JP7167784B2 - 粘着剤組成物および粘着シート - Google Patents

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Description

本発明は、特定のエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂を含有する粘着剤組成物および粘着シートに関するものであり、とりわけ、金属板、プラスチック板等の一時的な表面保護や半導体ウエハ等のダイシング工程等の半導体固定用粘着シートに有用な粘着剤組成物に関するものである。
紫外線や電子線等の活性エネルギー線を照射することで硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が知られており、接着剤、粘着剤、塗料、インク、コーティング材、光造形材等の用途に用いられている。また、上記活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、電子部品の切削や穴開け等の加工工程において、被加工部材の汚れや損傷を防ぐことを目的として一時的に表面を保護するための表面保護用の粘着シートの粘着剤層としても用いられており、近年では電子部品に限らず様々な部材の加工時にも表面保護用の粘着シートが利用されている。
上記粘着シートは、近年の加工の微細化や加工部材の薄膜化等の理由で被加工部材に対して適度な粘着力が求められる一方、表面保護の役目を終えた後には表面保護用の粘着シートを剥離する必要があり、剥離する際には軽い力で糊残りがなく剥離できることが求められている。
かかる粘着シートに用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、例えば、アクリル系樹脂にエチレン性不飽和基を有するモノマーおよびオリゴマーの少なくとも一方を配合したり、アクリル系樹脂自体にエチレン性不飽和基を含有させたりすることで、活性エネルギー線硬化性を発現させている。なかでも、アクリル系樹脂自体にエチレン性不飽和基を含有させたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂を用いることは、アクリル系樹脂自体が活性エネルギー線照射により架橋構造を形成するため、硬化後の弾性率を上げやすい点や、未架橋成分が被着体に残りにくい点で有利である。
このような一時表面保護用の粘着シートに用いられる、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂として、例えば、特許文献1には、2-ヒドロキシエチルアクリレートを共重合したアクリル系ポリマーに対して、2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートをウレタン化反応させることにより、エチレン性不飽和基を含有させたアクリル系樹脂が記載されている。
更に、特許文献2では、メタクリル酸を共重合したアクリル系共重合体に2-ヒドロキシエチルメタクリレートをエステル化反応させることにより、エチレン性不飽和基を含有させたアクリル系樹脂を用いた電子部品加工用粘着テープが記載されている。
また、近年の電子部品の製造工程では、粘着シートを貼付した状態の部品が高温に晒されることも少なくなく、そのため、電子部品の製造工程に使用する粘着シートには、高温条件に耐え得る耐熱性も求められている。
特開2010-53346号公報 特開2016-121231号公報
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、常温での活性エネルギー線照射による剥離性は良好であるが、150℃以上の高温条件下に晒された後に活性エネルギー線照射を施して剥離する場合、高温工程中にアクリル系樹脂中のエチレン性不飽和基の結合部であるウレタン結合が熱により分解されやすいため、活性エネルギー線照射を施しても粘着力が低下しにくく、剥離時に被着体に糊残りしやすい。そのため、耐熱性の更なる改善が求められている。
また、上記特許文献2の開示技術では、エステル結合を介してエチレン性不飽和基を導入しているものの、不飽和基を導入している主鎖部がメタクリル酸由来の構造のため、熱による主鎖分解反応が起こりやすく、依然として耐熱性に劣ることとなり、更なる改善が求められている。
そこで、本発明ではこのような背景下において、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であり、かつ、耐熱性に優れ、加熱後においても活性エネルギー線照射後の剥離性(耐汚染性、微粘着性)に優れた粘着剤を得ることができる活性エネルギー線硬化性剥離型の粘着剤組成物を提供することを目的とするものである。
しかるに、本発明者は、特定構造のエチレン性不飽和基を特定量含有するアクリル系樹脂を用いることにより、活性エネルギー線照射前の粘着力が良好であり、かつ、耐熱性に優れた粘着剤となり、加熱後においても活性エネルギー線照射後の剥離性(耐汚染性、微粘着性)に優れた粘着剤を得ることができる粘着剤組成物を見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、アクリル系樹脂の側鎖に、下記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有構造部位を含有し、かつ、エチレン性不飽和基の含有量がエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂に対して25~500mmol/100gであるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)を含有する粘着剤組成物を第1の要旨とする。
Figure 0007167784000001
また、本発明は、上記第1の要旨の粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有する粘着シートを第2の要旨とする。
本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂の側鎖に、下記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有構造部位を含有し、かつ、エチレン性不飽和基の含有量がエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂に対して25~500mmol/100gであるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)を含有するものである。そのため、この粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有する粘着シートは、側鎖に特定のエチレン性不飽和基含有構造部位を所定量含有するアクリル系樹脂を含むため、活性エネルギー線照射前の粘着力および活性エネルギー線照射後の剥離性に優れるものである。また、上記粘着剤組成物および粘着シートは、上記エチレン性不飽和基含有構造部位がカルバメート基を有していないため、耐熱性に優れ、高温で加熱した後でも、活性エネルギー線の照射後の剥離性に優れるものである。
Figure 0007167784000002
また、本発明のなかでも、特に、上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が、水酸基を含有すると、より活性エネルギー線照射前の粘着力に優れるものとなる。
更に本発明の粘着剤組成物が、架橋剤(B)を含有すると、より活性エネルギー線照射前の粘着力に優れるものとなる。
更に本発明の粘着剤組成物が、光重合開始剤(C)を含有すると、より活性エネルギー線において、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)の硬化性を向上させ、活性エネルギー線照射後の剥離性に優れるものとなる。
以下、本発明を実施するための形態について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明において、「(メタ)アクリル」とはアクリルあるいはメタクリルを、「(メタ)アクリロイル」とはアクリロイルあるいはメタクリロイルを、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートあるいはメタクリレートをそれぞれ意味するものである。
