JP2016041853A - 超硬合金、マイクロドリル、及び超硬合金の製造方法 - Google Patents

超硬合金、マイクロドリル、及び超硬合金の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】長寿命な上に、突発的な折損を抑制できて製品間の性能のばらつきの小さい工具が得られる超硬合金、及び超硬合金の製造方法を提供する。【解決手段】炭化タングステンを主体とする硬質相粒子と、鉄族金属を主体とし、前記硬質相粒子同士を結合する結合相金属とを備える超硬合金であって、イオンビーム加工により加工してなる前記超硬合金の任意の断面における3つ以上の箇所において、総視野数が10以上60以下で総視野面積が30000μm2以上となるように観察視野をとり、円相当径が1μm未満のポアの数を測定した際、前記ポアの数が0.02個/μm2以下である超硬合金。【選択図】図1

Description

本発明は、炭化タングステン(WC)を含む硬質相粒子と、鉄族金属を主体とし、硬質相粒子同士を結合する結合相金属とを備える超硬合金に関する。特に、長寿命な上に、突発的な折損を抑制できて製品間の性能のばらつきの小さい工具が得られる超硬合金に関する。
切削工具の素材として、WCといった硬質相粒子と、Coを主体とし、硬質粒子同士を結合する結合相金属とを備える超硬合金が利用されている。また、ドリル径φが1mm以下のいわゆるマイクロドリルの素材として、粒径が1μm以下の超微粒のWCを硬質相粒子とする、いわゆる超微粒超硬合金が開発されてきている(例えば、特許文献1)。特許文献1には、超微粒のWCの硬質相粒子と、この硬質相粒子間に存在し、比較的薄く、かつ厚い部分が少なく均一的な組織を有する結合相金属とを備える超硬合金が開示されている。また、この超硬合金の製造方法として、原料粉末を成形後に焼結して熱間静水圧プレス(HIP)を行うに際して、その原料粉末には、アトライタによる混合と分散装置による分散とを個別に行って得られる混合粉末を用いることを開示している。
特開2013−060666号公報
従来の超硬合金は、上述のような組織を有することで微細な偏摩耗を低減できて長寿命な工具が得られる。しかし、それでもなお工具の突発的な折損による製品間の寿命のばらつきが生じることがあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、長寿命な上に、突発的な折損を抑制できて製品間の性能のばらつきの小さい工具が得られる超硬合金を提供することにある。本発明の他の目的は、上記超硬合金からなるマイクロドリルを提供することにある。本発明の別の目的は、上記超硬合金の製造方法を提供することにある。
本発明の超硬合金は、炭化タングステンを主体とする硬質相粒子と、鉄族金属を主体とし、硬質相粒子同士を結合する結合相金属とを備える。この超硬合金は、円相当径が1μm未満のポアの数が0.020個/μm以下である。上記ポアの数は、イオンビーム加工により加工してなる超硬合金の任意の断面の異なる3つ以上の箇所において、総視野数が10以上60以下で総視野面積が30000μm以上となるように観察視野をとって測定する。
本発明のマイクロドリルは、上記本願発明の超硬合金からなる。
本発明の超硬合金の製造方法は、以下の原料準備工程と、混合工程と、成形工程と、焼結工程と、プレス工程とを備える。原料準備工程は、炭化タングステン粉末と、鉄族金属粉末とを含む原料粉末を準備する。上記炭化タングステン粉末は、平均粒径が0.1μm以上0.7μm以下である。上記鉄族金属粉末は、平均粒径が0.2μm以上0.6μm以下で含有量が0質量%超15質量%以下である。混合工程は、原料粉末の混合と分散とを個々に行って混合粉末を作製する。成形工程は、混合粉末を成形して成形体を作製する。焼結工程は、成形体を1340℃以上1400℃以下で焼結を行って焼結体を作製する。プレス工程は、焼結体を8MPa以上の不活性ガス雰囲気下において、1360℃以上1430℃以下かつ焼結の温度以上で熱間静水圧プレスを行う。
本発明の超硬合金は、微細なポアの数が少なく、耐摩耗性及び耐欠損性に優れる。特に、細径の製品とした場合に、製品間の機械的性能のばらつきが小さい。
本発明のマイクロドリルは、長寿命な上に、突発的な折損が生じ難くて製品間の性能のばらつきが小さい。
本発明の超硬合金の製造方法は、長寿命な上に、突発的な折損を抑制できて製品間のばらつきの小さい工具に好適に利用できる超硬合金を製造できる。
試料No.3の顕微鏡写真(2000倍)である。 試料No.15の顕微鏡写真(2000倍)である。 試料No.15の顕微鏡写真(5000倍)である。 試料No.15の顕微鏡写真(35000倍)である。
《本発明の実施形態の説明》
本発明者は、従来の超硬合金からなる工具(特にマイクロドリルのような径の小さい工具)において、製品間の性能のばらつきを生じさせる突発的な折損の原因を鋭意検討した。
上述した従来の超硬合金では、従来折損の原因と考えられていたサイズ(例えば、円相当径が1μm以上)のポア(以下、粗大巣ということがある)について、一般的な顕微鏡による断面観察によれば十分に低減できていることが確認できた。その上、粗大巣よりも更に小さいサイズ(例えば、円相当径が1μm未満)のポア(以下、微小巣ということがある)も一般的な顕微鏡による断面観察によれば認められないことを確認した。それにもかかわらず、従来の超硬合金で作製される工具には、突発的な折損が生じる場合があった。
そこで、巣の確認に関して試料の観察手法自体から見直すべく、一般的な試料断面の形成方法と、その方法で形成された断面の性状に関する再検討を行った。すると、従来の観察手法では、断面形成時の切断工具と試料との摺接により、断面は結合相金属が展伸された展伸部で覆われた状態となっていることが判明した。この展伸部が超硬合金の微小巣の確認を阻害する要因であり、この展伸部を除去すれば、或いはこの展伸部が形成されないように断面を採ればより適切に超硬合金の特性評価が可能になるのではないかと考えた。そこで、展伸部を除去する手法、或いは展伸部が形成されない手法を工夫して断面の観察を行った。その結果、展伸部の除去する手法、或いは展伸部が形成されない特定の観察手法により試料を観察すれば、一般的な顕微鏡による断面観察では認められなかった微小巣の存在が認められる場合があるとの知見を得た。
