JP2000025111A - スーパーカレンダー装置用ロールおよびその製造方法、並びにスーパーカレンダー装置 - Google Patents

スーパーカレンダー装置用ロールおよびその製造方法、並びにスーパーカレンダー装置

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JP2000025111A
JP2000025111A JP10197584A JP19758498A JP2000025111A JP 2000025111 A JP2000025111 A JP 2000025111A JP 10197584 A JP10197584 A JP 10197584A JP 19758498 A JP19758498 A JP 19758498A JP 2000025111 A JP2000025111 A JP 2000025111A
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sleeve
roll
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thermal expansion
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Toshio Hikichi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、ロール表面性の良い状態を長時間
持続させることができるスーパーカレンダー装置用ロー
ルを提供することを目的とする。 【解決手段】 本発明のスーパーカレンダー装置用ロー
ル3は、その外筒1にスリーブ2を篏装したものであ
る。ここで、スリーブ2はWC−Ni−Cr系の超硬合
金からなる。また、外筒1および軸4の熱膨張率に対す
るスリーブ2の熱膨張率の比は0.85〜1.40の範
囲にある。また、スリーブ2は、WC−Ni−Cr系の
混合粉末を円筒形状に仮焼結した後、この仮焼結により
得られた焼結体を熱間静水圧プレスすることにより得ら
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スーパーカレンダ
ー装置用ロールおよびその製造方法、並びにスーパーカ
レンダー装置に関する。
【0002】詳しくは、スリーブをWC−Ni−Cr系
の超硬合金からなるものとすることにより、ロール表面
性の良い状態を長時間持続させることができるようにし
たスーパーカレンダー装置用ロールおよびスーパーカレ
ンダー装置に係るものである。
【0003】また、外筒および軸の熱膨張率に対するス
リーブの熱膨張率の比を0.85〜1.40の範囲にす
ることにより、昇温時のスリーブの割れを防ぐことがで
きるようにしたスーパーカレンダー装置用ロールおよび
スーパーカレンダー装置に係るものである。
【0004】また、仮焼結により得られた焼結体を熱間
静水圧プレスすることにより、スリーブを研磨したとき
にピンホールの無い鏡面が得られるようにしたスーパー
カレンダー装置用ロールの製造方法に係るものである。
【0005】
【従来の技術】従来、磁気記録媒体の表面の艶出し、平
滑化、充填密度の向上、あるいは厚味の均一化を図るた
め、スーパーカレンダー装置が用いられてきた。図4
は、スーパーカレンダー装置に用いるロールの例を示し
たものであり、金属ロール5と弾性ロール6を交互に並
べ、この間に磁気記録媒体を通過させている。
【0006】ここで、金属ロール5については、工業用
クロム(Cr)メッキは硬度不足による耐摩耗性に不満
を感じながらも、鏡面が出し易い事、安価である事等、
金属ロールの作用面に必要な特性をほぼ満足するものと
して、現在も一般的に使われている(図3参照)。
【0007】しかし、最近の機速の増加に伴う接触圧力
の増加、使用温度域の高温側シフトによって、メッキ面
にクラックが頻発する様になった。
【0008】一方、磁気記録媒体は、デジタル記録の台
