JPH07188885A - 連続溶融金属めっき装置 - Google Patents

連続溶融金属めっき装置

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JPH07188885A
JPH07188885A JP33120593A JP33120593A JPH07188885A JP H07188885 A JPH07188885 A JP H07188885A JP 33120593 A JP33120593 A JP 33120593A JP 33120593 A JP33120593 A JP 33120593A JP H07188885 A JPH07188885 A JP H07188885A
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JP
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sleeve
roll shaft
roll
molten metal
bearing
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Application number
JP33120593A
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English (en)
Inventor
Moroo Nakagawa
師夫 中川
Junji Sakai
淳次 酒井
Mitsuo Taguchi
三夫 田口
Tomohito Ooyagi
智仁 大八木
Yoshio Takakura
芳生 高倉
Masatoshi Seki
正俊 関
Norihiko Okochi
敬彦 大河内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ロール軸及び軸受の耐性食性/耐摩耗性を向
上させ長寿命化を可能とする。 【構成】 溶融金属6中で少なくとも一つの軸受9に支
持されて回転し、それぞれの軸受9に支持されるそれぞ
れのロール軸8の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロール4,5を備えてなる溶融金属めっ
き装置であって、それぞれのスリーブは、それぞれのロ
ール軸8より熱膨張係数の小さい材料で形成されるとと
もに、常温組立時に所定の締め代で嵌合されている。 【効果】 ロール軸にセラミックスやサーメットなど熱
膨張係数が小さく、脆くしかも強度も小さいスリーブを
安全に組み立てることができ、ロールの交換頻度の減
少、生産性の向上、製品不良の低減効果がある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続溶融金属めっき浴
用ロール軸及び軸受に係り、特に溶融金属による腐食及
び面圧を受けながら回転するロール軸と軸受との間の摩
擦・摩耗を低減するのに好適な連続溶融金属めっき装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の連続溶融金属めっき装置において
は、ロール軸及び軸受材として、鋳鉄、ステンレス鋼又
は高クロム鋼等が用いられていたが、耐食性や耐摩耗性
を向上させるため種々の耐食性金属、例えばサーメット
又はセラミックス等を表面処理技術を利用して被膜して
いた。金属では溶融金属に対して腐食を皆無にすること
は難しく、そのためロールの稼働中に摩擦と同時に溶融
金属による腐食・摩耗が生じ、ロール軸及び軸受の摩耗
が急速に進むことが判った。また、サーメット又はセラ
ミックス等の表面処理被膜には小さな孔が存在するた
め、その孔を通して溶融金属が浸入し、母材を腐食する
ことが判った。さらに、表面処理被膜は剥離を生じるた
め非常に不安定で信頼性に乏しいことが判った。そこで
近年、特開平2−30310号公報や特開平5−440
02号公報に開示されるように、セラミックスやサーメ
ット等の複合部材のスリーブをロール軸に嵌合して摺動
部に使用する試みがなされている。しかし、ロール軸が
鉄系の金属であり、それにセラミックスやサーメットの
スリーブを嵌合して摺動部として使用する場合、使用温
度が高いため一般に行われている嵌合法を採用すること
ができない。そこで考えられるのはロール軸とスリーブ
との間に隙間を設けておき、温度上昇したときに適切な
締め代で嵌合がなされるようにする方法である。しか
し、溶融金属浴中で使用する場合には溶融金属が隙間に
入り込み、ロール軸の金属と反応して合金層を形成した
り、腐食したりするため適切な締め代で嵌合がなされな
ければスリーブの割れや緩みが発生する。従って、特開
平3−177552号公報に見られるように、ロール軸
とスリーブとの間に塑性変形可能な中間材を挿入して嵌
合することにより実用化が試みられている。しかし、そ
の方法は複雑であり組立て費用が高く工業的には不向き
である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の連続溶融金属め
っき装置にあっては、金属材料を用いたロール軸及び軸
受の摩耗損傷が大きいため、シンクロールを例にとる
と、溶融アルミニウムめっき浴中では4日、溶融亜鉛め
っき浴中では7日ほど連続運転するとロール軸及び軸受
の摩耗によりロール軸と軸受との間のがたが大きくな
り、振動が発生し均一なめっき鋼板が得られなくなる。
従って、一旦めっき作業を中止して、ロール軸及び軸受
を交換しなければならない。このため生産性が低下し、
ライン停止による不良鋼板の増加や交換費用等コスト高
の原因となっていた。
【0004】前記従来技術は、適切な材料やプロセス技
術の選定に関して十分な配慮がなされておらず、その結
果として所要の寿命を得ることができなかったり、セラ
ミックスやサーメットのような耐食性に優れた材料も実
