WO2023233687A1

WO2023233687A1 - 蓄電デバイス用圧力解放弁

Info

Publication number: WO2023233687A1
Application number: PCT/JP2022/044789
Authority: WO
Inventors: 仁志宮前; 隆浩青沼
Original assignee: 株式会社パイオラックス
Priority date: 2021-06-04
Filing date: 2022-12-05
Publication date: 2023-12-07
Also published as: WO2022255377A1

Abstract

ケースに取付けしやすく且つケースから外れにくい蓄電デバイス用圧力解放弁を提供する。この蓄電デバイス用圧力解放弁１０は、筒状のシール部材２０と、バルブユニット１５とを有し、バルブユニット１５は、ベース部材側係合部４５を設けたベース部材と、弁体７０と、コイルバネ９０とを有し、シール部材２０内周面には、所定挿入位置でベース部材のベース部材側係合部４５に係合する仮係合部２５と、それよりも深い挿入位置でベース部材のベース部材側係合部４５に係合する本係合部２６とが設けられ、シール部材２０の外周面には抜け止め部２７が設けられており、抜け止め部２７は、仮保持状態で内側に撓み可能で、本固定状態で、ベース部材により縮径が規制される。

Description

蓄電デバイス用圧力解放弁

　本発明は、蓄電デバイスが収容されるケースに取付けられて、ケース内の圧力を解放する、蓄電デバイス用圧力解放弁に関する。

　例えば、ハイブリッド車や電気自動車には、バッテリーやコンデンサ等の蓄電デバイスが用いられるが、これらの蓄電デバイスは、車両内に設置されたケース内に収容配置される。そして、蓄電デバイスが、例えば、リチウムイオン電池等のバッテリーの場合、電解液の化学反応でガスが生じて、ケース内の圧力が上昇することがある。この場合、ケース内の圧力を低下させるため、圧力解放弁がケース開口に取付けられるようになっている。

　例えば、下記特許文献１には、筐体に設置されその内圧を調圧するものであって、内圧が一定圧力以上で筐体のガスを排出して調圧する調圧部と、筐体に接して調圧部を密封状態に維持するカバー部とを備える、調圧弁が記載されている。

　調圧部は、筐体の開口部に取付けられるベース部を有している。このベース部は、円筒体となっており、軸方向に延びる複数のスリットを介して、撓み変形可能な複数の脚部が形成されている。また、各脚部の先端外周には、係止突部がそれぞれ突設されている。そして、ベース部を筐体の開口部内に挿入すると、係止突部が開口部内周に押圧されて、脚部が撓み変形しながら挿入され、係止突部が開口部の裏側に抜け出ると、脚部が弾性復帰して、係止突部が開口部の裏側周縁に係止する。その結果、開口部にベース部が固定され、調圧弁全体が筐体の開口部に取付けられる。

特開２０２０－２１８９７号公報

　上記特許文献１の調圧弁の場合、上述したように、ベース部に設けた撓み変形可能な複数の脚部を利用して、調圧弁を筐体の開口部に取付ける構成であり、筐体に対してベース部をボルトやナット等による固定する構造ではないため、筐体の開口部に調圧弁を比較的取付けしやすい。その反面、筐体の開口部に対するベース部の固定力が比較的低く、開口部からベース部が外れやすい。

　したがって、本発明の目的は、ケースに取付けしやすく、且つ、ケースから外れにくい、蓄電デバイス用圧力解放弁を提供することにある。

　上記目的を達成するため、本発明は、蓄電デバイスが収容されるケースに取付けられる、蓄電デバイス用圧力解放弁であって、前記ケースに形成されたケース開口に挿入されて固定される、固定部材と、該固定部材の内側にスライド可能に挿入される、バルブユニットとを有しており、前記バルブユニットは、前記ケースの内部空間及び外部空間を連通させる通気口、及び、その周縁部に設けられた弁座と、前記固定部材に所定位置で係合する被係合部と、前記通気口を開閉する弁体と、前記弁体を前記弁座に向けて付勢する付勢手段とを有し、前記固定部材には、前記ケースに係合する抜け止め部と、前記固定部材の内側に設けられ、前記固定部材に対して前記バルブユニットを挿入するとき、所定の挿入位置で前記被係合部に係合する仮係合部、及び、該仮係合部よりも深い挿入位置で前記被係合部に係合する本係合部とが設けられており、前記抜け止め部は、前記仮係合部に前記被係合部が係合した仮保持状態で、内側に撓み可能となり、前記本係合部に前記被係合部が係合した本固定状態で、前記バルブユニットによって、縮径が規制されるように構成されていることを特徴とする。

　本発明によれば、固定部材の仮係合部に被係合部が係合した仮保持状態で、固定部材及びバルブユニットを、ケース開口に挿入すると、固定部材の抜け止め部が、固定部材内側に撓むことができるので、固定部材と共にバルブユニットを、ケース開口に容易に挿入することができる。この状態で、固定部材に対してバルブユニットを更に深く挿入して、固定部材の本係合部に被係合部を係合させると、固定部材の抜け止め部の内側にバルブユニットが位置することになり、固定部材の抜け止め部が、固定部材内側に撓めなくなって、その縮径が規制されるので、バルブユニットを、固定部材を介してケースにしっかりと固定することができる。その結果、ケースに取付けしやすく、且つ、ケースから外れにくい、解放弁を得ることができる。

本発明に係る蓄電デバイス用圧力解放弁の、一実施形態を示す分解斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するロアー部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成する弁座形成部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するアッパー部材を示しており、その拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するアッパー部材を示しており、その底面図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成する弁体の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するキャップの拡大斜視図である。同キャップの底面図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するシール部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するカバー部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の第１組立工程を示す断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の第２組立工程を示す断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の、ケースへの取付工程を示しており、その第１工程の断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の、ケースへの取付工程を示しており、その第２工程の断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の、ケースへの取付工程を示しており、その第３工程の断面説明図である。図１５に示す状態から、弁体が弁座から離れて、通気口が開口した場合の断面説明図である。本発明に係る蓄電デバイス用圧力解放弁の、他の実施形態を示す分解斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するベース部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するカバー部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成する押込み部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁を構成するキャップ部材の拡大斜視図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の第１組立工程を示す断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の第２組立工程を示す断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の第３組立工程を示す断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁の、ケースへの取付工程を示す断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁がケースに取付けられた状態であって、図１８のＡ－Ａ矢視線における断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁がケースに取付けられた状態であって、図１８のＢ－Ｂ矢視線における拡大断面説明図である。同蓄電デバイス用圧力解放弁がケースに取付けられた状態であって、図１８のＤ－Ｄ矢視線における拡大断面説明図である。図２７に示す状態から、弁体が弁座から離れて、通気口が開口した場合の断面説明図である。図１８に示す状態から、カバー部材に設けた板状片が開いた状態の、斜視図である。本発明に係る蓄電デバイス用圧力解放弁の、更に他の実施形態を示す斜視図である。

　（蓄電デバイス用圧力解放弁の一実施形態）
　以下、図面を参照して、本発明に係る蓄電デバイス用圧力解放弁の、一実施形態について説明する。

　図１５や図１６に示すように、この蓄電デバイス用圧力解放弁１０（以下、単に「解放弁１０」ともいう）は、図示しない蓄電デバイスが収容されるケース１に取付けられて、ケース内の圧力が上昇したときに、その圧力を解放（低下）させるためのものである。

　上記蓄電デバイスとしては、例えば、プラグインハイブリッド車を含むハイブリッド車や、電気自動車等に用いられる、バッテリー（リチウムイオンバッテリー等）、コンデンサ、キャパシタなどが挙げられるが、蓄電可能なデバイスであれば、特に限定されない。

　また、図１に示すように、ケース１にはケース開口３が形成されている。より具体的には、この実施形態におけるケース１は、略円形凹状をなした凹部２が形成されている。この凹部２の底部からは、凹部２よりも深い略円形凹状をなした凹部が設けられており、この凹部中央部に円形孔が形成され、該円形孔の裏側周縁から筒状部３ａが突出している。この筒状部３ａ及び円形孔の内周が、上記ケース開口３をなしている。なお、凹部２よりも深い上記凹部の底部が、ケース開口３の表側周縁部４をなしている。また、図１３～１６に示すように、ケース１の内部空間が、ケース内部空間Ｒ１をなし、ケース１の外部空間が、ケース外部空間Ｒ２をなしている。

　図１や図１３に示すように、この実施形態における解放弁１０は、ケース開口３に挿入されて固定される、固定部材と、該固定部材の内側にスライド可能に挿入される、バルブユニット１５とを有している。この実施形態における固定部材は、筒状のシール部材２０をなしている。また、バルブユニット１５は、シール部材２０の内側に挿入され、シール部材２０を介してケース１に固定されるようになっている。

　また、バルブユニット１５は、ケース内部空間Ｒ１及びケース外部空間Ｒ２を連通させる通気口５２、及び、その周縁部に設けられた弁座５３と、固定部材に所定位置で係合する被係合部と、通気口５２を開閉する弁体７０と、弁体７０を弁座５３に向けて付勢する付勢手段とを有している。

　更に、本発明における「被係合部」とは、この実施形態の場合、図１４に示すように、後述するベース部材側係合部４５及び押圧部４１ａを意味している。そして、これらが後述する仮係合部２５及び本体部２１の内周面にそれぞれ係合することで、固定部材に対してバルブユニット１５が仮保持状態に保持される。また、ベース部材側係合部４５及び押圧部４１ａが後述する本係合部２６及び押圧突部２８にそれぞれ係合することで、固定部材に対してバルブユニット１５が本固定状態に保持される。

　なお、この実施形態の場合、仮係合部２５及び本体部２１の内周面が、本発明における後述する「仮係合部」をなしている。また、本係合部２６及び押圧突部２８が、本発明における後述する「本係合部」をなしている。

　また、この実施形態におけるバルブユニット１５は、被係合部を有するベース部材を有しており、弁体７０は、ベース部材に対してスライド可能とされている。また、ベース部材には、シール部材２０に係合するベース部材側係合部４５が設けられている。

　更に図１１に示すように、この実施形態においては、アッパー部材６０と、弁体７０と、キャップ８０と、コイルバネ９０との４部品が組付けられて、第１組立体１５Ａが構成されるようになっている。同じく図１１に示すように、ロアー部材４０と弁座形成部材５０との２部品が組付けられて、第２組立体１５Ｂが構成されるようになっている。なお、この実施形態における付勢手段は、所定径の線材が所定ピッチを空けて巻回してなる、コイルバネ９０となっている。

　また、図１２に示すように、前記シール部材２０には、カバー部材３０が装着されるようになっている。

　なお、本発明における「ベース部材」は、この実施形態の場合、ロアー部材４０と、該ロアー部材４０に装着され、弁座５３を設けた弁座形成部材５０と、前記ロアー部材４０に組付けられるアッパー部材６０とから構成されている。また、前記弁体７０には、キャップ８０が取付けられて一体化されている。

　なお、以下の説明において、「表側」や「表面側」とは、ケース１に向く側を意味し、「裏側」や「裏面側」とは、「表側」や「表面側」とは反対側を意味する。これは後述する他の部材（ベース部材、シール部材、弁部材、キャップ等）においても同様である。また、以下の説明において、図１３に示すように、ケース開口３に対する解放弁１０の挿入方向Ｆ（解放弁１０の、ケース開口３に対する挿入方向）を、単に「挿入方向Ｆ」ともいう。なお、図１１に示される、第２組立体１５Ｂに対する第１組立体１５Ａの挿入方向（第１組立体１５Ａの、第２組立体１５Ｂに対する挿入方向）や、図１２に示される、シール部材２０に対するバルブユニット１５の挿入方向（バルブユニット１５の、シール部材２０に対する挿入方向）も、同様に「挿入方向Ｆ」とする。

