WO2023135855A1 - 薄層ガラス仮固定用組成物 - Google Patents

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佳希 永田
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Abstract

本発明は、フッ酸の吸収が低減化されてオーバーエッチングを生じることなく薄層ガラス同士を安定的に仮固定することができる薄層ガラス仮固定用組成物を提供する。本発明の薄層ガラス仮固定用組成物は、炭素数が13個以上の炭化水素基を有する放射線反応性モノマー(A)を含有することを特徴とし、好ましくは、放射線反応性モノマーは、(メタ)アクリレートであり、より好ましくは、放射線反応性モノマー(A)は、アルキル(メタ)アクリレートであって、フッ酸の吸収が低減化されてオーバーエッチングを生じることなく薄層ガラス同士を安定的に仮固定することができる。

Description

薄層ガラス仮固定用組成物
 本発明は、薄層ガラス仮固定用組成物に関する。
 スマートフォンやタブレット端末などの携帯用電子機器や太陽電池用ガラス基板などにおいて薄層ガラスが用いられている。薄層ガラスは、一枚のみでは厚みが極めて薄く強度が低いことから、仮固定剤を用いて複数枚の薄層ガラスを多層に積層させて積層体を形成し、積層体全体としての機械強度を向上させ、積層体とされた薄層ガラスを加工することが行われている。
 薄層ガラス同士を多層に積層させるための仮固定剤として、特許文献1には、(1)(1-1)イミド(メタ)アクリレート、(1-2)重量平均分子量が1,000~34,000のポリエーテル系ウレタン(メタ)アクリレート、(1-3)(1-2)以外の多官能(メタ)アクリレートを含有する重合性ビニル誘導体、(2)ラジカル重合開始剤、(3)有機系熱膨張性粒子、(4)粒状物質を含有する薄厚基板用組成物が開示されている。
特開2017-179125号公報
 近年、薄層ガラスは、その外周端面を曲面化して外観性を向上するためにエッチング加工が施される。このエッチング処理にはフッ酸(フッ化水素酸)が用いられる。
 上記薄厚基板用組成物は、フッ酸を吸収するため、薄層ガラス間に介在させている薄厚基板用組成物を介してフッ酸が薄層ガラス間に侵入し、この薄層ガラス間に侵入したフッ酸によって薄層ガラスの外周端面よりも内側部分まで浸食されてしまう、所謂、オーバーエッチングを生じるという問題を生じる。
 本発明は、フッ酸の吸収が低減化されてオーバーエッチングを生じることなく薄層ガラス同士を安定的に仮固定することができる薄層ガラス仮固定用組成物を提供する。
 本発明の薄層ガラス仮固定用組成物は、炭素数が13個以上の炭化水素基を有する放射線反応性モノマー(A)を含有することを特徴とする。
[放射線反応性モノマー(A)]
 本発明の薄層ガラス仮固定用組成物は、炭素数が13以上の炭化水素基を有する放射線反応性モノマー(A)を含有している。薄層ガラス仮固定用組成物が、炭素数が13以上の炭化水素基を有する放射線反応性モノマー(A)(以下、単に「放射線反応性モノマー(A)」ということがある)を含むことによって、薄層ガラス仮固定用組成物を硬化させて得られる硬化物において、その表面に疎水性に優れた炭素数が13以上の炭化水素基を存在させて硬化物にフッ酸が吸収されることを低減している。従って、薄層ガラス間に薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介在させた状態に薄層ガラス同士を積層一体化させた状態において、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物がフッ酸を吸収することを概ね防止することができ、薄層ガラスがオーバーエッチングされることを概ね防止することができる。
 放射線反応性モノマー(A)は、炭素数が13個以上の炭化水素基を有している。炭化水素基とは、炭素原子及び水素原子のみから構成された原子団である。炭化水素基は、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の表面をより疎水化することができるので、鎖状であることが好ましく、分岐鎖を有する鎖状であることがより好ましい。分岐鎖とは、炭化水素基において最も長い直鎖状の炭素鎖をメイン鎖とし、このメイン鎖に側鎖として1個以上の炭素原子を含む炭素鎖が結合しているものをいう。従って、側鎖には炭素数が1個であるメチル基も含まれる。炭素鎖の長さは、炭素鎖を構成している炭素数によって判断され、構成している炭素数が最も多い炭素鎖をメイン鎖とする。なお、放射線反応性モノマー(A)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
 放射線反応性モノマー(A)に含まれる炭素数が13個以上の炭化水素基において、炭素-炭素間の結合は、飽和結合(単結合)の他に、エチレン性不飽和二重結合などの不飽和結合を含んでいてもよいが、薄層ガラス同士を薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物によって十分に接着させることができるので、飽和結合のみから構成されていることが好ましい。
 放射線反応性モノマー(A)に含まれる炭化水素基の炭素数は、13個以上であり、15個以上が好ましく、17個以上がより好ましい。放射線反応性モノマー(A)に含まれる炭化水素基の炭素数は、50個以下が好ましく、30個以下が好ましく、25個以下がより好ましい。放射線反応性モノマー(A)に含まれる炭化水素基の炭素数が13個以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができる。放射線反応性モノマー(A)に含まれる炭化水素基の炭素数が50個以下であると、薄層ガラス同士を薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物によって十分に接着させることができる。
 放射線反応性モノマー(A)に含まれる炭素数が13個以上の炭化水素基としては、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができるので、アルキル基が好ましい。
 なお、アルキル基とは、脂肪族飽和炭化水素から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。放射線反応性モノマー(A)のアルキル基の水素は、他の原子又は原子団によって置換されておらず、直鎖状又は分岐状の何れであってもよいが、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングが低減できるので、分岐状であることが好ましい。
 放射線反応性モノマー(A)に含まれる炭素数が13個以上のアルキル基としては、具体的には、例えば、テトラデシル基、ヘキサデシル基、ステアリル基、イソステアリル基、2-デシル-1-テトラデシル基、2-デシル-1-ヘキサデシル基、2-テトラデシル-1-オクタデシル基などが挙げられ、ステアリル基、イソステアリル基、2-デシル-1-テトラデシル基が好ましく、イソステアリル基、2-デシル-1-テトラデシル基がより好ましい。