用化に至っていない現状である。従って、ロール軸の摺
動部にセラミックスやサーメットのスリーブを、如何に
して安価にしかも信頼性を下げることなく組み立てるか
が課題となる。しかし、これらの材料は金属に比較して
熱膨張係数が小さいため、一般にロール軸として用いら
れている鉄鋼材料に嵌合することは難しい。すなわち、
これらの課題を解決するためには材料の特性を考慮し、
その材料に適した組立て条件を選定する必要がある。
【0005】本発明の目的は、ロール軸及び軸受の耐食
性・耐摩耗性を向上させ、溶融金属浴用ロール軸及び軸
受の長寿命化を図り、ダウンタイムを減らし、生産性の
向上及び鋼板の不良を削減することのできる連続溶融金
属めっき装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る連続溶融金属めっき装置は、ロールの
軸摺動部及び軸受の摺動部が溶融金属に対して耐食性が
あり、しかも溶融金属にある程度濡れて摩擦係数を下げ
ることが可能な材料か、または固体潤滑性のある材料を
用いることが必要となる。これらの課題を解決するため
の手段として固体潤滑性のあるセラミックスや金属とセ
ラミックスを混ぜ合わせたサーメットが有力な候補材と
なる。しかし、セラミックスやサーメットは金属に比較
して熱膨張係数が小さいため、一般に溶融金属浴用ロー
ル軸として用いられている鉄鋼材料に直接嵌合すること
は難しい。従って、本発明では、熱膨張係数の大きなロ
ール軸に熱膨張係数の小さなスリーブを嵌合する場合
に、使用状態において必要、かつ、十分な嵌合が得ら
れ、しかもスリーブの割れが起こらないようにすること
である。すなわち、溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのスリーブは、それぞれのロール軸
より熱膨張係数の小さい材料で形成されるとともに、常
温組立時に所定の締め代で嵌合されている構成とする。
【0007】そして溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成さ
れ、それぞれのスリーブは、鉄系の金属より熱膨張係数
の小さい複合部材で形成されるとともに、稼働中にそれ
ぞれのロール軸との間の熱膨張差により発生する応力が
それぞれのスリーブの破壊強度の1.5分の1〜3.5
分の1となるように嵌合されている構成でもよい。
【0008】また溶融金属中で少なくとも一つの軸受に
支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれぞ
れのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少な
くとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置に
おいて、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成され、
それぞれのスリーブは、鉄系の金属より熱膨張係数の小
さい複合部材で形成されるとともに、溶融金属中にそれ
ぞれのロールを浸せきし稼働中にそれぞれのロール軸と
の間に溶融金属の浸入を防止して嵌合されている構成で
もよい。
【0009】さらに溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成さ
れ、それぞれのスリーブは、鉄系の金属より熱膨張係数
の小さい複合部材で形成されるとともに、それぞれのロ
ール軸との間の接触圧力が常温組立時に5MPa以上と
なるように嵌合されている構成でもよい。
【0010】そして溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのスリーブは、それぞれのロール軸
より熱膨張係数の小さい材料で形成されるとともに、常
温組立時にそれぞれのロール軸との間の接触圧力が所定
値以上となる締め代を有し、稼働中にそれぞれのロール
軸との間の熱膨張差により発生する応力がそれぞれのス
リーブの破壊強度以下でかつ溶融金属の浸入を防止して
嵌合されている構成てもよい。
【0011】
【作用】本発明によれば、ロール軸へのスリーブの組立
ては、ロール軸の外径よりもスリーブの内径を小さく加
工し、スリーブを加熱して膨張させることにより嵌合す
る。熱膨張係数の異なるロール軸とスリーブとの組立て
に際して適切な締め代を設け、溶融金属にロールを浸せ
きした際に溶融金属が嵌合した部材間に侵入しないよう
にしたため、スリーブに割れが生じない。
【0012】以下、適切なロール軸の外径とスリーブの
内径の寸法差(締め代、直径表示)を設定する方法につ
いて説明する。ロール軸とスリーブの熱膨張係数が異な
る場合は組立て時と使用時の温度差ΔTにより締め代が
変化する。
【0013】すなわち、温度がΔT上昇したときのロー
ル軸の直径(2r1’)は(1)式で表わされる。
【0014】
【数1】
【0015】ここで、α1はロール軸の熱膨張係数、r1
は組立て前のロール軸の半径である。 また、温度がΔ
T上昇したときのスリーブの直径(2r2’)は(2)
式で表わされる。
【0016】
【数2】
【0017】ここで、α2はスリーブの熱膨張係数、r2
は組立て前のスリーブの内半径である。
【0018】従って、温度がΔT上昇したときのロール
軸とスリーブ間の締め代(δ’)は(3)式で表わされ
る。
【0019】
【数3】
【0020】ここで、δは組立て時のロール軸の外径と
スリーブの内径の寸法差(締め代、直径表示)、2r0
=2r1=2r2と置けば(3)式は(4)式のようにな
る。
【0021】
【数4】
【0022】更に、ロール軸とスリーブ間の接触面に発
生する半径方向応力(σR)は(5)式で表わされる。
【0023】
【数5】
【0024】ここで、E1はロール軸の弾性係数、E2
スリーブの弾性係数、ν1はロール軸のポアソン比、ν2
はスリーブのポアソン比、r3はスリーブの外半径であ