また、「アクリル系樹脂」とは、少なくとも1種の(メタ)アクリレート系モノマーを含む重合成分を重合して得られる樹脂である。
なお、本発明において、「シート」とは、特に「フィルム」、「テープ」と区別するものではなく、これらも含めた意味として記載するものである。
本発明の粘着剤組成物は、通常、金属板、プラスチック板、半導体ウエハ等の被加工部材と貼り合せた後に剥離することを前提とする、粘着シートの粘着剤層に主として用いられる。上記粘着シートは、粘着剤組成物を基材シート上に塗工して、粘着剤層が形成されてなるものであり、被加工部材と貼り合せた後、活性エネルギー線を照射することにより粘着剤層が硬化して粘着力が低下し、容易に被加工部材から剥離することができるものである。
本発明の粘着剤組成物は、下記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有構造部位を所定量含有するアクリル系樹脂(A)を含有するものである。以下、本発明の粘着剤組成物の各構成成分について説明する。
Figure 0007167784000003
〔エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)〕
本発明で用いるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)は、水酸基を含有するアクリル系樹脂(以下、「水酸基含有アクリル系樹脂」と称する)(α)と(メタ)アクリル酸無水物(β)とを反応させて得られるものである。
[水酸基含有アクリル系樹脂(α)]
上記水酸基含有アクリル系樹脂(α)は、水酸基含有モノマー(a1)、アルキル(メタ)アクリレート(a2)、好ましくは官能基含有モノマー(a3)(但し、水酸基含有モノマー(a1)を除く。)、さらに必要に応じて、その他の共重合性モノマー(a4)を重合させて得られるものである。
上記水酸基含有モノマー(a1)が有する水酸基は、重合後の水酸基含有アクリル系樹脂(α)において、(メタ)アクリル酸無水物(β)との反応点となるものである。
また、水酸基は、後述する架橋剤(B)との反応点ともなるものであり、(メタ)アクリル酸無水物(β)との反応で消費される量以上を含有させることが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a1)は、耐熱性の点からメタクリレート系モノマーを除くものであり、例えば、水酸基含有アクリレート系モノマー、または水酸基含有アクリルアミド系モノマーが挙げられる。上記水酸基含有アクリレート系モノマー、または水酸基含有アクリルアミド系モノマーとしては、具体的には、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、5-ヒドロキシペンチルアクリレート、6-ヒドロキシヘキシルアクリレート、8-ヒドロキシオクチルアクリレート等のアクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド等のヒドロキシアルキルアクリルアミド、カプロラクトン変性2-ヒドロキシエチルアクリレート等のカプロラクトン変性モノマー、ジエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等のオキシアルキレン変性モノマー、2-アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸等の1級水酸基含有モノマー;2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート等の2級水酸基含有モノマー;2,2-ジメチル2-ヒドロキシエチルアクリレート等の3級水酸基含有モノマー等を挙げることができる。これらは単独でもしくは2種類以上を併用することができる。
上記水酸基含有モノマーのなかでも、後述の(メタ)アクリル酸無水物(β)との反応性に優れる点で、1級水酸基含有モノマーが好ましく、特には2-ヒドロキシエチルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
上記水酸基含有モノマー(a1)の含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して通常0.1~50重量%であり、好ましくは5~40重量%、より好ましくは10~35重量%である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向があり、少なすぎると充分な量の(メタ)アクリル酸無水物(β)と反応させることができず、活性エネルギー線照射後の剥離性が低下する傾向がある。
上記アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)を得る重合成分の主成分である。また、上記アルキル(メタ)アクリレート(a2)は、アルキル基の炭素数が、通常1~24であり、好ましくは1~20、特に好ましくは1~12、さらに好ましくは1~8である。炭素数が大きすぎると、重合性が低くなるため、水酸基含有アクリル系樹脂(α)中に未反応モノマーとして残存しやすく、被加工部材への汚染や糊残りが生じやすくなる傾向がある。
上記アルキル(メタ)アクリレート(a2)として、具体的には、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチルアクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等の脂肪族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環族の(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記アルキル(メタ)アクリレート(a2)のなかでも、共重合性、粘着物性、取り扱いやすさおよび原料入手のしやすさの点で、メチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましい。
また、上記アルキル(メタ)アクリレート(a2)の含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して通常30~99重量%であり、好ましくは40~95重量%、特に好ましくは50~90重量%である。かかる含有量が少なすぎると、活性エネルギー線照射前の粘着力が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると活性エネルギー線照射前の粘着力が高くなりすぎる傾向がある。
本発明においては、後述する架橋剤(B)との反応に優れる点からアクリル系樹脂(α)に水酸基を含有させることが好ましいが、水酸基含有モノマー(a1)の他にも後述する架橋剤(B)と反応する官能基含有モノマー(a3)を重合成分として含有させることも好ましい。
上記官能基含有モノマー(a3)としては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、アミド基含有モノマー、グリシジル基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、アセトアセチル基含有モノマー等を挙げることができる。また、これらの官能基含有モノマーは、単独でもしくは2種類以上を併用することができる。
上記カルボキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ダイマー、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イタコン酸、アクリルアミドN-グリコール酸、ケイ皮酸等が挙げられる。なかでも共重合性の点で(メタ)アクリル酸が好ましく用いられる。