 放射線反応性モノマー(A)は、放射線反応性を有しており、放射線を照射することによって重合する。本発明において、「放射線反応性」とは、放射線の照射によって重合してポリマーを生成可能であることをいう。なお、放射線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線などが挙げられ、紫外線が好ましい。
 放射線反応性モノマー(A)は、放射線反応性基を有している。放射線反応基は、放射線の照射によって重合可能な部位を有する原子団をいう。放射線反応性モノマー(A)は、放射線反応性基を1個のみ有していることが好ましい。放射線反応性基としては、特に限定されず、例えば、エチレン性不飽和結合(好ましくは、エチレン性不飽和二重結合)で結合した炭素-炭素構造[例えば、アクリロイル基(CH2=CHCO-)、アクリルアミド基(CH2=CH-CONH-)、メタクリロイル基[(CH2=CH(CH3)CO-)]、メタクリルアミド基[CH2=CH(CH3)-CONH-]、ビニレン基(-CH=CH-)、アリル基、ビニルエーテル基(CH2=CH-O-)などのビニル基を含む官能基など]、グリシジル基、エポキシ基、チオール基、オキセタニル基、ベンゾフェノン基、ベンゾイン基、チオキサントン基などが挙げられ、エチレン性不飽和結合で結合した炭素-炭素構造を有する原子団が好ましく、エチレン性不飽和二重結合で結合した炭素-炭素構造を有する原子団がより好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基が好ましく、アクリロイル基、メタクリロイル基がより好ましい。
 エチレン性不飽和二重結合で結合した炭素-炭素構造を有する放射線反応性モノマー(A)としては、薄層ガラス同士を薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物によって十分に接着させることができるので、(メタ)アクリレートが好ましく、アルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
 炭素数が13個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、例えば、テトラデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-デシル-1-テトラデカニル(メタ)アクリレート、2-デシル-1-ヘキサデシル(メタ)アクリレート、2-テトラデシル-1-オクタデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-デシル-1-テトラデシル(メタ)アクリレートが好ましく、イソステアリル(メタ)アクリレート、2-デシル-1-テトラデシル(メタ)アクリレートがより好ましい。なお、炭素数が13個以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
 その他の炭素数が13個以上の炭化水素基を有する放射線反応性モノマー(A)としては、特に限定されず、例えば、テトラデシルグリシジルエーテル、ヘキサデシルグリシジルエーテル、ステアリルグリシジルエーテル、イソステアリルグリシジルエーテル、2-デシル-1-テトラデカニルグリシジルエーテル、2-デシル-1-ヘキサデシルグリシジルエーテル、2-テトラデシル-1-オクタデシルグリシジルエーテル、テトラデシルオキセタン、ヘキサデシルオキセタン、ステアリルオキセタン、イソステアリルオキセタン、2-デシル-1-テトラデカニルオキセタン、2-デシル-1-ヘキサデシルオキセタン、2-テトラデシル-1-オクタデシルオキセタンなどが挙げられる。
 薄層ガラス仮固定用組成物中における放射線反応性モノマー(A)の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマー全量100質量部に対して50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がより好ましく、72質量部以上がより好ましい。薄層ガラス仮固定用組成物中における放射線反応性モノマー(A)の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマー全量100質量部に対して83質量部以下が好ましく、80質量部以下がより好ましい。放射線反応性モノマー(A)の含有量が70質量部以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができる。放射線反応性モノマー(A)の含有量が83質量部以下であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介して積層された薄層ガラス同士を剥離した後、薄層ガラスに糊残りが生じて薄層ガラスが汚染されることを低減することができる。
[多官能アクリル系モノマー(B)]
 薄層ガラス仮固定用組成物は、多官能アクリル系モノマー(B)を含有していることが好ましい。多官能アクリル系モノマー(B)を含有していると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の架橋密度を向上させて、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができる。多官能アクリル系モノマー(B)は、炭素数が13個以上の炭化水素基を有していないことが好ましい。多官能アクリル系モノマー(B)に含まれている炭化水素基は、炭素数が12個以下であることが好ましい。
 多官能アクリル系モノマー(B)は、分子内に複数個の(メタ)アクリロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイル基[アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうちの何れか2個以上の官能基]を有しており、放射線反応性モノマー(A)とラジカル重合して架橋構造を形成する。アクリロキシ基は式(1)で示される1価の原子団を、メタクリロキシ基は式2で示される1価の原子団を、アクリロイル基は式(3)で示される1価の原子団を、メタクリロイル基は式(4)で示される1価の原子団をいう。式(1)~(4)において、*1~*4は、結合手であって単結合を意味する。なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。(メタ)アクリロキシ基は、アクリロキシ基又はメタクリロキシ基を意味する。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000002
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000003
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000004
