JP2000002288A - 流体封入式防振装置 - Google Patents

流体封入式防振装置

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JP2000002288A
JP2000002288A JP16954698A JP16954698A JP2000002288A JP 2000002288 A JP2000002288 A JP 2000002288A JP 16954698 A JP16954698 A JP 16954698A JP 16954698 A JP16954698 A JP 16954698A JP 2000002288 A JP2000002288 A JP 2000002288A
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orifice passage
orifice
pressure receiving
vibration
receiving chamber
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JP16954698A
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Koichi Hasegawa
浩一 長谷川
Masaaki Hamada
真彰 濱田
Motohiro Hatano
基博 波多野
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Sumitomo Riko Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低,中,高の各周波数域にチューニングされ
た第一,第二,第三のオリフィス通路による防振効果
を、簡単なバルブ切換機構によって、選択的に且つ有効
に得ることの出来る流体封入式防振装置を提供するこ
と。 【解決手段】 それぞれ受圧室74と平衡室76の間に
設けられた、低周波数域にチューニングされた第一のオ
リフィス通路80と中周波数域にチューニングされた第
二のオリフィス通路82を、バルブ手段92によって択
一的に連通せしめる一方、第一のオリフィス通路80の
途上に可動部材108を配設し、該第一のオリフィス通
路80の可動部材108の配設部分と受圧室74の間
に、高周波数域にチューニングされた第三のオリフィス
通路100を形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、内部に封入された非圧縮性流体
の共振作用等の流動作用を利用して防振効果を得るよう
にした流体封入式防振装置に係り、特に流体の流動作用
に基づいて、複数のまたは広い周波数の振動に対して有
効な防振効果を得ることの出来る流体封入式防振装置に
関するものである。
【0002】
【背景技術】従来から、振動伝達系を構成する部材間に
介装される防振装置の一種として、特公昭52−165
54号公報や特開昭61−59035号公報等に記載さ
れているように、防振連結される両側部材にそれぞれ取
り付けられる第一の取付部材と第二の取付部材を本体ゴ
ム弾性体で連結すると共に、壁部の一部が本体ゴム弾性
体で構成されて振動入力時に圧力変化が生ぜしめられる
受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化
が許容される平衡室を形成し、それら受圧室と平衡室を
相互に連通するオリフィス通路を設けてなる流体封入式
防振装置が、知られている。このような装置では、振動
入力時にオリフィス通路を通じて流動する流体の共振作
用等の流動作用に基づいて、本体ゴム弾性体だけでは得
ることが難しい防振性能を容易に得ることが出来ること
から、例えば、自動車用エンジンマウントやボデーマウ
ント等として、有利に採用され得る。
【0003】また、近年では、流体の共振作用等に基づ
く防振効果を、複数の乃至は広い周波数域に亘って得る
ために、特開平8−42626号公報や特開平6−50
379号公報に記載されているように、低周波数域と中
周波数域、高周波数域にそれぞれチューニングされた3
つのオリフィス通路を独立的に形成すると共に、入力振
動に応じて、それら3つのオリフィス通路をバルブで切
り換えるようにしたものが、提案されている。
【0004】ところで、これら従来構造の防振装置は、
何れも、中〜高周波数域の振動入力時に低周波用オリフ
ィス通路の流通抵抗が著しく増大することを利用したも
のであって、低周波用オリフィス通路が常時連通状態と
されており、中周波数用オリフィス通路と高周波用オリ
フィス通路を、一つのバルブで択一的に連通させる構造
となっている。
【0005】ところが、このような防振装置において
は、防振すべき低周波数域の入力振動と中周波数域の入
力振動が、互いに近い周波数域にあった場合、例えば自
動車用エンジンマウントにおいて、防振すべき低周波振
動と中周波振動が、それぞれ15Hz前後のシェイクと3
0Hz程度のアイドリング振動である場合等には、中周波
振動の入力時にも低周波用オリフィス通路側に流体が逃
げることによって、中周波用オリフィス通路を通じての
流体流動量が低下し、中周波振動に対する防振効果が十
分に発揮され難いという問題があった。
【0006】なお、この問題に対処するために、低周波
用オリフィス通路も開閉制御することが考えられる。し
かしながら、従来の防振装置では、オリフィス通路の構
造上、中周波用オリフィス通路と高周波用オリフィス通
路の切り換えに合わせて低周波用オリフィス通路も開閉
しようとすると、複数のバルブが必要となったり、バル
ブの複雑な作動制御が必要となるために、防振装置の大
型化や複雑化、高コスト化等が避けられず、現実的では
なかったのである。
