JP7251691B1 - 超硬合金およびそれを含む工具 - Google Patents

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Abstract

炭化タングステン粒子と、結合相と、を含む超硬合金であって、前記超硬合金における、前記炭化タングステン粒子及び前記結合相の合計含有率は、80体積%以上であり、前記超硬合金における、前記結合相の含有率は0.1体積%以上20体積%以下であり、前記超硬合金中の隣接する2つの前記炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムにおいて、前記方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在し、前記ヒストグラムの横軸の前記階級は、前記方位差を示し、かつ、前記階級の幅は1.0°であり、前記ヒストグラムの縦軸の度数は、前記超硬合金中の全ての前記隣接ペアの数に対する各階級に属する前記隣接ペアの数の割合を示す、超硬合金である。

Description

本開示は、超硬合金およびそれを含む工具に関する。
炭化タングステン粒子と、コバルトを含む結合相とを備える超硬合金は、切削工具の素材として広く用いられている(特許文献1)。
特開2008-132570号公報
本開示の超硬合金は、炭化タングステン粒子と、結合相と、を含む超硬合金であって、
前記超硬合金における、前記炭化タングステン粒子及び前記結合相の合計含有率は、80体積%以上であり、
前記超硬合金における、前記結合相の含有率は0.1体積%以上20体積%以下であり、
前記超硬合金中の隣接する2つの前記炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムにおいて、前記方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在し、
前記ヒストグラムの横軸の前記階級は、前記方位差を示し、かつ、前記階級の幅は1.0°であり、
前記ヒストグラムの縦軸の度数は、前記超硬合金中の全ての前記隣接ペアの数に対する各階級に属する前記隣接ペアの数の割合を示す、超硬合金である。
本開示の工具は、上記の超硬合金を含む工具である。
図1は、実施形態1に係る超硬合金の模式的拡大図である。 図2は、実施形態1に係る超硬合金中の隣接する2つの炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムの一例である。
[本開示が解決しようとする課題]
近年、コスト低減の要求がますます厳しくなり、例えば、高能率加工においても、長い寿命を有する工具が求められている。そこで本開示は、工具材料として用いた場合に、工具の長寿命化を可能とする超硬合金及びそれを用いた工具を提供することを目的とする。
[本開示の効果]
本開示の超硬合金を含む工具は、長い工具寿命を有することができる。
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
(1)本開示の超硬合金は、炭化タングステン粒子と、結合相と、を含む超硬合金であって、
前記超硬合金における、前記炭化タングステン粒子及び前記結合相の合計含有率は、80体積%以上であり、
前記超硬合金における、前記結合相の含有率は0.1体積%以上20体積%以下であり、
前記超硬合金中の隣接する2つの前記炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムにおいて、前記方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在し、
前記ヒストグラムの横軸の前記階級は、前記方位差を示し、かつ、前記階級の幅は1.0°であり、
前記ヒストグラムの縦軸の度数は、前記超硬合金中の全ての前記隣接ペアの数に対する各階級に属する前記隣接ペアの数の割合を示す、超硬合金である。
本開示の超硬合金を含む工具は、長い工具寿命を有することができる。
(2)前記方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数は、0.010以上0.2以下であることが好ましい。該超硬合金を含む工具は、工具の使用に伴う亀裂の伝搬を抑制することができる。よって、工具寿命が更に向上する。
(3)前記ヒストグラムにおいて、方位差89.5°以上90.5°未満の階級に第2のピークが存在することが好ましい。これによると、粒子間の整合が良好であり、粒子界面の強度が高く、超硬合金の強度が向上する。
(4)前記ヒストグラムは、前記超硬合金の断面に対してEBSD解析を行い、前記断面上に設けられた85μm×115μmの矩形の測定視野内に存在する全ての炭化タングステン粒子に対して、前記隣接ペア間の方位差を測定することにより作成されることが好ましい。
(5)本開示の工具は、上記の超硬合金を含む工具である。本開示の工具は、長い工具寿命を有することができる。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の超硬合金及びそれを用いた工具の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本開示の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表すものである。また、長さ、幅、厚さ、深さなどの寸法関係は図面の明瞭化と簡略化のために適宜変更されており、必ずしも実際の寸法関係を表すものではない。
