JP2000001799A - 金型の電解洗浄用組成物および該電解洗浄用組成物を用いた金型洗浄装置 - Google Patents

金型の電解洗浄用組成物および該電解洗浄用組成物を用いた金型洗浄装置

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JP2000001799A
JP2000001799A JP10169694A JP16969498A JP2000001799A JP 2000001799 A JP2000001799 A JP 2000001799A JP 10169694 A JP10169694 A JP 10169694A JP 16969498 A JP16969498 A JP 16969498A JP 2000001799 A JP2000001799 A JP 2000001799A
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electrolytic cleaning
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Kazumi Tomita
和巳 冨田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂成形用金型の電解洗浄に用いる洗浄
液を改質する。 【解決手段】 水に、少なくとも、イミノジ酢酸、コハ
ク酸系化合物あるいは/およびアスパラギン酢系化合物
と、水酸化ナトリウムを含有している。さらに、生分解
性を有する天然の界面活性剤を含有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、合成樹脂成形金型の洗
浄装置に用いる電解洗浄用組成物(即ち、洗浄液)およ
び該洗浄用組成物を用いる金型洗浄装置に関し、詳しく
は、金型の樹脂成形面等に付着する樹脂カスやガス焼け
等の付着物を短時間で確実に除去することが出来るよう
にした金型洗浄装置および該洗浄装置に用いる洗浄水に
おいて洗浄効果を向上させるものである。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂用金型は、樹脂製品の成形量に
伴ってその内面に樹脂カスや、ガスによる焼け跡等の付
着物が付着し、これらの付着物は、後に樹脂成形する製
品の離型を悪くして、成形不良につながる等の不都合が
生じる。具体的には、例えば、250℃の高温で平方セ
ンチ当たり2トンの圧力を加えて何千、何万回と成形が
繰り返されるうちに、金型より成形品をスムーズに取り
出すために使用されている離型剤や、樹脂の可塑剤、成
形中に発生するガス、焼き付いた樹脂がミクロン単位で
樹脂カスとして金型表面に堆積する。
【0003】特に、成形中に高温で溶かされた樹脂から
発生するガスは塩素を含み、金型表面を汚すだけでな
く、金型表面にガス焼けと称される腐食を発生させる。
この金型を腐食するガス焼けは、ガスが鋼からなる金型
の金属組織の隙間に侵入して金属を腐食し破壊すること
により発生する。よって、金型洗浄において、金型表面
に付着した汚れを除くだけでは除去されず、ガス焼けが
原因の金型の腐食箇所は肉盛り溶接等で補修復元しなけ
ればならない。しかしながら、この溶接による補修を行
った場合、溶接による熱が原因で補修箇所の周辺にひけ
や歪みが発生するリスクがある。
【0004】この種の成形金型用の洗浄装置として、例
えば、特開平7−214570号において、図3および
図4に示す電解洗浄と超音波洗浄とを併用して行う金型
洗浄装置が提供されている。図3および図4中におい
て、1は洗浄槽、2は洗浄槽内に着脱自在に挿入する金
型保持カゴ、3は洗浄槽内に吊り下げるプラス側電極で
あり、マイナス極側となる上記金型保持カゴ2内に保持
された金型5との間に電流を流すと共に、洗浄槽1の底
面に取り付けた超音波振動子4により洗浄槽内の電解洗
浄液を超音波振動を発生させている。この電解洗浄方式
と超音波振動方式とを併用した洗浄装置においては、電
解により発生する水素ガスの撹拌と超音波振動とで金型
