JP3376922B2 - 摺動構造物及び摺動方法並びに連続溶融亜鉛めっき装置 - Google Patents

摺動構造物及び摺動方法並びに連続溶融亜鉛めっき装置

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JP3376922B2 JP21065898A JP21065898A JP3376922B2 JP 3376922 B2 JP3376922 B2 JP 3376922B2 JP 21065898 A JP21065898 A JP 21065898A JP 21065898 A JP21065898 A JP 21065898A JP 3376922 B2 JP3376922 B2 JP 3376922B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、溶融亜鉛浴中で使
用する摺動構造物及び摺動方法に関し、特に、連続溶融
亜鉛めっき装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、溶融亜鉛浴中で使用される部品
は、溶融亜鉛により溶損してしまう。特に、部品の中で
も摺動部材は、混合潤滑下にあり、激しく溶損してしま
う。そして、その摺動部が溶損してしまうと、鋼板の振
動や摺動部へのスラッジ等の巻き込みが激しくなってし
まい、摺動部の摩擦係数が変動してしまう。その結果、
摺動部材の摺動面の不均一な摩耗等によって、めっき板
の品質を劣化させてしまったり、軸受寿命も短くなって
しまう。
【0003】従来から、このような軸受には、ステンレ
ス鋼等の鉄鋼部材が用いられてきたが、溶融亜鉛により
腐蝕し、鋼板の振動,摺動面へのスラッジ等の巻き込み
により上記問題の解決は困難であった。
【0004】その対策として、特開昭61−37955 号,特
開昭62−127457号に記載のように、セラミックスを金属
表面に形成させて溶融亜鉛に対する耐溶損を改善する技
術が見受けられる。
【0005】また、特開昭61−15921 号,特開昭62−93
053 号,特開平2−30310号,特開平5−44002号に記載の
ように、セラミックスを構造材として金属部材に取り付
ける方法が実用化されてきた。
【0006】更に、特開平3−177552 号に記載のよう
に、サイアロンと炭素繊維強化黒鉛構造との組合せによ
り、摩擦係数の安定化と耐摩耗の向上が図られてきた。
しかし、長時間使用すると炭素繊維強化黒鉛構造側が摩
耗し、鋼板の振動,摺動面へのスラッジの巻き込み等が
生じ、大幅に改善するには至らなかった。
【0007】また、セラミックススリーブの複雑なはめ
合構造はメンテナンスを困難とし、高価になってしま
う。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】従来の連続溶融亜鉛め
っき用シンクロールやガイドロールの軸受部摺動面で
は、一方をステンレス,セラミックス,セラミックス溶
射,サーメット溶射とし、他方をステンレス,黒鉛系セ
ラミックス,セラミックス,セラミックス溶射とする組
合せであった。そして、種々のめっきラインに合理的な
組合せを模索してきたが、根本的な解決、即ち摺動部
(軸部,軸受け部)の長時間耐溶損,耐摩耗,摩擦係数
の安定化を得るに至っていない。耐溶損及び耐摩耗のど
ちらか一方を犠牲にしているのが現実である。
【0009】このような問題は、鋼板の振動や摺動面へ
のスラッジ等により、一時的及び局部的な混合潤滑条件
が崩れて、固体潤滑条件下となり摩擦係数と摩耗が増大
して板ブレが発生しやすくなる悪循環から来ることが判
明した。
【0010】本発明の目的は、摺動面の摩擦係数の上昇
を抑制して摺動部の摩擦係数を安定化し、耐摩耗性及び
耐溶損性を向上した摺動構造物及び摺動方法並びに連続
溶融亜鉛めっき装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の摺動構造物は、
溶融亜鉛めっき浴中で摺動する摺動構造物において、前
記摺動構造物の摺動面の一方をホウ化処理したホウ化処