　まず、図３や図１１等を参照して、ベース部材を構成するロアー部材４０について、説明する。

　このロアー部材４０は、略円筒状をなした筒状部４１を有している。この筒状部４１の軸方向の基端部（挿入方向Ｆ側の端部）の外周には、円弧状に丸みを帯びた押圧部４１ａが設けられている。また、筒状部４１の軸方向の先端部（挿入方向Ｆとは反対側の端部）側の外周からは、環状のフランジ部４２が広がっている。更に、筒状部４１の軸方向先端面からは、係合孔４３ａを有する係合片４３が、均等な間隔を空けて複数（ここでは４個）立設されている。各係合片４３の立設方向先端の内面には、ガイド溝４３ｂが形成されている。このガイド溝４３ｂは、ロアー部材４０とアッパー部材６０とを組付けるべく、ロアー部材４０の筒状部４１内に、アッパー部材６０の係合片６２を挿入する際に、係合片６２外面から突設した係合爪６３（図５参照）をガイドして、係合孔４３ａに係合させやすくする。

　更に、筒状部４１の軸方向基端部側の内周からは、環状突起状をなした環状突部４４が、筒状部４１内方に向けて突出している。また、筒状部４１の外周であって、軸方向所定位置（ここでは軸方向基端側にやや寄った位置）からは、環状突起状をなしたベース部材側係合部４５が突設されている。なお、このベース部材側係合部４５の基端外面には、テーパ面４５ａが形成されている。

　次に、図４や図１１等を参照して、上記ロアー部材４０に装着される、弁座形成部材５０について説明する。

　この弁座形成部材５０は、例えば、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料から形成されるものであって、略円筒状をなした筒状部５１を有している。この筒状部５１の内部空間が、通気口５２をなしている。図１６に示すように、この通気口５２を介して、ケース１の内部空間Ｒ１と、ケース１の外部空間Ｒ２とが、連通するようになっている。また、筒状部５１の軸方向の先端面（挿入方向Ｆとは反対側の端面）であって、通気口５２の外周縁部に、弁座５３が設けられている。更に、筒状部５１の軸方向の基端部（挿入方向Ｆ側の端部）外周には、テーパ面５１ａが形成されている。

　また、筒状部５１の軸方向先端側の外周には、環状溝状をなし、ロアー部材４０の環状突部４４が係合する、係合溝５４が形成されている。そして、図１１に示すように、筒状部５１を、ロアー部材４０の基端部内周に配置し、その係合溝５４に、ロアー部材４０の環状突部４４を係合させることで、ロアー部材４０に弁座形成部材５０が装着される。その結果、ロアー部材４０に、通気口５２や弁座５３が設けられることになる。

　次に、図５や図１１等を参照して、上記ロアー部材４０に組付けられるアッパー部材６０について説明する。

　このアッパー部材６０は、略円環状をなした環状基部６１を有している。この環状基部６１の基端面（挿入方向Ｆ側の端面）からは、係合片６２が均等な間隔をあけて複数垂設されている。ここでは、ロアー部材４０の係合片４３に対応して、４個の係合片６２が設けられている。なお、各係合片６２は、ロアー部材４０にアッパー部材６０が組付けられる際に、ロアー部材４０の対応する係合片４３の内側に配置される。また、各係合片６２には、略コ字状をなしたスリット６３ａを介して、係合爪６３が撓み変形可能に形成されている。

　そして、図１２に示すように、ロアー部材４０の係合片４３の内側に係合片６２が配置され、その係合爪６３が、ロアー部材４０の係合片４３の係合孔４３ａの内周に係合することで、ロアー部材４０にアッパー部材６０が組付けられるようになっている。

　また、環状基部６１の径方向中央であって、環状基部６１よりも突出した位置には、環状をなした天井部６４が配置されている。更に、環状基部６１と天井部６４とは、アッパー部材６０の軸心に対して放射状に広がる複数のリブ６５によって互いに連結されている。また、隣接するリブ６５，６５の間には、ベース部材の内部空間及び外部空間を連通させる、開口部６６が形成されている。更に、天井部６４の裏側周縁からは、略円筒状をなした筒部６７が垂設されている。

　次に、図６や図１１等を参照して、ベース部材内にてスライド可能に収容される弁体７０について説明する。

　この弁体７０は、弁座５３に接離するフランジ部７２と、該フランジ部７２の表側の径方向中央から突出した軸部７１とを有している。該軸部７１は、軸方向の先端部（挿入方向Ｆとは反対側の端部）に閉塞した天井面７１ａを有する略円筒状をなしている。なお、フランジ部７２は、軸部７１の軸方向の基端部（挿入方向Ｆ側の端部）外周から、環状に広がる形状をなしている、とも言える。図１１に示すように、軸部７１は、アッパー部材６０の筒部６７に対して同軸上に配置され、且つ、同筒部６７内にスライド可能に挿入されて支持されるようになっている。

　また、弁体７０のフランジ部７２は、アッパー部材６０の天井部６４やリブ６５等に対して、対向して配置されるようになっている。このフランジ部７２は、外周が円形状をなすと共に、その外径は、弁座形成部材５０の筒状部５１の内径よりも大きく形成されており、弁座５３に接離して通気口５２を開閉するものとなっている。更に、フランジ部７２の外径は、アッパー部材６０の複数の係合片６２の内径にほぼ適合する寸法で形成されており（図１３参照）、アッパー部材６０内において、弁体７０の傾きが抑制されつつ昇降スライドするようになっている。

　また、フランジ部７２の表側の内径部分には、所定深さで凹んだ環状凹部７２ａが形成されており、該環状凹部７２ａの底面に、コイルバネ９０の一端（軸方向の基端）が当接して支持される。更に、フランジ部７２の裏側であって、その外周縁部からは、環状突起状をなしたシール突部７３が突設されている。このシール突部７３が、弁座形成部材５０の弁座５３に接離して、通気口５２を開閉するようになっている（図１５及び図１６参照）。

　上記の弁体７０に関連して、付勢手段であるコイルバネ９０との関係を説明する。このコイルバネ９０は、図１１に示すように、弁体７０の軸部７１が挿入された、アッパー部材６０の筒部６７の外周に配置され、その一端が、弁体７０のフランジ部７２の環状凹部７２ａの底面に当接して支持され、且つ、他端（軸方向の先端）が、アッパー部材６０の天井部６４の、筒部６７の裏側周縁部に当接して支持される。その結果、コイルバネ９０は、ベース部材内にて圧縮状態で収容保持されて、弁体７０を弁座５３に向けて付勢するようになっている。

　弁体７０の説明に戻ると、軸部７１の天井面７１ａの径方向中央から突部７５が突出しており、その先端には、帯状に延びる抜け止め片７５ａが連設されている。図１１に示すように、突部７５及び抜け止め片７５ａは、キャップ８０の軸挿通孔８４ａに挿通されると共に、抜け止め片７５ａは、弁体７０が所定角度回転したときに、軸挿通孔８４ａの表側周縁部に係止する。

　次に、図７，８，１１等を参照して、上記弁体７０に固定されて一体化される、キャップ８０について説明する。

　この実施形態のキャップ８０は、略円形板状をなした天井部８１と、この天井部８１の外周から斜め外方に広がるように延出する周壁８３と、該周壁８３の基端部（挿入方向Ｆ側の端部）外周から、環状に広がるシールフランジ部８５とを有している。図１５に示すように、このキャップ８０は、ベース部材全体をカバー可能なように、ロアー部材４０やアッパー部材６０の外周よりも拡径した形状となっている。そして、前記シールフランジ部８５が、シール部材２０を構成するカバー部材３０のフランジ部３２に接離することで、ロアー部材４０に形成した複数の開口部６６を開閉可能となっている（図１５及び図１６参照）。

　また、天井部８１の表側であって、その径方向中央部には、所定深さの円形凹状をなした、抜け止め凹部８４が形成されている。この抜け止め凹部８４の底部には、鍵穴状をなした軸挿通孔８４ａが形成されている。また、図８に示すように、抜け止め凹部８４の底部であって、軸挿通孔８４ａの外周縁には、一対の抜け止め突部８４ｂ，８４ｂが突設されている。

　そして、弁体７０の突部７５及び抜け止め片７５ａを、軸挿通孔８４ａに挿通させた後、キャップ８０を９０°回動させて、抜け止め片７５ａを軸挿通孔８４ａの表側周縁部に係止させることで、弁体７０に対してキャップ８０が抜け止め保持されて、弁体７０とキャップ８０とが一体化されるようになっている。また、この状態では、抜け止め片７５ａの一端部が、一対の抜け止め突部８４ｂ，８４ｂの間に嵌まり込んで、弁体７０に対してキャップ８０が回り止めされる。

　このようにキャップ８０が弁体７０に一体化された結果、ベース部材に対して弁体７０がスライドするのに伴って、キャップ８０も、ベース部材を構成するアッパー部材６０の表側に対して近接離反移動し、そのシールフランジ部８５が、カバー部材３０のフランジ部３２に接離するようになっている。

　次に、図９，１２～１５等を参照して、シール部材２０について説明する。

　このシール部材２０は、例えば、ゴムや弾性エラストマー等の弾性材料から形成されるものであって、略円筒状をなした本体部２１を有している。この本体部２１内に、ロアー部材４０の筒状部４１が挿入されるようになっている。

　また、本体部２１の外周であって、軸方向の先端部（挿入方向Ｆとは反対側の端部）には、環状突起状をなした一対の環状突部２２，２３が並列して突設されている。環状突部２２は、本体部２１の軸方向先端外周から突設されており、環状突部２３は、環状突部２２よりも、本体部２１の軸方向の基端部（挿入方向Ｆ側の端部）寄りに配置され、且つ、環状突部２２よりも拡径している。また、図１４に示すように、環状突部２３は、ケース１の、ケース開口３の表側周縁部４に当接する部分となっている。

　更に、本体部２１の外周であって、両環状突部２２，２３の間には、環状溝状をなした装着溝２４が形成されている。この装着溝２４を介して、カバー部材３０が、シール部材２０に装着されるようになっている。

　上記装着溝２４に関連して、図１０や図１２等を参照して、カバー部材３０について説明する。

　このカバー部材３０は、略円筒状をなした筒状部３１と、該筒状部３１の軸方向の先端部（挿入方向Ｆとは反対側の端部）から広がった薄肉環状のフランジ部３２と、筒状部３１の軸方向の基端部（挿入方向Ｆ側の端部）の内周から突出した環状突起状をなし、前記シール部材２０の装着溝２４に挿入される、装着突部３３とからなる。上記筒状部３１内には、シール部材２０の本体部２１の軸方向先端部が挿入可能となっている。また、フランジ部３２は、ケース開口３に解放弁１０を固定した状態で、ケース開口３の表側周縁部４に対して、所定隙間を空けて対向配置されるようになっている（図１４参照）。

