JP2000021239A - 絶縁塗料 - Google Patents

絶縁塗料

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JP2000021239A
JP2000021239A JP10185287A JP18528798A JP2000021239A JP 2000021239 A JP2000021239 A JP 2000021239A JP 10185287 A JP10185287 A JP 10185287A JP 18528798 A JP18528798 A JP 18528798A JP 2000021239 A JP2000021239 A JP 2000021239A
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和宏 須之内
Setsuo Terada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の半田剥離可能なポリエステルイミド絶
縁塗料を用いた絶縁電線の半田剥離時の欠点を克服し、
多数の細線が寄り合わせられるリッツ線等に半田剥離を
適用した場合にも、内側まで半田剥離が充分に行われる
絶縁電線の製造を可能とする絶縁塗料を提供すること。 【解決手段】 (A)五員環のイミド基を含有する二価
カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、
(B)三価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの
混合物と、(C)第一級脂肪族二価アルコ−ル或はこれ
らの混合物と、(D)第二級以上のアルコール基を少な
くとも1個有する脂肪族二価アルコール或はこれらの混
合物とを反応させて得られるポリエステルイミド樹脂を
有機溶剤に溶解してなる絶縁塗料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半田剥離性に優れ
るポリエステルイミド絶縁電線の製造に好適な絶縁塗料
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年においては、モーターやトランス等
の電気機器の小型軽量化や高性能化が急激に進み、それ
に伴い、電気機器の信頼性向上のために使用材料である
絶縁電線の耐熱性化が進展し、ポリエステルイミド樹脂
を含む絶縁塗料を用いた耐熱性F種以上のポリエステル
イミド絶縁電線(EIW)やポリアミドイミド樹脂を含
む絶縁塗料を用いたポリアミドイミド絶縁電線(AI
W)等が開発され実用化されてきている。
【0003】一方、電気機器メーカーにおいては、主と
してコストダウンを目的に省力自動化等工程の合理化が
絶えず図られており、絶縁電線には先に述べた耐熱性の
みならず、省力自動化につながる各種特性も要求される
ようになってきた。省力自動化につながる各種特性の一
つとして、絶縁電線の端末剥離(半田付けのための電線
末端の絶縁被覆の剥離)のライン化がある。絶縁電線の
端末剥離の方法には、(1)機械剥離、(2)熱分解剥
離、(3)薬品剥離、(4)半田剥離等の方法がある
が、作業時間、導体の無傷化、連続処理等の観点から、
(4)の半田剥離による方法が最も好ましいとされてい
る。このため、電気機器メーカーからは耐熱性と共に、
より低温での半田剥離処理可能な絶縁電線が強く望ま
れ、ポリエステルイミド樹脂を含む絶縁塗料を用いた半
田剥離可能なポリエステルイミド絶縁電線が開発され、
実用化されてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、実用化され
ているポリエステルイミド樹脂を含む絶縁塗料を用いた
半田剥離処理可能なポリエステルイミド絶縁電線は、そ
れが半田剥離されるには、例えば、溶融半田浴の温度が
450℃では5〜15秒かかり、実際には数秒の処理時
間が要求され、そのためには半田浴温度を480℃以上
とすることが必要である。しかしながら、このような高
温度になると、半田の酸化劣化、絶縁電線導体である銅
の半田への溶解による線細り、半田剥離工程時の高温の
輻射熱の他部材への影響が生じ、又、多数の細線が寄り
合わせられるリッツ線等に半田剥離を適用した場合に
は、内側まで充分に半田剥離が出来ず、内側の絶縁皮膜
が炭化してカスとなって残ってしまう等の問題があり、
処理性としては必ずしも良好とは言えず、溶融半田浴の
温度が450℃で、剥離処理時間2秒以下レベルまでの