頭によって、記録密度が飛躍的に向上し、その表面性を
左右する金属ロールのクラックは、微少な物でも許され
ない状況になって来ている。この事はクロムメッキライ
フの大幅な悪化となって表われて来た。この様な状況を
背景として、WC−Co系の超硬合金を使った金属ロー
ルが開発されている(例えば特開昭60−34828号
公報)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のスーパーカレンダー装置用ロールおよびスーパ
ーカレンダー装置では、何点かの問題点がある。すなわ
ち、先ず第1にWC−Co系の超硬合金は耐蝕性が低
く、磁気記録媒体に内添してある、例えば有機酸によっ
て腐蝕する為、短寿命である。この特徴はクロムメッキ
を大幅に下回る。
【0010】また第2に、この合金は強磁性体であり、
塗布工程で配向磁化された磁気記録媒体の表面から脱落
した磁性粉が、吸着し、堆積する為、長時間の使用に耐
えない。ちなみにクロムメッキは非磁性なので磁性粉は
吸着しない。これら2つの原因により、スーパーカレン
ダー装置用ロールのロール表面性の良い状態を長時間持
続させることができなかった。
【0011】また第3に、超硬合金と一般的な誘導発熱
ロールの外筒部材質の熱膨張率の違いは無視できず、ス
リーブの引張り応力による割れが発生しやすいという問
題があった。
【0012】また第4に、超硬合金の緻密化処理を行っ
ていないため、超硬合金溶射被膜と同様のピンホール、
巣等に悩まされる事になり、クロムメッキのクラック問
題をクリアすることができなかった。したがって、スリ
ーブを研磨したときにピンホールの無い鏡面が得られな
かった。
【0013】本発明は、このような課題に鑑みてなされ
たものであり、ロール表面性の良い状態を長時間持続さ
せることができるスーパーカレンダー装置用ロールおよ
びスーパーカレンダー装置を提供することを目的とす
る。さらに、本発明は昇温時のスリーブの割れを防ぐこ
とができるスーパーカレンダー装置用ロールおよびスー
パーカレンダー装置を提供することを目的とする。また
さらに、本発明はスリーブを研磨したときにピンホール
の無い鏡面が得られるスーパーカレンダー装置用ロール
の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明のスーパーカレン
ダー装置用ロールは、その外筒にスリーブを篏装したス
ーパーカレンダー装置用ロールにおいて、スリーブがW
C−Ni−Cr系の超硬合金からなるものである。
【0015】また、本発明のスーパーカレンダー装置
は、その外筒にスリーブを篏装したロールを有するスー
パーカレンダー装置において、スリーブがWC−Ni−
Cr系の超硬合金からなるものである。
【0016】本発明のスーパーカレンダー装置用ロール
およびスーパーカレンダー装置によれば、スリーブがW
C−Ni−Cr系の超硬合金からなるので、スリーブは
酸に対して強い耐蝕性を有するとともに、非磁性を有す
る。
【0017】また、本発明のスーパーカレンダー装置用
ロールは、外筒および軸の熱膨張率に対するスリーブの
熱膨張率の比が0.85〜1.40の範囲にある上述構
成のものである。
【0018】また、本発明のスーパーカレンダー装置
は、外筒および軸の熱膨張率に対するスリーブの熱膨張
率の比が0.85〜1.40の範囲にある上述構成のも
のである。
【0019】本発明のスーパーカレンダー装置用ロール
およびスーパーカレンダー装置によれば、外筒および軸
の熱膨張率に対するスリーブの熱膨張率の比が0.85
〜1.40の範囲にあるので、熱膨張の差による応力の
発生を抑制することができる。
【0020】また、本発明のスーパーカレンダー装置用
ロールの製造方法は、WC−Ni−Cr系の混合粉末を
円筒形状に仮焼結する工程と、仮焼結により得られた焼
結体を熱間静水圧プレスする工程と、熱間静水圧プレス
により得られたものをロールの外筒に篏装する工程とを
有するものである。
