JP7131738B1 - 超硬合金及びそれを用いた超高圧発生装置用金型 - Google Patents

超硬合金及びそれを用いた超高圧発生装置用金型 Download PDF

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Abstract

複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備える超硬合金であって、前記超硬合金は、クロム及びバナジウムを含み、前記コバルトに対する前記クロムの質量基準の百分率は、5%以上9%以下であり、前記コバルトに対する前記バナジウムの質量基準の百分率は、2%以上5%以下であり、前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下であり、前記第2相の個数は1000個以上であり、前記第2相の面積比率及び前記第2相の個数は、前記超硬合金の断面の走査型電子顕微鏡像に対して画像処理を行うことにより、101μm2の測定視野において測定される、超硬合金である。

Description

本開示は、超硬合金及びそれを用いた超高圧発生装置用金型に関する。本出願は、2021年4月28日に出願した国際特許出願であるPCT/JP2021/016989に基づく優先権を主張する。当該国際特許出願に記載された全ての記載内容は、参照によって本明細書に援用される。
超高圧発生装置用金型には、機械特性に優れる炭化タングステン-コバルト(WC-Co)超硬合金が用いられている(例えば、特許文献1~特許文献7)。
特開2001-181777号公報 特開2008-38242号公報 特開2015-108162号公報 特開2016-098421号公報 国際公開第2009/001929号 特開2015-081382号公報 中国特許出願公開第111378886号明細書
本開示の超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備える超硬合金であって、
前記超硬合金は、クロム及びバナジウムを含み、
前記コバルトに対する前記クロムの質量基準の百分率は、5%以上9%以下であり、
前記コバルトに対する前記バナジウムの質量基準の百分率は、2%以上5%以下であり、
前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下であり、
前記第2相の個数は1000個以上であり、
前記第2相の面積比率及び前記第2相の個数は、前記超硬合金の断面の走査型電子顕微鏡像に対して画像処理を行うことにより、101μmの測定視野において測定される、超硬合金である。
本開示の超高圧発生装置用金型は、上記の超硬合金からなる超高圧発生装置用金型である。
図1は、実施形態1に係る超硬合金の走査型電子顕微鏡像の一例である。 図2は、図1に対して2値化処理を行った画像である。
[本開示が解決しようとする課題]
超高圧発生装置用金型には、超高圧発生装置の使用時に最大約20GPaの非常に高い圧力が加わる。このような超高圧下では、破損が生じやすく、工具寿命が低下する傾向がある。よって、超高圧下での使用においても、長い工具寿命を有する超高圧発生装置用金型が求められている。
[本開示の効果]
本開示の超硬合金によれば、超高圧下においても、長い工具寿命を有する超高圧発生装置用金型を得ることができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備える超硬合金であって、
前記超硬合金は、クロム及びバナジウムを含み、
前記コバルトに対する前記クロムの質量基準の百分率は、5%以上9%以下であり、
前記コバルトに対する前記バナジウムの質量基準の百分率は、2%以上5%以下であり、
前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下であり、
前記第2相の個数は1000個以上であり、
前記第2相の面積比率及び前記第2相の個数は、前記超硬合金の断面の走査型電子顕微鏡像に対して画像処理を行うことにより、101μmの測定視野において測定される、超硬合金である。
本開示の超硬合金によれば、超高圧下においても、長い工具寿命を有する超高圧発生装置用金型を得ることができる。
(2)前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上11.5面積%以下が好ましい。これによると、超高圧発生装置用金型の用途において、硬度及び抗折強度の最適なバランスを得ることができる。
(3)前記超硬合金のコバルト含有率は、4質量%以上8質量%以下が好ましい。これによると、超高圧発生装置用金型の用途において、硬度及び抗折強度の最適なバランスを得ることができる。
(4)前記コバルトに対する前記クロムの質量基準の百分率は、7%以上8%以下が好ましい。これによると、超硬合金は、炭素含有量に関わらず、安定した抗折強度を得ることができる上、微細な組織を維持することができる。
(5)前記コバルトに対する前記バナジウムの質量基準の百分率は、2%以上4%以下が好ましい。これによると、超硬合金は、炭素含有量に関わらず、安定した抗折強度を得ることができる上、微細な組織を維持することができる。
(6)前記第2相の個数は1000個以上1100個以下が好ましい。これによると、超硬合金は微細な組織を得られ、高いビッカース硬度を得ることができる。
(7)前記炭化タングステン粒子の平均粒径は、0.05μm以上0.3μm以下であることが好ましい。これによると、超硬合金の硬度が向上する。
