JP2012025808A - アクリル系粘着剤、粘着シート、アクリル系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高い濡れ性を有するアクリル系粘着剤であり、表面保護用粘着シートの粘着剤層として使用した際にも、空気が残存することなく貼り合わせることができ、かつ剥離時の被着体に対する耐汚染性にも優れるアクリル系粘着剤、粘着シート、アクリル系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】 エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)を含有してなるアクリル系樹脂組成物[I]が、架橋されてなることを特徴とするアクリル系粘着剤。
【選択図】なし
【解決手段】 エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)を含有してなるアクリル系樹脂組成物[I]が、架橋されてなることを特徴とするアクリル系粘着剤。
【選択図】なし
Description
本発明は、アクリル系粘着剤、粘着シート、アクリル系樹脂組成物に関するものであり、詳しくは濡れ性に優れ、被着体との貼り合せが容易であるアクリル系粘着剤、それを用いた粘着シート、更にかかる粘着剤を形成するアクリル系樹脂組成物に関するものである。
ワープロ、コンピュータ、携帯電話、テレビ等の各種ディスプレイ;偏光板やそれに準ずる積層体等の光学部品;電子基板等の表面には、通常、表面保護及び機能性付与の目的で、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン等の透明な保護シート(基材シート)と粘着剤が積層された表面保護用粘着シートが貼り合わされる。
かかる表面保護用粘着シートを構成する粘着剤には、ディスプレイ等の被着体に貼り合せる際に被着体と粘着シートの間に空気が残存しないように高い濡れ性が要求されたり、貼り付け位置を補正するために貼り直す場合や、表面保護の役割を終え、剥離除去される場合に被着体表面に糊残りが生じないように、被着体に対する高い耐汚染性が要求されたりしていた。
上記表面保護用粘着シートに用いられる粘着剤としては、シリコーン粘着剤が広く用いられていたが、シリコーン系粘着剤は製造面で取り扱いが難しく、価格面でも非常に高価であった。また、アクリル系モノマーとシリコーンマクロマーを共重合させて得られるアクリル系粘着剤も開発されているが、シリコーンマクロマーを共重合してなるアクリル系粘着剤は、シリコーンマクロマーを多く共重合するとゲル化しやすく、更にアクリル系モノマーとの相溶性が悪く濁ってしまうといった問題があった。そのため、非シリコーン系の表面保護用粘着シートの開発が求められていた。
例えば、特許文献1では、(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド付加物を主成分とし、更に必要に応じて(メタ)アクリル系モノマー、その他の重合性モノマーを含有するモノマー成分を(共)重合してなるアクリル系共重合体と架橋剤を含有してなるアクリル系粘着剤が提案されている。
また、特許文献2では、アクリル系樹脂およびイオン性化合物と、オキシアルキレン鎖構造を含有する不飽和基含有化合物(UV硬化モノマー)を活性エネルギー線照射により架橋重合させてなる一時表面保護用粘着剤が提案されている。
しかしながら、上記特許文献1に開示の技術では、(メタ)アクリル酸アルキレンオキサイド付加物を大量に含有する共重合成分からなるアクリル系共重合体を使用するため、濡れ性や再剥離性にある程度の効果を発揮することが予測されるものの、通常、アルキレンオキサイド構造を含有するモノマーには、製造の際に除去することが困難なジエステル成分が不純物として多く含まれているために、溶液重合によりポリマー化する際に、モノマーの反応率を上げにくかったり、ゲル化が起こりやすく高分子量化が非常に困難であるといった製造上の問題点があり、また製造上の問題を解決できたとしても、得られるアルキレンオキサイド構造を含有するモノマーを主成分としたアクリル系共重合体は、弾性率が低く柔らかいため、通常架橋剤等を用いて適度に架橋させて用いられるが、エージングのために1日〜10日の時間を必要とし、エージングが不十分な状態では、加工の際に糊引きや糊のはみ出しなどが起こりやすいという問題があった。
更に、通常の溶液重合ではアクリル系共重合体中に未反応のモノマーが一定量存在してしまうところ、アルキレンオキサイド構造を含有するモノマーは沸点が高く乾燥工程でも揮発しにくいために、粘着剤層中に残存する該モノマーがブリードし被着体を汚染しやすいという問題もあり、かかる被着体汚染の問題を解決するためには、アクリル共重合体を高度に架橋させる手法も考えられるが、その場合、アクリル系共重合体の流動性が低下してしまい、濡れ性が不十分になるといった問題が生じてしまう。
一方、特許文献2に開示の技術では、一時表面保護用途に用いる粘着剤として帯電防止性、耐汚染性、剥離性、濡れ性などに優れることが記載されているが、UV硬化モノマーとしてエチレン性不飽和基を2個以上有するエチレン性不飽和モノマーを主体として用いているため、UV照射後の粘着剤層の架橋密度や弾性率が一般的な粘着剤と比べて非常に高くなり、粘着剤のタックが落ちてしまい粘着剤を被着体へ貼合する際のタック感が悪いという問題があり、また、被着体との貼り合わせ性に関しても、機械等を用いた貼り合わせる工程においては十分な貼り合わせ濡れ性を示すが、手作業において貼り合せる場合には、濡れ性が不十分であるため、気泡がかみ込みやすく貼り合わせにくいという問題があった。
そこで、本発明ではこのような背景下において、高い濡れ性を有するアクリル系粘着剤であり、表面保護用粘着シートの粘着剤層として使用した際にも、空気が残存することなく貼り合わせることができ、かつ剥離時の被着体に対する耐汚染性にも優れるアクリル系粘着剤、粘着シート、アクリル系樹脂組成物の提供を目的とする。
しかるに本発明者は、かかる事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、通常用いられるエチレン性不飽和基を含有しないアクリル系樹脂に変えてエチレン性不飽和基を含有するアクリル系樹脂を使用し、更にオキシアルキレン基を含有する単官能エチレン性不飽和モノマーとを併用したアクリル系樹脂組成物を用いることで、活性エネルギー線を照射する等の架橋処理により、アクリル系樹脂の有するエチレン性不飽和基と、単官能エチレン性不飽和モノマーが架橋・重合されたアクリル系粘着剤が得られ、該粘着剤は、濡れ性が高いため被着体との貼り合わせ性に優れ、かつ剥離時に被着体に対する耐汚染性にも優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の要旨は、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)を含有してなるアクリル系樹脂組成物[I]が、硬化されてなることを特徴とするアクリル系粘着剤に関するものである。
更には、かかるアクリル系粘着剤組成物を用いて得られる粘着シート、ならびにアクリル系樹脂組成物に関するものである。
更には、かかるアクリル系粘着剤組成物を用いて得られる粘着シート、ならびにアクリル系樹脂組成物に関するものである。
本発明のアクリル系粘着剤は、濡れ性に優れるため空気が残存することなく貼り合わせることができ、剥離時の被着体に対する耐汚染性、剥離性にも優れるものである。
通常のアクリル系粘着剤は、架橋密度が高いと濡れ性に劣り、架橋密度が低いと濡れ性には優れるものの剥離性や被着体への耐汚染性に劣る傾向があるところ、エチレン性不飽和基を有するアクリル樹脂を含有している本発明のアクリル系粘着剤は、濡れ性と剥離性や被着体への耐汚染性とにバランスよく優れるものである。
以下、本発明を詳細に説明するが、これらは望ましい実施態様の一例を示すものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
なお、本発明において、(メタ)アクリルとはアクリルあるいはメタクリルを、(メタ)アクリロイルとはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、(メタ)アクリレートとはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
まず、本発明のアクリル系樹脂組成物[I]について説明する。
本発明のアクリル系樹脂組成物[I]は、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)を含有してなるものである。
本発明のアクリル系樹脂組成物[I]は、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)を含有してなるものである。
