発明に使用するピリジニウム基を構造単
位として含む分子は、微生物に対する強い親和性および
微生物によって容易に分解される性質があればよく、例
えば水溶性を低くするためにスチレン、アクリル酸エス
テル、メタクリル酸エステル等との共重合体として、疎
水性を高くして使用してもよく、水に不溶性とするため
にジビニルベンゼン等の架橋性のジビニルモノマーとの
共重合体として使用してもよいが、微生物によって分解
される性質を弱めることは好ましくない。
【0011】
【化4】 〔式中、R1はベンジル基または置換されたベンジル
基、C1〜C18のアルキル基、アルケニル基、アリル
基、アルキニル基またはアリール基、Xはハロゲン原
子、R2は水素原子またはC1〜C3のアルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基、ベンジル基、置換ベンジル
基、エーテル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル
基、アリール基またはハロゲン原子である。m:nの割
合は5:95〜95:5の範囲である〕。
【0012】本発明の製剤は、一般に粉剤、乳剤、水和
剤等の形を取り得る。粉剤は、80%以上の固体希釈
剤、0.5〜5%の有効成分から成り、所望により補助
剤を含んでもよい。固体希釈成分の例は硅藻土、タル
ク、クレー、酸性白土、石英粉末、ベントナイトおよび
これらの混合物を含むが、これらに限定されない。補助
剤の例は吸油剤(含水珪酸、硅藻土)、滑剤(ステアリン
酸塩、固形パラフィン)、安定剤(トール油、リン酸、非
イオン界面活性剤)を含むが、これらに限定されない。
粉剤は水田等での使用に適している。
【0013】乳剤とする場合、有効成分を20〜50
%、乳化剤を50〜80%含み、所望により補助剤を含
む濃縮乳剤を調製し、これを用事希釈して用いる。乳化
剤の例としてはアニオン界面活性剤、非イオン界面活性
剤およびこれらの混合物を含むが、これらに限定されな
い。所望により希釈乳剤として当初から製剤することも
可能である。
【0014】水和剤は、10〜70%の有効成分を含
み、所望により補助剤を含み得る。使用前に大量の水と
混合して、懸濁液として散布する、補助剤の例は非イオ
ンまたはアニオン界面活性剤を含むが、これらに限定さ
れない。
【0015】液剤(乳剤、水和剤等)の散布は、一般に噴
霧器、ミスト機等を使用して噴霧する。一般に1平方メ
ートル当り、0.01〜0.1gの有効成分を散布する。
【0016】粉剤の散布は散布機を使用して行い、水田
に適している。ヘリコプター等を使用した空中散布も可
能である。また粉剤、液剤等を土壌中に混入や注入する
ことも可能である。
【0017】本発明の製剤は、水溶性を増大(低下)させ
るために、ポリエチレンやポリスチレン等の疎水性材料
の微細な粉末を混合して用いてもよく、水溶性を増大さ
せるために、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリ
ル酸などの水溶液を混合して用いてもよく、セルロー
ス、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸など
の親水性材料の微細な粉末を混合して用いてもよい。
【0018】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳細に説明す
る。 実施例1〜6の実験で使用する感染抑制剤の製造法 5リットルの三ツ口フラスコにスチレン(312g、3.
0モル)、4−ビニルピリジン(315g、3.0モル)、
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(4.4g、26.
