WO2023135807A1 - 超高圧発生装置用金型 - Google Patents

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Abstract

超硬合金からなる超高圧発生装置用金型であって、前記超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備え、前記超硬合金のビッカース硬度は、2000Hv以上であり、前記超硬合金の抗折強度は、2.3GPa以上であり、前記超高圧発生装置用金型はトランケーション面を有し、前記トランケーション面の圧縮残留応力は、1.50GPa以上である、超高圧発生装置用金型である。

Description

超高圧発生装置用金型
 本開示は、超高圧発生装置用金型に関する。
 超高圧発生装置用金型には、機械特性に優れる炭化タングステン-コバルト(WC-Co)超硬合金が用いられている(例えば、特許文献1~2)。
特開2001-181777号公報 特開2008-38242号公報
 本開示は、超硬合金からなる超高圧発生装置用金型であって、
 前記超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備え、
 前記超硬合金のビッカース硬度は、2000Hv以上であり、
 前記超硬合金の抗折強度は、2.3GPa以上であり、
 前記超高圧発生装置用金型はトランケーション面を有し、
 前記トランケーション面の圧縮残留応力は、1.50GPa以上である、超高圧発生装置用金型である。
図1は、実施形態1に係る超高圧発生装置用金型の一例を示す模式図である。 図2は、実施形態1に係る超高圧発生装置用金型の他の一例を示す模式図である。 図3は、実施形態1に係る超高圧発生装置用金型の他の一例を示す模式図である。
 [本開示が解決しようとする課題]
 超高圧発生装置用金型には、超高圧発生装置の使用時に最大約20GPaの非常に高い圧力が加わる。このような超高圧下では、超高圧発生装置用金型の破損が生じやすく、超高圧発生装置用金型の寿命が低下する傾向がある。よって、超高圧下での使用においても、長い寿命を有する超高圧発生装置用金型が求められている。
 [本開示の効果]
 本開示の超高圧発生装置用金型は、超高圧下での使用においても、長い寿命を有することができる。
 [本開示の実施形態の説明]
 最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
 (1)本開示は、超硬合金からなる超高圧発生装置用金型であって、
 前記超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備え、
 前記超硬合金のビッカース硬度は、2000Hv以上であり、
 前記超硬合金の抗折強度は、2.3GPa以上であり、
 前記超高圧発生装置用金型はトランケーション面を有し、
 前記トランケーション面の圧縮残留応力は、1.50GPa以上である、超高圧発生装置用金型である。
 本開示の超高圧発生装置用金型は、超高圧下での使用においても、長い寿命を有することができる。
 (2)前記超硬合金のコバルト含有率は、3.0質量%以上8.0質量%以下が好ましい。これによると、超高圧発生装置用金型の寿命が更に長くなる。
 (3)前記炭化タングステン粒子の平均粒径は、0.05μm以上0.50μm以下が好ましい。これによると、超高圧発生装置用金型の寿命が更に長くなる。
 [本開示の実施形態の詳細]
 本開示の超高圧発生装置用金型の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。
 本明細書において「A~B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
 本明細書において化合物などを化学式で表す場合、原子比を特に限定しないときは従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるものではない。たとえば「WC」と記載されている場合、WCを構成する原子数の比はW:C=1:1に限られず、従来公知のあらゆる原子比が含まれる。このことは、「WC」以外の化合物の記載についても同様である。
 [実施形態1:超高圧発生装置用金型]
 本開示の一実施形態(以下、「本実施形態」とも記す。)は、超硬合金からなる超高圧発生装置用金型であって、
 該超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備え、
 該超硬合金のビッカース硬度は、2000Hv以上であり、
 該超硬合金の抗折強度は、2.3GPa以上であり、
 該超高圧発生装置用金型はトランケーション面を有し、
 該トランケーション面の圧縮残留応力は、1.50GPa以上である、超高圧発生装置用金型である。
 <超高圧発生装置用金型>
 本実施形態の超高圧発生装置用金型としては、例えば、マルチアンビル型高圧発生装置装置に用いられるアンビル、及び、ベルト型高圧装置に用いられるアンビルが挙げられる。
 マルチアンビル型高圧発生装置は、4個以上のアンビルが同期して駆動し、試料体を等方的に圧縮する構造を有する。該アンビルの一例を図1及び図2に示す。
 図1は、8個の立方体アンビルを用いる高圧発生装置に用いられるアンビルの一例を示す模式図である。図1のアンビル1は立方体の頂点の1つが削り落された形状を有し、削り落とされた面は、正三角形のトランケーション面2を形成している。