理部材とし、他方を黒鉛を含有する黒鉛部材とすること
を特徴とする。
【0012】又は、本発明の摺動構造物は、溶融亜鉛め
っき浴中で摺動する摺動構造物において、前記摺動構造
物の摺動面の一方をホウ化処理したホウ化処理部材と
し、他方を黒鉛を含有する黒鉛部材とし、且つホウ化処
理された側の摺動面表面粗さを0.02〜3.0μRaと
することを特徴とする。
【0013】本発明の連続溶融亜鉛めっき装置は、溶融
亜鉛めっき浴を備え、連続的に鋼帯表面に溶融亜鉛めっ
きを施す連続溶融亜鉛めっき装置において、溶融亜鉛め
っき浴中で摺動するロール軸部側の摺動面及び軸受側の
摺動面のうち一方をホウ化処理したホウ化処理部材と
し、他方を黒鉛を含有する黒鉛部材とすることを特徴と
する。
【0014】本発明の連続溶融亜鉛めっき装置は、溶融
亜鉛めっき浴を備え、連続的に鋼帯表面に溶融亜鉛めっ
きを施す連続溶融亜鉛めっき装置において、ガイドロー
ル又はシンクロールのロール軸部側の摺動面及び軸受側
の摺動面のうち一方をホウ化処理したホウ化処理鋼と
し、他方を黒鉛を含有する炭素繊維強化型黒鉛部材と
し、前記ホウ化処理鋼の摺動面の表面粗さを0.02〜
3.0μRaとすることを特徴とする。
【0015】本発明の摺動方法は、溶融亜鉛めっき浴中
で摺動する摺動方法において、摺動面の一方をホウ化処
理したホウ化処理部材とし、他方を黒鉛を含有する黒鉛
部材とし、摺動中に前記ホウ化処理部材の摺動面の凹部
に前記黒鉛の一部を入り込ませて、前記ホウ化処理部材
の摺動面を平滑にしながら摺動することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】連続溶融亜鉛めっき装置で用いる
シンクロールやガイドロール等の軸受部の摺動面の一方
をホウ化処理した部材とし、他方を黒鉛系部材とするこ
とにより、溶融亜鉛めっき浴中での摺動特性の向上を図
ることが出来る。
【0017】例えば、軸受部の摺動面の一方の側の部材
をホウ化処理し、溶融亜鉛に対して耐蝕性のあるホウ化
物層を表面に生成させる。この生成されたホウ化物層
は、ほぼ均一でしかもその表面粗度は適切な範囲にある
ことが望ましい。
【0018】そして、ホウ化処理部材としては、金属の
表面にホウ化処理を施したホウ化処理鋼やセラミックス
の表面にホウ化処理を施したホウ化処理系セラミックス
等があげられる。ここで、ホウ化処理系セラミックスに
比べて、ホウ化処理鋼の方が種々の形状に加工しやす
く、加工性を考慮するとホウ化処理鋼を用いることが望
ましい。また、ホウ化処理鋼は、亜鉛めっき浴中で用い
る摺動部材として適している。即ち、アルミめっき等で
は使用温度が高く、ホウ化処理鋼とアルミが反応してし
まい、ホウ化処理鋼表面の摺動特性が劣ってしまうが、
亜鉛めっき浴は使用中に約500℃以下の温度(おおよ
そ450〜480℃)であり、ホウ化処理鋼は亜鉛と反
応しづらく、その摺動特性が維持される。
【0019】また、軸受部の摺動面の他方の側は、粉末
焼結した黒鉛材料等、又は炭素繊維強化型黒鉛材料、更
に、前記黒鉛材料にサーメット,セラミックス等を一部
組み込んだ構造等の黒鉛系部材が望ましい。ここで、炭
素繊維強化型黒鉛材料は、摩耗しづらい上に、黒鉛を含
有しているため、摺動面の他方の側として適している。
【0020】次に、軸受部の摺動面の一方側をホウ化処
理鋼部品、これと摺動する他方側を例えば炭素系セラミ
ックスとして、溶融亜鉛めっき浴(10%以下のAl含
可)で使用するときの摺動面の作用を以下に説明する。
【0021】前述のような摺動面では、軸受部の摺動面
の他方側の黒鉛の一部が一方側のホウ化処理部の微細な
凹部に入り込み、摺動面を滑らかにする。そのため、連
続溶融亜鉛めっきラインの鋼板の振動が抑制される。
【0022】また、従来では、摺動面にスラッジを巻き
込んでしまい、一時的に局部固体潤滑条件下の摺動とな
ってしまう。このような局部固体潤滑条件下の摺動で
は、摩擦係数が上昇してしまうという問題があった。
【0023】これに対して、本発明を適用すると、軸受