8ミりモル)およびエタノール(1.5リットル)を入れ
て、窒素雰囲気下で攪拌しながら80℃で6時間重合を
行った。重合反応が終了した後に室温まで冷却し、塩化
ベンジル(380g、3.0モル)を加え、攪拌しながら
80℃で5時間反応を行った。塩化ベンジルとの反応が
終了した後に、反応混合物を酢酸エチルに注いでスチレ
ンとN−ベンジル−4−ビニルピリジニウムクロリドと
のモル比50:50の共重合体を沈殿させ、濾過して分
離した後に、減圧下に室温で恒量になるまで乾燥させ
た。本物質の推定分子量は186,000である。
【0019】実施例7および8の実験で使用する感染抑
制剤の製造方法 1リットルの三ツ口フラスコにメタクリル酸メチル(2
7.0g、0.27モル)、4−ビニルピリジン(28.4
g、0.27モル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリ
ル(0.44g、2.68ミリモル)およびエタノール(1
50ミリリットル)を入れて、窒素雰囲気下で攪拌しな
がら80℃で6時間反応を行った。重合反応が終了した
後に室温まで冷却し、塩化ベンジル(34.2g、0.2
7モル)を加え、攪拌しながら80℃で5時間反応を行
った。塩化ベンジルとの反応が終了した後に、反応混合
物を酢酸エチルに注いでメタクリル酸メチルとN−ベン
ジル−4−ビニルピリジニウムクロリドとのモル比5
0:50の共重合体を沈殿させ、濾過して分離した後
に、減圧下に室温で恒量になるまで乾燥させた。本物質
の推定分子量は231,000である。
【0020】発病指数を下記の5段階に分け、それぞれ
の苗の本数をA〜E株とし、式(1)を用いて発病指数を
算出した。 発病段階0:症状が全く現れていない(株数A) 発病段階1:先端部分の葉が萎れているが、他に症状が
認められない(株数B) 発病段階2:見た目は緑色で苗は直立しているが、苗全
体が萎れている(株数C) 発病段階3:見た目は緑色であるが、苗が倒れている
(株数D) 発病段階4:苗が枯れている(株数E) 発病指数=[B+2C+3D+4E]/4[A+B+C+
D+E]×100 全ての苗について症状が全く認められなければ発病指数
は0となり、全部の苗が枯れた場合は発病指数は100
となる。
【0021】
【実施例1】植物としてキュウリを選び、病原菌として
キュウリのつる割れ病を引き起こすフザリウム・オキシ
スポルムを選んだ。滅菌土壌にフザリウム・オキシスポ
ルムを混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中
のフザリウム・オキシスポルムの濃度は、土壌1g当り
2.0×105cfu/gであった。このモデル汚染土壌に第
2葉期のキュウリの苗を15株移植し、人工気象器に移
して25℃で育成を行った。6週間経過した段階で苗を
引き抜き、根の内部のフザリウム・オキシスポルムの濃
度を測定したところ、以下の結果が得られた。発病段階
0の苗が3株で、根の中のフザリウム菌の濃度は1.0
×106cfu/gであった。発病段階1の苗が1株で、根の
中のフザリウム菌の濃度は9.6×105cfu/gであっ
た。発病段階2の苗が1株で、根の中のフザリウム菌の
濃度は1.1×106cfu/gであった。発病段階4の苗が
10株で、根の中のフザリウム菌の濃度は2.6×107
cfu/gであった。以上の結果を平均すると、根の内部の
フザリウム・オキシスポルムの濃度は1.77×107cf
u/gであった。この場合、発病指数は72であった。
【0022】滅菌土壌にフザリウム・オキシスポルムを
混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中のフザ
リウム・オキシスポルムの濃度は土壌1g当り3.0×
105cfu/gであった。上記の「植物の土壌病の感染抑制
剤」を土壌1kg当り5mg配合して、感染抑制剤配合モデ
ル汚染土壌を調製した。この土壌に第2葉期のキュウリ
の苗を15株移植し、人工気象器に移して25℃で育成
を行った。6週間経過した段階で苗を引き抜き、根の内
部のフザリウム・オキシスポルムの濃度を測定したとこ
ろ、以下の結果が得られた。発病段階0の苗が3株で、
根の中のフザリウム菌の濃度は7.5×105cfu/gであ
った。発病段階1の苗が3株で、根の中のフザリウム菌
の濃度は7.2×105cfu/gであった。発病段階2の苗
が2株で、根の中のフザリウム菌の濃度は8.9×105
cfu/gであった。発病段階3の苗が1株で、根の中のフ
ザリウム菌の濃度は1.8×107cfu/gであった。発病
段階4の苗が6株で、根の中のフザリウム菌の濃度は
