JP2000027030A - ポリ乳酸モノフィラメントとその製造方法 - Google Patents
ポリ乳酸モノフィラメントとその製造方法Info
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Abstract
ることができる十分な強度と弾性率を有するポリ乳酸モ
ノフィラメントと、このポリ乳酸モノフィラメントを生
産性よく製造する方法を提供する。 【解決手段】 平均分子量が7万以上、光学純度が9
5.0〜99.5%のポリ−L−乳酸からなり、引張強
度が4.0g/d以上、初期弾性率が60g/d以上で
あり、かつ、密度が1.245g/cm3 以上である。
Description
がら、実用的に十分な強度と弾性率を有するモノフィラ
メントとその製造方法に関するものである。
防止するために、生分解性(微生物分解性又は自然分解
性)の素材を用いることが注目されており、その中でも
特に脂肪族ポリエステルからなる生分解性繊維が注目さ
れている。
ジャー用品、漁網、幼木保護、防虫、防鳥等のネット
類、法面保護緑化シート等への要望が強く、開発が望ま
れているが、脂肪族ポリエステルからなる生分解性モノ
フィラメントは、一般に強度が低くて透明性に乏しく、
釣糸等への適用が難しいとともに、耐熱性に劣るものが
多く、用途が限定されるという欠点がある。また、原料
ポリマーのコストが高く、工業的に安価に製造すること
が困難なものが多い。
れ、実用的な強度と耐熱性の成型物を製造することが可
能な生分解性樹脂であるが、延伸工程でミクロボイドに
よる白化が起こりやすく、物性が急激に低下するという
欠点がある。
は、ナイロンやポリエステルの製造方法で使用されるよ
うに二段目以降を熱風による乾熱延伸にすると、ほとん
ど延伸できない上、繊維が容易に切れてしまい、高強度
・高弾性率のポリ乳酸系モノフィラメントを得ることは
できないと記載されている。そして、熱水による延伸工
程を二工程以上行うことにより、高強度・高弾性率のポ
リ乳酸系モノフィラメントを得ることができると記載さ
れているが、この方法で高延伸倍率で延伸する場合は、
熱水処理時間(距離)を長くする必要があるとともに、
必要以上に高延伸倍率としなければならず、生産性及び
作業性が悪いという問題がある。また、この方法では、
0.400mm以上の太い断面直径で、高強度のモノフ
ィラメントを得ることは困難であった。
を解決し、生分解性を有しながら、産業資材用にも供す
ることができる十分な強度と弾性率を有するポリ乳酸モ
ノフィラメントと、このポリ乳酸モノフィラメントを生
産性よく製造する方法を提供することを技術的な課題と
するものである。
解決するために、次の構成を有するものである。 (1) 平均分子量が7万以上、光学純度が95.0〜9
9.5%のポリ−L−乳酸からなり、引張強度が4.0
g/d以上、初期弾性率が60g/d以上であり、か
つ、密度が1.245g/cm3 以上であることを特徴
とするポリ乳酸モノフィラメント。 (2) 平均分子量が7万以上である、光学純度95.0〜
99.5%のポリ−L−乳酸からなるモノフィラメント
を溶融紡出し、液浴中で一旦冷却固化した後、得られた
未延伸糸をポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温度+10)℃
以上の水浴中で2〜5倍に第一段延伸し、次いでポリ乳
酸樹脂の(ガラス転移温度+50)℃以上の温度で全延
伸倍率が6倍以上となるように第二段延伸することを特
徴とするポリ乳酸モノフィラメントの製造方法。
する。
−乳酸とD−乳酸の光学異性体の共重合体を主成分と
し、このうち、L−乳酸の光学純度が95.0〜99.