(8)前記第1相の面積比率は、86.5面積%以上92.5面積%以下であることが好ましい。これによると、超硬合金の硬度及び耐摩耗性が向上する。
(9)前記超硬合金は、前記第1相と、前記第2相とからなることが好ましい。これによると、超硬合金の抗折強度が向上する。
(10)本開示の超高圧発生装置用金型は、上記の超硬合金からなる超高圧発生装置用金型である。本開示の超高圧発生装置用金型は、超高圧下においても、長い工具寿命を有することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の超硬合金及びそれを用いた超高圧発生装置用金型の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。
本開示において「A~B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
本開示において化合物などを化学式で表す場合、原子比を特に限定しないときは従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるものではない。たとえば「WC」と記載されている場合、WCを構成する原子数の比はW:C=1:1に限られず、従来公知のあらゆる原子比が含まれる。このことは、「WC」以外の化合物の記載についても同様である。
本開示において、数値範囲下限及び上限として、それぞれ1つ以上の数値が記載されている場合は、下限に記載されている任意の1つの数値と、上限に記載されている任意の1つの数値との組み合わせも開示されているものとする。例えば、下限として、a1以上、b1以上、c1以上が記載され、上限としてa2以下、b2以下、c2以下が記載されている場合は、a1以上a2以下、a1以上b2以下、a1以上c2以下、b1以上a2以下、b1以上b2以下、b1以上c2以下、c1以上a2以下、c1以上b2以下、c1以上c2以下が開示されているものとする。
[実施形態1:超硬合金]
本開示の一実施形態(以下「本実施形態」とも記す。)の超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備える超硬合金であって、
該超硬合金は、クロム及びバナジウムを含み、
該コバルトに対する該クロムの質量基準の百分率は、5%以上9%以下であり、
該コバルトに対する該バナジウムの質量基準の百分率は、2%以上5%以下であり、
該第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下であり、
該第2相の個数は1000個以上であり、
該第2相の面積比率及び該第2相の個数は、該超硬合金の断面の走査型電子顕微鏡像に対して画像処理を行うことにより、101μmの測定視野において測定される、超硬合金である。
<組成>
本実施形態の超硬合金は、複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備え、更に、クロム及びバナジウムを含む。
≪第1相の組成≫
本実施形態の超硬合金において、第1相は、複数の炭化タングステン粒子(以下、「WC粒子」とも記す。)からなる。本実施形態の超硬合金において、第1相は硬質相である。第1相は、WC粒子の他、不可避不純物元素などを含むことができる。第1相におけるWC粒子の含有率は、本開示の効果を奏する観点から、99質量%以上が好ましく、99.9質量%以上がより好ましく、実質的に100質量%であることがより好ましい。
第1相は炭化タングステン粒子以外にも、本開示の効果を示す限りにおいて、WC粒子の製造過程で混入する不可避不純物元素及び微量の不純物元素等を含むことができる。これらの不純物元素としては、例えば、モリブデン(Mo)及びクロム(Cr)が挙げられる。第1相中の不純物元素の含有率(不純物元素が2種類以上の場合は、合計含有率)は、1質量%以下、0.1質量%以下、0.1質量%未満であることが好ましい。第1相中の不純物元素の含有率は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析(測定装置:島津製作所製「ICPS-8100」(商標))により測定される。
≪第1相の面積比率≫
本実施形態の超硬合金において、第1相の面積比率は、86.5面積%以上92.5面積%以下であることが好ましい。第1相の面積比率は、超硬合金の断面の走査型電子顕微鏡像に対して画像処理を行うことにより、101μmの測定視野において測定される。これによると、超硬合金は高い硬度及び優れた耐摩耗性を有することができる。第1相の面積比率の下限は、超硬合金の硬度向上及び耐摩耗性向上の観点から、86.5面積%以上、87.0面積%以上、88.5面積%以上が好ましい。第1相の面積比率の上限は、超硬合金の靱性向上の観点から、92.5面積%以下が好ましい。第1相の面積比率は、86.5面積%以上92.5面積%以下、87.0面積%以上92.5面積%以下、88.5面積%以上92.5面積%以下が好ましい。第1相の面積比率の測定方法の詳細は後述する。
≪第1相を構成する複数の炭化タングステン粒子の平均粒径≫
本実施形態の超硬合金は、第2相の面積比率が7.5面積%以上13.5面積%以下であり、かつ、第2相の個数が1000個以上であるため、第1相を構成する複数のWC粒子が微細であり、かつ、第2相中に複数のWC粒子が分散して存在している。該複数のWC粒子の平均粒径は、例えば0.05μm以上0.3μm以下とすることができる。ただし、本実施形態の超硬合金は、本開示の効果を奏する限り、粗大(例えば、粒径2μm以上5μm以下)なWC粒子を微量(例えば、超硬合金の断面1mm当たり、20個以下)含むことができる。