上記知見を基に微小巣の数が突発的な折損の原因となるのではないかと考え、微小巣の数の多寡による影響を調べるため、微小巣の数が少ない超硬合金の製造方法を更に鋭意検討した。具体的には、原料粉末の混合と分散とを個々に行うことに加えて、焼結後のHIPを特定の雰囲気圧下かつ特定の温度で行ったところ、得られた超硬合金は、上記特定の観察手法により、微小巣の数が従来の超硬合金に比べて非常に少ないとの知見を得た。そして、詳しくは後述する試験例で説明するが、微小巣の数の多寡による耐折損性を評価したところ、微小巣の数が特定の数以下のとき、長寿命な上に、突発的な折損を抑制できて製品間の性能のばらつきの小さい工具が得られるとの知見を得た。本発明は、これらの知見に基づくものである。最初に本発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)実施形態に係る超硬合金は、炭化タングステンを主体とする硬質相粒子と、鉄族金属を主体とし、硬質相粒子同士を結合する結合相金属とを備える。この超硬合金は、円相当径が1μm未満のポアの数が0.020個/μm以下である。上記ポアの数は、イオンビーム加工により加工してなる超硬合金の任意の断面の異なる3つ以上の箇所において、総視野数が10以上60以下で総視野面積が30000μm以上となるように観察視野をとって測定する。
上記の構成によれば、長寿命な上に、製品間の性能のばらつきの小さい工具が得られる超硬合金とすることができる。円相当径が1μm未満のポア(微小巣)の数を0.020個/μm以下と非常に少なくすることで、この超硬合金で切削工具を構成すると、後述する試験例で示すように突発的な折損を抑制できるからである。また、上記微小巣の数が0.020個/μm以下と非常に少ないことで、円相当径が1μm以上のポア(粗大巣)は実質的に存在しないため、工具の長寿命化を図ることができる。粗大巣が実質的に存在しないとは、上述した微小巣の数の測定、即ち、超硬合金の任意の断面の異なる3つ以上の箇所において、総視野数が10以上60以下で総視野面積が30000μm以上となるように観察視野をとって行った測定では検出されないことを言う。
(2)上記実施形態に係る超硬合金の一形態として、粒径が1.0μm超である炭化タングステンの粒子の面積の割合が、1.00%以下であることが挙げられる。上記割合は、超硬合金の表面において、総視野数5以上30以下で総視野面積1000μm以上となるように観察視野をとって、炭化タングステンの粒子の円相当径を算出した際の炭化タングステンの粒子の合計面積に対する割合である。
粗大な粒子は突発的な折損(特に、使用初期に起こり易い)の起点となり易いため、粗大な粒子を少なくすることで突発的な折損を抑制できる。また、粗大な粒子が少ないため、超硬合金全体に亘って均一的な特性を有することができる。さらに、粗大な粒子が少ないことで結合相金属の厚さの均一化を達成し易い。そして、炭化タングステン粒子も均一的でかつ微細であることで、微細な偏摩耗などを効果的に低減できる。
(3)上記実施形態に係る超硬合金の一形態として、結合相金属の平均厚さが0.14μm以下であり、結合相金属の0.5μm以上の厚さの存在比率が0.15%以下であることが挙げられる。ここでは、超硬合金の任意の断面において、総視野数5以上30以下で総視野面積1000μm以上となるように観察視野をとり、観察視野内の炭化タングステンの粒子間に存在する各結合相金属を1つの円に近似した際、円の直径の平均を結合相金属の平均厚さとし、円の全数に対して直径が0.5μm以上である円の数の割合を結合相金属の0.5μm以上の厚さの存在比率とする。
厚さのばらつきは摩耗を促進するため、厚さを均一的にすることで耐摩耗性を向上できる。鉄族金属のミクロな凝集や偏在といった結合相金属の厚さが局所的に厚い部分がほとんど生じておらず、結合相金属中に超微粒の炭化タングステン粒子が均一的に分散した状態である。そのため、この超硬合金で切削工具を構成すると、微細な偏摩耗を抑制でき、工具の長寿命化を図ることができる。また、鉄族金属のミクロな凝集や偏在がほとんど生じていないことから、高い機械的特性(例えば、強度(抗折力))を有する上に、同じ組成の超硬合金と比較した場合、強度のばらつきも小さい。
(4)上記実施形態に係る超硬合金の一形態として、超硬合金は、バナジウム及びクロムを含有していることが挙げられる。この場合、鉄族金属の含有量をα(質量%)とし、炭化物換算による総量をバナジウムの含有量とするときのバナジウムの含有量をβ(質量%)とする際、鉄族金属の含有量に対するバナジウムの含有量の割合(β/α)×100が2%以上7%以下であることが好ましい。
上記割合を2%以上とすることで、均一的でかつ微細な組織を有する。製造過程での炭化タングステン粒子の粒成長を抑制できるからである。上記割合を7%以下とすることで、上記粗大巣が実質的に存在せず、上記微小巣の数が非常に少ない。製造過程でバナジウムの析出を抑制できるので、バナジウムの析出による欠陥の発生及び欠陥の発生に伴う焼結の阻害を抑制できて、上記粗大巣の発生及び上記微小巣の増加を抑制できるからである。
(5)上記実施形態に係る超硬合金の一形態として、超硬合金全体に対するバナジウムの含有量が、0.35質量%以上0.60質量%以下であることが挙げられる。
超硬合金全体に対するバナジウムの含有量0.35質量%以上とすることで、炭化タングステン粒子の粒成長抑制効果を十分に得られる。一方、バナジウムの上記含有量を0.60質量%以下とすることで、結合相金属との濡れ性の悪化による機械的特性の低下を抑制できる。
(6)上記実施形態に係る超硬合金の一形態として、上記ポアの数が、0.005個/μm以下であることが挙げられる。
上記の構成によれば、突発的な折損の原因となり得る微小巣の数がより一層少ないので、より一層長寿命かつ製品間の性能のばらつきの小さい工具が得られる。
(7)実施形態に係るマイクロドリルは、上記(1)〜(6)のいずれか1つの実施形態に係る超硬合金からなる。
上記の構成によれば、上記微小巣の数が少ない超硬合金からなるため、長寿命な上に、突発的な折損が生じ難く製品間の性能のばらつきが小さい。
(8)実施形態に係る超硬合金の製造方法は、以下の原料準備工程と、混合工程と、成形工程と、焼結工程と、プレス工程とを備える。原料準備工程は、炭化タングステン粉末と、鉄族金属粉末とを含む原料粉末を準備する。上記炭化タングステン粉末は、平均粒径が0.1μm以上0.7μm以下である。上記鉄族金属粉末は、平均粒径が0.2μm以上0.6μm以下で含有量が0質量%超15質量%以下である。混合工程は、原料粉末の混合と分散とを個々に行って混合粉末を作製する。成形工程は、混合粉末を成形して成形体を作製する。焼結工程は、成形体を1340℃以上1400℃以下で焼結を行って焼結体を作製する。プレス工程は、焼結体を8MPa以上の不活性ガス雰囲気下において、1360℃以上1430℃以下かつ焼結の温度以上で熱間静水圧プレスを行う。
上記の構成によれば、長寿命な上に製品間の性能のばらつきの小さい工具に好適に利用できる超硬合金を製造できる。混合工程を、混合と分散とを個々に行うことで、粉砕及び分散の双方を良好に行え、全体に亘って微細で均一的な組織を有すると共に、上記粗大巣が実質的に存在しない超硬合金が得られる。その上、HIPを上記特定の雰囲気圧下及び上記特定の温度で行うことで、上記微小巣の数を減らすことができるからである。
