JP3906951B2 - 芳香族ポリエステル及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、溶剤溶解性と共に優れた耐熱性を有する芳香族ポリエステル及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光学透明樹脂としては、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカ−ボネ−ト、ポリ塩素化ビニリデン、ポリフッ素化ビニリデン、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン等が知られており、成型体、繊維、フィルムなどの形態で電気・電子部品、自動車部品、機械部品等の分野で用いられている。
【0003】
かかる透明樹脂の内、高温での使用が可能な耐熱性に優れた透明材料としてはポリアリレ−ト(PAr)やポリスルホン(PSF)、ポリエ−テルスルホン(PES)が知られている。しかし近年、より高温での使用に耐えるような耐熱性を有する透明材料が求められている。耐熱性の一つの評価はガラス転移温度(Tg)で示され、Tgが高いほど耐熱性が高い。
【0004】
例えば、これらの透明樹脂のガラス転移温度(本発明においては、測定周波数=1Hz、昇温速度=2℃/分での動的粘弾性測定におけるtanδピ−ク温度で定義する)は、ポリカ−ボネ−ト(PC)が145℃、ポリアリレ−トが203℃、ポリスルホンが193℃、ポリエ−テルスルホンが230℃であり、こららの既存耐熱樹脂の値を超えるTgを有する耐熱透明樹脂が求められている。
【0005】
尚、上記の具体的な各Tg値は、各々、以下の市販樹脂を用いて測定した値である。(PC:帝人化成株式会社製パンライトC−1400、PAr:ユニチカ株式会社製U−100、PSF:日産化学工業株式会社製UdelP3703、PES:ICIジャパン株式会社製PES3600。)
【0006】
一方、耐熱性に優れた透明樹脂のフィルムや繊維への成形加工は、溶融温度が高くなることより、溶融法では次第に困難となり、溶液キャスト法によって行われる場合が多い。また、コ−ティング材料として用いる場合も優れた溶剤溶解性を有することが重要である。従って、優れた耐熱透明材料として、高い耐熱性と共に、溶剤溶解性を併せ持つことが求められる。更に、耐熱性に優れた透明材料が十分な物性を有する為には、高い分子量を持つことが必要であり、分子量が低い場合は成形後のフィルム、繊維やコ−ティング等が脆くなる。
【0007】
一般に、高い耐熱性と溶剤溶解性は相反する性質であり、例えば耐熱性の一つの指標であるTgを上げるために剛直な分子骨格構造を導入した場合は、溶剤溶解性が低下することが多く、また分子量も低いものしか得られない場合が多い。
【0008】
分子量の評価は希薄溶液中でのインヘレント粘度で評価されることが多く、本発明においても分子量の評価は、実施例に記す如くクロロホルム溶液(濃度0.1g/dL、温度30℃)のインヘレント粘度により行う。高いインヘレント粘度を有するものほど、大きな分子量を有することを意味する。
【0009】
これまで、透明性及び耐熱性に優れた材料として、芳香族ジカルボン酸と2価フェノ−ルからなる芳香族ポリエステルが知られており、構造単位の異なる種々の芳香族ポリエステルが検討されている。特に高いガラス転移温度を有する透明材料として、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位を含む芳香族ポリエステルが公知である(例えば、特開昭55−116723号公報、特開昭58−180525号公報、特開昭60−53530号公報)。
【0010】
しかし、比較例で示すように、例えばイソフタル酸単位と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位からなる芳香族ポリエステル、又はイソフタル酸単位及びテレフタル酸単位と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位からなる芳香族ポリエステルは、250℃以上の高いTgを有するものの、例えば220℃以上の温度に空気中で保持することにより着色しやすく、高温での熱安定性が十分でない、又、溶媒溶解性も十分でない問題点がある。
【0011】
一方、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位と共に、ビスフェノ−ルAやビスフェノ−ルF単位等を共重合したものは耐熱性や耐応力き裂性に優れていることが報告されている(上記の公開特許等)が、比較例で示すように、これらの共重合物でも高温での熱安定性や溶剤溶解性が十分ではなかった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、耐熱性(高Tg及び熱安定性)、透明性、溶剤溶解性に優れた、高分子量を有する芳香族ポリエステル及びその製造方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決する為に、鋭意研究した結果、ジカルボン酸としてイソフタル酸単位(A)、又はイソフタル酸単位(A)及びテレフタル酸単位(B)を、ジオ−ルとして、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)及び1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル(D)単位を構成成分とする芳香族ポリエステルが、耐熱性、溶剤溶解性、透明性、高分子量の全てに優れることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明は、