5%であることが必要である。乳酸は光学活性な炭素を
有しており、そのためにD体、L体の光学異性体が存在
する。ポリ乳酸は樹脂の改質において、他の共重合ポリ
マーを使用することなく、D体をL体に共重合させるこ
とにより、ポリ乳酸の結晶性や融点を低下させることが
できる。このL体とD体の比率は、耐熱性や生分解性に
影響する要因であり、L体の純度がこの範囲より低いと
結晶性が低下し、融点が低下して耐熱性の劣った繊維と
なるとともに生分解速度が速くなる。また、L体の純度
がこの範囲より高いと、結晶化が高いため生分解速度が
遅いモノフィラメントとなる。
あることが必要である。平均分子量がこの範囲より低い
と、十分な強度や弾性率を発揮することができないので
好ましくない。さらに、ポリ乳酸のメルトフローレート
は、JIS K−7210(試験条件14)において、
50g/10分以下であることが好ましい。メルトフロ
ーレートがこの範囲より高いと、吐出線速度が速く十分
な冷却ができ難くなり、後の延伸工程での操業性が低下
するとともに、基本性能の劣ったモノフィラメントとな
りやすい。
1.245g/cm3 以上とすることにより、初めて高
強度を発現することが可能となる。密度がこの範囲より
低いと、ミクロボイドの発生による基本物性の低下が起
こり好ましくない。
4.0g/d以上、初期弾性率が60g/d以上と優れ
たものである。特に初期弾性率を60g/d以上とする
ことで、釣糸やネットにしたときの張りが向上し、釣糸
であればあたりがよく分かり、ネット等にした場合は型
崩れせず、形態をしっかりと保持できる。そして、これ
らの物性を同時に満たすことにより、幅広い用途に使用
することができ、例えば、使用初期の力学特性の要求性
能が高い産業資材用途に使用することも可能となる。
の製造方法について説明する。
とD−乳酸の光学異性体の共重合体を主成分とし、L−
乳酸の光学純度が95.0〜99.5%であることが必
要である。L体の純度がこの範囲より低いと、耐熱性の
劣ったモノフィラメントしか得られず、また、L体の純
度がこの範囲より高いと、製糸性に劣り、本発明に適用
できない。
とが必要である。平均分子量がこの範囲より低いと、十
分な強度や弾性率を発揮することができない。また、ポ
リ乳酸のメルトフローレートは、JIS K−7210
(試験条件14)において、50g/10分以下である
ことが好ましい。メルトフローレートがこの範囲より高
いと、吐出線速度が速く十分な冷却ができ難くなり、後
の延伸工程での糸径斑の原因となるとともに、糸切れや
白化が起こりやすくなる。
酸モノフィラメントの基本特性を損なわない範囲におい
て、顔料、無機物、金属石鹸、無機フィラー、カーボン
ブラック、可塑剤、蛍光増白剤、末端封鎖剤、耐熱剤等
を添加することができる。
旦冷却した後、得られた未延伸糸をポリ乳酸樹脂の(ガ
ラス転移温度+10)℃以上の水浴中で2〜5倍に第一
段延伸し、次いでポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温度+5
0)℃以上の温度で全延伸倍率が6倍以上となるように
第二段延伸することにより、高強度、高弾性率のモノフ
ィラメントを得ることにある。
酸樹脂の(ガラス転移温度+10)℃以上、で2〜5
倍、好ましくは2.5〜4.5倍の範囲で延伸すること
が必要である。水浴の温度がこの範囲より低いと、熱量
の不足により、モノフィラメントの白化や密度低下が起
こるとともに基本物性が低下するので好ましくない。延
伸倍率が2倍より低いと、部分的に未延伸糸が発生し、
延伸が困難となるとともに糸斑の原因となり、5倍より
大きいとミクロボイドによる白化や密度低下が起こると
ともに基本特性が低下するので好ましくない。
や白化が起こると、第二段目以降で延伸を施しても、密
度の回復や白化の解消はもちろん、延伸倍率の上昇によ
る強度や弾性率の飛躍的な向上も望めない。
移温度+50)℃以上の雰囲気気体中、又は液浴中で全
延伸倍率が6倍以上となるように延伸することが必要で
ある。延伸温度がポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温度+5
0)℃より低いと、ミクロボイドの発生による白化が起
こりやすくなるとともに、高強度とするのに十分な延伸
倍率で延伸することができなくなり、十分な強度や弾性
率のモノフィラメントを得ることができなくなる。
延伸温度を100℃以上とすることができず、0.40
0mm以上の太い断面直径のモノフィラメントを延伸す
るには熱量不足となり、ミクロボイドによる密度低下や
白化が起こり、高強度・高弾性率のモノフィラメントを
製造することが困難となる。しかし、本発明を採用し、
第一段延伸目の延伸を行い、次いで第二段目の延伸をポ
リ乳酸樹脂の(ガラス転移温度+50)℃以上で延伸す
ることにより、0.400mm以上の太い断面直径を有
する高強度・高弾性率のモノフィラメントを得ることが
可能となる。
の具体的な製造方法について説明する。
度5〜30m/分で溶融紡出し、未延伸モノフィラメン
トを得る。この際の紡糸温度は190℃〜220℃とす
るのが適当であり、紡糸温度が低すぎると完全に溶融さ
せることが困難となり、高すぎるとポリマーの熱分解が
起こるので好ましくない。
は20〜80℃の液浴中で冷却固化される。冷却温度が
低すぎると温度管理が困難であるとともに作業性が悪く
なり、高すぎると冷却固化が不完全となるので好ましく
ない。冷却固化した未延伸モノフィラメントは、一旦巻
き取った後、又は、巻き取ることなく延伸される。
ができるが、本発明においては二段以上の延伸方法が採
用される。すなわち、ポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温度
+10)℃以上の水浴で2〜5倍の延伸倍率で第一段延
伸し、次いで、オーブンヒータ又はエチレングリコール
等の液浴を用いポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温度+5
0)℃以上の温度で全延伸倍率が6倍以上となるように
第二段目の延伸をする。その後、必要に応じて第三段目
の延伸及び/又は弛緩熱処理が施される。なお、第二段
延伸は、エチレングリコール等の液浴よりもオーブンヒ
ータを用い雰囲気気体中で施すのが安全面から好まし
い。
は、100〜3000dとなるようにするのが好まし
い。
上、好ましくはメルトフローレートが50g/10分以
下である、光学純度95.0〜99.5%のポリ−L−
乳酸からなるモノフィラメントを溶融紡出し、液浴中で
一旦冷却固化した後、得られた未延伸糸をポリ乳酸樹脂
の(ガラス転移温度+10)℃以上の水浴中で2〜5倍
に第一段延伸し、次いでポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温
度+50)℃以上での温度で全延伸倍率が6倍以上とな
るように第二段延伸することにより、引張強度が4.0
g/d以上、初期弾性率が60g/d以上、密度が1.
