JP2000001604A - ポリエステル樹脂組成物及び成型物の製造法 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物及び成型物の製造法

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JP2000001604A JP17008998A JP17008998A JP2000001604A JP 2000001604 A JP2000001604 A JP 2000001604A JP 17008998 A JP17008998 A JP 17008998A JP 17008998 A JP17008998 A JP 17008998A JP 2000001604 A JP2000001604 A JP 2000001604A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明が解決しようとする課題は、ポリカー
ボネートの透明性を損なわずに、ポリカーボネートの耐
熱性、表面硬度を改良したポリエステル樹脂組成物及び
該組成物から成る成型物の製造法を提供することにあ
る。 【解決手段】 ジカルボン酸成分として、イソフタル酸
単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジ
オール成分として、3,3’,5,5’−テトラメチル
−4,4’−ビフェノール単位(A3)と、1,1’−
ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)とを含
む芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)
とから成るポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は透明性と表面硬度に
優れ、耐熱性と耐摩耗性が改良された樹脂組成物に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート(PC)は耐衝撃性に
優れ、高い破断伸度を有する透明樹脂として知られてお
り、光学材料、電子・電気材料、記録材料などとして広
く用いられている。しかし、高い破断伸度を有する反
面、表面硬度が小さく(鉛筆硬度で3B〜B)、傷つき
やすいという欠点がある。更に、ガラス転移温度は15
0℃程度であり、より高い耐熱性が求められている。
【0003】また、フィルムやバインダー用樹脂などの
用途では、より高い耐摩耗性が求められており、ガラス
繊維やシリカ粒子などの無機物を充填して、表面硬度、
耐熱性、耐摩耗性を向上させる方法が検討されている
が、この方法ではポリカーボネートの最も重要な性質で
ある透明性が損なわれるという欠点がある。
【0004】ポリカーボネートと各種ポリマーとをブレ
ンドする試みは広く行われている。しかし、その多くは
ポリカーボネートの優れた耐衝撃性や靱性を他ポリマー
に付与することを目的としたもの(例えば、ポリカーボ
ネートとABS樹脂系、ポリカーボネートとポリフェニ
レンスルフィド系など)やポリカーボネートの耐薬品性
を向上させることを目的としたもの(例えば、ポリカー
ボネートとポリエチレンテレフタレート系、ポリカーボ
ネートとポリブチレンテレフタレート系など)であり、
ポリカーボネートの耐熱性を向上させる発明は多くな
い。
【0005】ポリカーボネートとポリアリレートとのブ
レンドは溶融混練時のエステル交換により相溶ブレンド
系となり、ブレンド組成を変化させることによって、ポ
リカーボネートのTg(150℃)からポリアリレート
のTg(200℃)の範囲でポリカーボネートの耐熱性
が改良されることが知られている(プラステックス、4
9巻、(1)98頁、1998年)。しかし、ポリアリ
レートの表面硬度は鉛筆硬度でFと低く、この方法では
表面硬度は十分に改良されなかった。
【0006】また、特開平3−124763号公報に
は、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノール
FとビスフェノールAを構成成分とする芳香族ポリエス
テルとポリカーボネートとの光学的等方性に優れた樹脂
組成物フィルムについて開示されている。この芳香族ポ
リエステルの市販品に該当するエルメック(A1F、鐘
淵化学工業株式会社製)の表面硬度はF(カタログ値)
であって、ポリカーボネート(ユーピロン S200
0、三菱瓦斯化学株式会社製)とのブレンドフィルム
(混合重量比=1/1)を作成したところ、表面硬度は
HBであり十分なものではない。
【0007】特開平7−31003号公報には熱変形温
度、成型加工性向上のために、特定の構造を有する共重
合ポリエステルとポリカーボネートとの樹脂組成物が開
示されており、該樹脂組成物は既存のポリカーボネート
より高い耐熱性を有することが報告されている。しか
し、その熱変形温度は170℃であり、用途によって
は、なお十分なものとは言えなかった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、ポリカーボネートの透明性を損なわずに、
ポリカーボネートの耐熱性、表面硬度を改良したポリエ
ステル樹脂組成物及び該組成物から成る成型物の製造法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
した結果、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,
4’−ビフェノール単位と1,1’−ビナフタレン−
2,2’−ジオール単位とを持つ特定の芳香族ポリエス