本明細書において「A~B」という形式の表記は、範囲の上限下限(すなわちA以上B以下)を意味し、Aにおいて単位の記載がなく、Bにおいてのみ単位が記載されている場合、Aの単位とBの単位とは同じである。
本明細書において化合物などを化学式で表す場合、原子比を特に限定しないときは従来公知のあらゆる原子比を含むものとし、必ずしも化学量論的範囲のもののみに限定されるべきではない。
[実施形態1:超硬合金]
本開示の一実施形態(以下、「本実施形態」又は「実施形態1」とも記す。)の超硬合金は、
炭化タングステン粒子と、結合相と、を含む超硬合金であって、
該超硬合金における、該炭化タングステン粒子及び該結合相の合計含有率は、80体積%以上であり、
該超硬合金における、該結合相の含有率は0.1体積%以上20体積%以下であり、
該超硬合金中の隣接する2つの炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムにおいて、該方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在し、
該ヒストグラムの横軸の該階級は、該方位差を示し、かつ、該階級の幅は1.0°であり、
該ヒストグラムの縦軸の度数は、該超硬合金中の全ての該隣接ペアの数に対する各階級に属する該隣接ペアの数の割合を示す、超硬合金である。
本実施形態の超硬合金を含む工具は、長い工具寿命を有することができる。この理由は、以下の(i)及び(ii)の通りと推察される。
(i)本実施形態の超硬合金において、炭化タングステン粒子(以下、「WC粒子」とも記す)及び該結合相の合計含有率は、80体積%以上であり、該超硬合金における、該結合相の含有率は0.1体積%以上20体積%以下である。これによると、超硬合金は、工具に適切な硬度と耐摩耗性を有することができる。
(ii)本実施形態の超硬合金中の隣接する2つの炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムにおいて、方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在する。このため、超硬合金組織中の炭化タングステン粒子に異方性があり、該超硬合金を含む工具の使用に伴う亀裂の伝搬を抑制することができる。
<超硬合金の組成>
実施形態1の超硬合金は炭化タングステン粒子と、結合相と、を含む。実施形態1の超硬合金において、炭化タングステン粒子及び結合相の合計含有率の下限は、80体積%以上であり、82体積%以上、84体積%以上が好ましい。実施形態1の超硬合金において、炭化タングステン粒子及び結合相の合計含有率の上限は、100体積%以下が好ましい。実施形態1の超硬合金において、炭化タングステン粒子及び結合相の合計含有率は、80体積%以上100体積%以下、82体積%以上100体積%以下、84体積%以上100体積%以下が好ましい。
実施形態1において、超硬合金の炭化タングステン粒子の含有率の下限は、60体積%以上、62体積%以上、64体積%以上、70体積%以上とすることができる。超硬合金の炭化タングステン粒子の含有率の上限は、99.9体積%以下、99体積%以下、98体積%以下、95体積%以下とすることができる。超硬合金の炭化タングステン粒子の含有率は、60体積%以上99.9体積%以下、62体積%以上99.9体積%以下、64体積%以上99.9体積%以下、70体積%以上99.9体積%以下、60体積%以上99体積%以下、62体積%以上99体積%以下、64体積%以上99体積%以下、70体積%以上99体積%以下、60体積%以上98体積%以下、62体積%以上98体積%以下、64体積%以上98体積%以下、70体積%以上98体積%以下、60体積%以上95体積%以下、62体積%以上95体積%以下、64体積%以上95体積%以下、70体積%以上95体積%以下とすることができる。
実施形態1において、超硬合金の結合相の含有率は、0.1体積%以上20体積%以下である。これによると、超硬合金の靱性が向上する。超硬合金の結合相の含有率の下限は、0.1体積%以上、0.5体積%以上、1体積%以上、2体積%以上とすることができる。超硬合金の結合相の含有率の上限は、20体積%以下、18体積%以下、16体積%以下、14体積%以下とすることができる。該超硬合金の結合相の含有率は、0.1体積%以上20体積%以下、0.5体積%以上20体積%以下、1体積%以上20体積%以下、2体積%以上20体積%以下、0.1体積%以上18体積%以下、0.5体積%以上18体積%以下、1体積%以上18体積%以下、2体積%以上18体積%以下、0.1体積%以上16体積%以下、0.5体積%以上16体積%以下、1体積%以上16体積%以下、2体積%以上16体積%以下、0.1体積%以上14体積%以下、0.5体積%以上14体積%以下、1体積%以上14体積%以下、2体積%以上14体積%以下とすることができる。