半田剥離性を有する絶縁電線が要望されている。
【0005】尚、半田剥離と同時に半田付けまで可能な
絶縁電線として、ポリウレタ樹脂を含む絶縁塗料を用い
たポリウレタン絶縁電線(UEW)があり、溶融半田浴
の温度も340〜400℃と低温で半田剥離可能である
が、耐熱性はE種と低く、又、ウレタン基を有するため
に過電流特性がPEW(ポリエステル絶縁電線)やEI
Wに比べ不充分であるという欠点を有している。又、U
EWの耐熱性向上品としてポリエステルイミドウレタン
樹脂を含む絶縁塗料を用いた耐熱性F種のポリエステル
イミドウレタン絶縁電線が開発され実用化されている
が、UEWと同じくウレタン基を有するために過電流特
性がPEWやEIWに比べ不充分であるという欠点を有
している。
【0006】従って、本発明の目的は、前述した従来の
ポリエステルイミド樹脂を含む絶縁塗料を用いた半田剥
離処理可能な絶縁電線(EIW)の半田剥離時の欠点を
克服し、多数の細線が寄り合わせられるリッツ線等に半
田剥離を適用した場合にも、内側まで半田剥離が充分に
行われる絶縁電線、具体的には溶融半田浴の温度が45
0℃で半田剥離時間が2秒以下のレベルに半田剥離性が
向上したポリエステルイミド絶縁電線の製造を可能とす
る絶縁塗料を提供することにある。
【0007】本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検
討した結果、絶縁被膜形成成分として、ポリカルボン酸
成分中の五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸の
比率を特定範囲に調整し、更に、アルコール成分として
第一級の脂肪族二価アルコールと第二級以上のアルコー
ル基を少なくとも1個有する脂肪族二価アルコールを特
定の比率で用い、これらを反応させて得られるポリエス
テルイミド樹脂を含む絶縁塗料は、これを用いた絶縁電
線の半田剥離性が著しく改善されることを見いだし、こ
の知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的は以下の本発明
によって達成される。即ち、本発明は、ポリエステルイ
ミド樹脂を有機溶剤に溶解してなる絶縁塗料において、
ポリエステルイミド樹脂が、(A)五員環のイミド基を
含有する二価カルボン酸或いはその誘導体或いはこれら
の混合物と、(B)三価カルボン酸或いはその誘導体或
いはこれらの混合物と、(C)第一級脂肪族二価アルコ
ール或いはこれらの混合物と、(D)第二級以上のアル
コール基を少なくとも1個有する脂肪族二価アルコール
或いはこれらの混合物とを反応させて得られるものであ
ることを特徴とする絶縁塗料である。
【0009】
【発明の実施の形態】次に発明の実施の形態を挙げて本
発明を更に詳しく説明する。本発明の絶縁塗料は、絶縁
被膜形成成分が、酸成分として上記の(A)成分及び
(B)成分を使用し、アルコール成分として上記の
(C)成分及び成分(D)を使用し、これらを常法に従
ってエステル化することによって得られるポリエステル
イミド樹脂であることが特徴である。
【0010】上記のポリエステルイミド樹脂を合成する
際の好ましい成分の使用割合は、使用量を当量で表した
とき、全酸成分〔(A)+(B)〕100に対して全ア
ルコール成分〔(C)+(D)〕は130〜230の割
合である。全アルコール成分の割合が130未満ではポ
リエステルイミド樹脂合成時に困難が伴い、230を超
えると絶縁被膜の可撓性が不十分となる。更に好ましい
割合は150〜200である。
【0011】全酸成分〔(A)+(B)〕中の成分
(A)の割合は10〜35当量%、成分(B)の割合は
90〜65当量%が好ましく、成分(A)の割合が10
当量%未満、成分(B)の割合が90当量%を超えると
絶縁被膜の可撓性が不充分となり、成分(A)の割合が
35当量%を超え、成分(B)の割合挙が65当量%未
満では絶縁被膜の半田剥離性が不充分となる。更に好ま
しい成分(A)の割合は15〜30当量%である。
【0012】又、全アルコール成分〔(C)+(D)〕
中の成分(C)及び成分(D)の好ましい割合は、成分
(C)が25〜85当量%、成分(D)が75〜15当
量%である。成分(C)の割合が25当量%未満、成分
(D)の割合が75当量%を超えると絶縁被膜の可撓性
が不充分となり、成分(C)の割合が85当量%を超
え、成分(D)の割合が15当量%未満となると絶縁被
膜の半田剥離が不充分となる。更に好ましい成分(C)
の割合は30〜80当量%である。
【0013】本発明において用いられる(A)五員環の