WC粒子の平均粒径の下限は、0.05μm以上、0.06μm以上、0.08μm以上が好ましい。WC粒子の平均粒径の上限は、0.3μm以下、0.27μm以下、0.23μm以下が好ましい。WC粒子の平均粒径は、0.05μm以0.3μm以下上、0.06μm以上0.27μm以下、0.08μm以上0.23μm以下が好ましい。
上記のWC粒子の平均粒径は、下記の手順で測定される。アルゴンのイオンビーム等を用いて超硬合金をCP(Cross Section Polisher)加工することにより、平滑な断面を有する試料を得る。この試料の上記断面に対し、電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE-SEM、商品名:「JSM-7800F」、日本電子株式会社製)を用いて5000倍で撮像することにより、上記試料の断面の走査型電子顕微鏡像(SEM-BSE像)を得る。撮像条件は、撮影倍率5000倍、加速電圧5kV、ワークディスタンス10.0mmとする。
上記走査型電子顕微鏡像中に1mm(1mm×1mmの矩形)の測定視野を設定する。画像解析ソフト(ImageJ ver.1.51j8(https://imagej.nih.gov/ij/))を用いて、該測定視野中の各WC粒子の外縁を特定し、各WC粒子の円相当径を算出する。測定視野中の全てのWC粒子の円相当径の個数基準の算術平均径を算出する。
上記算術平均径の測定を、重複する部分のない、異なる5箇所の測定視野で行う。該5箇所の測定視野におけるWC粒子の算術平均径の平均値を算出する。該平均値が、本実施形態におけるWC粒子の平均粒径に該当する。
出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、これらの測定を、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
≪第2相の組成≫
本実施形態の超硬合金において、第2相はコバルト(Co)を含む。本実施形態の超硬合金において、第2相は結合相である。第2相はコバルトの他、クロム(Cr)、バナジウム(V)、不可避不純物元素などを含むことができる。不可避不純物元素としては、たとえば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、モリブデン(Mo)、硫黄(S)、チタン(Ti)、アルミニウム(Al)などが挙げられる。第2相のコバルト含有率は、85質量%以上100質量%以下が好ましい。第2相中のコバルト以外の元素の含有率(該元素が2種類以上の場合は、合計含有率)は、0質量%以上1質量%未満であることが好ましい。第2相中のコバルト以外の元素の含有率は、ICP(Inductively Coupled Plasma)発光分析(測定装置:島津製作所製「ICPS-8100」(商標))により測定される。
≪第2相の面積比率及び個数≫
本実施形態の超硬合金において、第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下であり、第2相の個数は1000個以上である。第2相の面積比率及び第2相の個数は、超硬合金の断面の走査型電子顕微鏡像に対して画像処理を行うことにより、101μmの測定視野において測定される。
第2相の面積比率が7.5面積%以上13.5面積%以下であると、超硬合金は優れた靱性を有することができる。第2相の面積比率の下限は、超硬合金の靱性向上の観点から、7.5面積%以上が好ましい。第2相の面積比率の上限は、超硬合金の硬度向上及び耐摩耗性向上の観点から、13.5面積%以下、13.0面積%以下、11.5面積%以下、11.5面積%以下が好ましい。第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下、7.5面積%以上13.0面積%以下、7.5面積%以上11.5面積%以下が好ましい。
第2相の面積比率が7.5面積%以上13.5面積%以下であり、かつ、第2相の個数が1000個以上であると、超硬合金は超高圧下においても、破損が生じ難い。この理由は明らかではないが、該超硬合金では、第2相中に微細なWC粒子(第1相)が分散して存在しているため、第2相の強度が向上し、超硬合金の硬度、抗折強度および高温強度が向上したためと考えられる。
本実施形態の超硬合金において、第2相の面積比率が7.5面積%以上13.5面積%以下であり、かつ、第2相の個数は1000個以上である。第2相の個数の下限は、個がルト含有量及び組織の微細さの観点から、1000個以上、1010個以上、1020個以上、1030個以上、1040個以上が好ましい。第2相の個数の上限は、抗折強度および破壊靭性向上の観点から、1200個以下、1150個以下、1100個以下が好ましい。第2相の個数は、硬度向上及び抗折強度および破壊靭性向上の観点から、1000個以上1200個以下、1010個以上1200個以下、1020個以上1150個以下、1030個以上1150個以下、1040個以上1100個以下が好ましい。
本実施形態の超硬合金において、第2相の面積比率が8面積%以上12面積%以下、又は、9面積%以上11面積%以下の場合、第2相の個数は、硬度向上及び抗折強度および破壊靭性向上の観点から、1000個以上1200個以下、1010個以上1200個以下、1020個以上1150個以下、1030個以上1150個以下、1040個以上1100個以下が好ましい。
≪第1相及び第2相の面積比率、及び、第2相の個数の測定方法≫