上記カルボキシ基含有モノマーの含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して、通常1重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、被加工部材を変質させやすい傾向や、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記アミノ基含有モノマーは、例えば、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アミノ基含有モノマーの含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは2重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記アミド基含有モノマーとしては、例えば、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、n-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジエチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド系モノマー等が挙げられる。
上記アミド基含有モノマーの含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して、通常30重量%以下であり、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記グリシジル基含有モノマーとしては、例えば、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸アリルグリシジル等が挙げられる。
上記グリシジル基含有モノマーの含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して、通常20重量%以下であり、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、エチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、メタアリルスルホン酸等のオレフィンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチロールプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸あるいはその塩等が挙げられる。
上記スルホン酸基含有モノマーの含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して、通常1重量%以下であり、好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.3重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記アセトアセチル基含有モノマーとしては、例えば、2-(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート、アリルアセトアセテート等が挙げられる。
上記アセトアセチル基含有モノマーの含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して、通常10重量%以下であり、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。かかる含有量が多すぎると、乾燥工程前に架橋が進行し、塗工性に問題が生じやすくなる傾向がある。
上記その他の共重合性モノマー(a4)としては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステルモノマー;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香環を含有するモノマー;ビフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のビフェニルオキシ構造含有(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルコキシ基またはオキシアルキレン基を含有するモノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル、ビニルトルエン、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、イタコン酸ジアルキルエステル、フマル酸ジアルキルエステル、アリルアルコール、アクリルクロライド、メチルビニルケトン、アリルトリメチルアンモニウムクロライド、ジメチルアリルビニルケトン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記その他の共重合性モノマー(a4)の含有量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合成分全体に対して、通常40重量%以下、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。その他の共重合性モノマー(a4)が多すぎると粘着特性が低下しやすくなる傾向がある。
本発明で用いる水酸基含有アクリル系樹脂(α)は、水酸基含有モノマー(a1)、アルキル(メタ)アクリレート(a2)、好ましくは官能基含有モノマー(a3)、必要に応じて、その他の共重合性モノマー(a4)を重合成分として重合することにより得られる。かかる重合法としては通常、溶液ラジカル重合、懸濁重合、塊状重合、乳化重合等の従来公知の方法により適宜行うことができる。なかでも溶液ラジカル重合で製造することが、安全に、安定的に、任意のモノマー組成で水酸基含有アクリル系樹脂(α)を製造できる点で好ましい。
上記溶液ラジカル重合は、例えば、有機溶剤中に、水酸基含有モノマー(a1)、アルキル(メタ)アクリレート(a2)、官能基含有モノマー(a3)、その他の共重合性モノマー(a4)等のモノマー成分および重合開始剤を混合あるいは滴下し、還流状態あるいは通常50~98℃で0.1~20時間程度重合すればよい。
上記重合反応に用いられる有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の脂肪族アルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類等が挙げられる。
上記重合開始剤としては、通常のラジカル重合開始剤を用いることができ、具体的には、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ系重合開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-tert-ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等の過酸化物系重合開始剤等が挙げられる。
上記重合法によって得られる水酸基含有アクリル系樹脂(α)は、通常、溶液の状態で得られる。上記水酸基含有アクリル系樹脂(α)溶液の25℃での粘度は、5~50,000mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは10~20,000mPa・sである。かかる粘度が上記範囲外では、水酸基含有アクリル系樹脂(α)と(メタ)アクリル酸無水物(β)とを反応させる際に、反応遅延を起こしたり、得られるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂を粘着剤として用いた際に、塗工性が低下する傾向がある。なお、粘度の測定法はE型粘度計による。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重量平均分子量は、通常10万~200万、好ましくは15万~150万、特に好ましくは20万~120万、殊に好ましくは、30万~100万である。重量平均分子量が小さすぎると、被加工部材に対する汚染性が高くなる傾向があり、大きすぎると塗工性が低下しやすくなり、またコストの面で不利となる傾向がある。
さらに、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の分散度(重量平均分子量/数平均分子量)は、20以下であることが好ましく、特には10以下が好ましく、さらには7以下が好ましく、殊には5以下が好ましい。かかる分散度が高すぎると被加工部材に対する汚染性が増大する傾向がある。なお、分散度の下限は、製造の限界の点から、通常1.1である。