イミド基を含有する二価カルボン酸或いはその誘導体と
しては、例えば、従来公知の方法によって次の(イ)
と、(ロ)或いは(ハ)とを反応せしめて得られるもの
が挙げられる。 (イ)五員環のカルボン酸無水物基の他に少なくとも一
個のその他の反応性基を含有するカルボン酸無水物、
(ロ)第一級アミノ基の他に少なくとも一個のその他の
反応性基を含有する第一級アミン、(ハ)ポリイソシア
ネート。
【0014】(イ)の例としては、トリカルボン酸無水
物、例えばトリメリット酸無水物、ヘミメリット酸無水
物、ナフタリントリカルボン酸無水物、ジフェニルトリ
カルボン酸無水物、ベンゾフェノントリカルボン酸無水
物等が挙げられる。又、テトラカルボン酸二無水物とし
ては、例えば、ピロメリット酸二無水物、ナフタリンテ
トラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタンテトラカル
ボン酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無
水物等が挙げられる。
【0015】(ロ)の例としては、例えば、エチレンジ
アミンヘキサメチレンジアミン、ジメチルヘプタメチン
ジアミン、ジメチルヘキサメチレンジアミンのような脂
肪族ジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジ
フェニルスルホン、ジアミノジフェニルエーテル、ジメ
チルビスフェニルジアミン、ジアミノナフタレン、フェ
ニレンジアミン、キシリレンジアミンのような芳香族ジ
アミン、モノエタノールアミン、ジメチルエタノールア
ミンのようなアミノアルコール、アミノプロピオン酸の
ようなアミノカルボン酸等が挙げられる。
【0016】(ハ)の例として、例えば、フェニレンジ
イソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニ
ルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソ
シアネート、ジフェニルスルホンジイソシアネート、ナ
フタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシア
ネート、キシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0017】(A)五員環のイミド基を含有する二価カ
ルボン酸として好ましいのは、得られる絶縁電線の耐熱
性の点よりトリメリット酸無水物2モルと芳香族ジアミ
ン1モルより得られる二価カルボン酸である。経済的に
はトリメリット酸無水物2モルとジアミノジフェニルメ
タン1モルより得られる二価カルボン酸が好ましい。こ
れら五員環のイミド基を含有する二価カルボン酸は、通
常溶剤中で(イ)と、(ロ)或いは(ハ)を反応させて
得られる。
【0018】溶剤の例としては、例えば、N−メチル−
2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、フェノール、
クレゾール、キシレノール酸のような極性溶剤、キシレ
ン、ソルベントナフサ、メチルエチルケトン、酢酸エチ
ルのような炭化水素溶剤が挙げられる。これらは単独の
みならず混合溶剤として用いることも出来る。
【0019】(B)三価カルボン酸或いはその誘導体の
例としては、例えば、トリメリット酸、トリメリット酸
無水物、ナフタリントリカルボン酸無水物、ジフェニル
トリカルボン酸無水物、ベンゾフェノントリカルボン酸
無水物等が上げられる。特に有用なものは、トリメリッ
ト酸無水物である。尚、本発明の効果を阻害しない限り
においては三価カルボン酸の一部を二価カルボン酸また
はこれらの誘導体で置換することが出来る。二価カルボ
ン酸またはこれらの誘導体の例としては、テレフタル
酸、ジメチルテレフタル酸、フタル酸、アジピン酸等が
挙げられる。
【0020】(C)第一級脂肪族二価アルコールとして
は、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオー
ル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオ
ール等が挙げられる。
【0021】(D)第二級以上のアルコール基を少なく
とも1個有する脂肪族二価アルコールとしては、例え
ば、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジ
オール、1,2−ブタンジオール、2,3−ブチレング