本明細書において、第1相及び第2相の面積比率、及び、第2相の個数の測定方法は以下の通りである。
アルゴンのイオンビーム等を用いて超硬合金をCP(CrossSectionPolisher)加工することにより、平滑な断面を有する試料を得る。この試料の上記断面に対し、電界放出形走査電子顕微鏡(Field Emission Scanning Electron Microscope:FE-SEM、商品名:「JSM-7800F」、日本電子株式会社製)を用いて10000倍で撮像することにより、上記試料の断面の走査型電子顕微鏡像(SEM-BSE像)を得る。撮像条件は、撮影倍率1万倍、加速電圧5kV、ワークディスタンス10.0mmとし、反射電子像により撮影される。本実施形態に係る超硬合金の走査型電子顕微鏡像の一例を図1に示す。図1において、灰色で示される領域が第1相に該当し、黒色で示される領域が第2相に該当する。
上記走査型電子顕微鏡像中に101μm(11.88μm×8.5μmの矩形)の測定視野を設定する。
次に、画像解析ソフト(ImageJ ver.1.51j8(https://imagej.nih.gov/ij/))を用いて2値化処理を行う。2値化処理は、画像解析ソフトの初期設定の状態で、以下(a)~(d)の手順で行う。
(a)Edit→Invert
(b)上記(a)の後に、Process→Binary→MakeBinary
(c)上記(b)の後に、Process→Noise→Despeckle。前記(c)の操作を3回繰り返す。(c)におけるNoise除去回数は、第2相の個数に影響を及ぼすため、本実施形態では、(c)の操作の回数は3回と固定する。
(d)上記(c)の後に、Process→Binary→Watershed
図1の走査型電子顕微鏡像に対して2値化処理を行った画像を図2に示す。図2において、白色で示される領域が第1相に該当し、黒色で示される部分が第2相に該当する。
上記測定視野中の全ての第1相の面積の和(総面積)を算出する。測定視野全体を100面積%として、測定視野全体に対する第1相の総面積の百分率を算出する。該百分率が、測定視野中の第1相の面積比率に該当する。
上記測定視野中の全ての第2相の面積の和(総面積)を算出する。測定視野全体を100面積%として、測定視野全体に対する第2相の総面積の百分率を算出する。該百分率が、測定視野中の第2相の面積比率に該当する。
上記2値化処理に基づき、上記測定視野中の第2相の個数を測定する。第2相の形状から、該第2相は2個以上の第2相が接合または接して形成されていると考えられる場合は、該形状の第2相の個数は1個と判断される。
上記走査型電子顕微鏡像において、重複する部分のないように5箇所の測定視野を設定し、この5視野のそれぞれにおいて、測定視野中の第1相及び第2相の面積比率、及び、測定視野中の第2相の個数を得る。5箇所の測定視野中の第1相の面積比率の平均値は、本明細書における「測定視野中の第1相の面積比率」に該当する。5箇所の測定視野中の第2相の面積比率の平均値は、本明細書における「測定視野中の第2相の面積比率」に該当する。5箇所の測定視野中の第2相の個数の平均値は、本明細書における「測定視野中の第2相の個数」に該当する。
出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、これらの測定を、測定視野の選択個所を変更して複数回行っても、測定結果のばらつきはほとんどなく、任意に測定視野を設定しても恣意的にはならないことが確認された。
≪コバルト含有率≫
本実施形態の超硬合金のコバルト含有率は、4質量%以上8質量%以下が好ましい。これによると、超硬合金は優れた靱性を有することができる。超硬合金のコバルト含有率の下限は、靱性向上の観点から、4質量%以上、4.5質量%以上、5質量%以上が好ましい。超硬合金のコバルト含有率の上限は、耐摩耗性向上の観点から、8質量%以下、7.5質量%以下、7質量%以下が好ましい。超硬合金のコバルト含有率は、靱性向上及び耐摩耗性向上の観点から、4質量%以上8質量%以下、4.5質量%以上7.5質量%以下、5質量%以上7質量%以下が好ましい。超硬合金中のコバルト含有率はTAS0054:2017超硬質合金のコバルト電位差滴定定量法にて分析することで求められる。
≪クロム≫
本実施形態の超硬合金において、コバルトに対するクロムの質量基準の百分率は、5%以上9%以下である。クロムは炭化タングステン粒子の粒成長抑制作用を有する。通常、クロムは、超硬合金の製造工程において、Cr等のクロムの炭化物として添加される。
クロムの百分率が上記の範囲であると、粒成長抑制作用が発揮されやすい。コバルトに対するクロムの質量基準の百分率の下限は、粒成長抑制作用向上の観点から、5%以上、5.5%以上、6%以上、6.6%以上、7%以上が好ましい。コバルトに対するクロムの質量基準の百分率の上限は、抗折強度および破壊靭性向上の観点から、9%以下、8.5%以下、8%以下が好ましい。コバルトに対するクロムの質量基準の百分率は、粒成長抑制作用向上及び硬度向上の観点から、5%以上9%以下であり、5.5%以上8.5%以下、6%以上8%以下、6.6%以上8%以下、7%以上8%以下が好ましい。本実施形態の超硬合金におけるコバルトに対するクロムの質量基準の百分率は、ICP(誘導結合プラズマ発光分析)にて、超硬合金のコバルト含有率およびクロム含有率を分析することで求められる。