テルとポリカーボネートとは相溶ブレンド系となり、ポ
リカーボネートの透明性を損なわないでポリカーボネー
トの耐熱性、表面硬度を大きく向上させることを見いだ
し本発明を完成するに至った。
【0010】即ち、本発明は、 (1)ジカルボン酸成分として、イソフタル酸単位(A
1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジオール成
分として、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,
4’−ビフェノール単位(A3)と、1,1’−ビナフ
タレン−2,2’−ジオール単位(A4)とを含む芳香
族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)とから
成るポリエステル樹脂組成物、
【0011】(2)芳香族ポリエステル(A)の組成比
が、A1+A2=50モル%、A3+A4=50モル%で、
且つA1が0〜50モル%、A2は50〜0モル%、A4
は3〜50モル%、A3は47〜0モル%であり、芳香
族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成
比が、2:98〜98:2である(1)に記載のポリエ
ステル樹脂組成物、
【0012】(3)A1が0〜5モル%、A4が15〜5
0モル%である(2)に記載のポリエステル樹脂組成
物、
【0013】(4)A1が5〜20モル%、A4が10〜
40モル%である(2)に記載のポリエステル樹脂組成
物、
【0014】(5)A1が20〜30モル%で、A4が5
〜35モル%である(2)に記載のポリエステル樹脂組
成物、
【0015】(6)A1が30〜50モル%で、A4が3
〜30モル%である(2)に記載のポリエステル樹脂組
成物、
【0016】(7)ジカルボン酸成分として、イソフタ
ル酸単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含
み、ジオール成分として、3,3’,5,5’−テトラ
メチル−4,4’−ビフェノール単位(A3)と、1,
1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)
とを含む芳香族ポリエステル(A)と、ポリカーボネー
ト(B)とを非塩素系溶媒に溶解させて均質溶液とした
後、該溶媒を除去することを特徴とする上述の(1)〜
(6)のいずれか一つに記載のポリエステル樹脂組成物
から成る成型物の製造法、及び
【0017】(8)非塩素系溶媒が、アミド系溶媒、芳
香族炭化水素、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒から選ば
れる溶媒であることを特徴とする(7)に記載の成型物
の製造法をも含むものである。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明は特定の構造を有する芳香
族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)との透
明性を有する相溶的な樹脂組成物に関する。本発明にお
ける芳香族ポリエステル(A)はジカルボン酸成分とし
て、イソフタル酸単位(A1)と、テレフタル酸単位
(A2)とを有し、ジオール成分として、3,3’,
5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位
(A3)と、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ
ール単位(A4)とを有する芳香族ポリエステル共重合
体である。
【0019】該芳香族ポリエステルの共重合組成はイソ
フタル酸単位(A1)の量により異なる。即ち、本発明
に用いる芳香族ポリエステルの共重合組成は、A1+A2
=50モル%、A3+A4=50モル%であり、且つA1
が0〜50モル%、A4は3〜50モル%、A3は47〜
0モル%で、芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネ
ート(B)の組成比は、2:98〜98:2である。
【0020】本発明の樹脂組成物は、更に好ましくは、
A1が0〜5モル%(A1+A2=50モル%)の場合、
A4が15〜50モル%、好ましくは20〜45モル%
(A3+A4=50モル%)、A1が5〜20モル%(A1
+A2=50モル%)の場合、A4が10〜40モル%、
好ましくは12〜37モル%(A3+A4=50モル
%)、A1が20〜30モル%(A1+A2=50モル
%)の場合、A4が5〜35モル%、好ましくは10〜
32モル%(A3+A4=50モル%)、A1が30〜5
0モル%(A1+A2=50モル%)の場合、A4が3〜
30モル%、好ましくは5〜27モル%(A3+A4=5
0モル%)の範囲である。これらの樹脂組成物は、ポリ
カーボネートとの良好な相溶性を有すると共に、塩素系
溶媒、又は塩素系溶媒以外の溶媒に溶解する。
【0021】本発明の樹脂組成物は、この芳香族ポリエ
ステルとポリカーボネートとのブレンド物であり、その
組成が重量比で、芳香族ポリエステル:ポリカーボネー
ト=2:98〜98:2、好ましくは5:95〜95:
5である。この範囲以外では耐熱性や表面硬度などが十
分に改良されないため好ましくない。
【0022】この範囲以外ではポリカーボネートと相溶
性がなくなり、本発明が目的とする効果が得られなかっ
たり、分子量が著しく低下して良好な強度を持つ樹脂組
成物が得られないとか、溶媒溶解性が著しく低下してブ
レンド処理を行うことができない、或いは熱安定性が低
下し着色するなどの問題があり好ましくない。