(9)上記実施形態に係る超硬合金の製造方法の一形態として、原料粉末が炭化バナジウム粉末及び炭化クロム粉末を含むことが挙げられる。この場合、鉄族金属粉末の含有量をα(質量%)、炭化バナジウム粉末の含有量をβ(質量%)とするとき、鉄族金属粉末の含有量に対する炭化バナジウム粉末の含有量の割合(β/α)×100が2%以上7%以下であることが好ましい。
上記割合を2%以上とすることで、焼結工程やプレス工程で炭化タングステン粒子の粒成長を抑制できる。上記割合を7%以下とすることで、焼結工程でバナジウムが析出して欠陥になることを抑制でき、焼結を阻害することによる上記粗大巣の発生及び上記微小巣の増加を抑制できる。
(10)上記実施形態に係る超硬合金の製造方法の一形態として、原料粉末が炭化クロム粉末と上記特定の割合の炭化バナジウム粉末とを含む場合、熱間静水圧プレスの温度と焼結の温度との差が30℃以上であることが挙げられる。この場合、例えば、分散をビーズミルにより行うことが特に好ましい。
上記の構成によれば、上記微小巣の数がより少ない超硬合金が得られる。
(11)上記実施形態に係る超硬合金の製造方法の一形態として、原料粉末が炭化クロム粉末と上記特定の割合の炭化バナジウム粉末とを含むと共に、熱間静水圧プレスの温度と焼結の温度との差が30℃以上である場合、鉄族金属粉末の含有量αに対する炭化バナジウム粉末の含有量βの割合(β/α)×100)が、4%以上5.5%以下であることが挙げられる。この場合、例えば、分散をビーズミルにより行うことが特に好ましい。
上記の構成によれば、上記微小巣の数がより一層少ない超硬合金が得られる。
(12)上記実施形態に係る超硬合金の製造方法の一形態として、原料粉末が炭化クロム粉末と上記特定の割合の炭化バナジウム粉末を含む場合、鉄族金属粉末の含有量αに対する炭化バナジウム粉末の含有量βの割合(β/α)×100が4%以上6%以下であることが挙げられる。この場合、例えば、分散をジェットミルにより行うことが特に好ましい。
上記の構成によれば、上記微小巣の数がより少ない超硬合金が得られる。
(13)上記実施形態に係る超硬合金の製造方法の一形態として、鉄族金属粉末の含有量αに対する炭化バナジウム粉末の含有量βの割合(β/α)×100が4%以上6%以下の場合、熱間静水圧プレスの温度と焼結の温度との差が30℃超であることが挙げられる。この場合、例えば、分散をジェットミルにより行うことが特に好ましい。
上記の構成によれば、上記微小巣の数がより一層少ない超硬合金が得られる。
《本発明の実施形態の詳細》
本発明の実施形態の詳細を、以下に説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
〔超硬合金〕
実施形態に係る超硬合金は、炭化タングステン(WC)を主体とする硬質相粒子と、鉄族金属を主体とし、硬質相粒子同士を結合する結合相金属とを備える。この超硬合金の主たる特徴とするところは、特定サイズのポアの数が少ない点にある。まず、実施形態に係る超硬合金を説明し、続いて超硬合金の製造方法を説明する。
[硬質相粒子]
硬質相粒子は、WCを含むセラミックスの粉末の構成粒子である。WCを「含む(主体とする)」とは、質量%で硬質相の過半数、特に90%以上をWCとすることを言う。勿論、実質的にWCのみで構成されている場合も含む。硬質相粒子は、超硬合金のうち結合相金属や後述する粒成長抑制剤を除く残部を構成するものとする。硬質相粒子を構成するWCの粒径は、小さいほど好ましく、例えば、0.7μm以下が好ましい。そうすれば、抗折力や耐摩耗性が向上し易い。また、WCの平均粒径は、0.1μm以上とすることが好ましい。そうすれば、平均粒径が小さすぎることがないため、熱亀裂を抑制し易い。
WC粒子の平均粒径が小さいだけでなく、粗大なWC粒子の存在量が少ない超硬合金であると、後述する結合相金属の厚さを均一的にし易い上に、WC粒子も均一的でかつ微細であることで微細な偏摩耗などを効果的に低減できると期待される。具体的には、WC粒子全体(合計面積)に対して、粒径が1.0μm超であるWC粒子の面積の割合が、1.00%以下であることが好ましい。粒径が1.0μm超であるWC粒子の割合は、少ないほど好ましく、実質的には存在しないことが特に好ましい。即ち、各WC粒子の粒径の最大径が1.00μm以下であることが特に好ましい。実質的に存在しないとは、後述するWC粒子の粒径の測定では検出されないことを言う。
WC粒子の平均粒径及び粒径が1.0μm超であるWC粒子の面積の割合は、超硬合金の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察した観察像を画像解析装置にて解析し、各WC粒子の円相当径を算出した値から求めることができる。例えば、倍率は8000〜20000倍、観察視野数は5〜30、総観察面積は1000μm以上となるように適宜選択することができる。また、粒径が1.0μm超であるWC粒子の面積の割合は超硬合金の断面においてEBSD(Electron Back−Scatter diffraction)法により求めることもできる。
[結合相金属]
結合相金属は、上述した硬質相粒子間に比較的薄くかつ均一的に存在して硬質相粒子同士を結合する。具体的には、結合相金属の平均厚さが0.14μm以下、かつ、厚さが0.5μm以上である割合が0.15%以下である。即ち、結合相金属の厚さが大きい部分の割合が小さく、結合相金属の99%以上は、厚さが0.5μm未満であるといえる。平均厚さが0.14μm以下、及び厚さが0.5μm以上の割合が0.15%以下の少なくとも一方を満たす超硬合金は、結合相のミクロな凝集や偏在を抑制でき、工具(例えば、マイクロドリル)を作製して穴加工などを行った際、微細な偏摩耗を抑制できて長寿命化を図ることができる。平均厚さが小さいだけでなく、結合相のミクロな凝集や偏在といった結合相金属の厚さが厚い部分がほとんど生じておらず、結合相金属中に硬質相粒子が均一的に分散した状態であるからである。
結合相金属の厚さは、硬質相粒子間に存在する結合相金属を一つの粒(断面円形状)と近似したときの直径とする。具体的には、以下のように測定する。超硬合金の任意の断面が得られるように切断し、この断面において、各箇所をFE−SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)にて倍率は5000倍〜10000倍、総視野数は5以上30以下、総視野面積1000μm以上となるように観察視野をとって観察し、この観察像を撮影する。撮影像では、硬質相粒子が灰色、結合相金属が黒色で表示される。この撮影像を画像処理装置を用いて、各黒色領域をそれぞれ円に近似する。即ち、複数の結合相金属領域をそれぞれ円に見なす。これら各円の直径を測定し、各直径を一つの結合相金属領域の厚さとする。選択した5箇所以上について各円の直径を測定し、その平均を結合相金属の平均厚さとする。また、直径が0.5μm以上である円の数を求め、全ての円の数に対して、直径が0.5μm以上である円の数の割合(%)を「厚さが0.5μm以上の割合」とする。