リコール2,5−ヘキサンジオール等が挙げられる。
【0022】本発明においてこれらの原料化合物を用い
てポリエステルイミド樹脂を合成する方法は、特に制限
されず、以下のような公知の方法を用いることができ
る。 (1)溶剤中にて(イ)と、(ロ)或いは(ハ)を反応
させ成分(A)を形成後、この系中に成分(B)、
(C)及び(D)を加え、200〜250℃にて3〜1
5時間エステル化反応を進めることにより合成する方
法、(2)溶剤中にて(イ)と、(ロ)或いは(ハ)を
反応させて成分(A)を形成させる。又、別に、成分
(B)、(C)及び(D)からなるポリエステル中間体
を形成させる。その後成分(A)とこのポリエステル中
間体を200〜250℃にて3〜15時間エステル化反
応を進めることにより合成する方法、
【0023】(3)成分(B)、(C)及び(D)から
なるポリエステル中間体を形成させ、この系中に、溶剤
と(イ)と、(ロ)或いは(ハ)を添加して成分(A)
を形成せしめ、続いて200〜250℃にて3〜15時
間エステル化反応を進めることにより合成する方法、
(4)溶剤中に(イ)、(ロ)或いは(ハ)、成分
(B)、(C)及び(D)を一括添加して混合し、12
0〜180℃にて五員環のイミドを形成させ、続いて2
00〜250℃にて3〜15時間エステル化反応を進め
ることにより合成する方法。
【0024】本発明の絶縁塗料は、上記方法等で得られ
たポリエステルイミド樹脂溶液を、溶剤により適当な粘
度に調整することにより得ることができる。反応時の溶
剤及び希釈溶剤の例としては、例えば、フェノール、ク
レゾール、キシレノール、ジメチルホルムアミド、N−
メチル−2−ピロリドン等の極性溶剤を用いることが出
来る。また、希釈時の補助溶剤としては、例えば、トル
エン、キシレン、ソルベントナフサ、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等の炭化水素系溶剤を用いること
が出来る。本発明のポリエステルイミド樹脂絶を含む絶
縁塗料に最も有用な溶剤は、クレゾール酸である。クレ
ゾール酸はフェノール、クレゾール、キシレノールを含
み180〜230℃の沸点範囲を有する混合溶剤であ
る。又、希釈時の補助溶剤としては芳香族炭化水素であ
るキシレンやソルベントナフサを用いることは、本発明
の絶縁塗料を導体上に焼き付けて絶縁電線を製造する際
の作業性を向上させるうえで特に有用である。
【0025】このようにして得られた本発明の絶縁塗料
には、これを導体上に塗布及び焼き付けて絶縁電線を製
造する際、絶縁電線の製造引き取り速度を速くすると共
に絶縁電線の表面平滑性を向上させるために、少量の金
属乾燥剤やチタン酸の化合物を添加することが好まし
い。金属乾燥剤としては、例えば、オクテン酸亜鉛やナ
フテン酸鉛等が挙げられ、チタン酸の化合物としては、
例えば、テトラブチルチタネート、テトライソプロピル
チタネート等が挙げられ、添加量としては前記絶縁塗料
の固形分に対して、通常、0.1〜8.0重量%程度、
好ましくは1.0〜5.0重量%である。本発明の絶縁
塗料には、本発明の効果が損なわれない範囲で、更に、
ポリイソシアネートのイソシアネート基をフェノール等
でブロックした安定化イソシアネートやポリアミド、ポ
リエステル、ポリスルホン等の熱可塑性樹脂、メラミン
樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂、染料、顔料、
潤滑剤、その他塗料用添加剤等を適宜添加することも出
来る。
【0026】本発明の絶縁塗料を用いた絶縁電線は、上
記の塗料を適当な溶剤にて作業に適した粘度に調整後、
軟銅線等の導体上に常法に従って塗布し、焼き付けして
絶縁層を形成することによって製造される。尚、絶縁電
線は、通常、巻線性を向上させるために、本発明の絶縁
塗料を塗布及び焼き付けして形成した絶縁層の上に、流
動パラフィンや固形パラフィン等のルブリカントを塗布
させることが出来る他、他の諸特性を付与させるために
従来から一般的に行われている如く、他の絶縁塗料を塗
布、焼き付けした絶縁層を更に設けることも可能であ
る。このような絶縁塗料としては、例えば、更に耐熱性
が要求される場合にはポリイミド系絶縁塗料又はポリア
ミドイミド系絶縁塗料が、巻線性が要求される場合には
6,6ナイロンのようなポリアミド系塗料が、コイル自
己支持化が要求される場合には自己融着塗料、例えば、
ポリビニルブチラール、フェノキシ、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリスルホン系塗料が用いられる。