(1) イソフタル酸単位(A)と、テレフタル酸単位(B)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル(D)単位から成る芳香族ポリエステル、
【0015】
(2) イソフタル酸単位(A)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル(D)単位から成る芳香族ポリエステル、
【0016】
(3) 30〜50モル%のイソフタル酸単位(A)と、0〜20モル%のテレフタル酸単位(B)と、10〜48モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、2〜40モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とから成る、(1)又は(2)に記載の芳香族ポリエステル、
【0017】
(4) 10〜30モル%のイソフタル酸単位(A)と、20〜40モル%のテレフタル酸単位(B)と、10〜35モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、15〜40モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とから成る、(1)に記載の芳香族ポリエステル、
【0018】
(5) クロロホルム溶液(濃度0.1g/dL、温度30℃)でのインヘレント粘度が0.5dL/g以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載の芳香族ポリエステル、
【0019】
(6) ガラス転移温度(測定周波数=1Hz、昇温速度=2℃/分での動的粘弾性測定におけるtanδピ−ク温度)が230℃以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか一つに記載の芳香族ポリエステル、
【0020】
(7) (イソフタル酸クロライド + テレフタル酸クロライド)/(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール + 1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル)のモル比が1.01〜1.03であるように、イソフタル酸クロライドと、テレフタル酸クロライドと、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルを溶媒に溶解し、脱酸剤触媒共存下、−20〜50℃にて撹拌させることにより重縮合反応を行なうことを特徴とする(1)〜(6)のいずれか一つに記載の芳香族ポリエステルの製造方法、
【0021】
(8) ジカルボン酸成分としてのイソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドが30〜50モル%と0〜20モル%であり、ジオール成分としての3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルが10〜48モル%と2〜40モル%であることを特徴とする(7)に記載の製造方法、
【0022】
(9) ジカルボン酸成分としてのイソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドが30〜50モル%と0〜20モル%であり、ジオール成分としての3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルが10〜48モル%と2〜40モル%であることを特徴とする(7)に記載の製造方法、及び、
【0023】
(10) ジカルボン酸成分としてのイソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドが10〜30モル%と20〜40モル%であり、ジオール成分としての3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルが10〜35モル%と15〜40モル%であることを特徴とする(7)に記載の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の芳香族ポリエステルは、イソフタル酸単位(A)とテレフタル酸単位(B)と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル(D)単位から成る芳香族ポリエステル、又はイソフタル酸単位(A)と3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)から成る芳香族ポリエステルである。
【0025】