表面から汚れを取り除いている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記した金型洗浄装置
は電解洗浄と超音波洗浄とを併用しているため、極めて
効率良く短時間で金型の付着物を除去でき、洗浄効果が
優れた利点を有するものである。しかしながら、上記金
型洗浄装置を用いても、ガス焼けにより金型の金属組織
に入り込んだ腐食性物質を完全に取り除くことは容易で
はなかった。
【0006】また、金型に付着する樹脂カスは、樹脂の
種類により除去に難易があり、ABS樹脂等は比較的除
去しやすいが、耐熱性および耐摩耗性を有するエンジニ
アリングプラスチックに使用するポリアセタール等は極
めて除去しにくく、また、天然ゴムの成形により金型付
着したカスは最も除去しにくい。よって、これら容易に
除去できない樹脂カスあるいはゴムカスが、金型の複雑
に入り込んだ形状部分、例えば、直径5mm、深さ20
mmのような細く深い穴の底部に付着した場合、電流が
殆ど届かず水素ガスの発生がないため、電解洗浄と超音
波洗浄とを併用しても完全に除去することは困難であっ
た。
【0007】よって、上記のように非常に除去しない付
着物は、水に水酸化ナトリウム200g/リットルで混
合した洗浄液を作成し、100℃の高温で洗浄液を煮沸
して洗浄槽に供給し、該洗浄槽に金型を所要時間浸漬
し、その後、洗浄槽から引き上げ、作業員が汚れた部分
を擦って付着物を除去する作業が行われている。
【0008】しかしながら、水酸化ナトリウムは50g
/リットル以上で劇薬扱いになり、危険であるため作業
員は完全防備の装束で作業しているが、それでも安全性
および作業環境上で非常に問題であった。
【0009】本出願人が、上記直径5mm、深さ20m
mの窪み底面に付着したポリアセタール樹脂の除去を、
従来用いているアルカリ溶液の洗浄液と同一の洗浄液を
用い、実験条件を下記〜に記載した5種類変えて行
った。その結果、いずれも上記樹脂を除去することはで
きなかった。
【0010】使用した洗浄液は、水酸化ナトリウム45
g/リットル、EDTA2ナトリウム塩50g/リット
ル、グルコンナトリウム20g/リットルと、界面活性
剤としてノニルフェニルエーテルを含んでいる。実験条
件は、洗浄液は常温とし、5Vで電解洗浄した(電解
洗浄のみ)、洗浄液は60℃に加温し、5Vで電解洗
浄した(電解洗浄のみ)、洗浄液は常温で超音波洗浄
した(超音波洗浄のみ)、洗浄液は60℃に加温し超
音波洗浄した(超音波洗浄のみ)、洗浄液を60℃に
加温し、5Vの電解洗浄と超音波洗浄とを併用した。
【0011】また、上記した従来の洗浄液でキレート剤
として用いられているEDTA2または4は生分解性能
がないため環境上問題がある。同様に、従来用いられて
いる石油系の芳香族からなる界面活性剤も生分解性能が
ないため環境上問題がある。
【0012】さらにまた、強アルカリ性の洗浄液を用い
て、長時間の間、60〜80℃の高温で電解洗浄あるい
は/および超音波洗浄すると、茶色いアルカリ焼けと称
する染みが鋼からなる金型の表面を覆う現象が発生す
る。この染みはふき取ること等により簡単に取り除くこ
とができない。よって、酸化アルミやダイアモンドペー
スト等でアルカリ焼けした金型表面を研磨して除去して
いるが、研磨すると金型の寸法変化が起こる問題があ
る。
【0013】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、洗浄液(洗浄用組成物)を改質して、洗浄力が強
く、かつ、環境上で問題のない生分解性能を付与し、し
かも、アルカリ焼けが発生しない洗浄液を提供すること
を課題としている。さらに、該洗浄液を好適に用いられ
る金型洗浄装置を提供することを課題としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明は、まず、合成樹脂成形用金型の電解洗浄液
として洗浄槽内に供給される組成物として、水に、イミ
ノジ酢酸、コハク酸系化合物、アルパラギン酸系化合物
の少なくとも1種と、水酸化ナトリウムを含有している
金型の電解洗浄用組成物を提供している。
【0015】即ち、従来キレート剤として用いられてい
たEDTA2または4に代えて、イミノジ酢酸、コハク