実施形態1の超硬合金は炭化タングステン粒子と、結合相とからなることが好ましい。該超硬合金は、本開示の効果を損なわない限りにおいて、炭化タングステン粒子及び結合相に加えて、炭化タングステン以外の硬質相粒子及び/又は不純物を含むことができる。該硬質相粒子としては、チタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、クロム及びバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む炭化物、窒化物、炭窒化物、酸化物及びこれらの固溶体や複合体が挙げられる。該不純物としては、例えば、鉄、モリブデン、カルシウム、珪素、硫黄等が挙げられる。超硬合金は、炭化タングステン粒子、結合相及び不純物からなることができる。超硬合金は、炭化タングステン粒子、結合相及び硬質相粒子からなることができる。超硬合金は、炭化タングステン粒子、結合相、硬質相粒子及び不純物からなることができる。
実施形態1において、超硬合金は硬質相粒子を含むことができる。該超硬合金の硬質相粒子の含有率の下限は、0体積%以上、0.1体積%以上、0.2体積%以上とすることができる。該超硬合金の硬質相粒子の含有率の上限は、20体積%以下、18体積%以下、16体積%以下とすることができる。超硬合金の硬質相粒子の含有率は、0体積%以上20体積%以下、0.1体積%以上20体積%以下、0.2体積%以上20体積%以下、0体積%以上18体積%以下、0.1体積%以上18体積%以下、0.2体積%以上18体積%以下、0体積%以上16体積%以下、0.1体積%以上16体積%以下、0.2体積%以上16体積%以下とすることができる。
超硬合金の炭化タングステン粒子の含有率、結合相の含有率及び硬質相粒子の含有率の測定方法は以下(A1)~(H1)の通りである。
(A1)超硬合金の任意の位置を切り出して断面を露出させる。該断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子社製)により鏡面加工する。
(B1)超硬合金の鏡面加工面に対して、走査電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法(SEM-EDX)を用いて分析を行い(装置:Carl Zeiss社製 Gemini450(商標))、超硬合金に含まれる元素を特定する。
(C1)超硬合金の鏡面加工面を走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影して反射電子像を得る。撮影画像の撮影領域は、超硬合金の断面の中央部、すなわち、超硬合金の表面近傍などバルク部分とは明らかに性状が異なる部分を含まない位置(撮像領域がすべて超硬合金のバルク部分となる位置)に設定する。観察倍率は5000倍である。測定条件は、加速電圧3kV、電流値2nA、ワーキングディスタンス(WD)5mmである。
(D1)上記(C1)の撮影領域に対して、SEM付帯のエネルギー分散型X線分析装置(SEM-EDX)を用いて分析を行い、該撮影領域における上記(B1)で特定された元素の分布を特定し、元素マッピング像を得る。
(E1)上記(C1)で得られた反射電子像をコンピュータに取り込み、画像解析ソフトウェア(OpenCV、SciPy)を用いて二値化処理を行う。二値化処理は、反射電子像中の炭化タングステン粒子、結合相及び硬質相粒子のうち、硬質相粒子のみが抽出されるように行う。二値化の閾値はコントラストにより変化するため、画像ごとに設定する。
(F1)上記(D1)で得られた元素マッピング像と上記(E1)で得られた二値化処理後の画像とを重ねることにより、該二値化処理後の画像上で炭化タングステン粒子、結合相及び硬質相粒子のそれぞれの存在領域を特定する。具体的には、二値化処理後の画像において白色で示され、元素マッピング像においてタングステン(W)及び炭素(C)の存在する領域が、炭化タングステン粒子の存在領域に該当する。二値化処理後の画像において黒色で示され、元素マッピング像においてチタン、ニオブ、タンタル、ジルコニウム、モリブデン、クロム及びバナジウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の存在する領域が、硬質相粒子の存在領域に該当する。二値化処理後の画像において白色で示され、元素マッピング像において鉄、コバルト及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素の存在する領域が、結合相の存在領域に該当する。
(G1)上記二値化処理後の画像中に、24.9μm×18.8μmの矩形の1つの測定視野を設定する。上記画像解析ソフトウェアを用いて、該測定視野全体の面積を分母として炭化タングステン粒子、結合相及び硬質相粒子のそれぞれの面積百分率を測定する。
(H1)上記(G1)の測定を、5つの互いに重複しない異なる測定視野において行う。本明細書において、5つの測定視野における炭化タングステン粒子の面積百分率の平均が、超硬合金の炭化タングステン粒子の含有率(体積%)に相当し、5つの測定視野における結合相の面積百分率の平均が、超硬合金の結合相の含有率(体積%)に相当し、5つの測定視野における硬質相粒子の面積百分率の平均が、超硬合金の硬質相粒子の含有率(体積%)に相当する。
出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、超硬合金の断面の切り出し箇所を任意に設定して、該断面上に上記(C1)に記載される撮影領域を任意に設定して、上記(H1)に記載される5つの測定視野を任意に設定して、上記の手順に従い、超硬合金の炭化タングステン粒子の含有率、結合相の含有率及び硬質相粒子の含有率の測定を複数回行っても、測定結果のばらつきは少なく、超硬合金の断面の切り出し箇所を任意に設定し、反射電子像の撮影領域を任意に設定し、測定視野を任意に設定しても恣意的にはならないことが確認された。