ここで、ジカルボン酸成分がテレフタル酸単位(B)のみである、即ち、(B)と(C)と(D)のモノマ−単位からなる芳香族ポリエステルは、(C)と(D)の比率によらず、比較例5、7、10に示すように低いインヘレント粘度、即ち、低い分子量のものや、溶剤溶解性が悪いものしか得られない。
【0026】
本発明において、イソフタル酸(A)とテレフタル酸(B)のモル比率(イソフタル酸:テレフタル酸)は100:0〜20:80が好ましく用いられる。
特に、溶剤溶解性、インヘレント粘度、及び耐熱性(Tgや熱安定性)に優れる点から(A)、(B)、(C)、(D)の各成分の割合は以下のようにするのが良好である。
【0027】
30〜50モル%のイソフタル酸単位(A)と0〜20モル%のテレフタル酸単位(B)とを含む場合は、10〜48モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、2〜40モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とからなる芳香族ポリエステルであることが好ましく、特に好ましくは15〜45モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、5〜35モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)からなる芳香族ポリエステルである。
【0028】
ここで、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)が2モル%未満では高温での熱安定性改良効果が小さい。例えば(D)を含まないものは220℃以上での空気中保持により着色が進行する(比較例1及び2)が、(D)が2モル%以下ではかかる高温での着色の低減効果が少ない。また溶剤溶解性の向上も殆どないか小さい。一方、(D)が40モル%をこえる場合は、高いインヘレント粘度のものが得られない。
【0029】
因みに、本発明の対象外であるジオ−ル単位が(D)のみからなる芳香族ポリエステルは、J.Polymer Science:Part A:Polymer Chemistry、32巻、587〜590頁(1994年)、J.Polymer Science:Part A-1、7巻、2587〜2604頁(1994年)に報告されているが、低い分子量(インヘレント粘度=0.16〜0.41dL/g:オルソ−クロロフェノ−ル溶液、0.5g/dL濃度、30℃条件、又はテトラクロロエタン溶液、0.1g/dL濃度、18℃条件下での測定値)のものしか得られていない。
【0030】
比較例5及び6に示すように、0.2程度の低いインヘレント粘度(クロロホルム溶液、0.1dL/g濃度、30℃条件下での測定値)のものしか得られず、耐熱透明樹脂としての成形性や力学物性が十分でない。
【0031】
一方、10〜30モル%のイソフタル酸単位(A)と20〜40モル%のテレフタル酸単位(B)とを含む場合は、10〜35モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、15〜40モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とからなる芳香族ポリエステルであることが好ましく、特に好ましくは15〜35モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、15〜35モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とからなる芳香族ポリエステルである。
【0032】
ここで、(D)が15モル%未満では溶剤溶解性が低く、また高いインヘレント粘度のものが得られない場合がある。また、(D)が40モル%以上では高いインヘレント粘度のものが得られない。
【0033】
以上のように、3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とを共に含む、上記組成の芳香族ポリエステルは、溶剤溶解性に優れると共に、良好な耐熱性(Tg>230℃)と熱安定性(空気中、220℃以上での加熱による着色性が低い)、及び高いインヘレント粘度(0.5dL/g以上)、即ち、高い分子量を有する。
【0034】
次に、本発明の芳香族ポリエステルの製造方法について説明する。本発明の光学透明芳香族ポリエステルの製造法としては、溶液重縮合法、界面重縮合法、溶融重縮合法等があるが、好ましくは溶液重縮合法又は界面重縮合法が用いられる。なかでも重合度が向上しやすく、また、製品の着色が少ないことから溶液重縮合法は特に好ましい。
【0035】
溶液重縮合に際し、ジカルボン酸成分としてはジカルボン酸クロリド化合物を用い、ジオ−ル化合物とジカルボン酸クロリド化合物のモル比は1:1.01〜1.03であることが本発明における芳香族ポリエステルを得るために好ましい。また、重合は溶媒中で行い、生成する酸を中和するため、塩基を共存させて行うことが好ましい。塩基としてはピリジン、トリエチルアミン等の窒素系の塩基が好ましい。
【0036】