 図2は、6個のアンビルを用いるキュービックアンビル高圧発生装置に用いられるアンビルの一例を示す模式図である。図2のアンビル1は、トランケーション面2が正方形である。
 ベルト型高圧発生装置は、試料体をシリンダの中に配置し、対向したアンビルで加圧する構造を有する。該アンビルの一例を図3に示す。図3に示されるように、該アンビル1は円錐台形である。該円錐台の上面がトランケーション面2に該当する。
 本明細書において、トランケーション面とは、金型の面のうち、被加工物に対して圧力を付与する面を意味する。本実施形態の超高圧発生装置用金型の形状及びトランケーション面の形状は、図1~図3に示される形状に限定されず、従来公知のいずれの形状でもよい。
 <超硬合金>
 本実施形態の超高圧発生装置用金型を形成する超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備える。
 ≪第1相≫
 本実施形態において、超硬合金の第1相は、複数の炭化タングステン粒子(以下、「WC粒子」とも記す。)からなる。本実施形態において、第1相は硬質相に相当する。第1相の炭化タングステン粒子は、炭化タングステン以外にも、本開示の効果を示す限りにおいて、WC粒子の製造過程で混入する不可避不純物元素及び微量の不純物元素等を含むことができる。上記の不可避不純物元素及び不純物元素(以下、不可避不純物元素及び不純物元素をまとめて「第1不純物元素」とも記す。)としては、例えば、モリブデン(Mo)及びクロム(Cr)が挙げられる。第1相の第1不純物元素の含有率(不純物元素が2種類以上の場合は、合計含有率)は、0.1質量%未満であることが好ましい。第1相の第1不純物元素の含有率は、ICP(InductivelyCoupledPlasma)発光分析(測定装置:島津製作所製「ICPS-8100」(商標))により測定される。
 第1相は、複数の炭化タングステン粒子からなり、第1相の第1不純物元素の含有率は0.1質量%未満であることが好ましい。第1相は、複数の炭化タングステン粒子からなり、第1相の炭化タングステンの含有率は99.9質量%超であり、第1相の第1不純物元素の含有率は0.1質量%未満であることが好ましい。第1相は、複数の炭化タングステン粒子からなり、第1相の炭化タングステンの含有率は99.9質量%超100質量%以下であり、第1相の第1不純物元素の含有率は0質量%以上0.1質量%未満であることが好ましい。
 ≪炭化タングステン粒子の平均粒径≫
 本実施形態において、炭化タングステン粒子の平均粒径は、0.05μm以上0.50μm以下が好ましい。これによると、超硬合金の硬度が向上し、超高圧発生装置用金型の寿命が向上する。本明細書において、炭化タングステン粒子の平均粒径とは、超硬合金の断面で観察される炭化タングステン粒子の円相当径の個数基準の算術平均径を意味する。
 炭化タングステン粒子の平均粒径の下限は、製造上の実現可能性の観点から、0.05μm以上が好ましく、0.10μm以上がより好ましい。炭化タングステン粒子の平均粒径の上限は、ビッカース硬度向上の観点から、0.50μm以下が好ましく、0.4μm以下がより好ましく、0.3μm以下が更に好ましい。炭化タングステン粒子の平均粒径は、0.05μm以上0.50μm以下が好ましく、0.05μm以上0.40μm以下が好ましく、0.05μm以上0.30μm以下が好ましく、0.10μm以上0.50μm以下が好ましく、0.10μm以上0.40μm以下が好ましく、0.110μm以上0.30μm以下が好ましい。
 上記WC粒子の平均粒径は、下記の手順で測定される。アルゴンのイオンビーム等を用いて超硬合金をCP(Cross Section Polisher)加工することにより、平滑な断面を有する試料を得る。上記断面に対し、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE-SEM、商品名:「JSM-7800F」、日本電子株式会社製)を用いて撮像することにより、上記断面の反射電子像(SEM-BSE像)を得る。撮像条件は、撮影倍率5000倍、加速電圧5kV、ワークディスタンス10.0mmとする。
 上記反射電子像中に1mm(1mm×1mmの矩形)の測定視野を任意に設定する。画像解析ソフト(ImageJ ver.1.51j8(https://imagej.nih.gov/ij/))で該測定視野中の各WC粒子の外縁を特定し、各WC粒子の円相当径を算出する。測定視野中の全てのWC粒子の円相当径の個数基準の算術平均径を、該測定視野におけるWC粒子の平均粒径とする。上記の測定を異なる5箇所の測定視野で行う。該5箇所の測定視野におけるWC粒子の平均粒径の平均値を算出する。該平均値が、本実施形態におけるWC粒子の平均粒径に該当する。
 出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、これらの測定を、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
 ≪第2相≫