超硬合金の不純物の含有率(不純物が2種類以上の場合は、これらの含有率の合計)は、0質量%以上0.1質量%未満が好ましい。超硬合金の不純物の含有率は、ICP発光分析(Inductively Coupled Plasma Emission Spectroscopy(測定装置:島津製作所「ICPS-8100」(商標))により測定される。
<炭化タングステン粒子>
≪組成≫
炭化タングステン粒子(以下「WC粒子」とも記す。)は、炭化タングステンからなる粒子である。WC粒子は、本開示の効果を損なわない限りにおいて、鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、珪素(Si)、硫黄(S)等を含むことができる。WC粒子の鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、珪素(Si)、硫黄(S)の含有率(2種類以上の場合は、これらの含有率の合計)は、0質量%以上0.1質量%未満が好ましい。WC粒子の鉄(Fe)、モリブデン(Mo)、カルシウム(Ca)、珪素(Si)、硫黄(S)の含有率は、ICP発光分析により測定される。
≪平均粒径≫
実施形態1における炭化タングステン粒子の平均粒径の下限は、0.1μm以上、0.2μm以上、0.3μm以上が好ましい。該炭化タングステン粒子の平均粒径の上限は、3.5μm以下、3.0μm以下、2.5μm以下が好ましい。該炭化タングステン粒子の平均粒径は、0.1μm以上3.5μm以下、0.2μm以上3.5μm以下、0.3μm以上3.5μm以下、0.1μm以上3.0μm以下、0.2μm以上3.0μm以下、0.3μm以上3.0μm以下、0.1μm以上2.5μm以下、0.2μm以上2.5μm以下、0.3μm以上2.5μm以下が好ましい。これによると、超硬合金は高い硬度を有し、該超硬合金を含む工具の耐摩耗性が向上する。また、該工具は優れた耐折損性を有することができる。
本明細書において、炭化タングステン粒子の平均粒径とは、超硬合金に含まれるWC粒子の等面積円相当径(Heywood径)のD50(個数基準の頻度の累積が50%となる円相当径、メジアン径D50)を意味する。該炭化タングステン粒子の平均粒径の測定方法は以下の通りである。
(A2)上記の超硬合金の炭化タングステン粒子の含有率、結合相の含有率及び硬質相粒子の含有率の測定方法の(A1)~(F1)と同様の方法で、二値化処理後の画像上で炭化タングステン粒子の存在領域を特定する。
(B2)上記二値化処理後の画像中に、24.9μm×18.8μmの矩形の1つの測定視野を設定する。上記画像解析ソフトウェアを用いて、該測定視野中の各炭化タングステン粒子の外縁を特定し、各炭化タングステン粒子の円相当径(Heywood径:等面積円相当径)を算出する。
(C2)上記測定視野中の全炭化タングステン粒子に基づき、炭化タングステン粒子の等面積円相当径のD50を算出する。
出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、超硬合金の断面の切り出し箇所を任意に設定して、該断面上に上記(C1)に記載される撮影領域を任意に設定して、上記(B2)に記載される測定視野を任意に設定して、上記の手順に従い、炭化タングステン粒子の平均粒径の測定を複数回行っても、測定結果のばらつきは少なく、超硬合金の断面の切り出し箇所を任意に設定し、撮影画像の撮影領域を任意に設定し、測定視野を任意に設定しても恣意的にはならないことが確認された。
<結合相>
本実施形態の超硬合金は、結合相を含む。該結合相は鉄、コバルト及びニッケルからなる群より選ばれる少なくとも1種の第1元素を含むことが好ましい。結合相の第1元素の含有率(第1元素が2種類以上の元素からなる場合は、これらの含有率の合計)は、90質量%以上100質量%以下、95質量%以上100質量%以下、98質量%以上100質量%以下、100質量%が好ましい。
本実施形態において、結合相は、コバルトを主成分として含むことが好ましい。ここで、結合相がコバルトを主成分として含むとは、結合相中のコバルトの含有率が90質量%以上100質量%以下であることを意味する。
本実施形態において、結合相は、第1元素に加えて、タングステン(W)、クロム(Cr)、バナジウム(V)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)等を含むことができる。
結合相の組成は、ICP発光分光分析法(使用機器:島津製作所製「ICPS-8100」(商標))により測定することができる。
<隣接ペア間の方位差の分布>
実施形態1の超硬合金中の隣接する2つの該炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムにおいて、該方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在する。ここで、該ヒストグラムの横軸の階級は、方位差を示し、かつ、階級の幅は1.0°であり、ヒストグラムの縦軸の度数は、超硬合金中の全ての隣接ペアの数に対する各階級に属する隣接ペアの数の割合を示す。これによると、超硬合金組織中の炭化タングステン粒子に異方性があり、該超硬合金を含む工具の使用に伴う亀裂の伝搬を抑制することができる。