　そして、図１２に示すように、カバー部材３０の装着突部３３を、シール部材２０の装着溝２４に挿入することで、装着突部３３が一対の環状突部２２，２３によって挟持されて、シール部材２０にカバー部材３０が装着されるようになっている。その結果、シール部材２０の軸方向先端部側の外周が、カバー部材３０によって覆われる。なお、上記フランジ部３２の表面側には、上述したキャップ８０のシールフランジ部８５が接離して（図１５及び図１６参照）、カバー部材３０の軸方向先端側の開口３１ａを開閉する。

　再び、シール部材２０の説明に戻る。

　シール部材である固定部材の内側には、固定部材に対してバルブユニット１５を挿入するとき、所定の挿入位置で前記被係合部に係合する仮係合部、及び、該仮係合部よりも深い挿入位置で前記被係合部に係合する本係合部とが設けられている。

　この実施形態の場合、シール部材２０の内周には、シール部材２０に対してバルブユニット１５を挿入するとき、所定の挿入位置でベース部材のベース部材側係合部４５に係合する仮係合部２５と、該仮係合部２５よりも深い挿入位置でベース部材のベース部材側係合部４５に係合する本係合部２６とが設けられている。

　より具体的には、図１２や図１４に示すように、シール部材２０の本体部２１の内周であって、軸方向先端部側には、本体部２１内周が抉られてなる、抉り部２１ａが設けられている。この抉り部２１ａを介して、本体部２１の内周の軸方向先端から、本体部２１の径方向内方に向かって、環状突起状をなした仮係合部２５が突設されている。

　そして、図１３及び図１４に示すように、この仮係合部２５の裏側周縁部に、ベース部材側のベース部材側係合部４５が係合することで、シール部材２０にバルブユニット１５が仮保持される。この仮係合部２５は、上記環状突部２２に対して、同一の軸方向高さに配置されている。すなわち、本体部２１の軸方向先端の外周及び内周に、環状突部２２及び仮係合部２５がそれぞれ設けられている。

　また、図１４に示すように、上記抉り部２１ａは、仮係合部２５にベース部材側係合部４５が係合した状態において、ベース部材側係合部４５のテーパ面４５ａと本体部２１内周との間にクリアランスを確保可能とし、シール部材２０の本体部２１内において、バルブユニット１５を押し込みやすくさせる。

　更に、本体部２１の内周であって、上記仮係合部２５よりも軸方向基端寄りの位置からは、本体部２１の軸方向基端側に向けて、本体部２１内方への突出量が次第に大きくなる、テーパ面２５ａが形成されている。

　また、本体部２１の内周であって、その軸方向中間位置、ここでは上記テーパ面２５ａの頂部（本体部内方への突出量が最も多い部分）に隣接した位置に、所定深さの環状溝状をなした本係合部２６が形成されている。そして、図１５に示すように、この本係合部２６内に、ベース部材側のベース部材側係合部４５が挿入されて、同ベース部材側係合部４５が、本係合部２６の軸方向先端側の内周面に係合することで、シール部材２０に対してバルブユニット１５が本固定されるようになっている。

　更に、シール部材２０には、ケース１に係合する抜け止め部２７が設けられている。また、このシール部材２０は、シール部材２０の本係合部２６に、ベース部材のベース部材側係合部４５が係合した本固定状態で、その外周面がケース１に係合するようになっている（この実施形態では、図１５に示すように、抜け止め部２７の基端外周面に設けた係合突部２９が、ケース開口３の裏側周縁に係合する）。

　そして、シール部材である固定部材に設けた抜け止め部２７は、仮係合部に被係合部が係合した仮保持状態で、内側に撓み可能となり、本係合部に被係合部が係合した本固定状態で、バルブユニット１５によって、縮径が規制されるように構成されている。

　この実施形態の場合、この抜け止め部２７は、シール部材２０の仮係合部２５に、ベース部材のベース部材側係合部４５が係合した仮保持状態で、内側に撓み可能となり（図１４参照）、シール部材２０の本係合部２６に、ベース部材のベース部材側係合部４５が係合した本固定状態で、抜け止め部２７の内側にベース部材が位置することで、ベース部材によって、抜け止め部２７の縮径が規制され、ケース開口３の裏側周縁部に係合するように構成されている（図１５参照）。

　より具体的には、上記抜け止め部２７は、シール部材２０の本体部２１の、前記本係合部２６よりも軸方向基端側の位置（本係合部２６よりも、ケース開口３に対する挿入方向Ｆ側の位置）に、撓み変形可能に設けられている。

　また、抜け止め部２７の内周面であって、軸方向の最基端からは、環状突起状をなした押圧突部２８が突設されている。なお、この押圧突部２８が、本発明における「突部」をなしている。また、図１４に示すように、この押圧突部２８の内径寸法は、ロアー部材４０の筒状部４１の外径寸法よりも小さく形成されている。そのため、図１４に示すような、シール部材２０にバルブユニット１５が仮保持された、バルブユニット１５の仮保持状態から、更にシール部材２０に対してバルブユニット１５を押し込むと、ロアー部材４０の筒状部４１の基端部外周の押圧部４１ａによって、押圧突部２８が押圧されて、抜け止め部２７が、シール部材２０の外方に向けて撓み変形可能となっている。

　更に、押圧突部２８の外面には、挿入方向Ｆ側に向かって次第に突出量を増大させる、テーパ面２８ａが形成されている。このテーパ面２８ａを形成したことで、ロアー部材４０の筒状部４１により押圧突部２８が押圧される際に、押圧突部２８が押圧されやすくなっている。

　また、抜け止め部２７の外周面であって、軸方向の最基端からは、環状突起状をなした係合突部２９が突設されている。すなわち、この実施形態における抜け止め部２７は、その軸方向基端（ケース開口３に対する挿入方向Ｆ側の最先端）の内周面及び外周面から、押圧突部２８及び係合突部２９がそれぞれ突設された構成となっている。また、図１５に示すように、この係合突部２９は、前記押圧突部２８を介して抜け止め部２７が押圧されて、シール部材２０の外方に撓み変形したときに、ケース開口３の裏側周縁（筒状部３ａの裏側端面）に係合するようになっている。更に、係合突部２９は、上記環状突部２３との間で、ケース１の、ケース開口３（ここではケース開口３の表側から筒状部３ａの基端までの部分）を挟持するようになっている。

　なお、係合突部２９の外面には、挿入方向Ｆ側に向かって次第に突出量を低下させる、テーパ面２９ａが形成されている。このテーパ面２９ａによって、ケース開口３に、シール部材２０の本体部２１を挿入しやすくなっている。また、図１３に示すように、係合突部２９の外径（最も突出した頂部の外径）は、ケース１のケース開口３の内径よりも大きく形成されている。そのため、図１３の矢印Ｆに示すように、ケース開口３にバルブユニット１５を挿入する際に、ケース開口３の内周に、係合突部２９の頂部やテーパ面２９ａが押圧されることで、抜け止め部２７がシール部材２０内方に撓み変形するようになっている。

　そして、このシール部材２０においては、次のようにして、バルブユニット１５を仮保持状態としたり、本固定状態としたりする。

　すなわち、図１２の矢印Ｆに示すように、シール部材２０に対してバルブユニット１５を挿入方向Ｆ側に押し込んでいくと、シール部材２０の本体部２１内に、ロアー部材４０の筒状部４１が挿入されていく。すると、ロアー部材４０のベース部材側係合部４５のテーパ面４５ａが、シール部材２０の仮係合部２５に押圧されて、ロアー部材４０の筒状部４１がやや内方に変形する。

　そして、ベース部材側係合部４５が、仮係合部２５を乗り越えると、図１３や図１４に示すように、ベース部材側係合部４５が仮係合部２５の裏側周縁部に係合すると共に、押圧部４１ａが本体部２１の内周に係合することで、シール部材２０に対して比較的浅い挿入位置でバルブユニット１５が仮保持されるようになっている。この仮保持状態では、抜け止め部２７の内側に、ロアー部材４０の筒状部４１が配置されていないため、抜け止め部２７は、シール部材２０の内方に撓み変形可能となっている。

　なお、シール部材２０の抜け止め部２７は、仮係合部２５にベース部材側係合部４５が係合した仮保持状態において、ロアー部材４０の筒状部４１の基端よりも、挿入方向Ｆ側に向けて長く延びている、とも言える。

　上記の仮保持状態から、シール部材２０に対してバルブユニット１５を挿入方向Ｆ側に更に押し込むと、仮係合部２５からベース部材側係合部４５が外れて、抉り部２１ａ内を所定距離移動した後、本体部２１内のテーパ面２５ａ上をベース部材側係合部４５が摺動していき、本係合部２６内にベース部材側係合部４５が挿入されると、同ベース部材側係合部４５が、本係合部２６の軸方向先端側の内周面に係合すると共に、後述するように押圧部４１ａが押圧突部２８に係合することで、上記仮保持状態よりも深い挿入位置でもって、シール部材２０にバルブユニット１５が本固定される（図１５参照）。

　それと共に、抜け止め部２７の押圧突部２８のテーパ面２８ａが、ロアー部材４０の筒状部４１の押圧部４１ａに押圧されて、抜け止め部２７が、シール部材２０の外方に向けて撓み変形して、抜け止め部２７の基端外周の係合突部２９が、ケース開口３の裏側周縁（ケース開口３の筒状部３ａの裏側周縁）に係合する。すなわち、押圧部４１ａが押圧突部２８に係合するとも言える。その結果、ケース開口３に対して、バルブユニット１５がシール部材２０を介して固定される。そして、上記の本固定状態では、抜け止め部２７の内側に、ロアー部材４０の筒状部４１が配置されているため、抜け止め部２７は、シール部材２０の内方への撓み変形が抑制されることになって、その縮径が規制されるようになっている。

　（変形例）
　以上説明した実施形態では、ケース１としては、複数の凹部の底にケース開口３を設けた構成となっているが、凹部を設けずに、ケース１の天井壁等の壁に、直接的にケース開口を設けた構成としてもよい。また、ケース開口の形状は、矩形や、角形、楕円形等をなしていてもよく、解放弁を取付け可能な形状であればよい。

　更に圧力解放弁を構成する、シール部材、カバー部材、ロアー部材、弁座形成部材、アッパー部材、弁体、キャップ等の、形状や構造は、上記態様に限定されるものではない。

　例えば、シール部材の本体部や、カバー部材の筒状部、ロアー部材の筒状部、弁座形成部材の筒状部等は、円筒状をなしているが、この部分としては、楕円筒状や、角筒状等であってもよい。また、弁体のフランジ部は、上記の弁座形成部材やアッパー部材の筒状部の形状に対応して、その外周が円形状をなしているが、例えば、楕円形状や、角形状等であってもよく、弁座形成部材の弁座に接離して、通気口を開閉可能な形状であればよい。

　更に、この実施形態では、シール部材２０とカバー部材３０、及び、ロアー部材４０と弁座形成部材５０は、それぞれ別体とされているが、例えば、所定金型でカバー部材やロアー部材を成型後、同金型内にて、それらを保持したまま、シール部材や弁座形成部材を成型する、いわゆる二色成形によって、シール部材とカバー部材、及び、ロアー部材と弁座形成部材を、それぞれ一体形成してもよい。

　また、この実施形態では、アッパー部材とロアー部材とを係合させる構造として、ロアー部材４０側に、係合孔４３ａを形成した係合片４３を設け、アッパー部材６０側に、係合孔４３ａに係合する係合爪６３を設けたが、例えば、ロアー部材側に係合爪や係合脚部を設け、アッパー部材側にそれらが係合する係合孔を設けたりしてもよく、アッパー部材とロアー部材との係合構造は、特に限定はされない。