結合相金属を構成する鉄族金属としては、NiやCoが挙げられる。結合相金属がCoを主体とすると、特に焼結性が向上し、焼結体を緻密とし易く、超硬合金の強度、破壊靱性を向上できる。一方、Niを主体とすると、超硬合金の耐食性を向上できる。結合相金属は、後述する粒成長抑制剤を含有しない場合、実質的に鉄族金属のみから構成される。粒成長抑制剤を含有した場合、結合相金属中に粒成長抑制剤に起因する元素(VやCr)が存在する(固溶している)ことを許容する。即ち、鉄族金属を「主体とする」とは、実質的に鉄族金属のみで構成されている場合や、結合相を100質量%とした際、鉄族金属以外の金属(例えば、W、V、Crなど)を15質量%程度含む場合も含む。
超硬合金全体に対する結合相金属の含有量は、15質量%以下とする(但し、0質量%を除く)。結合相金属の含有量が15質量%超であると、超硬合金の靭性が高くなる反面、耐摩耗性が低下する。0超15質量%以下の範囲において、結合相金属の含有量が少ないほど超硬合金の耐摩耗性が高くなる傾向にあり、多いほど抗折力や靭性が高くなる傾向にある。上記範囲内で所望の特性に応じて鉄族金属の含有量を調整することができる。結合相金属の含有量は、3質量%以上、更には5質量%以上、特に6質量%以上とすることができる。また、結合相金属の含有量は、10質量%以下、特に8質量%以下とすることができる。超硬合金全体に対する結合相金属の含有量は、製造時に準備する原料粉末の鉄族金属粉末の含有量と実質的に一致する。
[粒成長抑制剤]
硬質相粒子として超微粒のWC粉末を用いると共に、製造過程の焼結時などでの硬質相粒子の粒成長を抑制するために、粒成長抑制剤を含有することが好ましい。粒成長抑制剤は、バナジウム(V)の炭化物(VC)やクロム(Cr)の炭化物(Cr)といった化合物が挙げられる。VC及びCrの少なくとも一方を含有してもよいが、好ましくは双方を含有する。
VCやCrはその一部がVやCrとして超硬合金中に存在することがある。超硬合金中のVやCrの含有量(VCやCrに含まれるVやCr、及び金属元素単体で存在するVやCrの合計含有量)は、例えば、ICP(誘導結合プラズマ発光分析)で分析することで求められる。従って、上記VやCrの含有量を用いることで、VやCrを炭化物に換算したときの炭化物の含有総量が求められる。なお、算出した炭化物の含有総量は、製造時に粒成長抑制剤として含有したVCやCrの含有量と実質的に一致する。
Vを炭化物換算した総量をVの含有量β(質量%)とし、上述の結合相金属のうち鉄族金属の含有量をα(質量%)とすると、鉄族金属の含有量αに対するVの含有量βの割合(β/α)×100は、2%以上7%以下とすることが好ましい。上記割合(β/α)×100を2%以上とすることで、均一的でかつ微細な組織の超硬合金とすることができる。製造過程での硬質相粒子の粗大化を抑制できるからである。上記割合(β/α)×100を7%以下とすることで、上記粗大巣が実質的に存在せず、上記微小巣の数が非常に少ない超硬合金とすることができる。製造過程でVの析出を抑制できるので、Vの析出による欠陥の発生及び欠陥の発生に伴う焼結の阻害を抑制できて、上記粗大巣の発生及び上記微小巣の増加を抑制できるからである。上記割合(β/α)×100は、4%以上7%以下がより好ましく、更には4%以上6%以下が好ましく、特に4%以上5.5%以下とすることが好ましい。また、Crを炭化物換算した総量をCrの含有量γ(質量%)とすると、鉄族金属の含有量αに対するCrの含有量γの割合(γ/α)×100は、4%以上7%以下とすることができ、特に5%以上6%以下とすることができる。さらに、鉄族金属粉末の含有量αに対するVの含有量β及びCrの含有量γの和(β+γ)の割合((β+γ)/α)×100は、8%以上、10.5%以上とすることができ、13%以下、11.5%以下とすることができる。
超硬合金全体に対するVの含有量βは、0.2質量%以上0.6質量%以下、特に0.35質量%以上0.60質量%以下とすることが好ましい。一方、超硬合金全体に対するCrの含有量は、0.5質量%以上1.0質量%以下が好ましい。このCrの含有量は、例えば、0.5質量%以上0.7質量%以下とすることができる。Vが0.2質量%以上、Crが0.5質量%以上であると、粒成長抑制効果を得ることができる。Vが0.6質量%以下、Crが1.0質量%以下であると、VやCrなどの析出相の出現を抑制できてその出現による靭性の低下を抑制できる。特に、Vが過剰な場合、Vと鉄族金属との濡れ性が悪いことで、抗折力が低下する傾向にある。上記範囲でVやCrを含有することで、超硬合金中の硬質相粒子の最大径や粒径のばらつきが小さく、粗大な硬質相粒子の存在割合も小さい超硬合金とすることができる。
[ポア]
超硬合金の微小なサイズのポア(微小巣)の数は、少ないほど好ましい。具体的には、0.020個/μm以下とすることが挙げられる。そうすれば、長寿命で製品間のばらつきの小さい工具が得られる。ここでいう微小巣とは、円相当径が1μm未満のポアを言う。微小巣の数は、0.015個/μm以下、更に0.010個/μm以下、特に0.005個/μm以下が好ましい。微小巣は存在しないこと、即ち微小巣の数は理論上0(ゼロ)となることが望まれるが、現実には0とすることは難しい。そこで、微小巣の数は、検出限界で微小巣が見出せなければ、微小巣の数をゼロと見なす。
微小巣の数の測定は、イオンビーム加工に代表される応力レス加工により加工した超硬合金の任意の断面における3つ以上の箇所において、総視野数が10以上60以下で総視野面積が30000μm以上となるように観察視野をとって行う。イオンビーム加工としては、例えば、イオンミリング加工や集束イオンビーム加工などが挙げられる。
観察断面の形成手法には、(1)展伸部が生じない断面の形成手法と、(2)生じた展伸部を事後的に除去する断面の形成手法とがある。いずれの手法においても、十分な観察面積が得られ、かつ超硬合金自体の表面性状に極力影響を及ぼさない条件でイオンビームを照射することが好ましい。また、いずれの照射手法においても、イオンビームのイオン種には、Ar又はGaなどを利用できる。
例えば、前者(1)の場合、試料の適宜な面に、放電電圧を1.5kV、加速電圧を6kV、突き出し量を50μm、照射時間を2時間以上4時間以下としてイオンビームを照射することが挙げられる。この場合、予め試料の表面をラッピングしておく必要はない。このイオンビームの照射は、例えば、遮蔽板を照射対象の上に配置し、遮蔽板から照射対象を部分的に突出させて、その突出した箇所に行うことが挙げられる。このとき、照射対象の遮蔽板から突出した長さを上記突き出し量とする。この手法では、イオンビームの照射により試料の一部を除去して断面を形成し、その形成された断面を観察することになる。