上記の重量平均分子量は、標準ポリスチレン分子量換算による重量平均分子量であり、高速液体クロマトグラフ(日本Waters社製、「Waters 2695(本体)」と「Waters 2414(検出器)」)に、カラム:Shodex GPC KF-806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100~2×107、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)を3本直列にして用いることにより測定されるものであり、数平均分子量も同様の方法で得ることができる。
また、水酸基含有アクリル系樹脂(α)のガラス転移温度(Tg)は、通常40℃以下であり、好ましくは-70~20℃、特に好ましくは-65~0℃、さらに好ましくは-60~-10℃である。ガラス転移温度が高すぎると粘着性が低下する傾向があり、低すぎると被加工部材に対する汚染性が増大する傾向がある。
なお、上記ガラス転移温度(Tg)は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)を構成するそれぞれのモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度および重量分率を、下記のFoxの式に当てはめて算出した値である。
Figure 0007167784000004
ここで、水酸基含有アクリル系樹脂(α)を構成するモノマーをホモポリマーとした際のガラス転移温度は、通常、示差走査熱量計(DSC)により測定されるものであり、JIS K 7121-1987や、JIS K 6240に準拠した方法で測定することができる。
また、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の酸価は10mgKOH/g以下が好ましく、特には5mgKOH/g以下、更には2mgKOH/g以下、特に1mgKOH/g以下が好ましい。上記範囲を超えると、腐食等の懸念が生じる傾向がある。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(α)の酸価は、以下のようにして求めることができる。
即ち、ビーカーに固形分Z重量%の水酸基含有アクリル系樹脂(α)溶液をYg採取し、トルエン:メタノール=7:3(重量比)の混合溶媒中に溶解させる。溶解後、フェノールフタレインを適量加え、スターラーで撹拌しながら、水酸化カリウム(KOH)溶液で滴定を行い、溶液が薄いピンク色となった時点のKOH溶液量XmLを終点として読み取り、下記式1によって酸価を算出する。なお、通常、KOH溶液は、0.1mol/Lを使用するが、水酸基含有アクリル系樹脂(α)の酸価が低い場合には、精度を上げるため0.01mol/LのKOH溶液を使用してもよい。
〔式1〕
酸価(mgKOH/g)=X×(f×M×56.11)/(Y×Z/100)
・f:KOH溶液のファクター
・M:KOH溶液のモル濃度(mol/L)
・X:KOH溶液量(mL)
・Y:水酸基含有アクリル系樹脂(α)の採取量(g)
・Z:水酸基含有アクリル系樹脂(α)の固形分(重量%)
[(メタ)アクリル酸無水物(β)]
本発明で用いる(メタ)アクリル酸無水物(β)は、下記一般式(2)で表される化合物である。
Figure 0007167784000005
上記(メタ)アクリル酸無水物(β)の有するカルボン酸と、上記水酸基含有アクリル系樹脂(α)の有する水酸基がエステル化反応することにより、下記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有構造部位を含有するエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が得られる。
Figure 0007167784000006
なお、上記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基構造部位は、アクリル系樹脂の側鎖末端であればよく、例えば、アクリル系樹脂の主鎖に上記エチレン性不飽和基含有構造部位が側鎖として直接結合していてもよいし、側鎖を有するアクリル系樹脂の側鎖末端に上記エチレン性不飽和基含有構造部位が結合していてもよい。
上述のとおり、本発明で用いるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)と(メタ)アクリル酸無水物(β)とをエステル化反応させることにより得られるものである。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(α)と(メタ)アクリル酸無水物(β)とのエステル化反応は、例えば、反応器に水酸基含有アクリル系樹脂(α)、(メタ)アクリル酸無水物(β)を一括または別々に仕込み公知の反応手段で行うことができる。
上記水酸基含有アクリル系樹脂(α)と(メタ)アクリル酸無水物(β)との仕込み量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)中の水酸基含有モノマー(a1)100mol%に対して、(メタ)アクリル酸無水物(β)が通常10~100mol%、好ましくは15~95mol%、特に好ましくは20~90mol%である。
また、上記エステル化反応においては、触媒としてマグネシウム化合物を用いることが好ましい。上記マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシウムの酸化物、水酸化物、炭酸塩、炭酸水素塩、珪酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸アンモニウム塩、ホウ酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、ハロゲン化水素塩等の無機酸塩、カルボン酸塩、過カルボン酸塩、スルホン酸塩等の有機酸塩、アセチルアセトン塩、ヘキサフルオロアセチルアセトン塩、ポルフィリン塩、フタロシアニン塩、シクロペンタジエン塩等の錯塩等が挙げられる。これらのマグネシウム塩は、水和物、無水物のいずれでもよい。また、これらは単独でもしくは2種類以上を併用することができる。なかでも、マグネシウムの、無機酸塩、有機酸塩、錯塩が好ましく、より好ましくはマグネシウムの水酸化物、カルボン酸塩、アセチルアセトン塩であり、特に好ましくは水酸化マグネシウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、アセチルアセトンマグネシウムである。
また、上記マグネシウム化合物の仕込み量は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)中の水酸基含有モノマー(a1)100mol%に対して、通常0.01~10mol%、好ましくは0.05~5mol%、特に好ましくは0.1~1mol%である。
また、上記エステル化反応の反応温度は、通常20~90℃、好ましくは30~80℃であり、反応時間は、通常2~40時間、好ましくは5~30時間である。
さらに、上記エステル化反応においては、有機溶剤を用いてもよく、有機溶剤としては、前記水酸基含有アクリル系樹脂(α)の重合で記載したものと同じものを用いることができる。
かくして、本発明で用いるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)を得ることができる。本発明の粘着剤組成物は、アクリル系樹脂の側鎖に特定のエチレン性不飽和基含有構造部位を所定量含有するアクリル系樹脂(A)を含むため、活性エネルギー線照射前の粘着力および活性エネルギー線照射後の剥離性に優れる。また、上記アクリル系樹脂(A)は、エチレン性不飽和基含有構造部位にカルバメート基を有していないため、耐熱性に優れ、高温で加熱した後でも、活性エネルギー線照射後の剥離性に優れる。
また、(メタ)アクリル酸無水物(β)によるエチレン性不飽和基導入率(エステル化率)は、水酸基含有アクリル系樹脂(α)中の水酸基含有モノマー(a1)全体のうち通常10%以上、好ましくは20%以上、特に好ましくは30%以上である。なお、上限値は通常100%であり、水酸基含有モノマー(a1)由来の水酸基を後述の架橋剤(B)との反応に用いる場合においては、95%を上限値とすることが好ましい。また、(メタ)アクリル酸無水物(β)の反応率の上限は、通常100%である。エチレン性不飽和基導入率が低すぎると、活性エネルギー線照射後の剥離性が低下する傾向がある。なお、エチレン性不飽和基導入率は、13C-NMR測定によるエステル化反応前後の水酸基含有モノマー(a1)の積分値比から、以下の式により算出される。