　更に、この実施形態においては、アッパー部材６０側に筒部６７を設け、弁体７０のフランジ部７２側に軸部７１を設けたが（図１１参照）、これとは逆に、弁体のフランジ部側に筒部を設け、アッパー部材側に、筒部に挿入されてスライド支持される軸部を設けてもよい。

　また、この実施形態におけるシール部材２０の抜け止め部２７は、環状に連続した円筒壁状をなしているが、抜け止め部としては、例えば、（１）軸方向に延びる複数のスリットを介して、シール部材の周方向に分断して配置された、複数の撓み片状からなる構造としたり、（２）上記のような連続した筒状壁又は複数の撓み片を、シール部材の軸方向基端側に向けて、曲面状やテーパ面状を描きながら次第に窄まるような形状としたり、（３）上記の連続した筒状壁又は複数の撓み片の軸方向途中に、膨出した部分を設けたりしてもよい。すなわち、抜け止め部としては、本係合部にベース部材側係合部が係合した本固定状態となる際に、ケースに係合可能な構造（ケース開口の裏側周縁に係合可能な構造）であって、且つ、上記本固定状態で、その内側にベース部材が位置して、ベース部材によって、抜け止め部の縮径を規制可能であればよい。

　また、この実施形態では、抜け止め部２７の内周面及び外周面に、押圧突部２８及び係合突部２９を設けたが、これらの突部の一方又は両方が存在しなくてもよい。抜け止め部２７の内周面に押圧突部２８を設けない場合は、本係合部にベース部材側係合部が係合した本固定状態となる際に、抜け止め部の内周面が、バルブユニットの外周面によって、内側から押し広げられることが可能である構造とすることが好ましい（例えば、抜け止め部の基端内周の寸法を、バルブユニットの基端外周の寸法よりも小さくする）。

　一方、抜け止め部２７の外周面に係合突部２９を設けない場合でも、本係合部にベース部材側係合部が係合した本固定状態となる際に、抜け止め部がケースに係合可能であればよい（例えば、抜け止め部２７の内周面に押圧突部２８を設けておけば、バルブユニットやシール部材の本固定時に、抜け止め部２７が内側から押し広げられて、その外周面がケース開口３の裏側周縁に係合可能となる）。

　また、この実施形態のベース部材は、ロアー部材及びアッパー部材の内部空間に、弁体をスライド移動可能に収容する、ケース状の弁ケースとなっているが、ベース部材としては、通気口及び弁座を有し、外周に係合部が設けられ、弁体をスライド支持可能であれば、どのような形状・構造であってもよい。

　更に、この実施形態のアッパー部材６０は、複数の開口部６６を有し、これらがキャップ８０で開閉される構成となっているが、キャップを設けずに、アッパー部材に開口部を設けない構成としてもよい。ただし、この場合には、ベース部材の周壁に、通気口に連通可能なスロット等を形成しておき、ケース内の気体を流通可能とすることが好ましい。すなわち、弁体が弁座から離反して、通気口を開口したときに、ケースの内部空間及び外部空間を連通させることが可能な形状や構造であればよい。

　また、この実施形態では、「被係合部」をなすベース部材側係合部４５及び押圧部４１ａが、「仮係合部」をなす仮係合部２５及び本体部２１の内周面にそれぞれ係合することで、固定部材に対してバルブユニット１５が仮保持状態に保持されると共に、「本係合部」をなす本係合部２６及び押圧突部２８にそれぞれ係合することで、固定部材に対してバルブユニット１５が本固定状態に保持されるようになっている。

　すなわち、この実施形態における「被係合部」をなすベース部材側係合部４５及び押圧部４１ａは、仮係合部との係合及び本係合部との係合の両方に用いられ、仮係合用・本係合用を兼ねているが、「被係合部」としては、仮係合部との係合用、及び、本係合部との係合用に、それぞれ別の形状や構造としたり設ける位置を変えたりしてもよい（兼用構造ではない別個独立の形状・構造やレイアウトにしてもよい）。

　（作用効果）
　次に、上記構成からなる本発明に係る解放弁１０の作用効果について説明する。

　まず、解放弁１０の組付け工程について説明する。

　図１１に示すように、アッパー部材６０の筒部６７の外周に、コイルバネ９０の軸方向先端部を配置し、同コイルバネ９０の軸方向先端を、天井部６４の裏側周縁に当接支持させると共に、アッパー部材６０の筒部６７の裏側開口から、弁体７０の軸部７１を挿入して、弁体７０の環状凹部７２ａの底面に、コイルバネ９０の軸方向基端を当接支持させる。この状態で、アッパー部材６０の表側にキャップ８０を配置し、その軸挿通孔８４ａ（図８参照）に、弁体７０の突部７５及び抜け止め片７５ａを位置合わせした後、同突部７５及び抜け止め片７５ａを、軸挿通孔８４ａから挿出させる。

　その後、キャップ８０を９０°回動させて、抜け止め７５ａを軸挿通孔８４ａの表側周縁部に係止させると共に、抜け止め片７５ａの一端部を、一対の抜け止め突部８４ｂ，８４ｂ（図８参照）の間に嵌合させることで、弁体７０に対してキャップ８０が抜け止め及び回転規制された状態で、弁体７０にキャップ８０を装着することができる。その結果、アッパー部材６０と、弁体７０と、キャップ８０と、コイルバネ９０との４部品からなる、第１組立体１５Ａが組立てられる。

　なお、上記状態では、コイルバネ９０が圧縮状態で、アッパー部材６０と弁体７０との間に介装され、弁体７０のフランジ部７２が、アッパー部材６０の天井部６４から離反する方向に付勢されるようになっている。

　また、図１１に示すように、弁座形成部材５０の筒状部５１を、ロアー部材４０の基端部内周に挿入配置し、弁座形成部材５０の係合溝５４に、ロアー部材４０の環状突部４４を係合させることで、ロアー部材４０に弁座形成部材５０を装着することができる。その結果、ロアー部材４０及び弁座形成部材５０の２部品からなる第２組立体１５Ｂが組立てられる。

　そして、第２組立体１５Ｂを構成するロアー部材４０の各係合片４３に、第１組立体１５Ａを構成するアッパー部材６０の対応する係合片６２を位置合わせした後、図１１の矢印Ｆに示すように、第２組立体１５Ｂに対して第１組立体１５Ａを押し込む。

　すると、図１２に示すように、ロアー部材４０の筒状部４１内に、アッパー部材６０の複数の係合片６２が挿入され、その係合爪６３が、ロアー部材４０側の、対応する係合片４３の係合孔４３ａに係合することで、第１組立体１５Ａと第２組立体１５Ｂとが互いに組付けられて、バルブユニット１５が組立てられる。

　この状態では、コイルバネ９０により付勢された弁体７０のフランジ部７２が、弁座形成部材５０の弁座５３側に向けて付勢されて、弁体７０のフランジ部７２裏側のシール突部７３が、弁座５３に当接して、通気口５２が閉塞される（図１２参照）。

　また、図１２に示すように、カバー部材３０の装着突部３３を、シール部材２０の装着溝２４に挿入し、一対の環状突部２２，２３で挟持させることで、シール部材２０にカバー部材３０を装着することができる。

　そして、図１２の矢印Ｆに示すように、バルブユニット１５を挿入方向Ｆ側に押し込んでいくと、シール部材２０の本体部２１内に、ロアー部材４０の筒状部４１が挿入されていく。その後、図１３に示すように、ロアー部材４０のベース部材側係合部４５が、シール部材２０の仮係合部２５の裏側周縁部に係合すると共に、押圧部４１ａが本体部２１の内周に係合することで、シール部材２０に対して比較的浅い挿入位置でバルブユニット１５が仮保持される。

　その結果、バルブユニット１５とシール部材２０とからなる解放弁１０が構成される。この仮保持状態では、抜け止め部２７は、シール部材２０の内方に撓み変形可能とされる。なお、この実施形態における解放弁１０は、シール部材２０にバルブユニット１５が仮保持された状態で、搬送されるようになっている。

　そして、解放弁１０をケース開口３に位置合わせして、図１３の矢印Ｆに示すように、ケース開口３の表側から、解放弁１０を挿入していく。すると、ケース開口３の内周に、シール部材２０の係合突部２９が押圧されて、抜け止め部２７がシール部材２０内方に撓み変形する。その後、シール部材２０の環状突部２２が、ケース開口３の表側周縁部４に当接するまで、ケース開口３に対して解放弁１０が押し込まれ、シール部材２０の係合突部２９が、ケース開口３の筒状部３ａの裏側開口を抜け出ると、シール部材２０の抜け止め部２７が弾性復帰する。

　すると、図１４に示すように、抜け止め部２７の係合突部２９が、ケース開口３の筒状部３ａの裏側端面に対して、やや隙間をあけて配置されて、ケース開口３にシール部材２０が仮固定され、ひいてはケース開口３に解放弁１０を仮固定することができる。なお、この状態でも、抜け止め部２７は、シール部材２０の内方に撓み変形可能となっている。

　その後、図１４の矢印Ｆに示すように、ケース開口３に仮固定されたシール部材２０に対して、バルブユニット１５を押し込んでいく。この場合、ロアー部材４０のフランジ部４２が、シール部材２０の本体部２１の環状突部２２や仮係合部２５に当接するまで、バルブユニット１５を押し込む。すると、シール部材２０の仮係合部２５から、ロアー部材４０のベース部材側係合部４５が外れ、シール部材２０の本係合部２６内に、ベース部材側係合部４５が挿入される。

　それによって、図１５に示すように、ベース部材側係合部４５が、本係合部２６の軸方向先端側内周面に係合すると共に、押圧突部２８が、ロアー部材４０の筒状部４１に押圧されて、抜け止め部２７が、シール部材２０の外方に向けて撓み変形して、係合突部２９が、ケース開口３の筒状部３ａの裏側周縁に係合する。すなわち、押圧突部２８を介して抜け止め部２７が外方に押圧されて、同抜け止め部２７外周に設けた係合突部２９が、ケース開口３の筒状部３ａの裏側周縁に強く押し付けられ、係合突部２９が、ケース開口３の筒状部３ａの裏側周縁に対して隙間のない状態で係合するようになっている。

　その結果、図１４に示すバルブユニット１５の仮保持状態よりも深い挿入位置でもって、シール部材２０に対してバルブユニット１５が本固定されると共に、シール部材２０の環状突部２２と抜け止め部２７の係合突部２９とで、ケース開口３の表側から筒状部３ａの基端部分が挟持されて、図１５に示すように、ケース開口３に対して、バルブユニット１５がシール部材２０を介して本固定されて、ケース１に解放弁１０全体を取付けることができる。

　そして、この本固定状態では、抜け止め部２７の内側に、ロアー部材４０の筒状部４１が配置されているので、抜け止め部２７の、シール部材２０の内方への撓み変形が抑制されて、その縮径が規制されて、抜け止め部２７の係合突部２９が、ケース開口３の筒状部３ａの裏側周縁に係合した状態が維持されるため、ケース１に対して、シール部材２０を介してバルブユニット１５が本固定された状態を継続できるようになっている。

　そして、この解放弁１０においては、シール部材２０の仮係合部２５に、バルブユニット１５のベース部材のベース部材側係合部４５を係合させた仮保持状態で、図１３に示すように、バルブユニット１５及びシール部材２０を、ケース１のケース開口３に挿入すると、シール部材２０の抜け止め部２７が、シール部材２０の内方に撓むことができるので、バルブユニット１５と共にシール部材２０を、ケース開口３に容易に挿入することができる（図１４参照）。