2.1×107cfu/gであった。以上の結果を平均する
と、根の内部のフザリウム・オキシスポルムの濃度は
1.00×107cfu/gであった。この場合、発病指数は
57であった。これらの結果から、土壌1g当り105c
fu/gのフザリウム・オキシスポルムを含むモデル汚染土
壌に対して、上記の「植物の土壌病の感染抑制剤」を土
壌1kg当り5mg配合すると、根の内部に侵入するフザリ
ウム菌の濃度が44%減少し、発病指数は21%低下し
た。
【0023】
【実施例2】滅菌土壌にフザリウム・オキシスポルムを
配合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中のフザ
リウム・オキシスポルムの濃度は、土壌1g当り2.1
×105cfu/gであった。このモデル汚染土壌に第2葉期
のキュウリの苗を6株移植し、人工気象器に移して25
℃で育成を行った。6週間経過した段階で6株の苗が全
て枯死し、根の内部のフザリウム・オキシスポルムの濃
度を測定したところ、2.8×107cfu/gであった。こ
の場合、発病指数は100であった。
【0024】滅菌土壌にフザリウム・オキシスポルムを
混合してモデル汚染土壌を調製した・この土壌中のフザ
リウム・オキシスポルムの濃度は土壌1g当り1.2×
105cfu/gであった。上記の「植物の土壌病の感染抑制
剤」を土壌1kg当り50mg配合し、感染抑制配合モデル
汚染土壌を調製した。この土壌に第2葉期のキュウリの
苗を6株移植し、人工気象器に移して、25℃で育成を
行った。6週間経過した段階で苗を引き抜き、根の内部
の病原菌の濃度を測定したところ、以下の結果が得られ
た。発病段階0の苗が3株で、根の中のフザリウム菌の
濃度は7.3×105cfu/gであった。発病段階1の苗が
1株で、根の中のフザリウム菌の濃度は7.3×105cf
u/gであった。発病段階2の苗が1株で、根の中のフザ
リウム菌の濃度は8.7×105cfu/gであった。発病段
階4の苗が1株で、根の中のフザリウム菌の濃度は2.
2×107cfu/gであった。以上の結果を平均すると、根
の内部のフザリウム・オキシスポルムの濃度は4.3×
106cfu/gであった。この場合、発病指数は29であっ
た。これらの結果から、土壌1g当り105cfu/gのフザ
リウム・オキシスポルムを含むモデル汚染土壌に対し
て、上記の「植物の土壌病の感染抑制剤」を土壌1kg当
り50mg配合すると、根の内部に侵入するフザリウム菌
の濃度が85%減少し、発病指数は71%低下した。
【0025】
【実施例3】植物としてトマトを選び、病原菌としてト
マト青枯病を引き起こすシュードモナス・ソラナセアル
ムを選んだ。滅菌土壌にシュードモナス・ソラナセアル
ムを混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中の
シュードモナス・ソラナセアルムの濃度は、土壌1g当
り2.0×106cfu/gであった。このモデル汚染土壌に
第2葉期のトマトの苗を91株移植し、人工気象器に移
して25℃で育成を行った。6週間経過した段階で苗を
引き抜き、根の内部のシュードモナス・ソラナセアルム
の濃度を測定したところ、以下の結果が得られた。発病
段階0の苗が23株で、根の中のシュードモナス菌の濃
度は1.1×107cfu/gであった。発病段階1の苗が1
4株で、根の中のシュードモナス菌の濃度は1.0×1
8cfu/gであった。発病段階2の苗が10株で、根の中
のシュードモナス菌の濃度は1.2×109cfu/gであっ
た。発病段階3の苗が7株で、根の中のシュードモナス
菌の濃度は1.8×109cfu/gであった。発病段階4の
苗が37株で、根の中のシュードモナス菌の濃度は3.
3×109cfu/gであった。以上の結果を平均すると、根
の内部のシュードモナス・ソラナセアルムの濃度は1.
63×109cfu/gであった。この場合、発病指数は56
であった。
【0026】滅菌土壌にシュードモナス・ソラナセアル
ムを混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中の
シュードモナス・ソラナセアルムの濃度は土壌1g当り
2.0×106cfu/gであった。上記の「植物の土壌病の
感染抑制剤」を土壌1kg当り50mg配合して、感染抑制
剤配合モデル汚染土壌を調製した。この土壌に第2葉期
のトマトの苗を21株移植し、人工気象器に移して25
℃で育成を行った。6週間経過した段階で苗を引き抜
き、根の内部のシュードモナス・ソラナセアルムの濃度
を測定したところ、以下の結果が得られた。発病段階0
の苗が4株で、根の中のシュードモナス菌の濃度は8.