る。また、スリーブの内周縁に発生する円周方向応力
(σmax)は(6)式で表される。
【0025】
【数6】
【0026】従って、使用時にスリーブが割れないため
には(7)式の条件を満たさなければならない。
【0027】 σmax<σB ……(7) ここでσBはスリーブの引っ張り破壊強度である。すな
わち、σmaxが使用中にスリーブの破壊強度以下であ
り、かつ、使用初期にロール軸とスリーブ内面との間に
溶融金属が浸入しないような締結力が得られる接触圧力
(半径方向応力)を嵌合後に与えて置かなければならな
い。
【0028】
【実施例】ロール軸の外径とスリーブの内径の寸法差
(締め代、直径表示)δを選定するに当たって第一条件
は、使用初期にロール軸とスリーブ内面との間に溶融金
属が浸入しないような最低の接触圧力を知らなければな
らない。この条件が充たされれば(6)式及び(7)式
を用いて設計が可能である。
【0029】以下、本発明を実施するに当たって行った
実験及び実施例について説明する。
【0030】[実験1]ロール軸とスリーブ内面との間
に溶融金属が浸入しないような最低の接触圧力を知るた
め、ロール軸を模擬した直径2r1=100mm、長さ1
00mmの軸受鋼の軸に、外径2r3=120mm、内径2
2=100mm、長さ80mmの窒化珪素質セラミックス
等の複合部材製のスリーブを嵌合したものを用いた。ス
リーブの内径を変えることにより、締め代δを−0.2
0mmから0.10mmまで8段階に変えた。実験に用いた
金属浴は450℃の溶融亜鉛とした。ロール軸及びスリ
ーブの材料特性値を用い、(1)式から(6)式により
スリーブ内面の半径方向応力及び円周方向応力を計算し
た。また、部材を溶融亜鉛浴中に10時間保持したのち
試料を取り出し、スリーブに割れの生じていないものに
ついてはスリーブを軸方向に3分割し、ロール軸からス
リーブをとり外し亜鉛の浸入距離を測定した。表1は計
算及び実験結果を纏めたものである。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示した結果より軸受鋼の軸に外径2
3=120mm、内径2r2=100mm、長さ80mmの窒
化珪素質セラミックス製スリーブを嵌合した場合、締め
代δが−0.20mmの緩み嵌めしたものを除いて450
℃の溶融亜鉛浴中ではすべてのスリーブに割れが発生し
た。また、緩み嵌めした締め代δが−0.20mmのもの
には端面から50mmまで溶融亜鉛の浸入があり、これら
の材料の組合せは不適切であることがわかった。
【0033】[実験2]ロール軸とスリーブ内面との間
に溶融金属が浸入しないような最低の接触圧力を知るた
め、直径2r1=100mm、長さ100mmの軸受鋼製の
ロール軸に外径2r3=120mm、内径2r2=100m
m、長さ80mmの硼化物系サーメット製のスリーブを嵌
合したものを用いて実験を行った。スリーブの内径を変
えることにより、締め代δを0、0.02、0.05、
0.075、0.10、0.15、0.20mmの7段階に変
えた。実験に用いた金属浴は450℃の溶融亜鉛とし
た。ロール軸及びスリーブの材料特性値を用い、(1)
式から(6)式によりスリーブ内面の半径方向応力及び
円周方向応力を計算した。また、部材を亜鉛浴中に10
時間保持したのち取り出し、スリーブに割れの生じてい
ないものについてはスリーブを軸方向に3分割し、ロー
ル軸からスリーブをとり外し溶融亜鉛の浸入距離を測定
した。表2は計算及び実験結果を纏めたものである。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示した結果より、軸受鋼の軸に外径
120mm、内径100mm、長さ80mmの硼化物系サーメ
ット製のスリーブを嵌合した場合、締め代が0から0.
15mmのものには450℃の溶融亜鉛浴中でスリーブ割
れは起こらなかった。しかし、締め代が0から0.07
5mmものには溶融亜鉛の浸入がみられた。従って、嵌合
時の半径方向応力(接触圧力)は5MPa以上必要であ
ることがわかった。しかし、嵌合時の半径方向応力が1
0MPaになるとスリーブ割れが生じることがわかっ
た。
【0036】[実施例1]図1は溶融金属に接する製品
または部品の概略を示す。図1に示すように、溶融金属
6中で少なくとも一つの軸受9に支持されて回転し、そ
れぞれの軸受9に支持されるそれぞれのロール軸8の摺
動部の表面にスリーブを嵌合した少なくとも一つのロー
ル4,5を備えてなる溶融金属めっき装置であって、そ
れぞれのスリーブは、それぞれのロール軸8より熱膨張
係数の小さい材料で形成されるとともに、常温組立時に
所定の締め代で嵌合されている構成とする。すなわち、
スナウト1を経て供給されるストリップ2はめっき槽3
の中でシンクロール(ロール)4により方向が変えら
れ、サポートロール(ロール)5によりストリップの動
きが安定させられる。更に、めっき浴(溶融金属)6か
ら引き上げられたストリップ2はワイピングノズル7に
よりめっき厚みが調整される。めっき浴6中で使用され
るシンクロール4及びサポートロール5のロール軸8及
び軸受9は溶融金属によって潤滑されるため滑り軸受が
最も普及した構造となっている。
【0037】以下、本発明を連続亜鉛めっき用シンクロ
ールに実施した結果について説明する。
【0038】シンクロールの胴径は650mm、軸径は1
30mmで、それに外径150mm、幅25mmのスリーブを
4個つなげて嵌合する設計とした。シンクロールの材質
は低熱膨張係数の鋳鉄、スリーブの材質は熱膨張係数が
小さく、脆くしかも強度も小さい窒化珪素質セラミック
ス等の複合部材とした。鋳鉄の熱膨張係数は4.3×1
0~ 6m/m℃、窒化珪素質セラミックスのそれは3.2×
10~ 6m/m℃、また窒化珪素質セラミックスの引っ張り
強度は安全率を見込んで300MPaであるため、本発
明の結果から適正な締め代の範囲はδ=0.019〜0.