部の摺動面の他方側の黒鉛の一部が一方側のホウ化処理
部の微細な凹部に入り込み、摺動面を滑らかにするた
め、摩擦係数の上昇を抑制することが出来、それと同時
に耐摩耗性の向上を達成することができる。
【0024】つまり、具体的には、図1に示すように、
摺動面3の一方を黒鉛系セラミックス1とし、他方をホ
ウ化処理された鋼(ホウ化処理鋼2)とし、この両者が
溶融亜鉛めっき浴中で摺動すると、黒鉛系セラミックス
1中の黒鉛がホウ化処理鋼2の摺動面に存在する微細な
凹部に入り込んでホウ化処理鋼2の摺動面表面を平滑化
することができる。図1中では、ホウ化処理鋼2の摺動
面となる表面の凹部に黒鉛4が入り込んだ状態で両者の
摺動面が摺動するため、摺動特性が向上する。このよう
な黒鉛の入り込み現象によって溶融亜鉛めっき浴中で平
滑な摺動面を維持することが出来、摩擦係数の変動を少
なくし、且つ摩擦係数を減少することが出来る。
【0025】また、このような黒鉛の入り込み現象は、
ホウ化処理鋼2の表面状態に影響されることが判明し
た。この表面状態に関しての摺動特性を示したものを図
8に示す。
【0026】図8は、ホウ化処理鋼(Fe2B+FeB)
と炭素繊維強化型黒鉛部材とを摺動させて、摩擦係数が
0.2 以下で安定するまでに要する時間を、ホウ化処理
鋼側の摺動面の表面粗さを変化させて調べたものであ
る。
【0027】図8に示すように、表面粗さが0.02μ
Ra 未満の場合には、摩擦係数が0.2 以下にほとん
ど安定しない。また、表面粗さが0.02〜3.0μRa
の範囲の場合には、短時間で摩擦係数が0.2 以下に安
定している。更に、表面粗さが3.0μRa を超える
と、摩擦係数が0.2 以下に安定するまでに時間を要
し、表面粗さが4.0μRa を超えると、摩擦係数が
0.2以下に安定しづらくなる。
【0028】つまり、このホウ化処理部材の表面粗度が
0.02μRa 未満の場合は、黒鉛の付着が少ないので
摺動性があまり向上せず、3.0μRa を超える場合
は、黒鉛系セラミックス1側が削り取られてしまい、摩
耗が多くなってしまう。
【0029】このことから、黒鉛を含む部材と摺動する
相手材であるホウ化処理部材の表面粗さを、0.02〜
3.0μRaとすることにより、更に、摩擦係数の変動
量減少及び摩擦係数減少が可能となることがわかった。
ここで、摩擦係数の安定性を考慮すると、この表面粗さ
は、0.7〜2.5μRaの範囲が望ましく、0.8〜2.4
μRaの範囲がより望ましい。
【0030】なお、ホウ化処理部材の表面粗さを平均粗
さRaで示したが、最大粗さRmaxで示すと、黒鉛を含
む部材と摺動する相手材であるホウ化処理部材の表面粗
さを、約0.08〜12.0μRmax とすることにより、
摩擦係数の変動量減少及び摩擦係数減少が可能となる。
また、摩擦係数の安定性を考慮すると、この表面粗さ
は、約2.8〜10.0μRmax の範囲が望ましく、約
3.2〜9.6μRmax の範囲がより望ましい。
【0031】ここで、本発明を適用する溶融亜鉛めっき
浴を備えた連続溶融亜鉛めっき装置を説明する。図7に
示すように、この装置では、亜鉛めっきされるストリッ
プ7は、亜鉛めっき浴槽6中のめっき浴9に導入され
る。このめっき浴9中で、ストリップ7はシンクロール
8によって方向を変えられ、垂直方向で上方向に搬送さ
れる。その後、ガイドロール10を経てめっき浴9から
引き出され、ワイピングノズル5によりめっき厚みが調
整される。ここで、ガイドロール10及びシンクロール
8はめっき浴9中に配置され、それらの軸受け摺動部分
もめっき浴9中に配置されている。
【0032】次に、このような軸受摺動部分が溶融亜鉛
めっき浴中に配置されるシンクロール8やガイドロール
10に本発明を適用した実施例を下記に説明する。
【0033】(1)本発明を連続溶融亜鉛めっき装置の
ガイドロール10の摺動部に用いた一実施例を以下に説
明する。本実施例では、ガイドロール10の軸部側摺動
面をホウ化処理部材とし、軸受側摺動面を黒鉛系部材と
した。
【0034】ホウ化処理部材としては、その母材とし
て、構造材用炭素鋼(S45C)を、外径80mm,内径