酸系化合物、アスパラギン酸系化合物を用いている。こ
れらは生分解性能があり、かつ、EDTAでは有しなか
った高温時でのアルカリ焼けを防止する作用も有する。
さらに、電解洗浄時において、マイナス極側にセットす
る金型に金属イオンが付着しにくくする作用を有すると
共に、洗浄液中に浮遊する鉄イオンが金型表面に付着す
る所謂鉄メッキ現象の発生を防止することもできる。イ
ミノジ酢酸を用いる場合は、2−ヒドロキシエチルイミ
ノジ酢酸が最も好適に用いられる。
【0016】上記洗浄用組成物には、さらに、生分解性
を有する天然の界面活性剤を含有させている。上記界面
活性剤としては、ジメチルラウリルアミンオキシド等の
ヤシ油系界面活性剤が好適に用いられる。なお、必ずし
も界面活性剤は天然の界面活性剤のみに限定されず、石
油系の界面活性剤を混合して、あるいは単体で用いても
よい。
【0017】上記界面活性剤は金型から除去されて洗浄
液中に混じる樹脂カス等の汚れが再度金型表面に付着す
るのを防止する。また、界面活性剤を用いると洗浄液に
細かい泡立ちを発生し、洗浄中に発生する電解ガスを泡
で包みこむ。よって、電解ガスの発生により洗浄液がミ
ストなって周囲に飛散するのを防止する。さらに、この
ヤシ油系界面活性剤は洗浄力も強く、洗浄効果を高める
ことができる。
【0018】例えば、洗浄用組成物は、水酸化ナトリウ
ムは10g〜300g/リットル、イミノジ酢酸は10
g〜300g/リットル、生分解性を有する天然の界面
活性剤は0.1cc〜100cc/リットルを含有させ
ていることが好ましい。なお、イミノジ酢酸に代えて、
上記コハク酸系化合物、アスパラギン酸系化合物を用い
てもよいし、これらを2種あるいは3種混合してもよ
い。
【0019】上記水酸化ナトリウムの含有量を多くする
と洗浄力が高まるが、300gを越えると飽和して溶け
なくなる問題ある。10g/リットル未満では洗浄力が
少な過ぎる。なお、水酸化ナトリウムは50g/リット
ルを越えると劇物扱いとなるため、49g/リットル〜
30g/リットルが好適である。また、イミノジ酢酸
(あるいは/およびコハク酸系化合物、アスパラギン酸
系化合物)は10g未満では所要のキレート効果を発生
させることができず、また、300g/リットルを越え
ると有機物であるため排水中にBOD、CODが増大し
て環境汚染を発生させる問題がある。このイミノジ酢酸
は50g〜150g/リットルが好適である。また、生
分解性能を有するヤシ油系界面活性剤は0.1cc未満
であると、金型から除去されて洗浄液中に混入する樹脂
カス等が金型の再付着するのを防止する作用が殆どなく
なると共にミストを泡て包み込む作用もなくなる。一
方、100ccを越えると泡が大量に発生して、洗浄槽
からあふれ出る問題がある。この界面活性剤は、0.5
cc〜2cc/リットルが好適である。
【0020】さらに、洗浄用組成物(洗浄液)には、グ
ルコン酸ナトリウムを5g〜100g/リットル、好ま
しくは、10g〜30g/リットルを含有している。こ
のグルコン酸ナトリウムは洗浄助剤として用いられ、5
g未満であると助剤の効果がなく、100gを越えると
BOD、CODが増大して環境汚染を発生する問題があ
る。
【0021】さらに、上記洗浄液は、その成分比を適宜
に選択することにより、表面張力を30〜35dynと
小さくしている。この範囲に表面張力を設定すると、浸
透性が良好となり、金型の金属組織の隙間に浸透し、金
属組織に入り込んでいる樹脂カスを取り除くことができ
る。なお、表面張力が30dyn未満の洗浄液は、所要
の洗浄力を保持しながら作成することは困難であり、3
5dynを越えると浸透性が小さくなり金属組織に洗浄
水が入り込みにくくなる。
【0022】さらに、上記洗浄液は、その成分比を適宜
に選択することにより、液導電率を150〜250mS
/cmとしている。このように導電率を高くすると、電
圧を低くしても、洗浄液中の電流値を大きくでき、電解
洗浄効果を高めることができる。なお、水酸化ナトリウ
ムの含有量を増加すると導電率を高くすることが可能で
あるが、250mS/cmより大きくするには大量の水
酸化ナトリウムを混入する必要があり、作業員の危険性