本発明で用いられるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)は、エチレン性不飽和基を含有するアクリル系樹脂であれば限定されないが、分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1)に、分子内に該官能基と反応する官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)を反応させて得られるアクリル系樹脂であることが好ましい。
分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)を主成分として含有し、かつ官能基含有モノマー(a2)を必須成分として含有する共重合成分を共重合させてなるものであり、更に必要に応じて、その他の共重合性モノマー(a3)を共重合成分に含有させることもできる。
なお、官能基含有モノマー(a2)由来の官能基は、後述の分子内に該官能基と反応する官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)との反応に使用されたり、後述の架橋剤との反応に使用されたりするものである。
なお、官能基含有モノマー(a2)由来の官能基は、後述の分子内に該官能基と反応する官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)との反応に使用されたり、後述の架橋剤との反応に使用されたりするものである。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)としては、アルキル基の炭素数が、通常1〜20、特には1〜12、更には4〜12、殊には4〜8であることが好ましく、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を併せて用いることができる。
かかる(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)の中でも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさ及び原料入手しやすさの点で、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。
官能基含有モノマー(a2)としては、例えば、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられ、これらの中でも、反応性が高いため共重合しやすく、また入手のしやすい点で、水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが好ましく用いられる。
水酸基含有モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、カプロラクトン変性2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、その他、2−アクリロイロキシエチル2−ヒドロキシエチルフタル酸、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等の1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−クロロ2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーを挙げることができる。
上記水酸基含有モノマーの中でも、後述の分子内に該官能基と反応する官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)との反応や、架橋剤との反応性に優れる点で1級水酸基含有モノマーが好ましい。更には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートを使用することが、ジ(メタ)アクリレート等の不純物が少なく、製造しやすい点で特に好ましい。
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN−グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられ、中でも(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
アミノ基含有モノマーとしては、例えば、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、エチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アミド基含有モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)アクリルアミド、N−(n−ブトキシアルキル)メタクリルアミド等が挙げられる。
スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
イソシアネート基含有モノマーとしては、例えば、2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートやそれらのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
これら官能基含有モノマー(a2)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
これら官能基含有モノマー(a2)は、単独で用いてもよいし2種以上を併用してもよい。
その他の共重合性モノマー(a3)としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、N−アクリルアミドメチルトリメチルアンモニウムクロライド、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等のモノマーが挙げられる。
また、その他の共重合性モノマー(a3)としては、本発明の効果を損ねない範囲で、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化o-フェニルフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン等の芳香環含有モノマーを使用してもよい。
共重合成分中における上記モノマー成分の含有割合としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)が、好ましくは30〜99.9重量%、特に好ましくは60〜99重量%、更に好ましくは80〜98重量%であり、官能基含有モノマー(a2)は、好ましくは0.1〜30重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1〜10重量%であり、その他の共重合モノマー(a3)は、好ましくは0〜30重量%、特に好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜10重量%である。
(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)が少なすぎると、例えば粘着剤として使用した場合に粘着力が低下する傾向にある。
官能基含有モノマー(a2)が少なすぎると、後述のエチレン性不飽和化合物(A2)を付加できる量が少なくなるため、紫外線等で架橋させる際に架橋密度が不十分になったり、他のエチレン性不飽和化合物との反応が不十分になる傾向があり、多すぎると樹脂の安定性が低下したり、架橋密度が高くなり粘着力が低くなりすぎる傾向がある。
その他共重合性モノマー(a3)が多すぎると、本発明の効果が得難くなる傾向にある。
官能基含有モノマー(a2)が少なすぎると、後述のエチレン性不飽和化合物(A2)を付加できる量が少なくなるため、紫外線等で架橋させる際に架橋密度が不十分になったり、他のエチレン性不飽和化合物との反応が不十分になる傾向があり、多すぎると樹脂の安定性が低下したり、架橋密度が高くなり粘着力が低くなりすぎる傾向がある。
その他共重合性モノマー(a3)が多すぎると、本発明の効果が得難くなる傾向にある。
また、高分子量化を目的とする場合、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン等のエチレン性不飽和基を二つ以上有する化合物等
を併用することもできる。
を併用することもできる。