【0023】該芳香族ポリエステルの重合度はクロロホ
ルム(濃度=0.1g/dL、温度=30℃)中でのイ
ンヘレント粘度は0.2dL/g以上、特に0.4dL
/g以上が好ましい。インヘレント粘度が0.2dL/
g未満の重合物では十分な強度を持つ良好な樹脂組成物
が得られないため好ましくない。なお、クロロホルムに
不溶な場合には、1,1,2,2−テトラクロロエタン
(濃度=0.1g/dL、温度=30℃)中で測定され
る。
【0024】また、本発明は芳香族ポリエステル(A)
とポリカーボネート(B)を非塩素系溶媒に溶解させ均
質溶液とした後、溶媒を取り除くことによって得られる
ポリエステル樹脂組成物の調製方法に関するものであ
る。即ち、本発明のポリエステル樹脂組成物は、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノー
ル単位と1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール
単位とを共に含むことにより溶媒溶解性が向上し、トル
エン、キシレン、N,N−ジメチルホルムアミド、シク
ロヘキサノンなどの非塩素系溶媒にも溶解可能なことか
ら、環境衛生上、好ましくない塩素系溶媒を用いずに、
目的とする樹脂組成物を調製することが可能である。
【0025】次に、本発明の芳香族ポリエステルの製造
方法について説明する。本発明の芳香族ポリエステルの
製造法としては、溶液重縮合法、界面重縮合法、溶融重
縮合法等があるが、好ましくは溶液重縮合法又は界面重
縮合法が用いられる。中でも、重合度が向上しやすく、
また、製品の着色が少ないことから溶液重縮合法が特に
好ましい。
【0026】溶液重縮合に際し、ジカルボン酸成分とし
てはジカルボン酸クロリド化合物を用い、ジオール化合
物とジカルボン酸クロリド化合物のモル比は1:1〜
1:1.03が好ましい。また、重合は溶液中で行い、
生成する酸を中和するため、塩基を共存させて行うこと
が好ましい。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン
等の窒素系の塩基が好ましい。
【0027】重合溶媒としては、クロロホルム、1,
1,2,2−テトラクロロエタン、N−メチル−2−ピ
ロリドン、テトラヒドロフラン等の溶解性の強い溶媒
で、生成するポリマーを溶解させるものが好ましい。重
合開始時点でのモノマー濃度は0.3〜3モル/Lが良
く、0.5〜1.5モル/Lが特に好ましい。モノマー
濃度が高すぎる場合には重合持に系の粘度が高くなり過
ぎて、取り扱いが困難になる。
【0028】重合条件としては常圧、通常窒素等の不活
性ガス雰囲気下、溶媒の沸点以下、好ましくは−20〜
50℃の範囲で行われ、より好ましくは0〜30℃の温
度で行うのが良い。重合温度が高すぎると、重合度の高
いポリマーが得られ難くなる。重合時間は特に限定され
ないが、通常24時間以内、好ましくは12時間以内で
ある。
【0029】溶液の粘度の上昇に合わせて、温度や濃度
を上記範囲内で変化させることは有効に用いられる。ま
た、ポリマーの精製はポリマー溶液をメタノールやアセ
トンなどの貧溶媒中に滴下して沈殿させる方法、及び、
メタノール、アセトン、水などから選ばれる一つ又は複
数の貧溶媒で室温若しくは加熱下で洗浄し、乾燥する方
法により得られる。
【0030】本発明に用いられるポリカーボネートは、
二価フェノール単位と炭酸単位から得られる重合物であ
り、特に、ビスフェノール−A単位と炭酸単位、ジヒド
ロキシ−ジフェニル−シクロヘキサン単位と炭酸単位か
ら成る重合物が好ましく用いられ、一般的な市販ポリカ
ーボネートを用いることができる。
【0031】本発明における樹脂組成物は溶液ブレンド
法、又は溶融ブレンド法によって得ることができ、特に
好ましくは非塩素系溶媒を用いた溶液ブレンド法であ
る。溶融ブレンド法はブレンドするポリマーを溶融状態
で混練して混合する方法である。成形温度は樹脂の種
類、組成比により異なるが、通常、250〜350℃で
行われる。芳香族ポリエステルは1,1’−ビナフタレ
ン−2,2’−ジオール単位(A4)を有するために熱
安定性に優れるものの、溶融流動性が劣るため、溶融ブ
レンド法は、芳香族ポリエステルが60モル%以下、好
ましくは50モル%以下の組成に限るほうがよい。
【0032】溶液ブレンド法は、ポリカーボネートと芳
香族ポリエステルとが溶解する共通溶媒に2つの樹脂を
溶解させて、均質混合させた後、基板上に塗布し溶媒キ
ャストを行うことでフィルム、シート、塗膜を得ること
ができる。基板としてはアルミ、鉄、ステンレス、銅な
どの金属板、ポリエチレンテレフタレートやポリイミド
などのプラステック板やフィルム、ガラス板などが使用
される。塗布はバーコードコート法、ディップコート
法、スピンコート法などの方法で行われる。溶媒キャス
トは通常の湿潤空気雰囲気下、窒素雰囲気下、乾湿空気
雰囲気下などで、250℃以下の温度で行われる。
【0033】また、この混合溶液からメタノールやアセ
トンなどの貧溶媒で沈殿させることによって粉末状の樹
脂組成物を得ることができる。溶媒としてはクロロホル
ム、塩化メチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタ
ンなどの塩素系溶媒の他、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−
ピロリドンなどのアミド系溶媒、トルエン、キシレン、
m−クレゾールなどの芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒ
ドロフラン、アニソールなどのエーテル系溶媒、シクロ
ヘキサノンなどのケトン系溶媒、及びこれらの混合溶媒
の内、所定の割合の両ポリマーを溶解できるものが用い
られる。
【0034】本発明で用いる芳香族ポリエステルは、
1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A
4)を有する為に、N,N−ジメチルホルムアミド、N,
N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリド
ン等のアミド系溶媒や、トルエン、キシレン、m−クレ
ゾール等の芳香族炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン
やアニソールなどのエーテル系溶媒、シクロヘキサノン
等のケトン系溶媒等の非塩素系溶媒に可溶であり、これ
ら溶媒を用いたキャステイングが可能である。
【0035】本発明の特に注目に値する点は、本発明の
樹脂組成物が相溶的なポリマーブレンド物である点であ
る。ここで言う相溶的なポリマーブレンド物とは、上述
した方法によって得られる樹脂組成物のガラス転移温度
が各々単独樹脂のガラス転移温度の中間温度域に発現
し、ブレンドする単独樹脂のガラス転移温度域には発現
しない樹脂組成物として定義される。
【0036】例えば、イソフタル酸単位(A1)=25
モル%、テレフタル酸単位(A2)=25モル%、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノー
ル単位(A3)=25モル%、1,1’−ビナフタレン
−2,2’−ジオール単位(A4)=25モル%の芳香
族ポリエステルとポリカーボネート(ユーピロン S−
2000、三菱瓦斯化学株式会社製)とのブレンド系
(混合重量比=1/1)の場合、ポリカーボネートのガ
ラス転移温度(Tg:1Hzのtanδピーク温度)は
約150℃、芳香族ポリエステルのTgは256℃、樹
脂組成物のTgは195℃である。
【0037】この様子を図1に示す。これは本発明で用
いるポリエステルとポリカーボネートが分子レベルで混
合していると考えられ、このような相溶系ポリマーブレ
ンドは極めて特殊な系である。通常、2つの高分子をブ
レンドするとそれぞれの高分子は別々の相を形成し凝集
する(海島構造)。ナイロン6とナイロン66や、ポリ
エチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレート
や、ポリエチレンとポリプロピレン、ポリサルホンとポ
リエーテルサルホンなどのように分子構造が極めて類似
したものでも、殆どの場合、相溶系と成ることはなく相
分離する。このことからも相溶系ポリマーブレンドは極
めて特殊な系であり、2つのポリマーが相溶するかどう
かは実際にブレンドを行うことによってのみ判明する。
【0038】なお、特開平3−124763号公報には
3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールFと
ビスフェノールAを持つ芳香族ポリエステルとポリカー
ボネートとの光学的等方性に優れた樹脂組成物フィルム
について開示されている。この芳香族ポリエステルに該
当する市販品エルメック(A1F、鐘淵化学工業製)は
ポリカーボネートと相溶的にブレンドされるが、この芳
香族ポリエステルはポリカーボネートと相溶することが
既に公知であるビスフェノールAとテレフタル酸、イソ
フタル酸から成るポリアリレート単位を半分以上含むも
のである。
【0039】本発明の樹脂組成物は、通常得られる非相
溶系のポリマーブレンド系とは大きく異なり、分子レベ
ルで均質に混合しており、両樹脂単体の性質とは異なる
新しい性質を有する新規樹脂系を形成するものと考えら
れる。そのため、本発明の樹脂組成物は透明性に優れ、
ポリカーボネートの耐熱性を向上させるだけでなく、表
面硬度や耐摩耗性をも向上させる。特に興味深いこと
は、実施例でも示されるように、該樹脂組成物の耐摩耗
性がポリカーボネート単独物及び芳香族ポリエステル単
独物の摩耗性より優れているものが含まれることであ
る。
【0040】
【実施例】本発明を実施例によって具体的に説明する
が、もとより本発明はこれらの実施例に限られるもので
はない。また実施例中の各種特性値は次の方法で測定し
た。
【0041】(1)ガラス転移温度(Tg) ガラス転移温度(Tg)は、厚さ約80μm、幅5m
m、長さ20mmのフィルムを用いて、複素弾性率の温
度変化を測定して求めた。複素弾性率の温度変化測定は
セイコー電子工業株式会社製の固体粘弾性測定装置DM
S−200を用い、2℃/分で昇温し1Hzでのtan
δのピーク温度をガラス転移温度とした。
【0042】(2)光透過率の測定 光透過率測定は日本電色工業株式会社製の光透過率測定
装置MMP−1001DPで行った。厚さ約80μmの
フィルムを用いて、可視光の波長領域の光透過率を測定
した。
【0043】(3)表面硬度 表面硬度は鉛筆硬度で表す。
【0044】(4)摩耗量の測定 摩耗量は東洋精機株式会社製のテーバ摩耗試験機を使用
して行った。摩耗輪はCS−10Fを用い、1Kg荷重
負荷での摩耗量を測定した。
【0045】(5)固有粘度の測定 固有粘度はクロロホルム、濃度=0.1g/dL、温度
=30℃で測定した。但し、クロロホルムに不溶な重合
物の場合は、1,1,2,2−テトラクロロエタン中(濃
度=0.1g/dL、温度=30℃)で測定した。
【0046】(6)溶媒溶解性 溶媒溶解性は、ポリマー濃度を5重量%とした場合に可
溶か否かで評価した。
【0047】(合成例1)攪拌翼、窒素導入口、環流冷
却管を備えた重合装置にイソフタル酸クロリド135.