097mmとなる。従って、締め代が0.03mm及び0.0
6mmとなるような2種類のスリーブを製作し、スリーブ
を加熱膨張させることにより組み立てた。締め代が0.
03mmのとき、組立て後のスリーブ内面の接触圧力は
7.9MPa、稼働時のスリーブ内面の最大引っ張り応
力は175MPa、締め代が0.06mmのとき、組立て
後のスリーブ内面の接触圧力は15.9MPa、稼働時
のスリーブ内面の最大引張応力は231MPaと計算さ
れた。本ロールを連続亜鉛めっき浴中で5日間使用した
結果、外見上スリーブの摩耗や割れ等の損傷は見られ
ず、また軸とスリーブ間に亜鉛の浸入も認められず、本
発明の効果を実証することができた。
【0039】[実施例2]本実施例では、本発明の結果
を連続亜鉛めっき用サポートロールに実施した結果につ
いて説明する。サポートロールの胴径は250mm、軸径
は50mmで、それに外径80mm、幅30mmのスリーブを
2個つなげて嵌合する設計とした。サポートロールの材
質はステンレス鋼、スリーブの材質は硼化物系サーメッ
トとした。ステンレス鋼の熱膨張係数は15×10~ 6m
/m℃、硼化物系サーメットのそれは8.5×10~ 6m/m
℃、また硼化物系サーメットの引っ張り強度は安全率を
見込んで800MPaであるので本発明の結果から適正
な締め代の範囲はδ=0.003〜0.18mmとなる。従
って、締め代が0.005mm及び0.05mmとなるような
2種類のスリーブを製作し、スリーブを加熱膨張させる
ことにより組み立てた。締め代が0.005mmのとき、
組立て後のスリーブ内面の接触圧力は24.1MPa、
稼働時のスリーブ内面の最大引張応力は549MPa、
締め代が0.05mmのとき、組立て後のスリーブ内面の
接触圧力は32.1MPa、稼働時のスリーブ内面の最
大引っ張り応力は733MPaと計算された。本ロール
を連続亜鉛めっき浴中で10日間使用した結果、外見上
はスリーブの摩耗や割れ等の損傷が見られず、またロー
ル軸とスリーブとの間に溶融亜鉛の浸入も認められず、
本発明の効果を実証することができた。
【0040】一般に、材料強度はワイブル分布によって
表すことができる。ワイブル分布は低強度側に裾が広が
った非対称分布をしており、ある破壊確率で低強度側を
検定すると安全係数sとワイブル係数mとの間には統計
的関係が得えられている。構造材料として一般に使われ
ているセラミックス及びサーメットのワイブル係数を調
査した結果は5〜20にあることがわかった。工業的に
許容される破壊確率を100万分の1(1/106)と
して検定すると、ワイブル係数m=5の時に必要な安全
係数sは14.69と大きく、m=20の時はs=1.
95でよいことになる。従って、ロール軸にスリーブを
嵌合する際の設計は、使用するスリーブ材のワイブル係
数を求め適切な安全係数を設定する必要がある。
【0041】実験1及び実験2に使用したセラミックス
及びサーメットのワイブル係数を求めた結果は12.
3、17.8であった。従って、本発明のスリーブ材を
用いる場合には、ワイブル係数は10〜20の間にある
ので安全係数は3.18〜1.95の間で取ればよいこ
とになる。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、溶融金属中で使用され
るロールのロール軸にセラミックスやサーメット等の熱
膨張係数が小さく、脆くしかも強度も小さいスリーブを
安全に組み立てることができ、かつロールの損傷を低減
を図ることができるため、ロールの交換頻度が減少し、
生産性が向上して製品不良を低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続溶融金属めっき装置を示す部分図
である。
【符号の説明】
4 シンクロール 5 サポートロール 8 ロール軸 9 ロール軸受
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成6年1月20日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 連続溶融金属めっき装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、連続溶融金属めっき浴
用ロール軸及び軸受に係り、特に溶融金属による腐食及
び面圧を受けながら回転するロール軸と軸受との間の摩
擦・摩耗を低減するのに好適な連続溶融金属めっき装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の連続溶融金属めっき装置において
は、ロール軸及び軸受材として、鋳鉄、ステンレス鋼又
は高クロム鋼等が用いられていたが、耐食性や耐摩耗性
を向上させるため種々の耐食性金属、ーメット又はセ
ラミックス等を表面処理技術を利用して被膜していた。
金属では溶融金属に対して腐食を皆無にすることは難し
く、そのためロールの稼働中に摩擦と同時に溶融金属に
よる腐食・摩耗が生じ、ロール軸及び軸受の摩耗が急速
に進むことが判った。また、サーメット又はセラミック
ス等の表面処理被膜には小さな孔が存在するため、その
孔を通して溶融金属が浸入し、母材を腐食することが判
った。さらに、表面処理被膜は剥離を生じるため非常に
不安定で信頼性に乏しいことが判った。そこで近年、特
開平2−30310号公報や特開平5−44002号公
報に開示されるように、セラミックスやサーメット等の
複合部材のスリーブをロール軸に嵌合して摺動部に使用
する試みがなされている。しかし、ロール軸が鉄系の金
属であり、それにセラミックスやサーメットのスリーブ
を嵌合して摺動部として使用する場合、使用温度が高い
ため一般に行われている嵌合法を採用することができな