 本実施形態において、超硬合金の第2相はコバルト(Co)を含む。本実施形態において、第2相は結合相に相当する。第2相はコバルトの他、クロム(Cr)、バナジウム(V)、不可避不純物元素などを含むことができる。該不可避不純物元素(以下、「第2不純物元素」とも記す。)としては、たとえば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、硫黄(S)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。第2相のコバルト含有率は、99質量%超100質量%以下が好ましい。第2相のクロム、バナジウム及び第2不純物元素の合計含有率は、0質量%以上1質量%未満であることが好ましい。第2相のクロム、バナジウム及び第2不純物元素の合計含有率は、ICP(InductivelyCoupledPlasma)発光分析(測定装置:島津製作所製「ICPS-8100」(商標))により測定される。
 第2相は、コバルトと、クロム、バナジウム及び第2不純物元素からなる群より選ばれる少なくともいずれかと、からなり、第2相のクロム、バナジウム及び第2不純物元素の合計含有率は1質量%未満であることが好ましい。第2相は、コバルトと、クロム、バナジウム及び第2不純物元素からなる群より選ばれる少なくともいずれかと、からなり、第2相のコバルト含有率は99質量%超であり、第2相のクロム、バナジウム及び第2不純物元素の合計含有率は1質量%未満であることが好ましい。第2相は、コバルトを含み、第2相のコバルト含有率は99質量%超100質量%以下であり、第2相のクロム、バナジウム及び第2不純物元素の合計含有率は0質量%以上1質量%未満であることが好ましい。
 ≪第3相≫
 本実施形態において、超硬合金は、本開示の効果を示す限り、第1相及び第2相に加えて、その他の相(本明細書において「第3相」とも記す。)を含んでいてもよい。第3相を構成する成分としては、例えば、超硬合金の製造工程において、粒成長抑制剤として添加されるCrやVCに由来するクロム(Cr)、バナジウム(V)、炭素(C)の濃化相が挙げられる。
 ≪超硬合金の組成≫
 本実施形態において、超硬合金の第1相の含有率は、80.0体積%以上98.0体積%以下であることが好ましい。これによると、超硬合金は高い硬度及び高い抗折強度を有することができる。超硬合金の第1相の含有率の下限は、超硬合金の硬度向上の観点から、81.0体積%以上が好ましく、82.0体積%以上がより好ましく、83.0体積%以上が更に好ましい。超硬合金の第1相の含有率の上限は、超硬合金の抗折強度向上の観点から、97.0体積%以下が好ましく、96.0体積%以下がより好ましく、95.0体積%以下が更に好ましい。超硬合金の第1相の含有率は、81.0体積%以上97.0体積%以下が好ましく、82.0体積%以上96.0体積%以下がより好ましく、83.0体積%以上95.0体積%以下が更に好ましい。
 本実施形態において、超硬合金の第2相の含有率は、2.0体積%以上20.0体積%以下であることが好ましい。これによると、超硬合金は高い硬度及び高い抗折強度を有することができる。超硬合金の第2相の含有率の下限は、超硬合金の抗折強度向上の観点から、3.0体積%以上が好ましく、4.0体積%以上がより好ましく、5.0体積%以上が更に好ましい。超硬合金の第2相の含有率の上限は、超硬合金の硬度向上の観点から、19.0体積%以下が好ましく、18.0体積%以下がより好ましく、17.0体積%以下が更に好ましい。超硬合金の第2相の含有率は、3.0体積%以上19.0体積%以下が好ましく、4.0体積%以上18.0体積%以下がより好ましく、5.0体積%以上17.0体積%以下が更に好ましい。
 本実施形態において、超硬合金は第1相及び第2相を含み、超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%以下であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%以下であることが好ましく、第1相の含有率は81.0体積%以上97.0体積%以下であり、第2相の含有率は3.0体積%以上19.0体積%以下であることがより好ましく、第1相の含有率は82.0体積%以上96.0体積%以下であり、第2相の含有率は4.0体積%以上18.0体積%以下であることが更に好ましい。
 本実施形態において、超硬合金は第1相と第2相とからなり、超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%以下であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%以下であることが好ましく、第1相の含有率は81.0体積%以上97.0体積%以下であり、第2相の含有率は3.0体積%以上19.0体積%以下であることがより好ましく、第1相の含有率は82.0体積%以上96.0体積%以下であり、第2相の含有率は4.0体積%以上18.0体積%以下であることが更に好ましい。
 本実施形態において、超硬合金は第1相と第2相と不可避不純物とからなり、超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%以下であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%以下であることが好ましく、第1相の含有率は81.0体積%以上97.0体積%以下であり、第2相の含有率は3.0体積%以上19.0体積%以下であることがより好ましく、第1相の含有率は82.0体積%以上96.0体積%以下であり、第2相の含有率は4.0体積%以上18.0体積%以下であることが更に好ましい。
 本実施形態において、超硬合金の第3相の含有率は、第3相を起点とする破壊の発生を抑制し、超硬合金の抗折力を向上する観点から、0体積%以上0.5体積%以下が好ましく、0体積%以上0.3体積%以下がより好ましく、0体積%が最も好ましい。すなわち、超硬合金は第3相を含まず、第1相及び第2相からなることが好ましい。
