JP2000017124A - オレフィン(共)重合体組成物及びオレフィン(共)重合体組成物成型品 - Google Patents

オレフィン(共)重合体組成物及びオレフィン(共)重合体組成物成型品

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JP2000017124A JP18627698A JP18627698A JP2000017124A JP 2000017124 A JP2000017124 A JP 2000017124A JP 18627698 A JP18627698 A JP 18627698A JP 18627698 A JP18627698 A JP 18627698A JP 2000017124 A JP2000017124 A JP 2000017124A
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浩之 前原
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勇一 山中
Akira Yamauchi
彰 山内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 真空、圧空及び中空成形に適した高溶融張
力、ポリプロピレンであって臭気、透明性不良などない
オレフィン共重合体組成物の提供。 【解決手段】 高分子量ポリエチレン0.01〜5重量
部、通常固有粘度のポリプロピレン100重量部0.0
5〜1重量部の造核剤からなる組成物であって、前記ポ
リエチレンがプロピレン重合触媒の予備活性化により製
造され、その後プロピレンが本重合される。 【効果】 シートの成形性、透明性およびヤング率のい
づれも比較例より優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン(共)
重合体組成物、オレフィン(共)重合体組成物成型品な
らびに該組成物に使用するオレフィン(共)重合体組成
物の製造法に関する。さらに詳しくは、溶融張力等の溶
融強度が高く、優れた成形性を有するオレフィン(共)
重合体組成物、および、透明性、熱成形性に優れたオレ
フィン(共)重合体組成物成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、機械的性質、耐薬品
性等に優れ、また経済性とのバランスにおいて極めて有
用なため各成形分野に広く用いられている。しかしなが
ら、ポリプロピレンは溶融張力が小さいため、真空及び
圧空成形等の熱成形、中空成形等の成形性に劣ってい
る。また、用途分野によっては透明性が不十分であり商
品価値を損なう場合があり、これらの向上が望まれてい
る。
【0003】ポリプロピレンの溶融張力を高める方法と
して、溶融状態下において、ポリプロピレンに有機過酸
化物と架橋助剤を反応させる方法(特開昭59−937
11号公報、特開昭61−152754号公報等)、半
結晶性ポリプロピレンに低分解温度過酸化物を酸素不存
在下で反応させて、自由端長鎖分岐を有しゲルを含まな
いポリプロピレンを製造する方法(特開平2−2985
36号公報)などが開示される。
【0004】溶融張力等の溶融粘弾性を向上させる他の
方法として、固有粘度または分子量の異なるポリエチレ
ン若しくはポリプロピレンを配合した組成物や、このよ
うな組成物を多段階重合によって製造する方法が提案さ
れている。
【0005】たとえば、超高分子量ポリプロピレン2〜
30重量部を通常のポリプロピレン100重量部に添加
し、融点以上210℃以下の温度範囲で押し出す方法
(特公昭61−28694号公報)、多段重合法により
得られた極限粘度比が2以上の分子量の異なる2成分の
ポリプロピレンからなる押し出しシート(特公平1−1
2770号公報)、高粘度平均分子量のポリエチレンを
1〜10重量%含む、粘度平均分子量の異なる3種類の
ポリエチレンからなるポリエチレン組成物を溶融混練
法、若しくは多段階重合法によって製造する方法(特公
昭62−61057号公報)、高活性チタン・バナジウ
ム固体触媒成分を用いて、多段重合法により、極限粘度
が20dl/g以上の超高分子量ポリエチレンを0.0
5ないし1重量%未満重合させるポリエチレンの重合方
法(特公平5−79683号公報)、1−ブテンや4−
メチル−1−ペンテンで予備重合処理された高活性チタ
ン触媒成分を用いて特殊な配列の重合器により多段重合
法により、極限粘度が15dl/g以上の超高分子量ポ
リエチレンを0.1〜5重量%重合させるポリエチレン
の重合方法(特公平7−8890号公報)などが開示さ
れている。
【0006】さらに、担持型チタン含有固体触媒成分お
よび有機アルミニウム化合物触媒成分にエチレンとポリ
エン化合物が予備重合されてなる予備重合触媒を用いて
プロピレンを重合することにより、高溶融張力を有する
ポリプロピレンを製造する方法(特開平5−22212
2号公報)および同様の触媒成分を用い予備重合をエチ
レンの単独で行い極限粘度が20dl/g以上のポリエ
チレンを含有するエチレン含有予備重合触媒を用いる高
溶融張力を有するポリエチレン・α−オレフィン共重合
体の製造方法(特開平4−55410号公報)が開示さ
れている。
【0007】シートの熱成形性の良好なオレフィン
(共)重合体組成物の開発も検討されており、ポリプロ
ピレンに低密度ポリエチレン及び含水ケイ酸マグネシウ
ム粉末を添加する方法(特公昭56−15744号公
報)、ポリプロピレンに高密度ポリエチレン及びエチレ
ン−プロピレン共重合体を添加する方法(特公昭63−
29704号公報)等が開示されいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記提案されている種
々の組成物やそれらの製造方法においては、ポリオレフ
ィンの溶融張力のある程度の向上は認められるものの、
架橋助剤による臭気の残留、成形加工性の不十分など改
善すべき点も残っている。
【0009】また、高分子量のポリオレフィンの製造工
程を、本重合における通常のプロピレン(共)重合工程
に組み込む多段重合法においては、その高分子量のポリ
オレフィンを微量生成させるための、オレフィン(共)
重合量の微量コントロールが難しいこと、また分子量の
十分に大きいポリオレフィンを生成するために低い重合
温度が必要なこともあり、プロセスの改造を必要とし、
さらにポリプロピレン組成物の生産性も低下する。
【0010】ポリエン化合物を予備重合させる方法にお
いては、別途にポリエン化合物を準備する必要があり、
またポリエチレンを予備重合させる方法を開示した文献
に基づいてプロピレンを重合した場合、最終的に得られ
るポリプロピレン組成物への予備重合したポリエチレン
の分散性が不均一であり、ポリプロピレン組成物の安定
性の面でさらに改善が要求される。
【0011】ポリプロピレンに低密度ポリエチレンおよ
び含水ケイ酸マグネシウム粉末を添加する方法において
は、シートの熱成形性の改良が不十分であり、また成型
品の透明性が不十分のため用途が限られる。
【0012】上記したように、従来技術においては、ポ
リプロピレンは溶融張力の向上の効果において不十分で
ある外、臭気の問題の点や成形加工性、及び成型品の透
明性で改善すべき課題を有している。
【0013】本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意
研究した結果、ポリオレフィン製造用触媒に少量の本
(共)重合目的のポリプロピレンおよび特定の固有粘度
を有するポリエチレンを担持させて予備活性化した触媒
を使用してプロピレンを本(共)重合させた組成物に更
に造核剤を配合させることにより、成形加工性、透明性
が優れたポリプロピレン系組成物、成形体が得られるこ
とを見出し、本発明に至った。以上の記述から明らかな
ように本発明は、真空および圧空成形等の熱成形、中空
成形等の成形性が良好であり、また成型品の透明性に優
れたポリプロピレン組成物、その製造方法および該組成
物を用いたポリプロピレン成形体を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】(1)(a)エチレン単
独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有
するエチレン−オレフィン共重合体であって、135℃
のテトラリン中で測定した固有粘度[η ]が15〜
100dl/gの高分子量ポリエチレン[I]を0.0
1〜5.0重量部と、(b)プロピレン単独重合体また
はプロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピ
レン−オレフィン共重合体からなり、135℃のテトラ
リン中で測定した固有粘度[η ]が0.2〜10d
l/gであるプロピレン(共)重合体100重量部から
なるオレフィン共重合体[II]100重量部と、(c)
造核剤0.05〜1重量部とからなるオレフィン(共)
重合体組成物。
【0015】(2)[一](a)エチレン単独重合体ま
たはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレ
ン−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリ
ンで測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/
gの範囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜
5.0重量部と、(b)プロピレン単独重合体またはプ
ロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン
−オレフィン共重合体からなり、135℃のテトラリン
中で測定した固有粘度[η ]が0.2〜10dl/
gであるポリプロピレン100重量部からなるオレフィ
ン(共)重合体[II]が100重量部と、[二]造核剤
を0.05〜1重量部と、[三]下記(c1)〜(c
5)の群から選ばれる1つ以上の単独または共重合体を
5〜40重量部とからなるオレフィン(共)重合体組成
物 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm
結晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合
体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm
結晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィ
ン共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm
結晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィ
ン共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm
結晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル
共重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm
結晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体
又は1−ブテン−オレフィン共重合体。
【0016】(3)[一](a)エチレン単独重合体ま
たはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレ
ン−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリ
ンで測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/
gの範囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜
5.0重量部と、(b)プロピレン単独重合体またはプ
ロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン
−オレフィン共重合体からなり、135℃のテトラリン
中で測定した固有粘度[η ]が0.2〜10dl/
gであるポリプロピレン100重量部からなるオレフィ
ン(共)重合体[II]が100重量部と、[二]造核剤
を0.05〜1重量部と、[三]下記(c1)〜(c
5)の群から選ばれる1つ以上の単独または共重合体を
5〜40重量部とからなるオレフィン(共)重合体組成
物 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm
結晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合
体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm
結晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィ
ン共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm
結晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィ
ン共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm
結晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル
共重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm
結晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体
又は1−ブテン−オレフィン共重合体であって、前記オ
レフィン(共)重合体[II]が、230℃における溶融
張力(MS)と135℃のテトラリン中で測定した固有
粘度[η ]との間に、log(MS)>4.24×
log[η ]−0.95で表される関係を有する前
記1および前記2に記載のオレフィン(共)重合体組成
物。
【0017】(4)(a)エチレン単独重合体またはエ
チレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オ
レフィン共重合体であって、135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/gの
高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0重量部
と、(b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合
単位を50重量%含有するプロピレン−オレフィン共重
合体からなり、135℃のテトラリン中で測定した固有
粘度[η ]が0.2〜10dl/gであるプロピレ
ン共重合体100重量部、からなるオレフィン共重合体
[II]が100重量部と(c)造核剤0.05〜1重量
部からなり(d)前記オレフィン(共)重合体[II]の
230℃における溶融張力(MS)と該[I]の135
℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η ]との間
に下式(1) log(MS)>4.24×log[η ]−0.95 (1) なる関係を有するオレフィン共重合体組成物。
【0018】(5)遷移金属化合物触媒成分、該触媒成
分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000
モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第12
族および第13族に属する金属よりなる群より選抜され
た金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属
原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組合せからなるポリオレフィン製造用触媒を用い
てエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエ
チレンと該触媒からなる予備活性化触媒の存在下にプロ
ピレンを単独重合させ、若しくはプロピレンと炭素数2
〜12の他のオレフィンを共重合させることを特徴とす
るオレフィン(共)重合体組成物[II]の製造方法。
【0019】(6)遷移金属化合物触媒成分、該触媒成
分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000
モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第12
族および第13族に属する金属よりなる群から選択され
た金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属
原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組み合わせからなるポリオレフィン製造用触媒を
用いてエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポ
リエチレンと該触媒からなる予備活性化触媒と該触媒中
の遷移金属1モルに対し、0.04〜4,000モルの
前記(AL1)と同一の有機金属化合物および0〜2,
500モルの前記(E1)と同一の電子供与体(E2)
からなるオレフィン(共)重合用触媒の存在下にプロピ
レンを単独重合させ若しくは、プロピレンと炭素数2〜
12の他のオレフィンを共重合させることを特徴とする
オレフィン(共)重合体組成物[II]の製造方法。
【0020】(7)予備活性化触媒が、遷移金属化合物
触媒成分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定し
た固有粘度[η ]が15〜100dl/gの範囲の
ポリエチレン0.01〜5,000gを担持してい前記
5または前記6記載のオレフィン(共)重合体組成物の
製造方法。
【0021】(8)予備活性化触媒が、遷移金属化合物
触媒成分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定し
た固有粘度[η ]が15dl/gより小さいポリプ
ロピレン0.01〜100g、および135℃のテトラ
リン中で測定した固有粘度[η ]が15〜100d
l/gの範囲のポリエチレン0.01〜5,000gを
担持している前記5または前記6記載のオレフィン
(共)重合体組成物の製造方法。
【0022】(9)遷移金属化合物触媒成分、該触媒成
分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000
モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第12
族および第13族に属する金属よりなる群より選抜され
た金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属
原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組合せからなるポリオレフィン製造用触媒を用い
てエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエ
チレンと該触媒からなる予備活性化触媒の存在下にプロ
ピレンを単独重合させ、若しくはプロピレンと他の炭素
数2〜12の他のオレフィンと共重合させ、その際重合
容器内の重合容積1リットル中の触媒量を該触媒中の遷
移金属原子に換算して0.01〜1,000ミリモルと
することを特徴とするオレフィン(共)重合体組成物の
製造方法。
【0023】(10)遷移金属化合物触媒成分、該触媒
成分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,00
0モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第1
2族および第13族に属する金属よりなる群から選択さ
れた金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金
属原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組み合わせからなるポリオレフィン製造用触媒を
用いてエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポ
リエチレンと該触媒からなる予備活性化触媒と該触媒中
の遷移金属1モルに対し、0.04〜4,000モルの
前記(AL1)と同一の有機金属化合物および0〜2,
500モルの前記(E1)と同一の電子供与体(E2)
からなるオレフィン(共)重合用触媒の存在下にプロピ
レンを単独重合させ若しくは、プロピレンを炭素数2〜
12の他のオレフィンを共重合させ、その際重合容器内
の重合容積1リットル中の触媒量を該触媒中の遷移金属
原子に換算して0.01〜1,000ミリモルとするこ
とを特徴とするオレフィン(共)重合体組成物の製造方
法。
【0024】(11)前記1に記載のオレフィン(共)
重合体組成物を成型してなるオレフィン(共)重合体組
成物成型品。
【0025】(12)前記2に記載のオレフィン(共)
重合体組成物を成型してなるオレフィン(共)重合体組
成物成型品。
【0026】(13)オレフィン(共)重合体組成物成
型品がシートである前記11に記載のオレフィン(共)
重合体組成物成型品。
【0027】(14)オレフィン(共)重合体組成物成
型品がシートである前記12に記載のオレフィン(共)
重合体組成物成型品。
【0028】本発明の第一発明は、オレフィン(共)重
合体組成物であって、(a)エチレン単独重合体又はエ
チレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オ
レフィン共重合体であって、135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/gの
高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0重量部
と、(b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合
単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン
共重合体であって、135℃のテトラリン中で測定した
固有粘度[η ]が0.2〜10dl/gであるポリ
プロピレンからなるオレフィン(共)重合体を100重
量部、からなるオレフィン共重合体[II]を100重量
部と造核剤を0.05〜1重量部からなるオレフィン
(共)重合体組成物である。
【0029】本発明の第二発明は、オレフィン(共)重
合体組成物であって、[一](a)エチレン単独重合体
またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチ
レン−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラ
リンで測定した固有粘度[η ]が15〜100dl
/gの範囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜
5.0重量部と、(b)プロピレン単独重合体またはプ
ロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン
−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリン
中で測定した固有粘度[η ]が0.2〜10dl/
gであるポリプロピレン100重量部からなるオレフィ
ン(共)重合体[II]を100重量部と、[二]造核剤
を0.05〜1重量部と、[三]下記(c1)〜(c
5)の群から選ばれる1つ以上を5〜40重量部とから
なるオレフィン(共)重合体組成物である。 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm
結晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合
体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm
結晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィ
ン共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm
結晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィ
ン共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm
結晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル
共重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm
結晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体
又は1−ブテン−オレフィン共重合体。
【0030】前記オレフィン(共)重合体組成物におい
ては、オレフィン(共)重合体[II]が、230℃にお
ける溶融張力(MS)と135℃のテトラリン中で測定
した固有粘度[η ]との間に、 log(MS)>4.24×log[η ]−0.9
5 で表される関係を有することが好ましい。
【0031】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
においては、オレフィン(共)重合体[II]が、遷移金
属化合物触媒成分、遷移金属原子1モルに対し0.01
〜1,000モルの周期表(1991年版)第1族、第
2族、第12族および第13族に属する金属よりなる群
から選択された金属の有機金属化合物(AL1)および
遷移金属原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与
体(E1)の組み合わせからなるポリオレフィン製造用
触媒、ならびに、この触媒に担持させたポリエチレンか
らなる予備活性化触媒の存在下に、プロピレンの単独ま
たはプロピレンと炭素数2〜12のその他のオレフィン
を本(共)重合させて製造されることが好ましい。
【0032】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
においては、オレフィン(共)重合体[I]が予備活性
化触媒と、周期表(1991年版)第1族、第2族、第
12族および第13族に属する金属よりなる群から選択
された金属の有機金属化合物(AL2)を予備活性化触
媒中に含まれる有機金属化合物(AL1)との合計で遷
移金属原子1モルに対し、0〜500モル、ならびに電
子供与体(E2)を予備活性化触媒中に含まれる電子供
与体(E1)との合計で予備活性化触媒中の遷移金属原
子1モル当たり0〜3000モルをさらに含有させたオ
レフィン本(共)重合触媒の存在下に、プロピレンの単
独またはプロピレンと炭素数2〜12のその他のオレフ
ィンを本(共)重合させて製造されることが好ましい。
また、前記オレフィン(共)重合体組成物においては、
予備活性化触媒が、遷移金属化合物触媒成分1g当た
り、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η
]が15〜100dl/gの範囲のポリエチレン
[I]を0.01〜5,000gを担持していることが
好ましい。
【0033】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
においては、予備活性化触媒が、遷移金属化合物触媒成
分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定した固有
粘度[η ]が15dl/gより小さいポリプロピレ
ン0.01〜100g、および135℃のテトラリン中
で測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/g
の範囲のポリエチレン[II]0.01〜5,000gを
担持していることが好ましい。
【0034】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
の製造法においては、オレフィン(共)重合体[II]
が、プロピレンまたはプロピレンとその他のオレフィン
の(共)重合容積1リットル当たり触媒中の遷移金属原
子に換算して0.01〜1,000ミリモルの触媒量で
製造されることが好ましいη ]が15〜100dl
/gの範囲ポリエチレン[II]0.01〜5,000g
を担持していることが好ましい。
【0035】次に、本発明のオレフィン(共)重合体組
成物成形品は、前記のいずれかに記載のオレフィン
(共)重合体組成物により得られる成形品である。成形
方法は公知のいかなる方法を採用しても良い。
【0036】また、本発明のオレフィン(共)重合体組
成物成形品は、シートであることが特に好ましい。
【0037】
【発明実施の形態】本明細書中において用いる「ポリプ
ロピレン」、および「プロピレン(共)重合体」の用語
は、プロピレン単独重合体およびプロピレン重合単位を
50重量%以上含有するプロピレン−オレフィンランダ
ム共重合体およびプロピレン−オレフィンブロック共重
合体を意味し、「ポリエチレン」、および「エチレン
(共)重合体」の用語は、エチレン単独重合体およびエ
チレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オ
レフィンランダム共重合体を意味する。
【0038】前記(1)のポリプロピレン組成物の
(a)成分を構成するポリエチレン[I]は、135℃
のテトラリン中で測定した固有粘度[η ]が15〜
100dl/gのポリエチレンであって、エチレン単独
重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有す
るエチレン−オレフィン共重合体であり、好ましくはエ
チレン単独重合体もしくはエチレン重合単位を70重量
%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体、特に好
ましくはエチレン単独重合体もしくはエチレン重合単位
を90重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合
体が適しており、これらの(共)重合体は1種類のみな
らず2種類以上混合してもよい。
【0039】(a)成分のポリエチレンの固有粘度[η
]が15dl/g未満であると、得られるポリプロ
ピレン組成物の溶融張力が低下し、成形性の向上効果が
不十分となり、また固有粘度[η ]の上限について
は特に限定されないが、(b)成分のポリプロピレンの
固有粘度[η ]との差が大きいと、組成物とした際
に(b)成分のポリプロピレン中への(a)成分のポリ
エチレンの分散が悪くなり、結果として溶融張力が上昇
しなくなり成形性の向上効果が不十分になる。さらに製
造上の効率からも上限は100dl/g程度とするのが
よい。(a)成分のポリエチレン(II)の固有粘度[η
]は15〜100dl/g、好ましくは17〜50
dl/gの範囲である。また(a)成分のポリエチレン
は、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η
]が15dl/gにまで高分子量化させる必要がある
ため、高分子量化の効率面からエチレン重合単位50重
量%以上であることが好ましい。
【0040】(a)成分のポリエチレンを構成するエチ
レンと共重合されるエチレン以外のオレフィンとして
は、特に限定されないが、炭素数3〜12のオレフィン
が好ましく用いられる。具体的には、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、
1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−
1−ペンテン等が挙げられ、これらのオレフィンは1種
のみならず2種以上であってもよい。
【0041】(a)成分のポリエチレンの密度について
は、特に制限はないが、具体的には、880〜980g
/l程度のものが好適である。
【0042】前述(1)のポリプロピレン組成物を構成
する(b)成分のポリプロピレン[II]は、135℃の
テトラリン中で測定した固有粘度[η ]が0.2〜
10dl/gの結晶性ポリプロピレンであって、プロピ
レン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%
以上含有するプロピレン−オレフィンランダム共重合体
もしくはプロピレン−オレフィンブロック共重合体であ
り、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン重合
単位含有量が90重量%以上含有するプロピレン−オレ
フィンランダム共重合体である。これらの(共)重合体
は1種のみならず2種以上の混合物であってもよい。
【0043】(b)成分のポリプロピレン[II]の固有
粘度[η ]は、0.2〜10dl/g、好ましくは
0.5〜8dl/gのものが用いられる。(b)成分の
ポリプロピレンの固有粘度[η ]が0.2dl/g
未満の場合、得られるポリプロピレン組成物の機械的特
性が悪化し、また10dl/gを超えると得られるポリ
プロピレン組成物の成形性が悪化する。
【0044】(b)成分のポリプロピレン[II]を構成
するプロピレンと共重合されるプロピレン以外のオレフ
ィンとしては、特に限定されないが、炭素数2〜12の
オレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−
メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらのオレフィ
ンは1種のみならず2種以上であって5よい。
【0045】(b)成分のポリプロピレン[II]の立体
規則性については、特に制限はなく結晶性ポリプロピレ
ンであれば、本発明の目的を達成するどのようなポリプ
ロピレンであってもよい。具体的には13C−NMR
(核磁気共鳴スペクトル)で測定したアイソタクチック
ペンタッド分率(mmmm)が0.80〜0.99、好
ましくは0.85〜0.99の結晶性を有するポリプロ
ピレンが使用される。
【0046】アイソタクチックペンタッド分率(mmm
m)とはエイ ザンベリ(A.Zambelli)等によって提案
(Macromolecules 6,925 (1973))された13C−N
MRにより測定される、ポリプロピレン分子鎖中のペン
タッド単位でのアイソタクチック分率であり、スペクト
ルの測定におけるピークの帰属決定法はエイ ザンベリ
(A.Zambelli)等によって提案(Macromolecules 8,68
7 (1975))された帰属に従って決定される。具体的に
は、ポリマー濃度20重量%のo−ジクロロベンゼン/
臭化ベンゼン=8/2重量比の混合溶液を用い、67.