い。そこで考えられるのはロール軸とスリーブとの間に
隙間を設けておき、温度上昇したときに適切な締め代で
嵌合がなされるようにする方法である。しかし、溶融金
属浴中で使用する場合には溶融金属が隙間に入り込み、
ロール軸の金属と反応して合金層を形成したり、腐食し
たりするため適切な締め代で嵌合がなされなければスリ
ーブの割れや緩みが発生する。従って、特開平3−17
7552号公報に見られるように、ロール軸とスリーブ
との間に塑性変形可能な中間材を挿入して嵌合すること
により実用化が試みられている。しかし、その方法は複
雑であり組立て費用が高く工業的には不向きである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の連続溶融金属め
っき装置にあっては、金属材料を用いたロール軸及び軸
受の摩耗損傷が大きいため、シンクロールを例にとる
と、溶融アルミニウムめっき浴中では4日、溶融亜鉛め
っき浴中では7日ほど連続運転するとロール軸及び軸受
の摩耗によりロール軸と軸受との間のがたが大きくな
り、振動が発生し均一なめっき鋼板が得られなくなる。
従って、一旦めっき作業を中止して、ロール軸及び軸受
を交換しなければならない。このため生産性が低下し、
ライン停止による不良鋼板の増加や交換費用等コスト高
の原因となっていた。
【0004】前記従来技術は、適切な材料やプロセス技
術の選定に関して十分な配慮がなされておらず、その結
果として所要の寿命を得ることができなかったり、セラ
ミックスやサーメットのような耐食性に優れた材料も実
用化に至っていない現状である。従って、ロール軸の摺
動部にセラミックスやサーメットのスリーブを、如何に
して安価にしかも信頼性を下げることなく組み立てるか
が課題となる。しかし、これらの材料は金属に比較して
熱膨張係数が小さいため、一般にロール軸として用いら
れている鉄鋼材料に嵌合することは難しい。すなわち、
これらの課題を解決するためには材料の特性を考慮し、
その材料に適した組立て条件を選定する必要がある。
【0005】本発明の目的は、ロール軸及び軸受の耐食
性・耐摩耗性を向上させ、溶融金属浴用ロール軸及び軸
受の長寿命化を図り、ダウンタイムを減らし、生産性の
向上及び鋼板の不良を削減することのできる連続溶融金
属めっき装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
め、本発明に係る連続溶融金属めっき装置は、ロールの
軸摺動部及び軸受の摺動部が溶融金属に対して耐食性が
あり、しかも溶融金属にある程度濡れて摩擦係数を下げ
ることが可能な材料か、または固体潤滑性のある材料を
用いることが必要となる。これらの課題を解決するため
の手段として固体潤滑性のあるセラミックスや金属とセ
ラミックスを混ぜ合わせたサーメットが有力な候補材と
なる。しかし、セラミックスやサーメットは金属に比較
して熱膨張係数が小さいため、一般に溶融金属浴用ロー
ル軸として用いられている鉄鋼材料に直接嵌合すること
は難しい。従って、本発明では、熱膨張係数の大きなロ
ール軸に熱膨張係数の小さなスリーブを嵌合する場合
に、使用状態において必要、かつ、十分な嵌合が得ら
れ、しかもスリーブの割れが起こらないようにすること
である。すなわち、溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのスリーブは、それぞれのロール軸
より熱膨張係数の小さい材料で形成されるとともに、常
温組立時に所定の締め代で嵌合されている構成とする。
【0007】そして溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成さ
れ、それぞれのスリーブは、鉄系の金属より熱膨張係数
の小さい材料で形成されるとともに、稼働中にそれぞれ
のロール軸との間の熱膨張差により発生する応力がそれ
ぞれのスリーブの平均破壊強度の1.5分の1〜3.5
分の1となるように嵌合されている構成でもよい。
【0008】また溶融金属中で少なくとも一つの軸受に
支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれぞ
れのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少な
くとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置に
おいて、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成され、
それぞれのスリーブは、鉄系の金属より熱膨張係数の小
さい材料で形成されるとともに、溶融金属中にそれぞれ
のロールを浸せきし稼働中にそれぞれのロール軸との間
に溶融金属の浸入を防止して嵌合されている構成でもよ
い。
【0009】さらに溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成さ
れ、それぞれのスリーブは、鉄系の金属より熱膨張係数
の小さい材料で形成されるとともに、それぞれのロール
軸との間の接触圧力が常温組立時に5MPa以上となる
ように嵌合されている構成でもよい。
【0010】そして溶融金属中で少なくとも一つの軸受
に支持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれ
ぞれのロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少
なくとも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置
において、それぞれのスリーブは、それぞれのロール軸
より熱膨張係数の小さい材料で形成されるとともに、常