【0007】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、上述の如き事情
を背景として為されたものであって、その解決課題とす
るところは、低周波と中周波,高周波の相違する周波数
域にチューニングされた3つのオリフィス通路による防
振効果が、何れも有効に発揮され得る流体封入式防振装
置を、簡単な構造をもって実現することにある。
【0008】
【解決手段】そして、かかる課題を解決するために、本
発明の特徴とするところは、(a)防振連結されるそれ
ぞれの部材に取り付けられる第一の取付部材および第二
の取付部材と、(b)それら第一の取付部材と第二の取
付部材を弾性的に連結する本体ゴム弾性体と、(c)本
体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて、振動入
力時に本体ゴム弾性体の変形に基づいて圧力変化が生ぜ
しめられる受圧室と、(d)壁部の一部が可撓性膜で構
成されて容積変化が許容される少なくとも一つの平衡室
と、(e)受圧室および平衡室に、それぞれ封入された
非圧縮性流体と、(f)受圧室を平衡室に連通せしめる
第一のオリフィス通路と、(g)受圧室を平衡室に連通
せしめる、第一のオリフィス通路よりも高周波数域にチ
ューニングされた第二のオリフィス通路と、(h)第一
のオリフィス通路上に配されて、第一のオリフィス通路
内の圧力変化によって変形乃至は変位せしめられること
により、第一のオリフィス通路内の容積変化を許容せし
めて、第一のオリフィス通路内で、第二のオリフィス通
路よりも高周波数域にチューニングされた第三のオリフ
ィス通路を受圧室との間に形成する可動部材と、(i)
第一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を択一的
に連通せしめるものであって、第二のオリフィス通路を
連通させる際に、第一のオリフィス通路を、可動部材よ
りも受圧室側で遮断するバルブ手段とを、含んで構成し
た流体封入式防振装置にある。
【0009】このような本発明に従う構造とされた流体
封入式防振装置においては、低周波振動にチューニング
された第一のオリフィス通路の一部を利用して、受圧室
と可動部材の間に、高周波振動にチューニングされた第
三のオリフィス通路が形成される。そして、バルブ手段
の切換作動に従って、第一のオリフィス通路と第二のオ
リフィス通路が択一的に連通されるのであり、その際、
第三のオリフィス通路も、第一のオリフィス通路と共に
連通/遮断される。
【0010】従って、第二のオリフィス通路が連通され
た状態下では、第一のオリフィス通路と第三のオリフィ
ス通路が何れも遮断されることから、第一のオリフィス
通路や第三のオリフィス通路への流体の逃げが防止され
て、第二のオリフィス通路を通じての流体流動量が有利
に確保されるのであり、以て、第二のオリフィス通路を
流動せしめられる流体の流動作用に基づいて、中周波振
動に対する有効な防振効果が発揮されるのである。一
方、第一及び第三のオリフィス通路が連通された状態下
では、第二のオリフィス通路が遮断されることから、第
二のオリフィス通路への流体の逃げが防止されると共
に、第一のオリフィス通路と第三のオリフィス通路は、
それらのチューニング周波数が、第二のオリフィス通路
のチューニング周波数を挟んだ低周波側と高周波側に大
きく開いていることから、相互の悪影響が小さく抑えら
れるのであり、それ故、第一のオリフィス通路による低
周波振動に対する防振効果と、第三のオリフィス通路に
よる高周波振動に対する防振効果が、何れも、有効に発
揮されるのである。
【0011】しかも、第一〜三のオリフィス通路を連通
/遮断するバルブ手段が、第一のオリフィス通路と第二
のオリフィス通路を択一的に連通する一つのバルブによ
って構成され得ることから、バルブ機構の構造や制御が
極めて簡単であり、防振装置の小型化も容易に実現可能
であるといった利点がある。加えて、第三のオリフィス
通路が、第一のオリフィス通路の一部を利用して形成さ
れることから、防振装置の更なる小型化や構造の簡略化
が図られ得るのである。
【0012】なお、本発明において、各オリフィス通路
の構造や長さ,断面積等の形状は、何等、限定されるも
のでなく、受圧室や平衡室を含む防振装置全体の構造や
要求される防振特性等に応じて、適宜に設定されるもの
である。また、可動部材は、第三のオリフィス通路を通
じて流動せしめられる流体の圧力作用によって変形乃至
は変位して、第一のオリフィス通路の中間部分における
容積変化を許容するものであれば良く、例えば、ゴム等
の弾性膜が好適に採用されるが、背後に密閉された空気
室を形成した弾性的乃至は非弾性的な可撓性膜を用いる
ことも可能であり、更には、第一のオリフィス通路と平
衡室を仕切る隔壁に連通孔を設けると共に、この連通孔
を仕切るように配されて、その変位に基づいて実質的な
流体流動を許容する可動板を微小変位可能に設けること
等によっても、可動部材が有利に構成され得る。更にま
た、第一のオリフィス通路上に複数の可動部材を配設す
ることも可能である。更に、可動部材の変形乃至は変位
にばね特性を持たせる場合には、そのばね剛性を、平衡
室の壁部の変形ばね剛性よりも小さくすることが望まし
く、それによって、第一のオリフィス通路による低周波
振動に対する防振効果と第三のオリフィス通路による高
周波振動に対する防振効果を、それぞれより有効に得る
ことが可能となる。
【0013】また、かかる可動部材は、例えば内部に空
気が封入された密閉構造の中空袋状体を第一のオリフィ
ス通路内に収容配置せしめること等によって構成するこ
とも可能であるが、本発明に係る流体封入式防振装置に
おいては、かかる可動部材によって、第一のオリフィス
通路の周壁部の一部を構成した構造が、好適に採用され