20MHz、130℃にて測定することによって求めら
れる。測定装置としては、たとえばJEOL−GX27
0NMR測定装置(日本電子(株)製)が用いられる。
【0047】前述(3)のポリプロピレン組成物の溶融
張力は、230℃における溶融張力(MS)と135℃
のテトラリン中で測定した固有粘度[η]とが、log
(MS)>4.24×log[η]−0.95で表される関係にある
ことが好ましい。上限については特に限定されないが、
あまりにも溶融張力が高いと組成物の成形性が悪化する
ことから、 好ましくは、 4.24×log[η ]+0.60>log(MS)>4.24×log[η ]−0.95 より好ましくは、 4.24×log[η ]+0.34>log(MS)>4.24×log[η ]−0.95 最も好ましくは、 4.24×log[η ]+0.34>log(MS)>4.24×log[η ]−0.83 の関係を満足する。
【0048】ここで、230℃における溶融張力(M
S)は、メルトテンションテスター2型((株)東洋精
機製作所製)を用いて、装置内にてオレフィン(共)重
合体組成物を230℃に加熱し、溶融オレフィン(共)
重合体組成物を直径2.095mmのノズルから20m
m/分の速度で23℃の大気中に押し出してストランド
とし、このストランドを3.14m/分の速度で引き取
る際の糸状ポリプロピレン組成物の張力を測定した値
(単位:cN)である。
【0049】本明細書中において「予備活性化」との用
語は、ポリオレフィン製造用触媒の高分子量化に係る活
性を、プロピレン又はプロピレンと他のオレフィンとの
本(共)重合を実施するに先立って、予め活性化するこ
とを意味し、ポリオレフィン製造用触媒の存在下にエチ
レンまたはエチレンとその他のオレフィンとを予備活性
化(共)重合して(共)重合物を触媒に担持させること
により行う。
【0050】本発明に係るオレフィン(共)重合用予備
活性化触媒は、従来からポリオレフィンの製造用に使用
される遷移金属化合物触媒成分、有機金属化合物および
所望により使用される電子供与体からなるポリオレフィ
ン製造用触媒に、少量の特定の固有粘度を有する本
(共)重合目的のポリオレフィンおよび特定の高い固有
粘度を有する少量のポリオレフィンを担持させることに
より予備活性化した触媒である。
【0051】本発明に係るオレフィン(共)重合用予備
活性化触媒において、遷移金属化合物触媒成分として、
ポリオレフィン製造用として提案されている遷移金属化
合物触媒成分を主成分とする公知の触媒成分のいずれを
も使用することができ、中でも工業生産上、チタン含有
固体触媒成分が好適に使用される。
【0052】チタン含有固体触媒成分としては、三塩化
チタン組成物を主成分とするチタン含有固体触媒成分
(特公昭56−3356号公報、特公昭59−2857
3号公報、特公昭63−66323号公報等)、マグネ
シウム化合物に四塩化チタンを担持した、チタン、マグ
ネシウム、ハロゲン、および電子供与体を必須成分とす
るチタン含有担持型触媒成分(特開昭62−10481
0号公報、特開昭62−104811号公報、特開昭6
2−104812号公報、 特開昭57−63310号
公報、特開昭57−63311号公報、特開昭58−8
3006号公報、特開昭58−138712号公報等)
などが提案されており、これらのいずれをも使用するこ
とができる。
【0053】上記以外の遷移金属化合物触媒成分とし
て、通常メタロセンと称されるπ電子共役配位子を少な
くとも1個有する遷移金属化合物も用いることができ
る。この時の遷移金属は、Zr,Ti,Hf,V,N
b,TaおよびCrから選択することが好ましい。
【0054】π電子共役配位子の具体例としては、η−
シクロペンタジエニル構造、η−ベンゼン構造、η−シ
クロプタトリエニル構造、又はη−シクロオクタテトラ
エン構造を有する配位子が挙げられ、特に好ましいの
は、η−シクロペンタンジエニル構造を有する配位子で
ある。
【0055】η−シクロペンタジエニル構造を有する配
位子としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、イ
ンデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。これらの
基は、アルキル基、アリール基およびアラルキル基のよ
うな炭化水素基、トリアルキルシリル基のようなケイ素
置換炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、鎖状および環状アルキレン基などで置換され
ても良い。
【0056】遷移金属化合物がπ電子共役配位子を2個
以上含む場合には、そのうち2個のπ電子共役配位子同
士は、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキ
レン基、置換シクロアルキレン基、置換アルキリデン
基、フェニル基、シリレン基、置換ジメチルシリレン
基、ゲルミル基などを介して架橋していても良い。この
ときの遷移金属触媒成分は、上記のようなπ電子配位子
を少なくとも1個有する他に、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アラルキル基のような炭化水素
基、ケイ素置換炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、置換スルホナト基、アミドシリレン基、アミドア
ルキレン基などを有しても良い。なお、アミドシリレン
基やアミドアルキレン基のような2価の基はπ電子共役
配位子と結合しても良い。
【0057】上記のような通常メタロセンと称されるπ
電子共役配位子を少なくとも1個有する遷移金属化合物
触媒成分は、さらに微粒子状担体に担持させて用いるこ
とも可能である。このような微粒子担体としては、無機
又は有機化合物であっても、粒子径が5〜300μm、
好ましくは10〜200μmの顆粒状ないし球状の微粒
子固体が使用される。このうち、担体に使用する無機化
合物としては、SiO、Al、MgO、T
iO、ZnO等またはこれらの混合物が挙げられる。
これらの中では、SiO またはAl を主
成分とする物が好ましい。また、担体に使用する有機化
合物としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4
−メチル−1−ペンテン等の炭素数2〜12のα−オレ
フィンの重合体または共重合体、さらにはスチレンまた
はスチレン誘導体の重合体または共重合体が挙げられ
る。
【0058】有機金属化合物(AL1)として、周期表
(1991年版)第1族、第2族、第12族および第1
3族に属する金属よりなる群から選択された金属の有機
基を有する化合物、たとえば、有機リチウム化合物、有
機ナトリウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜
鉛化合物、有機アルミニウム化合物などを、前記遷移金
属化合物触媒成分と組み合わせて使用することができ
る。
【0059】特に、一般式がAlR
3−(p+q)(式中、R およびR は、アル
キル基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基
およびアルコキシ基の同種または異種を、Xはハロゲン
原子を表わし、pおよびqは、0<p+q≦3の正数を
表わす)で表わされる有機アルミニウム化合物を好適に
使用することができる。
【0060】有機アルミニウム化合物の具体例として
は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチ
ルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウム、トリ
−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−i−ヘキシルアル
ミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等のトリア
ルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−i
−ブチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウ
ムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド等の
ジアルキルアルミニウムモノハライド、ジエチルアルミ
ニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイド
ライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のアル
キルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウム
ジクロライド等のモノアルキルアルミニウムジハライド
などの他ジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコ
キシアルキルアルミニウムを挙げることができ、好まし
くは、トリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアル
ミニウムモノハライドを使用する。これらの有機アルミ
ニウム化合物は、1種だけでなく2種以上を混合して用
いることができる。
【0061】また、有機金属化合物(AL1)として、
アルミノキサン化合物も使用することができる。アルミ
ノキサンとは、下記一般式(化1)、または下記一般式
(化2)で表される有機アルミニウム化合物である。
【0062】
【化1】
【0063】
【化2】
【0064】ここで、R は炭素数1〜6、好ましく
は、1〜4の炭化水素基であり、具体的には、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基、アリル基、
2−メチルアリル基、プロペニル基、イソプロペニル
基、2−メチル−1−プロペニル基、ブテニル基等のア
ルケニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル
基、およびアリール基などである化合物が挙げられる。
これらのうち特に好ましいのは、アルキル基であり、各
は同一でも異なっていても良い。qは4〜30の
整数であるが、好ましくは6〜30、特に好ましくは8
〜30である。
【0065】また、有機金属化合物(AL1)としての
別の化合物として、ホウ素系有機金属化合物が挙げられ
る。このホウ素系有機金属化合物は、遷移金属化合物と
ホウ素原子を含むイオン性化合物と反応させることによ
り得られる。このとき用いられる遷移金属化合物として
は、オレフィン(共)重合用予備活性化触媒を製造する
際に使用する遷移金属化合物触媒成分と同様のものが使
用可能であるが、好ましく用いられるのは、前述した通
常メタロセンと称される少なくとも1個のπ電子共役配
位子を有する遷移金属化合物触媒成分である。
【0066】ホウ素原子を含むイオン性化合物として
は、具体的には、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウ
ム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフ
ェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸メチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸トリジメチルアンモニウム、テト
ラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアン
モニウム等が挙げられる。
【0067】ホウ素系有機金属化合物は、また、遷移金
属化合物とホウ素原子含有ルイス酸とを接触させること
によっても得られる。このとき用いられる遷移金属化合
物としては、オレフィン(共)重合用予備活性化触媒を
製造する際に使用する遷移金属触媒成分と同様のものが
使用可能であるが、好ましく用いられるのは、前述した
通常メタロセンと称される少なくとも1個のπ電子共役
配位子を有する遷移金属化合物触媒成分である。
【0068】ホウ素原子含有ルイス酸としては、下記の
一般式(化3)で表される化合物が使用可能である。
【0069】
【化3】BR
【0070】(式中、R 、R 、R は、それ
ぞれ独立してフッ素原子、メチル基、トリフルオロフェ
ニル基などの置換基を有しても良いフェニル基、また
は、フッ素原子を示す。)
【0071】上記一般式で表される化合物として具体的
には、トリ(n−ブチル)ホウ素、トリフェニルホウ
素、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェ
ニル]ホウ素、トリス(4−フルオロメチルフェニル)
ホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ
素、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ホウ
素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等が挙げ
られ、トリス(ペンタフルオロフェニル)が特に好まし
い。
【0072】電子供与体(E1)は、ポリオレフィンの
生成速度および/または立体規則性を制御することを目
的として必要に応じて使用される。電子供与体(E1)
として、たとえば、エーテル類、アルコール類、エステ
ル類、アルデヒド類、脂肪酸類、ケトン類、ニトリル
類、アミン類、アミド類、尿素およびチオ尿素類、イソ
シアネート類、アゾ化合物、ホスフィン類、ホスファイ
ト類、ホスフィナイト類、硫化水素およびチオエーテル
類、ネオアルコール類、シラノール類などの分子中に酸
素、窒素、硫黄、燐のいずれかの原子を有する有機化合
物および分子中にSi−O−C結合を有する有機ケイ素
化合物などが挙げられる。
【0073】エーテル類としては、ジメチルエーテル、
ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n
−ブチルエーテル、ジ−i−アミルエーテル、ジ−n−
ペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−i
−ヘキシルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−
i−オクチルエーテル、、ジ−n−ドデシルエーテル、
ジフェニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テト
ラヒドロフラン等が、アルコール類としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペントノ
ール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサ
ノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチ
レングリコール、グリセリン等が、またフェノ−ル類と
して、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチル
フェノール、ナフトール等が挙げられる。
【0074】エステル類としては、メタクリル酸メチ
ル、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ビニル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロ
ピル、ギ酸ブチル、酢酸アミル、酢酸−n−ブチル、酢
酸オクチル、酢酸フェニル、プロピオン酸エチル、安息
香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息
香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸−2−エチル
ヘキシル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニ
ス酸メチル、アニス酸エチル、アニス酸プロピル、アニ
ス酸フェニル、ケイ皮酸エチル、ナフトエ酸メチル、ナ
フトエ酸エチル、ナフトエ酸プロピル、ナフトエ酸ブチ
ル、ナフトエ酸−2−エチルヘキシル、フェニル酢酸エ
チル等のモノカルボン酸エステル類、コハク酸ジエチ
ル、メチルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチ
ル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル等
の脂肪族多価カルボン酸エステル類、フタル酸モノメチ
ル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
−n−プロピル、フタル酸モノ−n−ブチル、フタル酸
ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−i−ブチル、フタル酸ジ
−n−ヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フ
タル酸ジ−n−オクチル、iフタル酸ジエチル、i−フ
タル酸ジプロピル、i−フタル酸ジブチル、i−フタル
酸ジ−2−エチルヘキシル、テレフタル酸ジエチル、テ
レフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチル、ナフタ
レンジカルボン酸ジ−i−ブチル等の芳香族多価ジカル
ボン酸エステル類が挙げられる。
【0075】アルヒデド類としては、アセドアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド等が、カ
ルボン酸類として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、
修酸、コハク酸、アクリル酸、マイレン酸、吉草酸、安
息香酸などのモノカルボン酸類および無水安息香酸、無
水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸などの酸無水物
が、けとん類として、アセトン、メチルエチルケトン、
メチル−i−ブチルケトン、ベンゾフェノン等が例示さ
れる。
【0076】窒素含有化合物としては、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル等のニトリル類、メチルアミン、ジ
エチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミ
ン、β(N,N−ジメチルアミノ)エタノール、ピリジ
ン、キノリン、α−ピコリン、2,4,6−トリメチル
ピリジン、2,2,5,6−テトラメチルピペリジン、
2,2,5,5,テトラメチルピロリジン、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、アニリ
ン、ジメチルアリニン等のアミン類、ホルムアミド、ヘ
キサメチルリン酸トリアミド、N,N,N’,N’,
N’−ペンタメチル−N’−β−ジメチルアミノメチル
リン酸トリアミド、オクタメチルピロホスホルアミド等
のアミド類、N,N,N’,N’,N’−テトラメチル
尿素等の尿素類、フェニルイソシアネート、トルイルイ
ソシアネート等のイソシアネート類、アゾベンゼン等の
アゾ化合物類が例示される。
【0077】燐含有化合物としては、エチルホスフィ
ン、トリエチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ンオキシド等のホスフィン類、ジメチルホスファイト、
ジ−n−オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィン
類、ジメチルホスファイト、ジ−n−オクチルホスファ
イト、トリエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホス
ファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト
類が例示される。
【0078】硫黄含有化合物としては、ジエチルチオエ
ーテル、ジフェニルチオエーテル、メチルフェニルチオ
エーテル等のチオエーテル類、エチルチオアルコール、
n−プロピルチオアルコール、チオフェノール等のチオ
アルコール類が挙げられ、さらに、有機ケイ素化合物と
して、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、
トリフェニルシラノール等のシラノール類、トリメチル
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェ
ニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ−i−プロピル
ジメトキシシラン、ジ−i−ブチルジメトキシシラン、
ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルト
リアセトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシ
シラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ジンクロ
ペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメ
トキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジ
シクロヘキシルジメトキシシラン、2−ノルボルニルメ
チルジメトキシシラン等の分子中にSi−O−C結合を
有する有機ケイ素化合物等が挙げられる。これらの電子
供与体は、1種の単独あるいは2種類以上を混合して使
用することができる。
【0079】予備活性化触媒成分、および遷移金属原子
1モルに対し0.01〜1,000モルの周期表(19
91年版)第1族、第2族、第12族および第13族に
属する金属よりなる群れから選択された金属の有機金属
化合物(AL1)、および遷移金属原子1モルに対し0
〜500モルの電子供与体(E1)、の組み合わせから
なるポリオレフィン製造用触媒、ならびに、この触媒に
担持した遷移金属化合物成分1g当たり0.01〜10
0gの135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η
]が15dl/gより小さい(共)重合目的のポリ
プロピレン(B)、および遷移金属化合物触媒成分1g
当たり0.01〜5,000gの135℃のテトラリン
中で測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/
gであるポリエチレン(A)、からなる。
【0080】予備活性化触媒において、ポリエチレン
(A)は、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度
[η ]が15〜100dl/g、好ましくは17〜
50dl/gの範囲のエチレン単独重合体またはエチレ
ン重合単位が50重量%以上、好ましくは70重量%以
上、さらに好ましくは90重量%以下であるエチレンと
炭素数3〜12のオレフィンとの共重合体である。
【0081】ポリエチレン(A)の遷移金属化合物触媒
成分1g当たりの被担持量は0.01〜5,000g、
好ましくは0.05〜2,000g、さらに好ましくは
0.1〜1,000gである。遷移金属化合物触媒成分
1g当たりの被担持量が0.01g未満では、本(共)
重合の後に得られるポリプロピレン組成物[I]の溶融
張力の向上効果が不十分であり、成形性への向上効果が
不十分である。また5,000gを越える場合にはそれ
らの効果の向上が顕著でなくなるばかりでなく、ポリプ
ロピレン組成物[I]の均質性が悪化する場合があるの
で好ましくない。
【0082】一方ポリプロピレン(B)は135℃のテ
トラリン中で測定した固有粘度[η ]が15dl/
gより小さい本(共)重合目的の(b)成分のポリプロ
ピレンと同一成分のポリプロピレンであり、ポリプロピ
レン組成物[I]の(b)成分のポリプロピレンの一部
として組み入られる。
【0083】一方、ポリプロピレン(B)の遷移金属化
合物触媒成分1g当たりの被担持量は0.01〜100
g、換言すればポリプロピレン組成物[I]基準で0.
001〜1重量%の範囲が好適である。
【0084】予備活性化触媒は、遷移金属化合物成分、
有機金属化合物(AL1)および所望により使用される
電子供与体(E1)の組み合わせからなるポリオレフィ
ン製造用触媒の存在下に、本(共)重合目的のプロピレ
ンまたはプロピレンとその他のオレフィンを予備(共)
重合させてポリプロピレン(B)を生成させ、次いでエ
チレンまたはエチレンとその他のオレフィンを予備活性
化(共)重合させてポリエチレン(A)を生成させて、
遷移金属化合物触媒成分にポリプロピレン(B)および
ポリエチレン(A)を担持させる予備活性化処理により
製造する。
【0085】この予備活性化処理において、遷移金属化
合物触媒成分、触媒成分中の遷移金属1モルに対し0.