【0027】
【実施例】以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定さ
れるものではない。
【0028】実施例1 攪拌機、窒素導入管、コンデンサー及び温度計を取り付
けた5リットルフラスコに、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、エチレングリコール446g(1
4.4当量)、1,3−ブタンジオール162g(3.
6当量)を仕込み、窒素を吹き込みながら加熱していく
と200℃にてエステル化反応に伴う脱水が開始した。
200℃にて5時間、続いて220℃にて3時間反応さ
せた後、クレゾール701gを仕込み反応を停止させ
た。100℃まで冷却後、この系にトリメリット酸無水
物480g(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェ
ニルメタン248g(1.25モル)を仕込み再び加熱
していくと、120℃では系が黄濁し、140℃におい
て脱水が始まりジイミドジカルボン酸の生成が開始し
た。150℃にて5時間保持した後、更に加熱して20
0℃にて5時間保持してエステル化反応を行わせた後、
クレゾール酸を1,449g、次いでソルベントナフサ
239gにて希釈し反応を停止させた。100℃まで冷
却後、更にテトラブチルチタネート65gを配合し、樹
脂分40重量%のポリエステルイミド絶縁塗料を得た。
【0029】実施例2 攪拌機、窒素導入管、コンデンサー及び温度計を取り付
けた5リットルフラスコに、トリメリット酸無水物48
0g(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメ
タン248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物
480g(7.5当量)、エチレングリコール446g
(14.4当量)、1,3−ブタンジオール162g
(3.6当量)及びクレゾール701gを仕込み、窒素
を吹き込みながら加熱していくと、120℃で系が黄濁
し、140℃において脱水が始まりジイミドジカルボン
酸の生成が開始した。150℃にて5時間保持した後、
更に加熱して200℃にて7時間保持してエステル化反
応を行わせた後、クレゾール酸を1,449g、次い
で、ソルベントナフサ239gを添加して希釈し反応を
停止させた。100℃まで冷却後、更にテトラブチルチ
タネート65gを配合し、樹脂分40%のポリエステル
イミド絶縁塗料を得た。
【0030】実施例3 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルエーテ
ル250g(1.25モル)、トリメリット酸無水物4
80g(7.5当量)、エチレングリコール446g
(14.4当量)、1,3−ブタンジオール162g
(3.6当量)及びクレゾール702gを用いて反応さ
せ、その後、反応液をクレゾール酸1,450g及びソ
ルベントナフサ240gにて希釈し、更にテトラブチル
チタネート65gを配合し、樹脂分40%のポリエステ
ルイミド絶縁塗料を得た。
【0031】実施例4 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、エチレングリコール391g(1
2.6当量)、1,2−プロピレングリコール205g
(5.4当量)及びクレゾール694gを用いて反応さ
せ、その後、クレゾール酸1,440g及びソルベント
ナフサ237gにて希釈し、更にテトラブチルチタネー
ト65gを配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド
絶縁塗料を得た。
【0032】実施例5 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、エチレングリコール167g
(5.4当量)、1,2−プロピレングリコール479
g(12.6当量)及びクレゾール717gを用いて反
応させ、その後、クレゾール酸1,483g及びソルベ
ントナフサ244gにて希釈し、更にテトラブチルチタ
ネート67gを配合し、樹脂分40%のポリエステルイ
ミド絶縁塗料を得た。
【0033】実施例6 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、1,6−ヘキサンジオール731
g(12.6当量)、1,2−プロピレングリコール2