5g(0.510モル)、テレフタル酸クロリド 10
3.5g(0.510モル)、3,3’,5,5’−テト
ラメチル−4,4’−ビフェノール(以後、TMBと略
称する)121.2g(0.50モル)、1,1’−ビナ
フタレン−2,2’−ジオール(以後、BNと略称す
る)143.2g(0.50モル)、ピリジン 316.4
g、クロロホルム 4Lを仕込み、20℃窒素雰囲気下
で8時間攪拌し重合させた。
【0048】次いで、反応溶液を35Lのメタノール中
にゆっくりと添加して沈殿させた。得られた沈殿物を濾
別し、アセトン洗浄、更に、メタノール洗浄を行い精製
した。得られたポリマー(以下、ポリエステル1と称す
る:イソフタル酸=25モル%、テレフタル酸=25モ
ル%、TMB=25モル%、BN=25モル%)は12
0℃真空下で12時間乾燥させた。ポリエステル1の固
有粘度は0.70dL/gであった。また、重合物1の
Tgは255℃、鉛筆硬度が2H、摩耗量が30mg/
kmであった。
【0049】(実施例1)合成例1で得られたポリエス
テル1(5g)とポリカーボネート(ユーピロンS−2
000;三菱瓦斯化学株式会社製)(5g)とをアニソ
ールに溶解させ、攪拌し、相溶ブレンドしたポリエステ
ル樹脂組成物の均質溶液を得た。該溶液をガラス板上に
塗布しシャレー内でキャストしてフィルムを得た。フィ
ルムは150℃で十分に乾燥させた。得られたフィルム
は無色透明で光透過率は90%であった。フィルムのガ
ラス転移温度(Tg)は195℃、鉛筆硬度はH、摩耗
性は23mg/kmであった。
【0050】用いたポリカーボネートのTgは154
℃、鉛筆硬度は3B、摩耗量は28mg/kmであり、
得られた本発明のポリエステル樹脂組成物はポリカーボ
ネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上してい
る。更に興味深いことに樹脂組成物の摩耗量はポリカー
ボネート単独品やポリエステル1単独品より優れてい
る。図1にはポリカーボネート、ポリエステル1、及び
実施例1で得られ本発明のポリエステル樹脂組成物の固
体粘弾性測定より得られたtanδの温度分散図を示
す。
【0051】(実施例2及び3)実施例1において、ポ
リエステル1とポリカーボネートとの混合重量比を変え
て、実施例1と同様な方法でサンプルを作成し、同様な
検討を行った。ポリエステル1:ポリカーボネート=
3:7(混合重量比、実施例2)の場合、樹脂組成物フ
ィルムの光透過率は90%、Tgは180℃、鉛筆硬度
はFであり、ポリエステル1:ポリカーボネート=7:
3(混合重量比、実施例3)の場合、樹脂組成物フィル
ムの光透過率は90%、Tgは225℃、鉛筆硬度は2
Hであった。本発明のポリエステル樹脂組成物はポリカ
ーボネートに比べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上して
いる。
【0052】(合成例2)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMBが
40モル%、BNが10モル%のポリエステル2を得
た。ポリエステル2の固有粘度は0.6dL/g、Tg
は255℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0053】(実施例4)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル2の混合重量比
=1:1)を作成した。本発明のポリエステル樹脂組成
物フィルムの光透過率は90%、Tgは193℃、鉛筆
硬度はFであった。
【0054】(合成例3)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が40モル%、テレフタル酸が10%、TMB
が40モル%、BNが10モル%のポリエステル3を得
た。ポリエステル3の固有粘度は1.0dL/g、Tg
は264℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0055】(実施例5)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル3の混合重量比
=1:1)を作成した。本発明のポリエステル樹脂組成
物フィルムの光透過率は90%、Tgは203℃、鉛筆
硬度はHであった。
【0056】(合成例4)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が40モル%、テレフタル酸が10%、TMB
が25モル%、BNが25モル%のポリエステル4を得
た。ポリエステル4の固有粘度は0.55dL/g、T
gは241℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0057】(実施例6)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル4の混合重量比
=7:3)を作成した。本発明のポリエステル樹脂組成
物フィルムの光透過率は90%、Tgは178℃、鉛筆
硬度はFであった。
【0058】(合成例5)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が25モル%、テレフタル酸が25%、TMB
が35モル%、BNが15モル%のポリエステル5を得
た。ポリエステル5の固有粘度は1.05dL/g、T
gは272℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0059】(実施例7)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル5の混合重量比
=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透過率
は90%、Tgは197℃、鉛筆硬度はHであった。
【0060】(合成例6)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が15モル%、テレフタル酸が35%、TMB
が25モル%、BNが25モル%のポリエステル6を得
た。ポリエステル6の固有粘度は0.8dL/g、Tg