60mm,長さ60mmの円筒状に加工したものを用いた。
この加工された円筒状鋼の外周面にホウ化処理を施し
て、ホウ化層厚さ150μmm,表面粗さ1.0μRa の
軸スリーブ12を製作した。ここで、本実施例では、母
材として鋼を用いたが他の材質、例えば、サーメットセ
ラミックス等を用いても良い。
【0035】図4に、ガイドロール10の軸部断面図を
示す。図4に示すように、前述したホウ化処理された軸
スリーブ12をガイドロール10のロール軸11に取り
付けた。そして、本実施例では、軸スリーブ12がロー
ル軸方向にずれないように、スリーブ押えリング13を
介して溶接トメ14で固定した。このガイドロール10
のロール軸11に取り付けられた軸スリーブ12の外周
面がロール軸11側の摺動面となる。
【0036】本実施例では、軸スリーブ12のガイドロ
ール10への取り付けを溶接によって行ったが、ボルト
締め等の他の締結手段を用いても良い。
【0037】次に、黒鉛系部材としては、炭素セラミッ
クスを用いた。ここで、図5に本発明の一実施例である
炭素系セラミックス製の部材を備えた軸受構造図を示
し、図6に本発明の一実施例である炭素系セラミックス
製の部材を備えた軸受構造正面図を示す。
【0038】図5及び図6に示すように、本実施例での
軸受は、SUS316L 製の金属ベース21の内面に凹部を形
成しておき、その凹部に炭素繊維強化黒鉛部材19を取
り付けている。この取り付け手段として、本実施例で
は、押え金属板23を介してボルト22によって締結し
ている。この炭素繊維強化黒鉛部材19の内面側が軸受
側の摺動面となる。
【0039】なお、本実施例では、円周方向で炭素繊維
強化黒鉛部材19を分割して摺動面を形成しているが、
分割タイプでも良いし、一体型としても良い。ここで、
炭素繊維強化黒鉛部材19は、直径1〜10μmの炭素
繊維を50体積%含有したものを用いた。但し、本実施
例では炭素繊維強化型のものを用いたが、炭素繊維強化
型でない黒鉛系部材を用いても良い。
【0040】また、炭素繊維の配向方向は、摺動面に対
してほぼ垂直方向にすると、摩耗し難くなり、更なる耐
摩耗性の向上が期待できる。
【0041】なお、本実施例では、特開平7−279968 号
に記載のように、軸受摺動面の一部にサーメット20を
組み入れ、摺動面の更なる摩耗防止を図っている。ま
た、本実施例では、サーメットを組み入れたが、Si
C,サイアロン等を組み入れても良い。
【0042】このように、炭素繊維強化黒鉛部材19の
内面側が摺動面となる軸受に、ホウ化処理された軸スリ
ーブ12を備えたガイドロール10を配置して、大気中
及び溶融亜鉛浴中で、摺動試験を実施した。なお、溶融
亜鉛の温度は、470℃で実施した。その結果を図2
(B)に示す。
【0043】また、本実施例の比較対照として、炭素繊
維強化黒鉛部材19の内面側が摺動面となる軸受に、サ
イアロン製の軸スリーブ12を備えたガイドロール10
を配置して同様の摺動試験を行った結果を図2(A)に
示す。図2(A)及び図2(B)は、時間を縦軸に、大
気中及び溶融亜鉛めっき浴中での摩擦係数μを横軸にと
り、摩擦係数の変化をみたものである。
【0044】比較例の図2(A)と、本実施例である図
2(B)とを比較すると、大気中においては、比較例及
び本実施例共に、摩擦係数μは、ほぼ0.6 と変わら
ず、また、摩擦係数μの変動もほぼ0.55〜0.65の
範囲で変わらないものであった。
【0045】そして、溶融亜鉛中で比較すると、比較例
では、摩擦係数μがほぼ0.2 〜0.5(0.3の範囲)
の広い範囲で大きく変動している。これに対して、溶融
亜鉛中で本実施例では摩擦係数がほぼ0.05〜0.2の
狭い範囲(0.15の範囲)で変動しており、時間経過に
対して摩擦係数μの変動がおおよそ半分に小さくなって
いることが分かる。
【0046】また、摩擦係数値は、比較例がほぼ0.2
〜0.5であるのに対して本実施例ではほぼ0.05〜
0.2であり、おおよそ40%以下に小さくなっている
ことが分かる。
【0047】以上のように、本実施例では、スラッジの