05g(5.4当量)及びクレゾール842gを用いて
反応させた後、クレゾール酸1,738g及びソルベン
トナフサ287gを加えて希釈し、更にテトラブチルチ
タネート79gを配合し、樹脂分40%のポリエステル
イミド絶縁塗料を得た。
【0034】実施例7 トリメリット酸無水物480g(2.5モル)、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン248g(1.25モ
ル)、トリメリット酸無水物480g(7.5当量)、
エチレングリコ−ル279g(9.0当量)、1,2−
プロピレングリコール171g(4.5当量)、1,3
−ブタンジオール203g(4.5当量)及びクレゾー
ル720gとして実施例2と同様にして反応させ、次い
でクレゾー酸1,490g及びソルベントナフサ245
gにて希釈し、更にテトラブチルチタネート67gを配
合し、樹脂分40%のポリエステルイミド絶縁塗料を得
た。
【0035】実施例8 トリメリット酸無水物480g(2.5モル)、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン248g(1.25モ
ル)、トリメリット酸無水物480g(7.5当量)、
エチレングリコ−ル140g(4.5当量)、1,6−
ヘキサンジオール266g(4.5当量)、1,2−プ
ロピレングリコール342g(9.0当量)及びクレゾ
ール759gとして実施例2と同様に反応させた後、ク
レゾ−ル酸1,568g及びソルベントナフサ259g
を加えて希釈し、更にテトラブチルチタネート71gを
配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド絶縁塗料を
得た。
【0036】比較例1 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、エチレングリコール558g(1
8.0当量)及びクレゾ−ル680gを用いて反応させ
た後、クレゾール酸1,404g及びソルベントナフサ
232gにて希釈し、更にテトラブチルチタネート63
gを配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド絶縁塗
料を得た。
【0037】比較例2 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物768g
(4.0モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
397g(2.0モル)、トリメリット酸無水物384
g(6.0当量)、エチレングリコール391g(1
2.6当量)、1,2−プロピレングリコール205g
(5.4当量)及びクレゾ−ル1,286gを用いて反
応させた後、クレゾール酸1,249g及びソルベント
ナフサ282gにて希釈し、テトラブチルチタネート7
7gを更に配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド
絶縁塗料を得た。
【0038】比較例3 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物96g
(0.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
50g(0.25モル)、トリメリット酸無水物608
g(9.5当量)、エチレングリコール391g(1
2.6当量)、1,2−プロピレングリコール205g
(5.4当量)及びクレゾ−ル305gを用いて反応さ
せた後、クレー−ル酸1,204g及びソルベントナフ
サ269gにて希釈し、更にテトラブチルチタネート4
9gを配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド絶縁
塗料を得た。
【0039】比較例4 トリメリット酸無水物480g(2.5モル)、4,
4′−ジアミノジフェニルメタン248g(2.5モ
ル)、トリメリット酸無水物480g(7.5当量)、
エチレングリコール186g(6.0当量)、1,3−
ブタンジオール270g(6.0当量)及びクレゾール
636gを用い実施例2と同様にして反応させたとこ
ろ、200℃にて反応系が急激な増粘の後、ゲル化を呈
した。
【0040】比較例5 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、エチレングリコール543g(1
7.5当量)、1,3−ブタンジオール338g(7.