る。このような構成を採用することにより、可動部材
が、第一のオリフィス通路の通路断面積を十分に確保し
つつ、第一のオリフィス通路上に有利に且つ容易に配さ
れ得る。
【0014】更にまた、本発明に従う構造とされた流体
封入式防振装置においては、第一のオリフィス通路によ
る低周波振動に対する防振効果と第三のオリフィス通路
による高周波振動に対する防振効果を、それぞれより有
効に得るために、例えば、可動部材の変形乃至は変位量
を制限する可動量制限機構が、有利に採用される。な
お、可動量制限機構は、例えば、弾性変形可能なゴム膜
等で可動部材を構成する場合には、可動部材自体の弾性
によって構成することも可能であり、その他、より優れ
た変形量の制限効果を得るために、帆布をゴム膜に被着
或いは重設したり、可動部材が変形乃至は変位した際に
当接せしめられる当接部材を設けて、その変形乃至は変
位を制限するようにしても良い。
【0015】さらに、第一のオリフィス通路と第二のオ
リフィス通路を、互いに独立して形成された平衡室に連
通することも可能であり、その場合には、各平衡室の壁
ばね剛性を異ならせることにより、相対的なオリフィス
通路のチューニングを行うこと等も可能であるが、本発
明では、例えば、第一のオリフィス通路と第二のオリフ
ィス通路を、同じ平衡室に連通せしめてなる構成が、有
利に採用される。これにより、平衡室の構造の簡略化が
図られ得ると共に、平衡室の容積を有利に確保できる。
なお、同じ平衡室に連通した第一のオリフィス通路と第
二のオリフィス通路は、例えば、断面積と流路の長さの
比を互いに異ならせること等によって、異なる周波数域
にチューニングすることが出来る。
【0016】また、本発明に係る流体封入式防振装置に
おいては、例えば、特開昭61−59035号公報等に
記載されているように、第一の取付部材と第二の取付部
材が、主たる振動入力方向に略対応する一方向で所定距
離を隔てて対向位置せしめられて、対向面間に介装され
た本体ゴム弾性体で連結すると共に、振動入力時にそれ
ら第一の取付部材と第二の取付部材が接近/離隔方向に
相対変位せしめられるようにされた構造の防振装置等に
も適用可能であるが、その他、特公昭52−16554
号公報等に記載された円筒型の防振装置等にも有利に適
用され得る。具体的には、かかる円筒型の防振装置にお
いては、例えば、第一の取付部材と第二の取付部材が、
互いに径方向に離間して配設された軸部材と外筒部材に
よって構成されていると共に、受圧室および平衡室が、
それら軸部材と外筒部材の間において、周方向に互いに
離隔して形成されている一方、第一のオリフィス通路
が、外筒部材の内周面に沿って設けられており、外筒部
材を貫通して第一のオリフィス通路上に開口する貫通窓
を、外筒部材の内周面を覆うシールゴム層と一体的に形
成された可動ゴム膜で覆うことにより、可動部材が構成
されてなる構造が、有利に採用され得る。
【0017】このような構造とされた円筒型の防振装置
においては、例えばFF型自動車用エンジンマウントや
デフマウント,メンバマウント等として好適に採用され
得るのであり、しかも、第一のオリフィス通路上への可
動部材の配設が、簡単な構造をもって有利に為され得る
のである。なお、可動部材は、外筒部材に形成された貫
通窓を展張状態で覆蓋するように形成されていても良い
が、好ましくは、貫通窓から第一のオリフィス通路側に
入り込み、可動部材の外周面が外筒部材の外周面よりも
凹陥せしめられた略袋状形態をもって形成されることと
なる。それによって、可動部材の変形ばね剛性を低く設
定することが容易となると共に、外筒部材をブラケット
等の装着孔に圧入固定して装着する場合でも、可動部材
と装着孔の間に空間が形成されて、可動部材の変形性を
容易に確保すること等が可能となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、本発明の実施形態について、図面を参
照しつつ、詳細に説明する。
【0019】先ず、図1〜3には、本発明の一実施例と
しての自動車用エンジンマウントが示されている。かか
るエンジンマウントは、パワーユニット側に取り付けら
れる第一の取付部材(軸部材)としての内筒金具10
と、ボデー側に取り付けられる第二の取付部材(外筒部
材)としての外筒金具12とが、径方向に所定距離を隔
てて且つ互いに所定量だけ偏心して配されていると共
に、それらの間に介装された本体ゴム弾性体14によっ
て弾性的に連結されてなる構造とされている。そして、
内筒金具10がパワーユニット側とボデー側の何れか一
方に取り付けられる一方、外筒金具12がそれらの何れ
か他方に取り付けられることにより、エンジンマウント
が、パワーユニットとボデーの間に介装されて、パワー
ユニットをボデーに対して防振支持せしめるようになっ
ている。なお、マウント装着時には、パワーユニット荷
重が及ぼされて本体ゴム弾性体14が弾性変形すること
により、内筒金具10と外筒金具12が、略同一軸心上
に位置せしめられるようになっている。
【0020】より詳細には、内筒金具10は、厚肉円筒
形状を有しており、内孔に挿通される図示しないロッド
等によって、パワーユニット側に取り付けられるように
なっている。また、内筒金具10の径方向外方には、大
径円筒形状の金属スリーブ16が、所定距離を隔てて且
つ所定量だけ偏心して配設されている。かかる金属スリ
ーブ16は、軸方向両側部分よりも軸方向中央部分が小
径化されており、軸方向中央部分を周方向に所定幅で延
びるオリフィス部材組付溝18が、外周面に開口して形
成されていると共に、第一の窓部20と第二の窓部22
が、径方向一方向で対向位置して、それぞれ筒壁部を内
外に貫通して形成されている。なお、これら第一及び第
二の窓部20,22は、軸方向の開口幅が、何れもオリ
フィス部材組付溝18の溝幅よりも僅かに大きくされて