01〜1,000モル、好ましくは0.05〜500モ
ルの有機化合物(AL1)、および触媒成分中の遷移金
属1モルに対し0〜500モル、好ましくは0〜100
モルの電子供与体(E1)の組み合わせてポリオレフィ
ン製造用触媒として使用する。
【0086】このポリオレフィン製造用触媒を、エチレ
ンまたはエチレンとその他のオレフィンの(共)重合容
積1リットル当たり、触媒成分中の遷移金属原子に換算
して0.001〜5,000ミリモル、好ましくは0.
01〜1,000ミリモル存在させ、溶媒の不存在下ま
たは遷移金属化合物触媒成分1gに対し100リットル
までの溶媒中において、本(共)重合目的のプロピレン
またはプロピレンとその他のオレフィンとの混合物0.
01〜500gを供給して予備(共)重合させる。この
ようにして遷移金属化合物触媒成分1gに対し0.01
〜5,000gのポリプロピレン(B)を生成させ、次
いでエチレンまたはエチレンとその他のオレフィンとの
混合物0.01g〜10,000gを供給して予備活性
化(共)重合させて遷移金属化合物触媒成分1gに対し
0.01〜5,000gのポリエチレン(A)を生成さ
せることにより、遷移金属化合物触媒成分にポリプロピ
レン(B)およびポリエチレン(A)が被覆担持され
る。本発明中において、「重合容積」の用語は、液層重
合の場合には重合器内の液相部分の容積を、気相重合の
場合には重合器内の気相部分の容積を意味する。
【0087】遷移金属化合物触媒成分の使用量は、プロ
ピレンの効率的、かつ制御された(共)重合反応速度を
維持する上で、前記範囲であることが好ましい。また、
有機金属化合物(AL1)の使用量が、少なすぎると
(共)重合反応速度が遅くなりすぎ、また大きくしても
(共)重合反応速度のそれに見合う上昇が期待できない
ばかりか、ポリプロピレン組成物[I]中に有機金属化
合物(AL1)の残さが多くなるので好ましくない。さ
らに、電子供与体(E1)の使用量が大きすぎると、
(共)重合反応速度が低下する。溶融使用量が大きすぎ
ると、大きな反応容器を必要とするばかりでなく、効率
的な(共)重合反応速度の制御及び維持が困難となる。
【0088】予備活性化処理は、たとえば、ブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペン
タン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環
族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の
芳香族炭化水素、他にガソリン留分や水素化ジーゼル油
留分等の不活性溶媒、オレフィン自身を溶媒とした液相
中で行うことができ、また溶媒を用いずに気相中で行う
ことも可能である。
【0089】予備活性化処理は、水素の存在下において
も実施してもよいが、固有粘度[η ]が15〜10
0dl/gの高分子量のポリエチレン(A)を生成させ
るためには、水素は用いない方が好適である。
【0090】予備活性化処理においては、本(共)重合
目的のプロピレンまたはプロピレンとその他のオレフィ
ンとの混合物の予備(共)重合条件は、ポリプロピレン
(B)が遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01g
〜100g生成する条件であればよく、通常、−40℃
〜100℃の温度下、0.1MPa〜5MPaの圧力下
で、1分〜24時間実施する。またエチレンまたはエチ
レンとその他のオレフィンとの混合物の予備活性化
(共)重合条件は、ポリエチレン(A)が遷移金属化合
物触媒成分1g当たり0.01〜5,000g、好まし
くは0.05〜2,000g、さらに好ましくは0.1
〜1,000gの量で生成するような条件であれば特に
制限はなく、通常、−40℃〜40℃、好ましくは−4
0℃〜30℃、さらに好ましくは−40℃〜20℃程度
の比較的低温下、0.1MPa〜5MPa、好ましくは
0.2MPa〜5MPa、特に好ましくは0.3MPa
〜5MPaの圧力下で、1分〜24時間、好ましくは5
分〜18時間、特に好ましくは10分〜12時間であ
る。
【0091】また、前記予備活性化処理後に、予備活性
化処理による本(共)重合活性の低下を制御することを
目的として、本(共)重合目的のプロピレンまたはプロ
ピレンとその他のオレフィンとの混合物による付加重合
を、遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01〜10
0gのポリプロピレン(B)の反応量で行なってもよ
い。この場合、有機金属化合物(AL1)、電子供与体
(E1)、溶媒、およびプロピレンまたはプロピレンと
その他のオレフィンとの混合物の使用量はエチレンまた
はエチレンとのその他のオレフィンとの混合物による予
備活性化重合と同様な範囲で行なうことができるが、遷
移金属原子1モル当たり0.005〜10モル、好まし
くは0.01〜5モルの電子供与体の存在下に行なうの
が好ましい。また、反応条件については−40〜100
℃の温度下、0.1〜5MPaの圧力下で、1分から2
4時間実施する。
【0092】付加重合に使用される有機金属化合物(A
L1)、電子供与体(E1)、溶融の種類については、
エチレンまたはエチレンとその他のオレフィンとの混合
物による予備活性化重合と同様なものを使用でき、プロ
ピレンまたはプロピレンとその他のオレフィンとの混合
物については本(共)重合目的と同様の組成のものを使
用する。
【0093】予備活性化触媒は、そのまま、または追加
の有機金属化合物(AL2)及び電子供与体(E2)を
さらに含有させたオレフィン本(共)重合触媒として、
[I]のポリプロピレン組成物を得るための炭素数2〜
12のオレフィンの本(共)重合に用いることができ
る。
【0094】前記オレフィン本(共)重合用触媒は、前
記予備活性化触媒、予備活性化触媒中の遷移金属原子1
モルに対し有機金属化合物(AL2)を該予備活性化触
媒中の有機金属化合物(AL1)との合計(AL1+A
L2)で0.05〜3,000モル、好ましくは0.1
〜1,000モルとしたものおよび該予備活性化触媒中
の遷移金属原子1モルに対し電子供与体(E2)を予備
活性化触媒中の電子供与体(E1)との合計(E1+E
2)で0〜5,000モル、好ましくは0〜3,000
モルとしたものからなる。
【0095】上述のように構成したオレフィン本(共)
重合用触媒を用いたオレフィン本(共)重合において有
機金属化合物の含有量(AL1+AL2)が小さすぎる
と、プロピレンまたはプロピレンとその他のオレフィン
の本(共)重合における(共)重合反応速度が遅すぎ、
一方過剰に大きくしても(共)重合反応速度の期待され
るほどの上昇は認められず非効率的であるばかりではな
く、最終的に得られるポリプロピレン組成物中に残留す
る有機金属化合物残さが多くなるので好ましくない。さ
らに電子供与体の含有量(E1+E2)が過大になると
(共)重合反応速度が著しく低下する。
【0096】オレフィン本(共)重合用触媒に必要に応
じて追加使用される有機金属化合物(AL2)および電
子供与体(E2)の種類については既述の有機金属化合
物(L1)および電子供与体(E1)と同様なものを使
用することができる。また、1種の単独使用でもよく2
種以上を混合使用してもよい。また予備活性化処理の際
に使用したものと同種でも異なっていてもよい。
【0097】本発明のオレフィン本(共)重合用触媒の
使用形態としては、前記予備活性化触媒中に存在する溶
媒、未反応のオレフィン、有機金属化合物(AL1)、
および電子供与体(E1)等を濾別またはデカンテーシ
ョンして除去して得られた粉粒体またはこの粉粒体に溶
媒を添加した懸濁液と、追加の有機金属化合物(AL
2)および所望により電子供与体(E2)と組み合わせ
てもよく、また、存在する溶媒および未反応のオレフィ
ンを減圧蒸留または不活性ガス流等により蒸発させて除
去して得た粉粒体または粉粒体に溶媒を添加した懸濁液
と、所望により有機金属化合物(AL2)及び電子供与
体(E2)とを組み合わせてもよい。
【0098】ポリプロピレン組成物[I]の製造方法に
おいて、前記予備活性化触媒またはオレフィン本(共)
重合触媒の使用量は、重合容積1リットルあたり、予備
活性化触媒中の遷移金属原子に換算して、0.001〜
1,000ミリモル、好ましくは0.005〜500ミ
リモル使用する。遷移金属化合触媒成分の使用量を上記
範囲とすることにより、プロピレンまたはプロピレンと
組成オレフィンとの混合物の効率かつ制御された(共)
重合反応速度を維持することができる。
【0099】ポリプロピレン組成物[I]におけるプロ
ピレンまたはプロピレンとその他のオレフィンとの混合
物の本(共)重合は、その重合プロセスとして公知のオ
レフィン本(共)重合プロセスが使用可能である。具体
的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の
脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、他にガソ
リン留分や水素化ジーゼル油留分等の不活性溶媒中で、
オレフィンの(共)重合を実施するスラリー重合法、オ
レフィン自身を溶媒として用いるバルク重合法、オレフ
ィンの(共)重合を気相中で実施する気相重合法、さら
に(共)重合して生成するポリオレフィンが液状である
気相重合、あるいはこれらのプロセスの2種類以上を組
み合わせた重合プロセスを使用することができる。
【0100】上記のいずれの重合プロセスを使用する場
合も、重合条件として、重合温度は20〜120℃、好
ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜100
℃の範囲、重合圧力は0.1〜5MPa、好ましくは
0.3〜5MPaの範囲において、連続的、半連続的、
若しくはバッチ的に重合時間は5分間〜24時間程度の
範囲が採用される。上記の重合条件を採用することによ
り、(b)成分のポリプロピレンを効率的かつ制御され
た反応速度で生成させることができる。
【0101】ポリプロピレン組成物[I]の製造方法の
より好ましい態様においては、本(共)重合において生
成する(b)成分のポリプロピレン組成物の固有粘度
[η]が0.2〜10dl/g、好ましくは0.7〜
5dl/gの範囲となり、かつ得られるポリプロピレン
組成物[I]中に、使用した予備活性化触媒に由来する
ポリエチレン(A)が0.01〜5重量%の範囲となる
ように重合条件を選定する。
【0102】本(共)重合の終了後、必要に応じて公知
の触媒失活処理工程、触媒残さ除去工程、乾燥工程等の
後処理工程を経てポリプロピレン組成物[I]が得られ
る。
【0103】[二]成分の造核剤としては、ジベンジリ
デンソルビトール若しくはその誘導体、4−三級ブチル
安息香酸アルミニウム、4−三級ブチル安息香酸ナトリ
ウム、環状燐酸エステル塩基性多価金属塩、又は有機カ
ルボン酸アルカリ金属塩等が例示でき、その中でもジベ
ンジリデンソルビトール若しくはその誘導体が、得られ
る成型品の透明性が優れる理由により好ましい。これら
の単独使用は勿論のこと2種以上の化合物を併用するこ
ともできる。
【0104】該ジベンジリデンソルビトール及びその誘
導体としては1・3,2・4−ジベンジリデンソルビト
ール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベン
ジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4
−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−
メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトー
ル、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジ
リデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン
−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・
3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベン
ジリデンソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−メチ
ルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ
(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2
・4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトー
ル、1・3,2・4−ジ(p−i−プロピルベンジリデ
ン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−s−ブチ
ルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ
(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・
3,2・4−ジ(2’−4’−ジメチルベンジリデン)
ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−メトキシベン
ジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−エ
トキシベンジリデン)シルビトール、1・3−ベンジリ
デン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、
1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチル
ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジ
リデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトー
ル、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−ク
ロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベ
ンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビト
ール、及び1・3,2・4−ジ(p−クロルベンジリデ
ン)ソルビトール等を例示でき、その中でも1・3,2
・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−
ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールが好まし
い。これらの単独使用は勿論のこと2種以上の化合物を
併用することもできる。
【0105】前記環状燐酸エステル塩基性多価金属塩と
してはナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウ
ム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェート、マグネシウム−2,2’
−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスフェート、ジンク−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、
アルミニウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ
−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−
2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフ
ェニル)フォスフェート、カルシウム−2,2’−エチ
リデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォ
スフェート、アルミニウムヒドロオキシ−2,2’−メ
チレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォ
スフェート、チタンジヒドロオキシ−2,2’−メチレ
ン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフ
ェート、チンジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビ
ス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェー
ト、ジルコニウムオキシ−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、
アルミニウムヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェー
トおよびアルミニウムヒドロオキシ−2−2’−エチリ
デン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォス
フェートなどを例示できる。特にカルシウム−2,2’
−メチレン−ビス(4,6−t−ブチルフェニル)フォ
スフェート、アルミニウム−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アル
ミニウムヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−t−ブチルフェニル)フォスフェート等を例
示できる。これらのいづれかの単独使用は勿論のこと2
種以上の化合物を併用することもできる。
【0106】また、前記有機カルボン酸アルカリ金属塩
としては酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸等の脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク
酸、アジピン酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;
脂環式カルボン酸;芳香族カルボン酸等とリチウム、カ
ルシウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられ
る。これらの組合わせとしてはアルミニウムヒドロキシ
−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスフェート+ステアリン酸リチウム
(1:1)を例示できる。これらの単独使用は勿論のこ
と2種以上の化合物を併用することもできる。
【0107】[二]成分の造核剤の配合量は、オレフィ
ン(共)重合体組成物[一]100重量部に対し0.0
5〜1重量部であり、好ましくは0.1〜0.5重量部
である。造核剤の配合量が0.05重量部未満であると
得られる成型品の透明性の改良が不十分であり、1重量
部を越えると透明性の改良効果は頭打ちとなる。
【0108】本第二発明に使用される[三]成分は以下
に詳述するようなエチレン単独重合体、エチレン−オレ
フィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又は
ブテン−1重合体である。
【0109】前記エチレン単独重合体(c1)は密度が
0.914〜0.930g/cm、結晶融点が100
〜118℃、MFR[190℃;21.18N]が好ま
しくは0.01〜20g/10minであり、より好ま
しくは0.1〜10g/minの単独重合体であり、通
常、低密度ポリエチレンといわれているものである。該
エチレン単独重合体(c1)の製造方法としては、過酸
化物を触媒として高圧法によりエチレンを重合する方法
が例示できる。
【0110】前記エチレン−オレフィン共重合体(c
2)は密度が0.920〜0.935g/cm 、好
ましくは0.920〜0.930g/cm 、結晶融
点が115〜127℃、MFR[190℃;21.18
N]が好ましくは0.01〜20g/10min、より
好ましくは0.1〜5g/10minのエチレン−オレ
フィン共重合体であり、通常、直鎖状低密度ポリエチレ
ン(Linear Low Density Polyethylene;L-LDPE)(以下
L−LDPEと略記する)といわれるものである。該L
−LDPEはエチレンを主モノマーとし、これにコモノ
マーとして1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィ
ンの群から選ばれる1種以上をチーグラー・ナッタ触
媒、メタロセン触媒等の存在下で共重合させる方法が例
示できる。
【0111】前記エチレン−オレフィン共重合体(c
3)は密度が0.880〜0.920g/cm 、好
ましくは0.890〜0.910g/cm 、結晶融
点が110〜115℃およびMFR[190℃;21.
18N]が好ましくは0.01〜20g/10min、
特に好ましくは0.1〜5g/10minであるエチレ
ン−オレフィン共重合体であり、通常、超低密度ポリエ
チレン(Very Low Density Polyethylene )(以下V−
LDPEと略記する)と称するものである。該V−LD
PEはエチレンを主モノマーとし、これにコモノマーと
して1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンの群
から選ばれる1種以上をチーグラー・ナッタ触媒、メタ
ロセン触媒等の存在下で共重合させて得る方法が例示で
きる。
【0112】前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(c
4)は,密度が0.920〜0.950g/cm
好ましくは0.925〜0.940g/cm 、結晶
融点が90〜110℃、MFR[190℃;21.18
N]が好ましくは0.01〜20g/10min、より
好ましくは0.1〜10g/minのエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体である。
【0113】前記1−ブテン重合体(c5)は、密度が
0.880〜0.920g/cm、好ましくは0.9
00〜0.915g/cm 、結晶融点が70〜13
0℃、好ましくは100〜125℃、MFR[190
℃;21.18N]が好ましくは0.01〜20g/1
0min、より好ましくは0.1〜5g/10minの
1−ブテン単独重合体または1−ブテン−オレフィン共
重合体である。
【0114】[三]成分は前述の(c1)〜(c5)を
2種類以上配合してもよい。
【0115】[三]成分の配合量はオレフィン(共)重
合体組成物[一]100重量部に対し5〜40重量部で
あり、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは7〜
20重量部である。[三]成分の配合量が少ない場合
は、得られる成型品の透明性、耐衝撃性が十分でなく、
また、配合量が多い場合は、得られる成型品の剛性、耐
熱性が低下する。
【0116】なお、本発明のオレフィン(共)重合体組
成物に対しては、上述した成分に加えて安定剤として酸
化防止剤、中和剤、耐候剤、紫外線吸収剤、その他添加
剤として帯電防止剤、難燃剤、着色剤等を本発明の目的
を損なわない範囲で配合することができる。
【0117】本発明のオレフィン(共)重合体組成物は
上記の各成分混合して得られる。これらの各成分の混合
には、例えばヘンシェルミキサー(商品名)、スーパー
ミキサー(商品名)などの高速攪拌機付混合機、リボン
ブレンダー、タンブラーなどの通常の混合装置を使用す
ればよい。また、溶融混練を必要とする場合には通常の
単軸押し出し機または二軸押し出し機などが使われる。
混練温度は190〜300℃が一般的であり、好ましく
は200〜270℃である。
【0118】本発明のオレフィン(共)重合体組成物成
形品は上述の各成分よりなるオレフィン(共)重合体組
成物を公知の方法により成形して得られる。
【0119】本発明のオレフィン(共)重合体組成物成
型品としては、溶融時の強度が高いこと、成形品の透明
性が良好であることから、真空成形、圧空成形等の熟成
形等に使用されるシートを挙げることができる。
【0120】シートの製造方法としては、オレフィン
(共)重合体組成物を用い公知の成型方法(押し出し成
形、カレンダー成形、圧縮成形、注型成形等)により製
造する方法が例示できる。該公知公用の成形方法の中で
も生産性が良好な理由により、押し出し成形が好まし
い。具体的には、押し出し機、Tダイ、冷却ロール、ガ
イドロール、引き取りロール、トリミングカッター、マ
スキング、定尺切断カッター、スタッカー等の行程をも
つ装置(Tダイシート成形機)を用いたTダイ法が更に
好ましい。
【0121】押し出し温度はシートの外観、成形性が優
れることより180〜280℃が好ましい。押し出し温
度が180℃以上であればオレフィン(共)重合体組成
物が十分に溶融されシートの表面が鮫肌状にならず良好
な外観となり、また280℃以上であれば熱によるオレ
フィン(共)重合体の熱劣化が起き難く、シートの溶融
張力が保て良好な成形品が得られる。
【0122】冷却ロール温度は、外観が優れるシートが
得られる理由により5〜80℃が好ましい。冷却ロール
温度が5℃以上であれば冷却ロールが結露しないことに
よりシート表面に斑点状の模様ができず良好な外観が得
られ、また80℃以下であればシートが十分に冷却で
き、ロール状のシートを解くときに起きる線状の模様が
できず良好な外観が得られる。
【0123】シートを成形する速度は、生産性が優れる
理由により0.1〜100m/分である。該速度が0.