が増加する問題がある。一方、150mS/cmより低
くすると電流が流れにくくなり、その結果、水素ガスの
発生量が減少して洗浄力が落ちる問題がある。なお、純
水の液導電率は0.1μS/cm以下であることより、
本発明で用いる洗浄液の導電率を非常に高くしている。
【0023】本発明は、また、電解洗浄液を収容する洗
浄槽内に被洗浄物である合成樹脂成形用金型を浸漬し、
該金型と洗浄槽内に浸漬した電極とに電流を供給して電
解洗浄を行う金型洗浄装置において、上記電解洗浄液と
して請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の電解
洗浄用組成物を用いていることを特徴とする金型洗浄装
置を提供している。
【0024】上記電解洗浄液に超音波振動を与える超音
波発生装置を付設することが好ましい。しかしながら、
洗浄液の洗浄効果が高いため、電解洗浄のみでも可成な
洗浄効果が得られる。
【0025】上記金型洗浄装置には、電解洗浄液を10
℃〜80℃に加熱する手段を備えている。電解洗浄液の
温度は高い方が洗浄力を高めることができるが、80℃
を越えるとアルカリ焼けを発生する。一方、10℃未満
では洗浄力が弱い問題がある。好ましくは、50℃〜6
0℃の範囲である。本発明者が実験した結果によると、
洗浄液を60℃として、電解洗浄と超音波洗浄を併用す
ることが最もこのましく、その場合には、前記直径5m
m,深さ20mmの細く深い底に付着した樹脂カスを除
去することができた。
【0026】上記のように、洗浄液の導電率を高めてい
るため、例えば、電極に3ボルト〜10ボルトの電圧を
かけて、洗浄液中の電流値を3アンペア〜30アンペア
とすることができる。この電圧と電流の関係は電極の大
きさによって可変するが、洗浄液の導電率を高めている
ため、低い電圧で電流値を大として洗浄力を高めること
ができる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図面に示す実施形
態を参照して詳細に説明する。図1および図2は本発明
の実施形態で用いる電解洗浄と超音波洗浄とを併用した
金型洗浄装置の概略図である。
【0028】洗浄槽10には洗浄液(洗浄用組成物)1
1を管13を通してポンプ12で循環させている。上記
ポンプ12の上流側ではフィルタを備えた浄化槽9を介
設している。上記洗浄槽10の側壁上面には電源のプラ
ス側と接続した給電板14を取り付け、該給電板14と
両端を接続させた導電性支軸15を洗浄槽10の上面に
軸架し、該導電性支軸15に間隔をあけて電極板16を
吊設している。一方、洗浄槽10の他側壁上面に電源の
マイナス側と接続した給電板17を取り付け、該給電板
17の上面に導電性の金型保持カゴ18の支持腕19を
載置して、被洗浄の樹脂成形用金型20を搭載した金型
保持カゴ18を洗浄槽10内に着脱自在に吊り下げるよ
うにしている。
【0029】また、上記洗浄槽10の底面には超音波を
発生する振動子21を取り付けていると共に、洗浄槽1
0の外周面にヒータ22を巻き付けて、洗浄槽10内に
供給する洗浄液11の温度を所要温度に制御できるよう
にしている。なお、超音波発生装置を別体として洗浄槽
10内に投入してもよいし、洗浄槽の側壁に取り付けて
もよい。
【0030】なお、金型洗浄装置は上記構成に限定され
ず、電解洗浄を行うための電極と金型保持手段とを夫々
電源のプラス側とマイナス側に接続し、かつ、洗浄液を
所要温度に制御する加熱手段を備えていればよい。ま
た、超音波振動を発生させる手段は必ずしも設ける必要
はないが、電解洗浄に超音波洗浄を併用した方が洗浄効
果を高めることができるため、超音波振動発生手段を付
設した方が好ましい。
【0031】上記洗浄槽10に供給する洗浄液11は、
本実施形態では、水に、水酸化ナトリウム(NaOH)
45g/リットル、2−ヒドロキシエチルイミノジ酢酸
(C6116N)100g/リットル、生分解性を有す
る天然の界面活性剤からなるジメチルラウリルアミンオ
キシド(C1225(CH32NO)1cc/リットル、
グルコン酸ナトリウム(C6117Na)20g/リッ
トルを混合している。
【0032】上記洗浄液11は表面張力を34dynと