 本実施形態において、超硬合金は第1相、第2相及び第3相を含み、超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.5体積%以下であることが好ましく、第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.3体積%以下であることがより好ましく、第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.1体積%以下であることが更に好ましい。
 本実施形態において、超硬合金は第1相、第2相及び第3相からなり超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.5体積%以下であることが好ましく、第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.3体積%以下であることがより好ましく、第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.1体積%以下であることが更に好ましい。
 本実施形態において、超硬合金は第1相、第2相、第3相及び不可避不純物からなり、超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.5体積%以下であることが好ましく、第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.3体積%以下であることがより好ましく、第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.1体積%以下であることが更に好ましい。
 本明細書において、超硬合金の第1相の含有率、第2相の含有率及び第3相の含有率の測定方法は以下の通りである。
 アルゴンのイオンビーム等を用いて超硬合金をCP(Cross Section Polisher)加工することにより、平滑な断面を有する試料を得る。上記断面に対し、電界放出型走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE-SEM、商品名:「JSM-7800F」、日本電子株式会社製)を用いて撮像することにより、上記断面の反射電子像(SEM-BSE像)を得る。撮像条件は、撮影倍率10000倍、加速電圧5kV、ワークディスタンス10.0mmとする。該反射電子像において、第1相は薄い灰色で示され、第2相は濃い灰色で示される。該反射電子像において、第3相は、第2相とほぼ同色であるため区別がつかない。よって、超硬合金が第3相を含む場合は、第2相及び第3相は、いずれも濃い灰色で示される。
 上記反射電子像中に101μm(11.88μm×8.5μmの矩形)の測定視野を設定する。
 次に、画像解析ソフト(ImageJ ver.1.51j8(https://imagej.nih.gov/ij/))を用いて2値化処理を行う。2値化処理は、画像解析ソフトの初期設定の状態で、以下(a)~(d)の手順で行う。
(a)Edit→Invert
(b)上記(a)の後に、Process→Binary→MakeBinary
(c)上記(b)の後に、Process→Noise→Despeckle。(c)を3回繰り返す。
(d)上記(c)の後に、Process→Binary→Watershed
 二値化処理後の画像において、第1相は薄い灰色で示され、第2相は濃い灰色で示される。超硬合金が第3相を含む場合は、第3相は第2相と同様に濃い灰色で示される。薄い灰色領域が炭化タングステン粒子を含む第1相であり、濃い灰色領域がコバルトを含む第2相又は、第2相及び第3相であることは、SEM-EDX(エネルギー分散型X線分光法)により確認することができる。
 二値化処理後の画像に対して、上記画像解析ソフトを用いて、上記測定視野中の全ての第1相(薄い灰色領域)の面積の和(総面積)を算出する。測定視野中の第1相の総面積の百分率を算出し、測定視野中の第1相の面積比率を得る。
 上記反射電子像中に、重複する部分のないように5箇所の測定視野を任意に設定し、各測定視野において、第1相の面積比率を測定する。5箇所の測定視野における第1相の面積比率の平均値を算出する。該平均値が、本実施形態における超硬合金の第1相の含有率(体積%)に該当する。
 二値化処理後の画像に対して、上記画像解析ソフトを用いて、上記測定視野中の全ての第2相(濃い灰色領域)の面積の和(総面積)を算出する。測定視野中の第2相の総面積の百分率を算出し、測定視野中の第2相の面積比率を得る。
 上記反射電子像中に、重複する部分のないように5箇所の測定視野を任意に設定し、各測定視野において、第2相の面積比率を測定する。5箇所の測定視野における第2相の面積比率の平均値を算出する。該平均値が、本実施形態における超硬合金の第2相の含有率(体積%)に該当する。
 超硬合金が第3相を含む場合は、以下の手順で第2相及び第3相の含有率を測定及び計算する。
 上記二値化処理後の画像に対して、上記画像解析ソフトを用いて、上記測定視野中の全ての第2相及び第3相(濃い灰色領域)の面積の和(総面積)を算出する。測定視野中の第2相及び第3相の総面積の百分率を算出し、測定視野中の第2相及び第3相の合計の面積比率を得る。