上記(a1)〜(a3)のモノマー成分を重合することにより分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1)を製造するのであるが、かかる重合に当たっては、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合などの従来公知の方法により行なうことができる。例えば、有機溶媒中に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル系モノマー(a1)、官能基含有モノマー(a2)、その他の共重合性モノマー(a3)等の重合モノマー、重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは50〜90℃で2〜20時間重合する。
かかる重合に用いられる有機溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
かかるラジカル共重合に使用する重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が具体例として挙げられる。
アクリル系樹脂(A1)の重量平均分子量については、通常10万〜300万、好ましくは30万〜250万、特に好ましくは60万〜200万、殊に好ましくは、80〜180万である。重量平均分子量が小さすぎると、剥離性や被着体への耐汚染性が低下する傾向があり、大きすぎると希釈溶剤を大量に必要とし、塗工性やコストの面で好ましくない傾向となる。
また、アクリル系樹脂(A1)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には10以下が好ましく、更には7以下が好ましく、殊には4以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると、低分子成分を多く含むことになり被着体への耐汚染性が低下する傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常2である。
更に、アクリル系樹脂(A1)のガラス転移温度は、−20℃以下であることが好ましく、特に好ましくは−100〜−20℃、殊に好ましくは−90〜−30℃、更に好ましくは−80〜−40℃であり、ガラス転移温度が高すぎると濡れ性が低下する傾向がある。
尚、上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフィー(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)の3本直列を用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法を用いることができる。また分散度は重量平均分子量と数平均分子量より求められる。またガラス転移温度は下記のFoxの式より算出されるものである。
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wa:モノマーAの重量分率
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wb:モノマーBの重量分率
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K) Wn:モノマーNの重量分率
(Wa+Wb+・・・+Wn=1)
次に、上記分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1)に、分子内にかかる官能基と反応する官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)を反応させるわけであるが、かかる官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)としては、前記の水酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー等が挙げられ、更にはグリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和基を2個以上と水酸基を有するモノマーも挙げられ、反応活性基と官能基の反応性に応じて適宜選択される。
上記組み合わせとしては、例えば、アクリル系樹脂(A1)中の官能基がカルボキシル基の場合は、エチレン性不飽和化合物(A2)としてグリシジル基含有不飽和モノマーやイソシアネート基含有不飽和モノマーを用いることが好ましく、アクリル系樹脂(A1)中の官能基が水酸基の場合は、エチレン性不飽和化合物(A2)としてイソシアネート基含有不飽和モノマーを用いることが好ましく、アクリル系樹脂(A1)中の官能基がグリシジル基の場合は、エチレン性不飽和化合物(A2)としてカルボキシル基含有不飽和モノマーやアミド基含有不飽和モノマーを用いることが好ましく、アクリル系樹脂(A1)中の官能基がアミノ基の場合は、エチレン性不飽和化合物(A2)としてグリシジル基含有不飽和モノマーを用いることが好ましいが、特にはアクリル系樹脂(A1)中の官能基がカルボキシル基の場合に、エチレン性不飽和化合物(A2)としてイソシアネート基含有不飽和モノマーを用いることが、反応を制御しやすい点で好ましい。
エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)の調製にあたっては、上記の分子内に官能基をもつアクリル系樹脂(A1)と分子内に該官能基と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)とを反応させるわけであるが、かかる反応は、特に制限されないが、通常20〜80℃で1〜100時間反応させればよく、必要に応じて適宜触媒を使用してもよい。
また、反応にあたっては、上記アクリル系樹脂(A1)100重量部に対してエチレン性不飽和化合物(A2)を0.01〜25重量部反応させることが好ましく、特に好ましくは0.1〜15重量部、更に好ましくは1〜10重量部である。
エチレン性不飽和化合物(A2)の使用量が少なすぎると、粘着力が高くなりすぎ再剥離性が低下したり、被着体への耐汚染性が低下する傾向があり、多すぎると粘着力が低くなりすぎたり、濡れ性が低下する傾向がある。
エチレン性不飽和化合物(A2)の使用量が少なすぎると、粘着力が高くなりすぎ再剥離性が低下したり、被着体への耐汚染性が低下する傾向があり、多すぎると粘着力が低くなりすぎたり、濡れ性が低下する傾向がある。
かくして本発明で用いられるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が得られるが、本発明では、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)中のエチレン性不飽和基含有量が、樹脂100gに対して0.1〜150mmolであることが好ましく、特に好ましくは1〜80mmol、更に好ましくは10〜50mmolである。不飽和基含有量が少なすぎると、粘着力が高くなりすぎたり、耐被着耐汚染性が低下する傾向があり、多すぎると架橋密度が高くなりすぎるため、粘着力が低くなりすぎる傾向がある。
エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)の重量平均分子量については、通常10万〜300万、好ましくは30万〜250万、特に好ましくは60万〜200万、殊に好ましくは、80〜180万である。重量平均分子量が小さすぎると、剥離性や被着体への耐汚染性が低下する傾向があり、大きすぎると希釈溶剤を大量に必要とし、塗工性やコストの面で好ましくない傾向となる。
また、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には10以下が好ましく、更には7以下が好ましく、殊には4以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると、低分子成分を多く含むことになり被着体への耐汚染性が低下する傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常2である。
更にエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)のガラス転移温度は、−20℃以下であることが好ましく、特に好ましくは−100〜−20℃、殊に好ましくは−90〜−30℃、更に好ましくは−80〜−40℃であり、ガラス転移温度が高すぎると濡れ性が低下する傾向がある。
本発明で用いられるエチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)(以下、「オキシアルキレン基含有単官能性化合物(B)」と記すことがある。)としては、エチレン性不飽和基を1つ含有し、かつオキシアルキレン基を含有するものであれば、特に限定されないが、コスト面、および入手しやすさの点で、下記一般式(1)で示される化合物が好ましく用いられる。