は263℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0061】(実施例8)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル6の混合重量比
=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透過率
は90%、Tgは198℃、鉛筆硬度はHであった。
【0062】(合成例7)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMBが
25モル%、BNが25モル%のポリエステル7を得
た。ポリエステル7の固有粘度は0.64dL/g、T
gは233℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0063】(実施例9)ポリカーボネートとポリエス
テル7(混合重量比=7:3)を280℃で溶融混練し
て成型物を得た。成型物は透明体であり、Tgは174
℃、鉛筆硬度はFであった。
【0064】(合成例8)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5
%、TMBが12.5モル%、BNが37.5モル%の
ポリエステル8を得た。ポリエステル8の固有粘度は
0.35dL/g、Tgは243℃、鉛筆硬度は2Hで
あった。
【0065】(実施例10)ポリカーボネートとポリエ
ステル8(混合重量比=7:3)を280℃で溶融混練
して成型物を得た。成型物は透明体であり、Tgは17
8℃、鉛筆硬度はFであった。
【0066】(合成例9)合成例1と同様な方法でイソ
フタル酸が0モル%、テレフタル酸が50%、TMBが
5モル%、BNが45モル%のポリエステル9を得た。
ポリエステル9の固有粘度は0.4dL/g、Tgは2
38℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0067】(実施例11)ポリカーボネートとポリエ
ステル9(混合重量比=7:3)を280℃で溶融混練
して成型物を得た。成型物は透明体であり、Tgは17
2℃、鉛筆硬度はFであった。
【0068】(合成例10)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が0モル%、テレフタル酸が50%、TMB
が25モル%、BNが25モル%のポリエステル10を
得た。ポリエステル10の固有粘度は0.45dL/
g、Tgは267℃、鉛筆硬度は2Hであった。尚、ポ
リエステル10はクロロホルムに不溶であったため、固
有粘度は1,1,2,2−テトラクロロエタン中で測定
した。
【0069】(実施例12)実施例1と同様な方法でブ
レンドフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル10
の混合重量比=1:1)を作成した。尚、ブレンド溶媒
はアニソールの代わりに1,1,2,2−テトラクロロ
エタンを使用した。樹脂組成物フィルムの光透過率は9
0%、Tgは205℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0070】(合成例11)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5
%、TMBが37.5モル%、BNが12.5モル%の
ポリエステル11を得た。ポリエステル11の固有粘度
は0.5dL/g、Tgは282℃、鉛筆硬度は2Hで
あった。尚、ポリエステル11はクロロホルムに不溶で
あったため、固有粘度は1,1,2,2−テトラクロロ
エタン中で測定した。
【0071】(実施例13)実施例1と同様な方法でブ
レンドフィルム(ポリカーボネート:ポリエステル11
の混合重量比=1:1)を作成した。尚、ブレンド溶媒
はアニソールの代わりに1,1,2,2−テトラクロロ
エタンを使用した。樹脂組成物フィルムの光透過率は9
0%、Tgは209℃、鉛筆硬度は2Hであった。樹脂
組成物フィルムは透明であり、ポリカーボネートに比
べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。
【0072】(合成例12)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が25モル%、テレフタル酸が25%、TM
Bが20モル%、BNが30モル%のポリエステル12
を得た。ポリエステル12の固有粘度は0.6dL/
g、Tgは246℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0073】(実施例14)実施例1と同様な方法でフ
ィルム(ポリカーボネート:ポリエステル12の混合重
量比=7:3)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透
過率は90%、Tgは175℃、鉛筆硬度はHであっ
た。樹脂組成物は透明であり、ポリカーボネートに比
べ、耐熱性と表面硬度が大きく向上している。
【0074】(合成例13)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMB
が15モル%、BNが35モル%のポリエステル13を
得た。ポリエステル13の固有粘度は0.45dL/
g、Tgは229℃であった。
【0075】(比較例1)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル13の混合重量
比=1:1)を作成した。得られたフィルムは白濁化し
ており、光透過率は1%以下であった。また、実施例9
と同様な方法で溶融成形(ポリカーボネート:ポリエス
テル13の混合重量比=7:3)を行った。得られた成
型物は白濁していた。白濁フィルム及び白濁成形品のT
gを測定したところ、何れも155℃付近と228℃付
近に2つのTgが発現した。ポリエステル13とポリカ
ーボネートは相溶していないことが判る。
【0076】(合成例14)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が37.5モル%、テレフタル酸が12.5