Figure 0007167784000007
上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)は、エチレン性不飽和基の含有量がエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂に対して25~500mmol/100gである。好ましくは30~450mmol/100g、より好ましくは40~400mmol/100gであり、特に好ましくは50~300mmol/100gである。エチレン性不飽和基の含有量が少なすぎると、活性エネルギー線照射の剥離性が低下し、エチレン性不飽和基の含有量が多すぎると、剥離後の被加工部材に対する耐汚染性が低下する。
上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)のエチレン性不飽和基の含有量は、以下の計算により求めることができる。
Figure 0007167784000008
また、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が水酸基を含有すると、後述する架橋剤(B)と反応し、架橋構造を形成することにより、活性エネルギー線照射前の粘着力が向上するため好ましい。
エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)における水酸基の含有量は、通常0.01~35重量%、好ましくは0.01~25重量%である。水酸基の含有量が少なすぎると、粘着剤の凝集力が低下し、糊残りの原因となる傾向があり、水酸基の含有量が多すぎると、粘着剤の柔軟性および粘着力が低下し、被加工部材との間に浮きが生じる傾向がある。なお、上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が含有する水酸基とは、水酸基含有アクリル系樹脂(α)と(メタ)アクリル酸無水物(β)とのエステル化後における未反応の水酸基含有モノマー(a1)由来の水酸基を意味する。
また、上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)を粘着剤として用いる場合は、溶液の状態が好ましい。上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)溶液の25℃での粘度は、5~50,000mPa・sであることが好ましく、特に好ましくは10~10,000mPa・sである。かかる粘度が上記範囲外では、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)を粘着剤として用いた際の塗工性が低下する傾向がある。なお、粘度の測定法はE型粘度計による。
〔架橋剤(B)〕
本発明の粘着剤組成物には、活性エネルギー線照射前の粘着力を向上させるために、更に架橋剤(B)を含有させることが好ましい。上述のように架橋剤(B)は、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)中の官能基と反応し、架橋構造を形成するものであり、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、アルデヒド系架橋剤、アミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤が挙げられる。これらのなかでも、被着体との接着性を向上させる点やエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)との反応性の点から、イソシアネート系架橋剤を用いることが好ましい。
上記イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基を2個以上含むものであり、例えば、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート等、およびこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、さらにはエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物であるアダクト体等が挙げられる。これらのなかでも薬剤耐性や官能基との反応性の点で芳香族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が好ましく、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとのアダクト体が特に好ましい。
上記エポキシ系架橋剤としては、例えば、1,3-ビス(N,N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシリレンジアミン、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンジグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン等が挙げられる。
上記アジリジン系架橋剤としては、例えば、ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ-β-アジリジニルプロピオネート、トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル-1-(2-メチルアジリジン)、トリス-1-(2-メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ-β-(2-メチルアジリジン)プロピオネート等が挙げられる。
上記メラミン系架橋剤としては、例えば、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドを縮合して得られるアミノ基含有メチロールメラミン、イミノ基含有メチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメチロールメラミン誘導体、メチロールメラミン誘導体にメチルアルコールやブチルアルコール等の低級アルコールを反応させて部分的または完全にエーテル化した、部分または完全アルキル化メチロールメラミン、イミノ基含有部分または完全アルキル化メチロールメラミン等のアルキル化メチロールメラミン等が挙げられる。
上記アルデヒド系架橋剤とは、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、グリオキザール、グルタルアルデヒド、ジアルデヒドデンプン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4-ジオキサン-2,3-ジオール、1,3-ビス(ヒドロキシメチル)-2-イミダゾリジン、ジメチロール尿素、N-メチロールアクリルアミド、尿素ホルマリン樹脂、メラミンホルマリン樹脂等の水溶液中でアルデヒドを遊離するアルデヒド系化合物、または、ベンズアルデヒド、2-メチルベンズアルデヒド、4-メチルベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド等の芳香族アルデヒド系化合物が挙げられる。
上記アミン系架橋剤としては、例えば、4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、変性4,4’-メチレン-ビス(2-クロロアニリン)、ジエチルトルエンジアミンが挙げられる。
上記金属キレート系架橋剤には、例えば、金属原子がアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、鉄、スズ等のキレート化合物があげられ、性能の点からアルミニウムキレート化合物が好ましい。アルミニウムキレート化合物としては、例えば、ジイソプロポキシアルミニウムモノオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムビスオレイルアセトアセテート、モノイソプロポキシアルミニウムモノオレエートモノエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノラウリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノステアリルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミニウムモノイソステアリルアセトアセテート等が挙げられる。
