WO2024024626A1

WO2024024626A1 - グラファイトシート包装体、グラファイトシート包装体の製造方法、及び電子部品の製造方法

Info

Publication number: WO2024024626A1
Application number: PCT/JP2023/026591
Authority: WO
Inventors: 典裕河村; 尚紀齋藤; 洋次白土
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2022-07-29
Filing date: 2023-07-20
Publication date: 2024-02-01

Abstract

グラファイトシートが破損しにくくなるグラファイトシート包装体、グラファイトシート包装体の製造方法、及び電子部品の製造方法を提供する。グラファイトシート包装体（１）は、第１シート部材（３）と、グラファイトシート（５）と、第２シート部材（４）とを備えている。第１シート部材（３）は、一面に粘着層（６）を有する。グラファイトシート（５）は、粘着層（６）に剥離可能な状態で貼られている平板状の部材である。第２シート部材（４）は、グラファイトシート（５）を覆うように配置され、グラファイトシート（５）の周囲において、第１シート部材（３）に剥離可能な状態で貼られている。

Description

グラファイトシート包装体、グラファイトシート包装体の製造方法、及び電子部品の製造方法

　本開示は、グラファイトシート包装体、グラファイトシート包装体の製造方法、及び電子部品の製造方法に関する。

　近年電子機器の各種機能や処理能力等が急速に向上し、それに伴い半導体素子をはじめとする電子部品からの発熱量は増加する傾向にある。そのため、ＦＥＴ（Field Effect Transistor）等の半導体素子などから発生する熱を瞬時に拡散させることのできる高熱伝導性放熱基板として、グラファイトシートを用いることが提案されている（例えば、特許文献１を参照）。

　一般にグラファイトシートは、大判のシートから所定の形状に打抜かれ、複数の個片となる。そして、個片は外観検査され、プラスチック製の袋内にある程度自由に動けるように詰められ、その後にプラスチック製の袋は封止される。ユーザは、このプラスチック製の袋を開封し、グラファイトシートを取り出して半導体素子などに取り付ける。

特開平１０－５６１１４号公報

　上述のように個片化されたグラファイトシートは一つ一つをハンドリングする必要があるので、作業工数が多くなる。

　また、個片化されたグラファイトシートは、樹脂シート等と比べて破損しやすく、そのために製造時、搬送時、又は包装からの取り出し時にグラファイトシートが破損する可能性が高い。特に、ユーザがグラファイトシートをプラスチック製の袋から取り出す際にグラファイトシートが破損しやすい。

　本開示は上記の点に鑑みてなされたものであり、グラファイトシートを破損しにくくできるグラファイトシート包装体、グラファイトシート包装体の製造方法、及び電子部品の製造方法を提供することを目的とする。

　本開示の一態様に係るグラファイトシート包装体は、第１シート部材と、グラファイトシートと、第２シート部材とを備えている。前記第１シート部材は、一面に粘着層を有する。前記グラファイトシートは、前記粘着層に剥離可能な状態で貼られている平板状の部材である。前記第２シート部材は、前記グラファイトシートを覆うように配置され、前記グラファイトシートの周囲において、前記第１シート部材に剥離可能な状態で貼られている。

　本開示の他の一態様に係るグラファイトシート包装体の製造方法は、第１工程と、第２工程と、第３工程と、第４工程と、を含む。前記第１工程では、加工前グラファイトシートを準備する。前記第２工程では、前記加工前グラファイトシートを、表面に粘着層を有する第１シート部材に貼り付ける。前記第３工程では、前記加工前グラファイトシートを所定形状に切断した後、前記加工前グラファイトシートの不要部を前記第１シート部材から剥離することで、前記第１シート部材上にグラファイトシートを配置させる。前記第４工程では、前記第１シート部材と前記グラファイトシートとを前記第２シート部材で覆うとともに、前記グラファイトシートの周囲において、前記第１シート部材と前記第２シート部材とを貼り付けてグラファイトシート包装体を構成する。前記グラファイトシート及び前記第２シート部材は、前記第１シート部材から剥離可能である。