一方、後者(2)の場合、試料の所定の面、通常は断面に一旦ラッピングを行い、その後にイオンビームを照射する。ラッピングにより展伸部が形成されるが、イオンビームの照射により照射面から数μmの深さ分を削り取り、展伸部を除去する。このイオンビームの照射は、試料の局所的な除去により観察断面を形成すると言うよりも、断面に形成された展伸部の除去ができればよいので、前者(1)に比べて比較的緩やかな照射条件にて行えばよい。より具体的には、照射源から試料までの距離が長い、試料に対するイオンビームの照射角度が浅い、照射時間が短いなどの少なくとも一つの条件を選択することが挙げられる。例えば、照射時間は数分程度とすることが可能である。この手法では、展伸部の除去された断面を観察することになる。
断面観察には、FE−SEMを利用することができる。そして、上記3つの箇所の選択は、それぞれが1mm以上離れた箇所とすることが好ましい。この観察手法により、上述したような従来一般的な観察手法の場合に生じる展伸部が形成されず、電子顕微鏡観察においてエッジ効果により微小巣の周辺が光って見えるため(例えば図2〜4(後述))、上記微小巣を観察できる。従来一般的な観察手法では展伸部が形成されるので、十分なエッジ効果が得られない。電子顕微鏡観察では結合相が暗く(硬質相は明るく)見えるため、十分なエッジ効果が得られないと、微小巣と結合相との判別が難しい。そのため、従来一般的な観察手法では、比較的低倍率かつ広い面積の観察を必要とする「数の評価」は実質的に不可能である。
なお、微小巣よりも大きなサイズ(円相当径が1μm以上)のポア(粗大巣)は、実質的に存在しない。実質的に存在しないとは、上記微小巣の数の測定で検出されないことを言う。
[用途]
超硬合金は、抗折力が高く、耐摩耗性に優れ(高硬度で)、高靭性であることから、このような特性が望まれる種々の部材の素材に好適に利用することができる。例えば、切削工具素材、特に、微細な加工を行う切削工具の素材に適する。具体的な工具は、ドリル径0.01〜0.3mmのマイクロドリルが挙げられる。その他、タイバーカットパンチ及びタイバーカットダイやガラスレンズ用金型、薄刃スリッタ、ウォータージェットノズル、高硬度木材用のこ刃などの素材に利用することができる。
〔作用効果〕
上述の超硬合金によれば、長寿命な上に、製品間の性能のばらつきの小さい工具が得られる。超硬合金は上記微小巣の数が少ないので、この超硬合金で切削工具を構成すると、突発的な折損を抑制できるからである。また、超硬合金は、微細かつ均一的な組織を有するので、この超硬合金で切削工具を構成すると、微細な偏摩耗を低減して長寿命化を図ることができるからである。
〔超硬合金の製造方法〕
超硬合金の製造方法は、原料準備工程と、混合工程と、成形工程と、焼結工程と、プレス工程とを備える。この超硬合金の製造方法の主たる特徴とするところは、混合工程で混合と分散とを個々に行い、プレス工程を特定の雰囲気圧下かつ特定の温度で行う点にある。以下、各工程を詳細に説明する。
[原料準備工程]
硬質相粉末と鉄族金属粉末とを含む原料粉末を準備する。
(硬質相粉末)
硬質相粉末は、超微粒のWC粉末を用いることが好ましい。具体的には、WC粉末の平均粒径は、0.1μm以上0.7μm以下が好ましい。WC粉末の平均粒径を0.1μm以上とすることで、焼結時などで再析出する際、粒成長して粗大な粒子になることを抑制できる。WC粉末の平均粒径を0.7μm以下とすることで、超硬合金中に存在するWC粒子を微細にすることができる。WC粉末の平均粒径は、0.1μm以上0.5μm以下が特に好ましい。このような超微粒のWC粉末は、酸化タングステンを直接炭化する直接炭化法などにより製造することができる。
(鉄族金属粉末)
鉄族金属粉末も微粒であることが好ましい。具体的には、鉄族金属粉末の平均粒径は、0.2μm以上0.6μm以下が好ましい。鉄族金属粉末の平均粒径を0.2μm以上とすることで、後述する混合工程で再凝集することを抑制できるため、鉄族金属の粗大化を抑制できる。鉄族金属粉末の平均粒径を0.6μm以下とすることで、超硬合金中に粗大な鉄族金属が存在することを抑制できる。特に、BET法により求められる比表面積が1m/g以上の鉄族金属粉末を用いることが好ましい。SEMなどで形状観察を行って、一次粒子の凝集体や粗大粒子が少なくなるように、更には含まなくなるように選定すること好ましい。上記範囲のサイズの鉄族金属粉末の含有量αは、上述したように0質量%超15質量%以下含有することが挙げられる。
(粒成長抑制剤)
粒成長抑制剤を含有する場合、粒成長抑制剤も微粒であることが好ましい。具体的には、VCの平均粒径は0.2μm以上0.4μm以下、Crの平均粒径は0.3μm以上2.0μm以下が好ましい。VCの平均粒径を0.2μm以上、Crの平均粒径を0.3μm以上とすることで、後述する混合工程で再凝集することを抑制できる。VCの平均粒径を0.4μm以下、Crの平均粒径を2.0μm以下とすることで、超硬合金中に炭化物として存在した場合、破壊の起点となることを抑制でき、耐折損性が低下を抑制できる。VCの含有量βは、上述したように、鉄族金属粉末の含有量αに対する割合(β/α)×100を2%以上7%以下とすることが好ましい。上記割合(β/α)×100を4%以上5.5%以下を満たすことがより一層が好ましい。この場合、後述する混合工程において、分散装置にビーズミルを用いることが特に好ましい。また、上記割合(γ/α)×100を4%以上7%以下、及び上記割合((β+γ)/α)×100を8%以上11.5%以下の少なくとも1つを満たすようにすることもできる。一方、上記割合(β/α)×100を4%以上6%以下とすることが好ましい。この場合、後述する混合工程において、分散装置にジェットミルを用いることが特に好ましい。また、上記割合((β+γ)/α)×100を10.5%以上13%以下を満たすようにすることもできる。超硬合金全体に対するVCの含有量βは、上述したように0.2質量%以上0.6質量%以下とすることが好ましく、同Crの含有量γは、上述したように0.5質量%以上1.0質量%以下とすることが好ましい。
[混合工程]
原料粉末の混合と分散とを個々に行って混合粉末を作製する。このように混合と分散とを併用することで、粉砕及び分散の双方を良好に行え、全体に亘って微細で均一的な組織を有する超硬合金が得られる。その上、上記粗大巣(円相当径が1μm以上)が実質的に存在しない超硬合金が得られる。混合と分散とを個々に行うとは、混合装置により混合処理を行った後、分散装置により分散処理を行ってもよいし、混合装置と分散装置とを接続し、両者の間で原料を循環させて処理を行ってもよい。原料粉末の混合には、例えば、アトライタと呼ばれる湿式粉砕分散装置やボールミルを用いることができ、原料粉末の分散には、例えば、ビーズミル、サンドミル、湿式ジェットミルなどを利用できる。