上記架橋剤(B)は、単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記架橋剤(B)の含有量は、通常、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1~30重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.2~20重量部、さらに好ましくは0.2~15重量部である。架橋剤(B)が少なすぎると、粘着剤の凝集力が低下し、糊残りの原因となる傾向があり、多すぎると、粘着剤の柔軟性および粘着力が低下し、被加工部材との間に浮きが生じる傾向がある。
〔光重合開始剤(C)〕
本発明の粘着剤組成物は、活性エネルギー線照射後の剥離性が向上する点から、光重合開始剤(C)を配合させることが好ましい。上記光重合開始剤(C)としては、光の作用によりラジカルを発生するものであればよく、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、ベンジルジメチルケタール、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-メチル-2-モルホリノ(4-チオメチルフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタノン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノンオリゴマー等のアセトフェノン類;
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;
ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6-トリメチルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-N,N-ジメチル-N-[2-(1-オキソ-2-プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4-ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;
2-イソプロピルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、2,4-ジクロロチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-(3-ジメチルアミノ-2-ヒドロキシ)-3,4-ジメチル-9H-チオキサントン-9-オンメソクロリド等のチオキサントン類;
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフォンオキサイド類;
等が挙げられる。なかでも、好ましくは、アセトフェノン類、とりわけ1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンや、チオキサントン類、とりわけ2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイドである。
なお、これら光重合開始剤(C)は、単独で用いるか、または2種以上を併用することができる。
上記光重合開始剤(C)の含有量としては、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)100重量部に対して、0.1~20重量部であることが好ましく、特に好ましくは0.5~15重量部、殊に好ましくは0.5~10重量部である。
光重合開始剤(C)の含有量が少なすぎると活性エネルギー線照射において、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)の硬化性が低く、活性エネルギー線照射後の剥離性が低下しやすくなる傾向があり、多すぎると被加工部材に対する汚染性が増大する傾向がある。
また、これら光重合開始剤(C)の助剤として、例えば、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4’-ジエチルアミノベンゾフェノン、2-ジメチルアミノエチル安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(n-ブトキシ)エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2,4-ジエチルチオキサンソン、2,4-ジイソプロピルチオキサンソン等を併用することも可能である。これらの助剤も単独でもしくは2種以上併せて用いることができる。
〔その他の成分〕
本発明の粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲において、さらに例えば、エチレン性不飽和化合物を配合することも活性エネルギー線照射後の剥離性の点で好ましく、また、帯電防止剤、酸化防止剤、可塑剤、充填剤、顔料、希釈剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、粘着付与樹脂等の添加剤をさらに含有していてもよい。これらの添加剤は単独でもしくは2種以上を併せて用いることができる。特に酸化防止剤は、粘着剤層の安定性を保つのに有効である。酸化防止剤を配合する場合の含有量は、特に制限はないが、好ましくは0.01~5重量%である。なお、添加剤の他にも、粘着剤組成物の構成成分の製造原料等に含まれる不純物等が少量含有されていてもよい。
かくして、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)、好ましくは架橋剤(B)、光重合開始剤(C)および、必要に応じてその他の成分を混合することにより、本発明の粘着剤組成物が得られる。
本発明の粘着剤組成物は、上記架橋剤(B)により架橋され粘着剤としての性能を発揮するのであるが、その後、活性エネルギー線照射することにより、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が有するエチレン性不飽和基が重合して粘着剤が硬化し、粘着力の低下が起こることで剥離性を発揮することとなる。
本発明の粘着剤組成物は、通常、電子基板、半導体ウエハ、ガラス加工品、金属板、プラスチック板等の被加工部材を加工する際、一時的に表面を保護するための粘着シートの粘着剤層として好ましく用いられる。また、本発明の粘着シートは、耐熱性に優れることから、被加工部材の表面に貼り付けた後に100℃以上の加熱工程に付された場合であっても、活性エネルギー線照射することにより、優れた剥離性を発揮する。
以下、上記粘着シートについて説明する。
上記粘着シートは、通常、基材シート、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層、離型フィルムを有する。かかる粘着シートの作製方法としては、まず本発明の粘着剤組成物をそのまま、または適当な有機溶剤により濃度調整し、剥離フィルム上または基材シート上に直接塗工する。その後、例えば80~105℃、0.5~10分間の加熱処理等により乾燥させ、これを基材シートまたは離型フィルムに貼付することにより粘着シートを得ることができる。また、粘着物性のバランスをとるために、乾燥後にさらにエージングを行ってもよい。
上記基材シートとしては、例えば、ポリエチレンナフタート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体等のポリエステル系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン等のポリフッ化エチレン樹脂;ナイロン6、ナイロン6,6等のポリアミド;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、ビニロン等のビニル重合体;三酢酸セルロース、セロファン等のセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリアクリル酸エチル、ポリアクリル酸ブチル等のアクリル系樹脂;ポリスチレン;ポリカーボネート;ポリアリレート;ポリイミド等の合成樹脂シート、アルミニウム、銅、鉄の金属箔、上質紙、グラシン紙等の紙、硝子繊維、天然繊維、合成繊維等からなる織物や不織布が挙げられる。これらの基材シートは、単層体としてまたは2種以上が積層された複層体として用いることができる。これらのなかでも、軽量化等の点から、合成樹脂シートが好ましい。