%、TMBが12.5モル%、BNが37.5モル%の
ポリエステル14を得た。ポリエステル14の固有粘度
は0.33dL/g、Tgは228℃、鉛筆硬度はHで
あった。
【0077】(比較例2)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル14の混合重量
比=1:1)を作成した。得られたフィルムは白濁化し
ており、光透過率は5%以下であった。更に、実施例9
と同様な方法で溶融成形(ポリカーボネート:重合物1
4の混合重量比=7:3)を行った。得られた成型物は
白濁していた。白濁フィルム及び白濁成形品のTgを測
定したところ、いずれも154℃付近と228℃付近に
2つのTgが発現した。ポリエステル14とポリカーボ
ネートは相溶していないことが判る。
【0078】(合成例15)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5
%、TMBが45モル%、BNが5モル%のポリエステ
ル15を得た。溶媒溶解性が無く、溶液粘度を測定でき
なかった。
【0079】(比較例3)ポリエステル15を用い、実
施例9と同様な方法でブレンドしたが、得られた樹脂組
成物は非常に脆く良好な強度を有するものは得られなか
った。
【0080】(合成例16)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が12.5モル%、テレフタル酸が37.5
%、TMBが5モル%、BNが45モル%のポリエステ
ル16を得た。ポリエステル16の固有粘度は0.3d
L/g、Tgは210℃であった。
【0081】(比較例4)実施例1と同様な方法でフィ
ルム(ポリカーボネート:ポリエステル16の混合重量
比=1:1)を作成した。得られたフィルムは白濁化し
ており、光透過率は5%以下であった。Tgを測定した
ところ、154℃付近と210℃付近に2つのTgが発
現した。ポリエステル16ポリカーボネートは相溶して
いないことが判る。
【0082】(合成例17)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が0モル%、テレフタル酸が50%、TMB
が40モル%、BNが10モル%のポリエステル17を
得た。溶媒溶解性が無く、溶液粘度を測定できなかっ
た。
【0083】(比較例5)ポリエステル17を用いて、
実施例9と同様な方法でブレンドしたが、得られた樹脂
組成物は非常に脆く良好な強度を有するものでは無かっ
た。
【0084】(実施例15)合成例3で得たポリエステ
ル3とポリカーボネートの(ポリカーボネート:ポリエ
ステル3の混合重量比=7:3)のキャストフィルムを
実施例5と同様な方法で得た。フィルムの光透過率は9
0%、Tgは180℃、鉛筆硬度はF、摩耗量は21m
g/kmであった。樹脂組成物は透明であり、ポリカー
ボネートに比べ、耐熱性、表面硬度、耐摩耗性が大きく
向上している。
【0085】(合成例18)合成例1と同様な方法で、
イソフタル酸=50モル%、テレフタル酸=0%、TM
B=50モル%、BN=0%のポリエステル18を得
た。ポリエステル18の固有粘度は0.7dL/gであ
った。
【0086】(溶媒溶解性)ポリエステル2、ポリエス
テル7、ポリエステル18の溶媒溶解性を調べた。ポリ
エステル2とポリエステル7は何れもクロロホルム、塩
化メチレン、テトラヒドロフラン(THF)、トルエ
ン、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−
ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピ
ロリドン(NMP)、アニソールに可溶であった。一
方、ポリエステル18はクロロホルム、塩化メチレンに
は可溶であるが、THF、トルエン、DMA、DMF、
NMP、アノソールには不溶であった。本発明で用いる
ポリエステルは溶媒溶解性が向上しているのが判る。
【0087】(合成例19)合成例1と同様な方法で、
イソフタル酸=40モル%、テレフタル酸=10%、T
MB=50モル%、BN=0%のポリエステル19を得
た。ポリエステル19の固有粘度は0.7dL/gであ
った。
【0088】(溶媒溶解性)ポリエステル3とポリエス
テル4、及びポリエステル19の溶媒溶解性を調べた。
ポリエステル3とポリエステル4は何れもクロロホル
ム、塩化メチレン、THF、トルエン、DMA、DM
F、シクロヘキサノン、アニソールに可溶であった。一
方、ポリエステル19はクロロホルム、塩化メチレンは
可溶であるが、トルエン、DMFには不溶であった。本
発明で用いる重合物は溶媒溶解性が向上しているのが判
る。
【0089】(合成例20)合成例1と同様な方法で、
イソフタル酸=25モル%、テレフタル酸=25%、T
MB=50モル%、BN=0%のポリエステル20を得
た。ポリエステル20の固有粘度は0.8dL/gであ
った。尚、ポリエステル20はクロロホルムに不溶であ
ったため、固有粘度は1,1,2,2−テトラクロロエ
タン中で測定した。
【0090】(溶媒溶解性)ポリエステル1、ポリエス
テル5、ポリエステル12、及びポリエステル20の溶
媒溶解性を調べた。ポリエステル1はTHF、アニソー
ル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、DMF、
DMA、クロロホルム、塩化メチレンに可溶、ポリエス
テル5はTHF、アニソール、NMP、クロロホルム、
塩化メチレンに可溶、ポリエステル12はクロロホル
ム、塩化メチレン、THF、トルエン、DMA、DM
F、NMP、アニソールに可溶であった。一方、ポリエ
ステル20はこれら溶媒には不溶であった。
【0091】(合成例21)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が50モル%、テレフタル酸が0%、TMB
が45モル%、BNが5モル%のポリエステル21を得
た。ポリエステル21の固有粘度は1.0dL/g、T
gは270℃、鉛筆硬度は2Hであった。また、溶媒溶
解性を調べたところ、ポリエステル21はクロロホル
ム、塩化メチレンの他に、アニソール、THF、NMP
に可溶であり、ポリエステル18に比べて、非塩素系溶