【0021】本発明のスーパーカレンダー装置用ロール
の製造方法によれば、焼結体を熱間静水圧プレスするす
ることにより、焼結体内部のポアの発生を抑制すること
ができる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。まず、スーパーカレンダー装置用ロールに
係る発明の実施の形態について図1〜図2を参照しなが
ら説明する。
【0023】本発明は、磁性層が塗布された磁気記録媒
体(磁気テープなど)を、1対以上のロールで加圧し
て、磁気記録媒体の表面の艶出し、平滑化、充填密度の
向上、あるいは厚さの均一化を図るスーパーカレンダー
装置に使用する金属ロールに関するものである。図1
は、本発明のスーパーカレンダー装置用ロールを模式的
に表したものである。ここで、スーパーカレンダー装置
用ロールは、大きく分けて軸4、外筒1、およびスリー
ブ2より構成されている。
【0024】軸4は、図において左右2つの部分からな
り、長手方向に垂直な断面の中心に穴を有するほぼ円筒
の形状を有している。また、これらの軸4は、互いに向
き合うそれぞれの端面において段差部4aを有してい
る。
【0025】外筒1は、上述の軸4よりも大きな外径を
有する円筒であり、その両側の端部は上述した2つの軸
4の段差部4aで固定されている。ここでは、この外筒
1の外径として300mmのものを採用した。なお、外
筒1の外径は、この300mmに限定されるわけではな
く、この300mmよりも小さな外径はもちろん、30
0mmよりも大きな外径を採用することができる。
【0026】スリーブ2は、上述した外筒1の外径より
も大きな外径を有する円筒であり、外筒1に篏装されて
いる。ここで、スリーブ2の肉厚としては、15mmを
採用した。
【0027】また、スリーブ2の材質としてはタングス
テンカーバイド−ニッケル−クロム系(WC−Ni−C
r系)の超硬合金を用いた。また、スリープ2のビッカ
ース硬度はHv1000以上である。このスリーブ2の
硬度は、従来用いられているクロムメッキの硬度が、H
v800〜950の範囲内であるのに対して、非常に高
い値を示していることがわかる。
【0028】また、スリープ2の表面粗さは、Ra0.
01μm以下にする。この値よりも表面粗さが大きくな
ると、スリープ2の表面の凹凸が磁気記録媒体の表面に
転写され、その磁気記録媒体を使用したときに電磁特性
が低下してしまうという欠点が生じてしまうからであ
る。
【0029】また、スリーブ2は一定の圧入代を持って
外筒1に嵌装されている。ここで、圧入代としては、常
温において30〜60μmの値を採用した。なお、この
圧入代は、外筒の外径が300mmのときの値である。
ここで、圧入代が30μmより小さいとスリーブ2と外
筒1の間の摩擦力が小さくなり、スリーブ2が外筒1の
まわりをスリップするといった現象が生じるからであ
る。また、圧入代が60μmより大きいとスリーブの円
周方向に強い引っ張り応力が生じ、その結果スリーブ2
が割れるおそれがあるからである。
【0030】次に、スリーブ2の材料をWC−Ni−C
r系の超合金を用いた場合の効果について、WC−Co
系の超硬合金を用いた場合およびクロムメッキを用いた
場合との比較で、図2を参照しながら説明する。
【0031】図2Aは、スリーブ2の材料として、WC
−Ni−Cr系の超硬合金を用いた場合のロール表面性
と走行距離の関係を示したものである。ここで、縦軸
は、スリープ2の外表面の使用可能域を示したものであ
り、縦軸の上に行くほどロール表面性が悪くなり、下に
行くほどロール表面性が良くなることを意味している。
また、横軸は磁気記録媒体の走行距離を表したものであ
り、仕事時間と比例する値である。
【0032】図2Aからわかるように、磁気記録媒体を
走行させた当初においてはロール表面性は良好な状態に
ある。その後、磁気記録媒体の走行距離が増加するに従
いロール表面性は悪くなっていく。そして、磁気記録媒
体の走行距離が500万m程度に達するとロール表面性