1m/分以上であれば、厚みが均一なシートが得られ不
良率が少なく、100m/分以下であればシートが十分
に冷却できる。
【0124】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
さらに詳細に説明する。実施例および比較例において使
用する用語の定義および測定方法は以下の通りである。 固有粘度[η]:135℃のテトラリン中で測定した極
限粘度をオストヴァルト粘度計(三井東圧化学(株)
製)により測定した値(単位:dl/g)に換算。 成形性:厚み0.4mmのシートを試料シートとする。
この試料シートを開口部が300×300mmの大きさ
の枠に固定し、この固定された試料シートを200℃に
保持された加熱炉中に一定時間水平に保持する。ポリプ
ロピレン及びその組成物等を用いたシートは上記評価を
行った場合、一般的に次のような現象がおこる。先ず初
めに、加熱されることによりシートの中央部が垂れ下が
る。次に、垂れ下がりの一部分が戻りを起こし、その戻
った状態が一定時間継続する。最後に、再度垂れ下がり
が起こり、その後再び戻る現象は起こらない。上述の、
初めに垂れ下がった量を「垂下量」(mm)とした。上
述の、垂下量に対する戻り量の比率を「戻り率」(%)
とした。上述の、垂れ下がりの一部分が戻りを起こした
状態が継続した時間を「保持時間」(秒)とした。垂下
量が小さく、戻り率が大きく、保持時間が長いほど成形
性が優れたシートである。 透明性:厚み0.4mmのシートを試料シートとする。
この試料シートをASTM D 1003に準拠してヘ
イズを測定した。ヘイズ値が小さいほど透明性が優れる
ことを示す。 剛性:厚み0.4mmのシートを試料シートとする。こ
の試料シートをASTM D 882に準拠してヤング
率を測定した。シートの引張方向はシート成形の流れ方
向(MD方向)であり、引張速度は5mm/minで実
施した。ヤング率の値が大きいほど剛性が高いことを示
す。
【0125】実施例1 (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 攪拌機付きステンレス製反応器中において、デカン3
7.5リットル、無水塩化マグネシウム7.14kg、
および2−エチル−1−ヘキサノール35.1リットル
を混合し、攪拌しながら140℃に4時間加熱反応を行
って均一な溶液とした。この均一溶液中に無水フタル酸
1.67kgを添加し、さらに130℃にて1時間攪拌
混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解した。
【0126】得られた均一溶液を室温(23℃)に冷却
した後、この均一溶液を−20℃に保持した四塩化チタ
ン200リットル中に3時間かけて全量滴下した。滴下
後、4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達した
ところでフタル酸ジ−i−ブチル5.03リットルを添
加し、2時間110℃にて攪拌保持して反応を行った。
2時間の反応終了後、熱濾過して固体部を採取し、固体
部を275リットルの四塩化チタンにより再懸濁させた
後、再び110℃で2時間、反応を持続した。
【0127】反応終了後、再び熱濾過により固体部を採
取し、n−ヘキサンにて、洗浄液中に遊離のチタンが検
出されなくなるまで充分洗浄した。続いて、濾過により
溶媒を分離し、固体部を減圧乾燥してチタン2.4重量
%を含有するチタン含有担持型触媒成分(遷移金属化合
物触媒成分)を得た。
【0128】(2)予備活性化触媒の調製 内容積30リットルの傾斜羽根付きステンレス製反応器
を窒素ガスで置換後、n−ヘキサン18リットル、トリ
エチルアルミニウム(有機金属化合物(AL1))60
ミリモルおよび前項で調整したチタン含有担持型触媒成
分150g(チタン原子換算で75.16ミリモル)を
添加した後、プロピレン500gを供給し、−2℃で4
0分間、予備重合を行った。
【0129】別途、同一条件で行った予備重合後に生成
したポリマーを分析した結果、チタン含有担持型成分1
g当たり、3.0gのポリプロピレン(B)が生成し、
このポリプロピレン(B)の135℃のテトラリン中で
測定した固有粘土[η ]が2.8dl/gであっ
た。
【0130】反応時間終了後、未反応のプロピレンを反
応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換した
後、反応器内の温度を−1℃に保持しながら、圧反応器
内の圧力を0.59MPaに維持するようにエチレンを
反応器に連続的に5時間供給し、予備活性化重合を行な
った。別途、同一条件で行なった予備活性化重合後に生
成したポリマーを分析した結果、チタン含有担持触媒成
分1g当たり、ポリマーが63.8g存在し、かつポリ
マーの135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η
]が30.8dl/gであった。
【0131】エチレンによる予備活性化重合で生成した
チタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリエチエン
(A)量(W )は、予備活性化処理後のチタン含有
担持型触媒成分1g当たりのポリマー生成量(W)と
予備重合後のチタン含有担持型触媒成分1g当たりのポ
リプロピレン(B)生成量(W)との差として次式で
求められる。 W =W −W
【0132】また、エチレンによる予備活性化重合で生
成したポリエチレン(A)の固有粘度[η ]は、予
備活性化重合で生成したポリプロピレン(B)の固有粘
度[η ]および予備活性化処理で生成したポリマー
の固有粘度[η ]から次式により求められる。 [η ]=([η ]×W −[η ]×W
)/(W −W) 上記に従ってエチレンによる予備活性化重合で生成した
ポリエチレン(A)量は、チタン含有担持型触媒成分1
g当たり60.8g、固有粘度[η ]は32.2d
l/gであった。
【0133】反応時間終了後、末反応のエチレンを反応
器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換し、本
(共)重合用の予備活性化触媒スラリーとした。
【0134】(3)ポリプロピレン組成物の製造(プロ
ピレンの本(共)重合) 窒素置換された、内容積110リットルの攪拌機を備え
た連続式横型気相重合器(長さ/直径=3.7)に、ポ
リプロピレンパウダーを25kg導入し、さらに予備活
性化触媒スラリーをチタン含有担持型触媒成分として
0.65g/h、トリエチルアルミニウム(有機金属化
合物(AL2))およびジイソプロピルジメトキシシラ
ン(電子供与体(E2))の15重量%n−ヘキサン溶
液をチタン含有担持型触媒成分中のチタン原子に対し、
それぞれモル比が90および15となるように連続的に
供給した。
【0135】さらに、重合温度70℃の条件下、重合器
内の水素温度のプロピレン濃度に対する比が0.002
となるように水素を、さらに重合器内の圧力が2.15
MPaを保持するようにプロピレンをそれぞれ重合器内
に供給して、プロピレンの気相重合を150時間連続し
て行なった。重合期間中は重合器内の重合体の保有レベ
ルが60容積%に維持するように重合器からポリマーを
11Kg/hの速度で抜き出した。抜き出したポリマー
を、水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて
30分間接触処理し、固有粘度[η ]が2.75d
l/gであるポリプロピレン組成物[I]を得た。ポリ
マー中の予備活性化処理により生成したポリエチレン
(A)含有率は0.36重量%およびポリプロピレンの
固有粘度[η ]は2.64dl/gであった。得ら
れたポリプロピレン組成物[I]の溶融張力(MS)は
9.8cNであった。
【0136】このポリプロピレン組成物[I]を100
重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジリ
デン)ソルビトールを0.3重量部、その他に2,6−
ジ−t−ブチル−P−クレゾール0.1重量部、ステア
リン酸カルシウム0.1重量部を混合し、次いでシリン
ダー設定温度230℃、スクリュー径40mmの押出し
造粒機を用いてペット状の組成物とした。この組成物を
用い、スクリュー径65mmのTダイシート成形機に
て、樹脂温度230℃、冷却ロール温度60℃、引取速
度10m/分でシート厚み0.4mmのシートを製膜し
た。この時の得られたシートの成形性、透明性、剛性を
表1に示した。
【0137】実施例2,3,4 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを0.5重量部を新日本理
化(株)製ゲルオールDH(商品名)0.1重量部(実
施例2)、0.3重量部(実施例3)、0.5重量部
(実施例4)に変えた以外は実施例1と同様にしてシー
トを成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表1に
示す。
【0138】実施例5 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを0.5重量部をナトリウ
ム−2−2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェートを0.1重量部に変えた以
外は実施例1と同様にしてシートの成形性、透明性、剛
性を表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】比較例1 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを配合しなかった以外は実
施例1と同様にしてシートを成形した。シートの成形
性、透明性、剛性を表2に示す。
【0141】比較例2 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールの配合量を0.03重量部
に変えた以外は実施例1と同様にしてシートを成形し
た。シートの成形性、透明性、剛性を表2に示す。
【0142】比較例3 チタン含有担持型触媒成分のエチレンによる予備活性化
重合を実施しなかったことを除き、他は実施例1と同一
の条件で処理してポリプロピレンの製造を行なった。得
られたポリプロピレン組成物[I]の固有粘度[η
]は2.70dl/gであり、溶融張力(MS)は
4.8cNであった。
【0143】このポリプロピレン組成物[I]を100
重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジリ
デン)ソルビトールを0.3重量部、その他に2,6−
ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.1重量部、ステア
リン酸カルシウム0.1重量部を混合し、次いでシリン
ダー設定温度230℃、スクリュー径40mmの押出し
造粒機を用いてペレット状の組成物とした。この組成物
を用い、スクリュー径65mmのTダイシート成形機に
て、樹脂温度230℃、冷却ロール温度60℃、取引速
度10m/分でシート厚み0.4mmのシートを製膜し
た。この時得られたシートの成形性、透明性、剛性を表
2に示した。
【0144】比較例4 比較例3において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールの配合量を0.03重量部
に変えた以外は実施例1と同様にしてシートを成形し
た。シートの成形性、透明性、剛性を表2に示す。
【0145】
【表2】
【0146】実施例6 実施例1で得られたポリプロピレン組成物[I]を10
0重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジ
リデン)ソルビトールを0.3重量部、密度が0.91
7g/cm 、結晶融点が110℃、NFR[190
℃;21.18N]が2.5g/10minのエチレン
単独重合体(低密度ポリエチレン)を10重量部、その
他に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.1重
量部、ステアリング酸カルシウム0.1重量部を混合
し、次いでシリンダー設定温度230℃、スクリュー径
40mmの押出し造粒機を用いてペレット状の組成物と
した。この組成物を用い、スクリュー径65mmのTダ
イシート成形機にて、樹脂温度230℃、冷却ロール温
度60℃、引取速度10m/分でシート厚み0.4mm
のシートを製膜した。この時の得られたシートの成形
性、透明性、剛性を表3に示した。
【0147】実施例7 実施例6において、低密度ポリエチレンの配合量を30
重量部に変えた以外は実施例6と同様にしてシートを成
形した。シートの成形性、透明性、剛性を表3に示し
た。
【0148】実施例8 実施例6において、低密度ポリエチレンの密度が密度が
0.917g/cm、結晶融点が110℃、MFR
[190℃;21.18N]が10/10minの低密
度ポリエチレンに変えた以外は実施例6と同様にしてシ
ートを成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表3
に示す。
【0149】実施例9 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.922g/cm 、結晶融点が122℃、MF
R[190℃;21.18N]が1.0/10minの
エチレン−オレフィン共重合体(L−LDPE)に変え
た以外は実施例6と同様にしてシートを成形した。シー
トの成形性、透明性、剛性を表3に示す。
【0150】実施例10 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.905g/cm 、結晶融点が113℃、MF
R[190℃;21.18N]が2.0/10minの
エチレン−オレフィン共重合体(V−LDPE)に変え
た以外は実施例6と同様にしてシートを成形した。シー
トの成形性、透明性、剛性を表3に示す。
【0151】
【表3】
【0152】実施例11 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.925g/cm 、結晶融点が106℃、MF
R[190℃;21.18N]が0.2g/10min
のエチレン−酢酸ビニル共重合体に変えた以外は実施例
6と同様にしてシートを成形した。シートの成形性、透
明性、剛性を表4に示す。
【0153】実施例12 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.910g/cm 、結晶融点が112℃、MF
R[190℃;21.18N]が1.0g/10min
のブテン共重合体に変えた以外は実施例6と同様にして
シートを成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表
4に示す。
【0154】
【表4】
【0155】比較例5 実施例6において、低密度ポリエチレンを配合量を3重
量部に変えた以外は実施例6と同様にしてシートを成形
した。シートの成形性、透明性、剛性を表5に示す。
【0156】比較例6 実施例6において、低密度ポリエチレンの配合量を60
重量部に変えた以外は実施例6と同様にしてシートを成
形した。シートの成形性、透明性、剛性を表5に示す。
【0157】比較例7 実施例6において、低密度ポリエチレンを密度が0.9
63g/cm 、結晶融点が134℃、MFR[19
0℃;21.18N]が1.2g/10minの高密度
ポリエチレンに変えた以外は実施例6と同様にしてシー
トを成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表5に
示す。
【0158】比較例8 実施例6において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを配合しなかった以外は実
施例6と同様にしてシートを成形した。シートの成形
性、透明性、剛性を表5に示す。
【0159】比較例9 比較例3で得られたポリプロピレン組成物[I]を10
0重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジ
リデン)ソルビトールを0.3重量部、密度が0.91
7g/cm 、結晶融点が110℃、MFR[190
℃;21.18N]が2.5g/10minのエチレン
単独重合体(低密度ポリエチレン)を10重量部、その
他に2,6−ジ−t−ブチル−クレゾール0.1重量
部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を混合し、次
いでシリンダー設定温度230℃、スクリュー径40m
mの押出造粒機を用いてペレット状の組成物とした。こ
の組成物を用い、スクリュー径65mmのTダイシート
成形機にて、樹脂温度230℃、冷却ロール温度60
℃、引取速度10m/分でシート厚み0.4mmのシー
トを製膜した。この時の得られたシートの成形性、透明
性、剛性を表5に示した。
【0160】
【表5】
【0161】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、ポ
リオレフィン製造用触媒に少量の本(共)重合目的のポ
リプロピレンおよび特定の固有粘度を有するポリエチレ
ンを担持させて予備活性化した触媒を使用してプロピレ
ンを本(共)重合させた組成物と造核剤とを配合物した
組成物、及び造核剤と特定のポリエチレン系重合体又は
ブテン重合体とを配合した組成物により、真空および圧
空成形等の熱成形における成形性、及び透明性に優れた
シートを提供できる。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年7月28日(1998.7.2
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 オレフィン(共)重合体組成物及びオ
レフィン(共)重合体組成物成型品
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オレフィン(共)
重合体組成物、オレフィン(共)重合体組成物成型品な
らびに該組成物に使用するオレフィン(共)重合体組成
物の製造法に関する。さらに詳しくは、溶融張力等の溶
融強度が高く、優れた成形性を有するオレフィン(共)
重合体組成物、および、透明性、熱成形性に優れたオレ
フィン(共)重合体組成物成型品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンは、機械的性質、耐薬品
性等に優れ、また経済性とのバランスにおいて極めて有
用なため各成形分野に広く用いられている。しかしなが
ら、ポリプロピレンは溶融張力が小さいため、真空及び
圧空成形等の熱成形、中空成形等の成形性に劣ってい
る。また、用途分野によっては透明性が不十分であり商
品価値を損なう場合があり、これらの向上が望まれてい
る。
【0003】ポリプロピレンの溶融張力を高める方法と
して、溶融状態下において、ポリプロピレンに有機過酸
化物と架橋助剤を反応させる方法(特開昭59−937
11号公報、特開昭61−152754号公報等)、半
結晶性ポリプロピレンに低分解温度過酸化物を酸素不存
在下で反応させて、自由端長鎖分岐を有しゲルを含まな
いポリプロピレンを製造する方法(特開平2−2985
36号公報)などが開示される。
【0004】溶融張力等の溶融粘弾性を向上させる他の
方法として、固有粘度または分子量の異なるポリエチレ
ン若しくはポリプロピレンを配合した組成物や、このよ
うな組成物を多段階重合によって製造する方法が提案さ
れている。
【0005】たとえば、超高分子量ポリプロピレン2〜
30重量部を通常のポリプロピレン100重量部に添加
し、融点以上210℃以下の温度範囲で押し出す方法
(特公昭61−28694号公報)、多段重合法により
得られた極限粘度比が2以上の分子量の異なる2成分の
ポリプロピレンからなる押し出しシート(特公平1−1
2770号公報)、高粘度平均分子量のポリエチレンを
1〜10重量%含む、粘度平均分子量の異なる3種類の
ポリエチレンからなるポリエチレン組成物を溶融混練
法、若しくは多段階重合法によって製造する方法(特公
昭62−61057号公報)、高活性チタン・バナジウ
ム固体触媒成分を用いて、多段重合法により、極限粘度
が20dl/g以上の超高分子量ポリエチレンを0.0
5ないし1重量%未満重合させるポリエチレンの重合方
法(特公平5−79683号公報)、1−ブテンや4−
メチル−1−ペンテンで予備重合処理された高活性チタ
ン触媒成分を用いて特殊な配列の重合器により多段重合
法により、極限粘度が15dl/g以上の超高分子量ポ
リエチレンを0.1〜5重量%重合させるポリエチレン
の重合方法(特公平7−8890号公報)などが開示さ
れている。
【0006】さらに、担持型チタン含有固体触媒成分お
よび有機アルミニウム化合物触媒成分にエチレンとポリ
エン化合物が予備重合されてなる予備重合触媒を用いて
プロピレンを重合することにより、高溶融張力を有する
ポリプロピレンを製造する方法(特開平5−22212
2号公報)および同様の触媒成分を用い予備重合をエチ
レンの単独で行い極限粘度が20dl/g以上のポリエ
チレンを含有するエチレン含有予備重合触媒を用いる高
溶融張力を有するポリエチレン・α−オレフィン共重合
体の製造方法(特開平4−55410号公報)が開示さ
れている。
【0007】シートの熱成形性の良好なオレフィン
(共)重合体組成物の開発も検討されており、ポリプロ
ピレンに低密度ポリエチレン及び含水ケイ酸マグネシウ
ム粉末を添加する方法(特公昭56−15744号公
報)、ポリプロピレンに高密度ポリエチレン及びエチレ
ン−プロピレン共重合体を添加する方法(特公昭63−
29704号公報)等が開示されいる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記提案されている種
々の組成物やそれらの製造方法においては、ポリオレフ
ィンの溶融張力のある程度の向上は認められるものの、
架橋助剤による臭気の残留、成形加工性の不十分など改
善すべき点も残っている。
【0009】また、高分子量のポリオレフィンの製造工
程を、本重合における通常のプロピレン(共)重合工程
に組み込む多段重合法においては、その高分子量のポリ
オレフィンを微量生成させるための、オレフィン(共)
重合量の微量コントロールが難しいこと、また分子量の
十分に大きいポリオレフィンを生成するために低い重合
温度が必要なこともあり、プロセスの改造を必要とし、
さらにポリプロピレン組成物の生産性も低下する。
【0010】ポリエン化合物を予備重合させる方法にお
いては、別途にポリエン化合物を準備する必要があり、
またポリエチレンを予備重合させる方法を開示した文献
に基づいてプロピレンを重合した場合、最終的に得られ
るポリプロピレン組成物への予備重合したポリエチレン
の分散性が不均一であり、ポリプロピレン組成物の安定
性の面でさらに改善が要求される。
【0011】ポリプロピレンに低密度ポリエチレンおよ
び含水ケイ酸マグネシウム粉末を添加する方法において
は、シートの熱成形性の改良が不十分であり、また成型
品の透明性が不十分のため用途が限られる。
【0012】上記したように、従来技術においては、ポ
リプロピレンは溶融張力の向上の効果において不十分で
ある外、臭気の問題の点や成形加工性、及び成型品の透
明性で改善すべき課題を有している。
【0013】本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意
研究した結果、ポリオレフィン製造用触媒に少量の本
(共)重合目的のポリプロピレンおよび特定の固有粘度
を有するポリエチレンを担持させて予備活性化した触媒
を使用してプロピレンを本(共)重合させた組成物に更
に造核剤を配合させることにより、成形加工性、透明性
が優れたポリプロピレン系組成物、成形体が得られるこ
とを見出し、本発明に至った。以上の記述から明らかな
ように本発明は、真空および圧空成形等の熱成形、中空
成形等の成形性が良好であり、また成型品の透明性に優
れたポリプロピレン組成物、その製造方法および該組成
物を用いたポリプロピレン成形体を提供することを目的
とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】(1)(a)エチレン単
独重合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有
するエチレン−オレフィン共重合体であって、135℃
のテトラリン中で測定した固有粘度[η]が15〜1
00dl/gの高分子量ポリエチレン[I]を0.01
〜5.0重量部と、(b)プロピレン単独重合体または
プロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレ
ン−オレフィン共重合体からなり、135℃のテトラリ
ン中で測定した固有粘度[η]が0.2〜10dl/
gであるプロピレン(共)重合体100重量部からなる
オレフィン共重合体[II]100重量部と、(c)造核
剤0.05〜1重量部とからなるオレフィン(共)重合
体組成物。
【0015】(2)[一](a)エチレン単独重合体ま
たはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレ
ン−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリ
ンで測定した固有粘度[η]が15〜100dl/g
の範囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.