 多官能アクリル系モノマー(B)は、主骨格に複数個の(メタ)アクリロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイル基[アクリロキシ基、メタクリロキシ基、アクリロイル基及びメタクリロイル基のうちの何れか2個以上の官能基]が結合している。主骨格としては、特に限定されず、例えば、アルキレン骨格、ポリオキシアルキレン骨格、トリシクロデカニルジメタノール骨格、フルオレン骨格、ビスフェノールA骨格、ネオペンチル骨格、シクロヘキサンジメタノール骨格及びこれらを組み合わせてなる骨格などが挙げられ、アルキレン骨格、ポリオキシアルキレン骨格、トリシクロデカニルジメタノール骨格、フルオレン骨格、ビスフェノールA骨格、ネオペンチル骨格、シクロヘキサンジメタノール骨格が好ましく、アルキレン骨格、ポリオキシアルキレン骨格がより好ましく、アルキレン骨格がより好ましい。
 ポリオキシアルキレン骨格は、一般式:-(R1-O)n-(式中、R1は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位である。繰り返し単位の数nは、2~24が好ましい。ポリオキシアルキレン骨格は、一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
 ポリオキシアルキレン骨格としては、例えば、ポリエチレンオキサイド骨格、ポリプロピレンオキサイド骨格、ポリテトラメチレンオキサイド骨格(ポリブチレンオキサイド骨格)などが挙げられ、ポリオキシエチレン骨格が好ましい。
 多官能アクリル系モノマー(B)において、主骨格がポリオキシアルキレン骨格である場合、ポリオキシアルキレン骨格の両末端に(メタ)アクリロキシ基及び/又は(メタ)アクリロイル基が結合していることが好ましい。主骨格がポリオキシアルキレン骨格である場合、ポリオキシアルキレン骨格の一方の末端に(メタ)アクリロキシ基又は(メタ)アクリロイル基が結合していると共に、ポリオキシアルキレン骨格の他方の末端に(メタ)アクリロキシ基又は(メタ)アクリロイル基が結合していることが好ましい。
 多官能アクリル系モノマー(B)は、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができるので、アルキレン基(アルキレン骨格)の両末端に(メタ)アクリロキシ基が結合している化合物が好ましい。
 本発明において、アルキレン基とは、脂肪族飽和炭化水素中の異なる2個の炭素原子に結合する2個の水素原子を除いて生じる2価の原子団であり、直鎖状及び分岐状の双方の原子団を含む。
 アルキレン基としては、例えば、エチレン基、プロピレン基[-CH(CH3)-CH2-]、トリメチレン基[-CH2-CH2-CH2-]、ブチレン基、アミレン基[-(CH25-]、ヘキシレン基などが挙げられる。
 多官能アクリル系モノマー(B)がアルキレン基を有している場合、アルキレン基の炭素数は、2個以上が好ましく、4個以上がより好ましい。多官能アクリル系モノマー(B)がアルキレン基を有している場合、アルキレン基の炭素数は、24個以下が好ましく、12個以下がより好ましい。アルキレン基の炭素数が2個以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができる。アルキレン基の炭素数が24個以下であると、薄層ガラス同士を薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物によって十分に接着させることができる。
 多官能アクリル系モノマー(B)としては、特に限定されず、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレン基の両末端に(メタ)アクリロキシ基が結合している多官能アクリル系モノマー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタコンタヘクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、アルキレン基の両末端に(メタ)アクリロキシ基が結合している多官能アクリル系モノマーが好ましく、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。なお、多官能アクリル系モノマー(B)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
 薄層ガラス仮固定用組成物中における多官能アクリル系モノマー(B)の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマー全量100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.3質量部以上がより好ましく、0.5質量部以上がより好ましい。薄層ガラス仮固定用組成物中における多官能アクリル系モノマー(B)の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマー全量100質量部に対して10質量部以下が好ましく、6質量部以下がより好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がより好ましい。多官能アクリル系モノマー(B)の含有量が0.1質量部以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の架橋密度を上昇させて、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができる。多官能アクリル系モノマー(B)の含有量が10質量部以下であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができる。
[(メタ)アクリレートモノマー(C)]
 薄層ガラス仮固定用組成物は、(メタ)アクリレートモノマー(C)を含有していることが好ましい。(メタ)アクリレートモノマー(C)を含有させることによって、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物のガラス転移温度Tgを高くし、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介して積層させていた薄層ガラス同士を剥離した後に、薄層ガラスに糊残りが生じて薄層ガラスが汚染されることを低減することができる。
 (メタ)アクリレート(C)は、炭素数が13個以上の炭化水素基を有していないことが好ましい。(メタ)アクリレート(C)に含まれている炭化水素基は、炭素数が12個以下であることが好ましい。(メタ)アクリレート(C)が、炭素数が13個以上の炭化水素基を有していないことによって、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物のガラス転移温度Tgを高くし、上述したように、薄層ガラスに糊残りが生じて薄層ガラスが汚染されることを低減することができる。
 (メタ)アクリレート(C)は、単官能であることが好ましい。(メタ)アクリレート(C)は、上記放射線反応基を1個のみ有していることが好ましい。(メタ)アクリレート(C)が単官能であって架橋性を有しないことによって、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介して積層された薄層ガラス同士を剥離した後、薄層ガラスに糊残りが生じて薄層ガラスが汚染されることを低減することができる。