低くして、浸透性を良好とし、金型の金属組織へ浸透で
きるようにしている。また、液導電率を192mS/c
mとして高くし、電極板16へ印加する電圧を低電圧と
しても、洗浄液11内でマイナス側の金型20へ流れる
電流値を大として、金型20の表面で発生する水素ガス
の量が多くなるようにしている。
【0033】具体的には、洗浄槽10内に吊り下げる電
極板16は6個として、その下端の円盤部16aの直径
を26mmとし、マイナス側の電極となる金型保持カゴ
18の底面積を100mm×215mmとし、極間距離
30mmとした場合、電極板16に印加する電圧と洗浄
液11を流れる電流値の関係は下記の表1に示す通りで
あった。なお、この時の洗浄液11の温度は18℃であ
った。
【0034】
【表1】 電圧 電流 3V 3.8A 5V 11.0A 8V 21.0A 10V 31.0A
【0035】上記洗浄液11を用い、その温度を60℃
とし、洗浄槽10内に金型保持カゴ19で合成樹脂成形
用金型20を搭載し、電極板16に5Vの電圧を印加し
て洗浄した。この洗浄時、超音波発生用の振動子21に
より25〜45kHzの周波数で振動を発生させた。こ
の電解洗浄と超音波洗浄とを併用した洗浄を10分間お
こなった。上記洗浄の結果、金型20に設けられている
直径5mm、深さ20mmの底面に付着していた樹脂カ
スを完全に除去することができた。
【0036】また、洗浄後の金型20を電子顕微鏡で観
察した結果、金属組織の隙間に入り込んだ樹脂は存在し
ていなかった。よって、ガス焼けと称される腐食の発生
を予防でき、その結果、ガス焼けが発生した場合に必要
とされた肉盛り溶接による補修が不要となることが確認
できた。
【0037】上記超音波振動子21の作動を停止して、
上記と同一条件下で、電解洗浄のみを行った場合も、上
記直径5mm、深さ20mmの底面に付着した樹脂カス
をほぼ完全に除去できた。なお、前記した従来の洗浄液
を用いて実験した〜の場合と比較して、本発明の洗
浄液を用いた場合、電解洗浄のみ、電解洗浄と超音波洗
浄との併用のいずれも場合も、短時間で優れた洗浄作用
が得られた。
【0038】また、いずれの場合も、キレート剤とし
て、従来用いられていたEDTA2あるいは4に代え
て、アルカリ焼けを防止するイミノジ酢酸を用いたた
め、長時間60℃の洗浄液中に浸漬しても、アルカリ焼
けは発生していなかった。なお、イミノジ酢酸に代え
て、コハク酸系化合物、アスパラギン酸系化合物を使用
した場合も、イミノジ酢酸を用いた場合と同様に、アル
カリ焼けは発生しなかった。
【0039】上記アルカリ焼けについて、60℃とした
洗浄液11中に、金型20を8時間浸漬して実験した結
果においても、金型表面に茶色い染みとなって発生する
アルカリ焼けは発生していなかった。
【0040】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、本発明
によれば、洗浄液(洗浄用組成物)として、水に、少な
くとも水酸化ナトリウムに、イミノジ酢酸、コハク酸系
化合物、あるいは/およびアスパラギン酢系化合物を混
合し、従来用いていたEDTA2あるいは4に代えてイ
ミノジ酢酸、コハク酢系化合物あるいは/およびアスパ
ラギン酢系化合物を用いているため、EDTA2あるい
は4を用いて洗浄液の温度を上げると発生したアルカリ
焼けの発生を防止できる。よって、EDTA2あるいは
4を用いる場合より洗浄液の温度を上げることができ、
この点からも洗浄力を高めることができる。かつ、洗浄
液の排水中に含まれるBOD、CODを減少でき、環境
上好ましいものとすることができる。
【0041】特に、水酸化ナトリウムの混合量を50g
/リットル未満としても、細く長い窪みの底面に付着し
た樹脂カス等を除去できる。このように、洗浄力が強い
ため、劇物扱いとなる50g/リットル以上の水酸化ナ
トリウムを混合する必要がなくなり、作業上の安全性に
寄与することができる。
【0042】さらに、界面活性剤として生分解性を有す
るヤシ油系界面活性剤を用いているため、廃液による公
害問題を発生させず、環境に優しい洗浄液とすることが
できる。
【0043】さらに、洗浄液の表面張力を小さく設定し