0重量部と、(b)プロピレン単独重合体またはプロピ
レン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オ
レフィン共重合体からなり、135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η]が0.2〜10dl/gであ
るポリプロピレン100重量部からなるオレフィン
(共)重合体[II]が100重量部と、[二]造核剤を
0.05〜1重量部と、[三]下記(c1)〜(c5)
の群から選ばれる1つ以上の単独または共重合体を5〜
40重量部とからなるオレフィン(共)重合体組成物 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm3、結
晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm、結
晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィン
共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm、結
晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィン
共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm、結
晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル共
重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm、結
晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体又
は1−ブテン−オレフィン共重合体。
【0016】(3)[一](a)エチレン単独重合体ま
たはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレ
ン−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリ
ンで測定した固有粘度[η]が15〜100dl/g
の範囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.
0重量部と、(b)プロピレン単独重合体またはプロピ
レン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン−オ
レフィン共重合体からなり、135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η]が0.2〜10dl/gであ
るポリプロピレン100重量部からなるオレフィン
(共)重合体[II]が100重量部と、[二]造核剤を
0.05〜1重量部と、[三]下記(c1)〜(c5)
の群から選ばれる1つ以上の単独または共重合体を5〜
40重量部とからなるオレフィン(共)重合体組成物 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm3、結
晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm、結
晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィン
共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm、結
晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィン
共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm、結
晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル共
重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm、結
晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体又
は1−ブテン−オレフィン共重合体であって、前記オレ
フィン(共)重合体[II]が、230℃における溶融張
力(MS)と135℃のテトラリン中で測定した固有粘
度[η]との間に、log(MS)>4.24×lo
g[η]−0.95で表される関係を有する前記1お
よび前記2に記載のオレフィン(共)重合体組成物。
【0017】(4)(a)エチレン単独重合体またはエ
チレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オ
レフィン共重合体であって、135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η]が15〜100dl/gの高
分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0重量部
と、(b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合
単位を50重量%含有するプロピレン−オレフィン共重
合体からなり、135℃のテトラリン中で測定した固有
粘度部、[ηB]が0.2〜10dl/gであるプロピ
レン共重合体100重量部、からなるオレフィン共重合
体[II]が100重量部と(c)造核剤0.05〜1重
量部からなり(d)前記オレフィン(共)重合体[II]
の230℃における溶融張力(MS)と該[I]の13
5℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η]との間
に下式(1) log(MS)>4.24×log[η]−0.95 (1) なる関係を有するオレフィン共重合体組成物。
【0018】(5)遷移金属化合物触媒成分、該触媒成
分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000
モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第12
族および第13族に属する金属よりなる群より選抜され
た金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属
原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組合せからなるポリオレフィン製造用触媒を用い
てエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエ
チレンと該触媒からなる予備活性化触媒の存在下にプロ
ピレンを単独重合させ、若しくはプロピレンと炭素数2
〜12の他のオレフィンを共重合させることを特徴とす
るオレフィン(共)重合体組成物[II]の製造方法。
【0019】(6)遷移金属化合物触媒成分、該触媒成
分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000
モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第12
族および第13族に属する金属よりなる群から選択され
た金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属
原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組み合わせからなるポリオレフィン製造用触媒を
用いてエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポ
リエチレンと該触媒からなる予備活性化触媒と該触媒中
の遷移金属1モルに対し、0.04〜4,000モルの
前記(AL1)と同一の有機金属化合物および0〜2,
500モルの前記(E1)と同一の電子供与体(E2)
からなるオレフィン(共)重合用触媒の存在下にプロピ
レンを単独重合させ若しくは、プロピレンと炭素数2〜
12の他のオレフィンを共重合させることを特徴とする
オレフィン(共)重合体組成物[II]の製造方法。
【0020】(7)予備活性化触媒が、遷移金属化合物
触媒成分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定し
た固有粘度[η]が15〜100dl/gの範囲のポ
リエチレン0.01〜5,000gを担持してい前記5
または前記6記載のオレフィン(共)重合体組成物の製
造方法。
【0021】(8)予備活性化触媒が、遷移金属化合物
触媒成分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定し
た固有粘度[η]が15dl/gより小さいポリプロ
ピレン0.01〜100g、および135℃のテトラリ
ン中で測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/
gの範囲のポリエチレン0.01〜5,000gを担持
している前記5または前記6記載のオレフィン(共)重
合体組成物の製造方法。
【0022】(9)遷移金属化合物触媒成分、該触媒成
分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000
モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第12
族および第13族に属する金属よりなる群より選抜され
た金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属
原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組合せからなるポリオレフィン製造用触媒を用い
てエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエ
チレンと該触媒からなる予備活性化触媒の存在下にプロ
ピレンを単独重合させ、若しくはプロピレンと他の炭素
数2〜12の他のオレフィンと共重合させ、その際重合
容器内の重合容積1リットル中の触媒量を該触媒中の遷
移金属原子に換算して0.01〜1,000ミリモルと
することを特徴とするオレフィン(共)重合体組成物の
製造方法。
【0023】(10)遷移金属化合物触媒成分、該触媒
成分中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,00
0モルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第1
2族および第13族に属する金属よりなる群から選択さ
れた金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金
属原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E
1)の組み合わせからなるポリオレフィン製造用触媒を
用いてエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポ
リエチレンと該触媒からなる予備活性化触媒と該触媒中
の遷移金属1モルに対し、0.04〜4,000モルの
前記(AL1)と同一の有機金属化合物および0〜2,
500モルの前記(E1)と同一の電子供与体(E2)
からなるオレフィン(共)重合用触媒の存在下にプロピ
レンを単独重合させ若しくは、プロピレンを炭素数2〜
12の他のオレフィンを共重合させ、その際重合容器内
の重合容積1リットル中の触媒量を該触媒中の遷移金属
原子に換算して0.01〜1,000ミリモルとするこ
とを特徴とするオレフィン(共)重合体組成物の製造方
法。
【0024】(11)前記1に記載のオレフィン(共)
重合体組成物を成型してなるオレフィン(共)重合体組
成物成型品。
【0025】(12)前記2に記載のオレフィン(共)
重合体組成物を成型してなるオレフィン(共)重合体組
成物成型品。
【0026】(13)オレフィン(共)重合体組成物成
型品がシートである前記11に記載のオレフィン(共)
重合体組成物成型品。
【0027】(14)オレフィン(共)重合体組成物成
型品がシートである前記12に記載のオレフィン(共)
重合体組成物成型品。
【0028】本発明の第一発明は、オレフィン(共)重
合体組成物であって、(a)エチレン単独重合体又はエ
チレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オ
レフィン共重合体であって、135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η]が15〜100dl/gの高
分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0重量部
と、(b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合
単位を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン
共重合体であって、135℃のテトラリン中で測定した
固有粘度[η]が0.2〜10dl/gであるポリプ
ロピレンからなるオレフィン(共)重合体を100重量
部、からなるオレフィン共重合体[II]を100重量部
と造核剤を0.05〜1重量部からなるオレフィン
(共)重合体組成物である。
【0029】本発明の第二発明は、オレフィン(共)重
合体組成物であって、[一](a)エチレン単独重合体
またはエチレン重合単位を50重量%以上含有するエチ
レン−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラ
リンで測定した固有粘度[η]が15〜100dl/
gの範囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜
5.0重量部と、(b)プロピレン単独重合体またはプ
ロピレン重合単位を50重量%以上含有するプロピレン
−オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリン
中で測定した固有粘度[η]が0.2〜10dl/g
であるポリプロピレン100重量部からなるオレフィン
(共)重合体[II]を100重量部と、[二]造核剤を
0.05〜1重量部と、[三]下記(c1)〜(c5)
の群から選ばれる1つ以上を5〜40重量部とからなる
オレフィン(共)重合体組成物である。 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm、結
晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm3、結
晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィン
共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm、結
晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィン
共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm、結
晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル共
重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm、結
晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体又
は1−ブテン−オレフィン共重合体。
【0030】前記オレフィン(共)重合体組成物におい
ては、オレフィン(共)重合体[II]が、230℃にお
ける溶融張力(MS)と135℃のテトラリン中で測定
した固有粘度[η]との間に、 log(MS)>4.24×log[η]−0.95 で表される関係を有することが好ましい。
【0031】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
においては、オレフィン(共)重合体[II]が、遷移金
属化合物触媒成分、遷移金属原子1モルに対し0.01
〜1,000モルの周期表(1991年版)第1族、第
2族、第12族および第13族に属する金属よりなる群
から選択された金属の有機金属化合物(AL1)および
遷移金属原子1モルに対し、0〜500モルの電子供与
体(E1)の組み合わせからなるポリオレフィン製造用
触媒、ならびに、この触媒に担持させたポリエチレンか
らなる予備活性化触媒の存在下に、プロピレンの単独ま
たはプロピレンと炭素数2〜12のその他のオレフィン
を本(共)重合させて製造されることが好ましい。
【0032】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
においては、オレフィン(共)重合体[I]が予備活性
化触媒と、周期表(1991年版)第1族、第2族、第
12族および第13族に属する金属よりなる群から選択
された金属の有機金属化合物(AL2)を予備活性化触
媒中に含まれる有機金属化合物(AL1)との合計で遷
移金属原子1モルに対し、0〜500モル、ならびに電
子供与体(E2)を予備活性化触媒中に含まれる電子供
与体(E1)との合計で予備活性化触媒中の遷移金属原
子1モル当たり0〜3000モルをさらに含有させたオ
レフィン本(共)重合触媒の存在下に、プロピレンの単
独またはプロピレンと炭素数2〜12のその他のオレフ
ィンを本(共)重合させて製造されることが好ましい。
また、前記オレフィン(共)重合体組成物においては、
予備活性化触媒が、遷移金属化合物触媒成分1g当た
り、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度
[η]が15〜100dl/gの範囲のポリエチレン
[I]を0.01〜5,000gを担持していることが
好ましい。
【0033】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
においては、予備活性化触媒が、遷移金属化合物触媒成
分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定した固有
粘度[η]が15dl/gより小さいポリプロピレン
0.01〜100g、および135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η]が15〜100dl/gの範
囲のポリエチレン[II]0.01〜5,000gを担持
していることが好ましい。
【0034】また、前記オレフィン(共)重合体組成物
の製造法においては、オレフィン(共)重合体[II]
が、プロピレンまたはプロピレンとその他のオレフィン
の(共)重合容積1リットル当たり触媒中の遷移金属原
子に換算して0.01〜1,000ミリモルの触媒量で
製造されることが好ましい。135℃のテトラリン中で
測定した固有粘度[η]が15〜100dl/gの範
囲ポリエチレン[II]0.01〜5,000gを担持し
ていることが好ましい。
【0035】次に、本発明のオレフィン(共)重合体組
成物成形品は、前記のいずれかに記載のオレフィン
(共)重合体組成物により得られる成形品である。成形
方法は公知のいかなる方法を採用しても良い。
【0036】また、本発明のオレフィン(共)重合体組
成物成形品は、シートであることが特に好ましい。
【0037】
【発明実施の形態】本明細書中において用いる「ポリプ
ロピレン」、および「プロピレン(共)重合体」の用語
は、プロピレン単独重合体およびプロピレン重合単位を
50重量%以上含有するプロピレン−オレフィンランダ
ム共重合体およびプロピレン−オレフィンブロック共重
合体を意味し、「ポリエチレン」、および「エチレン
(共)重合体」の用語は、エチレン単独重合体およびエ
チレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オ
レフィンランダム共重合体を意味する。
【0038】前記(1)のポリプロピレン組成物の
(a)成分を構成するポリエチレン[I]は、135℃
のテトラリン中で測定した固有粘度[η]が15〜1
00dl/gのポリエチレンであって、エチレン単独重
合体またはエチレン重合単位を50重量%以上含有する
エチレン−オレフィン共重合体であり、好ましくはエチ
レン単独重合体もしくはエチレン重合単位を70重量%
以上含有するエチレン−オレフィン共重合体、特に好ま
しくはエチレン単独重合体もしくはエチレン重合単位を
90重量%以上含有するエチレン−オレフィン共重合体
が適しており、これらの(共)重合体は1種類のみなら
ず2種類以上混合してもよい。
【0039】(a)成分のポリエチレンの固有粘度[η
]が15dl/g未満であると、得られるポリプロピ
レン組成物の溶融張力が低下し、成形性の向上効果が不
十分となり、また固有粘度[η]の上限については特
に限定されないが、(b)成分のポリプロピレンの固有
粘度[η]との差が大きいと、組成物とした際に
(b)成分のポリプロピレン中への(a)成分のポリエ
チレンの分散が悪くなり、結果として溶融張力が上昇し
なくなり成形性の向上効果が不十分になる。さらに製造
上の効率からも上限は100dl/g程度とするのがよ
い。(a)成分のポリエチレン(II)の固有粘度
[η]は15〜100dl/g、好ましくは17〜5
0dl/gの範囲である。また(a)成分のポリエチレ
ンは、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η
]が15dl/gにまで高分子量化させる必要がある
ため、高分子量化の効率面からエチレン重合単位50重
量%以上であることが好ましい。
【0040】(a)成分のポリエチレンを構成するエチ
レンと共重合されるエチレン以外のオレフィンとして
は、特に限定されないが、炭素数3〜12のオレフィン
が好ましく用いられる。具体的には、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、
1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−
1−ペンテン等が挙げられ、これらのオレフィンは1種
のみならず2種以上であってもよい。
【0041】(a)成分のポリエチレンの密度について
は、特に制限はないが、具体的には、880〜980g
/l程度のものが好適である。
【0042】前述(1)のポリプロピレン組成物を構成
する(b)成分のポリプロピレン[II]は、135℃の
テトラリン中で測定した固有粘度[η]が0.2〜1
0dl/gの結晶性ポリプロピレンであって、プロピレ
ン単独重合体またはプロピレン重合単位を50重量%以
上含有するプロピレン−オレフィンランダム共重合体も
しくはプロピレン−オレフィンブロック共重合体であ
り、好ましくはプロピレン単独重合体、プロピレン重合
単位含有量が90重量%以上含有するプロピレン−オレ
フィンランダム共重合体である。これらの(共)重合体
は1種のみならず2種以上の混合物であってもよい。
【0043】(b)成分のポリプロピレン[II]の固有
粘度[η]は、0.2〜10dl/g、好ましくは
0.5〜8dl/gのものが用いられる。(b)成分の
ポリプロピレンの固有粘度[η]が0.2dl/g未
満の場合、得られるポリプロピレン組成物の機械的特性
が悪化し、また10dl/gを超えると得られるポリプ
ロピレン組成物の成形性が悪化する。
【0044】(b)成分のポリプロピレン[II]を構成
するプロピレンと共重合されるプロピレン以外のオレフ
ィンとしては、特に限定されないが、炭素数2〜12の
オレフィンが好ましく用いられる。具体的には、エチレ
ン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オ
クテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、3−
メチル−1−ペンテン等が挙げられ、これらのオレフィ
ンは1種のみならず2種以上であって5よい。
【0045】(b)成分のポリプロピレン[II]の立体
規則性については、特に制限はなく結晶性ポリプロピレ
ンであれば、本発明の目的を達成するどのようなポリプ
ロピレンであってもよい。具体的には13C−NMR
(核磁気共鳴スペクトル)で測定したアイソタクチック
ペンタッド分率(mmmm)が0.80〜0.99、好
ましくは0.85〜0.99の結晶性を有するポリプロ
ピレンが使用される。
【0046】アイソタクチックペンタッド分率(mmm
m)とはエイ ザンベリ(A.Zambelli)等によって提案
(Macromolecules 6,925 (1973))された13C−N
MRにより測定される、ポリプロピレン分子鎖中のペン
タッド単位でのアイソタクチック分率であり、スペクト
ルの測定におけるピークの帰属決定法はエイ ザンベリ
(A.Zambelli)等によって提案(Macromolecules 8,68
7 (1975))された帰属に従って決定される。具体的に
は、ポリマー濃度20重量%のo−ジクロロベンゼン/
臭化ベンゼン=8/2重量比の混合溶液を用い、67.