 (メタ)アクリレート(C)は、脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートが好ましい。脂環式骨格とは、芳香環構造を含まない炭化水素基であり、単環の脂環式骨格又は多環の脂環式骨格を含む。単環の脂環式骨格の基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式骨格の基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、ジシクロペンタニル基、アダマンチル基などが挙げられる。
 脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートとしては、特に限定されず、例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。(メタ)アクリレート(C)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
 (メタ)アクリレート(C)のガラス転移温度Tgは、121℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、160℃以上がより好ましい。(メタ)アクリレート(C)のガラス転移温度Tgは、300℃以下が好ましく、270℃以下がより好ましく、250℃以下がより好ましい。(メタ)アクリレート(C)のガラス転移温度Tgが121℃以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介して積層された薄層ガラス同士を剥離した後、薄層ガラスに糊残りが生じて薄層ガラスが汚染されることを低減することができる。(メタ)アクリレート(C)のガラス転移温度Tgが300℃以下であると、薄層ガラス同士を薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物によって十分に接着させることができる。
 薄層ガラス仮固定用組成物中における(メタ)アクリレート(C)の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマー全量100質量部に対して5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がより好ましい。薄層ガラス仮固定用組成物中における(メタ)アクリレート(C)の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマー全量100質量部に対して40質量部以下が好ましく、35質量部以下がより好ましく、30質量部以下がより好ましく、28質量部以下がより好ましく、26質量部以下がより好ましい。(メタ)アクリレート(C)の含有量が5質量部以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介して積層された薄層ガラス同士を剥離した後、薄層ガラスに糊残りが生じて薄層ガラスが汚染されることを低減することができる。(メタ)アクリレート(C)の含有量が40質量部以下であると、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の疎水性が向上し、薄層ガラスのエッチング時におけるオーバーエッチングを低減することができる。
[その他のモノマー]
 薄膜ガラス仮固定用組成物は、その物性を損なわない範囲内で放射線反応性モノマー(A)と共重合可能なモノマーを含有していてもよい。このようなモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド;N-イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミドなどのN-1置換(メタ)アクリルアミド化合物;N-(メタ)アクリロイルモルホリン、N-(メタ)アクリロイルピペリドン、N-(メタ)アクリロイルピペリジン、N-(メタ)アクリロイルピロリジン、N-(メタ)アクリロイル-4-ピペリドン、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドなどのN-2置換(メタ)アクリルアミド化合物などの(メタ)アクリルアミド、ビニルベンゼンなどの芳香族ビニルモノマーなどなどが挙げられる。なお、これらのモノマーは、炭素数が13個以上の炭化水素基を有していない。
[熱膨張性微粒子]
 薄層ガラス仮固定用組成物は、熱膨張性微粒子を含有することが好ましい。熱膨張性微粒子は、所定の熱を加えることによって膨張する微粒子である。薄層ガラスの加工時において、薄層ガラス同士が薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介して積層一体化されて硬化体を形成しており、硬化体の加工後に薄層ガラス同士が剥離される。薄層ガラス同士の剥離時に薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物による接着力を容易に低下させることができるので、薄層ガラス仮固定用組成物は熱膨張性微粒子を含有していることが好ましい。
 熱膨張性微粒子は、加熱により膨張することによって、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物による薄層ガラス同士の接着力を低下させて、加工後の積層状態の薄層ガラスを一枚ずつに損傷なく且つ容易に剥離可能にしている。
 熱膨張性微粒子は、加熱により膨張して薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の接着性を低下させることができれば、特に限定されない。熱膨張性微粒子としては、例えば、ニトリル系樹脂、オレフィン系樹脂などの合成樹脂製の中空微粒子内に揮発性膨張剤を密封してなる微粒子などが挙げられる。
 合成樹脂製の中空微粒子内に揮発性膨張剤を密封してなる微粒子は、加熱によって中空微粒子が軟化すると共に、中空微粒子内の揮発性膨張剤が加熱によって体積膨張することによって、熱膨張するように構成されている。なお、熱膨張性微粒子における中空微粒子内の揮発性膨張剤は、熱膨張性微粒子の熱膨張時に中空微粒子の外部に放出されることはない。
 ニトリル系樹脂はニトリル系モノマー単位を含む。ニトリル系モノマーとしては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α-クロルアクリロニトリル、α-エトキシアクリロニトリル、フマロニトリルなどが挙げられる。なお、ニトリル系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