重合溶媒としてはクロロホルム、1,1,2,2−テトラクロロエタン、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン等の溶解力の強い溶媒で、生成するポリマーを溶解させるものが好ましい。重合時のモノマー濃度は0.3〜3モル/Lが良く、0.5〜1.5モル/Lが特に好ましい。モノマー濃度が高すぎる場合には重合時に系の粘度が上がり過ぎ、取扱いが困難となる。
【0037】
重合条件としては常圧、通常窒素等の不活性ガス雰囲気下、溶媒の沸点以下、好ましくは−20〜50℃の範囲で行われ、より好ましくは0〜30℃の温度で行うのが良い。重合温度が高くなりすぎると、重合度の高いポリマ−が得られにくくなる。
【0038】
重合時間は特に限定されないが、通常24時間以内が、好ましくは12時間以内が用いられる。溶液の粘度の上昇に合わせ、温度や濃度を上記範囲内で変化させることは有効に用いられる。ポリマーの精製は、ポリマー溶液をメタノールやアセトンの貧溶媒中に滴下して沈殿させること、及び、メタノ−ル、アセトン、水などから選ばれる一つ又は複数の貧溶媒で室温もしくは加熱下で洗浄し、真空乾燥することにより行われる。
【0039】
本発明の芳香族ポリエステルは、溶媒溶解性に優れ、クロロホルムや塩化メチレンの塩素系溶媒の他、テトラヒドロフラン、Nメチルピロリドン、アニソ−ル、シクロヘキサノン等の非塩素系溶媒の一つ又は複数に溶解可溶である。特に、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミドから選ばれる1つ以上の非塩素系溶媒に可溶であるものは、溶液からのフィルムや塗膜形成において特に好ましい。
【0040】
また本発明の芳香族ポリエステルは、上記溶剤溶解性と共に、高いインヘレント粘度を有し、好ましくは、クロロホルム溶媒中、0.1g/dL濃度、30℃で測定したインヘレント粘度が0.5dL/g以上であるもの、特に好ましくは0.7dL/g以上であるものが良い。また本発明の芳香族ポリエステルは光学透明性を有することが必要であり、80μm厚みのフィルムにおいて、可視光の平行透過率が80%以上、好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0041】
また本発明で得られる芳香族ポリエステルは優れた耐熱性を有し、高いガラス転移温度(Tg)や高温での耐着色性に優れる。即ち、Tgとしては測定周波数=1Hz、昇温速度=2℃/分での動的粘弾性測定におけるtanδピ−ク温度が230℃以上、好ましくは240℃以上、更に好ましくは250℃以上である。
【0042】
また、高温での耐着色性は、本発明の芳香族ポリエステルから成る厚さ80μmのフィルムを空気中220℃、2時間保持した後の着色性が、色彩測定(光源D65、10度視野)により得られるL***表色座標のb*の値(イエロ−ネスインデックス、b*)で5以下であることを特徴とする。
【0043】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を更に詳しく説明する。ここで、(A)〜(D)は以下の意味を表す。
(A):イソフタル酸単位
(B):テレフタル酸単位
(C)3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位
(D)1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位
【0044】
(実施例1)
(A):(B):(C):(D)の組成比(モル%)が40:10:25:25の芳香族ポリエステルを合成するために、攪拌翼、窒素導入口を備えた重合装置にイソフタル酸クロリド16.57g(0.0816モル)、テレフタル酸クロリド4.14g(0.0204モル)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール12.12g(0.05モル)、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル14.32g(0.05モル)、ピリジン31.64g(0.4モル)、クロロホルム0.3リットルを仕込み、窒素雰囲気下で20℃で16時間、攪拌し重合させた。仕込モル比はジカルボン酸クロリド/ジオ−ル=102/100である。
【0045】
反応溶液をメタノール3.5リットル中に徐々に加え沈殿させた。得られた沈殿物をろ過し、アセトン洗浄、更に、メタノ−ル洗浄して精製した。得られたポリマーを十分に乾燥し固有粘度を測定したところ、その値は0.70dl/gであった。得られたポリマ−はジクロロメタン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレン、アニソ−ル、シクロヘキサノン等に溶解した。
【0046】
このフィルムの可視光の平行透過率を日本電色製の光透過率測定器(濁度計)NDH−300Aを用いて測定したところ、平行透過率は90%であった。
また、ガラス転移温度をセイコー電子工業製の動的粘弾性測定装置、DMS−200を用いて、昇温速度2℃/分、周波数1Hzの条件で測定したところ、ガラス転移温度(tanδ)は242℃であった。次に、キャストフィルムを空気中220℃で保持した後、着色性(イェローネスインデックス)b*を日立製作所株式会社製、紫外−可視吸収スペクロトメ−タ−U−3000を用いて測定したところ、3.2であった。