20MHz、130℃にて測定することによって求めら
れる。測定装置としては、たとえばJEOL−GX27
0NMR測定装置(日本電子(株)製)が用いられる。
【0047】前述(3)のポリプロピレン組成物の溶融
張力は、230℃における溶融張力(MS)と135℃
のテトラリン中で測定した固有粘度[η]とが、 log(MS)>4.24×log[η]−0.95 で表される関係にあることが好ましい。上限については
特に限定されないが、あまりにも溶融張力が高いと組成
物の成形性が悪化することから、 好ましくは、 4.24×log[η]+0.60>log(MS)>4.24×log[η]−0.95 より好ましくは、 4.24×log[η]+0.34>log(MS)>4.24×log[η]−0.95 最も好ましくは、 4.24×log[η]+0.34>log(MS)>4.24×log[η]−0.83 の関係を満足する。
【0048】ここで、230℃における溶融張力(M
S)は、メルトテンションテスター2型((株)東洋精
機製作所製)を用いて、装置内にてオレフィン(共)重
合体組成物を230℃に加熱し、溶融オレフィン(共)
重合体組成物を直径2.095mmのノズルから20m
m/分の速度で23℃の大気中に押し出してストランド
とし、このストランドを3.14m/分の速度で引き取
る際の糸状ポリプロピレン組成物の張力を測定した値
(単位:cN)である。
【0049】本明細書中において「予備活性化」との用
語は、ポリオレフィン製造用触媒の高分子量化に係る活
性を、プロピレン又はプロピレンと他のオレフィンとの
本(共)重合を実施するに先立って、予め活性化するこ
とを意味し、ポリオレフィン製造用触媒の存在下にエチ
レンまたはエチレンとその他のオレフィンとを予備活性
化(共)重合して(共)重合物を触媒に担持させること
により行う。
【0050】本発明に係るオレフィン(共)重合用予備
活性化触媒は、従来からポリオレフィンの製造用に使用
される遷移金属化合物触媒成分、有機金属化合物および
所望により使用される電子供与体からなるポリオレフィ
ン製造用触媒に、少量の特定の固有粘度を有する本
(共)重合目的のポリオレフィンおよび特定の高い固有
粘度を有する少量のポリオレフィンを担持させることに
より予備活性化した触媒である。
【0051】本発明に係るオレフィン(共)重合用予備
活性化触媒において、遷移金属化合物触媒成分として、
ポリオレフィン製造用として提案されている遷移金属化
合物触媒成分を主成分とする公知の触媒成分のいずれを
も使用することができ、中でも工業生産上、チタン含有
固体触媒成分が好適に使用される。
【0052】チタン含有固体触媒成分としては、三塩化
チタン組成物を主成分とするチタン含有固体触媒成分
(特公昭56−3356号公報、特公昭59−2857
3号公報、特公昭63−66323号公報等)、マグネ
シウム化合物に四塩化チタンを担持した、チタン、マグ
ネシウム、ハロゲン、および電子供与体を必須成分とす
るチタン含有担持型触媒成分(特開昭62−10481
0号公報、特開昭62−104811号公報、特開昭6
2−104812号公報、 特開昭57−63310号
公報、特開昭57−63311号公報、特開昭58−8
3006号公報、特開昭58−138712号公報等)
などが提案されており、これらのいずれをも使用するこ
とができる。
【0053】上記以外の遷移金属化合物触媒成分とし
て、通常メタロセンと称されるπ電子共役配位子を少な
くとも1個有する遷移金属化合物も用いることができ
る。この時の遷移金属は、Zr,Ti,Hf,V,N
b,TaおよびCrから選択することが好ましい。
【0054】π電子共役配位子の具体例としては、η−
シクロペンタジエニル構造、η−ベンゼン構造、η−シ
クロプタトリエニル構造、又はη−シクロオクタテトラ
エン構造を有する配位子が挙げられ、特に好ましいの
は、η−シクロペンタンジエニル構造を有する配位子で
ある。
【0055】η−シクロペンタジエニル構造を有する配
位子としては、たとえば、シクロペンタジエニル基、イ
ンデニル基、フルオレニル基等が挙げられる。これらの
基は、アルキル基、アリール基およびアラルキル基のよ
うな炭化水素基、トリアルキルシリル基のようなケイ素
置換炭化水素基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリー
ロキシ基、鎖状および環状アルキレン基などで置換され
ても良い。
【0056】遷移金属化合物がπ電子共役配位子を2個
以上含む場合には、そのうち2個のπ電子共役配位子同
士は、アルキレン基、置換アルキレン基、シクロアルキ
レン基、置換シクロアルキレン基、置換アルキリデン
基、フェニル基、シリレン基、置換ジメチルシリレン
基、ゲルミル基などを介して架橋していても良い。この
ときの遷移金属触媒成分は、上記のようなπ電子配位子
を少なくとも1個有する他に、アルキル基、シクロアル
キル基、アリール基、アラルキル基のような炭化水素
基、ケイ素置換炭化水素基、アルコキシ基、アリーロキ
シ基、置換スルホナト基、アミドシリレン基、アミドア
ルキレン基などを有しても良い。なお、アミドシリレン
基やアミドアルキレン基のような2価の基はπ電子共役
配位子と結合しても良い。
【0057】上記のような通常メタロセンと称されるπ
電子共役配位子を少なくとも1個有する遷移金属化合物
触媒成分は、さらに微粒子状担体に担持させて用いるこ
とも可能である。このような微粒子担体としては、無機
又は有機化合物であっても、粒子径が5〜300μm、
好ましくは10〜200μmの顆粒状ないし球状の微粒
子固体が使用される。このうち、担体に使用する無機化
合物としては、SiO 、Al、MgO、Ti
、ZnO等またはこれらの混合物が挙げられる。こ
れらの中では、SiOまたはAlを主成分とす
る物が好ましい。また、担体に使用する有機化合物とし
ては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル
−1−ペンテン等の炭素数2〜12のα−オレフィンの
重合体または共重合体、さらにはスチレンまたはスチレ
ン誘導体の重合体または共重合体が挙げられる。
【0058】有機金属化合物(AL1)として、周期表
(1991年版)第1族、第2族、第12族および第1
3族に属する金属よりなる群から選択された金属の有機
基を有する化合物、たとえば、有機リチウム化合物、有
機ナトリウム化合物、有機マグネシウム化合物、有機亜
鉛化合物、有機アルミニウム化合物などを、前記遷移金
属化合物触媒成分と組み合わせて使用することができ
る。
【0059】特に、一般式がAlR
3−(p+q)(式中、RおよびRは、アルキル
基、シクロアルキル基、アリール基等の炭化水素基およ
びアルコキシ基の同種または異種を、Xはハロゲン原子
を表わし、pおよびqは、0<p+q≦3の正数を表わ
す)で表わされる有機アルミニウム化合物を好適に使用
することができる。
【0060】有機アルミニウム化合物の具体例として
は、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウ
ム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリ−n−ブチ
ルアルミニウム、トリ−i−ブチルアルミニウム、トリ
−n−ヘキシルアルミニウム、トリ−i−ヘキシルアル
ミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム等のトリア
ルキルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライ
ド、ジ−n−プロピルアルミニウムクロライド、ジ−i
−ブチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウ
ムブロマイド、ジエチルアルミニウムアイオダイド等の
ジアルキルアルミニウムモノハライド、ジエチルアルミ
ニウムハイドライド等のジアルキルアルミニウムハイド
ライド、エチルアルミニウムセスキクロライド等のアル
キルアルミニウムセスキハライド、エチルアルミニウム
ジクロライド等のモノアルキルアルミニウムジハライド
などの他ジエトキシモノエチルアルミニウム等のアルコ
キシアルキルアルミニウムを挙げることができ、好まし
くは、トリアルキルアルミニウムおよびジアルキルアル
ミニウムモノハライドを使用する。これらの有機アルミ
ニウム化合物は、1種だけでなく2種以上を混合して用
いることができる。
【0061】また、有機金属化合物(AL1)として、
アルミノキサン化合物も使用することができる。アルミ
ノキサンとは、下記一般式(化1)、または下記一般式
(化2)で表される有機アルミニウム化合物である。
【0062】
【化1】
【0063】
【化2】
【0064】ここで、Rは炭素数1〜6、好ましく
は、1〜4の炭化水素基であり、具体的には、メチル
基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、
ペンチル基、ヘキシル基などのアルキル基、アリル基、
2−メチルアリル基、プロペニル基、イソプロペニル
基、2−メチル−1−プロペニル基、ブテニル基等のア
ルケニル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シク
ロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル
基、およびアリール基などである化合物が挙げられる。
これらのうち特に好ましいのは、アルキル基であり、各
は同一でも異なっていても良い。qは4〜30の整
数であるが、好ましくは6〜30、特に好ましくは8〜
30である。
【0065】また、有機金属化合物(AL1)としての
別の化合物として、ホウ素系有機金属化合物が挙げられ
る。このホウ素系有機金属化合物は、遷移金属化合物と
ホウ素原子を含むイオン性化合物と反応させることによ
り得られる。このとき用いられる遷移金属化合物として
は、オレフィン(共)重合用予備活性化触媒を製造する
際に使用する遷移金属化合物触媒成分と同様のものが使
用可能であるが、好ましく用いられるのは、前述した通
常メタロセンと称される少なくとも1個のπ電子共役配
位子を有する遷移金属化合物触媒成分である。
【0066】ホウ素原子を含むイオン性化合物として
は、具体的には、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)硼酸トリエチルアンモニウム、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウ
ム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフ
ェニルアンモニウム、テトラキス(ペンタフルオロフェ
ニル)硼酸メチルアンモニウム、テトラキス(ペンタフ
ルオロフェニル)硼酸トリジメチルアンモニウム、テト
ラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアン
モニウム等が挙げられる。
【0067】ホウ素系有機金属化合物は、また、遷移金
属化合物とホウ素原子含有ルイス酸とを接触させること
によっても得られる。このとき用いられる遷移金属化合
物としては、オレフィン(共)重合用予備活性化触媒を
製造する際に使用する遷移金属触媒成分と同様のものが
使用可能であるが、好ましく用いられるのは、前述した
通常メタロセンと称される少なくとも1個のπ電子共役
配位子を有する遷移金属化合物触媒成分である。
【0068】ホウ素原子含有ルイス酸としては、下記の
一般式(化3)で表される化合物が使用可能である。
【0069】
【化3】BR
【0070】(式中、R、R、Rは、それぞれ独
立してフッ素原子、メチル基、トリフルオロフェニル基
などの置換基を有しても良いフェニル基、または、フッ
素原子を示す。)
【0071】上記一般式で表される化合物として具体的
には、トリ(n−ブチル)ホウ素、トリフェニルホウ
素、トリス[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェ
ニル]ホウ素、トリス(4−フルオロメチルフェニル)
ホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ
素、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ホウ
素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等が挙げ
られ、トリス(ペンタフルオロフェニル)が特に好まし
い。
【0072】電子供与体(E1)は、ポリオレフィンの
生成速度および/または立体規則性を制御することを目
的として必要に応じて使用される。電子供与体(E1)
として、たとえば、エーテル類、アルコール類、エステ
ル類、アルデヒド類、脂肪酸類、ケトン類、ニトリル
類、アミン類、アミド類、尿素およびチオ尿素類、イソ
シアネート類、アゾ化合物、ホスフィン類、ホスファイ
ト類、ホスフィナイト類、硫化水素およびチオエーテル
類、ネオアルコール類、シラノール類などの分子中に酸
素、窒素、硫黄、燐のいずれかの原子を有する有機化合
物および分子中にSi−O−C結合を有する有機ケイ素
化合物などが挙げられる。
【0073】エーテル類としては、ジメチルエーテル、
ジエチルエーテル、ジ−n−プロピルエーテル、ジ−n
−ブチルエーテル、ジ−i−アミルエーテル、ジ−n−
ペンチルエーテル、ジ−n−ヘキシルエーテル、ジ−i
−ヘキシルエーテル、ジ−n−オクチルエーテル、ジ−
i−オクチルエーテル、、ジ−n−ドデシルエーテル、
ジフェニルエーテル、エチレングリコールモノエチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テト
ラヒドロフラン等が、アルコール類としては、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペントノ
ール、ヘキサノール、オクタノール、2−エチルヘキサ
ノール、アリルアルコール、ベンジルアルコール、エチ
レングリコール、グリセリン等が、またフェノ−ル類と
して、フェノール、クレゾール、キシレノール、エチル
フェノール、ナフトール等が挙げられる。
【0074】エステル類としては、メタクリル酸メチ
ル、ギ酸メチル、酢酸メチル、酪酸メチル、酢酸エチ
ル、酢酸ビニル、酢酸−n−プロピル、酢酸−i−プロ
ピル、ギ酸ブチル、酢酸アミル、酢酸−n−ブチル、酢
酸オクチル、酢酸フェニル、プロピオン酸エチル、安息
香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息
香酸ブチル、安息香酸オクチル、安息香酸−2−エチル
ヘキシル、トルイル酸メチル、トルイル酸エチル、アニ
ス酸メチル、アニス酸エチル、アニス酸プロピル、アニ
ス酸フェニル、ケイ皮酸エチル、ナフトエ酸メチル、ナ
フトエ酸エチル、ナフトエ酸プロピル、ナフトエ酸ブチ
ル、ナフトエ酸−2−エチルヘキシル、フェニル酢酸エ
チル等のモノカルボン酸エステル類、コハク酸ジエチ
ル、メチルマロン酸ジエチル、ブチルマロン酸ジエチ
ル、マレイン酸ジブチル、ブチルマレイン酸ジエチル等
の脂肪族多価カルボン酸エステル類、フタル酸モノメチ
ル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ
−n−プロピル、フタル酸モノ−n−ブチル、フタル酸
ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−i−ブチル、フタル酸ジ
−n−ヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フ
タル酸ジ−n−オクチル、iフタル酸ジエチル、i−フ
タル酸ジプロピル、i−フタル酸ジブチル、i−フタル
酸ジ−2−エチルヘキシル、テレフタル酸ジエチル、テ
レフタル酸ジプロピル、テレフタル酸ジブチル、ナフタ
レンジカルボン酸ジ−i−ブチル等の芳香族多価ジカル
ボン酸エステル類が挙げられる。
【0075】アルヒデド類としては、アセドアルデヒ
ド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド等が、カ
ルボン酸類として、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、
修酸、コハク酸、アクリル酸、マイレン酸、吉草酸、安
息香酸などのモノカルボン酸類および無水安息香酸、無
水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸などの酸無水物
が、けとん類として、アセトン、メチルエチルケトン、
メチル−i−ブチルケトン、ベンゾフェノン等が例示さ
れる。
【0076】窒素含有化合物としては、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル等のニトリル類、メチルアミン、ジ
エチルアミン、トリブチルアミン、トリエタノールアミ
ン、β(N,N−ジメチルアミノ)エタノール、ピリジ
ン、キノリン、α−ピコリン、2,4,6−トリメチル
ピリジン、2,2,5,6−テトラメチルピペリジン、
2,2,5,5,テトラメチルピロリジン、N,N,
N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、アニリ
ン、ジメチルアリニン等のアミン類、ホルムアミド、ヘ
キサメチルリン酸トリアミド、N,N,N’,N’,
N’−ペンタメチル−N’−β−ジメチルアミノメチル
リン酸トリアミド、オクタメチルピロホスホルアミド等
のアミド類、N,N,N’,N’,N’−テトラメチル
尿素等の尿素類、フェニルイソシアネート、トルイルイ
ソシアネート等のイソシアネート類、アゾベンゼン等の
アゾ化合物類が例示される。
【0077】燐含有化合物としては、エチルホスフィ
ン、トリエチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフ
ィン、トリフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ンオキシド等のホスフィン類、ジメチルホスファイト、
ジ−n−オクチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリフェニルホスフィンオキシド等のホスフィン
類、ジメチルホスファイト、ジ−n−オクチルホスファ
イト、トリエチルホスファイト、トリ−n−ブチルホス
ファイト、トリフェニルホスファイト等のホスファイト
類が例示される。
【0078】硫黄含有化合物としては、ジエチルチオエ
ーテル、ジフェニルチオエーテル、メチルフェニルチオ
エーテル等のチオエーテル類、エチルチオアルコール、
n−プロピルチオアルコール、チオフェノール等のチオ
アルコール類が挙げられ、さらに、有機ケイ素化合物と
して、トリメチルシラノール、トリエチルシラノール、
トリフェニルシラノール等のシラノール類、トリメチル
トキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェ
ニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、
メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラ
ン、フェニルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシ
シラン、ジメチルジエトキシシラン、ジ−i−プロピル
ジメトキシシラン、ジ−i−ブチルジメトキシシラン、
ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシ
ラン、ブチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキ
シシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、ビニルト
リアセトキシシラン、シクロペンチルメチルジメトキシ
シラン、シクロペンチルトリメトキシシラン、ジンクロ
ペンチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメ
トキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、ジ
シクロヘキシルジメトキシシラン、2−ノルボルニルメ
チルジメトキシシラン等の分子中にSi−O−C結合を
有する有機ケイ素化合物等が挙げられる。これらの電子
供与体は、1種の単独あるいは2種類以上を混合して使
用することができる。
【0079】予備活性化触媒成分、および遷移金属原子
1モルに対し0.01〜1,000モルの周期表(19
91年版)第1族、第2族、第12族および第13族に
属する金属よりなる群れから選択された金属の有機金属
化合物(AL1)、および遷移金属原子1モルに対し0
〜500モルの電子供与体(E1)、の組み合わせから
なるポリオレフィン製造用触媒、ならびに、この触媒に
担持した遷移金属化合物成分1g当たり0.01〜10
0gの135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η
]が15dl/gより小さい(共)重合目的のポリプ
ロピレン(B)、および遷移金属化合物触媒成分1g当
たり0.01〜5,000gの135℃のテトラリン中
で測定した固有粘度[η]が15〜100dl/gで
あるポリエチレン(A)、からなる。
【0080】予備活性化触媒において、ポリエチレン
(A)は、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度
[η]が15〜100dl/g、好ましくは17〜5
0dl/gの範囲のエチレン単独重合体またはエチレン
重合単位が50重量%以上、好ましくは70重量%以
上、さらに好ましくは90重量%以下であるエチレンと
炭素数3〜12のオレフィンとの共重合体である。
【0081】ポリエチレン(A)の遷移金属化合物触媒
成分1g当たりの被担持量は0.01〜5,000g、
好ましくは0.05〜2,000g、さらに好ましくは
0.1〜1,000gである。遷移金属化合物触媒成分
1g当たりの被担持量が0.01g未満では、本(共)
重合の後に得られるポリプロピレン組成物[I]の溶融
張力の向上効果が不十分であり、成形性への向上効果が
不十分である。また5,000gを越える場合にはそれ
らの効果の向上が顕著でなくなるばかりでなく、ポリプ
ロピレン組成物[I]の均質性が悪化する場合があるの
で好ましくない。
【0082】一方ポリプロピレン(B)は135℃のテ
トラリン中で測定した固有粘度[η ]が15dl/g
より小さい本(共)重合目的の(b)成分のポリプロピ
レンと同一成分のポリプロピレンであり、ポリプロピレ
ン組成物[I]の(b)成分のポリプロピレンの一部と
して組み入られる。
【0083】一方、ポリプロピレン(B)の遷移金属化
合物触媒成分1g当たりの被担持量は0.01〜100
g、換言すればポリプロピレン組成物[I]基準で0.
001〜1重量%の範囲が好適である。
【0084】予備活性化触媒は、遷移金属化合物成分、
有機金属化合物(AL1)および所望により使用される
電子供与体(E1)の組み合わせからなるポリオレフィ
ン製造用触媒の存在下に、本(共)重合目的のプロピレ
ンまたはプロピレンとその他のオレフィンを予備(共)
重合させてポリプロピレン(B)を生成させ、次いでエ
チレンまたはエチレンとその他のオレフィンを予備活性
化(共)重合させてポリエチレン(A)を生成させて、
遷移金属化合物触媒成分にポリプロピレン(B)および
ポリエチレン(A)を担持させる予備活性化処理により
製造する。
【0085】この予備活性化処理において、遷移金属化
合物触媒成分、触媒成分中の遷移金属1モルに対し0.
01〜1,000モル、好ましくは0.05〜500モ
ルの有機化合物(AL1)、および触媒成分中の遷移金
属1モルに対し0〜500モル、好ましくは0〜100
モルの電子供与体(E1)の組み合わせてポリオレフィ
ン製造用触媒として使用する。
【0086】このポリオレフィン製造用触媒を、エチレ
ンまたはエチレンとその他のオレフィンの(共)重合容
積1リットル当たり、触媒成分中の遷移金属原子に換算
して0.001〜5,000ミリモル、好ましくは0.
01〜1,000ミリモル存在させ、溶媒の不存在下ま
たは遷移金属化合物触媒成分1gに対し100リットル
までの溶媒中において、本(共)重合目的のプロピレン
またはプロピレンとその他のオレフィンとの混合物0.