0×106cfu/gであった。発病段階1の苗が13株で、
根の中のシュードモナス菌の濃度は8.2×107cfu/g
であった。発病段階2の苗が1株で、根の中のシュード
モナス菌の濃度は8.5×108cfu/gであった。発病段
階4の苗が3株で、根の中のシュードモナス菌の濃度は
2.6×109cfu/gであった。以上の結果を平均する
と、根の内部のシュードモナス・ソラナセアルムの濃度
は4.64×108cfu/gであった。この場合、発病指数
は30であった。これらの結果から、土壌1g当り10
6cfu/gのシュードモナス・ソラナセアルムを含むモデル
汚染土壌に対して、上記の「植物の土壌病の感染抑制
剤」を土壌1kg当り50mg配合すると、根の内部に侵入
するシュードモナス菌の濃度が72%減少し、発病指数
は47%低下した。
【0027】
【実施例4】−ベンジル−4−ビニルピリジニウムク
ロリドとスチレンのモル比50:50の共重合体が土壌
中で生分解を受けることを以下の実験によって確認し
た。この共重合体の極限粘度数を10g/lのMgCl
2・6H2Oを含むエタノールを溶媒として25℃で測定
したところ0.22dl/gであった。この共重合体10
gを湿重量で14.2gの活性汚泥と共に滅菌した土壌
1kgに混合し、室温で28日間静置した後に回収すると
重量が20%減少していた。回収した共重合体の極限濃
度粘度数は0.10dl/gに低下していた。この共重合
体は土壌中では3〜6ヶ月で消失すると推測される。
【0028】
【実施例5】−ベンジル−4−ビニルピリジニウムク
ロリドとスチレンのモル比50:50の共重合体に殺菌
作用がなく、土壌中に散布しても病原菌の濃度に殆ど影
響を与えないことを以下の実験によって確認した。滅菌
した土壌にフザリウム・オキシスポルムを混合して調製
したモデル土壌中のフザリウム・オキシスポルムの濃度
を測定すると3.7×105cfu/gであった。このモデ
ル汚染土壌1kgに対して、−ベンジル−4−ビニルピ
リジニウムクロリドとスチレンのモル比50:50の共
重合体を50mg配合し、室温で28日間静置した後に、
フザリウム・オキシスポルムの濃度を測定したところ、
4.4×105cfu/gであった。
【0029】
【実施例6】−ベンジル−4−ビニルピリジニウムク
ロリドとスチレンのモル比50:50の共重合体に殺菌
作用がなく、土壌中に散布しても病原菌の濃度に殆ど影
響を与えないことを以下の実験によって確認した。滅菌
した土壌にシュードモナス・ソラナセアルムを混合して
調製したモデル土壌中のシュードモナス・ソラナセアル
ムの濃度を測定すると8.3×105cfu/gであった。
このモデル汚染土壌1kgに対して、−ベンジル−4−
ビニルピリジニウムクロリドとスチレンのモル比50:
50の共重合体を50mg配合し、室温で30日間静置し
た後に、シュードモナス・ソラナセアルムの濃度を測定
したところ、1.0×106cfu/gであった。
【0030】
【実施例7】「植物の土壌病の感染抑制剤」として
ベンジル−4−ビニルピリジニウムクロリドとメタクリ
ル酸メチルのモル比50:50の共重合体を用いて以下
の実験を行った。植物としてキュウリを用い、病原菌と
してキュウリのつる割れ病を引き起こすフザリウム・オ
キシスポルムを用いた。滅菌土壌にフザリウム・オキシ
スポルムを混合してモデル汚染土壌を調製した。この土
壌中のフザリウム・オキシスポルムの濃度は、土壌1g
当たり4.0×106cfu/gであった。このモデル汚染
土壌に第2葉期のキュウリの苗を6株移植し、人工気象
器に移して25℃で育成を行った。4週間経過した段階
で苗を引き抜き、根の内部のフザリウム・オキシスポル
ムの濃度を測定したところ、以下の結果が得られた。発
病段階3の苗が2株で、根の中のフザリウム菌の濃度は
1.5×107cfu/gであった。発病段階4の苗が4株
で、根の中のフザリウム菌の濃度は2.5×107cfu/
gであった。以上の結果を平均すると、根の内部のフザ
リウム・オキシスポルムの濃度は2.2×107cfu/g
であった。この場合、発病指数は92であった。