温組立時にそれぞれのロール軸との間の接触圧力が所定
値以上となる締め代を有し、稼働中にそれぞれのロール
軸との間の熱膨張差により発生する応力がそれぞれのス
リーブの破壊強度以下でかつ溶融金属の浸入を防止して
嵌合されている構成てもよい。
【0011】
【作用】本発明によれば、ロール軸へのスリーブの組立
ては、ロール軸の外径よりもスリーブの内径を小さく加
工し、スリーブを加熱して膨張させることにより嵌合す
る。熱膨張係数の異なるロール軸とスリーブとの組立て
に際して適切な締め代を設け、溶融金属にロールを浸せ
きした際に溶融金属が嵌合した部材間に侵入しないよう
、スリーブに割れが生じないようにした
【0012】以下、適切なロール軸の外径とスリーブの
内径の寸法差(締め代、直径表示)を設定する方法につ
いて説明する。ロール軸とスリーブの熱膨張係数が異な
る場合は組立て時と使用時の温度差ΔTにより締め代が
変化する。
【0013】すなわち、温度がΔT上昇したときのロー
ル軸の直径(2r1’)は(1)式で表わされる。
【0014】
【数1】
【0015】ここで、α1はロール軸の熱膨張係数、r1
は組立て前のロール軸の半径である。 また、温度がΔ
T上昇したときのスリーブの直径(2r2’)は(2)
式で表わされる。
【0016】
【数2】
【0017】ここで、α2はスリーブの熱膨張係数、r2
は組立て前のスリーブの内半径である。
【0018】従って、温度がΔT上昇したときのロール
軸とスリーブ間の締め代(δ’)は(3)式で表わされ
る。
【0019】
【数3】
【0020】ここで、δは組立て時のロール軸の外径と
スリーブの内径の寸法差(締め代、直径表示)、2r0
=2r1=2r2と置けば(3)式は(4)式のようにな
る。
【0021】
【数4】
【0022】更に、ロール軸とスリーブ間の接触面に発
生する半径方向応力(σR)は(5)式で表わされる。
【0023】
【数5】
【0024】ここで、E1はロール軸の弾性係数、E2
スリーブの弾性係数、ν1はロール軸のポアソン比、ν2
はスリーブのポアソン比、r3はスリーブの外半径であ
る。また、スリーブの内周縁に発生する円周方向応力
(σmax)は(6)式で表される。
【0025】
【数6】
【0026】従って、使用時にスリーブが割れないため
には(7)式の条件を満たさなければならない。
【0027】 σmax<σB ……(7) ここでσBはスリーブの引っ張り破壊強度である。すな
わち、σmaxが使用中にスリーブの破壊強度以下であ
り、かつ、使用初期にロール軸とスリーブ内面との間に
溶融金属が浸入しないような締結力が得られる接触圧力
(半径方向応力)を嵌合後に与えて置かなければならな
い。
【0028】
【実施例】ロール軸の外径とスリーブの内径の寸法差
(締め代、直径表示)δを選定するに当たって第一条件
は、使用初期にロール軸とスリーブ内面との間に溶融金
属が浸入しないような最低の接触圧力を知らなければな
らない。この条件が充たされれば(6)式及び(7)式
を用いて設計が可能である。
【0029】以下、本発明を実施するに当たって行った
実験及び実施例について説明する。
【0030】[実験1]ロール軸とスリーブ内面との間
に溶融金属が浸入しないような最低の接触圧力を知るた
め、ロール軸を模擬した直径2r1=100mm、長さ1
00mmの軸受鋼の軸に、外径2r3=120mm、内径2
2=100mm、長さ80mmの窒化珪素質セラミックス
のスリーブを嵌合したものを用いた。スリーブの内径
を変えることにより、締め代δを−0.20mmから0.1
0mmまで8段階に変えた。実験に用いた金属浴は450
℃の溶融亜鉛とした。ロール軸及びスリーブの材料特性
値を用い、(1)式から(6)式によりスリーブ内面の
半径方向応力及び円周方向応力を計算した。また、部材
を溶融亜鉛浴中に10時間保持したのち試料を取り出
し、スリーブに割れの生じていないものについてはスリ
ーブを軸方向に3分割し、ロール軸からスリーブをとり
外し亜鉛の浸入距離を測定した。表1は計算及び実験結
果を纏めたものである。
【0031】
【表1】
【0032】表1に示した結果より軸受鋼の軸に外径2
3=120mm、内径2r2=100mm、長さ80mmの窒
化珪素質セラミックス製スリーブを嵌合した場合、締め
代δが−0.20mmの緩み嵌めしたものを除いて450
℃の溶融亜鉛浴中ではすべてのスリーブに割れが発生し
た。また、緩み嵌めした締め代δが−0.20mmのもの
には端面から50mmまで溶融亜鉛の浸入があり、これら
の材料の組合せは不適切であることがわかった。
【0033】[実験2]ロール軸とスリーブ内面との間
に溶融金属が浸入しないような最低の接触圧力を知るた
め、直径2r1=100mm、長さ100mmの軸受鋼製の
ロール軸に外径2r3=120mm、内径2r2=100m
m、長さ80mmの硼化物系サーメット製のスリーブを嵌
合したものを用いて実験を行った。スリーブの内径を変
えることにより、締め代δを0、0.02、0.05、
0.075、0.10、0.15、0.20mmの7段階に変
えた。実験に用いた金属浴は450℃の溶融亜鉛とし
た。ロール軸及びスリーブの材料特性値を用い、(1)
式から(6)式によりスリーブ内面の半径方向応力及び
円周方向応力を計算した。また、部材を亜鉛浴中に10
時間保持したのち取り出し、スリーブに割れの生じてい
ないものについてはスリーブを軸方向に3分割し、ロー
ル軸からスリーブをとり外し溶融亜鉛の浸入距離を測定
した。表2は計算及び実験結果を纏めたものである。
【0034】
【表2】
【0035】表2に示した結果より、軸受鋼の軸に外径
120mm、内径100mm、長さ80mmの硼化物系サーメ
ット製のスリーブを嵌合した場合、締め代が0から0.