本実施形態の超硬合金において、クロムの質量基準の百分率の下限は、0.20%以上、0.25%以上、0.30%以上が好ましい。該クロムの質量基準の含有率は、0.72%以下、0.65%以下、0.60%以下が好ましい。該クロムの質量基準の百分率は、0.20%以上0.72%以下、0.25%以上0.65%以下、0.30%以上0.60%以下が好ましい。本実施形態の超硬合金におけるクロムの質量基準の百分率は、ICP(誘導結合プラズマ発光分析)にて測定される。
≪バナジウム≫
本実施形態の超硬合金において、コバルトに対するバナジウムの質量基準の百分率は、2%以上5%以下である。バナジウムは炭化タングステン粒子の粒成長抑制作用を有する。通常、バナジウムは、超硬合金の製造工程において、VC等のバナジウムの炭化物として添加される。
バナジウムの百分率が前記の範囲であると、粒成長抑制作用が発揮されやすい。コバルトに対するバナジウムの質量基準の百分率の下限は、粒成長抑制作用向上の観点から、2%以上、2.1%以上、2.2%以上、3%以上とすることができる。コバルトに対するバナジウムの質量基準の百分率の上限は、抗折強度および破壊靭性向上の観点から、5%以下、4.5%以下、4%以下が好ましい。コバルトに対するバナジウムの質量基準の百分率は、粒成長抑制作用向上及び硬度向上の観点から、2%以上5%以下であり、2.1%以上5%以下、2.1%以上4.5%以下、2.2%以上4%以下、3%以上4%以下が好ましい。コバルトに対するバナジウムの質量基準の百分率は、ICP(誘導結合プラズマ発光分析)にて、超硬合金のコバルト含有率およびバナジウム含有率を分析することで求められる。
本実施形態の超硬合金において、バナジウムの質量基準の百分率の下限は、0.08%以上、0.10%以上、0.12%以上が好ましい。該バナジウムの質量基準の含有率は、0.30%以下、0.35%以下、0.40%以下が好ましい。該バナジウムの質量基準の百分率は、0.08%以上0.40%以下、0.10%以上0.35%以下、0.12%以上0.30%以下が好ましい。本実施形態の超硬合金におけるバナジウムの質量基準の百分率は、ICP(誘導結合プラズマ発光分析)にて測定される。
≪第3相≫
本実施形態の超硬合金は、第1相及び第2相からなり、実質的に第1相及び第2相以外のその他の相(本明細書において「第3相」とも記す。)を含まないことが好ましい。本実施形態の超硬合金は、第1相と、第2相とからなることが好ましい。本実施形態の超硬合金は、本開示の効果を奏する限り、第1相及び第2相に加えて、不可避不純物を含むことができる。
第3相の一例としては、粒成長抑制剤として添加されたCrやVCに含まれるCrやVが、第1相及び第2相とは異なる相を形成したものが挙げられる。従来の超硬合金では、粒成長抑制剤として添加されたCrやVCは、第1相及び第2相とは別の第3相を形成していた。超硬合金中に第3相が存在する場合は、破壊の起点となり抗折強度が低下する他、超高圧発生装置用金型などの破壊起点となり、寿命が低下する。一方、超硬合金中に第3相が存在しない場合は、破壊の起点とならないため抗折強度が向上し、超高圧発生装置用金型などの寿命向上につながる。
本発明者等は、CrやVが第3相中に存在するよりも、第1相と第2相との境界や、第2相中に存在している方が、粒成長抑制作用が向上すると想定し、鋭意検討の結果、実質的に第3相が存在しない超硬合金の製造方法を確立し、本実施形態の超硬合金を得た。ここで、実質的に第3相が存在しないとは、本開示の効果を奏しない限り、第3相が微量存在することを排除するものではない。
超硬合金中に上記の第3相が存在するか否かは、前述の電界放出形走査電子顕微鏡を用いて、超硬合金組織を波長分散型X線分析法(WDX)で分析することにより確認することができる。上記のWDXの詳細は、参考文献1(鈴木寿、徳本啓(1984).WC-Cr-15%Co超硬合金の組織と機械的性質、粉体および粉末冶金、第31巻第2号、56-59.)に記載されている。超硬合金中に上記の第3相が存在する場合は、上記WDX分析において、Cr、VおよびCの濃化相が確認される。本実施形態の超硬合金では、実質的に上記の第3相が存在しないため、上記WDX分析において、Cr、VおよびCの濃化相が確認されない。本実施形態の超硬合金では、実質的に上記の第3相が存在しないため、破壊の起点とならないため抗折強度が向上し、超高圧発生装置用金型などに用いた場合に寿命が向上する。
第3相の他の例としては、η相として知られる、炭素が少ないコバルトタングステン炭化物、例えば、CoC、CoC、CoC、Coが挙げられる。η相は破壊の起点になりやすい。本実施形態の超硬合金はη相を含まないため、抗折強度が向上し、超高圧発生装置用金型などに用いた場合に寿命が向上する。
超硬合金中にη相が存在するか否かは、以下の手順で確認される。超硬合金の表面を平均粒径150μmダイヤモンド粒子を用いたダイヤモンドホイールで研削した後、平均粒径1μmのダイヤモンドペーストで所定厚さずつ研摩する。研磨面をエッチングして、組織観察を行う。超凹合金中にη相が存在する場合は、η相が優先的にエッチングされた組織が確認される。
<ビッカース硬度>
本実施形態の超硬合金のビッカース硬度Hv30は、1950以上が好ましい。これによると、超硬合金の耐摩耗性が向上する。該ビッカース硬度の下限は、耐摩耗性向上の観点から、1950以上、2000以上、2030以上が好ましい。該ビッカース硬度の上限は、耐摩耗性向上の観点から、2500以下、2300以下、2200以下が好ましい。該ビッカース硬度は、1950以上2500以下、2000以上2300以下、2030以上2200以下が好ましい。
ビッカース硬度は、JISZ2244:2009ビッカース硬さ試験に準拠して測定される。測定条件は、室温(23℃±5℃)にて、試験荷重294.2N(30kgf、Hv30)、保持時間20秒である。