 上記反射電子像中に、重複する部分のないように5箇所の測定視野を任意に設定し、各測定視野において、第2相及び第3相の面積比率を測定する。5箇所の測定視野における第2相及び第3相の面積比率の平均値を算出する。該平均値が、本実施形態における超硬合金の第2相及び第3相の合計含有率(体積%)に該当する。
 超硬合金の第3相の含有率(体積%)は、第3相を構成する原子の第2相を構成するコバルトへの固溶量を測定し、該原子の析出量を計算することにより得られる。例えば、コバルトへの固溶量は、クロム(Cr)は5%、バナジウム(V)は0.2%である。上記の計算においては、第2相中のコバルトの含有率は100質量%と見做す。第3相を構成する原子のコバルトへの固溶量は以下の方法で測定する。超硬合金を粉砕して、超硬合金粉末(以下、「測定用試料」と記す)を得る。該測定用試料0.2gを、35%塩酸と水とを1:1の体積比で混合した溶液20mlに溶解(220℃×1h)して、溶液を得る。該溶液をろ過した後、ICPでCrおよびVの濃度を分析する。該Crの濃度が、Crのコバルトへの固溶量に相当する。該Vの濃度が、Vのコバルトへの固溶量に相当する。
 上記第2相及び第3相の合計含有率(体積%)から、上記第3相の含有率(体積%)を減ずることにより、超硬合金の第2相の含有率(体積%)が得られる。
 出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、これらの測定を、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
 ≪コバルト含有率≫
 本実施形態において、超硬合金のコバルト含有率は、3.0質量%以上8.0質量%以下が好ましい。これによると、超硬合金は優れた靱性を有することができる。超硬合金のコバルト含有率の下限は、靱性向上の観点から、3.0質量%以上が好ましく、4.0質量%以上がより好ましく、5.0質量%以上が更に好ましい。超硬合金のコバルト含有率の上限は、耐摩耗性向上の観点から、8.0質量%以下が好ましく、7.5質量%以下がより好ましく、7.0質量%以下が更に好ましい。超硬合金のコバルト含有率は、靱性向上及び耐摩耗性向上の観点から、3.0質量%以上8.0質量%以下が好ましく、4.0質量%以上7.5質量%以下がより好ましく、5.0量%以上7.0質量%以下が更に好ましい。
 上記超硬合金のコバルト含有率はTAS 0054:2017 超硬質合金のコバルト電位差滴定定量法にて分析することで求められる。
 ≪ビッカース硬度≫
 本実施形態において、超硬合金のビッカース硬度は、2000Hv以上である。これによると、超高圧発生装置用金型の寿命が向上する。ビッカース硬度の下限は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、2000Hv以上であり、2050Hv以上がより好ましく、2100Hv以上が更に好ましい。ビッカース硬度の上限は、特に制限されないが、製造上の観点から、3000Hv以下とすることができる。超硬合金のビッカース硬度は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、2000Hv以上3000Hv以下が好ましく、2050Hv以上3000Hv以下が好ましく、2100Hv以上3000Hv以下が更に好ましい。
 上記ビッカース硬度の測定方法は以下の通りである。アルゴンのイオンビーム等を用いて超硬合金からなる超高圧発生装置用金型をCP(Cross Section Polisher)加工することにより、超高圧発生装置用金型を略2分割して、超硬合金からなる平滑な断面を露出させる。該断面の中央部を測定箇所とする。該断面の中央部とは、断面の重心からの距離が5mm以内の領域を意味する。該測定箇所のビッカース硬度をJIS Z 2244:2009 ビッカース硬さ試験-試験方法に準拠して測定する。測定条件は、室温(23℃±5℃)にて、試験荷重294.2N(30kgf、Hv30)、保持時間20秒である。
 ≪抗折強度≫
 本実施形態において、超硬合金の抗折強度は、2.3GPa以上である。これによると、超高圧発生装置用金型の寿命が向上する。抗折強度の下限は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、2.3GPa以上であり、2.7GPa以上がより好ましく、3.0GPa上が更に好ましい。抗折強度の上限は、特に限定されないが、製造上の観点から、6.0GPa以下とすることができる。超硬合金の抗折強度は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、2.3GPa以上6.0GPa以下が好ましく、2.7GPa以上6.0GPa以下がより好ましく、3.0GPa以上6.0GPa以下が更に好ましい。
 上記抗折強度は、CIS026B-2007 超硬質合金の曲げ強さ(抗折力)試験方法に準拠して測定される。試験片サイズは4mm×8mm×25mm、荷重点・支点サイズはR2.0mm、支点スパンは20mmである。
 ≪トランケーション面の圧縮残留応力≫