 ニトリル系樹脂は、ニトリル系モノマー単位以外のモノマー単位を含有していてもよい。このようなモノマーとしては、例えば、塩化ビニリデンなどの塩化ビニル系モノマー;メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレートなどのアクリレート;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレートなどのメタクリレートなどが挙げられる。なお、これらのモノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
 そして、熱膨張性微粒子を構成している中空微粒子内には、加熱によって揮発する揮発性膨張剤が密封されている。揮発性膨張剤としては、例えば、エタン、エチレン、プロパン、プロペン、n-ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、n-へキサン、ヘプタン、石油エーテルなどの低分子量炭化水素;CCL3F、CCl22、CClF3、CClF2-CCl22などのクロロフルオロカーボン;テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル-n-プロピルシランなどのテトラアルキルシランなどが挙げられる。なお、揮発性膨張剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
 熱膨張性微粒子の平均粒子径は、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましく、10μm以上がより好ましい。熱膨張性微粒子の平均粒子径は、25μm以下がより好ましく、22μm以下がより好ましく、20μm以下がより好ましく、18μm以下がより好ましい。熱膨張性微粒子の平均粒子径が5μm以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物を介して仮固定された薄層ガラス同士を短時間にて容易に一枚ずつに剥離することができる。熱膨張性微粒子の平均粒子径が25μm以下であると、薄層ガラスに加わる応力を低減しながら、薄層ガラスを一枚ずつに容易に剥離することができる。なお、熱膨張性微粒子の平均粒子径は、動的光散乱法による体積基準の粒度分布における50%累積粒子径をいう。
 薄層ガラス仮固定用組成物中における熱膨張性微粒子の総含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物に含まれるモノマー全量100質量部に対して10質量部以上が好ましく、15質量部以上がより好ましい。薄層ガラス仮固定用組成物中における熱膨張性微粒子の総含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物に含まれるモノマー全量100質量部に対して40質量部以下が好ましく、35質量部以下がより好ましい。熱膨張性微粒子の総含有量が10質量部以上であると、薄層ガラス同士を一体化している薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の接着強度を円滑に低下させて、薄層ガラス同士を容易に剥離させることができる。熱膨張性微粒子の総含有量が40質量部以下であると、薄層ガラス同士を一体化している薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物の急激な膨張を抑制し、薄層ガラスに不必要な応力が加わるのを低減して薄層ガラス同士を損傷なく剥離させることができる。
[光ラジカル重合開始剤]
 薄層ガラス仮固定用組成物は、光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。光ラジカル重合開始剤は、400nmにおけるモル吸光係数εが100L/(mol・cm)以上である光ラジカル重合開始剤を含むことが好ましい。
 光ラジカル重合開始剤中において、400nmにおけるモル吸光係数εが100L/(mol・cm)以上である光ラジカル重合開始剤の含有量は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がより好ましい。
 光ラジカル重合開始剤の400nmにおけるモル吸光係数εは、下記の要領で測定された値をいう。光ラジカル重合開始剤をアセトニトリルに溶解させてアセトニトリル溶液を作製する。調製した光ラジカル重合開始剤のアセトニトリル溶液を1cmの光路長Pを有するセルに投入し、分光光度計を用いて400nmにおけるアセトニトリル溶液の吸光度Aを測定する。この際、アセトニトリル溶液の吸光度Aが0.3~2.0となるように、アセトニトリル溶液中の光ラジカル重合開始剤の濃度c(mol/L)を調整する。下記式(ランベルト・ベールの法則)により、モル吸光係数εを算出する。なお、分光光度計は、例えば、島津製作所社から商品名「UV-3600」にて市販されている装置を用いることができる。
 A=εPc
 ε=A/(Pc)
 ε:モル吸光係数[L/(mol・cm)]
 A:吸光度(単位なし)
 P:光路長(cm)
 c:アセトニトリル溶液中の光ラジカル重合開始剤のモル濃度(mol/L)
 光ラジカル重合開始剤は、放射線の照射によってラジカルを発生し、薄層ガラス仮固定用組成物に含まれているモノマーをラジカル重合させる。
 光ラジカル重合開始剤が、400nmにおけるモル吸光係数εが100L/(mol・cm)以上である光ラジカル重合開始剤を含む場合、波長400nm以上の放射線の照射によって、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれる放射線反応性モノマー(A)、並びに、必要に応じて含まれる多官能アクリル系モノマー(B)及び/又は(メタ)アクリレートモノマー(C)を含むモノマーのラジカル重合を開始させることができるので、放射線が薄層ガラスにできるだけ吸収されることなく、薄層ガラス間に介在させた薄層ガラス仮固定用組成物の光硬化を確実に行うことができ、複数枚の薄層ガラスを薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物を介して容易に且つ円滑に積層一体化させて仮固定することができる。
 400nmにおけるモル吸光係数εが100L/(mol・cm)以上である光ラジカル重合開始剤を用いる場合、ラジカルを発生させるために照射される放射線の波長は500nm以下であることが好ましい。放射線の波長が500nm以下であると、薄層ガラス仮固定用組成物は光硬化性に優れる。
 光ラジカル重合開始剤としては、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマーをラジカル重合させることができれば、特に限定されない。光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤、チオキサントン系光ラジカル重合開始剤、トリアジン系光ラジカル重合開始剤が好ましく、薄層ガラス仮固定用組成物を一液型とすることができ薄層ガラス仮固定用組成物の作業性に優れ且つ薄層ガラス仮固定用組成物の光硬化性に優れているので、アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤がより好ましい。
 アシルホスフィンオキサイド系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