いる一方、周方向の開口幅が、何れも1/2周より僅か
に短くされている。そして、第一の窓部20が、内筒金
具10に対する偏心方向における径方向離間距離の大な
る側に位置する状態で、金属スリーブ16が内筒金具1
0の径方向外方に配設されている。
【0021】さらに、これら内筒金具10と金属スリー
ブ16の間には、本体ゴム弾性体14が介装されてお
り、この本体ゴム弾性体14によって内筒金具10と金
属スリーブ16が弾性的に連結されている。即ち、かか
る本体ゴム弾性体14は、全体として略厚肉の円筒形状
を有しており、その内周面に内筒金具10が固着される
と共に、外周面に金属スリーブ16が固着された一体加
硫成形品とされている。
【0022】また、本体ゴム弾性体14には、内筒金具
10と金属スリーブ16の径方向離間距離の大なる側に
第一のポケット部26が、径方向離間距離の小なる側に
第二のポケット部28が、それぞれ外周面に開口して形
成されており、第一のポケット部26が第一の窓部20
を通じて、また第二のポケット部28が第二の窓部22
を通じて、それぞれ金属スリーブ16の外周面に開口せ
しめられている。なお、第一のポケット部26における
軸方向両側の側壁部には、それぞれ中間金具32が加硫
接着されており、マウント径方向と軸方向のばね比が調
節されている。
【0023】更にまた、本体ゴム弾性体14には、第二
のポケット部28の底部に沿って、内筒金具10と金属
スリーブ16の間を周方向に略半周の長さで延びるスリ
ット34が、軸方向に貫通して設けられている。そし
て、このスリット34により、パワーユニット荷重の入
力時の本体ゴム弾性体14における引張応力の発生が軽
減乃至は防止されて、耐久性の向上が図られていると共
に、第二のポケット部28の底壁部が薄肉化されて、実
質的に本体ゴム弾性体14から分離,別体構造とされ、
弾性変形が比較的容易に許容される可撓性膜としてのゴ
ム弾性膜36が形成されている。
【0024】そして、かくの如き構造とされた本体ゴム
弾性体14の一体加硫成形品には、必要に応じて、金属
スリーブ16に八方絞り等の縮径加工が施されて本体ゴ
ム弾性体14に予備圧縮が加えられた後、それぞれ、略
半円筒形状を呈する第一のオリフィス半割体42と第二
のオリフィス半割体44が、内筒金具10と金属スリー
ブ16の偏心方向両側から組み付けられ、それによっ
て、全体として略円筒形状を呈するオリフィス部材46
が構成され、金属スリーブ16のオリフィス部材組付溝
18に嵌め込まれて装着されている。
【0025】このオリフィス部材46には、図4及び図
5に示されているように、外周面上において、第一及び
第二のオリフィス半割体42,44間に跨がって屈曲し
て実質的に周方向に一周以上の長さで延びる第一の周溝
48が形成されており、一体加硫成形品に対する組付状
態下、この第一の周溝48の両端部が、溝底壁部を貫通
して設けられた通孔50,52を通じて、第一のポケッ
ト部26および第二のポケット部28に開口せしめられ
ている。また、オリフィス部材46の外周面上には、第
一及び第二のオリフィス半割体42,44間に跨がって
周方向に略半周弱の長さで延びる第二の周溝54が、第
一の周溝48よりも大きな断面積をもって、且つ該第一
の周溝48とは独立して形成されており、一体加硫成形
品に対する組付状態下、この第二の周溝54の両端部
が、溝底壁部を貫通して設けられた通孔50,58を通
じて、第一のポケット部26および第二のポケット部2
8に開口せしめられている。なお、図面上から明らかな
ように、第一の周溝48と第二の周溝54をそれぞれ第
一のポケット部26に連通する通孔50は、共用されて
おり、かかる通孔50から2つに分岐して周方向両側に
延びるように、第一の周溝48と第二の周溝54が形成
されている。
【0026】また、オリフィス部材46を構成する第一
のオリフィス半割体42は、周方向中央部分が第一のポ
ケット部26の開口部に入り込む厚肉部64とされてお
り、この厚肉部64において、上記第一の周溝48およ
び第二の周溝54が、何れも周方向に貫通して延びるト
ンネル構造とされている。即ち、厚肉部64の内部を周
方向に直線的に貫通して延びるトンネル状部分が、その
周方向中央において、通孔50により第一のポケット部
26に連通されており、この通孔50から周方向両側に
分岐して延びる第一の周溝48と第二の周溝54が、そ
れぞれ、分岐部から所定長さ部分に亘ってトンネル構造
とされているのである。なお、トンネル構造とされた部
分48a,54aでは、第一の周溝48と第二の周溝5
4が、互いに略同じ断面積で形成されており、第一の周
溝48の他の部分よりも広く、第二の周溝54の他の部
分よりは狭くされている。
【0027】更にまた、かかる第一のオリフィス半割体
42の厚肉部64には、外周面の略中央部分から径方向
内方に向かって延び、トンネル構造とされた第一の周溝
48と第二の周溝54の分岐部分に開口するバルブ装着
穴68が形成されている。そして、このバルブ装着穴6
8に対して、ロータリバルブ92が、挿入配置されてい
る。このロータリバルブ92は、図6に斜視図が示され
ているように、内部がくり抜かれて軸方向上方に開口す
る中空構造とされた円筒体形状乃至はカップ形状を有し
ており、その外径寸法が、トンネル構造の第一及び第二
の周溝48,54よりも大径とされていると共に、その
外周壁部93には、周方向略半周に亘って切り欠かれた
連通窓88が形成されている。また、ロータリバルブ9
2の底壁部90には、軸方向外方に突出する駆動軸84
が、一体的に突設されている。そして、かかるロータリ
バルブ92が、第一のオリフィス半割体42のバルブ装
着穴68に対して、中心軸回りに回転可能に収容配置さ
れて組み込まれている。なお、バルブ装着穴68には、
バルブ押えリング102が嵌着固定されてロータリバル