　本開示のさらに他の態様に係る電子部品の製造方法は、上述のグラファイトシート包装体の製造方法を用いて製造された前記グラファイトシート包装体から、前記グラファイトシートを取り外す第５工程と、前記第５工程の後、前記グラファイトシートを、発熱部品と放熱部品との間に介在させて電子部品を製造する第６工程と、を含む。

　本開示の一態様に係るグラファイトシート包装体、グラファイトシート包装体の製造方法、及び電子部品の製造方法によれば、グラファイトシートが破損しにくくなる。

図１は、第１実施形態に係るグラファイトシート包装体の斜視図である。図２は、同上のグラファイトシート包装体の分解斜視図である。図３は、同上のグラファイトシート包装体の断面図である。図４は、同上のグラファイトシート包装体をプラスチック製の袋にパックした状態を示す斜視図である。図５は、同上のグラファイトシート包装体の第２シート部材の一部を第１シート部材から剥がした状態を示す斜視図である。図６は、同上のグラファイトシート包装体の製造工程の一工程を示す斜視図である。図７は、同上のグラファイトシート包装体の製造工程の一工程を示す斜視図である。図８は、同上のグラファイトシート包装体の製造工程の一工程を示す斜視図である。図９は、同上のグラファイトシートが用いられた電子部品の模式的断面図である。図１０は、第２実施形態に係るグラファイトシート包装体の分解斜視図である。図１１は、同上のグラファイトシート包装体の断面図である。図１２は、第３実施形態に係るグラファイトシート包装体の斜視図である。

　（実施形態）
　以下、本開示の実施形態に係るグラファイトシート包装体について図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例に過ぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。

　（第１実施形態）
　図１～図３を用いて、本開示の第１実施形態におけるグラファイトシート包装体１を説明する。

　グラファイトシート包装体１は、複数のグラファイトシート５を包装した状態にして保管や搬送を可能にしたものである。

　（１）グラファイトシート包装体の基本構成
　グラファイトシート包装体１は、第１シート部材３と、第２シート部材４と、複数（図１では、１０個）のグラファイトシート５と、を有している。

　（２）第１シート部材
　第１シート部材３は、微粘着性テープである。微粘着性とは、対象材料に適度な粘着性を有し、剥離した時に対象材料に粘着物が残らない粘着剤を意味している。例えば、第１シート部材３は、主に絶縁シートからなり、粘着層６が絶縁シートの上面（グラファイトシート５及び第２シート部材４が対向する面）に設けられている。絶縁シートは、例えば、厚さ約７５μｍのポリエチレンテレフタレート（以下ＰＥＴと記す）からなる。粘着層６は、例えば、優れた再剥離性を持った微粘着タイプのアクリル系粘着剤又はシリコーン系粘着剤である。

　なお、第１シート部材３の厚さは、例えば、５０～１５０μｍであり、７０～８０μｍであることが好ましい。

　（３）グラファイトシート
　グラファイトシート５は、複数のグラファイト層が厚さ方向に積層されたものである。グラファイトシート５は、多孔質であり、表面に微細な凹凸を有している。「グラファイト層」とは、黒鉛からなる層であって、１又は複数、好ましくは１～３層のグラフェン層を含む。「グラフェン層」とは、炭素原子が六角形のハニカム格子状に配置された層であって、通常、単層である。

　グラファイトシート５は、図１～３に示すように、第１シート部材３の粘着層６に剥離可能な状態で貼られている。グラファイトシート５は、概ね四角形であり、複数の切り欠きを有している。グラファイトシート５の各辺の長さは例えば十数～数十ｍｍ程度である。

　グラファイトシート５の厚さは、３μｍ以上１０００μｍ以下であり、１５０μｍ以下が好ましい。なお、薄型のグラファイトシートとしては、厚さが２５μｍ以下、１７μｍ以下、１０μｍ以下の製品がある。