は使用可能域の限界に達し、これ以上のカレンダリング
はできなくなる。そのため、この段階でスリーブ2の再
研磨が必要となる。再研磨後はロール表面性は走行当初
と同じ程度良好な状態となる。
【0033】このように、磁気記録媒体の走行距離が5
00万mに達するごとに再研磨を繰り返していけば、ス
リープ2の肉厚が機械的強度の限界に達するまで、スリ
ープ2をそのまま使用できることになる。
【0034】これに対して、ロール表面にクロムメッキ
をした場合について図示したものが図2Cである。すな
わち、一般的な金属ロールは、図3の略図で示す様に、
ロール外周面にクロムメッキを施し、これを鏡面状態に
研磨したものが多い。しかし、上述した様に、クロムメ
ッキはクラックの発生、及びその成長によってライフが
決まる事、及び本発明の超硬合金に比べて低硬度(Hv
800〜950)の為、傷付き等による表面性の劣化が
早く、図2Cに示すように、頻繁な再研磨を余儀なくさ
れ、また、メッキ層が薄くなったときは再メッキが必要
となる。
【0035】図2AのWC−Ni−Cr系の超硬合金に
比較して、再研磨に到る仕事時間が非常に短く、しか
も、時間の経過と共に、クラックが拡大進行する事で、
再研磨をしても当初の表面に戻らない状況がわかる。
【0036】一方、スリーブ2の材料としてWC−Co
系の超硬合金を使用した場合の結果は図2Bに示すとお
りである。すなわち、上述したクロムメッキを使用した
場合の状況を打破する為に、本質的にクラックの起こら
ない、しかも高硬度の超硬合金を作用面に採用したロー
ルである。しかし、この場合おいても、図2Bからわか
るように、再研磨までの走行距離は50万m程度となっ
ており、図2Aに示したWC−Ni−Cr系の超硬合金
を使用した場合に比較して、再研磨が必要な走行距離が
非常に短いことがわかる。
【0037】次に、本発明に用いたスリーブがこのよう
に優れている理由について考えてみる。まず、本発明に
おけるスリーブ2の耐蝕性について述べる。磁気記録媒
体の成分の一つである有機酸には、ミリスチン酸やオレ
イン酸等の脂肪酸や、クエン酸等が有るが、本発明に用
いるWC−Ni−Cr系の超硬合金は、これらの酸に対
して強い耐蝕性を持つ為、WC−Co系超硬合金の様
に、腐蝕によって表面が劣化するという事が無い。
【0038】また、本発明に用いる超硬合金は非磁性を
有するため、上述した様に、磁気記録媒体の表面から脱
落した、着磁されている磁性粉が吸着、堆積する様な事
は無い。
【0039】これらの事はロール表面の清掃頻度の低減
化と、再研磨に至る仕事時間の大幅な延長を可能にし
た。本発明のスリーブ2、すなわちWC−Ni−Cr系
の超硬合金を用いたスリーブ2においては、図2Aから
わかるように、再研磨までに走行距離500万mまでも
つことがわかる。このように再研磨までの耐久時間を大
幅に長くすることができた。すなわち、ロール表面性の
良い状態を長時間持続させることができた。
【0040】つぎに、外筒1および軸4の熱膨張率、並
びに、スリーブの熱膨張率の関係について説明する。
【0041】WC−Co系超硬合金には問題点が多々有
る事も前記した通りであるが、超硬合金と一般的な誘導
発熱ロール(例えばトクデン(株)製)の外筒部材質
(SUJ−2またはSCM系)の熱膨張率の違いは無視
できない。なぜなら常温で圧入代を零(零は、実際上は
スリーブが動くので有り得ない数字)と仮定しても使用
温度80℃の時で熱膨張の差(ロール径が300mmの
場合における、直径方向の熱膨張の差)が75〜80μ
mにもなり、スリーブの引張り応力による割れは避けら
れない。
【0042】本発明はこの問題をクリアする為に、誘導
発熱ロールの外筒及び軸の材質に42合金(42%Ni
残りFe)を採用し、熱膨張の差による応力の発生を大
幅に減らしている。すなわち、WC−Ni−Cr系の超
硬合金の熱膨張係数は5.2×10-6であり、外筒およ
び軸の熱膨張係数は4.5×10-6である。このよう