01〜500gを供給して予備(共)重合させる。この
ようにして遷移金属化合物触媒成分1gに対し0.01
〜5,000gのポリプロピレン(B)を生成させ、次
いでエチレンまたはエチレンとその他のオレフィンとの
混合物0.01g〜10,000gを供給して予備活性
化(共)重合させて遷移金属化合物触媒成分1gに対し
0.01〜5,000gのポリエチレン(A)を生成さ
せることにより、遷移金属化合物触媒成分にポリプロピ
レン(B)およびポリエチレン(A)が被覆担持され
る。本発明中において、「重合容積」の用語は、液層重
合の場合には重合器内の液相部分の容積を、気相重合の
場合には重合器内の気相部分の容積を意味する。
【0087】遷移金属化合物触媒成分の使用量は、プロ
ピレンの効率的、かつ制御された(共)重合反応速度を
維持する上で、前記範囲であることが好ましい。また、
有機金属化合物(AL1)の使用量が、少なすぎると
(共)重合反応速度が遅くなりすぎ、また大きくしても
(共)重合反応速度のそれに見合う上昇が期待できない
ばかりか、ポリプロピレン組成物[I]中に有機金属化
合物(AL1)の残さが多くなるので好ましくない。さ
らに、電子供与体(E1)の使用量が大きすぎると、
(共)重合反応速度が低下する。溶融使用量が大きすぎ
ると、大きな反応容器を必要とするばかりでなく、効率
的な(共)重合反応速度の制御及び維持が困難となる。
【0088】予備活性化処理は、たとえば、ブタン、ペ
ンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタ
ン、デカン、ドデカン等の脂肪族炭化水素、シクロペン
タン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環
族炭化水素、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の
芳香族炭化水素、他にガソリン留分や水素化ジーゼル油
留分等の不活性溶媒、オレフィン自身を溶媒とした液相
中で行うことができ、また溶媒を用いずに気相中で行う
ことも可能である。
【0089】予備活性化処理は、水素の存在下において
も実施してもよいが、固有粘度[η ]が15〜100
dl/gの高分子量のポリエチレン(A)を生成させる
ためには、水素は用いない方が好適である。
【0090】予備活性化処理においては、本(共)重合
目的のプロピレンまたはプロピレンとその他のオレフィ
ンとの混合物の予備(共)重合条件は、ポリプロピレン
(B)が遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01g
〜100g生成する条件であればよく、通常、−40℃
〜100℃の温度下、0.1MPa〜5MPaの圧力下
で、1分〜24時間実施する。またエチレンまたはエチ
レンとその他のオレフィンとの混合物の予備活性化
(共)重合条件は、ポリエチレン(A)が遷移金属化合
物触媒成分1g当たり0.01〜5,000g、好まし
くは0.05〜2,000g、さらに好ましくは0.1
〜1,000gの量で生成するような条件であれば特に
制限はなく、通常、−40℃〜40℃、好ましくは−4
0℃〜30℃、さらに好ましくは−40℃〜20℃程度
の比較的低温下、0.1MPa〜5MPa、好ましくは
0.2MPa〜5MPa、特に好ましくは0.3MPa
〜5MPaの圧力下で、1分〜24時間、好ましくは5
分〜18時間、特に好ましくは10分〜12時間であ
る。
【0091】また、前記予備活性化処理後に、予備活性
化処理による本(共)重合活性の低下を制御することを
目的として、本(共)重合目的のプロピレンまたはプロ
ピレンとその他のオレフィンとの混合物による付加重合
を、遷移金属化合物触媒成分1g当たり0.01〜10
0gのポリプロピレン(B)の反応量で行なってもよ
い。この場合、有機金属化合物(AL1)、電子供与体
(E1)、溶媒、およびプロピレンまたはプロピレンと
その他のオレフィンとの混合物の使用量はエチレンまた
はエチレンとのその他のオレフィンとの混合物による予
備活性化重合と同様な範囲で行なうことができるが、遷
移金属原子1モル当たり0.005〜10モル、好まし
くは0.01〜5モルの電子供与体の存在下に行なうの
が好ましい。また、反応条件については−40〜100
℃の温度下、0.1〜5MPaの圧力下で、1分から2
4時間実施する。
【0092】付加重合に使用される有機金属化合物(A
L1)、電子供与体(E1)、溶融の種類については、
エチレンまたはエチレンとその他のオレフィンとの混合
物による予備活性化重合と同様なものを使用でき、プロ
ピレンまたはプロピレンとその他のオレフィンとの混合
物については本(共)重合目的と同様の組成のものを使
用する。
【0093】予備活性化触媒は、そのまま、または追加
の有機金属化合物(AL2)及び電子供与体(E2)を
さらに含有させたオレフィン本(共)重合触媒として、
[I]のポリプロピレン組成物を得るための炭素数2〜
12のオレフィンの本(共)重合に用いることができ
る。
【0094】前記オレフィン本(共)重合用触媒は、前
記予備活性化触媒、予備活性化触媒中の遷移金属原子1
モルに対し有機金属化合物(AL2)を該予備活性化触
媒中の有機金属化合物(AL1)との合計(AL1+A
L2)で0.05〜3,000モル、好ましくは0.1
〜1,000モルとしたものおよび該予備活性化触媒中
の遷移金属原子1モルに対し電子供与体(E2)を予備
活性化触媒中の電子供与体(E1)との合計(E1+E
2)で0〜5,000モル、好ましくは0〜3,000
モルとしたものからなる。
【0095】上述のように構成したオレフィン本(共)
重合用触媒を用いたオレフィン本(共)重合において有
機金属化合物の含有量(AL1+AL2)が小さすぎる
と、プロピレンまたはプロピレンとその他のオレフィン
の本(共)重合における(共)重合反応速度が遅すぎ、
一方過剰に大きくしても(共)重合反応速度の期待され
るほどの上昇は認められず非効率的であるばかりではな
く、最終的に得られるポリプロピレン組成物中に残留す
る有機金属化合物残さが多くなるので好ましくない。さ
らに電子供与体の含有量(E1+E2)が過大になると
(共)重合反応速度が著しく低下する。
【0096】オレフィン本(共)重合用触媒に必要に応
じて追加使用される有機金属化合物(AL2)および電
子供与体(E2)の種類については既述の有機金属化合
物(L1)および電子供与体(E1)と同様なものを使
用することができる。また、1種の単独使用でもよく2
種以上を混合使用してもよい。また予備活性化処理の際
に使用したものと同種でも異なっていてもよい。
【0097】本発明のオレフィン本(共)重合用触媒の
使用形態としては、前記予備活性化触媒中に存在する溶
媒、未反応のオレフィン、有機金属化合物(AL1)、
および電子供与体(E1)等を濾別またはデカンテーシ
ョンして除去して得られた粉粒体またはこの粉粒体に溶
媒を添加した懸濁液と、追加の有機金属化合物(AL
2)および所望により電子供与体(E2)と組み合わせ
てもよく、また、存在する溶媒および未反応のオレフィ
ンを減圧蒸留または不活性ガス流等により蒸発させて除
去して得た粉粒体または粉粒体に溶媒を添加した懸濁液
と、所望により有機金属化合物(AL2)及び電子供与
体(E2)とを組み合わせてもよい。
【0098】ポリプロピレン組成物[I]の製造方法に
おいて、前記予備活性化触媒またはオレフィン本(共)
重合触媒の使用量は、重合容積1リットルあたり、予備
活性化触媒中の遷移金属原子に換算して、0.001〜
1,000ミリモル、好ましくは0.005〜500ミ
リモル使用する。遷移金属化合触媒成分の使用量を上記
範囲とすることにより、プロピレンまたはプロピレンと
組成オレフィンとの混合物の効率かつ制御された(共)
重合反応速度を維持することができる。
【0099】ポリプロピレン組成物[I]におけるプロ
ピレンまたはプロピレンとその他のオレフィンとの混合
物の本(共)重合は、その重合プロセスとして公知のオ
レフィン本(共)重合プロセスが使用可能である。具体
的には、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、イソオクタン、デカン、ドデカン等の
脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素、トルエン、キ
シレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、他にガソ
リン留分や水素化ジーゼル油留分等の不活性溶媒中で、
オレフィンの(共)重合を実施するスラリー重合法、オ
レフィン自身を溶媒として用いるバルク重合法、オレフ
ィンの(共)重合を気相中で実施する気相重合法、さら
に(共)重合して生成するポリオレフィンが液状である
気相重合、あるいはこれらのプロセスの2種類以上を組
み合わせた重合プロセスを使用することができる。
【0100】上記のいずれの重合プロセスを使用する場
合も、重合条件として、重合温度は20〜120℃、好
ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜100
℃の範囲、重合圧力は0.1〜5MPa、好ましくは
0.3〜5MPaの範囲において、連続的、半連続的、
若しくはバッチ的に重合時間は5分間〜24時間程度の
範囲が採用される。上記の重合条件を採用することによ
り、(b)成分のポリプロピレンを効率的かつ制御され
た反応速度で生成させることができる。
【0101】ポリプロピレン組成物[I]の製造方法の
より好ましい態様においては、本(共)重合において生
成する(b)成分のポリプロピレン組成物の固有粘度
[η]が0.2〜10dl/g、好ましくは0.7〜
5dl/gの範囲となり、かつ得られるポリプロピレン
組成物[I]中に、使用した予備活性化触媒に由来する
ポリエチレン(A)が0.01〜5重量%の範囲となる
ように重合条件を選定する。
【0102】本(共)重合の終了後、必要に応じて公知
の触媒失活処理工程、触媒残さ除去工程、乾燥工程等の
後処理工程を経てポリプロピレン組成物[I]が得られ
る。
【0103】[二]成分の造核剤としては、ジベンジリ
デンソルビトール若しくはその誘導体、4−三級ブチル
安息香酸アルミニウム、4−三級ブチル安息香酸ナトリ
ウム、環状燐酸エステル塩基性多価金属塩、又は有機カ
ルボン酸アルカリ金属塩等が例示でき、その中でもジベ
ンジリデンソルビトール若しくはその誘導体が、得られ
る成型品の透明性が優れる理由により好ましい。これら
の単独使用は勿論のこと2種以上の化合物を併用するこ
ともできる。
【0104】該ジベンジリデンソルビトール及びその誘
導体としては1・3,2・4−ジベンジリデンソルビト
ール、1・3−ベンジリデン−2・4−p−メチルベン
ジリデンソルビトール、1・3−ベンジリデン−2・4
−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・3−p−
メチルベンジリデン−2・4−ベンジリデンソルビトー
ル、1・3−p−エチルベンジリデン−2・4−ベンジ
リデンソルビトール、1・3−p−メチルベンジリデン
−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1・
3−p−エチルベンジリデン−2・4−p−メチルベン
ジリデンソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−メチ
ルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ
(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2
・4−ジ(p−n−プロピルベンジリデン)ソルビトー
ル、1・3,2・4−ジ(p−i−プロピルベンジリデ
ン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−s−ブチ
ルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ
(p−t−ブチルベンジリデン)ソルビトール、1・
3,2・4−ジ(2’−4’−ジメチルベンジリデン)
ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−メトキシベン
ジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ジ(p−エ
トキシベンジリデン)シルビトール、1・3−ベンジリ
デン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビトール、
1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチル
ベンジリデンソルビトール、1・3−p−クロルベンジ
リデン−2・4−p−エチルベンジリデンソルビトー
ル、1・3−p−メチルベンジリデン−2・4−p−ク
ロルベンジリデンソルビトール、1・3−p−エチルベ
ンジリデン−2・4−p−クロルベンジリデンソルビト
ール、及び1・3,2・4−ジ(p−クロルベンジリデ
ン)ソルビトール等を例示でき、その中でも1・3,2
・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−
ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールが好まし
い。これらの単独使用は勿論のこと2種以上の化合物を
併用することもできる。
【0105】前記環状燐酸エステル塩基性多価金属塩と
してはナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6
−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウ
ム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェート、マグネシウム−2,2’
−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)
フォスフェート、ジンク−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、
アルミニウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ
−t−ブチルフェニル)フォスフェート、カルシウム−
2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフ
ェニル)フォスフェート、カルシウム−2,2’−エチ
リデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォ
スフェート、アルミニウムヒドロオキシ−2,2’−メ
チレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォ
スフェート、チタンジヒドロオキシ−2,2’−メチレ
ン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフ
ェート、チンジヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビ
ス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェー
ト、ジルコニウムオキシ−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、
アルミニウムヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス
(4−メチル−6−t−ブチルフェニル)フォスフェー
トおよびアルミニウムヒドロオキシ−2−2’−エチリ
デン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォス
フェートなどを例示できる。特にカルシウム−2,2’
−メチレン−ビス(4,6−t−ブチルフェニル)フォ
スフェート、アルミニウム−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−t−ブチルフェニル)フォスフェート、アル
ミニウムヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス
(4,6−t−ブチルフェニル)フォスフェート等を例
示できる。これらのいづれかの単独使用は勿論のこと2
種以上の化合物を併用することもできる。
【0106】また、前記有機カルボン酸アルカリ金属塩
としては酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸等の脂肪族モノカルボン酸;マロン酸、コハク
酸、アジピン酸、クエン酸等の脂肪族多価カルボン酸;
脂環式カルボン酸;芳香族カルボン酸等とリチウム、カ
ルシウム、ナトリウム等のアルカリ金属塩が挙げられ
る。これらの組合わせとしてはアルミニウムヒドロキシ
−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチル
フェニル)フォスフェート+ステアリン酸リチウム
(1:1)を例示できる。これらの単独使用は勿論のこ
と2種以上の化合物を併用することもできる。
【0107】[二]成分の造核剤の配合量は、オレフィ
ン(共)重合体組成物[一]100重量部に対し0.0
5〜1重量部であり、好ましくは0.1〜0.5重量部
である。造核剤の配合量が0.05重量部未満であると
得られる成型品の透明性の改良が不十分であり、1重量
部を越えると透明性の改良効果は頭打ちとなる。
【0108】本第二発明に使用される[三]成分は以下
に詳述するようなエチレン単独重合体、エチレン−オレ
フィン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、又は
ブテン−1重合体である。
【0109】前記エチレン単独重合体(c1)は密度が
0.914〜0.930g/cm、結晶融点が100
〜118℃、MFR[190℃;21.18N]が好ま
しくは0.01〜20g/10minであり、より好ま
しくは0.1〜10g/minの単独重合体であり、通
常、低密度ポリエチレンといわれているものである。該
エチレン単独重合体(c1)の製造方法としては、過酸
化物を触媒として高圧法によりエチレンを重合する方法
が例示できる。
【0110】前記エチレン−オレフィン共重合体(c
2)は密度が0.920〜0.935g/cm、好ま
しくは0.920〜0.930g/cm、結晶融点が
115〜127℃、MFR[190℃;21.18N]
が好ましくは0.01〜20g/10min、より好ま
しくは0.1〜5g/10minのエチレン−オレフィ
ン共重合体であり、通常、直鎖状低密度ポリエチレン
(Linear Low Density Polyethylene;L-LDPE)(以下L
−LDPEと略記する)といわれるものである。該L−
LDPEはエチレンを主モノマーとし、これにコモノマ
ーとして1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン
の群から選ばれる1種以上をチーグラー・ナッタ触媒、
メタロセン触媒等の存在下で共重合させる方法が例示で
きる。
【0111】前記エチレン−オレフィン共重合体(c
3)は密度が0.880〜0.920g/cm、好ま
しくは0.890〜0.910g/cm3、結晶融点が
110〜115℃およびMFR[190℃;21.18
N]が好ましくは0.01〜20g/10min、特に
好ましくは0.1〜5g/10minであるエチレン−
オレフィン共重合体であり、通常、超低密度ポリエチレ
ン(Very Low Density Polyethylene )(以下V−LD
PEと略記する)と称するものである。該V−LDPE
はエチレンを主モノマーとし、これにコモノマーとして
1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィンの群から
選ばれる1種以上をチーグラー・ナッタ触媒、メタロセ
ン触媒等の存在下で共重合させて得る方法が例示でき
る。
【0112】前記エチレン−酢酸ビニル共重合体(c
4)は,密度が0.920〜0.950g/cm3、好ま
しくは0.925〜0.940g/cm3、結晶融点が
90〜110℃、MFR[190℃;21.18N]が
好ましくは0.01〜20g/10min、より好まし
くは0.1〜10g/minのエチレン−酢酸ビニル共
重合体である。
【0113】前記1−ブテン重合体(c5)は、密度が
0.880〜0.920g/cm3、好ましくは0.9
00〜0.915g/cm3、結晶融点が70〜130
℃、好ましくは100〜125℃、MFR[190℃;
21.18N]が好ましくは0.01〜20g/10m
in、より好ましくは0.1〜5g/10minの1−
ブテン単独重合体または1−ブテン−オレフィン共重合
体である。
【0114】[三]成分は前述の(c1)〜(c5)を
2種類以上配合してもよい。
【0115】[三]成分の配合量はオレフィン(共)重
合体組成物[一]100重量部に対し5〜40重量部で
あり、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは7〜
20重量部である。[三]成分の配合量が少ない場合
は、得られる成型品の透明性、耐衝撃性が十分でなく、
また、配合量が多い場合は、得られる成型品の剛性、耐
熱性が低下する。
【0116】なお、本発明のオレフィン(共)重合体組
成物に対しては、上述した成分に加えて安定剤として酸
化防止剤、中和剤、耐候剤、紫外線吸収剤、その他添加
剤として帯電防止剤、難燃剤、着色剤等を本発明の目的
を損なわない範囲で配合することができる。
【0117】本発明のオレフィン(共)重合体組成物は
上記の各成分混合して得られる。これらの各成分の混合
には、例えばヘンシェルミキサー(商品名)、スーパー
ミキサー(商品名)などの高速攪拌機付混合機、リボン
ブレンダー、タンブラーなどの通常の混合装置を使用す
ればよい。また、溶融混練を必要とする場合には通常の
単軸押し出し機または二軸押し出し機などが使われる。
混練温度は190〜300℃が一般的であり、好ましく
は200〜270℃である。
【0118】本発明のオレフィン(共)重合体組成物成
形品は上述の各成分よりなるオレフィン(共)重合体組
成物を公知の方法により成形して得られる。
【0119】本発明のオレフィン(共)重合体組成物成
型品としては、溶融時の強度が高いこと、成形品の透明
性が良好であることから、真空成形、圧空成形等の熟成
形等に使用されるシートを挙げることができる。
【0120】シートの製造方法としては、オレフィン
(共)重合体組成物を用い公知の成型方法(押し出し成
形、カレンダー成形、圧縮成形、注型成形等)により製
造する方法が例示できる。該公知公用の成形方法の中で
も生産性が良好な理由により、押し出し成形が好まし
い。具体的には、押し出し機、Tダイ、冷却ロール、ガ
イドロール、引き取りロール、トリミングカッター、マ
スキング、定尺切断カッター、スタッカー等の行程をも
つ装置(Tダイシート成形機)を用いたTダイ法が更に
好ましい。
【0121】押し出し温度はシートの外観、成形性が優
れることより180〜280℃が好ましい。押し出し温
度が180℃以上であればオレフィン(共)重合体組成
物が十分に溶融されシートの表面が鮫肌状にならず良好
な外観となり、また280℃以上であれば熱によるオレ
フィン(共)重合体の熱劣化が起き難く、シートの溶融
張力が保て良好な成形品が得られる。
【0122】冷却ロール温度は、外観が優れるシートが
得られる理由により5〜80℃が好ましい。冷却ロール
温度が5℃以上であれば冷却ロールが結露しないことに
よりシート表面に斑点状の模様ができず良好な外観が得
られ、また80℃以下であればシートが十分に冷却で
き、ロール状のシートを解くときに起きる線状の模様が
できず良好な外観が得られる。
【0123】シートを成形する速度は、生産性が優れる
理由により0.1〜100m/分である。該速度が0.