アトライタは、直径0.03mm以上30mm以下、一般的には直径3mm以上15mm以下程度の粒状の分散粉砕媒体(メディア)を円筒容器に充填して、アームを具える撹拌軸をこの容器内で高速回転し、高速回転場でメディア同士を衝突、接触(擦過)させることで、液体に混ぜてスラリー状にした分散粉砕対象を分散、粉砕する装置である。従来、直径3〜5mm程度の超硬合金製ボールをメディアとするアトライタにより、原料粉末を混合することが行われている。アトライタを用いることで、混合と共に、粗大な硬質相粒子を粉砕し、均粒化を促進することができる。ボールミルは、撹拌軸を備えておらず、容器自体が回転して分散粉砕対象を分散、粉砕する点が上記アトライタと相違する。具体的には、超硬合金製で直径0.03mm以上30mm以下、一般的には、直径3mm以上15mm以下程度のメディアを利用することが挙げられる。
ビーズミル、サンドミルなどの分散装置は、上記アトライタと概ね同様の構成であるが、メディアの大きさがアトライタで用いられるものよりも小さく、利用される撹拌軸の形態も異なる。ビーズミルでは、メディアに超硬合金製で直径0.03mm以上2mm以下程度、特に直径0.5mm以上1.5mm以下程度を利用することが好ましく、ピンを具える撹拌軸を利用する。サンドミルでは、メディアに超硬合金製で直径1mm以上5mm以下程度、特に直径1mm以上4mm以下程度を利用することが好ましく、ディスクを具える撹拌軸を利用する。その他、分散装置には、湿式ジェットミル(対向配置されたノズルからスラリー状の分散対象を加圧して噴射し、対象同士を衝突させることで分散対象を分散する装置)などを利用することができる。
混合と分散の合計処理時間は、5〜20時間が好ましく、5〜10時間がより好ましい。混合のみの処理時間は、10時間未満が好ましく、1〜4時間がより好ましい。混合のみの処理時間を上記範囲とすることで、粉砕した鉄族金属(Co)が再凝集して粗大化することを抑制でき、この粉末を用いた超硬合金は鉄族金属(Co)のミクロな凝集や偏在し難いと考えられる。また、適切な合計処理時間とすることで、結合相金属の平均厚さが0.14μm以下、かつ厚さが0.5μm以上である結合相金属の割合を結合相金属全体に対して0.15%以下にすることができる。加えて、結合相金属の厚さの3σが0.2以下を満たす超硬合金とすることもできる。更に、混合と分散との処理を上記範囲内で行うことで、粒成長抑制剤を均一的に分散させることができ、硬質相の粒成長を抑えられることから、粗大な硬質相粒子が少なく、均一的で微細な硬質相粒子が満遍なく分散した超硬合金が得られる。加えて、上記粗大巣が実質的に存在しない超硬合金が得られる。
[成形工程]
混合粉末を成形して成形体を作製する。成形は、プレス成形又は押出することが挙げられる。プレス成形の圧力は、49MPa以上200MPa以下(500〜2000kg/cm)とすることが好ましい。
[焼結工程]
成形体を焼結して焼結体を作製する。焼結温度は、1340℃以上1400℃以下とすることが挙げられ、特に1360℃以上1380℃以下が好ましい。そうすれば、硬質相の粒成長を抑制し易い。焼結の雰囲気は、真空又はAr雰囲気(Ar:50Torr(6.7kPa)以上)が好ましい。焼結時間は、0.2〜2時間が好ましい。
[プレス工程]
焼結体に熱間静水圧プレス(HIP)して超硬合金を作製する。HIPの雰囲気は、不活性ガス雰囲気(特に、Ar雰囲気)で、雰囲気圧は、8MPa以上とすることが挙げられ、特に10MPa以上が好ましい。HIPの温度は、1360℃以上1430℃以下が挙げられ、特に1360℃以上1410℃以下が好ましい。この温度範囲内において、焼結温度よりも高くする。このように、上記特定の雰囲気圧下でかつ特定の温度でHIPを施すことで、微小巣の数をより低減し易い。雰囲気圧を高くすると共に、HIPの温度を高く、特に、HIPの温度を焼結温度よりも高くすることで、焼結体の緻密化の効果が得られ易くなるため、微小巣の数を低減できる。HIP温度は、焼結温度よりも30℃以上高く、更には30℃超、特に50℃以上高くすることができる。この場合、上記混合工程の分散において例えばジェットミルを用いることが特に好ましい。また、HIP温度は、焼結温度よりも20℃以上高く、更には30℃以上高くすることができる。この場合、上記混合工程の分散において例えばビーズミルを用いることが特に好ましい。
〔作用効果〕
上述の超硬合金の製造方法によれば、長寿命な上に、突発的な折損を抑制できて製品間のばらつきの小さい工具に好適に利用できる超硬合金を製造できる。混合工程で混合と分散とを個々に行い、HIPを特定の雰囲気圧下で、特定の温度範囲かつ焼結の温度よりも高い温度で行うことで、全体に亘って微細で均一的な組織とすると共に、上記微小巣の数の少ない超硬合金が得られるからである。
《試験例1》
超硬合金の試料を、原料粉末の準備⇒原料粉末の混合⇒成形⇒焼結⇒HIPにより作製して組織観察及び微小巣の数の測定を行った。
まず、平均粒径が0.5μmのWC粉末と、平均粒径が0.2μmのCo粉末と、平均粒径が0.4μmのVC粉末と、平均粒径が0.5μmのCrとの各々を、表1に示す含有量となるように調整した原料粉末を用意した。
原料粉末を表1に示す混合条件により混合及び分散の両方、又は混合のみを行って混合粉末を作製した。表1の設備に示す「ATR」は、直径3.00〜6.00mmの超硬合金製ボールをメディアとするアトライタを示す。また、ビーズミルは、直径0.5〜1.5mmの超硬合金製ボールをメディアとする。この混合工程では、混合及び分散の両方を行う場合、ビーズミルなどの分散装置とアトライタとを接続し、両者の間で原料を循環させて、アトライタ装置の処理時間が1〜4時間の範囲で、合計処理時間が表1に示す時間となるように調整して混合処理を行った。
得られた混合粉末を丸棒状に成形して成形体を作製した。成形は、98MPa(1000kg/cm)の圧力でプレス成形により行った。
成形体を焼結して焼結体を作製した。焼結は、Ar雰囲気(Ar:80kPa)で、表1に示す温度及び時間で行った。
焼結体にHIPを行って、試料No.1〜試料No.15の超硬合金の丸棒(直径2mm×長さ30mm)を作製した。HIPは、Ar雰囲気下において、表1に示す圧力、温度、及び時間で行った。
得られた超硬合金の丸棒において、WC粒子の平均粒径(μm)、WC粒子の粒径1.0μm超の割合、結合相金属の平均厚さ(μm)、結合相金属の厚さ0.5μm以上の存在比率(%)、微小巣(円相当径が1μm未満)の数をそれぞれ以下のようにして調べた。その結果を表2に示す。
[WC粒子の粒径の測定]
超硬合金の表面をSEMにて、倍率は8000〜20000倍、観察視野数は5〜30、総観察面積は1000mm以上となるように観察視野をとって観察した観察像を画像解析装置にて解析した。そして、WC粒子の平均粒径(μm)は、各視野に存在する全てのWC粒子の円相当径を算出し、それを平均して求めた。一方、WC粒子の粒径1.0μm超の割合は、各視野に存在する全てのWC粒子について面積及び合計面積を求め、WC粒子の合計面積に対して、粒径が1.0μm超である粒子の面積の割合を算出して求めた。
[結合相金属の厚さの測定]