実施形態1における隣接ペアについて、図1を用いて説明する。図1は、実施形態1の超硬合金の模式的な拡大図を示す。まず、図1中の複数の炭化タングステン粒子1のうち、1つのWC粒子を任意に選択する。図1において、任意に選択された1つの炭化タングステン粒子を符号aで示す。符号aで示される炭化タングステン粒子(以下、「WC粒子a」とも記す)には、符号b、c、dで示される3つの隣接する炭化タングステン粒子(以下、「WC粒子b」、「WC粒子c」、「WC粒子d」と記す。)が存在する。すなわち、WC粒子aを基準とした場合、WC粒子aとWC粒子bとの隣接ペア、WC粒子aとWC粒子cとの隣接ペア、WC粒子aとWC粒子dとの隣接ペアの3つの隣接ペアが存在する。WC粒子aについては、該3つの隣接ペアそれぞれについて、隣接ペア間の方位差を測定する。
実施形態1の超硬合金における上記ヒストグラムについて、図2を用いて説明する。図2は、実施形態1の超硬合金における上記ヒストグラムの一例を示す。
図2のヒストグラムにおいて、横軸の階級は、超硬合金中の隣接する2つの該炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差を示し、かつ、該階級の幅は1.0°である。該横軸において、該階級は、方位差が昇順となるように並べられている。該ヒストグラムの縦軸の度数は、超硬合金中の全ての隣接ペアの数に対する各階級に属する隣接ペアの数の割合を示す。図2の横軸の数値は、階級の下限値を示している。例えば、26.5で示される棒の階級は、方位差26.5°以上27.5°未満である。
図2のヒストグラムにおいて、方位差29.5°以上30.5°未満の階級に、符号Aで示される第1のピークが存在する。本明細書において、ヒストグラムにおいて、方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在するとは、方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数が以下の(a)の条件を満たすことを意味する。
(a)方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数が、方位差24.5°以上29.5°未満の範囲、及び、方位差30.5°以上35.5°未満の10個の階級の度数の最大値の1.2倍以上である。
図2において、方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数は0.026である。図2において、方位差24.5°以上29.5°未満の範囲、及び、方位差30.5°以上35.5°未満の10個の階級は、符号a1で示される範囲内の5個の階級及び符号a2で示される範囲内の5個の階級である。これらの10個の階級の度数の最大値は、方位差28.5°以上29.5°未満の階級の度数0.007である。方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数0.026は、上記10個の階級の度数の最大値0.007の3.7倍である。よって、図2に示されるヒストグラムは、上記の条件(a)を満たす。
実施形態1の超硬合金の上記ヒストグラムにおいて、方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数の下限は、亀裂進展の抑制効果の向上の観点から、0.010以上、0.011以上、0.012以上が好ましい。方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数の上限は、特に制限されないが、例えば、0.2以下とすることができる。方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数は0.010以上0.2以下、0.011以上0.2以下、0.012以上0.2以下が好ましい。
実施形態1の超硬合金の上記ヒストグラムにおいて、方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数は、上記10個の階級の度数の最大値の1.2倍以上であり、2倍以上、3倍以上が好ましい。
実施形態1の超硬合金の上記ヒストグラムにおいて、方位差89.5°以上90.5°未満の階級に第2のピークが存在することが好ましい。これによると、粒子間の整合が良好であり、粒子界面の強度が高く、超硬合金の強度が向上する。
図2のヒストグラムにおいて、方位差89.5°以上90.5°未満の階級に、符号Bで示される第2のピークが存在する。本明細書において、ヒストグラムにおいて、方位差89.5°以上90.5°未満の階級に第2のピークが存在するとは、方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数が以下の(b)の条件を満たすことを意味する。
(b)方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数が、方位差85.5°以上89.5°未満の範囲、及び、方位差90.5°以上94.5°未満の範囲の8個の階級の度数の最大値の1.5倍以上である。