【0047】
以上の結果は、本芳香族ポリエステルが優れた耐熱性(高いTgと優れた高温耐着色性)を有すると共に、優れた溶剤溶解性、高い分子量を併せ持つ透明樹脂であることを示している。
【0048】
(実施例2)
(A):(B):(C):(D)の組成比(モル%)が40:10:45:5の芳香族ポリエステルを合成する為に、攪攪拌翼、窒素導入口を備えた重合装置にイソフタル酸クロリド16.37g(0.0824モル)、テレフタル酸クロリド4.18g(0.0206モル)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール21.81g(0.09モル)、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル2.86g(0.01モル)、ピリジン25.31g(0.32モル)、クロロホルム0.2リットルを仕込み、密閉雰囲気下で0℃で1時間攪拌し重合させ、更に50℃まで昇温させ5時間攪拌し重合させた。
仕込モル比はジカルボン酸クロリド/ジオ−ル=103/100。反応溶液の精製は実施例1と同様にして行った。得られた結果を表1に示す。
【0049】
(実施例3)
(A):(B):(C):(D)の組成比(モル%)が40:10:35:15の芳香族ポリエステルを合成するために、攪拌翼、窒素導入口を備えた重合装置にイソフタル酸クロリド16.41g(0.0808モル)、テレフタル酸クロリド4.10g(0.0202モル)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール16.96g(0.07モル)、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル8.58g(0.03モル)、トリエチルアミン60.60g(0.60モル)、クロロホルム0.5リットルを仕込み、窒素雰囲気下で40℃で5時間攪拌し重合させた。仕込モル比はジカルボン酸クロリド/ジオ−ル=101/100。反応溶液をアセトン3.5リットルに加え沈澱させた。得られた沈澱物をろ過後、メタノ−ル及び水により加熱下で洗浄した。得られた結果を表1に示す。
【0050】
(実施例4〜15)
実施例1と同様な方法で、(A)、(B)、(C)及び(D)の含有比率の異なる芳香族ポリエステルを調製した。得られたポリマ−の特性を表1にまとめて示す。尚、表1における溶剤溶解性の結果は、塩素系溶媒以外の溶媒で溶解するもので、特に3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールを所定比率で含むことによる改良効果を示すものを主として示した。
【0051】
表1中に溶解性試験に用いた溶剤種を、下記の記号で示す。
T:トルエン、DMF:ジメチルホルムアミド、CH:シクロヘキサノン、A:アニソ−ル、THF:テトラヒドロフラン、NMP:N−メチルピロヒドン。
【0052】
【表1】
Figure 0003906951
────────────────────────────────────
【0053】
(比較例1〜4)
実施例1と同様な方法で、表1に示す組成の芳香族ポリエステルを調製した。得られたポリマ−の特性を表2にまとめて示す。但し、比較例3では1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)のかわりにビスフェノ−ルA単位(Eに記載)を、比較例4ではビスフェノ−ルF単位(Eに記載)を用いた。
【0054】
【表2】
Figure 0003906951
【0055】
比較例1のポリマーは塩素系溶媒以外には溶解しなかった。また、比較例4のポリマーはクロロホルムにも溶解しなかった。比較例4のTgは示差熱分析装置(DSC:セイコ−電子工業株式会社、DSC−220:20℃/分)によった。比較例1〜4のいずれのポリマ−もトルエン、キシレンに溶解せず、また、高温での着色性も大きかった。
【0056】
(比較例5及び6)
ジオ−ルが1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルのみであって、ジカルボン酸がテレフタル酸のみ(比較例5)、又はイソフタル酸のみ(比較例6)からなること以外は、実施例1と同様な方法で芳香族ポリエステルを調製した。得られたポリマ−のインヘレント粘度は0.21(比較例5)、及び0.19(比較例6)と小さく、評価に十分なフィルムは得られなかった。
【0057】
(比較例7〜10)
表3に示す組成であること以外は、実施例1と同様な方法で芳香族ポリエステルを調製した。しかし、得られた芳香族ポリエステルはいずれもクロロホルムにも溶解しなかった。
【0058】
【表3】
Figure 0003906951
【0059】
本発明の芳香族ポリエステルの1例として、実施例1で得た芳香族ポリエステルを日本電子工業株式会社製のFT−NMR、JNM−GSX−400NMRを用いて測定したNMRスペクトル(重水素クロロホルム溶媒)を図1に示す。