　（４）第２シート部材
　第２シート部材４は、グラファイトシート５を覆うように配置されている。第２シート部材４は、第１シート部材３と同様に、主に絶縁シートからなる。第２シート部材４は、図１～３に示すように、グラファイトシート５の上面を覆って剥離可能に密着している。つまり、第２シート部材４の下面は、グラファイトシート５の上面、さらに、第１シート部材３の粘着層６に密着している。第１シート部材３と第２シート部材４の密着部分は、図３に示すように、第２シート部材４がグラファイトシート５の周囲において第１シート部材３に剥離可能な状態で貼られた粘着部分１１となっている。この粘着部分１１によって、第２シート部材４を第１シート部材３に貼るだけで、グラファイトシート５を個別に包装した状態にできている。その結果、グラファイトシート５が第１シート部材３と第２シート部材４との間で移動しにくくなり、搬送の途中で剥がれ落ちたりしにくくなる。また、個々のグラファイトシートの周りで第１シート部材と第２シート部材とが互いに粘着する部分が粘着部分１１となるので、グラファイトシートの形状サイズに合わせて粘着部分を予め形成しておく必要がなく、形状サイズに合わせた特別な加工が不要になる。

　第２シート部材４の厚さは、第１シート部材３の厚さよりも薄いことが好ましい。第２シート部材４の厚さは、例えば、１０～１００μｍであり、２５～３２μｍであることが好ましい。

　特に、第２シート部材４の厚さは５０μｍ以下であることが好ましい。第２シート部材４の厚さが５０μｍを超えると、第２シート部材４が曲がりにくくなるので、グラファイトシート５の間に粘着部分１１を設けるためには、グラファイトシート５同士の隙間つまり製品ピッチ（粘着部分１１が形成可能な領域）を非常に大きくしなければならない。しかし、グラファイトシート５同士の隙間を大きくすると、一枚の加工前グラファイトシートから得られるグラファイトシートの数が減ったり、除去する部分するが増えたりするため、材料効率や打抜き作業効率が悪くなる。

　第１シート部材３と第２シート部材４の粘着部分１１を確保して、この粘着によりグラファイトシート５を固定するためには、下記の条件が満たされることが好ましい。

　第２シート部材４の厚さが５０μｍ以下の場合、製品ピッチは、１ｍｍ以上、かつグラファイト厚みＡ×２０倍以上であることが好ましい。一例として、グラファイトシート５の厚さが７５μｍの場合は、製品ピッチは１．５ｍｍ以上あることが好ましい。

　第２シート部材４が更に薄い（２５μｍ等）場合は、製品ピッチを更に狭くできる。ただし、グラファイトシート打ち抜き後に不要部を取り除くときに作業性を確保するために、製品ピッチは１ｍｍ以上あることが好ましい。一例として、グラファイトシート５の厚さが２５μｍの場合、製品ピッチは１．０ｍｍ以上あることが好ましい。

　一般的に、グラファイトシート５は第１シート部材３から剥離するときに大きな曲げを加えることが好ましくない。グラファイトシート５は比較的脆い機械的性質を有しているので、大きく曲げられると割れてしまって、熱拡散性が低下するからである。また、一般的にグラファイトシート５を第１シート部材３から剥離する場合、第１シート部材３をグラファイトシート５を設置した側と反対側に曲げて、第１シート部材３からグラファイトシート５の端部が浮き上がるように隙間を発生させることで剥離する。このとき、グラファイトシート５が薄い（５０μｍ以下)の場合、グラファイトシート５は柔らかいので、第１シート部材３を曲げた時に第１シート部材３に追従して曲がってしまい、グラファイトシート５の端部が浮き上がりにくいという問題がある。

　それに対して、本実施形態では、グラファイトシート包装体１において、第２シート部材４によって、グラファイトシート５を第１シート部材３に仮止めしているので、グラファイトシート５と第１シート部材３との剥離強度を低くできる。したがって、グラファイトシート５が薄くても、グラファイトシート５を第１シート部材３から剥離する時に、グラファイトシート５に破損や反りが発生しにくい。また、グラファイトシート５が薄くても、グラファイトシート５を第１シート部材３から剥離する時に、グラファイトシート５の端部を第１シート部材３から浮き上がらせやすい。

　（５）第１シート部材、第２シート部材、グラファイトシート間の剥離強度
　第１シート部材３と第２シート部材４との剥離強度は、第１シート部材３とグラファイトシート５との剥離強度よりも高い。第１シート部材３と第２シート部材４との剥離強度は、０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上２．００Ｎ／２５ｍｍ以下である。第１シート部材３とグラファイトシート５との剥離強度は、０．０１Ｎ／２５ｍｍ以上０．２０Ｎ／２５ｍｍ以下である。このように第１シート部材３とグラファイトシート５との剥離強度を、第１シート部材３と第２シート部材４との剥離強度に比べて低く設定することで、グラファイトシート５を第１シート部材３から剥がしやすくなり、さらに破損や変形を防止できる。特に、上記のように第１シート部材３とグラファイトシート５との剥離強度を低く設定することは、グラファイトシート５の厚さが薄い場合（例えば、２５μｍ以下の場合）に効果的である。