　この状態で、図１４の矢印Ｆに示すように、バルブユニット１５を更に深く挿入して、シール部材２０の本係合部２６に、ベース部材のベース部材側係合部４５を係合させると、抜け止め部２７の内側にベース部材が位置することになり（ここではベース部材を構成するロアー部材４０の筒状部４１が、抜け止め部２７の内側に位置する）、ベース部材によって、シール部材２０の抜け止め部２７が、シール部材２０の内方に撓めなくなって、その縮径が規制されるので、バルブユニット１５を、シール部材２０を介してケース開口３にしっかりと固定することができる。その結果、ケース１に取付けしやすく、且つ、ケース１から外れにくい、解放弁１０を得ることができる。

　また、図１５に示す状態では、ベース部材内にて圧縮状態で保持されたコイルバネ９０によって、弁体７０が弁座形成部材５０側に向けて付勢されて、弁体７０のフランジ部７２裏側のシール突部７３が弁座５３に当接して、通気口５２が閉塞されている。更に、コイルバネ９０を介して、弁体７０と一体のキャップ８０が、カバー部材３０側に向けて付勢されて、シールフランジ部８５が、カバー部材３０のフランジ部３２の表側に当接して、アッパー部材６０の複数の開口部６６が閉塞されている。

　そして、蓄電デバイスによる、駆動源や電装部品への電力供給や、蓄電デバイスが収容されたケースの外部環境や内部環境等によって、蓄電デバイスを起因として、ケース内に気体が生じる（例えば、リチウムイオンバッテリー等の蓄電デバイスが、モータ等の駆動によって電力を供給すると、電解液の化学反応でガスが生じる）と、以下のように動作する。

　すなわち、ケース１の内部空間Ｒ１の圧力が上昇して、付勢手段であるコイルバネ９０の付勢力を超えると、付勢手段の付勢力に抗して、弁体７０が弁座形成部材５０から離反する方向にスライドして、そのフランジ部７２が弁座５３から離れる。

　すると、図１６に示すように、弁座形成部材５０の通気口５２が開口すると共に、弁体７０と一体のキャップ８０が、弁体７０に連動してカバー部材３０の表側から離れて、アッパー部材６０の複数の開口部６６が開口する。その結果、弁座形成部材５０の通気口５２、及び、アッパー部材６０の複数の開口部６６を通じて、ケース１の内部空間Ｒ１と外部空間Ｒ２とが連通する。

　その結果、図１６の矢印Ｌに示すように、ケース１の内部空間Ｒ１の気体が、ケース開口３、弁座形成部材５０の通気口５２、アッパー部材６０の開口部６６を通過して、ケース１の外部空間Ｒ２へと排気されるため、ケース１内の圧力を解放することができる（低減することができる）。

　また、この実施形態においては、シール部材２０の内周面には、突部（押圧突部２８）が設けられており、この押圧突部２８は、シール部材２０の本係合部２６に、ベース部材のベース部材側係合部４５が係合した本固定状態で、ベース部材に押圧されて、抜け止め部２７を拡径させるように構成されている。

　この態様によれば、シール部材２０の本係合部２６に、ベース部材のベース部材側係合部４５が係合した本固定状態で、ベース部材に押圧されて、抜け止め部２７が拡径することによって、ケース開口３にシール部材２０をより強固に固定することができる。

　更に、この実施形態においては、弁体７０は、弁座５３に接離するフランジ部７２を有しており、ベース部材は、弁座５３を設けたロアー部材４０と、ロアー部材４０に組付けられるアッパー部材６０とを有しており、アッパー部材６０側に筒部６７が形成され、フランジ部７２に、筒部６７に挿入されてスライド支持される軸部７１が形成されており、付勢手段はコイルバネ９０からなり、その一端が弁体７０のフランジ部７２に支持され、他端がアッパー部材６０に支持されるようになっている。

　上記態様によれば、付勢手段であるコイルバネ９０を圧縮状態に保持しつつ、ロアー部材４０とアッパー部材６０とを組付けることができ、バルブユニット１５の組立作業性を向上させることができる。すなわち、弁体７０の軸部７１と、それをスライド支持する筒部６７とを利用して、コイルバネ９０を、それらの軸心に沿った姿勢（傾かず真っすぐな姿勢）に維持して、コイルバネ９０を圧縮させながら、ロアー部材４０とアッパー部材６０とを組付けることができるので、バルブユニット１５の組立作業性がよい（コイルバネ９０の姿勢が維持できないと、コイルバネ９０の弾性力の影響を受け、組立作業がしにくくなる）。また、フランジ部側に筒部が形成され、アッパー部側に、筒部に挿入されてスライド支持される軸部が形成されている場合にも、同様の効果を得ることができる。

　（蓄電デバイス用圧力解放弁の、他の実施形態）
　図１７～３１には、本発明に係る蓄電デバイス用圧力解放弁の、他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。

　図１７に示すように、この蓄電デバイス用圧力解放弁１０Ａ（以下、単に「解放弁１０Ａ」ともいう）は、固定部材１６と、該固定部材１６の内側にスライド可能に挿入される、バルブユニット１７とを有している。

　また、この実施形態における固定部材１６は、ケース開口３への挿入部９２を有するグロメット９０Ａと、該グロメット９０Ａの外周に装着され、ケース開口３の表側周縁部をシールする、グロメット９０Ａよりも軟質のシール部材とを有しており、挿入部９２に抜け止め部１１０が形成され、挿入部９２の内側に前記バルブユニット１７が挿入される構成となっている。

　より具体的には、この実施形態の固定部材１６は、上記の挿入部９２や抜け止め部１１０を有するグロメット９０Ａと、該グロメット９０Ａの基端部側に装着され、上記シール部材をなす第１シール部材２０Ａと、グロメット９０Ａの先端部側に装着されるカバー部材１２０とから構成されている。

　一方、バルブユニット１７は、ケース内部空間Ｒ１及びケース外部空間Ｒ２を連通させる通気口１３２、及び、その周縁部に設けられた弁座（後述する第１シール部８６）と、固定部材に所定位置で係合する被係合部と、通気口１３２を開閉する弁体６０Ａと、弁体６０Ａを弁座に向けて付勢する付勢手段とを有している。

　より具体的には、この実施形態におけるバルブユニット１７は、グロメット９０Ａに対して押込み可能とされ、抜け止め部１１０のベース部材内方への撓み変形を規制する押込み部材１３０と、上記弁体６０Ａと、コイルバネ５の一端５ａを支持すると共に、第２シール部材８０Ａを介して押込み部材１３０を押込むキャップ部材１４０とから構成されている。

　また、上記押込み部材１３０は、押込み部材本体１３０Ａと、該押込み部材本体１３０Ａに装着される第２シール部材８０Ａとからなる。

　更に、この実施形態においては、グロメット９０Ａの挿入部９１の内側に、バルブユニット１７を構成する押込み部材１３０が、仮保持状態における仮保持位置から、本固定における本固定位置までスライド可能に挿入されており、押込み部材１３０は、弁体６０Ａが接離する弁座をなす第１シール部８６Ａと、挿入部９２の内周に摺接する第２シール部８７とを有している。

　また、本発明における「被係合部」は、固定部材１６に対してバルブユニット１７を仮保持する仮保持用と、固定部材１６に対してバルブユニット１７を本固定する本固定用とで、異なる形状、構造、レイアウトとなっている。

　すなわち、仮保持用の「被係合部」とは、この実施形態の場合、図２６に示すように、後述する係合爪１４５及び周壁１３１の基端部を意味しており、これらが後述する仮係合面１０３及び受け部１１３にそれぞれ係合することで、固定部材１６に対してバルブユニット１７が仮保持状態に保持される。なお、この実施形態の場合、仮係合面１０３及び受け部１１３が、本発明における後述する「仮係合部」をなしている。

　一方、本固定用の「被係合部」とは、この実施形態の場合、係合爪１４５（図２７参照）、係合爪１３４（図２８参照）、及び、突条１３５（図２９参照）を意味している。

　そして、図２７に示すように、係合爪１４５が後述する本係合面１０７に係合し、図２８に示すように、係合爪１３４が後述する係合突起１１４に係合し、且つ、図２９に示すように、突条１３５の延出方向先端部が後述する位置決め溝１１５の下端面に当接し且つ係合することで（なお、突条１３５が位置決め１１５に当接することで、固定部材１６に対するバルブユニット１７の押込み規制ともなる）、固定部材１６に対してバルブユニット１７が本固定状態に保持される。

　すなわち、この実施形態の場合、本係合面１０７、係合突起１１４、位置決め溝１１５が、本発明における後述する「本係合部」をなしている。

　そして、図２３に示すように、押込み部材本体１３０Ａと第２シール部材８０Ａとの２部品が組付けられることで、押込み部材１３０が構成され、グロメット９０Ａと第１シール部材２０Ａとの２部品が組付けられることで、組立体１７Ａが構成される。また、図１９に示すように、押込み部材１３０と組立体１７Ａとが組付けられることで、組立体１８Ａが構成される。

　まず、図１９や図２３等を参照して、グロメット９０Ａについて説明する。

　より具体的に説明すると、このグロメット９０Ａは、略円筒状をなすと共に、ケース開口３に挿入される挿入部９１と、該挿入部９１の先端部寄りの外周面から径方向外方に張り出した略円環板状をなした底板部９３と、略円環板状をなすと共に、該底板部９３に所定間隔を空けて対向配置された天井板部９４と、両板部９３，９４どうしを互いに連結する複数の連結片９５とを有している。また、挿入部９１は、底板部９３の内周縁部から天井板部９４側に向けて所定高さで突出した、突出部９１ａを有している。

　各連結片９５は、各板部９３，９４を径方向に横切るように延びる板状となっており、全部の連結片９５は同一方向に延びている。そして、周方向に隣接配置された連結片９５，９５と、底板部９３と、天井板部９４との間に、前記開口部９７が設けられている。この開口部９７は、グロメット９０Ａの内部空間及び外部空間を径方向に連通させるものとなっている。

　また、両板部９３，９４の径方向に対向する２箇所に位置する連結片９５，９５の間には、各連結片９５と同一方向に延びる、第１板状片９８がそれぞれ設けられている。更に、第１板状片９８と、その両側に位置する連結片９５，９５とは、天井板部９４寄りの位置に配置され且つ各片９５，９８を横切るように延びる第２板状片９９によって互いに連結されており、これらの部分は全体として略格子状をなしている。

　また、一対の第１板状片９８，９８に対して直交配置された一対の連結片９５，９５の外面からは、連結片９５の延出方向に対して直交する、第３板状片１００がそれぞれ突出している。更に、各第３板状片１００の基端部両側からは、第４板状片１０１が張り出している。

　なお、第１板状片９８や第３板状片１００の基端面（基端部裏面）に、カバー部材１２０の係止爪１２８が係止するようになっている（図２６参照）。

　また、天井板部９４の内周縁部であって、第１板状片９８及び第２板状片９９が設けられた箇所、及び、第３板状片１００及び第４板状片１０１が設けられた箇所には、キャップ部材１４０の係合片１４４を挿通可能とする、切欠き１０２が形成されている。ここでは周方向に均等な間隔を空けて４個の切欠き１０２が形成されている。

　また、天井板部９４の裏面であって、切欠き１０２の内周縁部には、キャップ部材１４０の係合爪１４５が係合して、グロメット９０Ａの天井板部９４の表面からキャップ部材１４０を突出した状態に仮保持する（図２５参照）、仮係合面１０３が設けられている。