ブ92のバルブ装着穴68からの抜け出しが防止されて
いると共に、ロータリバルブ92の駆動軸84とバルブ
装着穴68の間がダストシール96で覆われてシールさ
れている。
【0028】また、図1及び図2に示されているよう
に、このようなオリフィス部材46が組み付けられた一
体加硫成形品には、更に、外筒金具12が外挿され、八
方絞り加工等によって金属スリーブ16の外周面に嵌着
固定されている。なお、第一のオリフィス半割体42に
組み付けられたロータリバルブ92は、その駆動軸84
が、第一のオリフィス半割体42の外周面から突出しな
い長さとされており、ロータリバルブ92の組付後に、
一体加硫成形品に対して外筒金具12を外挿できるよう
になっている。そして、この外筒金具12が、金属等の
剛性材で形成されて車体側に固定されるブラケット94
の装着孔98に圧入等で組み付けられ、該ブラケット9
4を介して、ボデー側に取り付けられるようになってい
る。また、フラケット94には、バルブ制御用モータ8
6が固定的に取り付けられていると共に、第一のオリフ
ィス半割体42のバルブ装着穴68に対応する位置に、
径方向に貫通する挿通孔87が形成されており、この挿
通孔87を通じて、バルブ制御用モータ86の回転駆動
軸89が挿入されてロータリバルブ92の駆動軸84に
連結されている。これにより、ロータリバルブ92が、
バルブ制御用モータ86によって、中心軸回りに回転駆
動制御され得るようになっている。
【0029】さらに、外筒金具12の内周面には、略全
面に亘って薄肉のシールゴム層72が設けられており、
このシールゴム層72によって、金属スリーブ16と外
筒金具12との嵌着面間が流体密にシールされるように
なっている。即ち、外筒金具12の一体加硫成形品への
組付けによって、第一のポケット部26と第二のポケッ
ト部28の開口がそれぞれ覆蓋されていると共に、オリ
フィス部材46に設けられた第一の周溝48と第二の周
溝54の開口もそれぞれ覆蓋されているのである。そし
て、第一のポケット部26が覆蓋されることにより、内
外筒金具10,12間への振動入力時に、本体ゴム弾性
体14の弾性変形に基づいて内圧変動が生ぜしめられる
受圧室74が形成されている一方、第二のポケット部2
8が覆蓋されることにより、ゴム弾性膜36の変形に基
づいて容積変化が許容される平衡室76が形成されてい
る。また、これら受圧室74と平衡室76には、それぞ
れ、所定の非圧縮性流体が封入されている。なお、かか
る封入流体としては、共振作用に基づく防振効果を有効
に得るために、例えば、水やアルキレングリコール,ポ
リアルキレングリコール,シリコーン油等の粘性率が
0.1Pa・s以下のものが好適に採用され、一体加硫
成形品に対する外筒金具12の組付けを流体中で行うこ
と等によって、流体の充填が為され得る。
【0030】また、第一の周溝48が覆蓋されることに
より、受圧室74と平衡室76を相互に連通する第一の
オリフィス通路80が形成されている一方、第二の周溝
54が覆蓋されることにより、受圧室74と平衡室76
を相互に連通する第二のオリフィス通路82が、第一の
オリフィス通路80とは独立して形成されている。ここ
において、第一のオリフィス通路80と第二のオリフィ
ス通路82は、共に受圧室74と平衡室76の間に形成
されているが、第一のオリフィス通路80の通路断面
積:A1 と通路長さ:L1 の比:A1 /L1 の値より
も、第二のオリフィス通路82の通路断面積:A2 と通
路長さ:L2 の比:A2 /L2 の値が大きく設定される
ことにより、第一のオリフィス通路80よりも第二のオ
リフィス通路82の方が高周波数域にチューニングされ
ている。
【0031】そして、これら第一のオリフィス通路80
と第二のオリフィス通路82は、それらの分岐部分に組
み込まれたロータリバルブ92の回動による切換作動に
従って、択一的に連通されるようになっている。具体的
には、図1及び図2に示されている如きロータリバルブ
92の回動位置においては、第一のオリフィス通路80
が連通状態とされて、該第一のオリフィス通路80を通
じての流体流動が許容されると共に、第二のオリフィス
通路82を通じての流体の流通が阻止されるようになっ
ている。また一方、かかる回動位置からロータリバルブ
92を180°回転することによって、第二のオリフィ
ス通路82が連通せしめられて、該第二のオリフィス通
路82を通じての流体の流動が許容されると共に、第一
のオリフィス通路80を通じての流体の流動が阻止され
るようになっている。なお、このことから明らかなよう
に、本実施形態では、ロータリバルブ92によって、第
一のオリフィス通路80と第二のオリフィス通路82を
択一的に連通するバルブ手段が構成されているのであ
る。
【0032】また、第一及び第二の周溝48,54を覆
蓋せしめて第一及び第二のオリフィス通路80,82を
形成する外筒金具12には、図1及び図3に示されてい
るように、第一の周溝48の周方向中間部分を覆蓋せし
める位置、特に本実施形態では、第一のオリフィス半割
体42の厚肉部64を抜けたところにおいて、表裏に貫
通する貫通窓106が形成されている。更にまた、第一
のオリフィス通路80を構成する第一の周溝48は、貫
通窓106が形成された部分で、溝幅が大きく広げられ
ており、第二の周溝54と略同じ溝幅を有する幅広部4
8bとされている。そして、貫通窓106は、この第一
の周溝の幅広部48bの開口部上に位置して、該幅広部
48bよりも僅かに小さな開口周縁部をもって形成され
ている。更に、外筒金具12における貫通窓106の形
成部位には、可動部材としての可動ゴム膜108が配設
されており、該可動ゴム膜108の開口周縁部が貫通窓
106の周縁部に加硫接着されることによって、貫通窓
106が可動ゴム膜108によって内面側から流体密に