に、誘導発熱ロールの外筒および軸は、熱膨張率が使用
する超硬合金に近似した材料で製作し、昇温時のスリー
ブの割れを防ぐことができた。
【0043】この場合、軸4の熱膨張率についても考慮
する必要があるのは、図1からもわかるように、軸4の
熱膨張率が大きかった場合は、ロールが高温になること
により軸4がその直径方向に熱膨張し、その結果、外筒
1の直径を大きくするような応力が発生する。そのた
め、外筒1の両端付近は押し広げられる。その結果、外
筒の外側に存在するスリーブ2の両端付近も外側に押し
広げられることになり、スリーブ2の割れが発生しやす
くなるからである。
【0044】なお、軸および外筒の熱膨張率は、上述し
た値に限定されるわけではない。すなわち、使用温度が
常温〜150℃の場合、外筒および軸の熱膨張率に対す
る超硬合金の熱膨張率の比は0.85〜1.40の範囲
内にあることが望ましい。熱膨張率の比が0.85より
小さいとスリーブの割れが発生するおそれがあるからで
あり、また、熱膨張率の比が1.40よりも大きくなる
と外筒とスリーブの間に隙間が発生するからである。
【0045】また、使用温度が常温〜150℃の場合、
外筒および軸の熱膨張率に対する超硬合金の熱膨張率の
比は1.00〜1.20の範囲にあることがさらに望ま
しい。熱膨張率の比が1.00であることが理想的であ
り、また、熱膨張率の比が1.20以下であればスリー
ブ2の外筒1に対する固定がよりしっかりしているから
である。
【0046】次に、スリーブ2の肉厚について説明す
る。上述したように、スリーブの肉厚としては15mm
を採用した。また、上述したように、スリーブの材料と
してWC−Ni−Cr系の超硬合金を用いた場合は、磁
気記録媒体の走行距離が500万mに達するごとに再研
磨を繰り返していけば、スリープ2の肉厚が機械的強度
の限界に達するまで、スリープ2をそのまま使用できる
ことになる。このように、スリーブは十分な肉厚(10
mm以上)が有る為ロールの寿命が大幅に延びる。ま
た、クロムメッキの再メッキの様な外部業者への依存が
無い為、最小限のロール数で運用できる。
【0047】なお、スリーブ2の肉厚は、この15mm
に限定されるわけではなく、例えば、外筒の外径が20
0〜400mmで、最高使用圧力25ton/接触長さ
660mmの条件のもとでは、10〜40mmの範囲の
ものを採用することができる。ここで、スリーブ2の肉
厚が10mmより小さいと、スリーブの肉厚が薄くなる
ことによりスリーブの割れが発生しやすくなるという欠
点があり、また、スリーブの肉厚が40mmより大きい
なると、スリーブ自体の熱伝導が悪くなりスリーブの外
面における温度変化に対して急速に対応することが困難
になるという欠点が発生するからである。
【0048】次に、スーパーカレンダー装置用ロールの
製造方法に係る発明の実施の形態について説明する。ま
ず、スリーブ2を作製するためには、WC−Ni−Cr
系の混合粉末を円筒形状に仮焼結する。次に、上述した
仮焼結により得られた焼結体を熱間静水圧プレスする。
次に、上述した熱間静水圧プレスにより得られたもの
を、その外表面を研磨した後に、ロールの外筒に篏装す
る。
【0049】ここで、本発明で採用した熱間静水圧プレ
スについて述べる。超硬合金は粉末の圧縮焼結体であ
り、内部に若干のポアの発生は避け難い。これを鏡面研
磨すると、表面にピンホールとなって現われ、それが磁
気記録媒体に転写する。これはクロムメッキのクラック
と同じである。そこで、このポアをつぶして消滅させる
為、高温状態で等方的に高圧を、印加するいわゆる熱間
静水圧プレスを採用した。
【0050】この処理により、超硬合金は緻密化し、ピ
ンホールの無い鏡面が得られる。また、割れのきっかけ
となる穴がなくなるため、抗折力が大きくなり、スリー
ブの強度も上がる。このように、磁気記録媒体と接する
面、すなわちスリーブの外表面は熱間静水圧プレスによ
って緻密化した超硬合金となる。
【0051】以上のことから、本発明によれば、ロール