<抗折強度>
本実施形態の超硬合金の抗折強度は、2.8GPa以上が好ましい。これによると、超高圧発生装置用金型の寿命が向上する。抗折強度の下限は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、2.8GPa以上、3.0GPa以上、3.2GPa以上が好ましい。該抗折強度の上限は、特に限定されないが、製造上の観点から、6.0GPa以下とすることができる。超硬合金の抗折強度は、超高圧発生装置用金型の寿命向上の観点から、2.8GPa以上6.0GPa以下、3.0GPa以上6.0GPa以下、3.2GPa以上6.0GPa以下が好ましい。
上記抗折強度は、CIS026B-2007 超硬質合金の曲げ強さ(抗折力)試験方法に準拠して測定される。試験片サイズは4mm×8mm×25mm、荷重点・支点サイズはR2.0mm、支点スパンは20mmである。測定温度は、室温(23℃±5℃)である。
<用途>
本実施形態の超硬合金は、超高圧下で使用される工具に好適に用いることができる。このような工具としては、超高圧発生装置用金型、線引きダイス、押出ダイス、圧延ロール、製缶工具、鍛造用金型、粉末成型金型などが挙げられる。
[実施形態2:超硬合金の製造方法]
本実施形態の超硬合金は、例えば、下記の方法で製造することができる。なお、本実施形態の超硬合金は、下記以外の方法で製造されてもよい。
本実施形態の超硬合金は、代表的には、原料粉末の準備工程、混合工程、成形工程、焼結工程、冷却工程を前記の順で行うことにより製造することができる。以下、各工程について説明する。
≪準備工程≫
準備工程は、超硬合金を構成する材料の全ての原料粉末を準備する工程である。原料粉末としては、第1相の原料である炭化タングステン粉末、第2相の原料であるコバルト(Co)粉末、粒成長抑制剤として、炭化クロム(Cr)粉末及び炭化バナジウム(VC)粉末を準備する。炭化タングステン粉末、コバルト粉末、炭化クロム粉末、炭化バナジウム粉末は、市販のものを用いることができる。
炭化タングステン粉末としては、1400℃以上1600℃以下の温度で炭化された炭化タングステン粉末を用いることが好ましい。該炭化タングステン粉末の粒径は、0.1~0.3μm程度が好ましい。これによると、焼結時の液相出現段階においてWC粒子の安定性が高まって溶解と再析出が抑制され、微細な超硬合金組織が得られるとともに粗大WC粒子を生じにくくなる。この効果として粒成長抑制を目的としたCrやVCの添加量を低く抑えることができ、強度低下の要因となる超硬合金組織中への第3相の析出を抑制できる。上記のWC粉末の使用により、超硬合金組織中への第3相の析出を抑制できることは、本発明者等が新たに見出したものである。本明細書において、特に規定のない限り、原料粉末の平均粒径とは、FSSS(FisherSub-SieveSizer)法(測定装置:FisherScientific社製の「FisherSub-SieveSizerModel95」(商標))により測定される平均粒径を意味する。
なお、従来は、炭化タングステン粉末として、1100℃以上1350℃以下の温度で炭化された炭化タングステン粉末を粒径0.1~0.3μmまで粉砕したものを用いていた。この場合、炭化タングステン粉末が微粒のため、焼結時に炭化タングステンがコバルトに溶解再析出し、結果としてWC粒子の粒径が大きくなり、超硬合金の硬度が低下する傾向があった。
コバルト粉末の平均粒径は、0.4μm以上1.0μm以下(FSSS法)とすることができる。炭化クロム粉末の平均粒径は、0.5μm以上3μm以下(FSSS法)とすることができる。炭化バナジウム粉末の平均粒径は、0.5μm以上3μm以下(FSSS法)とすることができる。
≪混合工程≫
混合工程は、準備工程で準備した各原料粉末を混合する工程である。混合工程により、各原料粉末が混合された混合粉末が得られる。
混合粉末中の炭化タングステン粉末の含有率は、例えば、90.88質量%以上95.72質量%以下とすることができる。
混合粉末中のコバルト粉末の含有率は、例えば、4質量%以上8質量%以下とすることができる。
混合粉末中の炭化クロム粉末の含有率は、例えば、0.2質量%以上0.72質量%以下とすることができる。
混合粉末中の炭化バナジウム粉末の含有率は、例えば、0.08質量%以上0.4質量%以下とすることができる。
混合粉末をボールミルを用いて混合する。メディア径は1mm~10mmとすることができる。回転数は10~120rpmとすることができる。混合時間は20時間以上48時間以下とすることができる。
混合工程の後、必要に応じて混合粉末を造粒してもよい。混合粉末を造粒することで、後述する成形工程の際にダイ又は金型へ混合粉末を充填し易い。造粒には、公知の造粒方法が適用でき、例えば、スプレードライヤー等の市販の造粒機を用いることができる。
≪成形工程≫
成形工程は、混合工程で得られた混合粉末を所定の形状に成形して、成形体を得る工程である。成形工程における成形方法及び成形条件は、一般的な方法及び条件を採用すればよく、特に問わない。所定の形状としては、例えば、超高圧発生装置用金型形状(例えば、アンビルの形状)とすることが挙げられる。
≪焼結工程≫
焼結工程は、成形工程で得られた成形体を焼結して、超硬合金を得る工程である。本実施形態の超硬合金の製造方法においては、焼結温度は1340~1450℃、焼結時間は30~180分とすることができる。これによると、粗大炭化タングステン粒子の発生が抑制される。その後、1340~1450℃、10MPa~200MPa、0.5~2時間の条件でHIP処理を行っても良い。