ているため、浸透性が高く、よって、金型の金属組織の
隙間に浸入して、該隙間に食い込んでいる樹脂カス等を
除去でき、いわゆるガス焼けの発生を低減できる。
【0044】さらにまた、洗浄液の導電率を高めている
ため、低い電圧を印加しても、洗浄液中の電流値を高め
て、金型表面に発生する水素ガス量を増加でき、電解洗
浄力を強めることができる等の種々の利点を有するもの
である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の金型洗浄装置の概略断面図である。
【図2】 図1の概略平面図である。
【図3】 従来の金型洗浄装置の斜視図である。
【図4】 図3の要部断面図である。
【符号の説明】
10 洗浄槽 11 洗浄液 16 電極板 18 金型保持カゴ 20 金型 21 超音波発生用の振動子 22 ヒータ

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂成形用金型の電解洗浄液として
    洗浄槽内に供給される組成物であって、 水に、イミノジ酢酸、コハク酸系化合物、アルパラギン
    酸系化合物の少なくとも1種と、水酸化ナトリウムを含
    有している金型の電解洗浄用組成物。
  2. 【請求項2】 生分解性を有する天然の界面活性剤を含
    有している請求項1に記載の金型の電解洗浄用組成物。
  3. 【請求項3】 上記水酸化ナトリウムを10g〜300
    g/リットル、イミノジ酢酸を10g〜300g/リッ
    トル、生分解性を有する天然の界面活性剤を0.1cc
    〜100cc/リットルを含有している請求項1または
    請求項2に記載の金型の電解洗浄用組成物。
  4. 【請求項4】 上記イミノジ酢酸として2−ヒドロキシ
    エチルイミノジ酢酸を用い、上記界面活性剤としてジメ
    チルラウリルアミンオキシド等のヤシ油系界面活性剤を
    用いている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載
    の金型の電解洗浄用組成物。
  5. 【請求項5】 グルコン酸ナトリウムを5g〜100g
    /リットルを含有する請求項1乃至請求項4のいずれか
    1項に記載の金型の電解洗浄液用組成物。
  6. 【請求項6】 上記水酸化ナトリウムを30g〜49g
    /リットル、上記イミノジ酢酸を50g〜150g/リ
    ットル、上記界面活性剤を0.5cc〜2cc/リット
    ル、上記グルコン酸ナトリウムを10g〜30g/リッ
    トルとしている請求項1乃至請求項5のいずれか1項に
    記載の電解洗浄用組成物。
  7. 【請求項7】 表面張力が30〜35dynである請求
    項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の電解洗浄用組
    成物。
  8. 【請求項8】 液導電率が150mS/cm〜250m
    S/cmである請求項1乃至請求項7のいずれか1項に
    記載の電解洗浄用組成物。
  9. 【請求項9】 電解洗浄液を収容する洗浄槽内に被洗浄
    物である合成樹脂成形用金型を浸漬し、該金型と洗浄槽
    内に浸漬した電極とに電流を供給して電解洗浄を行う金
    型洗浄装置において、 上記電解洗浄液として請求項1乃至請求項8のいずれか
    1項に記載の電解洗浄用組成物を用いていることを特徴
    とする金型洗浄装置。
  10. 【請求項10】 上記電解洗浄液に超音波振動を与える
    超音波発生装置を設けている請求項9に記載の金型洗浄
    装置。
  11. 【請求項11】 上記電解洗浄液を10℃〜80℃に加
    熱する手段を備えている請求項9または請求項10に記
    載の金型洗浄装置。
JP10169694A 1998-06-17 1998-06-17 金型の電解洗浄用組成物および該電解洗浄用組成物を用いた金型洗浄装置 Pending JP2000001799A (ja)

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