(式中、Xはアルキレン基、nは1以上の整数であり、Aは(メタ)アクリロイル基又はアルケニル基、Bは水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、またはアシル基である。)
上記一般式(1)中のXはアルキレン基であり、中でも、炭素数1〜10のアルキレン基が好ましく、特には、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基等の炭素数1〜4のアルキレン基が好ましい。
また、nが2以上のポリオキシアルキレン基部位の場合は、同一オキシアルキレン基
のホモ重合体でもよいし、相異なるオキシアルキレン基がランダム或いはブロック状に共重合したものでもよい。
また、nが2以上のポリオキシアルキレン基部位の場合は、同一オキシアルキレン基
のホモ重合体でもよいし、相異なるオキシアルキレン基がランダム或いはブロック状に共重合したものでもよい。
上記一般式(1)中のAは(メタ)アクリロイル基またはアルケニル基であり、アルケニル基としては、通常、炭素数2〜6のもの、例えば、ビニル基やアリル基が用いられる。これらの中でも、メタクリロイル基、アクリロイル基、アリル基が好ましく、特にはメタクリロイル基、アクリロイル基が好ましい。
上記一般式(1)中のBは、水素原子、アルキル基、アリール基、アラルキル基、またはアシル基のいずれかである。
これらの中でも、水素原子、アルキル基、アリール基であることが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルキル基、フェニル基であり、更に好ましくは、アクリル樹脂との相溶性や、価格および入手のしやすさの点で、アルキル基が好ましく、殊に好ましくはメチル基である。
これらの中でも、水素原子、アルキル基、アリール基であることが好ましく、特に好ましくは水素原子、アルキル基、フェニル基であり、更に好ましくは、アクリル樹脂との相溶性や、価格および入手のしやすさの点で、アルキル基が好ましく、殊に好ましくはメチル基である。
上記アルキル基の炭素数は比較的短いものが好ましく、具体的には炭素数が1〜15が好ましく、1〜10が特に好ましく、1〜6が更に好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基が好ましく、特にはメチル基が好ましい。かかる炭素数が長すぎるとアクリル系樹脂との相溶性が低下しやすい傾向がある。
上記アリール基としては、通常、炭素数6〜20、好ましくは6〜15のものが用いられ、具体的には、フェニル基、トリル基、キシリル基、ビフェニル基、ナフチル基等があげられるが、これらの中でもフェニル基が好ましい。
上記アラルキル基としては、通常、炭素数7〜20、好ましくは7〜15のものが用いられ、具体的にはベンジル基等があげられる。
上記アシル基としては、通常、炭素数2〜10、好ましくは2〜5のものが用いられ、具体的には、アセチル基等があげられる。
なお、上記アルキル基、アリール基、アラルキル基、アシル基は、置換基を有するものであってもよく、置換基としては、通常、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、スルファニル基、アリール基、ヘテロアリール基等があげられる。なお、かかる置換基が炭素原子を有する場合には、該炭素原子は、上記Bの各置換基についての説明中で規定している炭素数には含めないものとする。
上記一般式(1)中のnは1以上の整数であり、好ましくは1〜500、特に好ましくは2〜100、さらに好ましくは3〜50である。nの値が多すぎるとアクリル樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
上記オキシアルキレン基含有単官能性化合物(B)の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
[A:(メタ)アクリロイル基の場合]
一般式(1)中のBが水素原子で、かつn=1である場合には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーがあげられ、nが2以上である場合には、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等があげられる。
一般式(1)中のBが水素原子で、かつn=1である場合には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの1級水酸基含有モノマー;2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2−ジメチル−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の3級水酸基含有モノマーがあげられ、nが2以上である場合には、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノ(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート、ポリ(プロピレングリコール−テトラメチレングリコール)モノ(メタ)アクリレート等があげられる。
一般式(1)中のBがアルキル基である場合には、例えば、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、オクトキシポリエチレングリコール-ポリプロピレングリコール-モノ(メタ)アクリレート、ラウロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ステアロキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の脂肪族系の(メタ)アクリル酸エステルがあげられる。
一般式(1)中のBがアリール基である場合には、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート等があげられる。
一般式(1)中のBが、アラルキル基である場合には、例えば、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等があげられる。
一般式(1)中のBが、アシル基である場合には、例えば、アセトアセトキシポリエチレングリコールモノアクリレート等があげられる。
[A:アルケニル基の場合]
例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノアリルエーテル等があげられる。
例えば、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル等のポリエチレングリコール誘導体、ポリプロピレングリコールモノアリルエーテル等のポリプロピレングリコール誘導体、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール−モノアリルエーテル等があげられる。
上記の中でもポリエチレングリコール誘導体であるものが好ましく、エチレンオキサイド付加モル数nが1〜500であることが好ましく、特に好ましくは2〜100、更に好ましくは3〜50である。
エチレンオキサイド付加モル数nが小さすぎると濡れ性が低下する傾向があり、大きすぎるとアクリル樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
エチレンオキサイド付加モル数nが小さすぎると濡れ性が低下する傾向があり、大きすぎるとアクリル樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
また、オキシアルキレン基含有単官能性化合物(B)の重量平均分子量としては、通常130〜4000が好ましく、特には250〜2000、更には400〜1000が好ましい。上記重量平均分子量が小さすぎると乾燥工程で揮発しやすい傾向があり、大きすぎると結晶化しやすかったり、アクリル樹脂との相溶解性が低下しやすい傾向がある。
オキシアルキレン基含有単官能性化合物(B)の含有量としては、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、1〜100重量部であることが好ましく、特には5〜70重量部が好ましく、更には10〜50重量部が好ましい。かかる含有量が多すぎると低分子成分が多くなる傾向があり、少なすぎると濡れ性が低下する傾向がある。
本発明においては、上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、オキシアルキレン基含有単官能性化合物(B)を必須成分として含有するアクリル系樹脂組成物[I]が、硬化されてなるアクリル系粘着剤を提供するものである。