≪冷却工程≫
冷却工程は、焼結完了後の超硬合金を冷却する工程である。冷却速度は2℃/分~10℃/分とすることが好ましい。これによると、異常粒成長が抑制される。
上記の工程により、本実施形態の超硬合金を得ることができる。これは、本発明者らが鋭意検討の結果、新たに見いだしたものである。
[実施形態2:超高圧発生装置用金型]
本実施形態の超高圧発生装置用金型は、実施形態1の超硬合金からなる。超高圧発生装置用金型としては、例えば、アンビル、ピストンが挙げられる。本実施形態の超高圧発生装置用金型は、超高圧下においても、長い工具寿命を有することができる。
[付記1]
本開示の超硬合金において、
前記第1相の面積比率は、86.5面積%以上92.5面積%以下であり、
前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下であることが好ましい。
[付記2]
本開示の超硬合金において、
前記第1相の面積比率は、88.5面積%以上92.5面積%以下であり、
前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上11.5面積%以下であることが好ましい。
[付記3]
本開示の超硬合金のビッカース硬度Hv30は、1950以上2500以下が好ましい。
[付記4]
本開示の超硬合金の抗折強度は、2.8GPa以上5.0GPa以下が好ましい。
[付記5]
本開示の超硬合金は、η相を含まないことが好ましい。
[付記6]
本開示の超硬合金において、第2相のコバルト含有率は、85質量%以上100質量%以下が好ましい。
本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本実施の形態が限定されるものではない。
<超硬合金の作製>
第1相及び第2相の面積比率、第2相の個数、炭化タングステン粒子の平均粒径、Co含有率、Cr含有率及びV含有率が異なる種々の超硬合金を作製し、合金特性を測定した。試験に用いた超硬合金は、以下のように作製した。
炭化タングステン粉末(平均粒径0.1~0.2μm、炭化温度1400℃)又は炭化タングステン粉末(平均粒径0.1~0.2μm、炭化温度1400℃未満)、並びに、コバルト(Co)粉末(平均粒径0.8μm)、炭化クロム(Cr)粉末(平均粒径1.0μm)及び炭化バナジウム(VC)粉末(平均粒径0.9μm)を準備した。試料1-1~試料1-5では、炭化温度1400℃未満の上記炭化タングステン粉末を用いた。その他の試料では、炭化温度1400℃の上記炭化タングステン粉末を用いる。これらの粉末をボールミルを用いて混合して混合粉末を得る。メディア径は6mm、回転数は60rpmとし、20時間湿式混合する。混合粉末中の各粉末の含有率は、焼結後の超硬合金中のCo、Cr、V及びWCの含有量が、表1及び表2の「Co(質量%)」、「Cr(質量%)」、「V(質量%)」、「WC(質量%)」、となるように調整した。
上記の混合粉末を、1000kg/cmの圧力にてプレス成形し、真空中で1350℃まで昇温し、1350℃で1時間焼結を行った。その後、1350℃、100MPa、1時間の条件でHIP処理を施し、続いて、冷却速度10℃/分で20℃まで冷却して、各試料の超硬合金(幅15mm×長さ15mm×厚さ10mm)を得た。
Figure 0007131738000001
Figure 0007131738000002
<評価>
≪Co、Cr、Vの含有率≫
各試料において、Co、Cr、Vの含有率を測定した。測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1及び表2の「Co(質量%)」、「Cr(質量%)」、「V(質量%)欄に示す。これらの値に基づき、「コバルトに対するクロムの質量基準の百分率(Cr/Co)」及び「コバルトに対するバナジウムの質量基準の百分率(V/Co)」を算出した。結果を表1及び表2の「Cr/Co(%)」及び「V/Co(%)」欄に示す。「WC(質量%)」欄における「残」とは、超硬合金全体100質量%から、Co含有率、Cr含有率及びV含有率の合計を減じた値が、WCの含有率であることを示す。例えば、試料1では、WC含有率は95.00質量%である。
≪第1相及び第2相の面積比率、及び、第2相の個数≫
各試料において、第1相及び第2相の面積比率、第2相の個数を測定した。測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1及び表2の「第1相面積比率(面積%)」、「第2相面積比率(面積%)」、「第2相個数」欄に示す。
≪第2相のコバルト含有率≫
各試料において、第2相のコバルト以外の元素の含有率をICPで測定し、その値を第2相全体(100質量%)から減じることにより、第2相のコバルト含有率を測定した。全ての試料において、第2相のコバルト含有率は、85質量%以上であることが確認された。
≪ビッカース硬度Hv30≫
各試料において、ビッカース硬度(Hv30)を測定した。測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1及び表2の「硬度 Hv30」欄に示す。
≪抗折強度≫
得られた超硬合金において、抗折強度を測定した。測定方法は実施形態1に記載されているため、その説明は繰り返さない。結果を表1及び表2の「抗折強度(GPa)」欄に示す。
≪寿命≫