さらに、上記離型フィルムとしては、例えば、上記基材シートで例示した各種合成樹脂シート、紙、織物、不織布等に離型処理したものを使用することができる。
また、上記粘着剤組成物の塗工方法としては、一般的な塗工方法であれば特に限定されることなく、例えば、ロールコーティング、ダイコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティング、スクリーン印刷等の方法が挙げられる。
上記粘着シートの粘着剤層の厚みは、通常、10~200μmであることが好ましく、さらには15~100μmがあることが好ましい。
上記エージングの条件としては、温度は通常、常温(23℃)~70℃、時間は通常、1~30日間であり、具体的には、例えば23℃で1~20日間、23℃で3~10日間、40℃で1~7日間等の条件で行えばよい。
本発明の粘着シートは、活性エネルギー線を照射することにより、粘着力が低下するものであるが、上記活性エネルギー線としては、通常、遠紫外線、紫外線、近紫外線、赤外線等の光線、X線、γ線等の電磁波の他、電子線、プロトン線、中性子線等が利用できる。なかでも、硬化速度、照射装置の入手のしやすさ、価格等から紫外線が好ましい。
上記紫外線を照射する場合の積算照射量は、通常50~3,000mJ/cm2、好ましくは100~1,000mJ/cm2である。また、照射時間は、光源の種類、光源と粘着剤層との距離、粘着剤層の厚み、その他の条件によっても異なるが、通常は数秒間、場合によっては数分の1秒間でもよい。
上記粘着シートの粘着力は、基材シートの種類、被加工部材の種類等によっても異なるが、活性エネルギー線照射前は、0.1~30N/25mmが好ましく、さらには0.5~20N/25mmが好ましい。また、活性エネルギー線照射後の粘着力は、1N/25mm以下が好ましく、さらには0.5N/25mm以下が好ましい。
上記活性エネルギー線照射後の粘着力は、活性エネルギー線照射前の粘着力の1/10以下であることが好ましく、より好ましくは1/20以下である。
また、本発明の粘着シートは、150℃で1時間加熱し、その後紫外線照射(積算照射量250mJ/cm2)を施した時の粘着力が、1N/25mm以下であることが好ましく、さらには0.5N/25mm以下であることが好ましい。
上記150℃で1時間加熱した場合、活性エネルギー線照射後の粘着力は、活性エネルギー線照射前の粘着力の1/5以下であることが好ましく、より好ましくは1/10以下である。
さらに、本発明の粘着シートは、200℃で1時間加熱し、その後紫外線照射(積算照射量250mJ/cm2)を施した時の粘着力が、2N/25mm以下であることが好ましく、さらには1N/25mm以下であることが好ましい。
上記200℃で1時間加熱した場合、活性エネルギー線照射後の粘着力は、活性エネルギー線照射前の粘着力の1/2以下であることが好ましく、より好ましくは1/3以下である。
本発明の粘着剤組成物は、例えば、これを粘着剤層として用いた粘着シートを、被加工部材と貼り合せ、被加工部材の表面を一時的に保護した後に、必要に応じて活性エネルギー線を照射することにより、粘着剤層が硬化して粘着力が低下し、容易に被加工部材から剥離することができる。さらにまた、本発明の粘着シートは、耐熱性に優れることから、被加工部材の表面に貼り付けた後に、例えば、100℃以上、特には150℃以上の加熱工程に付された場合であっても、その後活性エネルギー線照射することにより、優れた剥離性を発揮するものである。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下、「部」とあるのは、重量基準を意味する。
実施例に先立って、下記の水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)を調製した。
<調製例1>
2L丸底4ツ口フラスコに、酢酸エチルとアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)を仕込み、還流させながら、ブチルアクリレート(BA)、メチルメタクリレート(MMA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)を2時間かけて滴下した後、適宜酢酸エチルとAIBNを追加し、7.5時間反応させ、水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)溶液を得た。
なお、水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)のモノマー組成はBA/MMA/2HEA=62/10/28(重量比)であり、重量平均分子量は60万、ガラス転移温度は-35.3℃、固形分は40重量%、粘度は6,000mPa・s/25℃であった。また、水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)の酸価は0.09mgKOH/gであった。
上記で得られた水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)を用いて、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂の製造を行った。
<製造例1>
2L丸底4ツ口フラスコに、上記で調製した水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)と、水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)中の2HEA100mol%に対して、80mol%のメタクリル酸無水物とエステル化触媒として水酸化マグネシウムを0.40mol%仕込み、撹拌しながら50℃で18時間反応させ、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A-1)を得た。
得られたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A-1)は、固形分31.8重量%、粘度800mPa・s/25℃であり、13C-NMR測定の結果から算出したエステル化率は64%(反応率は80%)であり、エチレン性不飽和基の含有量は140mmol/100gであった。
<製造例2>
製造例1において、水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)中の2HEA100mol%に対して、33mol%のメタクリル酸無水物とエステル化触媒として水酸化マグネシウムを0.16mol%に変えた以外は、製造例1と同様にしてエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A-2)を得た。
得られたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A-2)は、固形分31.9重量%、粘度1,000mPa・s/25℃であり、13C-NMR測定の結果から算出したエステル化率は33%(反応率は100%)であり、エチレン性不飽和基の含有量は72mmol/100gであった。
<製造例3>
前記調製例1で得られた水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)と、水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)中の2HEA100mol%に対して、80mol%の2-メタクリロイルオキシエチルアクリレート(MOI)とウレタン化触媒としてジブチル錫ジラウレートを適宜追加し、撹拌しながら50℃で18時間反応させ、エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A’-1)を得た。
得られたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A’-1)は、固形分35.0重量%、粘度1,200mPa・s/25℃であり、13C-NMR測定の結果から算出したウレタン化率は80%(反応率は100%)であり、エチレン性不飽和基の含有量は148mmol/100gであった。
<製造例4>
製造例1において、水酸基含有アクリル系樹脂(α-1)中の2HEA100mol%に対して、8.4mol%のメタクリル酸無水物とエステル化触媒として水酸化マグネシウムを0.04mol%に変えた以外は、製造例1と同様にしてエチレン性不飽和基含有アクリル樹脂(A’-2)を得た。
得られたエチレン性不飽和基含有アクリル樹脂(A’-2)は、固形分31.4重量%、粘度1500mPa・s/25℃であり、13C-NMR測定の結果から算出したエステル化率は8.4%(反応率は100%)であり、エチレン性不飽和基の含有量は20mmol/100gであった。
製造例1~4で得られたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂のカルバメート基の有無およびエチレン性不飽和基の含有量を下記表1に示す。
Figure 0007167784000009
<実施例1~2、比較例1~2>
上記で得られたエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A-1、A-2)および(A’-1、A’-2)の固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン社製「コロネートL-55E」)を0.5部、光重合開始剤(BASF社製「イルガキュア184」)を2.86部混合し、活性エネルギー線硬化性の粘着剤組成物を調製した。
その後、ポリイミドフイルム(膜厚50μm)(東レ・デュポン社製「カプトン200H」)上に、乾燥後の厚みが25μmになるよう塗布、乾燥し、38μmのセパレータ(三井化学東セロ社製、「SP-PET 38 01-BU」)に貼付し、40℃で3日間エージングすることにより、粘着シートを作製した。
得られた粘着シートについて、下記の評価を行った。評価結果を後記表2に示す。
<活性エネルギー線照射前粘着力>
上記で得られた粘着シートから25mm×100mmの試験片を作製し、セパレータを剥がしたうえで、コーニングガラス板に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、同雰囲気下で30分間静置した後、剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・・6.0N/25mm以上
○・・・3.0N/25mm以上、6.0N/25mm未満
×・・・3.0N/25mm未満
<活性エネルギー線照射後粘着力>
上記で得られた粘着シートから25mm×100mmの試験片を作製し、セパレータを剥がしたうえで、コーニングガラス板に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、同雰囲気下で30分間静置した後、80Wの高圧水銀灯を1灯用いて、ガラス板側から紫外線照射(積算照射量250mJ/cm2)を施し、直ちに剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準)
◎・・・0.1N/25mm未満
○・・・0.1N/25mm以上、1N/25mm以下
×・・・1N/25mmより大きい
<加熱・活性エネルギー線照射後粘着力(150℃)>
上記で得られた粘着シートから25mm×100mmの試験片を作製し、セパレータを剥がしたうえで、コーニングガラス板に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、150℃に加熱したオーブンジェット乾燥機に1時間投入した。乾燥機から取り出し、30分間23℃、50%RHの雰囲気下で冷却した後、さらに80Wの高圧水銀灯を1灯用いて、ガラス板側から紫外線照射(積算照射量250mJ/cm2)を施し、直ちに剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。また剥離後の被着体を目視で確認し、耐汚染性を評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準:粘着力)
◎・・・0.5N/25mm未満
○・・・0.5N/25mm以上、1.0N/25mm以下
×・・・1.0N/25mmより大きい
(評価基準:耐汚染性)
◎・・・糊残りなし
○・・・僅かな糊残り
×・・・全面糊残り
<加熱・活性エネルギー線照射後粘着力(200℃)>
上記で得られた粘着シートから25mm×100mmの試験片を作製し、セパレータを剥がしたうえで、コーニングガラス板に23℃、50%RHの雰囲気下にて重量2kgのゴムローラーを2往復させて加圧貼付し、200℃に加熱したオーブンジェット乾燥機に1時間投入した。乾燥機から取り出し、30分間23℃、50%RHの雰囲気下で冷却した後、さらに80Wの高圧水銀灯を1灯用いて、ガラス板側から紫外線照射(積算照射量250mJ/cm2)を施し、直ちに剥離速度300mm/minで180度剥離強度(N/25mm)を測定した。また剥離後の被着体を目視で確認し、耐汚染性を評価した。評価基準は下記の通りである。
(評価基準:粘着力)
◎・・・0.5N/25mm未満
○・・・0.5N/25mm以上、2.0N/25mm以下
×・・・2.0N/25mmより大きい
(評価基準:耐汚染性)
◎・・・糊残りなし
○・・・僅かな糊残り
×・・・全面糊残り
Figure 0007167784000010
上記表2からわかるように、特定のエチレン性不飽和基含有構造部位を側鎖に所定量有するエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)を含有する実施例1、2品は、活性エネルギー線照射前粘着力および活性エネルギー線照射後の剥離性に優れたものであった。また、実施例1、2品は、150℃および200℃で加熱した後であっても、活性エネルギー線を照射することにより、粘着力が低下し、耐汚染性に優れるものであった。
一方、特定のエチレン性不飽和基含有構造部位を有さないアクリル系樹脂を用いた比較例1は、活性エネルギー線照射前の粘着力は高く、活性エネルギー線照射後の粘着力は低いものであったが、加熱後の粘着力が高く、耐汚染性も劣るものであった。さらに、特定のエチレン性不飽和基含有構造部位を所定量含まないアクリル系樹脂を用いた比較例2品は、活性エネルギー線照射後の粘着力および加熱後の粘着力が高く剥離性に劣るものであった。
本発明の粘着剤組成物は、電子基板、半導体ウエハ、ガラス加工品、金属板、プラスチック板等を加工する際の一時的な表面保護用粘着フィルム用の粘着剤組成物として好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. アクリル系樹脂の側鎖に、下記一般式(1)で示されるエチレン性不飽和基含有構造部位を含有し、かつ、エチレン性不飽和基の含有量がエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂に対して25~500mmol/100gであるエチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)を含有することを特徴とする粘着剤組成物。
    Figure 0007167784000011
  2. 上記エチレン性不飽和基含有アクリル系樹脂(A)が、水酸基を含有することを特徴とする請求項1記載の粘着剤組成物。
  3. 更に架橋剤(B)を含有することを特徴とする請求項1または2記載の粘着剤組成物。
  4. 更に光重合開始剤(C)を含有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の粘着剤組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の粘着剤組成物が架橋された粘着剤層を有することを特徴とする粘着シート。
  6. 活性エネルギー線照射により粘着剤層が硬化され剥離可能となることを特徴とする請求項5記載の粘着シート。
  7. 粘着シートを被着体表面に貼り付けた後に150℃以上の加熱工程に付される際に用いられる請求項5または6記載の粘着シート。
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