【0031】滅菌土壌にフザリウム・オキシスポルムを
混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中のフザ
リウム・オキシスポルムの濃度は土壌1g当たり3.6
×106cfu/gであった。−ベンジル−4−ビニルピ
リジニウムクロリドとメタクリル酸メチルのモル比5
0:50の共重合体を土壌1kg当たり5mg配合して感染
抑制剤配合モデルを調製した。この土壌に第2葉期のキ
ュウリの苗を6株移植し、人工気象器に移して25℃で
育成を行った。4週間経過した段階で苗を引き抜き、根
の内部のフザリウム・オキシスポルムの濃度を測定した
ところ、以下の結果が得られた。発病段階0の苗が2株
で、根の中のフザリウム菌の濃度は7.2×105cfu/
gであった。発病段階1の苗が3株で、根の中のフザリ
ウム菌の濃度は7.9×105cfu/gであった。発病段
階2の苗が1株で、根の中のフザリウム菌の濃度は9.
5×105cfu/gであった。以上の結果を平均すると、
根の内部のフザリウム・オキシスポルムの濃度は7.9
×105cfu/gであった。この場合、発病指数は21で
あった。
【0032】滅菌土壌にフザリウム・オキシスポルムを
混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中のフザ
リウム・オキシスポルムの濃度は土壌1g当たり4.2
×106cfu/gであった。−ベンジル−4−ビニルピ
リジニウムクロリドとメタクリル酸メチルのモル比5
0:50の共重合体を土壌1kg当たり50mg配合して感
染抑制剤配合モデルを調製した。この土壌に第2葉期の
キュウリの苗を6株移植し、人工気象器に移して25℃
で育成を行った。4週間経過した段階で苗を引き抜き、
根の内部のフザリウム・オキシスポルムの濃度を測定し
たところ、以下の結果が得られた。発病段階0の苗が4
株で、根の中のフザリウム菌の濃度は7.0×105cfu
/gであった。発病段階1の苗が2株で、根の中のフザ
リウム菌の濃度は7.5×105cfu/gであった。以上
の結果を平均すると、根の内部のフザリウム・オキシス
ポルムの濃度は7.2×105cfu/gであった。この場
合、発病指数は8であった。
【0033】これらの結果から、土壌1g当たり106c
fu/gのフザリウム・オキシスポルムを含むモデル汚染
土壌に対して、−ベンジル−4−ビニルピリジニウム
クロリドとメタクリル酸メチルのモル比50:50の共
重合体を土壌1kg当たり5mg配合すると、根の内部に侵
入するフザリウム菌の濃度が96%減少し、発病指数は
77%低下した。−ベンジル−4−ビニルピリジニウ
ムクロリドとメタクリル酸メチルのモル比50:50の
共重合体を土壌1kg当たり50mg配合すると、根の内部
に侵入するフザリウム菌の濃度が97%減少し、発病指
数は92%低下した。
【0034】
【実施例8】「植物の土壌病の感染抑制剤」として
ベンジル−4−ビニルピリジニウムクロリドとメタクリ
ル酸メチルのモル比50:50の共重合体を用い、植物
としてトマトを用い、病原菌としてトマト青枯病を引き
起こすシュードモナス・ソラナセアルムを用いて以下の
実験を行った。滅菌土壌にシュードモナス・ソラナセア
ルムを混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中
のシュードモナス・ソラナセアルムの濃度は、土壌1g
当たり2.5×106cfu/gであった。このモデル汚染
土壌に第2葉期のトマトの苗を6株移植し、人工気象器
に移して25℃で育成を行った。4週間経過した段階で
苗を引き抜き、根の内部のシュードモナス・ソラナセア
ルムの濃度を測定したところ、以下の結果が得られた。
発病段階0の苗が2株で、根の中のシュードモナス菌の
濃度は1.0×107cfu/gであった。発病段階1の苗
が1株で、根の中のシュードモナス菌の濃度は9.5×
107cfu/gであった。発病段階4の苗が3株で、根の
中のシュードモナス菌の濃度は3.5×109cfu/gで
あった。以上の結果を平均すると、根の内部のシュード