覆蓋されている。これにより、第一のオリフィス通路8
0における周方向中間部分の外周側壁面が、可動ゴム膜
108によって構成されている。
【0033】なお、本実施形態では、可動ゴム膜108
は、外筒金具12の内周面に設けられたシールゴム層7
2と一体的に形成されている。また、可動ゴム膜108
は、第一のオリフィス通路80において、ロータリバル
ブ92の配設位置よりも平衡室76側に位置せしめられ
ており、ロータリバルブ92による第一のオリフィス通
路80の遮断状態下では、受圧室74の液圧変化が可動
ゴム膜108に対して直接に及ぼされることが防止され
ている。
【0034】また、可動ゴム膜108は、外筒金具12
から第一のオリフィス通路80内に、第一の周溝48の
底部までは至らない突出量をもって僅かに入り込んだ状
態で配設されており、可動ゴム膜108の外周面は、外
筒金具12の外周面よりも径方向内方に凹んだ凹部10
4が形成されている。これにより、外筒金具12が、ブ
ラケット94の装着孔98に圧入固定等で挿入されて組
み付けられた状態下でも、可動ゴム膜108の外周側
に、可動ゴム膜108の弾性変形を許容する空間99が
確保されるようになっている。
【0035】そして、第一のオリフィス通路80の壁部
の一部が、可動ゴム膜108で構成されていることによ
って、第一のオリフィス通路80を流動せしめられる流
体の圧力が可動ゴム膜108に作用することにより、可
動ゴム膜108が弾性変形して、第一のオリフィス通路
80の容積変化が、可動ゴム膜108が配設された中間
部分において許容されるようになっている。これによ
り、可動ゴム膜108の弾性変形に基づいて、第一のオ
リフィス通路80の途上における可動ゴム膜108の配
設領域と受圧室74の間においても、それらの間での圧
力差に基づく流体の繰り返し流動が生ぜしめられること
となり、第一のオリフィス通路80上のこの部分におい
て、第三のオリフィス通路100が形成されている。即
ち、第三のオリフィス通路100は、第一のオリフィス
通路80の一部を利用して、第一のオリフィス通路80
よりも小さな流路長さで形成されているのである。これ
により、第三のオリフィス通路100は、第一及び第二
のオリフィス通路80,82よりも、流路断面積:Aと
流路長さ:Lの比:A/Lの値が十分に大きく設定され
ており、以て、第一及び第二のオリフィス通路80,8
2よりも十分に高周波側にチューニングされている。
【0036】具体的には、本実施形態では、第一のオリ
フィス通路80が、その内部を流動する流体の共振作用
に基づいて、15Hz前後のシェイクに対して有効な減衰
効果を発揮するようにチューニングされていると共に、
第二のオリフィス通路82が、その内部を流動する流体
の共振作用に基づいて、30〜40Hzのアイドリング振
動に対して有効な防振効果を発揮するようにチューニン
グされており、更に第三のオリフィス通路100が、そ
の内部を流動する流体の共振作用に基づいて、80〜1
50Hz程度のこもり音に対して有効な防振効果を発揮す
るようにチューニングされている。
【0037】従って、上述の如き構造とされたエンジン
マウントにおいては、防振すべき入力振動等に応じて、
ロータリバルブ92を切り換え、第一と第二のオリフィ
ス通路80,82を択一的に連通させることによって、
第一,第二及び第三のオリフィス通路80,82,10
0が、切り換えられ、必要に応じてそれぞれ機能せしめ
られるのである。具体的には、先ず、ロータリバルブ9
2によって第二のオリフィス通路82を遮断せしめて、
第一のオリフィス通路80によって受圧室74と平衡室
76が連通された状態(図1及び図2参照)とすると、
低周波大振幅振動の入力に対しては、受圧室74と平衡
室76の圧力差に基づいてそれら両室74,76間で第
一のオリフィス通路80を流動せしめられる流体の共振
作用に基づき、減衰効果が発揮されると共に、高周波小
振幅振動の入力に際しては、受圧室74と第一のオリフ
ィス通路80中における可動ゴム膜108の配設領域と
の圧力差に基づいて、それらの間で第三のオリフィス通
路100を流動せしめられる流体の共振作用に基づき、
低動ばね効果が発揮される。なお、低周波大振幅振動の
入力に際しても、受圧室74と第一のオリフィス通路8
0中における可動ゴム膜108の配設領域との間での圧
力差に基づく第三のオリフィス通路100を通じての流
体流動が生ぜしめられるが、第一のオリフィス通路80
が防振対象とする低周波大振幅振動は、第三のオリフィ
ス通路100が対象とする高周波小振幅振動に対して、
十分に大きな振幅差(例えば、略1〜数mm程度)を有す
ることから、可動ゴム膜108が弾性的な変形剛性をも
っていることや、可動ゴム膜108の外方への膨出変形
量がブラケット94の装着孔98内面への当接で制限さ
れること等によって、第一のオリフィス通路80を通じ
ての流体流動量が十分に確保され、かかる流体の共振作
用に基づく防振効果が有効に発揮されるのである。ま
た、高周波小振幅振動の入力に際しては、第三のオリフ
ィス通路100が、第一のオリフィス通路80における
受圧室74側端部から所定長さに亘る部分を利用して形
成されていることから、第三のオリフィス通路100を
通じての流体流動量が十分に確保されて、流体の共振作
用に基づく有効な防振効果が発揮されるのである。
【0038】一方、ロータリバルブ92によって第一の
オリフィス通路80を遮断せしめて、第二のオリフィス
通路82によって受圧室74と平衡室76が連通された
状態とすると、中周波中振幅振動の入力に対して、受圧
室74と平衡室76の圧力差に基づいてそれら両室7
4,76間で第二のオリフィス通路82を流動せしめら
れる流体の共振作用に基づき、低動ばね効果が発揮され
る。その際、第三のオリフィス通路100も、第一のオ
リフィス通路80と共に、ロータリバルブ92によって