5当量)及びクレゾール818gを用いて反応させ、次
いでクレゾール酸1,691g及びソルベントナフサ2
79gにて希釈し、更にテトラブチルチタネート76g
を配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド絶縁塗料
を得た。
【0041】比較例6 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4′−ジアミノジフェニルメタン
248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、エチレングリコール502g(1
6.2当量)、1,2−プロピレングリコール68g
(1.8当量)及びクレゾ−ル685gを用いて反応さ
せた後、クレゾール酸1,415g、ソルベントナフサ
233gにて希釈、テトラブチルチタネート64gを更
に配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド絶縁塗料
を得た。
【0042】比較例7 実施例2と同様にして、トリメリット酸無水物480g
(2.5モル)、4,4’−ジアミノジフェニルメタン
248g(1.25モル)、トリメリット酸無水物48
0g(7.5当量)、エチレングリコール84g(2.
7当量)、1,2−プロピレングリコール581g(1
5.3当量)及びクレゾール726gを用いて反応さ
せ、その後クレゾール酸1,499g及びソルベントナ
フサ247gにて希釈し、更にテトラブチルチタネート
68gを配合し、樹脂分40%のポリエステルイミド絶
縁塗料を得た。
【0043】絶縁塗料の評価 各実施例及び比較例の絶縁塗料をそれぞれ、炉長2.5
mの横型焼付炉にて、導体径0.32mmの銅線に、炉
温500℃、ダイス6回、引取速度24m/分の条件で
塗布、焼き付けし、皮膜厚さ0.018mmの絶縁電線
を製造した。これらの電線について、JIS C 30
03(エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験方
法)に準じて、外観、密着性、可とう性、軟化点、絶縁
破壊電圧及び半田剥離性について評価した。尚、実施例
3の絶縁塗料については、更に、ポリアミドイミド絶縁
塗料、ポリアミド絶縁塗料、自己融着絶縁塗料をそれぞ
れオーバーコート絶縁塗料として塗布した絶縁電線につ
いても評価した。これらの絶縁電線の製造方法は下記の
通りである。以上の評価結果をポリエステルイミド樹脂
合成時の原料組成とともにを表1〜表3に示す。
【0044】オーバーコート絶縁塗料(ポリアミドイミ
ド絶縁塗料)使用絶縁電線の製造 実施例3の絶縁塗料を用いた絶縁電線上に下記の方法で
調製したポリアミドイミド絶縁塗料を、炉長2.5mの
横型焼付炉にて、炉温500℃、ダイス2回、引取速度
24m/分の条件で塗布及び焼付けし、0.006mm
厚さのオーバーコート層被膜を有する絶縁電線を製造し
た。 (ポリアミドイミド絶縁塗料の製造)トリメリット酸無
水物185g(0.95モル)とジフェニルメタンジイ
ソシアネート250g(1.0モル)をN−メチル−2
−ピロリドン810gとキシレン90gの混合溶剤中に
添加し、100℃で5時間、更に昇温して140℃で3
時間反応させて絶縁塗料を得た。
【0045】オーバーコート絶縁塗料(ポリアミド絶縁
塗料)使用絶縁電線の製造 実施例3の絶縁塗料を用いた絶縁電線上に下記の方法で
調製したポリアミド絶縁塗料を、炉長2.5mの横型焼
付炉にて、炉温500℃、ダイス1回、引取速度24m
/分の条件で塗布及び焼付けし、0.0015mm厚さ
のオーバーコート層被膜を有する絶縁電線を製造した。 (ポリアミド絶縁塗料の製造)6,6−ナイロン樹脂1
50gをクレゾール850gに100℃にて溶解してポ
リアミド絶縁塗料を得た。
【0046】オーバーコート絶縁塗料(自己融着絶縁塗
料)使用絶縁電線の製造 実施例3の絶縁塗料を用いた絶縁電線上に下記の方法で
調製した自己融着絶縁塗料を、炉長2.5mの横型焼付
炉にて、炉温350℃、ダイス4回、引取速度25m/