　しかし、この場合、第１シート部材３の粘着強度が非常に低いので、その後の検査等のハンドリングや搬送時にグラファイトシート５が剥がれ落ちてしまう場合があり得る。この対策として、第２シート部材４においてグラファイトシート５の周囲において第１シート部材３に剥離可能な状態で貼られた粘着部分１１を設けることにより、グラファイトシート５を個別に包装した状態にしている。そのため、グラファイトシート５が第１シート部材３と第２シート部材４との間で移動しにくくなり、その結果、搬送の途中で剥がれ落ちにくくなる。

　なお、第１シート部材３とグラファイトシート５との剥離強度が０．０１Ｎ／２５ｍｍ未満であれば、加工前グラファイトシートを打ち抜いて不要部分を除去するとき又はその後に、グラファイトシート５を第１シート部材３上に保持することが難しくなる。また、第１シート部材３とグラファイトシート５との剥離強度が０．２０Ｎ／２５ｍｍを超えれば、破損等の不具合を生じさせることなくグラファイトシート５を第１シート部材３から剥がすことが難しくなる。

　逆にグラファイトシート５の厚さが厚い場合（例えば、２５μｍを超える場合）は、第１シート部材３とグラファイトシート５との剥離強度は、例えば、０．２１Ｎ／２５ｍｍ以上０．８Ｎ／２５ｍｍ以下にしてもよい。

　（６）効果
　本実施形態によれば、第２シート部材４がグラファイトシート５の周囲において、第１シート部材３に剥離可能な状態で貼られているので、グラファイトシート５と第１シート部材３の剥離強度を低くしても、グラファイトシート５を第１シート部材３に保持できる。その結果、グラファイトシート５と第１シート部材３の剥離強度を低くすることができ、それによりグラファイトシート５を第１シート部材３から剥がすときにグラファイトシート５が破損しにくくなる。

　さらにグラファイトシート５は、第１シート部材３と第２シート部材４に覆われた状態で、外観検査、プラスチック製の袋に入れる作業が行われるので、搬送や包装からの取り出し時に他の物や作業者の手が直接当たることがなく、そのためグラファイトシート５のキズや破損のリスクが大幅に低減する。

　特に、本実施形態では、複数のグラファイトシート５が、グラファイトシート包装体１として（第１シート部材３に複数個のグラファイトシート５が仮固定され、第２シート部材４で覆われた状態で）取り扱われる。つまり、複数のグラファイトシート５はグラファイトシート包装体１の状態で外観検査され、さらに図４に示すようにプラスチック製の袋９に入れて包装される。以上に述べたように、個片状態のグラファイトシートを一つ一つハンドリングするのではなく、第１シート部材３に仮固定された複数のグラファイトシート５をハンドリングするので、作業性が良くなり工数を削減できる。

　（７）グラファイトシート包装体の使用方法
　複数のグラファイトシート包装体１は、図４に示すように、プラスチック製の袋９に入れられて保管や輸送される。

　使用時に、ユーザは、グラファイトシート包装体１をプラスチック製の袋９から取り出す。

　そして、図５に示すように、ユーザは第２シート部材４を第１シート部材３から剥がす。このとき、グラファイトシート５は第１シート部材３に残る。

　最後に、第１シート部材３を上に凸となるように湾曲させることで、第１シート部材３のグラファイトシート５が貼り付いている側の面を凸になるように湾曲させて、第１シート部材３からグラファイトシート５を剥離させ、最後にグラファイトシート５を第１シート部材３から取り出す。前述のようにグラファイトシート５と第１シート部材３との剥離強度を、第１シート部材３と第２シート部材４との剥離強度よりも低くしているので、グラファイトシート５が薄くても、グラファイトシート５を第１シート部材３から剥がす時に、グラファイトシート５に破損や反りが発生しにくい。なお、従来の課題として、グラファイトシート５が薄い場合、粘着力が強いと、第１シート部材３及びグラファイトシート５を湾曲させてグラファイトシート５を剥がそうとしても、グラファイトシート５が第１シート部材３に貼り付いたまま湾曲して、グラファイトシート５を剥がしづらかった。その結果、剥がすときにグラファイトシート５を破損させたり、反り・折れが生じることがあった。本実施形態は上記課題の解決に貢献している。