超硬合金の丸棒をその長手方向に平行な断面が得られるように切断し、この断面(縦断面)において、各箇所をFE−SEM(電界放出型走査型電子顕微鏡)にて倍率は5000倍〜10000倍、総視野数は5以上30以下、総視野面積1000μm以上となるように観察視野をとって観察し、この観察像を撮影した。撮影像では、WC粒子が灰色、結合相金属が黒色で表示される。この撮影像を画像処理装置により処理した。ここでは、黒色の結合相金属領域の面積比率が、表1に示す結合相金属組成の体積分率と等しくなるように2値化処理し、WC粒子と結合相金属とを分別した。このような2値化処理をすることでより測定し易い。そして、各黒色領域をそれぞれ円に近似した。即ち、複数の結合相金属領域をそれぞれ円に見なす。これら各円の直径を測定し、各直径を一つの結合相金属領域の厚さとした。結合相金属の厚さ(μm)は、選択した5箇所について各円の直径を測定し、それを平均して求めた。一方、結合相金属の厚さが0.5μm以上の割合(%)は、直径が0.5μm以上である円の数を求め、全ての円の数に対して、直径が0.5μm以上である円の数の割合を算出して求めた。
[微小巣の数の測定]
FE−SEMを利用して、イオンビーム加工により加工した超硬合金の任意の断面における3つ以上の箇所において、総視野数が10以上60以下で総視野面積が30000μm以上となるように観察視野をとった。ここでは、展伸部が生じない断面の形成手法を用いた。イオンビームの照射条件は、イオン種をAr、放電電圧を1.5kV、加速電圧を6kV、上記突き出し量を50μm、照射時間を3時間とした。そして、微小巣の数(個/μm)は、全ての観察視野における円相当径が1μm未満の巣の数を数え、1μm当たりに換算して求めた。上記微小巣かどうかの判定が不確かなものは、拡大して判定した。
[結果]
混合工程で混合と分散とを個々に行い、HIPを特定の雰囲気下で、HIPの温度を焼結温度よりも高くして作製した試料No.3〜6、試料No.8〜11はいずれも、上記微小巣の数が0.020個/μm以下であった。その上、試料No.3,4,6、試料No.8〜11はいずれも、(1)WC粒子の平均粒径が小さい、(2)WC粒子の粒径が1μm超の割合が少ない、(3)結合相金属の平均厚さが小さい、(4)結合相金属の厚さが0.5μm以上の割合が少ない。混合工程で混合と分散とを個々に行うことで、粉砕及び分散の双方を良好に行え、全体に亘って微細で均一的な組織とすることができ、焼結後の時点での微小巣の数を低減できたと考えられる。その上、HIPを特定の雰囲気下、及び特定の温度域で行った(即ち、HIPの温度を焼結温度よりも高くした)ことで、上記微小巣の数を更に低減できたからだと考えらえる。
一方、混合工程でアトライタのみを用いた試料No.13〜15と、混合工程で混合と分散とを個々に行ったが、HIPの温度が焼結の温度よりも低い試料No.1、試料No.2、及び試料No.12と、混合工程で混合と分散とを個々に行い、その上HIPの温度を焼結の温度よりも高くしたが、VC/Coの割合が7%超と多い試料No.7とはいずれも、上記微小巣の数が0.025個/μm以上であった。試料No.13〜15は、混合工程で混合と分散とを個々に行っていないため、全体に亘って微細で均一的な組織とすることができず、微小巣の数を低減できなかったからだと考えられる。試料No.1、試料No.2、及び試料No.12は、HIPの温度が低い(即ち、HIPの温度が焼結の温度よりも低い)ため、HIPによる焼結体の緻密化効果が十分に得られず、微小巣の数を低減できなかったと考えられる。試料No.7は、VC/Coの割合が多いため、焼結工程でVが焼結体の緻密化を阻害し、微小巣を十分に低減できなかったからだと考えられる。
特に、混合工程の分散をジェットミルで行った試料No,3〜6のうち、VC/Coが4%以上6%以下とした試料No.3及び試料No.4は、上記微小巣の数が0.010個/μm以下であり、試料No.6に比べて上記微小巣の数を低減できた。中でも、HIPの温度と焼結の温度との差を30℃超とした試料No.4は、上記微小巣の数が0.005個/μm以下であり、試料No.3に比べて上記微小巣の数を低減できた。
一方、混合工程の分散をビーズミルで行った試料No.8〜11のうち、HIPの温度と焼結の温度との差を30℃以上とした試料No.9〜11は、上記微小巣の数が0.015個/μm以下であり、試料No.8に比べて上記微小巣の数を低減できた。中でも、VC/Coを4%以上5.5%以下とした試料No.10及び試料No.11は、上記微小巣の数が0.005個/μm以下であり、試料No.9に比べて微小巣の数を低減できた。
試料No.3と試料No.15のFE−SEMで撮像した顕微鏡写真を図1〜4に示す。図1は、試料No.3の2000倍の顕微鏡写真であり、図2〜4はそれぞれ、試料No.15の2000倍、5000倍、35000倍の顕微鏡写真である。各図において、灰色がWC粒子で、黒色が結合相金属領域である。混合工程で混合と分散とを個々に行い、HIPを特定の雰囲気、かつ高温下で、かつHIPの温度を焼結温度よりも高くして作製した試料No.3は、図1に示すように、大きな黒色領域(結合相金属領域)が見られず、結合相金属が均一的に分散していることが分かる上に、上記粗大巣(円相当径が1μm以上)は勿論、円相当径が1μm未満の巣、更には、円相当径が0.5μm以下の巣すら認められない。即ち、試料No.3は、上記微小巣が認められない。
一方、混合工程で混合装置と分散装置とを併用せず混合装置のみを行って作製した試料No.15は、図2に示すように、エッジ効果による白光り箇所が多数認められる。そして、図3や4に示すように、同試料において図2よりも倍率を高くした顕微鏡写真を見ると、白光りしている箇所は、円相当径が1μm未満(ここでは、0.5μm以下)、即ち上記微小巣であることが分かる。従って、試料No.15は、上記微小巣が多数存在することが分かる。
《試験例2》
上述の試験例1で作製した各試料の超硬合金からなるマイクロドリルを作製し、穴あけ加工試験(貫通孔)を行って工具寿命(ドリル性能)を評価した。
試験に用いたマイクロドリルは、以下のようにして各試料につき10本ずつ作製した。上記試料と同様にして超硬合金を作製する。この試験では、段付き丸棒(太径部の直径:φ2mm、細径部の直径:φ0.1mm、細径部の先端から細径部と太径部との境界までの長さ:4mm)を作製する。得られた段付き丸棒をダイヤモンド砥石により加工して、ドリル径:0.1mm、刃長:4.0mmのマイクロドリルを作製した。
得られたマイクロドリルを用いて、以下の条件で加工を行い、折損するまでの加工数を調べた。最大加工数、最小加工数、平均加工数、及び加工数のばらつき(%)の結果を表3に示す。ここでは、加工数のばらつき(%)は、((最大加工数−最小加工数)/平均加工数)×100により算出した値とした。
[切削条件]
被削材:ガラス層とエポキシ樹脂層との交互20層の積層板からなるプリント基板(厚さ:2.4mm)を1枚