表面性の良い状態が長時間持続する為、ロール及び磁気
記録媒体の品質管理が容易になる。また、ロール表面性
の特に良い状態での使用時間も大幅に伸びている為、高
品位テープの生産も容易になる。
【0052】なお、本発明に係るスーパーカレンダー装
置用ロールは、一般的なスーパーカレンダー装置に適用
することができることはもちろんである。すなわち、1
例として図4に示すような、1対以上のロール構成を有
する、スーパーカレンダー装置に適用することができ
る。
【0053】また、本発明は上述の実施の形態に限らず
本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採
り得ることはもちろんである。
【0054】
【発明の効果】本発明は、以下に記載されるような効果
を奏する。スリーブが、WC−Ni−Cr系の超硬合金
からなるので、ロール表面性の良い状態を長時間持続さ
せることができる。また、外筒および軸の熱膨張率に対
するスリーブの熱膨張率の比が0.85〜1.40の範
囲にあるので、昇温時のスリーブの割れを防ぐことがで
きる。また、仮焼結により得られた焼結体を熱間静水圧
プレスするので、スリーブを研磨したときにピンホール
の無い鏡面が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】スーパーカレンダー装置用ロールに係る発明の
実施の形態を示す断面図である。
【図2】本発明に係るスーパーカレンダー装置用ロール
を用いた場合のロール表面性と走行距離との関係を、従
来例との比較において表した図である。
【図3】クロムメッキを施した従来のスーパーカレンダ
ー装置用ロールを表した断面図である。
【図4】スーパーカレンダー装置用ロールの配置と磁気
記録媒体のカレンダリングの様子を表した図である。
【符号の説明】
1‥‥外筒、2‥‥スリーブ、3‥‥ロール、4‥‥
軸、4a‥‥段差部、5‥‥金属ロール、6‥‥弾性ロ
ール、7‥‥クロムメッキ、8‥‥磁気記録媒体
フロントページの続き Fターム(参考) 3J103 AA02 AA14 AA36 AA83 EA13 EA14 FA01 FA12 FA15 FA30 GA02 GA26 HA03 HA35 4F209 AG01 AH38 AJ02 AJ09 PA03 PB02 PC16 PQ03 4K018 AD06 BA04 BA11 BA20 BC12 DA11 EA12 FA06 KA17 5D112 GB08

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その外筒にスリーブを篏装したスーパー
    カレンダー装置用ロールにおいて、 上記スリーブは、WC−Ni−Cr系の超硬合金からな
    ることを特徴とするスーパーカレンダー装置用ロール。
  2. 【請求項2】 外筒および軸の熱膨張率に対するスリー
    ブの熱膨張率の比が0.85〜1.40の範囲にあるこ
    とを特徴とする請求項1記載のスーパーカレンダー装置
    用ロール。
  3. 【請求項3】 WC−Ni−Cr系の混合粉末を円筒形
    状に仮焼結する工程と、 上記仮焼結により得られた焼結体を熱間静水圧プレスす
    る工程と、 上記熱間静水圧プレスにより得られたものをロールの外
    筒に篏装する工程とを有することを特徴とするスーパー
    カレンダー装置用ロールの製造方法。
  4. 【請求項4】 その外筒にスリーブを篏装したロールを
    有するスーパーカレンダー装置において、 上記スリーブは、WC−Ni−Cr系の超硬合金からな
    ることを特徴とするスーパーカレンダー装置。
  5. 【請求項5】 外筒および軸の熱膨張率に対するスリー
    ブの熱膨張率の比が0.85〜1.40の範囲にあるこ
    とを特徴とする請求項4記載のスーパーカレンダー装
    置。
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