遮断されていることから、第三のオリフィス通路100
を通じての流体の逃げが防止され、第二のオリフィス通
路82を通じての流体流動量が有利に確保され得るので
あり、以て、第二のオリフィス通路82を通じての流体
の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮されるのであ
る。
【0039】それ故、上述の如きエンジンマウントにあ
っては、車両の走行状態に応じてロータリバルブ92を
操作し、車両走行時には、第二のオリフィス通路82を
遮断して第一のオリフィス通路80を連通する一方、車
両停車時には、第一のオリフィス通路80を遮断して第
二のオリフィス通路82を連通することにより、車両走
行時に入力されるシェイクやこもり音に対して、何れ
も、流体の流動作用に基づく有効な防振効果を得ること
が出来ると共に、車両停車時に入力されるアイドリング
振動に対しても、流体の流動作用に基づく有効な防振効
果を得ることが出来るのである。そして、特に、周波数
的および振幅的にシェイク振動(低周波振動)とこもり
音(高周波振動)の中間に位置するアイドリング振動
(中周波振動)に対しては、防振を目的とするアイドリ
ング振動が、たとえ周波数的および振幅的にシェイク振
動またはこもり音に近くても、シェイク振動にチューニ
ングされた第一のオリフィス通路80やこもり音にチュ
ーニングされた第三のオリフィス通路100による悪影
響を受けることなく、第二のオリフィス通路82を通じ
て流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果を
有利に得ることが出来るのである。
【0040】以上、本発明の一実施形態について詳述し
てきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、
かかる具体的な記載によって限定的に解釈されるもので
はない。
【0041】例えば、第一,第二,第三のオリフィス通
路80,82,100の断面積や長さ等の具体的形態や
構造、或いはチューニング周波数等は、要求される防振
特性等に応じて適宜に変更されるものであって、限定的
に解釈されるものでは決してない。具体的には、防振す
べき高周波振動の周波数域等に応じて、可動ゴム膜10
8の配設位置を、第一のオリフィス通路80上におい
て、より平衡室76側に移動させて設けることも可能で
ある。
【0042】さらに、第一のオリフィス通路80と第二
のオリフィス通路82を択一的に連通せしめるバルブ手
段としても、例示の如きロータリバルブ92の他、スラ
イド構造のバルブやバタフライ構造のバルブなどを採用
することも可能であり、更に、マウントの装着構造等を
考慮して、バルブの駆動軸をマウント軸方向に突出させ
ることも可能である。
【0043】また、第一のオリフィス通路80上におい
て、可撓性膜としての可動ゴム膜108を、複数形成す
ることも可能であり、その際、可動ゴム膜の変形ばね剛
性を異ならせること等によって、防振特性をチューニン
グすることも可能である。
【0044】更にまた、第一のオリフィス通路80上に
配されて、変形乃至は変位によって容積変化を許容する
可動部材の具体的構造は、前記実施形態のものに限定さ
れるものでなく、例えば、可動部材としての可動ゴム膜
108をシールゴム層72と別体形成すること等が可能
であることは勿論、第一のオリフィス通路80を構成す
る第一の周溝48の底壁部に対して、平衡室76に貫通
する貫通孔を形成し、この貫通孔を塞ぐようにして、可
動ゴム膜や可動板等からなる可動部材を配設することに
よって可動部材を構成すること等も可能である。或いは
また、第一のオリフィス通路を、本体ゴム弾性体に形成
された溝や孔等を利用して形成する場合には、第一のオ
リフィス通路の壁部を構成する本体ゴム弾性体の一部を
薄肉化すること等によって、可動部材を構成することも
可能である。
【0045】また、本発明に従う構造とされた防振装置
において、更に、第一のオリフィス通路よりも低周波数
域にチューニングされたオリフィス通路や、第三のオリ
フィス通路よりも高周波数域にチューニングされたオリ
フィス通路を設けることも可能である。なお、第一のオ
リフィス通路よりも低周波数域にチューニングされたオ
リフィス通路は、受圧室と平衡室の間で、常時、連通状
態にあっても良いが、第三のオリフィス通路よりも高周
波数域にチューニングされたオリフィス通路には、それ
を連通/遮断する手段や、それを通じての流体流動量を
制限する手段等を設けることが望ましい。
【0046】或いは、例えばロータリバルブ92におけ
る連通窓88の開口幅を、周方向に1/2周より小さく
し、ロータリバルブ92の回転角度を調節することによ
って、第一のオリフィス通路80,第二のオリフィス通
路82或いは第三のオリフィス通路100のロータリバ
ルブ92による連通面積(開口面積)を制御すること等
も可能である。
【0047】加えて、前記実施例では、本発明を自動車
用エンジンマウントに適用したものの具体例を示した
が、本発明は、その他、自動車用デフマウントやボデー
マウント,メンバマウント,サスペンションブッシュ、
或いは自動車以外の各種の流体封入式防振装置に対し
て、何れも、有利に適用され得るものである。
【0048】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて、種々なる変更,修正,改良を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、
何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、
言うまでもないところである。
【0049】
【発明の効果】上述の説明から明らかなように、本発明