15mmのものには450℃の溶融亜鉛浴中でスリーブ割
れは起こらなかった。しかし、締め代が0から0.07
5mmものには溶融亜鉛の浸入がみられた。従って、嵌合
時の半径方向応力(接触圧力)は5MPa以上必要であ
ることがわかった。しかし、嵌合時の半径方向応力が1
0MPaになるとスリーブ割れが生じることがわかっ
た。
【0036】[実施例1]図1は溶融金属に接する製品
または部品の概略を示す。図1に示すように、溶融金属
6中で少なくとも一つの軸受9に支持されて回転し、そ
れぞれの軸受9に支持されるそれぞれのロール軸8の摺
動部の表面にスリーブを嵌合した少なくとも一つのロー
ル4,5を備えてなる溶融金属めっき装置であって、そ
れぞれのスリーブは、それぞれのロール軸8より熱膨張
係数の小さい材料で形成されるとともに、常温組立時に
所定の締め代で嵌合されている構成とする。すなわち、
スナウト1を経て供給されるストリップ2はめっき槽3
の中でシンクロール(ロール)4により方向が変えら
れ、サポートロール(ロール)5によりストリップの動
きが安定させられる。更に、めっき浴(溶融金属)6か
ら引き上げられたストリップ2はワイピングノズル7に
よりめっき厚みが調整される。めっき浴6中で使用され
るシンクロール4及びサポートロール5のロール軸8及
び軸受9は溶融金属によって潤滑されるため滑り軸受が
最も普及した構造となっている。
【0037】以下、本発明を連続亜鉛めっき用シンクロ
ールに実施した結果について説明する。
【0038】シンクロールの胴径は650mm、軸径は1
30mmで、それに外径150mm、幅25mmのスリーブを
4個つなげて嵌合する設計とした。シンクロールの材質
は低熱膨張係数の鋳鉄、スリーブの材質は熱膨張係数が
小さく、脆くしかも強度も小さい窒化珪素質セラミック
した。鋳鉄の熱膨張係数は4.3×10~ 6m/m℃、
窒化珪素質セラミックスのそれは3.2×10~ 6m/m
℃、また窒化珪素質セラミックスの引っ張り強度は安全
率を見込んで300MPaであるため、本発明の結果か
ら適正な締め代の範囲はδ=0.019〜0.097mmと
なる。従って、締め代が0.03mm及び0.06mmとなる
ような2種類のスリーブを製作し、スリーブを加熱膨張
させることにより組み立てた。締め代が0.03mmのと
き、組立て後のスリーブ内面の接触圧力は7.9MP
a、稼働時のスリーブ内面の最大引っ張り応力は175
MPa、締め代が0.06mmのとき、組立て後のスリー
ブ内面の接触圧力は15.9MPa、稼働時のスリーブ
内面の最大引張応力は231MPaと計算された。本ロ
ールを連続亜鉛めっき浴中で5日間使用した結果、外見
上スリーブの摩耗や割れ等の損傷は見られず、また軸と
スリーブ間に亜鉛の浸入も認められず、本発明の効果を
実証することができた。
【0039】[実施例2]本実施例では、本発明の結果
を連続亜鉛めっき用サポートロールに実施した結果につ
いて説明する。サポートロールの胴径は250mm、軸径
は50mmで、それに外径80mm、幅30mmのスリーブを
2個つなげて嵌合する設計とした。サポートロールの材
質はステンレス鋼、スリーブの材質は硼化物系サーメッ
トとした。ステンレス鋼の熱膨張係数は15×10~ 6m
/m℃、硼化物系サーメットのそれは8.5×10~ 6m/m
℃、また硼化物系サーメットの引っ張り強度は安全率を
見込んで800MPaであるので本発明の結果から適正
な締め代の範囲はδ=0.003〜0.18mmとなる。従
って、締め代が0.005mm及び0.05mmとなるような
2種類のスリーブを製作し、スリーブを加熱膨張させる
ことにより組み立てた。締め代が0.005mmのとき、
組立て後のスリーブ内面の接触圧力は24.1MPa、
稼働時のスリーブ内面の最大引張応力は549MPa、
締め代が0.05mmのとき、組立て後のスリーブ内面の
接触圧力は32.1MPa、稼働時のスリーブ内面の最
大引っ張り応力は733MPaと計算された。本ロール
を連続亜鉛めっき浴中で10日間使用した結果、外見上
はスリーブの摩耗や割れ等の損傷が見られず、またロー
ル軸とスリーブとの間に溶融亜鉛の浸入も認められず、
本発明の効果を実証することができた。
【0040】一般に、材料強度はワイブル分布によって
表すことができる。ワイブル分布は低強度側に裾が広が
った非対称分布をしており、ある破壊確率で低強度側を
検定すると安全係数sとワイブル係数mとの間には統計
的関係が得えられている。構造材料として一般に使われ
ているセラミックス及びサーメットのワイブル係数を調
査した結果は5〜20にあることがわかった。工業的に
許容される破壊確率を100万分の1(1/106)と
して検定すると、ワイブル係数m=5の時に必要な安全
係数sは14.69と大きく、m=20の時はs=1.