　また、天井板部９４の外周縁部の表面であって、前記切欠き１０２に対応する位置からは、カバー部材１２０の位置決め孔１２３ａ（図２０参照）に挿入される、位置決め突起１０４がそれぞれ突設されている。更に、天井板部９４の外周縁部であって、周方向に隣接する位置決め突起１０４，１０４の間には、カバー部材１２０のガイドリブ１２１ａをガイドする、ガイド溝１０５がそれぞれ形成されている。

　また、第２板状片９９の内周面であって、前記仮係合面１０３から離間した位置、及び第３板状片１００が突出した連結片９５の内周面であって、第２板状片９９と同一高さ位置からは、本係合突起１０６がそれぞれ突設されている。

　各本係合突起１０６の裏面が、本係合面１０７をなしている。図２７に示すように、本係合面１０７に、キャップ部材１４０の係合爪１４５が係合することで、カバー部材１２０の天井壁１２３の表面に対して、キャップ部材１４０の天井板１４１の表面が面一となる状態（グロメット９０Ａやカバー部材１２０の天井面からキャップ部材１４０が突出しない状態）に、グロメット９０Ａに対してキャップ部材１４０が本係合される。

　また、挿入部９１の軸方向基端部には、互いに平行な一対のスリット１０９，１０９が形成されており、該一対のスリット１０９，１０９を介して、撓み変形可能な抜け止め部１１０が形成されている。この実施形態の場合、挿入部９１の周方向に均等な間隔を空けて、４個の抜け止め部１１０が形成されている。

　各抜け止め部１１０の延出方向の先端部外周からは、ケース開口３の裏側周縁部に係合する、係合部１１１が突設されている。係合部１１１は、頂部を境にして、基部外面及び先端部外面がテーパ状をなしている。また、抜け止め部１１０の先端部内周には、挿入部９１の径方向内方に向けて隆起する、隆起部１１２が設けられている。

　そして、グロメット９０Ａにキャップ部材１４０が仮保持され、且つ、キャップ部材１４０によって押込み部材１３０が押込まれていない状態では、隆起部１１２の内側に押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１が位置しておらず（図２６参照）、前記隆起部１１２と周壁１３１が径方向に離間している。そのため、各抜け止め部１１０は、挿入部９１の径方向内方に向けて撓み変形可能となるので、挿入部９１を、ケース開口３の表側から裏側に向けて挿入可能となる（図２６参照）。

　一方、図２７に示すように、グロメット９０Ａに対してキャップ部材１４０が本係合した状態となると、キャップ部材１４０によって押込み部材１３０が押込まれることになり、その結果、隆起部１１２の内側に押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１が位置し、隆起部１１２が周壁１３１に近接する。すると、各抜け止め部１１０が挿入部９１の径方向内方に撓み変形不能となるので、ケース開口３から挿入部９１が抜き出される事態が防止され、ケース開口３にグロメット９０Ａが抜け止め保持される。

　また、挿入部９１の、底板部９３よりも基端部側における内周面の、所定高さ位置からは、周方向に沿って所定長さで延びる突条をなした、受け部１１３が複数設けられている。この受け部１１３は、グロメット９０Ａにキャップ部材１４０が仮保持された状態で、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１の基端部を受け止めて（図２４参照）、抜け止め部１１０の隆起部１１２の内側に、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１が位置しないように保持する。

　更に、挿入部９１の、底板部９３よりも基端部側における内周面であって、前記受け部１１３よりも、挿入部９１の基端（延出方向先端）寄りの位置からは、係合突起１１４が複数突設されている。

　そして、グロメット９０Ａにキャップ部材１４０が本係合されて、第２シール部材８０Ａを介して押込み部材１３０が押込まれて、抜け止め部１１０の隆起部１１２の内側に、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１が位置したとき（図２７参照）、各係合突起１１４に、押込み部材本体１３０Ａに設けた所定の係合爪１３４（図２１参照）が係合可能となり、押込み部材１３０をその位置に保持する。

　また、挿入部９１の、底板部９３よりも基端部側における内周面の所定位置には、軸方向に沿って延びる凹溝状をなした位置決め溝１１５が複数形成されている。各位置決め溝１１５には、押込み部材１３０に設けた所定の突条１３５（図２２参照）が挿入されて、グロメット９０Ａに押込み部材１３０を押込むときの押込みガイドとなると共に、グロメット９０Ａに対して押込み部材１３０を回転規制し、且つ、その下端面に突条１３５が当接することで、グロメット９０Ａに対する押込み部材１３０の押込み規制が図られるようになっている（図２９参照）。

　次に、図１７や図２３等を参照して、グロメット９０Ａの基端部側に装着される第１シール部材２０Ａについて説明する。

　この実施形態の第１シール部材２０Ａは、略円形板状をなした本体部２１を有している。この本体部２１の外周からは、環状の薄肉フランジ状をなしたシールフランジ部２２Ａ，２４Ａが、互いに離間するように斜め外方に向けて広がっている。一方のシールフランジ部２２Ａは、ケース開口３の表側周縁に弾性的に当接し（図２７参照）、他方のシールフランジ部２４Ａは、グロメット９０Ａの底板部９３の裏面に弾性的に当接する（図２３参照）。

　また、本体部２１の裏面及び表面からは、環状をなした複数のシール突部２９Ａが突設されている。

　そして、図２３に示すように、第１シール部材２０Ａを、グロメット９０Ａの挿入部９１の先端部外周に配置することで、本体部２１の内周縁部が、挿入部９１の先端部外周に当接すると共に、本体部２１の表面側の一対のシール突部２９Ａ，２９Ａが、グロメット９０Ａの底板部９３の裏面に当接して、グロメット９０Ａに第１シール部材２０Ａが装着される。

　また、グロメット９０Ａの挿入部９１がケース開口３の表側から挿入されて、ケース開口３の裏側周縁部に、撓み片外周の各係合部１１１が係合して、図２７に示すように、ケース開口３に解放弁１０Ａが取付けられた状態では、ケース開口３の表側周縁部に、第１シール部材２０Ａのシールフランジ部２２Ａが当接すると共に、本体部２１の裏面側の一対のシール突部２９Ａ，２９Ａが当接する。

　次に、図２０や図２５等を参照して、グロメット９０Ａの先端部側に装着されるカバー部材１２０について説明する。

　この実施形態のカバー部材１２０は、略円筒状をなした周壁１２１と、この周壁１２１の先端部内周から環状フランジ状に突出した天井壁１２３とを有している。周壁１２１は、グロメット９０Ａの開口部９７の表面開口よりも外側に配置され、天井壁１２３は、グロメット９０Ａの天井板部９４の表側に配置される。

　また、天井壁１２３の外周縁部側には、周方向に均等な間隔を空けて、複数の位置決め孔１２３ａが形成されている。各位置決め孔１２３ａには、グロメット９０Ａに設けた位置決め突起１０４（図１９参照）が挿入され、グロメット９０Ａに対してカバー部材１２０を回転規制する。

　更に、周壁１２１の内周には、周方向に均等な間隔を空けて、複数のガイドリブ１２１ａが、周壁１２１の軸方向に沿って延設されている。各ガイドリブ１２１ａは、グロメット９０Ａに設けたガイド溝１０５に挿入されて、グロメット９０Ａに対するカバー部材１２０の組付け時のガイド、及び、グロメット９０Ａに対するカバー部材１２０の回転規制となる。

　また、周壁１２１の基端部には、周方向に延びる溝及び軸方向に延びる溝からなる略Ｌ字状をなしたスリット１２４が複数形成されており、各スリット１２４を介して、撓み変形可能とされた、長板状をなした板状片１２５が複数設けられている。図３１に示すように、各板状片１２５は、薄肉ヒンジ状をなした固定端部１２６を介して、略長孔状をなした開口部分１２７を開閉可能となっている。

　更に、周壁１２１の基端部内周には、複数の係止爪１２８が突設されている。図２６に示すように、これらの係止爪１２８が、グロメット９０Ａの第１板状片９８や第３板状片１００の基端面に係止するようになっている。

　なお、グロメット９０Ａにカバー部材１２０が装着された状態で、カバー部材１２０の周壁１２１の基端部と、グロメット９０Ａの底板部９３との間には、空隙１２９が形成されており（図２７，２８参照）、該空隙１２９は、開口部９７と連通している。

　次に、図２１や図２３等を参照して、グロメット９０Ａに対して押込み可能とされ、抜け止め部１１０のベース部材内方への撓み変形を規制する押込み部材１３０について説明する。

　押込み部材１３０を構成する押込み部材本体１３０Ａは、略円筒状をなした周壁１３１を有している。そして、この周壁１３１の内周開口部が、ケース内部空間Ｒ１及びケース外部空間Ｒ２を連通させる通気口１３２をなしている。

　また、周壁１３１の軸方向基端縁から軸方向先端側に向けて、一対のスリット１３３ａ，１３３ａが互いに平行に形成されており、該一対のスリット１３３ａ，１３３ａを介して、撓み変形可能な撓み片１３３が形成されている。この撓み片１３３は、周壁１３１の周方向に所定間隔を空けて複数形成されている。

　また、各撓み片１３３の延出方向先端部外周からは、係合爪１３４がそれぞれ突設されている。各係合爪１３４は、第２シール部材８０Ａを介して押込み部材１３０が押込まれて、抜け止め部１１０の隆起部１１２の内側に、押込み部材１３０の周壁１３１が位置したときに、グロメット９０Ａに設けた係合突起１１４に係合可能となり、押込み部材１３０を上記位置に保持する。

　更に、周壁１３１の外周には、周方向に均等な間隔を空けて、複数の突条１３５が軸方向に延設されている。各突条１３５は、グロメット９０Ａに設けた所定の位置決め溝１１５に挿入され、グロメット９０Ａに対する押込み部材１３０の押込みガイドとなると共に、グロメット９０Ａに対して押込み部材１３０を回転規制し、且つ、位置決め溝１１５の下端面に当接することで、グロメット９０Ａに対する押込み部材１３０の押込み規制を図るものとなっている（図２９参照）。

　また、周壁１３１の先端部には、第２シール部材８０Ａを装着するための、装着突部１３６が設けられている。更に、周壁１３１の基端部内周には、略十字状をなしたキャップ受け部１３７が架設されている。また、図２１に示すように、キャップ受け部１３７の上面側には、弁体６０Ａの底部を受け入れる、弁体受け入れ部１３８が形成されている。

　次に、図１７や図２３等を参照して、押込み部材本体１３０Ａに装着される第２シール部材８０Ａについて説明する。

　この実施形態の第２シール部材８０Ａは、略円筒状をなした筒状部８１Ａを有しており、その内周側に、装着溝８５Ａが形成されている。図２３に示すように、この装着溝８５Ａ内に、押込み部材１３０の装着突部１３６を挿入することで、押込み部材本体１３０Ａの先端部外周に、第２シール部材８０Ａが装着される。

　また、筒状部８１Ａの軸方向先端側の内周縁部からは、環状突起状をなした、弁座をなす第１シール部８６が突設されている。この第１シール部８６に、弁体６０Ａに設けた第２シール面６５Ａが接離して、通気口１３２が開閉される（図２７，３０参照）。

　更に、筒状部８１Ａの基端部外周からは、環状突起状をなした第２シール部８７が突設されている。図２７，２８に示すように、この第２シール部８７は、グロメット９０Ａの挿入部９１の内周面に弾性的に当接して、挿入部９１と第２シール部材８０Ａとの隙間をシールする。