245g/cm3以上のポリ乳酸モノフィラメントを得
ることができる。また、本発明で得られたポリ乳酸モノ
フィラメントは、コンポスト化により容易に分解するこ
とが可能である。
る。なお、測定法と評価法は、次のとおりである。 (1) 引張強伸度特性 JIS L 1013に準じて測定した。 (2) メルトフローレート(MFR) JIS K−7210(試験条件14)に準じて測定し
た。 (3) 平均分子量 試料に0.4重量%クロロホルム溶液を用い、GPC測
定により測定し、スチレン換算で算出した数平均値を示
す。 (4) 密度 試料を臭化ナトリウム水溶液中で洗浄脱泡し、同水溶液
の勾配管(25℃)に投入、4時間後の浮遊位置により
求めた。 (5) ガラス転移温度 Perkin−Elmer社製のDSC−7を用いたD
SC測定において、20℃/分で200℃まで昇温し、
5分ホールドした後、−20℃/分で20℃まで降温
し、再び20℃/分で200℃まで昇温したとき、再昇
温時に現れるピーク値をガラス転移温度として求めた。 (6) 生分解性評価 試料を土壌中に12カ月間埋設した後取り出し、引張強
度を測定して初期引張強度に対する強度保持率で評価し
た。
ト、ガラス転移温度のポリ−L−乳酸をエクストルーダ
ー型溶融紡糸機に供給し、紡糸温度210℃で溶融し、
直径1.5mmの紡糸孔を4個有する口金から紡出し、
60℃の水浴中で冷却固化し、未延伸糸を得た。次いで
この未延伸糸を巻き取ることなく、表1の条件で熱水中
で第一段延伸し、次いでオーブンヒータを用い、表1に
示す温度の雰囲気気体中で第二段延伸を行い、1000
dのモノフィラメントを得た。得られたモノフィラメン
トの特性値を併せて表1に示す。
7mm)となるようにモノフィラメントを製造した。得
られたモノフィラメントの特性値を併せて表1に示す。
では、断面直径の大きい、高強度・高弾性率のポリ乳酸
モノフィラメントを得ることができた。
モノフィラメントを得た。得られたモノフィラメントの
特性値を併せて表2に示す。
伸倍率が低いので、得られたモノフィラメントは強度、
弾性率ともに劣るものであった。比較例2、6は延伸温
度が低いのでボイドによる白化が起こり、モノフイラメ
ントは密度が低下するとともに、強度も低いものであっ
た。また、比較例3は樹脂の平均分子量が低く、メルト
フローレートが高いため、水浴中での冷却を十分に行う
ことができず、比較例4では光学純度が低いため結晶化
が遅く、いずれもモノフイラメントの製造が困難であっ
た。次に、実施例5は光学純度が高く、延伸での白化と
切断が多発し、高強度・高弾性率のモノフィラメントを
採取することができなかった。比較例7は第一段目の延
伸倍率が低く、部分的に未延伸部分が存在したので、第
二段延伸で容易に切断が起こり、延伸糸を採取すること
ができなかった。さらに、比較例8は第一段目の延伸倍
率が高すぎたためにボイドによる白化が起こり、モノフ
イラメントは密度が低下するとともに、強度・弾性率と
もに低いものであった。
ら、産業資材用にも供することができる十分な強度と弾
性率を有するポリ乳酸モノフィラメントと、このポリ乳
酸モノフィラメントを生産性よく製造する方法が提供さ
れる。
Claims (3)
- 【請求項1】 平均分子量が7万以上、光学純度が9
5.0〜99.5%のポリ−L−乳酸からなり、引張強
度が4.0g/d以上、初期弾性率が60g/d以上で
あり、かつ、密度が1.245g/cm3 以上であるこ
とを特徴とするポリ乳酸モノフィラメント。 - 【請求項2】 平均分子量が7万以上である、光学純度
95.0〜99.5%のポリ−L−乳酸からなるモノフ
ィラメントを溶融紡出し、液浴中で一旦冷却固化した
後、得られた未延伸糸をポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温
度+10)℃以上の水浴中で2〜5倍に第一段延伸し、
次いでポリ乳酸樹脂の(ガラス転移温度+50)℃以上
の温度で全延伸倍率が6倍以上となるように第二段延伸
することを特徴とするポリ乳酸モノフィラメントの製造
方法。 - 【請求項3】 ポリ−L−乳酸のメルトフローレートが
50g/10分以下である請求項2記載のポリ乳酸モノ
フィラメントの製造方法。
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JP18847798A JP3599310B2 (ja) | 1998-07-03 | 1998-07-03 | ポリ乳酸モノフィラメントとその製造方法 |
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