また、実施例1で得た芳香族ポリエステル0.5gをクロロホルム10gに溶解し、ガラス板上にキャストして溶媒を蒸発させた後、150℃の乾燥器中で十分乾燥して得た、厚さ80μmのフィルムを用い、日本分光株式会社製FT/IR−500で測定した赤外線吸収スペクトルを図2に示す。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、優れた、透明性、耐熱性(高いTg及び優れた高温耐着色性)、高い分子量(インヘレント粘度)、溶媒溶解性を有する芳香族ポリエステル及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明の芳香族ポリエステルのNMRチヤートを示す。
【図2】実施例1で得られた本発明の芳香族ポリエステルの赤外線吸収スペクトルを示す。

Claims (10)

  1. イソフタル酸単位(A)と、テレフタル酸単位(B)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル(D)単位とから成る芳香族ポリエステル。
  2. イソフタル酸単位(A)と、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル(D)単位とから成る芳香族ポリエステル。
  3. 30〜50モル%のイソフタル酸単位(A)と、0〜20モル%のテレフタル酸単位(B)と、10〜48モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、2〜40モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とから成る、請求項1又は2に記載の芳香族ポリエステル。
  4. 10〜30モル%のイソフタル酸単位(A)と、20〜40モル%のテレフタル酸単位(B)と、10〜35モル%の3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール単位(C)と、15〜40モル%の1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル単位(D)とから成る、請求項1に記載の芳香族ポリエステル。
  5. クロロホルム溶液(濃度0.1g/dL、温度30℃)でのインヘレント粘度が0.5dL/g以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の芳香族ポリエステル。
  6. ガラス転移温度(測定周波数=1Hz、昇温速度=2℃/分での動的粘弾性測定におけるtanδピ−ク温度)が230℃以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の芳香族ポリエステル。
  7. (イソフタル酸クロライド + テレフタル酸クロライド)/(3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール + 1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ル)のモル比が1.01〜1.03であるように、イソフタル酸クロライドと、テレフタル酸クロライドと、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと、1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルを溶媒に溶解し、脱酸剤触媒共存下、−20〜50℃にて撹拌させることにより重縮合反応を行なうことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の芳香族ポリエステルの製造方法。
  8. ジカルボン酸成分としてのイソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドが30〜50モル%と0〜20モル%であり、ジオール成分としての3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルが10〜48モル%と2〜40モル%であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  9. ジカルボン酸成分としてのイソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドが30〜50モル%と0〜20モル%であり、ジオール成分としての3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルが10〜48モル%と2〜40モル%であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
  10. ジカルボン酸成分としてのイソフタル酸クロライドとテレフタル酸クロライドが10〜30モル%と20〜40モル%であり、ジオール成分としての3,3’−5,5’−テトラメチル−4,4’−ビフェノールと1,1’−ビナフタレン−2,2’−ジオ−ルが10〜35モル%と15〜40モル%であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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