かかる架橋方法については、活性エネルギー線および/または熱(活性エネルギー線照射および/または加熱)により硬化することが、コスト、硬化速度、作業効率、照射装置の入手のしやすさの点で好ましく、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)およびオキシアルキレン基含有単官能性化合物(B)の有するエチレン性不飽和基が、活性エネルギー線および/または熱により重合され、硬化されることとなる。
上記活性エネルギー線および/または熱による硬化を行なう際には、アクリル系樹脂組成物[I]が、更に、重合開始剤(C)を含有することが、活性エネルギー線照射時および/または加熱時の反応を安定化させることができる点で好ましい。
上記重合開始剤(C)としては、例えば、光重合開始剤(c1)、熱重合開始剤(c2)等の種々の重合開始剤を用いることが可能であるが、特には光重合開始剤(c1)を使用することが、ごく短時間の紫外線等の活性エネルギー線照射により硬化させることが可能となる点で好ましい。
また、上記光重合開始剤(c1)を用いるときは、活性エネルギー線照射によりアクリル系樹脂組成物[I]を硬化させ、熱重合開始剤(c2)を用いるときは、加熱によりアクリル系樹脂組成物[I]を硬化させるのであるが、必要に応じて、両方を併用することも好ましい。
上記光重合開始剤(c1)としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4′−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;等があげられる。なお、これら光重合開始剤(c1)は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
また、これらの助剤として、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4′−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−ジメチルアミノエチル安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸(n−ブトキシ)エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。
これらの中でも、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾイルイソプロピルエーテル、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
また、上記熱重合開始剤(c2)としては、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノオエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメトルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機過酸化物系開始剤;2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドリドクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2′−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤;等があげられる。なお、これらの熱重合開始剤は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
上記重合開始剤(C)の含有量については、前記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)およびオキシアルキレン基含有単官能性化合物(B)の合計100重量部に対して、0.01〜10重量部、特には0.1〜8重量部、さらには0.3〜5重量部であることが好ましい。上記重合開始剤(C)の含有量が少なすぎると、硬化性に乏しく物性が安定しなくなる傾向がみられ、多すぎてもそれ以上の効果が得られない傾向がみられる。
上記活性エネルギー線照射に際しては、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できるが、硬化速度、照射装置の入手のし易さ、価格等から紫外線照射による硬化が有利である。なお、電子線照射を行なう場合は、上記光重合開始剤(c1)を用いなくても硬化可能である。
そして、上記紫外線照射を行なう時の光源としては、高圧水銀灯、無電極ランプ、超高圧水銀灯カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライト等が用いられる。上記高圧水銀ランプの場合は、例えば、5〜3000mJ/cm2、好ましくは10〜1000mJ/cm2の条件で行われる。また、上記無電極ランプの場合は、例えば、2〜1500mJ/cm2、好ましくは5〜500mJ/cm2の条件で行われる。そして、照射時間は、光源の種類、光源と塗布面との距離、塗工厚、その他の条件によっても異なるが、通常は、数秒〜数十秒、場合によっては数分の1秒でもよい。一方、上記電子線照射の場合には、例えば、50〜1000Kevの範囲のエネルギーを持つ電子線を用い、2〜50Mradの照射量とするのがよい。
また、上記重合開始剤(C)として、熱重合開始剤(c2)を用いる場合には加熱により重合反応を開始し、進行させる。加熱による硬化時の処理温度や処理時間は、使用する熱重合開始剤(c2)の種類によって異なるものであり、通常、開始剤の半減期より計算されるものであるが、処理温度は、通常70℃〜170℃であることが好ましく、処理時間は、通常0.2〜20分が好ましく、特には0.5〜10分が好ましい。
また、アクリル系樹脂組成物[I]には、必要に応じて、エチレン性不飽和基を2つ以上含有するエチレン性不飽和化合物(D)(以下、「多官能性不飽和化合物(D)」と略すことがある。)を含有するものであってもよい。
多官能性不飽和化合物(D)としては、例えば、1分子内に2つ以上のエチレン性不飽和基を含有するエチレン性不飽和モノマーであればよく、例えば、2官能モノマー、3官能以上のモノマーや、ウレタン(メタ)アクリレート系化合物、エポキシ(メタ)アクリレート系化合物、ポリエステル(メタ)アクリレート系化合物を用いることができる。
上記2官能モノマーとしては、エチレン性不飽和基を2つ含有するモノマーであればよく、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型ジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールエチレンオキサイド変性ジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸変性ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性ジアクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェートジエステル等があげられる。
上記3官能以上のモノマーとしては、エチレン性不飽和基を3つ以上含有するモノマーであればよく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等があげられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレート系化合物としては、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系化合物であり、水酸基を含有する(メタ)アクリル系化合物と多価イソシアネート系化合物(必要に応じて、ポリオール系化合物)を、公知一般の方法により反応させて得られるものを用いればよく、その重量平均分子量としては、通常300〜4000のものを用いればよい。
多官能性不飽和化合物(D)含有量としては、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0〜50重量部であることが好ましく、特には0〜20重量部が好ましい。かかる含有量が多すぎると粘着剤が硬くなり濡れ性が低下したり、粘着力が低くなりすぎて被着体からはがれてしまう傾向がある。
また、本発明においては、上記アクリル系樹脂組成物[I]を硬化する方法として、架橋剤(E)を含有させたものとし、アクリル系樹脂組成物[I]を、架橋剤による架橋を行わせる方法ももちいることができる。
上記架橋剤(E)としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられ、これらは単独で使用しても良いし、2種以上を併用してもよい。