回転数:250Krpm
送り速度:1.5m/min
切削油:不使用(乾式)
[結果]
微小巣の数が0.020個/μm以下の試料No.3〜6、8〜11は、最小加工数が7000以上で、加工数のばらつきが30%以下であった。一方、微小巣の数が0.020個/μm超の試料No.1,2,7は、最小加工数が最も多くても6000であり、加工数のばらつきが最も小さくても44%であった。即ち、試料No.3〜6、8〜11は、上述した従来の超硬合金からなる試料No.1,2や、試料No.7に比べて、最小加工数が1000以上も向上し、加工数のばらつきが14%以上も向上した。このように、微小巣の数が0.020個/μm以下の試料は、微小巣の数が0.020個/μm超に比べて、長寿命な上に、製品間の性能のばらつきが小さいことが分かる。そして、微小巣の数が少なくなるほど、最小加工数が多い上に、加工数のばらつきが小さく、長寿命で製品間の性能のばらつきが小さい傾向にあることが分かる。具体的には、微小巣の数が0.015個/μm以下の試料No.3,4,9〜11は、微小巣の数が0.020個/μm以下の試料No.6,8よりも長寿命な上に、製品間の性能のばらつきが小さいことが分かる。更には、微小巣の数が0.010個/μm未満(微小巣の数が0.005個/μm以下)の試料No.4,10,11が、微小巣の数が0.015個/μm以下の試料No.3,5,9よりも、長寿命な上に、製品間の性能のばらつきが小さいことが分かる。試料No.4,10,11は、最小加工数が最も少なくても9500であり、加工数のばらつきが最も大きくても13%であった。即ち、この試料No.4,10,11は、微小巣の数が0.020個/μm超の試料No.1,2,7に比べて、最小加工数が3500以上も向上し、加工数のばらつきが30%以上も向上した。
なお、試料No.13〜15は、微小巣の数が0.020個/μm超であり、加工数のばらつきが最も小さくても33%と大きく、最小加工数が最も多くても2500しかなく、工具寿命が著しく低かった。これは、1μm超のWC粒子の割合が高い上に、結合相金属の平均厚さも厚く、結合相金属の0.5μm以上の存在比率も高いため、微細な偏摩耗を効果的に抑制できず、工具の寿命を長くできなかったからだと考えられる。即ち、微小巣の数が多いものの、突発的な折損が生じるよりも先に微細な偏摩耗により工具の寿命が尽きたからだと考えられる。
本発明の超硬合金は、抗折力、耐摩耗性、靭性に優れることが望まれる種々の工具や金型などの素材に利用できる。特に、プリント基板などの穴開けに用いられるマイクロドリルといった電子機器類の微細加工用工具、マイクロマシン製作の際に用いられる部品加工用工具などの微細加工用途の工具素材に利用できる。

Claims (13)

  1. 炭化タングステンを主体とする硬質相粒子と、鉄族金属を主体とし、前記硬質相粒子同士を結合する結合相金属とを備える超硬合金であって、
    イオンビーム加工により加工してなる前記超硬合金の任意の断面における3つ以上の箇所において、総視野数が10以上60以下で総視野面積が30000μm以上となるように観察視野をとり、円相当径が1μm未満のポアの数を測定した際、前記ポアの数が0.02個/μm以下である超硬合金。
  2. 前記超硬合金の表面において、総視野数5以上30以下で総視野面積1000μm以上となるように観察視野をとり、前記炭化タングステンの粒子の円相当径を算出した際、前記炭化タングステンの粒子の合計面積に対して、粒径が1.0μm超である前記炭化タングステンの粒子の面積の割合が、1.00%以下である請求項1に記載の超硬合金。
  3. 前記超硬合金の任意の断面において、総視野数5以上30以下で総視野面積1000μm以上となるように観察視野をとり、前記観察視野内の前記炭化タングステンの粒子間に存在する各結合相金属を1つの円に近似した際、前記円の直径の平均を前記結合相金属の平均厚さとし、前記円の全数に対して直径が0.5μm以上である円の数の割合を前記結合相金属の厚さが0.5μm以上である割合とするとき、
    前記結合相金属の平均厚さが0.14μm以下であり、
    前記結合相金属の厚さが0.5μm以上である割合が0.15%以下である請求項1または請求項2に記載の超硬合金。
  4. 前記超硬合金は、バナジウム及びクロムを含有しており、
    前記鉄族金属の含有量をα(質量%)とし、炭化物換算による総量を前記バナジウムの含有量とするときの前記バナジウムの含有量をβ(質量%)とする際、前記鉄族金属の含有量αに対する前記バナジウムの含有量βの割合(β/α)×100が2%以上7%以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の超硬合金。
  5. 前記超硬合金全体に対する前記バナジウムの含有量が、0.35質量%以上0.60質量%以下である請求項4に記載の超硬合金。
  6. 前記ポアの数が、0.005個/μm以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の超硬合金。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の超硬合金からなるマイクロドリル。
  8. 平均粒径が0.1μm以上0.7μm以下の炭化タングステン粉末と、平均粒径が0.2μm以上0.6μm以下で含有量が0質量%超15質量%以下の鉄族金属粉末とを含む原料粉末を準備する原料準備工程と、
    前記原料粉末の混合と分散とを個々に行って混合粉末を作製する混合工程と、
    前記混合粉末を成形して成形体を作製する成形工程と、
    前記成形体を1340℃以上1400℃以下で焼結して焼結体を作製する焼結工程と、
    前記焼結体を8MPa以上の不活性ガス雰囲気下において、1360℃以上1430℃以下かつ前記焼結の温度以上で熱間静水圧プレスするプレス工程とを備える超硬合金の製造方法。
  9. 前記原料粉末は、炭化バナジウム粉末及び炭化クロム粉末を含み、
    前記鉄族金属粉末の含有量をα(質量%)、前記炭化バナジウム粉末の含有量をβ(質量%)とするとき、前記鉄族金属粉末の含有量αに対する前記炭化バナジウム粉末の含有量βの割合(β/α)×100が2%以上7%以下である請求項8に記載の超硬合金の製造方法。
  10. 前記熱間静水圧プレスの温度と前記焼結の温度との差が30℃以上である請求項9に記載の超硬合金の製造方法。
  11. 前記割合(β/α)×100が、4%以上5.5%以下である請求項10に記載の超硬合金の製造方法。
  12. 前記割合(β/α)×100が、4%以上6%以下である請求項9に記載の超硬合金の製造方法。
  13. 前記熱間静水圧プレスの温度と前記焼結の温度との差が30℃超である請求項12に記載の超硬合金の製造方法。
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