図2において、方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数は0.267である。図2において、方位差85.5°以上89.5°未満の範囲、及び、方位差90.5°以上94.5°未満の範囲の8個の階級は、符号b1で示される範囲内の4個の階級及び符号b2で示される範囲内の4個の階級である。これら8個の階級の度数の最大値は、方位差88.5°以上89.5°未満の階級の度数0.094である。方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数0.267は、上記8個の階級の度数の最大値0.094の2.8倍である。よって、図2に示されるヒストグラムは、上記の条件(b)を満たす。
実施形態1の超硬合金の上記ヒストグラムにおいて、方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数の下限は、亀裂進展の抑制効果の向上の観点から、0.10以上、0.12以上、0.14以上が好ましい。方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数の上限は、特に制限されないが、例えば、0.3以下とすることができる。方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数は0.10以上0.3以下、0.12以上0.3以下、0.14以上0.3以下が好ましい。
実施形態1の超硬合金の上記ヒストグラムにおいて、方位差89.5°以上90.5°未満の階級の度数は、上記8個の階級の度数の最大値の1.5倍以上であり、1.7倍以上、2.0倍以上が好ましい。
本明細書において、上記ヒストグラムは下記の手順で作成される。
(A3)超硬合金の任意の位置を切り出して断面を露出させる。該断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子社製)により鏡面加工する。
(B3)上記の鏡面加工面を、電子線後方散乱回折装置(EBSD装置:Oxford社製 Symmetry(商標))を備えた走査電子顕微鏡(SEM、装置:Carl Zeiss社製 Gemini450(商標))を用いて観察し、得られた観察像に対してEBSD解析を行う。観察領域は、超硬合金の処理面の中央部、すなわち、超硬合金の表面近傍などバルク部分とは明らかに性状が異なる部分を含まない位置(観察領域がすべて超硬合金のバルク部分となる位置)に設定する。
測定領域は、上記鏡面加工面上で、85μm×115μmの矩形の領域とする。測定条件は、加速電圧15kV、電流値20nA、40nm/ステップ、露光時間0.1~1ms、測定時間1~2時間とする。
(C3)上記EBSD解析結果を、市販のソフトウェア(Oxford社製 AZtecCrystal(商標))を用いて分析し、上記測定領域に含まれる各炭化タングステン粒子の結晶方位を特定する。ここで特定される各炭化タングステン粒子の結晶方位は、超硬合金の鏡面加工面に現れる各炭化タングステン粒子を、該鏡面加工面の法線方向から平面視したときに観察される結晶方位である。
得られた各炭化タングステン粒子の結晶方位に基づいて、上記測定領域中の全てのWC粒子について、隣接ペア間の方位差を測定する。WC粒子の一部が測定領域内の外に出ている場合、該WC粒子は方位差の測定の対象とする。
本明細書において、2つのWC粒子が隣接しているとは、1つのWC粒子の少なくとも一部と、他の1つのWC粒子の少なくとも一部が接していることを意味する。EBSDの近接する2つの測定点がいずれもWCと同定され、かつ、該2つの測定点の境界(WC粒子の界面に相当)において、結晶方位の差が10°以上である場合、該2つの測定点は異なるWC粒子であると判定される。
(D3)上記の方位差の測定を、異なる3つの測定領域で行う。該3つの測定領域の測定結果の合計に基づき、上記ソフトウェアを用いて、上記3つの測定領域中の隣接する2つの炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムを作成する。該ヒストグラムが、実施形態1の超硬合金のヒストグラムに該当する。
出願人が測定した限りでは、同一の試料において測定する限りにおいては、超硬合金の断面の切り出し箇所を任意に設定して、該断面上に上記(B3)に記載される撮影領域及び測定領域を任意に設定して、上記の手順に従い、ヒストグラムの作成を行っても、ヒストグラムのばらつきは少なく、超硬合金の断面の切り出し箇所を任意に設定し、撮影画像の撮影領域を任意に設定し、測定領域を任意に設定してもても恣意的にはならないことが確認された。
<超硬合金の製造方法>
実施形態1の超硬合金は、例えば以下の方法で作製することができる。原料粉末を準備する。炭化タングステン粒子の原料として、炭化タングステン(WC)粉末を準備する。結合相の原料としては、コバルト(Co)粉末、鉄(Fe)粉末、ニッケル(Ni)粉末が挙げられる。硬質相粒子の原料としては、TiC粉末、TiN粉末、TiCN粉末、NbC粉末、TaC粉末、ZrC粉末、MoC粉末、TiO粉末、Nb粉末及びこれらの固溶体や複合体が挙げられる。粒成長抑制剤として、炭化クロム(Cr)粉末、炭化バナジウム(VC)粉末を用いることができる。