　（８）グラファイトシート包装体の製造方法
　最初に、加工前グラファイトシート５１を準備する（第１工程の一例）。加工前グラファイトシート５１は大判の四角形状のシート材である。

　次に、図６に示すように、加工前グラファイトシート５１を、第１シート部材３の粘着層６に貼り付ける（第２工程の一例）。

　次に、図７に示すように加工前グラファイトシート５１を所定形状に切断することで、複数のグラファイトシート５を打ち抜く（第３工程の一例）。この加工は、第１シート部材３の途中まで刃を入れるハーフカットである。その後に、図８に示すように加工前グラファイトシート５１の不要部５２を第１シート部材３から剥離して除去する（第３工程の一例）。この結果、第１シート部材３上に複数のグラファイトシート５が残る。なお、打抜き及び不要部除去は、自動機で効率よく実行できる。

　最後に、第１シート部材３と複数のグラファイトシート５とを第２シート部材で覆う（第４工程の一例）。これにより、図１に示すように、グラファイトシート５の周囲において、第１シート部材３と第２シート部材４とが貼り付けられ、グラファイトシート包装体１が得られる。

　（９）電子部品の製造方法
　図９を用いて、グラファイトシート５を用いた電子部品２０の製造方法を説明する。

　前述のように、グラファイトシート包装体１から、グラファイトシート５を取り外す（第５工程の一例）。

　次に、グラファイトシート５を、発熱部品２１と放熱部品２２との間に介在させて電子部品２０を製造する（第６工程の一例）。発熱部品２１は、例えば、スイッチング素子やＩＧＢＴ等のパワートランジスタである。放熱部品２２は、例えば、ヒートシンク、熱容量が大きな部材、熱輸送機能を有する基板である。

　具体的には、図９に示すように、グラファイトシート５は、発熱部品２１とヒートシンクのような放熱部品２２との間に配置され、挟み付けられるように固定される。これにより、グラファイトシート５は、発熱部品２１より所定の圧力を加えられて圧縮された状態で、発熱部品２１と放熱部品２２との間に配置される。発熱部品２１が発熱すると、発熱部品２１の熱がグラファイトシート５を介して放熱部品２２に伝熱されるので、発熱部品２１の熱を効率良く放熱することができる。

　（第２実施形態）
　図１０～１１を用いて、低熱抵抗のグラファイトシート５Ａを包装した状態で、保管や搬送を可能にしたグラファイトシート包装体１Ａを説明する。

　（１）グラファイトシート包装体の基本構成
　グラファイトシート包装体１Ａは、第１シート部材３Ａと、第２シート部材４Ａと、１個のグラファイトシート５Ａと、両面テープ８Ａと、を有している。

　（２）第１シート部材
　第１シート部材３Ａは、微粘着性テープである。微粘着性とは、対象材料に適度な粘着性を有し、剥離した時に対象材料に粘着物が残らない粘着剤を意味している。例えば、第１シート部材３Ａは、主に絶縁シートからなり、粘着層６Ａが絶縁シートの上面（グラファイトシート５Ａ及び第２シート部材４Ａと対向する面）に設けられている。絶縁シートは、例えば、厚さ約７５μｍのポリエチレンテレフタレート（以下ＰＥＴと記す）からなる。粘着層６Ａは、例えば、シリコーン系粘着剤である。

　（３）グラファイトシート
　グラファイトシート５Ａは、図１０～１１に示すように、第１シート部材３Ａの粘着層６Ａに剥離可能な状態で貼られている。グラファイトシート５Ａの厚さは、３μｍ以上１５０μｍ以下である。なお、薄型のグラファイトシートとしては、厚さが２５μｍ以下、１７μｍ以下、１０μｍ以下の製品がある。