巻き込み,板振動等による摩擦係数μの変動が少なく、
また摩擦係数μも低くなった。そして、摩擦係数μの変
動が少ないために安定した操業が可能となり、また、摩
擦係数μの値が少ないために、摩耗量の低減等が図れ、
長期間の連続使用が可能となる。
【0048】(2)次に、本発明を連続溶融亜鉛めっき
装置のシンクロール8の摺動部に用いた一実施例を以下
に説明する。本実施例では、シンクロール8の軸部側摺
動面をホウ化処理部材とし、軸受側摺動面を黒鉛系部材
とした。
【0049】前述したガイドロール10の軸スリーブ1
2とほぼ同様に、外径165mm,内径120mm,長さ1
50mmの円筒状構造材鋼(S25C)の外周面にホウ化
処理を行い、その円筒状構造材をシンクロール軸に焼き
ばめによってセットした。
【0050】そして、図5及び図6と同様の構造とした
炭素系セラミックスを摺動面とする軸受に、軸スリーブ
12を備えたシンクロール8を配置して、溶融亜鉛めっ
き浴中で摺動試験を実施した。その結果を図3に示す。
【0051】図3は全摩耗量を縦軸に、連続使用日数を
横軸にとったものである。比較例として、一方の摺動面
及び他方の摺動面夫々をSUS材にしたもの(比較例
1)、一方の摺動面をサイアロンとして他方の摺動面を
黒鉛系セラミックスとしたもの(比較例2)を実機摺動
試験した。
【0052】図3から分かるように、本実施例による
と、双方の摺動面がSUS材である比較例1と比べる
と、全摩耗量は、約1/5に低減している。また、ホウ
化処理していないサイアロンと黒鉛系セラミックスとの
摺動である比較例2と比較すると、本実施例では、全摩
耗量が約1/3に低減している。
【0053】更に、本実施例では、日数が経ってもその
摩耗量は急激に増加するものではなく、緩やかに増加す
るものであり、約1ケ月の使用が可能となることがわか
った。つまり、比較例1及び比較例2では全摩耗量が5
日前後で5mmを超えてしまうが、本実施例では、30日
たっても4mm程度しか摩耗せず、長期間の連続使用に適
していることが分かる。
【0054】すなわち、従来では、頻繁に摺動部材を交
換する必要が有り、その交換によってめっき操業を停止
する必要が有ったが、本実施例では、交換頻度が長くな
り、めっき操業停止の回数が減少し、めっき操業の効率
向上が図れる。
【0055】なお、本実施例では、軸スリーブ12の摺
動面をホウ化処理部材とし、軸受側の摺動面を黒鉛部材
としたが、軸スリーブ12の摺動面を黒鉛部材とし、軸
受側の摺動面をホウ化処理部材としても良い。
【0056】以上のように、本実施例によると、大幅な
摩耗量低減効果が期待でき、且つ摩耗係数変動が小さい
ことから、軸摺動面での振動も軽減され、長期間の安定
した連続使用が可能となることがわかった。
【0057】本実施例によれば、溶融亜鉛めっき浴中で
使用される軸受摺動部の摩擦係数を減少させることによ
り、摺動部の摩耗量を少なくし、結果として、シンクロ
ール8,ガイドロール10の長期連続使用を可能とする
ことが出来る。
【0058】更に、摺動部の摩擦係数を安定化すること
により、ロール回転時のロール半径方向の振れが減少し
て、ロール回転精度が向上し、めっきラインを通板して
回転するロールと接触する鋼板に余計な振動を与えない
ので、良好なめっきを実施でき、めっき板の品質向上が
図られた。
【0059】また、複雑なスリーブセットは必要なく、
メンテナンスが簡単で今までのセラミックス軸受けより
安価である。
【0060】
【発明の効果】本発明によると、摺動面の摩擦係数の上
昇を抑制して摺動部の摩擦係数を安定化し、耐摩耗性及
び耐溶損性を向上した摺動構造物及び摺動方法並びに連
続溶融亜鉛めっき装置を提供することができるという効
果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるホウ化処理部材と黒鉛
部材との摺動部拡大断面図。
【図2】本発明の一実施例及び比較例における摺動面の
摩擦係数の時間変化を示す図。
【図3】連続溶融亜鉛めっき装置の摺動部における摩耗
量の時間経過を示す図。