炭化タングステン(WC)粉末の平均粒径は、0.1μm以上3.5μm以下とすることができる。コバルト(Co)粉末の平均粒径は、0.5μm以上3.5μm以下とすることができる。鉄(Fe)粉末の平均粒径は、0.5μm以上3.5μm以下とすることができる。ニッケル(Ni)粉末の平均粒径は、0.5μm以上3.5μm以下とすることができる。炭化クロム(Cr)粉末の平均粒径は、0.5μm以上3.5μm以下とすることができる。炭化バナジウム(VC)粉末の平均粒径は、0.5μm以上3.5μm以下とすることができる。上記原料粉末の平均粒径とは、原料粉末の球相当径の個数基準のメジアン径d50を意味する。原料粉末の平均粒径は、マイクロトラック社製の粒度分布測定装置(商品名:MT3300EX)を用いて測定される。
次に、原料粉末を混合して混合粉末を得る。混合にはアトライター又はボールミルを用いることができる。アトライターでの混合時間は、4時間以上18時間以下とすることができる。ボールミルでの混合時間は、4時間以上72時間以下とすることができる。
次に、混合粉末を所望の形状に成形した後に高圧プレスを行い、成形体を得る。高圧プレスの圧力は、100MPa以上とする。次に、該成形体を真空中で800℃まで加熱して脱脂する。
次に、脱脂後の成形体に対して、CIP(Cold Isostatic Pressing、冷間等方圧加工法)を行う。CIPでの圧力は392MPaとし、処理時間は60~600分とする。
次に、CIP後の成形体を真空中で1000℃まで加熱した後、焼結を行い焼結体を得る。焼結条件は、アルゴン雰囲気下、7MPaで、昇温速度10℃/分で1380℃まで加熱し、1380℃での保持時間は2時間とすることができる。アルゴン雰囲気に代えて、窒素雰囲気でもよい。
次に、上記焼結体をアルゴン雰囲気下で急冷する。続いて、冷却完了後の焼結体に対して、HIP(HIP:Hot Isostatic Pressing、熱間等方圧加圧法)を行い超硬合金を得る。該HIPの条件は、1330℃及び200MPaで保持時間2時間とすることができる。
[実施形態2:工具]
本実施形態の工具は、実施形態1の超硬合金を含む。該工具としては、例えば、切削バイト、ドリル、エンドミル、フライス加工用刃先交換型切削チップ、旋削加工用刃先交換型切削チップ、メタルソー、歯切り工具、リーマ又はタップ等を例示できる。
本実施形態の超硬合金は、これらの工具の全体を構成していてもよいし、一部を構成するものであってもよい。ここで「一部を構成する」とは、任意の基材の所定位置に本実施形態の超硬合金をロウ付けして刃先部とする態様等を示している。
≪硬質膜≫
本実施形態に係る切削工具は、超硬合金からなる基材の表面の少なくとも一部を被覆する硬質膜を更に備えてもよい。硬質膜としては、例えば、ダイヤモンドライクカーボンやダイヤモンドを用いることができる。
本実施の形態を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし、これらの実施例により本実施の形態が限定されるものではない。
[超硬合金の作製]
<試料1~試料8>
原料粉末として、WC粉末(平均粒径0.8μm)、Co粉末(平均粒径1μm)、TiCN粉末(平均粒径1μm)、NbC粉末(平均粒径1μm)、TaC粉末(平均粒径1μm)、ZrC粉末(平均粒径1μm)、MoC粉末(平均粒径1μm)を準備する。
原料粉末を表1の「原料粉末」欄に記載の比率で混合し、混合粉末を得た。例えば、試料1では、混合粉末100体積%中、WC粉末99.9体積%、Co粉末0.1体積%である。硬質相原料粉末として2種類以上の粉末を使用する場合は、これらの粉末は硬質相原料粉末全体(体積%)を等分した量を用いた。例えば、試料5では、硬質相原料粉末全体は20体積%であり、その内訳は、TiCN粉末10体積%及びNbC粉末10体積%である。混合はアトライターを用いた。アトライターでの混合時間は8時間である。
得られた混合粉末をプレス成形して、工具形状(型番SEET13T3AGSN-G(住友電工ハードメタル株式会社))とした後に高圧プレスを行い、成形体を得た。高圧プレスの圧力は、100MPaとした。次に、該成形体を真空中で800℃まで加熱して脱脂した。
次に、脱脂後の成形体に対して、CIPを行う。CIPでの圧力は392MPaとし、処理時間は60分とした。
次に、CIP後の成形体を真空中で1000℃まで加熱した後、焼結を行い焼結体を得た。焼結条件は、アルゴン雰囲気下、7MPaで、昇温速度10℃/分で1380℃まで加熱し、1380℃での保持時間は2時間とした。
次に、上記焼結体をアルゴン雰囲気下で急冷した。続いて、冷却完了後の焼結体に対して、HIPを行い超硬合金を得た。該HIPの条件は、1330℃及び200MPaで保持時間2時間とした。
<試料a~試料c>
原料粉末を表1の「原料粉末」欄に記載の比率で混合し、混合粉末を得た。混合はアトライターを用いた。アトライターでの混合時間は8時間である。
得られた混合粉末をプレス成形して、工具形状(型番SEET13T3AGSN-G(住友電工ハードメタル株式会社))とした。高圧プレスは行わなかった。次に、該成形体を真空中で800℃まで加熱して脱脂した。脱脂後のCIPは行わなかった。
次に、脱脂後の成形体を真空中で1000℃まで加熱した後、焼結を行い焼結体を得た。焼結条件は、アルゴン雰囲気下、7MPaで、昇温速度10℃/分で1380℃まで加熱し、1380℃での保持時間は2時間とした。