　グラファイトシート５Ａの下面には、仮止め用の一対の細い帯状の両面テープ８Ａが互いに離れて配置されている。両面テープ８Ａは、グラファイトシート５Ａを例えば放熱部品に仮止めするための部材である。両面テープ８Ａは、アクリル系粘着剤からなり、粘着層６Ａとの剥離強度は非常に低い。

　以上の構成において、グラファイトシート５Ａは、両面テープ８Ａ以外の部分において、第１シート部材３Ａの粘着層６Ａに粘着されている。

　（４）第２シート部材
　第２シート部材４Ａは、グラファイトシート５Ａを覆うように配置されている。第２シート部材４Ａは、第１シート部材３Ａと同様に、主に絶縁シートからなる。第２シート部材４Ａは、グラファイトシート５Ａの上面を覆って剥離可能に密着している。さらに、第２シート部材４Ａは、第１実施形態と同様に、グラファイトシート５の周囲において、第１シート部材３Ａに剥離可能な状態で貼られ粘着部分１１Ａを有している。この粘着部分１１Ａによって、第２シート部材４Ａを第１シート部材３Ａに貼るだけで、グラファイトシート５Ａを個別に包装した状態にできている。その結果、グラファイトシート５Ａが第１シート部材３Ａと第２シート部材４Ａとの間で移動しにくくなり、搬送の途中で剥がれ落ちたりしにくくなる。また、個々のグラファイトシートの周りで第１シート部材と第２シート部材とが互いに粘着する部分が粘着部分１１となるので、グラファイトシートの形状サイズに合わせて粘着部分を予め形成しておく必要がなく、形状サイズに合わせた特別な加工が不要になる。

　第２シート部材４Ａの厚さは、第１シート部材３Ａの厚さよりも薄い。第２シート部材４Ａの厚さは、例えば、１０～１００μｍであり、２５～３２μｍであることが好ましい。特に、第２シート部材４Ａの厚さは５０μｍ以下であることが好ましい。

　上述のように、グラファイトシート包装体１Ａにおいて、第２シート部材４Ａによって、グラファイトシート５Ａを第１シート部材３Ａに仮止めしているので、グラファイトシート５Ａと第１シート部材３Ａとの剥離強度を低くできる。したがって、グラファイトシート５Ａが薄くても、グラファイトシート５Ａを第１シート部材３Ａから剥がす時に、グラファイトシート５Ａに破損や反りが発生しにくい。

　第１シート部材３Ａ、第２シート部材４Ａ、グラファイトシート５Ａ間の剥離強度の関係は第１実施形態と同じである。

　（５）効果
　本実施形態によれば、第２シート部材４Ａがグラファイトシート５Ａの周囲において、第１シート部材３Ａに剥離可能な状態で貼られているので、グラファイトシート５Ａと第１シート部材３Ａの剥離強度を低くしても、グラファイトシート５Ａを第１シート部材３Ａに保持できる。その結果、グラファイトシート５Ａと第１シート部材３Ａの剥離強度を低くすることができ、それによりグラファイトシート５Ａを第１シート部材３から剥がすときにグラファイトシート５Ａが破損しにくくなる。

　さらにグラファイトシート５Ａは、第１シート部材３Ａと第２シート部材４Ａに覆われた状態で、外観検査、プラスチック製の袋に入れる作業が行われるので、搬送やプラスチック製の袋への封入又は取り出し時に他の物や作業者の手が直接当たることがなく、そのためグラファイトシート５Ａのキズや破損のリスクが大幅に低減する。

　（第３実施形態）
　図１２を用いて、第３実施形態を説明する。

　グラファイトシート包装体１Ｂは、複数のグラファイトシート５を包装した状態にして保管や搬送を可能にしたものである。

　グラファイトシート包装体１Ｂは、第１実施形態と同様に、第１シート部材３Ｂと、第２シート部材４Ｂと、複数（図１２では、１０個）のグラファイトシート５Ｂと、を有している。

　各グラファイトシート５Ｂの下面には、第２実施形態と同様に、仮止め用の一対の細い帯状の両面テープ８Ｂが互いに離れて配置されている。

　この実施形態では、第１実施形態と同じ効果が得られる。

　（変形例）
　上述の実施形態は、本開示の様々な実施形態のいくつかに過ぎない。上述の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、上述の実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。