95でよいことになる。従って、ロール軸にスリーブを
嵌合する際の設計は、使用するスリーブ材のワイブル係
数を求め適切な安全係数を設定する必要がある。
【0041】実験1及び実験2に使用したセラミックス
及びサーメットのワイブル係数を求めた結果は12.
3、17.8であった。従って、本発明のスリーブ材を
用いる場合には、ワイブル係数は10〜20の間にある
ので安全係数は3.18〜1.95の間で取ればよいこ
とになる。この値より安全係数を大きくとることは可能
であるが、常温時の嵌合力を弱めるとともに、スリーブ
の厚さを増すこととなり、工業的に得策とは云えない。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、溶融金属中で使用され
るロールのロール軸にセラミックスやサーメット等の熱
膨張係数が小さく、脆くしかも強度も小さいスリーブを
安全に組み立てることができ、かつロールの損傷を低減
を図ることができるため、ロールの交換頻度が減少し、
生産性が向上して製品不良を低減できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の連続溶融金属めっき装置を示す部分図
である。
【符号の説明】 4 シンクロール 5 サポートロール 8 ロール軸 9 ロール軸受
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大八木 智仁 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 高倉 芳生 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内 (72)発明者 関 正俊 茨城県勝田市大字堀口832番地の2 株式 会社日立製作所素形材事業部内 (72)発明者 大河内 敬彦 茨城県勝田市大字堀口832番地の2 株式 会社日立製作所素形材事業部内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶融金属中で少なくとも一つの軸受に支
    持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれぞれ
    のロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少なく
    とも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置にお
    いて、それぞれのスリーブは、それぞれのロール軸より
    熱膨張係数の小さい材料で形成されるとともに、常温組
    立時に所定の締め代で嵌合されていることを特徴とする
    連続溶融金属めっき装置。
  2. 【請求項2】 溶融金属中で少なくとも一つの軸受に支
    持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれぞれ
    のロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少なく
    とも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置にお
    いて、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成され、そ
    れぞれのスリーブは、前記鉄系の金属より熱膨張係数の
    小さい複合部材で形成されるとともに、稼働中にそれぞ
    れのロール軸との間の熱膨張差により発生する応力がそ
    れぞれのスリーブの破壊強度の1.5分の1〜3.5分
    の1となるように嵌合されていることを特徴とする連続
    溶融金属めっき装置。
  3. 【請求項3】 溶融金属中で少なくとも一つの軸受に支
    持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれぞれ
    のロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少なく
    とも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置にお
    いて、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成され、そ
    れぞれのスリーブは、前記鉄系の金属より熱膨張係数の
    小さい複合部材で形成されるとともに、前記溶融金属中
    にそれぞれのロールを浸せきし稼働中にそれぞれのロー
    ル軸との間に前記溶融金属の浸入を防止して嵌合されて
    いることを特徴とする連続溶融金属めっき装置。
  4. 【請求項4】 溶融金属中で少なくとも一つの軸受に支
    持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれぞれ
    のロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少なく
    とも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置にお
    いて、それぞれのロール軸は鉄系の金属で形成され、そ
    れぞれのスリーブは、前記鉄系の金属より熱膨張係数の
    小さい複合部材で形成されるとともに、それぞれのロー
    ル軸との間の接触圧力が常温組立時に5MPa以上とな
    るように嵌合されていることを特徴とする連続溶融金属
    めっき装置。
  5. 【請求項5】 溶融金属中で少なくとも一つの軸受に支
    持されて回転し、それぞれの軸受に支持されるそれぞれ
    のロール軸の摺動部の表面にスリーブを嵌合した少なく
    とも一つのロールを備えてなる溶融金属めっき装置にお
    いて、それぞれのスリーブは、それぞれのロール軸より
    熱膨張係数の小さい材料で形成されるとともに、常温組
    立時にそれぞれのロール軸との間の接触圧力が所定値以
    上となる締め代を有し、稼働中にそれぞれのロール軸と
    の間の熱膨張差により発生する応力がそれぞれのスリー
    ブの破壊強度以下でかつ前記溶融金属の浸入を防止して
    嵌合されていることを特徴とする連続溶融金属めっき装
    置。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20020040020A (ko) * 2000-11-23 2002-05-30 이구택 그루브 마크 방지를 위한 씽크롤
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