　次に、図２２や図２４等を参照して、コイルバネ５の一端５ａを支持すると共に、第２シール部材８０Ａを介して押込み部材１３０を押込む、キャップ部材１４０について説明する。

　この実施形態のキャップ部材１４０は、略円形板状をなした天井板１４１と、該天井板１４１の外周縁部から所定長さで垂設した周壁１４２と、前記天井板１４１の裏面中央部から突出した略円筒状をなした筒状部１４３とを有している。

　図２５に示すように、筒状部１４３の内側に、コイルバネ５の一端部が挿入されて、天井板１４１の裏面中央部にて、コイルバネ５の一端５ａを支持する。また、図２７，３０に示すように、筒状部１４３は、弁体６０Ａの筒状部６１Ａの内周に配置されて、キャップ部材１４０に対して昇降スライドする弁体６０Ａのスライド動作をガイドする。

　更に、周壁１４２の延出方向先端からは、周方向に均等な間隔を空けて、複数（ここでは４個）の係合片１４４が延設されている。各係合片１４４は、周壁先端から天井板１４１に対して離間する方向に延びると共に、曲面状の屈曲部１４４ａを介して、天井板１４１に近接する方向に折り返されて、全体として略Ｕ字状をなしている。

　また、各係合片１４４の先端外周からは、係合爪１４５が突設されている。そして、図２５に示すように、グロメット９０Ａの仮係合面１０３に係合爪１４５が係合することで、グロメット９０Ａにキャップ部材１４０が仮保持される。一方、図２７に示すように、グロメット９０Ａの本係合突起１０６の本係合面１０７に、係合爪１４５が係合することで、グロメット９０Aにキャップ部材１４０が本係合される。

　更に図２４に示すように、天井板１４１の裏面であって、天井板１４１の外周縁部よりも径方向内方にやや偏位した箇所からは、長板状をなした押圧板１４６が複数垂設されている。

　各押圧板１４６は、第２シール部材８０Ａの、筒状部８１Ａの軸方向先端側の外周縁部を押圧するものとなっており、グロメット９０Ａに対してキャップ部材１４０を押込むときに、第２シール部材８０Ａを介して押込み部材１３０を間接的に押圧する。

　また、各押圧板１４６の幅方向中央外面からは、押圧板１４６に対して直交するように、板状のリブ１４７，１４８が張り出している。

　リブ１４７は、所定の係合片１４４と、該係合片１４４に対応する位置の押圧板１４６との間に設けられており、それらの先端部側には、グロメット９０Ａの挿入部９１の突出部９１ａを受け入れる、受け入れ部１４７ａが形成されている（図２４，２７参照）。

　また、図２２に示すように、周方向に隣接する係合片１４４，１４４の間に位置する、リブ１４８の先端部にも、グロメット９０Ａの挿入部９１の突出部９１ａを受け入れる、受け入れ部１４８ａが形成されている。

　次に、図１７や図２４等を参照して、弁体６０Ａについて説明する。

　この実施形態の弁体６０Ａは、略円筒状をなした筒状部６１Ａと、該筒状部６１Ａの先端部寄りの外周から張り出した、略円形板状をなしたフランジ部６２Ａと、筒状部６１Ａの基端部内周に設けられた、略ハット状をなしたバネ支持部６３Ａとを有している。

　筒状部６１Ａは、押込み部材本体１３０Ａの筒状部１４３の外周に配置されて、弁体６０Ａの昇降スライド動作がガイドされる（図２７，３０参照）。また、バネ支持部６３Ａは、コイルバネ５の他端部内周に挿入されると共に、コイルバネ５の他端５ｂに当接して、コイルバネ５の他端部を支持する（図２７参照）。

　更に、フランジ部６２Ａの外周縁部の裏面からは、環状突起が突設されており、該環状突起の裏面が、通気口１３２の周縁部に当接する（第１シール部８６に接離する）第２シール面６５Ａをなしている。

　そして、図２７に示すように、上記第２シール面６５Ａは、シールフランジ部２２Ａの裏面と、一対のシール突部２９Ａ，２９Ａの裏面とからなる、第１シール面２８Ａよりも、ケース１の外部空間Ｒ２側に位置するように設けられている。

　また、図２８に示すように、第１シール部８６から第２シール面６５Ａが最大限離れた状態で、第２シール面６５Ａが、グロメット９０Ａに設けた開口部９７の、ケース内部空間Ｒ１側に最も近い内縁部９７ａよりも、ケース外部空間Ｒ２側に位置するように構成されている。

　（作用効果）
　次に、上記構成からなる解放弁１０Ａの作用効果について説明する。

　はじめに、解放弁１０Ａの組付け工程について説明する。

　まず、押込み部材本体１３０Ａの装着突部１３６を、第２シール部材８０Ａの装着溝８５Ａ内に挿入することで、押込み部材本体１３０Ａの先端部外周に第２シール部材８０Ａを装着して、押込み部材１３０を組立てる（図２３参照）。また、第１シール部材２０Ａを、グロメット９０Ａの挿入部９１の先端部外周に配置することで、グロメット９０Ａに第１シール部材２０Ａを装着して、組立体１７Ａを組立てる（図２３参照）。

　次いで、押込み部材１３０と組立体１７Ａとを組付ける。すなわち、グロメット９０Ａの各位置決め溝１１５に、押込み部材本体１３０Ａの対応する突条１３５を位置合わせして、グロメット９０Ａに対して押込み部材１３０を押込んでいく。すると、位置決め溝１１５に挿入された突条１３５によって、押込み部材１３０がガイドされつつ押込まれていく。

　その後、グロメット９０Ａの受け部１１３によって、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１の基端部が受け止められて、それ以上の押込み部材１３０の押込みが規制されると共に、グロメット９０Ａに対して押込み部材１３０が回転規制された状態となり、組立体１８Ａが組立てられる（図２４参照）。

　なお、組立体１８Ａが組立てられた状態で、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１の基端部は、グロメット９０Ａの挿入部９１の基端部よりも、挿入部９１の先端側に引き込まれて、抜け止め部１１０の隆起部１１２の内側に、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１が位置していないため、各抜け止め部１１０は挿入部９１の内方に撓み変形可能となっている。

　次いで、グロメット９０Ａの上方開口部を通して、弁体６０Ａを挿入して、第２シール部材８０Ａの第１シール部８６上に、弁体６０Ａのフランジ部６２Ａの外周縁部を当接させて、弁体６０Ａを支持する。その後、コイルバネ５の他端部を、弁体６０Ａのバネ支持部６３Ａで支持する。

　また、グロメット９０Ａの各切欠き１０２に、キャップ部材１４０の対応する係合片１４４を位置合わせして、グロメット９０Ａに対してキャップ部材１４０を押込んでいく。すると、キャップ部材１４０の筒状部１４３内に、コイルバネ５の一端部が挿入されて支持されると共に、各係合片１４４の係合爪１４５が、グロメット９０Ａの仮係合面１０３に係合し、且つ、周壁１３１の基端部が受け部１１３に係合して（受け止められて）、グロメット９０Ａにキャップ部材１４０が仮保持される（図２５参照）。

　その後、グロメット９０Ａの各位置決め突起１０４に、カバー部材１２０の対応する位置決め孔１２３ａを位置合わせして、グロメット９０Ａに対してカバー部材１２０を押込んでいく。すると、ガイド溝１０５に挿入されたガイドリブ１２１ａによって、グロメット９０Ａに対してカバー部材１２０ガイドされつつ押込まれていく。

　そして、カバー部材１２０の各係止爪１２８が、グロメット９０Ａの第１板状片９８や第３板状片１００の基端面に係止すると共に、グロメット９０Ａの各位置決め突起１０４が、カバー部材１２０の対応する位置決め孔１２３ａに挿入されることで、グロメット９０Ａに対してカバー部材１２０が回転規制された状態で装着される（図２６参照）。

　上記状態では、グロメット９０Ａにキャップ部材１４０が仮保持されて、押込み部材１３０がキャップ部材１４０によって押されていない状態とされ、隆起部１１２の内側に押込み部材１３０の周壁１３１が位置していないため、各抜け止め部１１０は、挿入部９１の径方向内方に撓み変形可能となっている。

　そして、図２６の挿入方向Ｆに示すように、解放弁１０Ａを、ケース開口３の表側から挿入していく。すると、ケース開口３の内周に、グロメット９０Ａの係合部１１１の、テーパ状をなした基部外面が押圧されて、抜け止め部１１０が挿入部９１の内方に撓み変形する。

　その後、第１シール部材２０Ａのシールフランジ部２２Ａや一対のシール突部２９Ａ，２９Ａが、ケース開口３の表側周縁部に当接するまで、ケース開口３に対して解放弁１０が押し込まれて、係合部１１１の頂部がケース開口３の裏側開口を抜け出ると、抜け止め部１１０が弾性復帰して、係合部１１１のテーパ状の先端部外面がケース開口３の裏側周縁部に係合し、ケース開口３に解放弁１０Ａが仮固定される。

　上記状態から、グロメット９０Ａに対して、キャップ部材１４０を挿入方向Ｆに向けて押し込む。すると、キャップ部材１４０の複数の押圧板１４６が、第２シール部材８０Ａを押圧して、該第２シール部材８０Ａを介して、押込み部材１３０が押込まれていく。

　その後、位置決め溝１１５の下端面に突条１３５の先端部が当接するまで、押込み部材１３０を押込むと、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１の基端部が、グロメット９０Ａの抜け止め部１１０の隆起部１１２の内側に配置され、且つ、押込み部材１３０の撓み片１３３の係合爪１３４が、グロメット９０Ａの係合突起１１４に係合する（図２８参照）。それと共に、キャップ部材１４０の係合爪１４５が、本係合突起１０６の本係合面１０７に係合する（図２７参照）。更に、位置決め溝１１５の下端面に突条１３５の先端部が当接して係合する（図２９参照）。

　その結果、グロメット９０Ａにキャップ部材１４０が本係合するので、図２７に示すように、ケース開口３に解放弁１０Ａを本固定することができる。

　また、図２７に示す状態では、グロメット９０Ａの抜け止め部１１０の隆起部１１２の内側に、押込み部材１３０の周壁１３１が位置しているため、各抜け止め部１１０が挿入部９１の内方に撓み変形不能となる。その結果、ケース開口３に対してグロメット９０Ａが抜け止め保持され、ケース開口３に解放弁１０Ａが本固定された状態を維持することができる。

　更に図２４及び図２７に示すように、キャップ部材１４０は、略Ｕ字状をなした係合片１４４を有すると共に、該係合片１４４の基端部１４４ｂと、押圧板１４６との間には、グロメット９０Ａの挿入部９１の突出部９１ａを受け入れる、受け入れ部１４７ａが形成されている。また、固定部材１６にバルブユニット１７が本固定されて、受け入れ部１４７ａに突出部９１ａが受け入れられた状態で、係合片１４４は、その基端部１４４ｂが、筒状壁部９１の突出部９１ａの外周から、やや離間した位置に配置されるようになっている。

　そのため、固定部材１６に対してバルブユニット１７を仮保持する際に、受け入れ部１４７ａ内に、突出部９１ａが受け入れやすくなる。また、固定部材１６にバルブユニット１７が本固定された状態で、固定部材１６からバルブユニット１７が離反する方向に力が作用した場合に、係合片１４４がカバー部材内方に撓み変形して、その基端部１４４ｂが、突出部９１ａに当接するので、受け入れ部１４７ａから突出部９１ａが抜けにくくなる。