　第１シート部材及び第２シート部材の材料や層構成は特に限定されない。

　粘着層の種類や形成方法は特に限定されない。

　第２シート部材は、絶縁シートの下面（グラファイトシート及び第１シート部材が対向する面）に設けられた粘着層を有していてもよい。

　グラファイトシートの平面視形状やサイズは特に限定されない。

　電子部品の構成や種類は特に限定されない。

　（態様）
　本明細書には、以下の態様が開示されている。

　第１の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）は、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）と、第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）とを備える。第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）は、一面に粘着層（６、６Ａ）を有する。グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）は、粘着層（６、６Ａ）に剥離可能な状態で貼られている平板状の部材である。第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）は、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を覆うように配置され、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）の周囲において、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）に剥離可能な状態で貼られている。

　この態様によれば、第２シート部材４（４、４Ａ～４Ｂ）がグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）の周囲において、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）に剥離可能な状態で貼られているので、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）と第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）の剥離強度を低くしても、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）に保持できる。その結果、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）と第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）の剥離強度を低くすることができ、それによりグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）から剥がすときにグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）が破損しにくくなる。

　さらにグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）は、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）に覆われた状態で、外観検査、プラスチック製の袋に入れる作業が行われるので、搬送や包装からの取り出し時に他の物や作業者の手が直接当たることがなく、そのためグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）のキズや破損のリスクが大幅に低減する。

　第２の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）では、第１の態様において、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）の厚さは、３μｍ以上１５０μｍ以下である。

　この態様によれば、薄型のグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）であっても破損しにくい。

　第３の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）では、第１又は第２の態様において、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）との剥離強度は、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）とグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）との剥離強度よりも高い。

　この態様によれば、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）とグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）との剥離強度を低くすることで、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）から剥がすときにグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）が破損しにくくなる。

　第４の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）では、第１～第３の態様のいずれか１つにおいて、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）とグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）との剥離強度は、０．０１Ｎ／２５ｍｍ以上０．２０Ｎ／２５ｍｍ以下である。第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）との剥離強度は、０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上２．００Ｎ／２５ｍｍ以下である。

　第５の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）では、第１～第４の態様のいずれか１つにおいて、第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）の厚さは、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）の厚さよりも薄い。

　この態様によれば、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）上に残した状態で第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）から剥がす作業が容易になる。

　第６の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）の製造方法は、第１工程と、第２工程と、第３工程と、第４工程と、を含む。第１工程では、加工前グラファイトシート（５１）を準備する。第２工程では、加工前グラファイトシート（５１）を、表面に粘着層（６、６Ａ）を有する第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）に貼り付ける。第３工程では、加工前グラファイトシート（５１）を所定形状に切断した後、加工前グラファイトシート（５１）の不要部を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）から剥離することで、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）上にグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を配置させる。第４工程では、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）とグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）とを第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）で覆うとともに、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）の周囲において、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）とを貼り付けてグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）を構成する。グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）及び第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）は、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）から剥離可能である。

　この態様によれば、第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）がグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）の周囲において、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）に剥離可能な状態で貼られているので、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）と第１シート部材の剥離強度を低くしても、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）に保持できる。その結果、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）と第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）の剥離強度を低くすることができ、それによりグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）から剥がすときにグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）が破損しにくくなる。さらにグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）は第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）に覆われているので、搬送や包装からの取り出し時に他の物に直接当たることがない。その結果、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）が破損しにくくなる。

　第７の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）では、第６の態様において、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）の厚さは、３μｍ以上１５０μｍ以下である。第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）との剥離強度は、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）とグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）との剥離強度よりも高い。

　第８の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）では、第６又は第７の態様において、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）とグラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）との剥離強度は、０．０１Ｎ／２５ｍｍ以上０．２０Ｎ／２５ｍｍ以下である。第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）と第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）との剥離強度は、０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上２．００Ｎ／２５ｍｍ以下である。

　第９の態様に係るグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）では、第６～第８の態様のいずれか１つにおいて、第２シート部材（４、４Ａ～４Ｂ）の厚さは、第１シート部材（３、３Ａ～３Ｂ）の厚さよりも薄い。