分の条件で塗布及び焼付けし、0.010mm厚さのオ
ーバーコート層被膜を有する絶縁電線を製造した。 (自己融着絶縁塗料の製造)ウルトラミッド1C(BA
SF社製 共重合ポリアミド樹脂)166gをクレゾー
ル580gとキシレン250gの混合溶剤に100℃で
溶解し、更にヒタノール4010(日立化成社製 フェ
ノール樹脂溶液)10gを添加溶解し、自己融着絶縁塗
料を得た。
【0047】
【表1】表1 樹脂原料組成及び絶縁電線特性(その
1)
【0048】
【表2】表2 樹脂組原料組成及び絶縁電線特性(そ
の2)
【0049】
【表3】表3 樹脂原料組成及び絶縁電線特性(その
3)
【0050】表1〜3の結果は、本発明の絶縁塗料を用
いた絶縁電線では、従来のポリエステルイミド絶縁電線
の欠点が克服された優れた半田剥離性を有していること
を示している。
【0051】
【発明の効果】本発明のポリエステルイミド樹脂を含む
絶縁塗料は、優れた半田剥離性を有し、近年の電気機器
に使用される絶縁電線に対する特性要求にも充分応える
ことができる絶縁電線の製造を可能とする。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須之内 和宏 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 (72)発明者 寺田 節夫 東京都中央区日本橋馬喰町一丁目7番6号 大日精化工業株式会社内 Fターム(参考) 4J038 DJ041 KA06 NA14 NA21 5G305 AA02 AA11 AB36 BA09 CA22

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルイミド樹脂を有機溶剤に溶
    解してなる絶縁塗料において、ポリエステルイミド樹脂
    が、(A)五員環のイミド基を有する二価カルボン酸或
    いはその誘導体或いはこれらの混合物と、(B)三価カ
    ルボン酸或いはその誘導体或いはこれらの混合物と、
    (C)第一級脂肪族二価アルコール或いはこれらの混合
    物と、(D)第二級以上のアルコール基を少なくとも1
    個有する脂肪族二価アルコール或いはこれらの混合物と
    を反応させて得られるものであることを特徴とする絶縁
    塗料。
  2. 【請求項2】 使用量を当量で表したとき、全アルコー
    ル成分〔(C)+(D)〕中の成分(C)の割合が25
    〜85当量%、成分(D)の割合が75〜15当量%で
    ある請求項1に記載の絶縁塗料。
  3. 【請求項3】 使用量を当量で表したとき、全酸成分
    〔(A)+(B)〕100に対して全アルコール成分
    〔(C)+(D)〕を130〜230の割合で反応さ
    せ、その際、全酸成分中の成分(A)の割合は10〜3
    5当量%、成分(B)の割合は90〜65当量%である
    請求項1又は2に記載の絶縁塗料。
  4. 【請求項4】 五員環のイミド基を含有する二価カルボ
    ン酸が、トリメリット酸無水物2モルとジアミノジフェ
    ニルメタン1モルからなるジイミドジカルボン酸である
    請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁塗料。
  5. 【請求項5】 三価カルボン酸が、トリメリット酸無水
    物である請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁塗
    料。
  6. 【請求項6】 第一級脂肪族二価アルコールが、エチレ
    ングリコール及び/又は1,6ーヘキサンジオールであ
    る請求項1〜5のいずれか1項に記載の絶縁塗料。
  7. 【請求項7】 第二級以上のアルコール基を少なくとも
    1個有する脂肪族二価アルコールが、1,2ープロピレ
    ングリコール及び/又は1,3ーブタンジオールである
    請求項1〜6のいずれか1項に記載の絶縁塗料。
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