媒に対する溶媒溶解性が向上している。
【0092】(実施例16)実施例1と同様な方法でフ
ィルム(ポリカーボネート:ポリエステル21の混合重
量比=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透
過率は90%、Tgは206℃、鉛筆硬度はHであっ
た。透明であり、ポリカーボネートに比べ、耐熱性と表
面硬度が大きく向上している。
【0093】(合成例22)合成例1と同様な方法でイ
ソフタル酸が35モル%、テレフタル酸が15モル%、
TMBが45モル%、BNが5モル%のポリエステル2
2を得た。ポリエステル22の固有粘度は1.3dL/
g、Tgは270℃、鉛筆硬度は2Hであった。
【0094】(実施例17)実施例1と同様な方法でフ
ィルム(ポリカーボネート:ポリエステル22の混合重
量比=1:1)を作成した。樹脂組成物フィルムの光透
過率は90%、Tgは204℃、鉛筆硬度はHであっ
た。透明であり、ポリカーボネートに比べ、耐熱性と表
面硬度が大きく向上している。
【0095】(合成例23)また、比較例として、合成
例1と同様な方法でイソフタル酸が35モル%、テレフ
タル酸が15%、TMBが50モル%、BNが0%のポ
リエステル23を得た。ポリエステル23の固有粘度は
0.9dL/gであった。
【0096】(溶媒溶解性)溶媒溶解性を調べたとこ
ろ、ポリエステル22はクロロホルム、塩化メチレンの
他に、アニソール、THF、NMP、DMA、シクロヘ
キサノンに可溶であった。一方、ポリエステル23はク
ロロホルム、塩化メチレンに可溶であったが、DMAに
は不溶であった。ポリエステル22は非塩素系溶媒に対
する溶媒溶解性が向上しているのが判る。
【0097】本発明のポリエステル樹脂組成物は、芳香
族ポリエステルの(A)ジオール成分として、3,
3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノー
ル単位と、特に、1,1’−ビナフタレン−2,2’−
ジオール単位とを用いることにより、ポリカーボネート
(B)との相溶ブレンド系を形成し、透明性、耐熱性、
表面硬度、耐摩耗性に優れる。
【0098】
【発明の効果】本発明の芳香族ポリエステルとポリカー
ボネートとの樹脂組成物は、優れた透明性、耐熱性、表
面硬度、耐摩耗性を有し、光学材料、電子・電気材料、
記録材料、自動車部品、建築材料など幅広い分野で有用
なフィルム、塗膜、シート等の各種成形物を提供でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 ポリカーボネート、ポリエステル1、及び実
施例1で得られ本発明のポリエステル樹脂組成物の固体
粘弾性測定より得られたtanδの温度分散図を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F071 AA43X AA45 AA50 AC02 AC06 AC07 AC12 AE19 AF22 AF25 AF30 AF45 AG34 AG36 AH03 AH07 AH12 AH19 BA02 BB02 BC01 4J002 CF03W CF05W CG01X

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ジカルボン酸成分として、イソフタル酸
    単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジ
    オール成分として、3,3’,5,5’−テトラメチル
    −4,4’−ビフェノール単位(A3)と、1,1’−
    ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)とを含
    む芳香族ポリエステル(A)とポリカーボネート(B)
    とから成るポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 芳香族ポリエステル(A)の組成比が、
    A1+A2=50モル%、A3+A4=50モル%で、且つ
    A1が0〜50モル%、A2は50〜0モル%、A4は3
    〜50モル%、A3は47〜0モル%であり、芳香族ポ
    リエステル(A)とポリカーボネート(B)の組成比
    が、2:98〜98:2である請求項1に記載のポリエ
    ステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 A1が0〜5モル%、A4が15〜50モ
    ル%である請求項2に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 A1が5〜20モル%、A4が10〜40
    モル%である請求項2に記載のポリエステル樹脂組成
    物。
  5. 【請求項5】 A1が20〜30モル%で、A4が5〜3
    5モル%である請求項2に記載のポリエステル樹脂組成
    物。
  6. 【請求項6】 A1が30〜50モル%で、A4が3〜3
    0モル%である請求項2に記載のポリエステル樹脂組成
    物。
  7. 【請求項7】 ジカルボン酸成分として、イソフタル酸
    単位(A1)と、テレフタル酸単位(A2)とを含み、ジ
    オール成分として、3,3’,5,5’−テトラメチル
    −4,4’−ビフェノール単位(A3)と、1,1’−
    ビナフタレン−2,2’−ジオール単位(A4)とを含
    む芳香族ポリエステル(A)と、ポリカーボネート
    (B)とを非塩素系溶媒に溶解させて均質溶液とした
    後、該溶媒を除去することを特徴とする請求項1〜6の
    いずれか一つに記載のポリエステル樹脂組成物から成る
    成型物の製造法。
  8. 【請求項8】 非塩素系溶媒が、アミド系溶媒、芳香族
    炭化水素、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒から選ばれる
    溶媒であることを特徴とする請求項7に記載の成型物の
    製造法。
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