に従う構造とされた流体封入式防振装置においては、第
一のオリフィス通路と第二のオリフィス通路を択一的に
連通するバルブ手段によって、第三のオリフィス通路
も、第一のオリフィス通路と共に連通/遮断されるので
あり、第二のオリフィス通路が連通された状態下では、
第一のオリフィス通路と第三のオリフィス通路が何れも
遮断されることから、たとえ第二のオリフィス通路に対
して、第一のオリフィス通路や第三のオリフィス通路に
近いチューニングが施されていても、第一のオリフィス
通路および第三のオリフィス通路を通じての流体流動作
用に基づく防振効果と、第二のオリフィス通路を通じて
の流体流動作用に基づく防振効果が、何れも、有効に発
揮され得る。
【0050】しかも、第三のオリフィス通路が、第一の
オリフィス通路の一部を利用して形成されることに加え
て、第一〜三のオリフィス通路を選択的に作用せしめる
バルブ手段が、第一のオリフィス通路と第二のオリフィ
ス通路を択一的に連通する一つのバルブによって構成さ
れることから、防振装置の構造の簡略化や小型化も容易
に実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態としての自動車用エンジン
マウントを示す横断面図である。
【図2】図1におけるII−II断面図である。
【図3】図1におけるIII −III 断面図である。
【図4】図1に示されたエンジンマウントを構成する第
一のオリフィス半割体を示す平面図である。
【図5】図1に示されたエンジンマウントを構成する第
二のオリフィス半割体を示す底面図である。
【図6】図1に示された自動車用エンジンマウントを構
成するロータリバルブを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 内筒金具 12 外筒金具 14 本体ゴム弾性体 36 ゴム弾性膜 74 受圧室 76 平衡室 80 第一のオリフィス通路 82 第二のオリフィス通路 92 ロータリバルブ 100 第三のオリフィス通路 108 可動ゴム膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 波多野 基博 愛知県小牧市大字北外山字哥津3600番地 東海ゴム工業株式会社内 Fターム(参考) 3D035 CA05 CA34 3J047 AA05 CA12 CB05 CB09 FA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 防振連結されるそれぞれの部材に取り付
    けられる第一の取付部材および第二の取付部材と、 それら第一の取付部材と第二の取付部材を弾性的に連結
    する本体ゴム弾性体と、 該本体ゴム弾性体によって壁部の一部が構成されて、振
    動入力時に該本体ゴム弾性体の変形に基づいて圧力変化
    が生ぜしめられる受圧室と、 壁部の一部が可撓性膜で構成されて容積変化が許容され
    る少なくとも一つの平衡室と、 前記受圧室および前記平衡室に、それぞれ封入された非
    圧縮性流体と、 前記受圧室を前記平衡室に連通せしめる第一のオリフィ
    ス通路と、 前記受圧室を前記平衡室に連通せしめる、該第一のオリ
    フィス通路よりも高周波数域にチューニングされた第二
    のオリフィス通路と、 前記第一のオリフィス通路上の中間部分に配されて、該
    第一のオリフィス通路内の圧力変化によって変形乃至は
    変位せしめられることにより、該第一のオリフィス通路
    内の容積変化を許容せしめて、該第一のオリフィス通路
    内で、前記第二のオリフィス通路よりも高周波数域にチ
    ューニングされた第三のオリフィス通路を、前記受圧室
    との間に形成する可動部材と、 前記第一のオリフィス通路と前記第二のオリフィス通路
    を択一的に連通せしめるものであって、該第二のオリフ
    ィス通路を連通させる際に、該第一のオリフィス通路
    を、前記可動部材よりも前記受圧室側で遮断するバルブ
    手段とを、含んで構成されていることを特徴とする流体
    封入式防振装置。
  2. 【請求項2】 前記可動部材によって、前記第一のオリ
    フィス通路の周壁部の一部が構成されている請求項1に
    記載の流体封入式防振装置。
  3. 【請求項3】 前記第一のオリフィス通路と前記第二の
    オリフィス通路が、同じ平衡室に連通せしめられている
    請求項1又は2に記載の流体封入式防振装置。
  4. 【請求項4】 前記可動部材の変形乃至は変位量を制限
    する可動量制限機構が設けられている請求項1乃至3の
    何れかに記載の流体封入式防振装置。
  5. 【請求項5】 前記第一の取付部材と前記第二の取付部
    材が、互いに径方向に離間して配設された軸部材と外筒
    部材によって構成されていると共に、前記受圧室および
    平衡室が、それら軸部材と外筒部材の間において、周方
    向に互いに離隔して形成されている一方、前記第一のオ
    リフィス通路が、該外筒部材の内周面に沿って設けられ
    ており、該外筒部材を貫通して該第一のオリフィス通路
    上に開口する貫通窓を、該外筒部材の内周面を覆うシー
    ルゴム層と一体的に形成された可動ゴム膜で覆うことに
    より、前記可動部材が構成されている請求項1乃至4の
    何れかに記載の流体封入式防振装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2010078103A (ja) * 2008-09-29 2010-04-08 Tokai Rubber Ind Ltd 流体封入式筒形防振装置

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