　すなわち、固定部材１６にバルブユニット１７を仮保持させやすくなると共に、固定部材１６にバルブユニット１７を本固定した後は、固定部材１６からバルブユニット１７を外れにくくすることができる。

　また、図２６に示すように、固定部材１６にバルブユニット１７が仮保持された状態では、第２シール部材８０Ａに設けた第２シール部８７がグロメット９０Ａの挿入部９１の内周に当接するので、仮保持状態におけるシール性を向上させることができる。

　更に図２７に示す状態では、キャップ部材１４０と弁体６０Ａとの間にて圧縮状態で保持されたコイルバネ５によって、弁体６０Ａの第２シール面６５Ａが、第２シール部材８０Ａに設けた第１シール部８６側に向けて付勢されて、第２シール面６５Ａが第１シール部８６に当接して、通気口１３２が閉塞される。

　そして、ケース１の内部空間Ｒ１の圧力が上昇して、コイルバネ５の付勢力を超えると、その付勢力に抗して、弁体６０Ａが第１シール部８６から離反する方向にスライドして、第２シール面６５Ａが第１シール部８６から離れる。

　すると、図３０に示すように、押込み部材１３０に設けた通気口１３２が開口し、この通気口１３２を通じて、ケース内部空間Ｒ１とケース外部空間Ｒ２とが連通する。この実施形態では、ケース内部空間Ｒ１とハウジング内部空間Ｒ３とが通気口１３２を介して連通し、且つ、ハウジング内部空間Ｒ３とケース外部空間Ｒ２とが、開口部９７や空隙１２９等を介して連通する。

　したがって、ケース内部空間Ｒ１のガス等の気体が、通気口１３２からハウジング内部空間Ｒ３内に流入して、キャップ部材１４０の係合片１４４，１４４間の隙間等を通り、グロメット９０Ａの開口部９７の内縁部９７ａ（挿入部９１の突出部９１ａの突出方向先端部）を超えて、開口部９７を通過した後、空隙１２９から、ケース外部空間Ｒ２へと排気される（図３０の矢印参照）。その結果、ケース内の圧力を解放することができる。

　なお、この実施形態においては、カバー部材１２０は、周壁１２１と、該周壁１２１に、スリット１２４を介して撓み変形可能に形成された板状片１２５とを有する構造となっているので、例えば、ケース内部空間Ｒ１にガスが大量発生して、ケース内部空間Ｒ１の圧力が急激に上昇した場合等に、図３１に示すように、板状片１２５が撓み変形して、その開口部分１２７から、ガスを迅速に排出できる。

　そして、この解放弁１０Ａにおいては、仮係合部である仮係合面１０３や受け部１１３に、バルブユニット仮保持用の被係合部である係合爪１４５や周壁１３１の基端部が係合した仮保持状態で、固定部材１６及びバルブユニット１７を、ケース開口３に挿入すると、抜け止め部１１０が固定部材内側に撓むことができるので、固定部材１６と共にバルブユニット１７を、ケース開口３に容易に挿入することができる。

　この状態で、固定部材１６に対してバルブユニット１７を更に深く挿入して、本係合部である本係合面１０７や、係合突起１１４、位置決め溝１１５に、バルブユニット本固定用の被係合部である係合爪１４５や、係合爪１３４、突条１３５をそれぞれ係合させると（図２７～２９参照）、抜け止め部１１０の内側にバルブユニット１７が位置することになり、抜け止め部１１０が固定部材内側に撓めなくなって、その縮径が規制されるので、バルブユニット１７を、固定部材１６を介してケース１にしっかりと固定することができる。その結果、ケース１に取付けしやすく、且つ、ケース１から外れにくい、解放弁１０Ａを得ることができる。

　また、この実施形態における固定部材１６は、ケース開口３への挿入部９２を有するグロメット９０Ａと、該グロメット９０Ａの外周に装着され、ケース開口３の表側周縁部をシールする、グロメット９０Ａよりも軟質のシール部材（第１シール部材２０Ａ）とを有しており、挿入部９２に抜け止め部１１０が形成され、挿入部９２の内側に前記バルブユニット１７が挿入される構成となっている。

　上記態様によれば、第１シール部材２０Ａよりも硬いグロメット９０Ａの挿入部９１に抜け止め部１１０が形成されているので、軟質のシール部材に抜け止め部が設けられている場合よりも、抜け止め部１１０が撓み変形したかどうかを把握しやすくなり、ケース開口３に対する解放弁１０Ａの本固定完了が明確となる。また、ケース開口３に対する抜け止め部１１０の抜け止め力を、シール部材に抜け止め部が設けられている場合よりも向上させることができる。

　更に、この実施形態においては、グロメット９０Ａの挿入部９２の内側に、バルブユニット１７を構成する押込み部材１３０が、仮保持状態における仮保持位置から、本固定における本固定位置までスライド可能に挿入されており、押込み部材１３０は、弁体６０Ａが接離する弁座をなす第１シール部８６Ａと、挿入部９２の内周に摺接する第２シール部８７とを有している。

　上記態様によれば、押込み部材１３０の仮保持状態から本固定状態に至るまで、第２シール部８７が挿入部９２の内周に摺接するので、固定部材１６とバルブユニット１７とのシール性（ここでは特に、グロメット９０Ａの挿入部９１の内周と、押込み部材本体１３０Ａの周壁１３１の外周とのシール性）を維持することができ、水や、ゴミ等の異物を、バルブユニット１７内に浸入させにくくすることができる。

　（蓄電デバイス用圧力解放弁の、更に他の実施形態）
　図３２には、本発明に係る蓄電デバイス用圧力解放弁の、更に他の実施形態が示されている。なお、前記実施形態と実質的に同一部分には同符号を付してその説明を省略する。

　図３２に示すように、この実施形態の蓄電デバイス用圧力解放弁１０Ｂ（以下、単に「解放弁１０Ｂ」ともいう）は、カバー部材１２０Ｂの形状が、図１７～３１に示す実施形態と異なっている。

　すなわち、この実施形態におけるカバー部材１２０Ｂは、周壁１２１の先端部と、天井壁１２３との間に開口１２２が形成されており、該開口１２２は、周壁１２１や天井壁１２３の周方向に複数形成されている。また、各開口１２２は、カバー部材１２０Ｂの内部空間と連通している。

　そして、この実施形態においても、例えば、ケース内部空間Ｒ１にガスが大量発生して、ケース内部空間Ｒ１の圧力が急激に上昇した場合等に、複数の開口１２２からガスを迅速に排出できる。

　なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で、各種の変形実施形態が可能であり、そのような実施形態も本発明の範囲に含まれる。

１　ケース
３　ケース開口
１０，１０Ａ，１０Ｂ　蓄電デバイス用圧力解放弁（解放弁）
１５，１７　バルブユニット
１６　固定部材
１８　押込み部材
２０　シール部材
２５　仮係合部
２６　本係合部
２７　抜け止め部
２８　押圧突部
４０　ロアー部材
４５　ベース部材側係合部
５０　弁座形成部材
５２，１３２　通気口
５３　弁座
６０　アッパー部材
６７　筒部
７０　弁体
７１　軸部
７２　フランジ部
８０　キャップ
８０Ａ　第２シール部材
８６　第１シール部
８７　第２シール部
９０　コイルバネ
９０Ａ　グロメット
９１　挿入部
１１０　抜け止め部

Claims

　蓄電デバイスが収容されるケースに取付けられる、蓄電デバイス用圧力解放弁であって、
　前記ケースに形成されたケース開口に挿入されて固定される、固定部材と、
　該固定部材の内側にスライド可能に挿入される、バルブユニットとを有しており、
　前記バルブユニットは、前記ケースの内部空間及び外部空間を連通させる通気口、及び、その周縁部に設けられた弁座と、前記固定部材に所定位置で係合する被係合部と、前記通気口を開閉する弁体と、前記弁体を前記弁座に向けて付勢する付勢手段とを有し、
　前記固定部材には、
　前記ケースに係合する抜け止め部と、
　前記固定部材の内側に設けられ、前記固定部材に対して前記バルブユニットを挿入するとき、所定の挿入位置で前記被係合部に係合する仮係合部、及び、該仮係合部よりも深い挿入位置で前記被係合部に係合する本係合部とが設けられており、
　前記抜け止め部は、前記仮係合部に前記被係合部が係合した仮保持状態で、内側に撓み可能となり、前記本係合部に前記被係合部が係合した本固定状態で、前記バルブユニットによって、縮径が規制されるように構成されていることを特徴とする、蓄電デバイス用圧力解放弁。
　前記固定部材は、
　前記ケース開口への挿入部を有するグロメットと、
　該グロメットの外周に装着され、前記ケース開口の表側周縁部をシールする、前記グロメットよりも軟質のシール部材とを有しており、
　前記挿入部に前記抜け止め部が形成され、前記挿入部の内側に前記バルブユニットが挿入される請求項１記載の蓄電デバイス用圧力解放弁。
　前記グロメットの前記挿入部の内側に、前記バルブユニットを構成する押込み部材が、前記仮保持状態における仮保持位置から、前記本固定における本固定位置までスライド可能に挿入されており、
　前記押込み部材は、前記弁体が接離する前記弁座をなす第１シール部と、前記挿入部の内周に摺接する第２シール部とを有する請求項２記載の蓄電デバイス用圧力解放弁。
　前記固定部材は、前記ケースに形成されたケース開口に挿入されて固定される、筒状のシール部材となっており、
　前記バルブユニットは、前記シール部材の内側に挿入され、前記シール部材を介して前記ケースに固定されるようになっており、
　前記バルブユニットは、
　前記通気口及び前記弁座を有し、更に前記シール部材に係合する、前記被係合部を有するベース部材を有しており、前記弁体は、前記ベース部材に対してスライド可能とされており、
　前記シール部材の内周面には、前記シール部材に対して前記バルブユニットを挿入するとき、所定の挿入位置で前記被係合部に係合する前記仮係合部と、該仮係合部よりも深い挿入位置で前記被係合部に係合する前記本係合部とが設けられており、
　前記シール部材には、前記ケースに係合する抜け止め部が設けられており、
　前記抜け止め部は、前記仮係合部に前記被係合部が係合した仮保持状態で、内側に撓み可能となり、前記本係合部に前記被係合部が係合した本固定状態で、前記ベース部材によって、縮径が規制されるように構成されている請求項１記載の蓄電デバイス用圧力解放弁。
　前記シール部材の内周面には、突部が設けられており、
　該突部は、前記本係合部に前記被係合部が係合した本固定状態で、前記ベース部材に押圧されて、前記抜け止め部を拡径させる、請求項４記載の蓄電デバイス用圧力解放弁。
　前記弁体は、前記弁座に接離するフランジ部を有しており、
　前記ベース部材は、前記弁座を設けたロアー部材と、該ロアー部材に組付けられるアッパー部材とを有しており、
　前記フランジ部又は前記アッパー部材の一方には、筒部が形成され、
　前記フランジ部又は前記アッパー部材の他方には、前記筒部に挿入されてスライド支持される軸部が形成されており、
　前記付勢手段はコイルバネからなり、前記筒部の外周に配置され、その一端が前記弁体のフランジ部に支持され、他端が前記アッパー部材に支持される請求項４又は５記載の蓄電デバイス用圧力解放弁。