また、アクリル系樹脂組成物[I]には、本発明の効果を損なわない範囲において、さらにシランカップリング剤、帯電防止剤、その他のアクリル系粘着剤、その他の粘着剤、ウレタン樹脂、ロジン、ロジンエステル、水添ロジンエステル、フェノール樹脂、芳香族変性テルペン樹脂、脂肪族系石油樹脂、脂環族系石油樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂等の粘着付与剤、着色剤、充填剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、機能性色素等の従来公知の添加剤や、紫外線あるいは放射線照射により呈色あるいは変色を起こすような化合物を配合することができる。
また、上記添加剤の他にも、アクリル系樹脂組成物[I]の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであっても良い。
また、上記添加剤の他にも、アクリル系樹脂組成物[I]の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されたものであっても良い。
上記シランカップリング剤としては、例えば、エポキシ基含有シランカップリング剤、(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、水酸基含有シランカップリング剤、カルボキシル基含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、アミド基含有シランカップリング剤、イソシアネート基含有シランカップリング剤等をあげることができる。
上記帯電防止剤としては、例えば、イミダゾリウム塩、テトラアルキルアンモニウムスルホン酸塩等の第4級アンモニウム塩のカチオン型帯電防止剤、脂肪族スルホン酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物硫酸エステル塩、高級アルコールリン酸エステル塩、高級アルコールアルコールアルキレンオキサイド付加物リン酸エステル塩等のアニオン型帯電防止剤、カリウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウムビス(トリフルオロスルホニル)イミドや塩化リチウム等のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、高級アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル等があげられる。
かくして、本発明では、上記アクリル系樹脂組成物[I]が得られ、更にかかるアクリル系樹脂組成物[I]が、硬化されてなるアクリル系粘着剤が得られる。以下、かかるアクリル系粘着剤を含む粘着剤層を含有する粘着シートについて説明する。
本願発明のアクリル系粘着剤は、マスキング・表面保護用粘着剤、両面テープ用粘着剤、メディカル用粘着剤、光学部材用粘着剤マスキング用粘着剤、一般ラベル用粘着剤、玩具向けシール用粘着剤、装飾シールト用粘着剤、凹凸追従性粘着剤等に用いることが可能であるが、特にタッチパネルや携帯電話、携帯ゲーム機等の表面保護用粘着シートとして有効に用いることができる。
なお、本発明における「シート」は、フィルムやテープも含めた意味である。
アクリル系樹脂組成物[I]を設ける基材としては、特に制限はなく、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ボリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂フィルムまたはシート,アルミニウム、銅、鉄の金属箔,上質紙、グラシン紙等の紙,硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布があげられる。これらの基材は、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。
これら基材の中で、価格面を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムまたはシートが好適に用いられる。
また、基材に対する粘着剤の投錨性を上げるために、基材の表面に対して、コロナ放電処理、プラズマ処理、プライマーコート、脱脂処理、表面粗面化処理等の易接着性を改良する処理を施しても良いし、更なる帯電防止のために帯電防止層が設けられても良い。
上記基材の厚さは、特に限定されないが、一般には500μm以下、好ましくは1〜300μm、更に好ましくは5〜200μm、特に好ましくは10〜100μm程度の厚さを例示することができる。
上記基材に設けるアクリル系樹脂組成物[I]の厚みは、乾燥後において、一般に1〜200μm、好ましくは2〜100μm、更に好ましくは3〜50μm、特に好ましくは5〜30μm程度の厚さを例示することができる。厚過ぎると、表面保護用粘着シートを被着体から剥離する際に粘着剤が被着体表面に糊残りする傾向があり、また、薄過ぎると、被着体に対する接着力が低下し、粘着シートを被着体に貼り合わせた後、被着体および粘着シートが高温に晒された際や物理的な作用により粘着シートが剥がれてしまうなどの問題が起こる傾向がある。
かかる粘着シートを被着体に貼り合わせるまで、その粘着剤を汚染から保護する目的で、粘着剤の表面にセパレータを積層することができる。セパレータとしては、上記で例示した合成樹脂フィルムまたはシート、紙、布、不織布等の基材を離型処理したものを使用することができる。
上記基材上にアクリル系樹脂組成物[I]を設けるにあたっては、通常、アクリル系樹脂組成物[I]の溶液として、特には溶剤により塗布に適した粘度に調整した後、基材に塗布し、乾燥することが行われる。塗布する方法としては、溶液状のアクリル系樹脂組成物[I]を基材に直接塗工する直接塗工法や、溶液状のアクリル系樹脂組成物[I]をセパレータに塗工したのち基材と貼り合わせる転写塗工法などがあげられる。
直接塗工法においては、基材にアクリル系樹脂組成物[I]を塗工し加熱乾燥した後、活性エネルギー線を照射し、その後、セパレータを貼り合わせる方法や、基材にアクリル系樹脂組成物[I]を塗工し加熱乾燥した後、セパレータを貼り合わせ、その後、活性エネルギー線を照射する方法などがあげられる。塗工は、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法により行われる。
一方、転写塗工法においては、セパレータにアクリル系樹脂組成物[I]を塗工し加熱乾燥した後、活性エネルギー線を照射し、その後、基材を貼り合わせる方法や、セパレータにアクリル系樹脂組成物[I]を塗工し加熱乾燥した後、基材を貼り合わせ、その後、活性エネルギー線を照射する方法などがあげられる。塗工方法については、直接塗工と同様の方法が使用できる。
かかる粘着シートを被着する被着体の種類は、特に制限はないが、例えば、上記の基材で例示した、金属箔、合成樹脂フィルムまたはシート、金属箔、紙、織物や不織布に加えて、ガラス板、合成樹脂板、金属板があげられる。
上記方法により得られる粘着シートの粘着剤層のゲル分率については、被着体への耐汚染性にすぐれる点で、50〜100%であることが好ましく、特に好ましくは70〜100%、更に好ましくは90〜100%である。ゲル分率が低すぎると低分子成分が多くなり、被着体への耐汚染性が低下する傾向がある。
かかる粘着シートの初期粘着力は、被着体の材料等に応じて適宜決定される。例えば、SUS304BA板に貼着する場合には、0.01〜50N/25mmの粘着力を有することが好ましく、一時保護用(表面保護用、マスキング用)に使用される場合は、5N/25mm以下の粘着力が好ましく、特には1N/25mm以下の粘着力が好ましい。
上記の粘着力は、つぎのようにして算出される。まず、得られた粘着シートを25mm×100mmに切断した後、これを、被着体としてのステンレス板(SUS304BA板)もしくはアクリル板(PMMA板)に、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で2kgゴムローラーを用いて2往復させることにより圧着し、試験片を作製する。この試験片を、同雰囲気下で、30分放置した後、剥離速度剥離速度0.3m/分により、180度剥離試験を行い、測定した粘着力(N/25mm)を初期粘着力とする。
また、かかる粘着シートの高速剥離粘着力は、通常、初期粘着力の6倍以下であればよく、特には4倍以下であることが好ましく、更には2倍以下であることが好ましい。かかる高速剥離粘着力は、上記初期粘着力と同様の方法により作製した試験片を、23℃、相対湿度50%の雰囲気下で、30分放置した。その後、同雰囲気下で、剥離速度30m/分の高速により、180度剥離試験を行い、測定した粘着力(N/25mm)を、高速剥離粘着力とする。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。なお、例中、「部」、「%」とあるのは