各試料の超硬合金を用いて、8個の立方体で構成されるマルチアンビルを作製し、該マルチアンビルを用いてグラファイト粉末に対して16GPa及び2200℃の条件下で高温高圧処理を行い、ダイヤモンドを作製した。各試料において、同一のマルチアンビルを用いて上記のダイヤモンドの作製を複数回行い、1個以上のマルチアンビルに破損が生じた場合の作製回数を工具寿命とした。例えば、5回目のダイヤモンドの作製時に1個以上のマルチアンビルに破損が生じた場合は、工具寿命は5回となる。試料1-1の工具寿命を1.0とした場合の、各試料の工具寿命の割合を表1及び表2の「寿命」欄に示す。例えば、試料1は寿命が「11.0」である。これは、試料1の工具寿命が、試料1-1の工具寿命の11倍であることを意味する。
≪考察≫
試料1~試料23は実施例に該当する。試料1-1~試料1-8及び試料2-1~試料2-13は比較例に該当する。試料1~試料23(実施例)は、試料1-1~試料1-8及び試料2-1~試料2-13(比較例)に比べて、寿命が長いことが確認された。これは、試料1~試料23(実施例)では、WC粒子の粒成長を抑制するCr及びVの含有量が適度であるため、組織が微細化しているとともに、破壊の起点となり得る第3相が生成されておらず、破壊が生じ難いためと推察される。
表1及び表2に示されるように、試料1~試料16は、第2相の個数が1000個以上であり、従来合金に該当する試料1-1~試料1-5の第2相の個数(702~801個)に比べると、数が多く、非常に微細な組織が得られていることがわかる。試料1-1~試料1-5では、使用する原料のWC粒子の炭化温度が1400℃未満であるため、微細な組織が得られず、組織上は第2相の個数が少ない。
試料1-6は、Cr/Coが小さく、微細組織が得られず工具寿命が不十分であった。
試料1-7は、V/Coが小さく、微細組織が得られず工具寿命が不十分であった。
試料1-8は、V/Coが大きく、抗折強度が不足するため工具寿命が不十分であった。
従来合金に該当する試料2-1~2-6では、Cr/Co及び/又はV/Coが過剰であるため、微細な組織を得られたが、Cr/Co及び/又はV/Coが過剰であるため抗折強度又は硬度が低い傾向にあり、超高圧金型に使用した際に寿命が短くなることが確認された。
試料2-7は、第2相の面積比率が小さく、抗折強度が低いため、工具寿命が不十分であった。
試料2-8は、第2相の面積比率が大きく、硬度が不足するため、工具寿命が不十分であった。
試料2-9は、Cr/Coが小さく、微細組織が得られず、硬度が不足するため、工具寿命が不十分であった。
試料2-10は、微細組織が得られず硬度が不足するため、工具寿命が不十分であった。
試料2-11は、微細組織が得られず硬度が不足するため、工具寿命が不十分であった。
試料2-12は、Cr/Coが大きく、硬度が不足するため工具寿命が不十分であった。
試料2-13は、V/Coが大きく、硬度が不足するため工具寿命が不十分であった。
以上のように本開示の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形することも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (9)

  1. 複数の炭化タングステン粒子からなる第1相と、コバルトを含む第2相と、を備える超硬合金であって、
    前記超硬合金は、クロム及びバナジウムを含み、
    前記コバルトに対する前記クロムの質量基準の百分率は、5%以上9%以下であり、
    前記コバルトに対する前記バナジウムの質量基準の百分率は、2%以上5%以下であり、
    前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上13.5面積%以下であり、
    前記第2相の個数は1000個以上であり、
    前記第2相の面積比率及び前記第2相の個数は、前記超硬合金の断面の走査型電子顕微鏡像に対して画像処理を行うことにより、101μmの測定視野において測定され
    前記超硬合金は、η相を含まず、
    前記炭化タングステン粒子の平均粒径は、0.05μm以上0.3μm以下である、超硬合金。
  2. 前記第2相の面積比率は、7.5面積%以上11.5面積%以下である、請求項1に記載の超硬合金。
  3. 前記超硬合金のコバルト含有率は、4質量%以上8質量%以下である、請求項1又は請求項2に記載の超硬合金。
  4. 前記コバルトに対する前記クロムの質量基準の百分率は、7%以上8%以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超硬合金。
  5. 前記コバルトに対する前記バナジウムの質量基準の百分率は、2%以上4%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超硬合金。
  6. 前記第2相の個数は1000個以上1100個以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の超硬合金。
  7. 前記第1相の面積比率は、86.5面積%以上92.5面積%以下である、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の超硬合金。
  8. 前記超硬合金は、前記第1相と、前記第2相とからなる、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の超硬合金。
  9. 請求項1から請求項のいずれか1項に記載の超硬合金からなる超高圧発生装置用金型。
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