 図1~図3に示されるように、超高圧発生装置用金型1はトランケーション面2を有し、該トランケーション面の圧縮残留応力は、1.50GPa以上である。これによると、トランケーション面が高強度化し、亀裂発生が抑制されるため、超高圧発生装置用金型の寿命が向上する。圧縮残留応力の下限は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、1.50GPa以上であり、1.80GPa以上がより好ましく、2.00GPa以上が更に好ましい。圧縮残留応力の上限は、特に限定されないが、製造上の観点から、3.00GPa以下とすることができる。超高圧発生装置用金型のトランケーション面の圧縮残留応力は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、1.50GPa以上3.00GPa以下が好ましく、1.80GPa以上3.00GPa以下がより好ましく、2.00GPa以上3.00GPa以下が更に好ましい。
 上記超高圧発生装置用金型のトランケーション面の圧縮残留応力は、cosα法を用いて測定される。cosα法では、超高圧発生装置用金型のトランケーション面に対してX線を照射し、回折現象を利用して結晶格子の歪を測定することにより、トランケーション面の圧縮残留応力を測定する。測定装置としては、パルステック工業株式会社製の「ポータブル型X線残留応力測定装置 μ-X360s」を用いることができる。測定条件は、以下の通りである。
X線管ターゲット:V
使用ピーク:WC(111)
 上記測定装置内のパラメータはヤング率534.4GPa、ポアソン比0.220である。
 [実施形態2:超高圧発生装置用金型の製造方法]
 本実施形態の超高圧発生装置用金型は、例えば、下記の方法で製造することができる。なお、本実施形態の超高圧発生装置用金型は、下記以外の方法で製造されてもよい。
 本実施形態の超高圧発生装置用金型は、原料粉末の準備工程、混合工程、成形工程、焼結工程、冷却工程、圧縮残留応力付与工程を前記の順で行うことにより製造することができる。以下、各工程について説明する。
 ≪準備工程≫
 準備工程は、超硬合金の原料粉末を準備する工程である。原料粉末としては、第1相の原料である炭化タングステン粉末、第2相の原料であるコバルト(Co)粉末、粒成長抑制剤として、炭化クロム(Cr)粉末及び炭化バナジウム(VC)粉末を準備する。炭化タングステン粉末、コバルト粉末、炭化クロム粉末、炭化バナジウム粉末は、市販のものを用いることができる。
 炭化タングステン粉末としては、1400℃以上1600℃以下の温度で炭化された炭化タングステン粉末を用いることが好ましい。該炭化タングステン粉末の粒径は、0.1~0.3μm程度が好ましい。これによると、焼結時の液相出現段階においてWC粒子の安定性が高まり、炭化タングステンの溶解と再析出が抑制され、超硬合金組織が微細となり、硬度及び強度が向上する。本明細書において、特に規定のない限り、原料粉末の平均粒径とは、FSSS(FisherSub-SieveSizer)法(測定装置:FisherScientific社製の「FisherSub-SieveSizerModel95」(商標))により測定される平均粒径を意味する。
 コバルト粉末の平均粒径は、0.4μm以上1.0μm以下(FSSS法)とすることができる。炭化クロム粉末の平均粒径は、0.5μm以上3μm以下(FSSS法)とすることができる。炭化バナジウム粉末の平均粒径は、0.5μm以上3μm以下(FSSS法)とすることができる。
 ≪混合工程≫
 混合工程は、準備工程で準備した各原料粉末を混合する工程である。混合工程により、各原料粉末が混合された混合粉末が得られる。
 混合粉末中の炭化タングステン粉末の含有率は、例えば、89.0質量%以上96.9量%以下とすることができる。
 混合粉末中のコバルト粉末の含有率は、例えば、3.0質量%以上8.0質量%以下とすることができる。
 混合粉末中の炭化クロム粉末の含有率は、例えば、0.1質量%以上2.0量%以下とすることができる。
 混合粉末中の炭化バナジウム粉末の含有率は、例えば、0.02質量%以上1.0質量%以下とすることができる。
 混合粉末をボールミルを用いて混合する。メディア径は1mm~10mmとすることができる。回転数は10~120rpmとすることができる。混合時間は20時間以上48時間以下とすることができる。
 混合工程の後、必要に応じて混合粉末を造粒してもよい。混合粉末を造粒することで、後述する成形工程の際にダイ又は金型へ混合粉末を充填し易い。造粒には、公知の造粒方法が適用でき、例えば、スプレードライヤー等の市販の造粒機を用いることができる。
 ≪成形工程≫
 成形工程は、混合工程で得られた混合粉末を所定の形状に成形して、成形体を得る工程である。成形工程における成形方法及び成形条件は、一般的な方法及び条件を採用すればよく、特に問わない。所定の形状としては、アンビルの形状である立方体や円錐台等が挙げられる。
 ≪焼結工程≫
 焼結工程は、成形工程で得られた成形体を焼結して、超硬合金を得る工程である。焼結条件は、真空中、焼結温度1340~1450℃、焼結時間30~180分とすることができる。これによると、粗大炭化タングステン粒子の発生が抑制される。焼結工程の後に、HIP処理(熱間等方圧加圧法)を行っても良い。
 ≪冷却工程≫
 冷却工程は、焼結完了後の超硬合金を冷却する工程である。冷却速度は2℃/分~4℃/分とすることが好ましい。これによると、異常粒成長が抑制される。
 ≪圧縮残留応力付与工程≫
 圧縮残留応力付与工程は、超硬合金からなる高圧発生装置用金型のトランケーション面に圧縮残留応力を付与する工程である。冷却工程終了後の超硬合金の形状が立方体等であり、トランケーション面を有していない場合は、頂点の1つを放電加工機を用いて切り落とし、トランケーション面を形成する。上記超硬合金の形状が円錐台の場合は、上面がトランケーション面に該当する。