次に、上記焼結体をアルゴン雰囲気下で急冷した。続いて、冷却完了後の焼結体に対して、HIPを行い超硬合金を得た。該HIPの条件は、1330℃及び200MPaで保持時間2時間とした。
Figure 0007251691000001
[評価]
<超硬合金>
≪超硬合金の組成≫
各試料の超硬合金について、WC粒子、結合相及び硬質相粒子の含有率(体積%)を測定した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されている通りである。結果を表2の「超硬合金」の「WC粒子」の「体積%」欄、「結合相」の「体積%」欄及び「硬質相粒子」の「体積%」欄に示す。結合相及び硬質相粒子の組成は、元素マッピング像に基づき特定した。結果を表の「結合相」の「組成」欄、及び「硬質相粒子」の「組成」欄に示す。
≪隣接ペア間の方位差の分布≫
各試料の超硬合金について、隣接ペア間の方位差の分布を測定し、ヒストグラムを作成した。具体的な測定方法は実施形態1に記載されている通りである。該ヒストグラムに基づき、方位差29.5°以上30.5°未満の階級のピークの度数A、方位差24.5°以上29.5°未満の範囲、及び、方位差30.5°以上35.5°未満の10個の階級の度数の最大値a1、方位差89.5°以上90.5°未満の階級のピークの度数B、方位差85.5°以上89.5°未満の範囲、及び、方位差90.5°以上94.5°未満の範囲の8個の階級の度数の最大値b1を求めた。結果を表2の「ヒストグラム」の「度数A」、「度数a1」、「度数B」、「度数b1」欄に示す。「度数A」欄の「無」との記載は、方位差29.5°以上30.5°未満の階級にピークが存在しないことを示す。
更に、度数a1に対する度数Aの割合「A/a1」、及び、度数b1に対する度数Bの割合「B/b1」を算出した。結果を表2の「ヒストグラム」の「A/a1」、「B/b1」欄に示す。「A/a1」が1.2以上の場合、第1のピークが存在する(表2において「有」と記す。)と判定される。「B/b1」が1.5以上の場合、第2のピークが存在する(表2において「有」と記す。)と判定される。
<工具>
各試料の工具をカッタ(型番WGC4100R(住友電工ハードメタル株式会社))に取付、S45Cブロック材(φ6mm穴あき)のフライス加工を行った。加工条件は、切削速度Vc250m/min、テーブル送りF0.45mm/min、切込み量(軸方向)ap2.0mm、切込み量(半径方向)ae50mm、ドライ加工とした。工具に亀裂を起点とする欠損が生じるまでの加工長を測定した。加工長の最大は900mmとした。加工長が長いほど、耐欠損性に優れ、工具寿命が長いことを示す。結果を表2の「工具」の「寿命」欄に示す。「寿命」欄の「欠損なし」とは、加工長900mmの時点で、欠損が生じなかったことを示す。
Figure 0007251691000002
[考察]
試料1~試料8の超硬合金及び工具は実施例に該当し、試料a~試料cの超硬合金及び工具は比較例に該当する。試料1~試料8(実施例)の工具は、試料a~試料c(比較例)の工具に比べて、工具寿命が長いことが確認された。
以上のように本開示の実施の形態および実施例について説明を行なったが、上述の各実施の形態および実施例の構成を適宜組み合わせたり、様々に変形することも当初から予定している。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態および実施例ではなく請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 炭化タングステン粒子、2 結合相

Claims (5)

  1. 炭化タングステン粒子と、結合相と、を含む超硬合金であって、
    前記超硬合金における、前記炭化タングステン粒子及び前記結合相の合計含有率は、80体積%以上であり、
    前記超硬合金における、前記結合相の含有率は0.1体積%以上20体積%以下であり、
    前記超硬合金中の隣接する2つの前記炭化タングステン粒子からなる隣接ペア間の方位差の分布を示すヒストグラムにおいて、前記方位差29.5°以上30.5°未満の階級に第1のピークが存在し、
    前記ヒストグラムの横軸の前記階級は、前記方位差を示し、かつ、前記階級の幅は1.0°であり、
    前記ヒストグラムの縦軸の度数は、前記超硬合金中の全ての前記隣接ペアの数に対する各階級に属する前記隣接ペアの数の割合を示す、超硬合金。
  2. 前記方位差29.5°以上30.5°未満の階級の度数は、0.010以上0.2以下である、請求項1に記載の超硬合金。
  3. 前記ヒストグラムにおいて、方位差89.5°以上90.5°未満の階級に第2のピークが存在する、請求項1又は請求項2に記載の超硬合金。
  4. 前記ヒストグラムは、前記超硬合金の断面に対してEBSD解析を行い、前記断面上に設けられた85μm×115μmの矩形の測定視野内に存在する全ての炭化タングステン粒子に対して、前記隣接ペア間の方位差を測定することにより作成される、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超硬合金。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の超硬合金を含む工具。
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