、重量基準を意味する。
、重量基準を意味する。
まず、下記のようにして各種アクリル系樹脂を調製した。なお、アクリル系樹脂の重量平均分子量、分散度、ガラス転移温度の測定に関しては、前述の方法にしたがって測定した。
なお、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
なお、粘度の測定に関しては、JIS K5400(1990)の4.5.3回転粘度計法に準じて測定した。
[アクリル系樹脂(A)]
[分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1−1)の調製]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、ブチルアクリレート(a1)95部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)5部、酢酸エチル68部、アセトン52部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.012部を加え、還流温度で3時間反応後、酢酸エチルにて希釈して分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1−1)溶液(重量平均分子量(Mw)120万、分散度(Mw/Mn)2.9、ガラス転移温度−55℃、固形分20.8%、粘度4,000mPa・s(25℃))を得た。
[分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1−1)の調製]
還流冷却器、撹拌器、窒素ガスの吹き込み口及び温度計を備えた4ツ口丸底フラスコに、ブチルアクリレート(a1)95部、2−ヒドロキシエチルアクリレート(a2)5部、酢酸エチル68部、アセトン52部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.012部を加え、還流温度で3時間反応後、酢酸エチルにて希釈して分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1−1)溶液(重量平均分子量(Mw)120万、分散度(Mw/Mn)2.9、ガラス転移温度−55℃、固形分20.8%、粘度4,000mPa・s(25℃))を得た。
[エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A−1)〜(A−7)の調製]
上記分子内に官能基を持つアクリル樹脂(A1−1)100重量部に対して2−イソシアナトエチルメタクリレート(A2−1)(昭和電工製、商品名「カレンズMOI」:分子量155.2)を下記表1に示す量で配合し、50℃以下で反応を継続させることによりエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A−1)〜(A−7)を得た。
上記分子内に官能基を持つアクリル樹脂(A1−1)100重量部に対して2−イソシアナトエチルメタクリレート(A2−1)(昭和電工製、商品名「カレンズMOI」:分子量155.2)を下記表1に示す量で配合し、50℃以下で反応を継続させることによりエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A−1)〜(A−7)を得た。
[エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)]
単官能性芳香族化合物(B−1)として、以下のものを用意した。
・メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(日油製製、商品名「ブレンマーAME400」:分子量451)
単官能性芳香族化合物(B−1)として、以下のものを用意した。
・メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(日油製製、商品名「ブレンマーAME400」:分子量451)
[重合開始剤(C)]
光重合開始剤(C−1)として、以下のものを用意した。
・ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの質量比1:1の混合物(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア500」)
光重合開始剤(C−1)として、以下のものを用意した。
・ベンゾフェノンと1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの質量比1:1の混合物(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製、「イルガキュア500」)
[エチレン性不飽和基を2つ以上含有するエチレン性不飽和化合物(D)]
多官能性不飽和化合物(D−1)として、以下のものを用意した。
・イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(分子量423)
多官能性不飽和化合物(D−1)として、以下のものを用意した。
・イソシアヌル酸EO変性トリアクリレート(分子量423)
[架橋剤(E)]
架橋剤(E−1)として、以下のものを用意した。
・ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、「コロネートHX」)
架橋剤(E−1)として、以下のものを用意した。
・ヘキサメチレンジイソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製、「コロネートHX」)
〔実施例1〜7、比較例1〜3〕
上記のようにして調製,準備した各配合成分を、下記の表2に示す割合で配合することにより樹脂組成物を調製し、これを酢酸エチルにて希釈し(粘度〔500〜10000mPa・s(25℃)〕)アクリル系樹脂組成物溶液を作製した。
。
上記のようにして調製,準備した各配合成分を、下記の表2に示す割合で配合することにより樹脂組成物を調製し、これを酢酸エチルにて希釈し(粘度〔500〜10000mPa・s(25℃)〕)アクリル系樹脂組成物溶液を作製した。
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そして、上記で得られたアクリル系樹脂組成物溶液を、易接着層付ポリエチレンテレフタレート(易接着PET)フィルム(厚み50μm)に、乾燥後の厚みが25μmとなるように塗布し、100℃で3分間乾燥し、粘着剤組成物層を形成させた。
実施例1〜7では、得られた粘着剤組成物層にポリエステル系離型シートを貼り合せた後、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製「ECS-301G1型」)にてピーク照度:80W/cm2,積算露光量:480mJ/cm2(240mJ/cm2×2パス)で紫外線照射を行ない粘着剤層付きPETフィルムを得た。
比較例1〜3では、得られた粘着剤組成物層にポリエステル系離型シートを貼り合せた後、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製「ECS-301G1型」)にてピーク照度:80W/cm2,積算露光量:480mJ/cm2(240mJ/cm2×2パス)で紫外線照射を行ない、40℃の条件下で14日間エージングさせて粘着剤層付きPETフィルムを得た。
比較例1〜3では、得られた粘着剤組成物層にポリエステル系離型シートを貼り合せた後、高圧水銀ランプ(アイグラフィックス社製「ECS-301G1型」)にてピーク照度:80W/cm2,積算露光量:480mJ/cm2(240mJ/cm2×2パス)で紫外線照射を行ない、40℃の条件下で14日間エージングさせて粘着剤層付きPETフィルムを得た。
このようにして得られた粘着剤層付きPETフィルムを用いて、ゲル分率、濡れ性、貼り合せ性、被着体への耐汚染性、再剥離性を下記に示す各方法に従って測定・評価した。これらの結果を下記の表2に併せて示した。
[ゲル分率]
得られた粘着剤層付きPETフィルムを40×40mmに切断した後、離型シートを剥がし粘着剤層側を50×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合してから、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、トルエン250gの入った密封容器にて24時間浸漬し、試験前後の粘着剤層の重量変化にてゲル分率の測定を行なった。