 トランケーション面に対して圧縮残留応力を付与する方法としては、トランケーション面に対する研削加工、ショットブラスト及びショットピーニングが挙げられる。
 上記研削加工では、ダイヤモンド砥石(例えば#200番手)を使用して、切り込み量6μm以上、送り速度400mm/分以上の条件でトランケーション面を超高速研削加工する。これにより、トランケーション面に1.50GPa以上の圧縮残留応力を付与することができる。
 従来の研削加工では、被加工物(高圧発生装置用金型)の形状及び研削装置の形状の制約から、切り込み量2μm~3μm、送り速度50mm/分~100mm/分の条件でトランケーション面の研削加工が行われていた。前記の条件によると、トランケーション面に付与される圧縮残留応力は1.50GPa未満となる。
 本発明者らは、鋭意検討の結果、上記の超高速研削加工が可能となる研削盤を使用することで周速60m/s以上の研削条件を実現した。一方、周速を大きくすることにより、被加工物の温度が上昇し、圧縮残留応力の低下、引張残留応力の発生原因となり破損に繋がる。本発明者らは、被加工物の温度上昇を抑えるため、冷却水流量を従来の5倍以上に増やした100L/分とした。これにより、被加工物の温度上昇を伴うことなく、トランケーション面に切り込み量6μm以上、送り速度400mm/分以上の条件で超高速研削加工を行うことができる。該超高速研削加工により、高圧発生装置用金型のトランケーション面に1.50GPa以上の圧縮残留応力を付与することができる。上記のトランケーション面の加工方法は、本発明者らが新たに見出したものである。これにより、トランケーション面に1.50GPa以上の圧縮残留応力を付与することができ、本開示を完成させた。
 上記ショットブラスト又は上記ショットピーニングでは、ショットブラスト装置またはショットピーニング装置を用いて、硬質粉末をトランケーション面に噴射して、トランケーション面に圧縮残留応力を付与する。上記硬質粉末としては、平均粒度0.05mm~1mmの微細な超硬合金製またはアモルファス合金製粒子を用いる。噴射圧力0.6MPa以上、処理時間30秒以上とする。超硬合金製ではビッカース硬度13Hv以上、アモルファス合金粒子ではビッカース硬度18Hv以上のショット粒子を使用する。これにより、トランケーション面に1.50GPa以上の圧縮残留応力を付与することができる。噴射圧力0.6MPa未満では1.5GPa以上の圧縮残留応力を付与することができない。硬質粉末の平均粒度が1mm超では1.5GPa以上の圧縮残留応力を付与することができない。
 従来のショットブラスト又はショットピーニングでは、経済性の観点から、鉄鋼製やムライト、アルミナ、シリカなどの酸化物セラミックス製のショット粒子を使用していた。これらの粒子はビッカース硬度が10Hv以下、あるいは材料比重が5g/cm以下であり、投射時の粒子の運動エネルギーが小さいため、トランケーション面に1.50GPa以上の圧縮残留応力を付与することができなかった。本発明者等は鋭意検討の結果、平均粒度0.05mm~1mmの微細な超硬合金製またはアモルファス合金製粒子を用いることにより、ショットブラスト又はショットピーニングで、トランケーション面に高い圧縮残留応力を付与する方法を新たに見出した。これにより、トランケーション面に1.50GPa以上の圧縮残留応力を付与することができ、本開示を完成させた。
 [付記1]
 本開示の超高圧発生装置用金型において、超硬合金は第1相及び第2相を含み、超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%以下であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%以下であることが好ましい。
 [付記2]
 本開示の超高圧発生装置用金型において、超硬合金は第1相、第2相及び第3相を含み、超硬合金の第1相の含有率は80.0体積%以上98.0体積%未満であり、第2相の含有率は2.0体積%以上20.0体積%未満であり、第3相の含有率は0体積%超0.5体積%以下であることが好ましい。
 本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本実施の形態が限定されるものではない。
 <超高圧発生装置用金型の作製>
 炭化タングステン粉末(平均粒径(FSSS法)0.1~0.2μm、炭化温度1400℃)、コバルト(Co)粉末(平均粒径0.8μm)、炭化クロム(Cr)粉末(平均粒径1.0μm)及び炭化バナジウム(VC)粉末(平均粒径0.9μm)をボールミルで混合して混合粉末を得る。混合条件は、メディア径6mm、回転数60rpm、混合時間20時間、湿式混合である。混合粉末中の各粉末の含有率は、焼結後の超硬合金中の第1相、第2相、第3相及びCo含有率が、表1の「第1相(体積%)」、「第2相(体積%)」、「第3相(体積%)」、「Co(質量%)」となるように調整した。炭化タングステン粉末の平均粒径は、焼結後の超硬合金中の炭化タングステン粒子の平均粒径が表1の「超硬合金」の「WC粒子平均粒径(μm)」となるように選択した。
 上記の混合粉末を、1000kg/cmの圧力にてプレス成形して成形体を得た。該成形体を、真空中で1350℃まで加熱して1時間焼結を行った。その後、1350℃、100MPa、1時間の条件でHIP処理を施したのちに冷却して、超硬合金を得た。該超硬合金は、図1に示される形状を有する。具体的には、幅15mm×長さ15mm×厚さ15mmの立方体の頂点の1つが削り落とされた形状であり、トランケーション面を有する。