モナス・ソラナセアルムの濃度は1.8×109cfu/g
であった。この場合、発病指数は54であった。
【0035】滅菌土壌にシュードモナス・ソラナセアル
ムを混合してモデル汚染土壌を調製した。この土壌中の
シュードモナス・ソラナセアルムの濃度は土壌1g当た
り3.0×106cfu/gであった。−ベンジル−4−
ビニルピリジニウムクロリドとメタクリル酸メチルのモ
ル比50:50の共重合体を土壌1kg当たり50mg配合
して感染抑制剤配合モデルを調製した。この土壌に第2
葉期のトマトの苗を6株移植し、人工気象器に移して2
5℃で育成を行った。6週間経過した段階で苗を引き抜
き、根の内部のシュードモナス・ソラナセアルムの濃度
を測定したところ、以下の結果が得られた。発病段階0
の苗が3株で、根の中のシュードモナス菌の濃度は1.
1×107cfu/gであった。発病段階1の苗が1株で、
根の中のシュードモナス菌の濃度は1.7×108cfu/
gであった。発病段階2の苗が1株で、根の中のシュー
ドモナス菌の濃度は1.1×109cfu/gであった。発
病段階4の苗が1株で、根の中のシュードモナス菌の濃
度は3.2×109cfu/gであった。以上の結果を平均
すると、根の内部のシュードモナス・ソラナセアルムの
濃度は7.5×108cfu/gであった。この場合、発病
指数は29であった。これらの結果から、土壌1g当た
り106cfu/gのシュードモナス・ソラナセアルムを含
むモデル汚染土壌に対して、−ベンジル−4−ビニル
ピリジニウムクロリドとメタクリル酸メチルのモル比5
0:50の共重合体を土壌1kg当たり50mg配合する
と、根の内部に侵入するシュードモナス菌の濃度が58
%減少し、発病指数は46%低下した。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 土壌病の感染抑制剤を植物の周囲の土壌
    に散布することを特徴とする、植物の土壌病の感染抑制
    方法。
  2. 【請求項2】 土壌病の感染抑制剤が 【化1】 〔式中、Rはベンジル基または置換されたベンジル基、
    1〜C18のアルキル基、アルケニル基、アリル基、ア
    ルキニル基またはアリール基、Xはハロゲン原子〕で示
    されるピリジニウム基を構造単位として含む化合物であ
    る、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 土壌病の感染抑制剤が式 【化2】 〔式中、R1はベンジル基または置換されたベンジル
    基、C1〜C18のアルキル基、アルケニル基、アリル
    基、アルキニル基またはアリール基、Xはハロゲン原
    子、R2は水素原子またはC1〜C3のアルキル基、アル
    ケニル基、アルキニル基、ベンジル基、置換ベンジル
    基、エーテル基、カルボキシル基、カルボン酸エステル
    基、アリール基またはハロゲン原子である。m:nの割
    合は5:95〜95:5の範囲である〕のピリジニウム
    型化合物である、請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 ピリジニウム型化合物の分子量が200
    〜10,000,000である、請求項1〜3のいずれか
    に記載の方法。
  5. 【請求項5】 ピリジニウム型化合物の分子量が5,0
    00から300,000である、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の方法。
  6. 【請求項6】 ピリジニウム型化合物のm:nの割合が
    10:90〜80:20である、請求項1〜3のいずれ
    かに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011037716A (ja) * 2009-08-06 2011-02-24 Nissan Chem Ind Ltd 抗菌性ハイパーブランチポリマー

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