 チオキサントン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,4-ジエチルチオキサントンなどが挙げられる。
 トリアジン系光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2-[2-(フラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[(4-メトキシフェニル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン、2-[(3,4-ジメトキシフェニル)ビニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジンなどが挙げられる。
 薄層ガラス仮固定用組成物において、光ラジカル重合開始剤の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物に含まれるモノマー全量100質量部に対して0.1質量部以上が好ましく、0.2質量部以上がより好ましく、0.3質量部以上がより好ましい。薄層ガラス仮固定用組成物において、光ラジカル重合開始剤の含有量は、薄層ガラス仮固定用組成物に含まれるモノマー全量100質量部に対して5.0質量部以下が好ましく、3.0質量部以下がより好ましく、1.0質量部以下がより好ましい。光ラジカル重合開始剤の含有量が0.1質量部以上であると、薄層ガラス仮固定用組成物が光硬化性に優れているので好ましい。光ラジカル重合開始剤の含有量が5.0質量部以下であると、薄層ガラス仮固定用組成物は光硬化性に優れている。
[添加剤]
 薄層ガラス仮固定用組成物は、その物性を阻害しない範囲内において、チクソトロピック剤、ウレタンアクリレート、アクリル系ポリマー、接着性付与樹脂、可塑剤、非熱膨張性微粒子、染料、顔料、難燃剤、シランカップリング剤、界面活性剤などを含有してもよい。
[薄層ガラス仮固定用組成物]
 薄層ガラス仮固定用組成物の製造方法は、特に限定されず、例えば、放射線反応性モノマー(A)と、必要に応じて含有される多官能アクリル系モノマー(B)、(メタ)アクリレート(C)、熱膨張性微粒子及び/又は光ラジカル重合開始剤を汎用の要領で好ましくは減圧下において均一に混合することによって製造することができる。
[薄層ガラスの加工方法]
 上記薄層ガラス仮固定用組成物は、薄層ガラスの加工時に薄層ガラス同士を積層状態に重ね合わせて仮固定するために用いられる。薄層ガラス仮固定用組成物は、厚みの薄い薄層ガラスの加工のために好適に用いられ、厚みが200μm以下の薄層ガラスの加工に特に好適に用いることができる。薄層ガラスの厚みは、30μm以上が好ましい。
 薄層ガラス仮固定用組成物を用いた薄層ガラスの加工方法の一例を説明する。先ず、複数枚の薄層ガラスをこれらの薄層ガラスの対向面間のそれぞれに薄層ガラス仮固定用組成物を介在させた状態に積層させて積層体を製造する(積層工程)。
 薄層ガラス仮固定用組成物は一液型であるため、積層体を作製するにあたって二液を混合するといった煩雑な作業を必要とせず、積層体を容易に製造することができる。
 次に、得られた積層体全体に、この積層体の積層方向から、放射線を照射し、積層体の薄層ガラス間に介在させた複数層の薄層ガラス仮固定用組成物を全て硬化させて硬化物を生成する(硬化工程)。この硬化物によって薄層ガラス同士を仮固定して、複数枚の薄層ガラスが薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物によって積層一体化されてなる硬化体を製造する。放射線のピーク波長は、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化性に優れているので、500nm以下であることが好ましい。
 放射線を積層体の積層方向(厚み方向)に照射するが、放射線は、波長が400nm以上の光が好ましい。波長が400nm以上の放射線を用いることによって、薄層ガラスに放射線が吸収されるのを概ね防止することができると共に、複数層の白濁状の薄層ガラス仮固定用組成物であっても十分に放射線を透過させることができる。そして、薄層ガラス仮固定用組成物中に必要に応じて含まれる光ラジカル重合開始剤が放射線を効果的に吸収して、薄層ガラス仮固定用組成物中に含まれるモノマーのラジカル重合を円滑に進行させる。
 更に、積層体に対する放射線の照射は、複数層存在する薄層ガラス仮固定用組成物ごとに行う必要がなく、積層体を作製した後、この積層体の積層方向に積層体の厚み全体に放射線を照射することによって、薄層ガラス間に介在している複数層の薄層ガラス仮固定用組成物の全てに放射線を照射して短時間のうちに確実に硬化させ、薄層ガラス同士を仮固定して一体化させて硬化体を製造することができる。
 硬化体は、薄層ガラス同士が剥離可能に薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物によって積層一体化され、全体として機械的強度に優れており、薄層ガラスの研磨、切削、エッチングなどの加工を薄層ガラスの破損なく容易に行うことができる(加工工程)。
 薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物は、エッチング時に用いられるフッ酸の吸収が抑制されていることから、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物に浸透し、薄層ガラス間に侵入したフッ酸によって薄層ガラスの外周端面よりも内側部分まで浸食されてしまうオーバーエッチングを抑制することができる。
 従って、薄層ガラス仮固定用組成物を用いて薄層ガラスの積層体を作製することによって、薄層ガラスのオーバーエッチングを防止し、薄層ガラスの外周端面を容易に曲面形状に美麗にエッチング処理することができる。
 しかる後、薄層ガラス仮固定用組成物中に熱膨張性微粒子を含有している場合、硬化体の硬化物を加熱して、薄層ガラス仮固定用組成物の硬化物中の熱膨張性微粒子を熱膨張させることによって、硬化物の接着強度を低下させて薄層ガラス同士を剥離させ、一枚ずつの薄層ガラスを得ることができる(剥離工程)。
 硬化体の硬化物を加熱する方法としては、特に限定されず、例えば、(1)硬化体を温水に浸漬するなどして、硬化体を温水に接触させて硬化物を加熱する方法、(2)硬化体を高温雰囲気下に放置して、硬化体を加熱する方法などが挙げられる。
 温水の温度は、特に限定されず、例えば、熱膨張性微粒子を熱膨張させることができる温度であればよい。硬化体を放置する雰囲気温度は、特に限定されず、例えば、熱膨張性微粒子を熱膨張させることができる雰囲気温度であればよい。
 本発明の薄層ガラス仮固定用組成物は、上述の如き構成を有しているので、フッ酸の吸収が低減化されてオーバーエッチングを生じることなく薄層ガラス同士を安定的に仮固定することができる。
接着強度の測定要領を示した断面図である。 接着強度の測定要領を示した平面図である。