　第１０の態様に係る電子部品（２０）の製造方法は、第６～第９の態様のいずれか１つのグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）の製造方法を用いて製造されたグラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）から、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を取り外す第５工程と、第５工程の後、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を、発熱部品（２１）と放熱部品（２２）の間に介在させて電子部品（２０）を製造する第６工程と、を含む。

　この態様によれば、グラファイトシート包装体（１、１Ａ～１Ｂ）から、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を取り外す第５工程の前及び第５工程において、グラファイトシート（５、５Ａ～５Ｂ）を取り扱うときの作業性が向上する。

１、１Ａ～１Ｂ：グラファイトシート包装体
３、３Ａ～３Ｂ：第１シート部材
４、４Ａ～４Ｂ：第２シート部材
５、５Ａ～５Ｂ：グラファイトシート
６、６Ａ：粘着層
１１、１１Ａ：粘着部分
２０：電子部品
２１：発熱部品
２２：放熱部品
５１：加工前グラファイトシート

Claims

　一面に粘着層を有する第１シート部材と、
　前記粘着層に剥離可能な状態で貼られている平板状のグラファイトシートと、
　前記グラファイトシートを覆うように配置され、前記グラファイトシートの周囲において、前記第１シート部材に剥離可能な状態で貼られている第２シート部材と、
を備える、
グラファイトシート包装体。
　前記グラファイトシートの厚さは、３μｍ以上１５０μｍ以下である、
請求項１に記載のグラファイトシート包装体。
　前記第１シート部材と前記第２シート部材との剥離強度は、前記第１シート部材と前記グラファイトシートとの剥離強度よりも高い、
請求項１又は２に記載のグラファイトシート包装体。
　前記第１シート部材と前記グラファイトシートとの剥離強度は、０．０１Ｎ／２５ｍｍ以上０．２０Ｎ／２５ｍｍ以下であり、
　前記第１シート部材と前記第２シート部材との剥離強度は、０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上２．００Ｎ／２５ｍｍ以下である、
請求項３に記載のグラファイトシート包装体。
　前記第２シート部材の厚さは、前記第１シート部材の厚さよりも薄い、
請求項１～４のいずれかに記載のグラファイトシート包装体。
　加工前グラファイトシートを準備する第１工程と、
　前記加工前グラファイトシートを、表面に粘着層を有する第１シート部材に貼り付ける第２工程と、
　前記加工前グラファイトシートを所定形状に切断した後、前記加工前グラファイトシートの不要部を前記第１シート部材から剥離することで、前記第１シート部材上にグラファイトシートを配置させる第３工程と、
　前記第１シート部材と前記グラファイトシートとを第２シート部材で覆うとともに、前記グラファイトシートの周囲において、前記第１シート部材と前記第２シート部材とを貼り付けてグラファイトシート包装体を構成する第４工程と、
を含み、
　前記グラファイトシート及び前記第２シート部材は、前記第１シート部材から剥離可能である、グラファイトシート包装体の製造方法。
　前記グラファイトシートの厚さは、３μｍ以上１５０μｍ以下であり、
　前記第１シート部材と前記第２シート部材との剥離強度は、前記第１シート部材と前記グラファイトシートとの剥離強度よりも高い、
請求項６に記載のグラファイトシート包装体の製造方法。
　前記第１シート部材と前記グラファイトシートとの剥離強度は、０．０１Ｎ／２５ｍｍ以上０．２０Ｎ／２５ｍｍ以下であり、
　前記第１シート部材と前記第２シート部材との剥離強度は、０．１５Ｎ／２５ｍｍ以上２．００Ｎ／２５ｍｍ以下である、
請求項６又は７に記載のグラファイトシート包装体の製造方法。
　前記第２シート部材の厚さは、前記第１シート部材の厚さよりも薄い、
請求項６～８のいずれかに記載のグラファイトシート包装体の製造方法。
　請求項６～９のいずれかに記載のグラファイトシート包装体の製造方法を用いて製造された前記グラファイトシート包装体から、前記グラファイトシートを取り外す第５工程と、
　前記第５工程の後、前記グラファイトシートを、発熱部品と放熱部品との間に介在させて電子部品を製造する第６工程と
を含む、
電子部品の製造方法。