得られた粘着剤層付きPETフィルムを40×40mmに切断した後、離型シートを剥がし粘着剤層側を50×100mmのSUSメッシュシート(200メッシュ)に貼合してから、SUSメッシュシートの長手方向に対して中央部より折り返してサンプルを包み込んだ後、トルエン250gの入った密封容器にて24時間浸漬し、試験前後の粘着剤層の重量変化にてゲル分率の測定を行なった。
[濡れ性]
得られた粘着剤層付きPETフィルムを10×10cmに切断した後、離型シートを剥がし、PETフィルムをガラス板に静置した後、中央をのみ指圧し、粘着剤層の濡れ広がる速度を目視で評価した。
(評価)
○:濡れ広がり方が非常に速い
△:濡れ広がり方が速い
×:濡れ広がり方が遅い
得られた粘着剤層付きPETフィルムを10×10cmに切断した後、離型シートを剥がし、PETフィルムをガラス板に静置した後、中央をのみ指圧し、粘着剤層の濡れ広がる速度を目視で評価した。
(評価)
○:濡れ広がり方が非常に速い
△:濡れ広がり方が速い
×:濡れ広がり方が遅い
[貼り合わせ性]
得られた粘着剤層付きPETフィルムを10×10cmに切断した後、離型シートを剥がし、PETフィルムをガラス板に静置した後、中央をのみ指圧し、空気の抜け方を評価した。
(評価)
○:気泡をほとんどかみこまずにフィルムの端まで粘着剤が広がる。
△:気泡を少しか見込むがフィルムの端まで粘着剤が広がる。
×:気泡をかみこみやすく、粘着剤が途中で止まりやすい。
得られた粘着剤層付きPETフィルムを10×10cmに切断した後、離型シートを剥がし、PETフィルムをガラス板に静置した後、中央をのみ指圧し、空気の抜け方を評価した。
(評価)
○:気泡をほとんどかみこまずにフィルムの端まで粘着剤が広がる。
△:気泡を少しか見込むがフィルムの端まで粘着剤が広がる。
×:気泡をかみこみやすく、粘着剤が途中で止まりやすい。
[被着体への耐汚染性]
得られた粘着剤層付きPETフィルムを5×5cmに切断した後、離型シートを剥がしガラス板に張り合わせた。このサンプルを70℃で5日間放置した後、粘着シートを剥がし被着体表面への汚染性を目視及び触感で確認した。
(評価)
○:外観、触感共に貼り合せ前と変化なし。
△:外観に変化無し。触感にわずかに変化がある。
×:外観に糊残り、貼り後がみられたり、触感に大きな変化ありがある。
得られた粘着剤層付きPETフィルムを5×5cmに切断した後、離型シートを剥がしガラス板に張り合わせた。このサンプルを70℃で5日間放置した後、粘着シートを剥がし被着体表面への汚染性を目視及び触感で確認した。
(評価)
○:外観、触感共に貼り合せ前と変化なし。
△:外観に変化無し。触感にわずかに変化がある。
×:外観に糊残り、貼り後がみられたり、触感に大きな変化ありがある。
[再剥離性]
得られた粘着剤層付きPETフィルムを25mm幅に切断した後、ソーダガラスに貼り合わせ、30分後の粘着力(初期接着力)および50℃で2日間放置後の粘着力(促進後接着力)を180℃剥離試験により測定した。
(評価)
○:0.1N/25mm以下
△:0.1N/25mmより大きく1N/25mm以下
×:1N/25mmより大きい
得られた粘着剤層付きPETフィルムを25mm幅に切断した後、ソーダガラスに貼り合わせ、30分後の粘着力(初期接着力)および50℃で2日間放置後の粘着力(促進後接着力)を180℃剥離試験により測定した。
(評価)
○:0.1N/25mm以下
△:0.1N/25mmより大きく1N/25mm以下
×:1N/25mmより大きい
エチレン性不飽和基を含有するアクリル系樹脂(A)とオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)とを含有するアクリル系樹脂組成物からなる実施例1〜7の粘着剤層は、濡れ性に優れ被着体への貼り合せ性が良好であり、かつ被着体への耐汚染性、剥離性にも優れるものである。
一方、エチレン性不飽和基を含有しないアクリル系樹脂とオキシアルキレン基含有不飽和化合物に、多量の多官能化合物と架橋剤を併用し、架橋密度を高めた比較例1の粘着剤層は、被着体への耐汚染性に優れるものの、濡れ性、貼り合せ性に劣るものであった。
また、エチレン性不飽和基を含有しないアクリル系樹脂とオキシアルキレン基含有不飽和化合物に、多官能化合物を配合せず架橋剤のみを配合した、架橋密度の低い比較例2、3の粘着剤層は、濡れ性、貼り合せ性に優れるものの、被着体への耐汚染性に劣るものであった。
一方、エチレン性不飽和基を含有しないアクリル系樹脂とオキシアルキレン基含有不飽和化合物に、多量の多官能化合物と架橋剤を併用し、架橋密度を高めた比較例1の粘着剤層は、被着体への耐汚染性に優れるものの、濡れ性、貼り合せ性に劣るものであった。
また、エチレン性不飽和基を含有しないアクリル系樹脂とオキシアルキレン基含有不飽和化合物に、多官能化合物を配合せず架橋剤のみを配合した、架橋密度の低い比較例2、3の粘着剤層は、濡れ性、貼り合せ性に優れるものの、被着体への耐汚染性に劣るものであった。
このように、通常、粘着剤の濡れ性は架橋密度が低く分子の運動性が高い方が良好であり、逆に被着体への耐汚染性は架橋密度が高く未架橋成分が少ないほうが良好であるため、相反するこれらの物性を両立することは困難であるところ、本発明においては、アクリル系樹脂の有するエチレン性不飽和基と、オキシアルキレン基含有不飽和化合物の有するエチレン性不飽和基との反応の作用や、更に好ましくはオキシアルキレン基含有不飽和化合物の有するオキシアルキレン構造の作用により、上記物性の両立が達成されると推測される。
本発明のアクリル系粘着剤は、高い濡れ性を有し、被着体との貼り合わせ性、被着体への耐汚染性に優れるものであるために、マスキング・表面保護用粘着剤、マスキング用粘着剤、両面テープ用粘着剤、メディカル用粘着剤、光学部材用粘着剤、一般ラベル用粘着剤、玩具向けシール用粘着剤、装飾シールト用粘着剤、凹凸追従性粘着剤として有用に用いることができ、特にタッチパネルや携帯電話、携帯型画像表示機器の画面保護用粘着剤として有用に用いることができる。
Claims (9)
- エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、
エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)
を含有してなるアクリル系樹脂組成物[I]が、硬化されてなることを特徴とするアクリル系粘着剤。 - エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)中のエチレン性不飽和基含有量が0.1〜150mmol/100gであることを特徴とする請求項1記載のアクリル系粘着剤。
- エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が、分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1)100重量部と分子内に該官能基と反応し得る官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)0.01〜25重量部とを反応させてなることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のアクリル系粘着剤。
- 分子内に官能基を持つアクリル系樹脂(A1)の官能基がカルボキシル基および/または水酸基であることを特徴とする請求項3記載のアクリル系粘着剤。
- 官能基を有するエチレン性不飽和化合物(A2)の官能基がイソシアネート基またはグリシジル基であることを特徴とする請求項3又は4記載のアクリル系粘着剤。
- エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)が、下記一般式(1)で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のアクリル系粘着剤。
(式中、Xはアルキレン基、nは1以上の整数であり、Aは(メタ)アクリロイル基又はアルケニル基、Bは水素原子、アルキル基、フェニル基又はアシル基である。) - アクリル系樹脂組成物[I]が、活性エネルギー線及び/又は熱により硬化されてなることを特徴とする請求項1〜6いずれか記載のアクリル系粘着剤。
- 請求項1〜7いずれか記載のアクリル系粘着剤を含む粘着剤層を含有することを特徴とする粘着シート。
- エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、エチレン性不飽和基を1つ含有するオキシアルキレン基含有不飽和化合物(B)を含有してなることを特徴するアクリル系樹脂組成物。
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