 以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、「課題を解決するための手段」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」として定義されている数値)に代替することができる。
 実施例及び比較例において、下記の化合物を用いた。
[放射線反応性モノマー(A)]
・イソステアリルアクリレート(アルキル基の炭素数:18個、アルキル基:分岐鎖、ガラス転移温度Tg:-17℃)
・2-デシル-1-テトラデシルアクリレート(アルキル基の炭素数:24個、アルキル基:分岐鎖、ガラス転移温度Tg:-36℃)
・イソデシルメタクリレート(アルキル基の炭素数:10個、アルキル基:分岐鎖、ガラス転移温度Tg:-41℃)
・n-ラウリルアクリレート(アルキル基の炭素数:12個、アルキル基:直鎖、ガラス転移温度Tg:-23℃)
[多官能アクリル系モノマー(B)]
・1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート(ヘキシレン基の両末端にメタクリロキシ基が結合してなる、ガラス転移温度Tg:16℃)
・ポリエチレングリコールジアクリレート(ポリオキシエチレン骨格(繰り返し単位の数n:約9)の一方の末端にアクリロキシ基が結合し且つ他方の末端にアクリロイル基が結合してなる、新中村化学工業社製 商品名「A-400」)、ガラス転移温度Tg:3℃)
[(メタ)アクリレート(C)]
・イソボルニルメタクリレート(ガラス転移温度Tg:180℃)
・ジシクロペンタニルアクリレート(ガラス転移温度Tg:120℃)
・4-t-ブチルシクロヘキシルアクリレート(ガラス転移温度Tg:77℃)
[熱膨張性微粒子]
・熱膨張性微粒子1(平均粒子径:14μm、塩化ビニリデン-アクリロニトリル共重合体)
・熱膨張性微粒子2(平均粒子径:13μm、アクリロニトリル共重合体)
[光ラジカル重合開始剤]
・光ラジカル重合開始剤[2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、IGM Resins B.V.社製 商品名「Omnirad TPO H」、400nmにおけるモル吸光係数ε:349L/(mol・cm)]
 光ラジカル重合開始剤のモル吸光係数εを下記の要領で測定した。光ラジカル重合開始剤を9.7mg(2.78×10-5mol)を計量し、アセトニトリル(密度:0.78g/mL)9.7547g(12.506mL)に溶解した。光ラジカル重合開始剤の濃度cは0.00233(mol/L)であった。アセトニトリル溶液の400nmにおける吸光度Aは0.754であった。上記した式(ランベルト・ベールの法則)を用いてモル吸光係数εを算出した結果、光ラジカル重合開始剤のモル吸光係数εは、349(L/(mol・cm))であった。
[チクソトロピック剤]
・疎水性ヒュームドシリカ(エボニック社製 商品名「AEROSIL R972」)
(実施例1~10、比較例1及び2)
 表1に示す所定量の放射線反応性モノマー(A)、多官能アクリル系モノマー(B)及び(メタ)アクリレート(C)をそれぞれ、ポリプロピレン製の反応容器内に供給して混合、溶解させて混合液を作製した。
 次に、反応容器内の混合液を攪拌装置(アズワン社製 商品名「BL-300D」、攪拌翼:ディスパ―翼使用)を用いて回転速度1000rpmにて攪拌させながら、混合液中にチクソトロピック剤として疎水性ヒュームドシリカを表1に示す所定量供給して30分間に亘って攪拌して混合液中にチクソトロピック剤を分散させた。
 次に、反応容器内の混合液を減圧可能な減圧容器(東京理化器械製 商品名「真空オーブン:VOS-310C」)内に供給し、25℃にて30分間に亘って減圧処理(真空ポンプ:DTC-22 アルバック機工製)を行って混合液の脱泡を行った。
 しかる後、混合液中に、表1に示した所定量の熱膨張性微粒子及び光ラジカル重合開始剤を供給し、熱膨張性微粒子が均一に分散し且つ光ラジカル重合開始剤が混合液中に完全に溶解するまで混合して薄層ガラス仮固定用組成物を得た。得られた薄層ガラス仮固定用組成物は、不透明な白色の液体であった。
 得られた薄層ガラス仮固定用組成物について、粘度及び沈降安定性を測定し、その結果を表1に示した。
 得られた薄膜ガラス仮固定用組成物について、剥離強度、剥離試験及び耐フッ酸性を下記の要領で測定し、その結果を表1に示した。
[粘度]
 得られた薄膜ガラス仮固定用組成物の25℃における粘度をスピンドルNo.62を用いて回転速度100rpmにてB型粘度計を用いて測定した。
[沈降安定性]
 薄層ガラス仮固定用組成物を透明な20mLのガラスバイアル瓶に15mL供給し、25℃にて暗所且つ振動などにより液が振とうされることのない場所に放置した。放置してから7日後に、薄層ガラス仮固定用組成物の状態を目視観察し、下記基準に基づいて評価した。
 A:薄層ガラス仮固定用組成物中に熱膨張性微粒子が均一に分散しており、熱膨張性微粒子の分離や沈降は確認できなかった。
 B:薄層ガラス仮固定用組成物中において、熱膨張微粒子が分離又は沈降を生じており、薄層ガラス仮固定用組成物組成物の50体積%未満において熱膨張性微粒子が分散できていない箇所が存在していた。薄層ガラス仮固定用組成物を攪拌、振とうすることで再分散が可能であった。
 C:薄層ガラス仮固定用組成物に熱膨張性微粒子は含有されておらず、沈降安定性の評価ができなかった。
[剥離強度]
 縦50mm×横25mm×厚み5mmの直方体形状の板ガラス1、2を2枚用意した。2枚の板ガラスの表面全面をエタノールによって洗浄し乾燥した。
 図1及び図2に示したように、一方の板ガラス1を水平な載置面3上に載置し、この板ガラス1の長辺側の端縁部上に、他方の板ガラス2の長辺側の端縁部を重ね合わせた。2枚の板ガラス1、2の端縁部同士の重なり幅は12.5mmであった。2枚の板ガラス1、2の長辺側の端縁部間には薄層ガラス仮固定用組成物5が介在しており、薄層ガラス仮固定用組成物5は、2枚の板ガラス1、2における長辺側の端縁部の対向面間における横方向の全長に充填されていた。薄層ガラス仮固定用組成物5は、長さ25mm×幅12.5mm×厚み0.1mmであった。上側に重ね合わせた板ガラスと載置面間の隙間に支持用板ガラス4を配設し、上側の板ガラス2を支持用板ガラス4で支持した。
 2枚の板ガラス1、2の重ね合わせ部分に介在させた薄層ガラス仮固定用組成物5に、可視光ランプ(積水フーラー社製 商品名「FL-V」)を用いて、ピーク波長が420nmである可視光を照度2mW/cm2にて10分間に亘って照射して薄層ガラス仮固定用組成物5を硬化させて硬化体を作製した。可視光ランプは、2枚の板ガラスの重ね合わせ部の垂直上方で且つ載置面から高さ80mmの位置に配設した。
 得られた硬化体について、卓上形精密万能試験機(島津製作所製 商品名「オートグラフAGS-100NX」)を用いて3点曲げ試験により10mm/minの押込速度にて2枚の板ガラスの重ね合わせ部を押し込み、得られた最大強度を測定強度(N)とし、下記式に基づいて剥離強度を算出した。
 剥離強度(N/mm2)=測定強度(N)/(25×12.5)(mm2
[剥離試験]