【図4】本発明の一実施例であるホウ化処理鋼製のスリ
ーブを備えたロール軸部の断面図。
【図5】本発明の一実施例である炭素系セラミックス製
の部材を備えた軸受構造図。
【図6】本発明の一実施例である炭素系セラミックス製
の部材を備えた軸受構造正面図。
【図7】連続溶融亜鉛めっき装置概要図。
【図8】表面粗さを変化させた場合に所望の摩擦係数に
まで安定する時間を示す図。
【符号の説明】
1…黒鉛系セラミックス、2…ホウ化処理鋼、3…摺動
面、4…黒鉛、5…ワイピングノズル、6…亜鉛めっき
浴槽、7…ストリップ、8…シンクロール、9…めっき
浴、10…ガイドロール、11…ロール軸、12…軸ス
リーブ、13…スリーブ押えリング、14…溶接トメ、
19…炭素繊維強化黒鉛部材、20…サーメット、21
…金属ベース、22…ボルト、23…押え金属板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 酒井 淳次 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株式会社 日立製作所 日立研究所内 (56)参考文献 特開 平10−158800(JP,A) 特開 平9−125216(JP,A) 特開 平6−346208(JP,A) 特開 平5−222499(JP,A) 特開 平6−313432(JP,A) 特開 平7−279968(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C23C 2/00 - 2/40

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶融亜鉛めっき浴中で摺動する摺動構造物
    において、前記摺動構造物の摺動面の一方をホウ化処理
    したホウ化処理部材とし、他方を黒鉛を含有する黒鉛部
    材とすることを特徴とする摺動構造物。
  2. 【請求項2】溶融亜鉛めっき浴中で摺動する摺動構造物
    において、前記摺動構造物の摺動面の一方をホウ化処理
    したホウ化処理部材とし、他方を黒鉛を含有する黒鉛部
    材とし、且つホウ化処理された側の摺動面表面粗さを
    0.02〜3.0μRaとすることを特徴とする摺動構造
    物。
  3. 【請求項3】溶融亜鉛めっき浴を備え、連続的に鋼帯表
    面に溶融亜鉛めっきを施す連続溶融亜鉛めっき装置にお
    いて、溶融亜鉛めっき浴中で摺動するロール軸部側の摺
    動面及び軸受側の摺動面のうち一方をホウ化処理したホ
    ウ化処理部材とし、他方を黒鉛を含有する黒鉛部材とす
    ることを特徴とする連続溶融亜鉛めっき装置。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の連続溶融亜鉛めっき装置
    において、前記ホウ化処理部材の摺動面の表面粗さを
    0.02〜3.0μRa若しくは0.08〜12.0μRma
    x とすることを特徴とする連続溶融亜鉛めっき装置。
  5. 【請求項5】溶融亜鉛めっき浴を備え、連続的に鋼帯表
    面に溶融亜鉛めっきを施す連続溶融亜鉛めっき装置にお
    いて、ガイドロール又はシンクロールのロール軸部側の
    摺動面及び軸受側の摺動面のうち一方をホウ化処理した
    ホウ化処理鋼とし、他方を黒鉛を含有する炭素繊維強化
    型黒鉛部材とし、前記ホウ化処理鋼の摺動面の表面粗さ
    を0.02〜3.0μRaとすることを特徴とする連続溶
    融亜鉛めっき装置。
  6. 【請求項6】溶融亜鉛めっき浴中で摺動する摺動方法に
    おいて、摺動面の一方をホウ化処理したホウ化処理部材
    とし、他方を黒鉛を含有する黒鉛部材とし、摺動中に前
    記ホウ化処理部材の摺動面の凹部に前記黒鉛の一部を入
    り込ませて、前記ホウ化処理部材の摺動面を平滑にしな
    がら摺動することを特徴とする摺動方法。
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