1m/分以上であれば、厚みが均一なシートが得られ不
良率が少なく、100m/分以下であればシートが十分
に冷却できる。
【0124】
【実施例】以下に、本発明を実施例および比較例により
さらに詳細に説明する。実施例および比較例において使
用する用語の定義および測定方法は以下の通りである。 固有粘度[η]:135℃のテトラリン中で測定した極
限粘度をオストヴァルト粘度計(三井東圧化学(株)
製)により測定した値(単位:dl/g)に換算。 成形性:厚み0.4mmのシートを試料シートとする。
この試料シートを開口部が300×300mmの大きさ
の枠に固定し、この固定された試料シートを200℃に
保持された加熱炉中に一定時間水平に保持する。ポリプ
ロピレン及びその組成物等を用いたシートは上記評価を
行った場合、一般的に次のような現象がおこる。先ず初
めに、加熱されることによりシートの中央部が垂れ下が
る。次に、垂れ下がりの一部分が戻りを起こし、その戻
った状態が一定時間継続する。最後に、再度垂れ下がり
が起こり、その後再び戻る現象は起こらない。上述の、
初めに垂れ下がった量を「垂下量」(mm)とした。上
述の、垂下量に対する戻り量の比率を「戻り率」(%)
とした。上述の、垂れ下がりの一部分が戻りを起こした
状態が継続した時間を「保持時間」(秒)とした。垂下
量が小さく、戻り率が大きく、保持時間が長いほど成形
性が優れたシートである。 透明性:厚み0.4mmのシートを試料シートとする。
この試料シートをASTM D 1003に準拠してヘ
イズを測定した。ヘイズ値が小さいほど透明性が優れる
ことを示す。 剛性:厚み0.4mmのシートを試料シートとする。こ
の試料シートをASTM D 882に準拠してヤング
率を測定した。シートの引張方向はシート成形の流れ方
向(MD方向)であり、引張速度は5mm/minで実
施した。ヤング率の値が大きいほど剛性が高いことを示
す。
【0125】実施例1 (1)遷移金属化合物触媒成分の調製 攪拌機付きステンレス製反応器中において、デカン3
7.5リットル、無水塩化マグネシウム7.14kg、
および2−エチル−1−ヘキサノール35.1リットル
を混合し、攪拌しながら140℃に4時間加熱反応を行
って均一な溶液とした。この均一溶液中に無水フタル酸
1.67kgを添加し、さらに130℃にて1時間攪拌
混合を行い、無水フタル酸をこの均一溶液に溶解した。
【0126】得られた均一溶液を室温(23℃)に冷却
した後、この均一溶液を−20℃に保持した四塩化チタ
ン200リットル中に3時間かけて全量滴下した。滴下
後、4時間かけて110℃に昇温し、110℃に達した
ところでフタル酸ジ−i−ブチル5.03リットルを添
加し、2時間110℃にて攪拌保持して反応を行った。
2時間の反応終了後、熱濾過して固体部を採取し、固体
部を275リットルの四塩化チタンにより再懸濁させた
後、再び110℃で2時間、反応を持続した。
【0127】反応終了後、再び熱濾過により固体部を採
取し、n−ヘキサンにて、洗浄液中に遊離のチタンが検
出されなくなるまで充分洗浄した。続いて、濾過により
溶媒を分離し、固体部を減圧乾燥してチタン2.4重量
%を含有するチタン含有担持型触媒成分(遷移金属化合
物触媒成分)を得た。
【0128】(2)予備活性化触媒の調製 内容積30リットルの傾斜羽根付きステンレス製反応器
を窒素ガスで置換後、n−ヘキサン18リットル、トリ
エチルアルミニウム(有機金属化合物(AL1))60
ミリモルおよび前項で調整したチタン含有担持型触媒成
分150g(チタン原子換算で75.16ミリモル)を
添加した後、プロピレン500gを供給し、−2℃で4
0分間、予備重合を行った。
【0129】別途、同一条件で行った予備重合後に生成
したポリマーを分析した結果、チタン含有担持型成分1
g当たり、3.0gのポリプロピレン(B)が生成し、
このポリプロピレン(B)の135℃のテトラリン中で
測定した固有粘土[η]が2.8dl/gであった。
【0130】反応時間終了後、未反応のプロピレンを反
応器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換した
後、反応器内の温度を−1℃に保持しながら、圧反応器
内の圧力を0.59MPaに維持するようにエチレンを
反応器に連続的に5時間供給し、予備活性化重合を行な
った。別途、同一条件で行なった予備活性化重合後に生
成したポリマーを分析した結果、チタン含有担持触媒成
分1g当たり、ポリマーが63.8g存在し、かつポリ
マーの135℃のテトラリン中で測定した固有粘度[η
]が30.8dl/gであった。
【0131】エチレンによる予備活性化重合で生成した
チタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリエチエン
(A)量(W)は、予備活性化処理後のチタン含有担
持型触媒成分1g当たりのポリマー生成量(W)と予
備重合後のチタン含有担持型触媒成分1g当たりのポリ
プロピレン(B)生成量(W)との差として次式で求
められる。 W=W−W
【0132】また、エチレンによる予備活性化重合で生
成したポリエチレン(A)の固有粘度[η]は、予備
活性化重合で生成したポリプロピレン(B)の固有粘度
[η ]および予備活性化処理で生成したポリマーの固
有粘度[η]から次式により求められる。 [η]=([η]×W−[η]×W)/(W
−W) 上記に従ってエチレンによる予備活性化重合で生成した
ポリエチレン(A)量は、チタン含有担持型触媒成分1
g当たり60.8g、固有粘度[η]は32.2dl
/gであった。
【0133】反応時間終了後、末反応のエチレンを反応
器外に放出し、反応器の気相部を1回、窒素置換し、本
(共)重合用の予備活性化触媒スラリーとした。
【0134】(3)ポリプロピレン組成物の製造(プロ
ピレンの本(共)重合) 窒素置換された、内容積110リットルの攪拌機を備え
た連続式横型気相重合器(長さ/直径=3.7)に、ポ
リプロピレンパウダーを25kg導入し、さらに予備活
性化触媒スラリーをチタン含有担持型触媒成分として
0.65g/h、トリエチルアルミニウム(有機金属化
合物(AL2))およびジイソプロピルジメトキシシラ
ン(電子供与体(E2))の15重量%n−ヘキサン溶
液をチタン含有担持型触媒成分中のチタン原子に対し、
それぞれモル比が90および15となるように連続的に
供給した。
【0135】さらに、重合温度70℃の条件下、重合器
内の水素温度のプロピレン濃度に対する比が0.002
となるように水素を、さらに重合器内の圧力が2.15
MPaを保持するようにプロピレンをそれぞれ重合器内
に供給して、プロピレンの気相重合を150時間連続し
て行なった。重合期間中は重合器内の重合体の保有レベ
ルが60容積%に維持するように重合器からポリマーを
11Kg/hの速度で抜き出した。抜き出したポリマー
を、水蒸気を5容積%含む窒素ガスにより100℃にて
30分間接触処理し、固有粘度[η]が2.75dl
/gであるポリプロピレン組成物[I]を得た。ポリマ
ー中の予備活性化処理により生成したポリエチレン
(A)含有率は0.36重量%およびポリプロピレンの
固有粘度[η]は2.64dl/gであった。得られ
たポリプロピレン組成物[I]の溶融張力(MS)は
9.8cNであった。
【0136】このポリプロピレン組成物[I]を100
重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジリ
デン)ソルビトールを0.3重量部、その他に2,6−
ジ−t−ブチル−P−クレゾール0.1重量部、ステア
リン酸カルシウム0.1重量部を混合し、次いでシリン
ダー設定温度230℃、スクリュー径40mmの押出し
造粒機を用いてペット状の組成物とした。この組成物を
用い、スクリュー径65mmのTダイシート成形機に
て、樹脂温度230℃、冷却ロール温度60℃、引取速
度10m/分でシート厚み0.4mmのシートを製膜し
た。この時の得られたシートの成形性、透明性、剛性を
表1に示した。
【0137】実施例2,3,4 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを0.5重量部を新日本理
化(株)製ゲルオールDH(商品名)0.1重量部(実
施例2)、0.3重量部(実施例3)、0.5重量部
(実施例4)に変えた以外は実施例1と同様にしてシー
トを成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表1に
示す。
【0138】実施例5 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを0.5重量部をナトリウ
ム−2−2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチ
ルフェニル)フォスフェートを0.1重量部に変えた以
外は実施例1と同様にしてシートの成形性、透明性、剛
性を表1に示す。
【0139】
【表1】
【0140】比較例1 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを配合しなかった以外は実
施例1と同様にしてシートを成形した。シートの成形
性、透明性、剛性を表2に示す。
【0141】比較例2 実施例1において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールの配合量を0.03重量部
に変えた以外は実施例1と同様にしてシートを成形し
た。シートの成形性、透明性、剛性を表2に示す。
【0142】比較例3 チタン含有担持型触媒成分のエチレンによる予備活性化
重合を実施しなかったことを除き、他は実施例1と同一
の条件で処理してポリプロピレンの製造を行なった。得
られたポリプロピレン組成物[I]の固有粘度[η
は2.70dl/gであり、溶融張力(MS)は4.8
cNであった。
【0143】このポリプロピレン組成物[I]を100
重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジリ
デン)ソルビトールを0.3重量部、その他に2,6−
ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.1重量部、ステア
リン酸カルシウム0.1重量部を混合し、次いでシリン
ダー設定温度230℃、スクリュー径40mmの押出し
造粒機を用いてペレット状の組成物とした。この組成物
を用い、スクリュー径65mmのTダイシート成形機に
て、樹脂温度230℃、冷却ロール温度60℃、取引速
度10m/分でシート厚み0.4mmのシートを製膜し
た。この時得られたシートの成形性、透明性、剛性を表
2に示した。
【0144】比較例4 比較例3において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールの配合量を0.03重量部
に変えた以外は実施例1と同様にしてシートを成形し
た。シートの成形性、透明性、剛性を表2に示す。
【0145】
【表2】
【0146】実施例6 実施例1で得られたポリプロピレン組成物[I]を10
0重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジ
リデン)ソルビトールを0.3重量部、密度が0.91
7g/cm、結晶融点が110℃、NFR[190
℃;21.18N]が2.5g/10minのエチレン
単独重合体(低密度ポリエチレン)を10重量部、その
他に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール0.1重
量部、ステアリング酸カルシウム0.1重量部を混合
し、次いでシリンダー設定温度230℃、スクリュー径
40mmの押出し造粒機を用いてペレット状の組成物と
した。この組成物を用い、スクリュー径65mmのTダ
イシート成形機にて、樹脂温度230℃、冷却ロール温
度60℃、引取速度10m/分でシート厚み0.4mm
のシートを製膜した。この時の得られたシートの成形
性、透明性、剛性を表3に示した。
【0147】実施例7 実施例6において、低密度ポリエチレンの配合量を30
重量部に変えた以外は実施例6と同様にしてシートを成
形した。シートの成形性、透明性、剛性を表3に示し
た。
【0148】実施例8 実施例6において、低密度ポリエチレンの密度が密度が
0.917g/cm3、結晶融点が110℃、MFR
[190℃;21.18N]が10/10minの低密
度ポリエチレンに変えた以外は実施例6と同様にしてシ
ートを成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表3
に示す。
【0149】実施例9 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.922g/cm 3、結晶融点が122℃、MFR
[190℃;21.18N]が1.0/10minのエ
チレン−オレフィン共重合体(L−LDPE)に変えた
以外は実施例6と同様にしてシートを成形した。シート
の成形性、透明性、剛性を表3に示す。
【0150】実施例10 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.905g/cm 3、結晶融点が113℃、MFR
[190℃;21.18N]が2.0/10minのエ
チレン−オレフィン共重合体(V−LDPE)に変えた
以外は実施例6と同様にしてシートを成形した。シート
の成形性、透明性、剛性を表3に示す。
【0151】
【表3】
【0152】実施例11 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.925g/cm 3、結晶融点が106℃、MFR
[190℃;21.18N]が0.2g/10minの
エチレン−酢酸ビニル共重合体に変えた以外は実施例6
と同様にしてシートを成形した。シートの成形性、透明
性、剛性を表4に示す。
【0153】実施例12 実施例6において、低密度ポリエチレンの代わりに密度
が0.910g/cm 3、結晶融点が112℃、MFR
[190℃;21.18N]が1.0g/10minの
ブテン共重合体に変えた以外は実施例6と同様にしてシ
ートを成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表4
に示す。
【0154】
【表4】
【0155】比較例5 実施例6において、低密度ポリエチレンを配合量を3重
量部に変えた以外は実施例6と同様にしてシートを成形
した。シートの成形性、透明性、剛性を表5に示す。
【0156】比較例6 実施例6において、低密度ポリエチレンの配合量を60
重量部に変えた以外は実施例6と同様にしてシートを成
形した。シートの成形性、透明性、剛性を表5に示す。
【0157】比較例7 実施例6において、低密度ポリエチレンを密度が0.9
63g/cm3、結晶融点が134℃、MFR[190
℃;21.18N]が1.2g/10minの高密度ポ
リエチレンに変えた以外は実施例6と同様にしてシート
を成形した。シートの成形性、透明性、剛性を表5に示
す。
【0158】比較例8 実施例6において、1・3,2・4−ジ−(p−メチル
ベンジリデン)ソルビトールを配合しなかった以外は実
施例6と同様にしてシートを成形した。シートの成形
性、透明性、剛性を表5に示す。
【0159】比較例9 比較例3で得られたポリプロピレン組成物[I]を10
0重量部と、1・3,2・4−ジ−(p−メチルベンジ
リデン)ソルビトールを0.3重量部、密度が0.91
7g/cm3、結晶融点が110℃、MFR[190
℃;21.18N]が2.5g/10minのエチレン
単独重合体(低密度ポリエチレン)を10重量部、その
他に2,6−ジ−t−ブチル−クレゾール0.1重量
部、ステアリン酸カルシウム0.1重量部を混合し、次
いでシリンダー設定温度230℃、スクリュー径40m
mの押出造粒機を用いてペレット状の組成物とした。こ
の組成物を用い、スクリュー径65mmのTダイシート
成形機にて、樹脂温度230℃、冷却ロール温度60
℃、引取速度10m/分でシート厚み0.4mmのシー
トを製膜した。この時の得られたシートの成形性、透明
性、剛性を表5に示した。
【0160】
【表5】
【0161】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明によれば、ポ
リオレフィン製造用触媒に少量の本(共)重合目的のポ
リプロピレンおよび特定の固有粘度を有するポリエチレ
ンを担持させて予備活性化した触媒を使用してプロピレ
ンを本(共)重合させた組成物と造核剤とを配合物した
組成物、及び造核剤と特定のポリエチレン系重合体又は
ブテン重合体とを配合した組成物により、真空および圧
空成形等の熱成形における成形性、及び透明性に優れた
シートを提供できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08F 10/06 C08F 10/06 297/08 297/08 (C08L 23/10 23:04 23:02) (72)発明者 斉藤 純 千葉県君津市杢師二丁目20番3号 Fターム(参考) 4F071 AA14X AA15 AA15X AA20X AA21X AA28X AA82 AA84 AA88 AC05 AE22 BA01 BB06 BC01 4J002 BB03X BB05Y BB06Y BB121 BB141 BB17Y BP021 BP031 EG026 EG056 EG076 EG086 EL106 EW046 FD206 GG00 4J026 HA02 HA03 HA04 HA27 HA35 HA49 HB02 HB03 HB04 HB49 4J028 AA01A AB00A AB01A AC01A AC10A AC28A AC31A AC39A AC42A BA01B BB00B BB01B BC01B BC04B BC09B BC12B BC15B BC16B BC17B BC19B BC24B BC25B CB22C CB27C CB43C CB44C CB52C CB63C CB68C CB69C CB72C CB74C CB79C CB81C CB83C CB87C CB88C CB91C DA01 EA01 EB02 EB04 EB05 EB07 EB08 EB09 EB10 EC01 EC02 FA01 FA02 FA04 GA04

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)エチレン単独重合体またはエチレ
    ン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフ
    ィン共重合体であって、135℃のテトラリン中で測定
    した固有粘度[η ]が15〜100dl/gの高分
    子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0重量部と、 (b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位
    を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重
    合体からなり、135℃のテトラリン中で測定した固有
    粘度[η ]が0.2〜10dl/gであるプロピレ
    ン(共)重合体100重量部からなるオレフィン共重合
    体[II]100重量部と、 (c)造核剤0.05〜1重量部とからなるオレフィン
    (共)重合体組成物。
  2. 【請求項2】 [一](a)エチレン単独重合体または
    エチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−
    オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリンで
    測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/gの
    範囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0
    重量部と、 (b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位
    を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重
    合体からなり、135℃のテトラリン中で測定した固有
    粘度[η ]が0.2〜10dl/gであるポリプロ
    ピレン100重量部からなるオレフィン(共)重合体
    [II]が100重量部と、 [二]造核剤を0.05〜1重量部と、 [三]下記(c1)〜(c5)の群から選ばれる1つ以
    上の単独または共重合体を5〜40重量部とからなるオ
    レフィン(共)重合体組成物 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm
    結晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合
    体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm、結
    晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィン
    共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm、結
    晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィン
    共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm、結
    晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル共
    重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm、結
    晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体又
    は1−ブテン−オレフィン共重合体。
  3. 【請求項3】 [一](a)エチレン単独重合体または
    エチレン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−
    オレフィン共重合体であって、135℃のテトラリンで
    測定した固有粘度[η]が15〜100dl/gの範
    囲の高分子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0重
    量部と、 (b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位
    を50重量%以上含有するプロピレン−オレフィン共重
    合体からなり、135℃のテトラリン中で測定した固有
    粘度[η ]が0.2〜10dl/gであるポリプロ
    ピレン100重量部からなるオレフィン(共)重合体
    [II]が100重量部と、 [二]造核剤を0.05〜1重量部と、 [三]下記(c1)〜(c5)の群から選ばれる1つ以
    上の単独または共重合体を5〜40重量部とからなるオ
    レフィン(共)重合体組成物 (c1)密度が0.914〜0.930g/cm
    結晶融点が100〜118℃であるエチレン単独重合
    体。 (c2)密度が0.920〜0.935g/cm
    結晶融点が115〜127℃であるエチレン−オレフィ
    ン共重合体。 (c3)密度が0.880〜0.920g/cm
    結晶融点が110〜115℃であるエチレン−オレフィ
    ン共重合体。 (c4)密度が0.920〜0.950g/cm
    結晶融点が90〜110℃であるエチレン−酢酸ビニル
    共重合体。 (c5)密度が0.880〜0.920g/cm
    結晶融点が70〜130℃である1−ブテン単独重合体
    又は1−ブテン−オレフィン共重合体であって、前記オ
    レフィン(共)重合体[II]が、230℃における溶融
    張力(MS)と135℃のテトラリン中で測定した固有
    粘度[η]との間に、 log(MS)>4.24×log[η ]−0.9
    5 で表される関係を有する請求項1および請求項2に記載
    のオレフィン(共)重合体組成物。
  4. 【請求項4】 (a)エチレン単独重合体またはエチレ
    ン重合単位を50重量%以上含有するエチレン−オレフ
    ィン共重合体であって、135℃のテトラリン中で測定
    した固有粘度[η ]が15〜100dl/gの高分
    子量ポリエチレン[I]を0.01〜5.0重量部と、 (b)プロピレン単独重合体またはプロピレン重合単位
    を50重量%含有するプロピレン−オレフィン共重合体
    からなり、135℃のテトラリン中で測定した固有粘度
    [η ]が0.2〜10dl/gであるプロピレン共
    重合体100重量部からなるオレフィン共重合体[II]
    が100重量部と (c)造核剤0.05〜1重量部からなり (d)前記オレフィン(共)重合体[II]の230℃に
    おける溶融張力(MS)と該[I]の135℃のテトラ
    リン中で測定した固有粘度[η ]との間に下式
    (1) log(MS)>4.24×log[η ]−0.95 (1) なる関係を有するオレフィン共重合体組成物。
  5. 【請求項5】 遷移金属化合物触媒成分、該触媒成分中
    の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000モル
    の周期表(1991年版)第1族、第2族、第12族お
    よび第13族に属する金属よりなる群より選抜された金
    属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属原子
    1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E1)の
    組合せからなるポリオレフィン製造用触媒を用いてエチ
    レンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエチレン
    と該触媒からなる予備活性化触媒の存在下にプロピレン
    を単独重合させ、若しくはプロピレンと炭素数2〜12
    の他のオレフィンを共重合させることを特徴とするオレ
    フィン(共)重合体組成物[II]の製造方法。
  6. 【請求項6】 遷移金属化合物触媒成分、該触媒成分中
    の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000モル
    の周期表(1991年版)第1族、第2族、第12族お
    よび第13族に属する金属よりなる群から選択された金
    属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属原子
    1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E1)の
    組合わせからなるポリオレフィン製造用触媒を用いてエ
    チレンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエチレ
    ンと該触媒からなる予備活性化触媒と該触媒中の遷移金
    属1モルに対し、0.04〜4,000モルの前記(A
    L1)と同一の有機金属化合物および0〜2,500モ
    ルの前記(E1)と同一の電子供与体(E2)からなる
    オレフィン(共)重合用触媒の存在下にプロピレンを単
    独重合させ若しくは、プロピレンと炭素数2〜12の他
    のオレフィンを共重合させることを特徴とするオレフィ
    ン(共)重合体組成物[II]の製造方法。
  7. 【請求項7】 予備活性化触媒が、遷移金属化合物触媒
    成分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定した固
    有粘度[η ]が15〜100dl/gの範囲のポリ
    エチレン0.01〜5,000gを担持している請求項
    5または請求項6記載のオレフィン(共)重合体組成物
    の製造方法。
  8. 【請求項8】 予備活性化触媒が、遷移金属化合物触媒
    成分1g当たり、135℃のテトラリン中で測定した固
    有粘度[η ]が15dl/gより小さいポリプロピ
    レン0.01〜100g、および135℃のテトラリン
    中で測定した固有粘度[η ]が15〜100dl/
    gの範囲のポリエチレン0.01〜5,000gを担持
    している請求項5または請求項6記載のオレフィン
    (共)重合体組成物の製造方法。
  9. 【請求項9】 遷移金属化合物触媒成分、該触媒成分中
    の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000モル
    の周期表(1991年版)第1族、第2族、第12族お
    よび第13族に属する金属よりなる群より選抜された金
    属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属原子
    1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E1)の
    組合せからなるポリオレフィン製造用触媒を用いてエチ
    レンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエチレン
    と該触媒からなる予備活性化触媒の存在下にプロピレン
    を単独重合させ、若しくはプロピレンと他の炭素数2〜
    12の他のオレフィンと共重合させ、その際重合容器内
    の重合容積1リットル中の触媒量を該触媒中の遷移金属
    原子に換算して0.01〜1,000ミリモルとするこ
    とを特徴とするオレフィン(共)重合体組成物の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 遷移金属化合物触媒成分、該触媒成分
    中の遷移金属原子1モルに対し0.01〜1,000モ
    ルの周期表(1991年版)第1族、第2族、第12族
    および第13族に属する金属よりなる群から選択された
    金属の有機金属化合物(AL1)および前記遷移金属原
    子1モルに対し、0〜500モルの電子供与体(E1)
    の組み合わせからなるポリオレフィン製造用触媒を用い
    てエチレンを予備重合し、この触媒に担持させたポリエ
    チレンと該触媒からなる予備活性化触媒と該触媒中の遷
    移金属1モルに対し、0.04〜4,000モルの前記
    (AL1)と同一の有機金属化合物および0〜2,50
    0モルの前記(E1)と同一の電子供与体(E2)から
    なるオレフィン(共)重合用触媒の存在下にプロピレン
    を単独重合させ若しくは、プロピレンを炭素数2〜12
    の他のオレフィンを共重合させ、その際重合容器内の重
    合容積1リットル中の触媒量を該触媒中の遷移金属原子
    に換算して0.01〜1,000ミリモルとすることを
    特徴とするオレフィン(共)重合体組成物の製造方法。
  11. 【請求項11】 請求項1に記載のオレフィン(共)重
    合体組成物を成型してなるオレフィン(共)重合体組成
    物成型品。
  12. 【請求項12】 請求項2に記載のオレフィン(共)重
    合体組成物を成型してなるオレフィン(共)重合体組成
    物成型品。
  13. 【請求項13】 オレフィン(共)重合体組成物成型品
    がシートである請求項11に記載のオレフィン(共)重
    合体組成物成型品。
  14. 【請求項14】 オレフィン(共)重合体組成物成型品
    がシートである請求項12に記載のオレフィン(共)重
    合体組成物成型品。
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