 縦100mm×横50mm×厚み0.5mmの下側保護用ガラス板を用意した。保護用ガラス板の中央部に薄層ガラス仮固定用組成物を載置した。この薄層ガラス仮固定用組成物上に縦100mm×横50mm×厚み0.1mmの薄層ガラスを載置し、薄層ガラスとこれに対向する下側保護用ガラス板の対向面間に薄層ガラス仮固定用組成物が完全に充填された状態とした。薄層ガラス仮固定用組成物の厚みは50μmであった。
 次に、上記薄層ガラスの上面中央部に薄層ガラス仮固定用組成物を載置した。この薄層ガラス仮固定用組成物上に縦100mm×横50mm×厚み0.1mmの薄層ガラスを載置し、2枚の薄層ガラスの対向面間に薄層ガラス仮固定用組成物が完全に充填された状態とした。薄層ガラス仮固定用組成物の厚みは50μmであった。
 薄層ガラスを重ね合わせる上述の要領を繰り返して行い、下側保護用ガラス板上に、5枚の薄層ガラスを薄層ガラス仮固定用組成物を介して積層して積層体を製造した。更に、積層された5枚の薄層ガラスのうちの最上層の薄層ガラスの上面中央部に薄層ガラス仮固定用組成物を載置した。この薄層ガラス仮固定用組成物上に縦100mm×横50mm×厚み0.5mmの上側保護用ガラス板を載置し、薄層ガラスとこれに対向する上側保護用ガラス板の対向面間に薄層ガラス仮固定用組成物が完全に充填された状態とした。薄層ガラス仮固定用組成物の厚みは50μmであった。
 上記積層体に可視光ランプ(積水フーラー社製 商品名「FL-V」)を用いて、ピーク波長が420nmである可視光を照度2mW/cm2にて10分間に亘って照射して薄層ガラス仮固定用組成物を硬化させて硬化体を作製した。可視光ランプは、積層体の垂直上方で且つ下側保護用ガラス板を載置した載置面から高さ80mmの位置に配設した。
 得られた硬化体を95℃に保持した温水に浸漬した。硬化体を温水に浸漬した直後から、5枚の薄層ガラスが1枚ずつに剥離されるまでの剥離時間(秒)を測定した。
 5枚の薄膜ガラスのそれぞれの両面を指先で触り、タック(糊残り)の有無を確認し、下記基準に基づいて評価した。
(タックの有無)
 A:全ての薄層ガラスについて両面にタックはなかった。
 B:少なくとも1枚の薄膜ガラスについて、少なくとも一面において僅かにタックがあった。
 C:少なくとも1枚の薄膜ガラスについて、少なくとも一面においてタックがあった。
[耐フッ酸性]
 一面が離型処理された厚みが50μmの下側ポリエチレンテレフタレートフィルムの離型処理面上に薄膜ガラス仮固定用組成物を配置した。
 次に、下側ポリエチレンテレフタレートフィルム上に、一面が離型処理された上側ポリエチレンテレフタレートフィルムをその離型処理面が薄膜ガラス仮固定用組成物に対向した状態に重ね合わせ、上下ポリエチレンテレフタレートフィルムが薄膜ガラス仮固定用組成物を介して積層された状態とした。薄膜ガラス仮固定用組成物の厚みが500μmとなるように調整した。
 上側ポリエチレンテレフタレートフィルム側から可視光ランプ(積水フーラー社製 商品名「FL-V」)を用いて、ピーク波長が420nmである可視光を照度2mW/cm2にて10分間に亘って照射して薄層ガラス仮固定用組成物を硬化させて硬化体を作製した。硬化体は、上下ポリエチレンテレフタレートフィルムが薄膜ガラス仮固定用組成物の硬化物で仮固定されていた。硬化体を幅30mm、長さ100mmとなるように裁断して試験片を作製した。
 試験片を20質量%濃度に調製された23℃のフッ酸(フッ化水素酸)に浸漬した。試験片をフッ酸に浸漬してから30分経過後、試験片をフッ酸から取り出し、試験片の表面に付着しているフッ酸を不織布で除去した後、試験片の質量(Xg)を測定した。50℃に設定された真空オーブン内に試験片を供給して10時間に亘って乾燥させた。試験片の乾燥後、試験片の質量(Yg)を測定した。下記式に基づいて膨潤率を算出し、下記基準に基づいて評価した。
 膨潤率(質量%)=100×(X-Y)/Y
 A:膨潤率が1質量%未満であった
 B:膨潤率が1質量%以上で且つ2質量%未満であった。
 C:膨潤率が2質量%以上であった
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000005
 本発明の薄層ガラス仮固定用組成物は、フッ酸の吸収が低減化されてオーバーエッチングを生じることなく薄層ガラス同士を安定的に仮固定することができる。従って、本発明の薄層ガラス仮固定用組成物によれば、薄層ガラスの外周端面を精度よく曲面化し、優れた外観を有する薄層ガラスを製造することができる。
(関連出願の相互参照)
 本出願は、2022年1月12日に出願された日本国特許出願第2022-002740号に基づく優先権を主張し、この出願の開示はこれらの全体を参照することにより本明細書に組み込まれる。
1 板ガラス
2 板ガラス
3 載置面
4 支持用板ガラス
5 薄層ガラス仮固定用組成物

Claims (10)

  1.  炭素数が13個以上の炭化水素基を有する放射線反応性モノマー(A)を含有することを特徴とする薄層ガラス仮固定用組成物。
  2.  放射線反応性モノマー(A)は、(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  3.  (メタ)アクリレートは、アルキル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項2に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  4.  アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、分岐構造を有していることを特徴とする請求項3に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  5.  多官能アクリル系モノマー(B)を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  6.  モノマー全量100質量部に対して放射線反応性モノマー(A)50質量部以上を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  7.  ガラス転移温度Tgが121℃以上である(メタ)アクリレート(C)を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  8.  モノマー全量100質量部に対して、放射線反応性モノマー(A)としてイソステアリルアクリレート70~83質量部を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  9.  熱膨張性微粒子を含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
  10.  モノマー全量100質量部に対し、放射線反応性モノマー(A)50~83質量部、多官能アクリル系モノマー(B)0.1~10質量部、及び、ガラス転移温度Tgが121~300℃である(メタ)アクリレート(C)10~40質量部含有していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の薄層ガラス仮固定用組成物。
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