 得られた超硬合金のトランケーション面に対して、研削加工またはショットブラストを行い、各試料の超高圧発生装置用金型を得た。各試料において、超高圧発生装置用金型は複数準備した。
 試料1、試料2、試料4~試料14では、研削加工を行った。試料1、試料2、試料4~試料7、試料10~試料14では、ダイヤモンド砥石(例えば#200番手)を使用して、切り込み量6μm~15μm、送り速度400mm/分~800mm/分とした。試料8、試料9では、ダイヤモンド砥石(例えば#200番手)を使用して、切り込み量1μm、送り速度70mm/分とした。
 試料3では、ショットブラストを行った。該ショットブラストの条件は、硬質粉末として平均粒度0.1mmの超硬合金製粒子を用い、噴射圧力1MPa、処理時間5分間とした。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 [評価]
 <第1相の含有率、第2相の含有率、第3相の含有率及びコバルト含有率>
 各試料において、超硬合金の断面の反射電子像に対して画像処理を行うことにより、超硬合金の第1相の含有率、第2相及び第3相の合計含有率を測定した。結果を表1の「超硬合金」の「第1相(体積%)」、「第2相+第3相(体積%)」欄に示す。
 各試料において、超硬合金の第3相の含有率は、第3相を構成する原子の第2相を構成するコバルトへの固溶量から、該原子の析出量を計算することにより得た。結果を表1の「超硬合金」の「第3相(体積%)」欄に示す。
 各試料において、超硬合金の第2相の含有率は、上記「第2相+第3相(体積%)」から、上記「第3相(体積%)」を減ずることにより得た。結果を表1の「超硬合金」の「第2相(体積%)」欄に示す。
 各試料において、超硬合金のコバルト含有率をTAS 0054:2017 超硬質合金のコバルト電位差滴定定量法にて分析して求めた。結果を表1の「超硬合金」の「Co(質量%)」欄に示す。
 <炭化タングステン粒子の平均粒径>
 各試料において、炭化タングステン粒子の平均粒径を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1の「WC粒子平均粒径(μm)」欄に示す。
 <ビッカース硬度>
 各試料において、超硬合金のビッカース硬度を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1の「ビッカース硬度(Hv)」欄に示す。
 <抗折強度>
 各試料において、超硬合金の抗折強度を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1の「抗折強度(GPa)」欄に示す。
 <トランケーション面の圧縮残留応力>
 各試料において、トランケーション面の圧縮残留応力を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1の「トランケーション面圧縮残留応力(GPa)」欄に示す。
 <寿命>
 各試料において、8個の超高圧発生装置用金型を用いてマルチアンビルを作製した。該マルチアンビルを用いて、マルチアンビル型高圧発生装置により、グラファイト粉末に対して16GPa及び2200℃の条件下で高温高圧処理を行い、ダイヤモンドを作製した。各試料において、同一のマルチアンビルを用いて上記のダイヤモンドの作製を複数回行い、1個以上の超高圧発生装置用金型に破損が生じた時の作製回数を寿命として評価した。例えば、5回目のダイヤモンドの作製時に1個以上の超高圧発生装置用金型に破損が生じた場合は、マルチアンビルの寿命は5回となる。試料8の寿命を1.0とした場合の、各試料の寿命の割合を表1の「寿命」欄に示す。例えば、試料1は寿命が「1.8」である。これは、試料1の寿命が、試料8の寿命の1.8倍であることを意味する。寿命欄の数値が大きいほど、寿命が長いことを示す。
 <考察>
 試料1~試料3、試料6、試料10~試料14は、実施例に該当する。試料4、試料5、試料7~試料9は、比較例に該当する。試料1~試料3、試料6、試料10~試料14(実施例)は、試料4、試料5、試料7~試料9(比較例)に比べて、寿命が長いことが確認された。
 以上のように本開示の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形することも当初から予定している。
 今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 アンビル、2 トランケーション面

Claims (3)

  1.  超硬合金からなる超高圧発生装置用金型であって、
     前記超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備え、
     前記超硬合金のビッカース硬度は、2000Hv以上であり、
     前記超硬合金の抗折強度は、2.3GPa以上であり、
     前記超高圧発生装置用金型はトランケーション面を有し、
     前記トランケーション面の圧縮残留応力は、1.50GPa以上である、超高圧発生装置用金型。
  2.  前記超硬合金のコバルト含有率は、3.0質量%以上8.0質量%以下である、請求項1に記載の超高圧発生装置用金型。
  3.  前記炭化タングステン粒子の平均粒径は、0.05μm以上0.50μm以下である、請求項1又は請求項2に記載の超高圧発生装置用金型。
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