WO2023054259A1 - フィラー含有フィルム - Google Patents

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Abstract

フィラー含有フィルムは、表面に凹部が形成されている第1接着層と、第1接着層の表面に形成されている凹部に充填されているフィラーとを有し、該凹部は底面を有し、底面の少なくとも周縁部とフィラーとの間に、空隙が存在する。第1接着層に第2接着層が積層されていてもよい。このフィラー含有フィルムによれば、フィラーを配置するためのサイトとして貫通孔を利用せずとも、良好なフィラー保持性並びに良好な仮貼り性を実現できる。また、フィラー含有フィルムをフィラーとして導電粒子を使用する異方性導電フィルムに適用した際に、良好な導通抵抗と絶縁抵抗とを実現できる。

Description

フィラー含有フィルム
 本発明は、フィラー含有フィルムに関する。
 フィラーが樹脂層に分散しているフィラー含有フィルムは、艶消しフィルム、コンデンサー用フィルム、光学フィルム、ラベル用フィルム、帯電防止用フィルム、導電フィルム、異方性導電フィルムなど多種多様の用途で使用されている。フィラー含有フィルムを物品に熱圧着して用いる場合、フィラー含有フィルムを形成している樹脂が熱圧着時に不要に流動することを抑制し、フィラーの偏在を抑制することが、光学的特性、機械的特性、又は電気的特性の点から望ましい。特に、フィラーとして導電粒子を含有させ、フィラー含有フィルムを電子部品の実装に供する導電フィルムや異方性導電フィルムとして使用する場合に、電子部品の高密度実装に対応できるように、絶縁性樹脂層に導電粒子を高密度に分散させると、電子部品の実装時の過度の樹脂流動により導電粒子が不要に移動して端子間に偏在し、ショートの発生要因となるので、このような過度の樹脂流動を抑制することが要請されている。
 このような要請に対し、接着性フィルムとその両面に積層された離型フィルムとを有する積層体に貫通孔を設け、その貫通孔に導電性微粒子を配置させた微粒子配置導電接続フィルムが提案されている(特許文献1)。しかし、この微粒子配置導電接続フィルムにおいては、微粒子配置導電接続フィルムの貫通孔はフィルムの両面で開口し、換言すれば貫通孔の上下の開口で導電性微粒子が露出しているため、導電性微粒子の保持性が不安定になり、離型フィルムを剥離する際に導電性微粒子が貫通孔から脱落するという問題や、圧着時に導電性微粒子が不要に移動してしまうという問題がある。また、導電性微粒子と基板等の被着体との間に接着性樹脂が存在しないため、基板等の被着体への仮貼り性が十分ではないという問題もある。更に、使用を想定している導電性微粒子の粒径の下限が10μmとなっているため、実装する電極のレイアウトに限界が生じてしまうという問題もある。仮により小さい粒子径に適用できたとしても、フィルム構成から使用に際して制約が懸念される。
 これらの問題に対応するために、所定の粘度範囲に調整した絶縁性樹脂層に導電粒子を押し込んで形成した導電粒子含有層を有する異方性導電フィルムが提案されている(特許文献2)。特許文献2の異方性導電フィルムでは、押し込まれた導電粒子の底面と側面とが絶縁性樹脂で包み込まれているため、導電粒子の保持性が向上すると共に、被着体への仮貼り性も向上する。更に、異方性導電接続時に導電粒子を端子によって押し込まれ易くし、端子における導電粒子の捕捉性を向上させるために、導電粒子として粒子径のCV値が20%以下のものを使用し、しかも、導電粒子を押し込んだ付近の導電粒子含有層表面に、傾斜もしくは起伏を設けることが行われている。
特開第2003-31030号公報 特許第6187665号公報
 しかしながら、特許文献2の異方性導電フィルムの導電粒子含有層においては、導電粒子含有層の導電粒子押し込み側の表面以外では、導電粒子が絶縁性樹脂に隙間なく包み込まれている状態となっているために十分に保持されているが、例えばイレギュラーな事態が発生した際(連続的に多数個を圧着している中で、思いがけず想定よりも高い温度で異方性導電接続された場合など)には、導電粒子を端子間で押圧すると絶縁性樹脂が過度に流動することもあり得る。そのような場合には、絶縁性樹脂の流動に伴い導電粒子の不要な移動が生じ、隣接端子間の絶縁抵抗の大幅な低下が生じるという不足の事態が発生しかねない。また、このような不測な事態が発生すると導電粒子の不要な移動が生じないまでも、対向端子間の導通抵抗の大幅な増大が懸念される。
 本発明の目的は、以上の従来の技術の問題点を解決することであり、異方性導電フィルム等のフィラー含有フィルムにおいて、フィラーを配置するためのサイトとして貫通孔を利用せずとも、良好なフィラー保持性並びに良好な仮貼り性を実現できるようにするとともに、フィラー含有フィルムをフィラーとして導電粒子を使用する導電フィルムや異方性導電フィルムに適用した際に、イレギュラーな事態が発生しても良好な導通抵抗を実現でき、異方性導電フィルムの場合には良好な絶縁抵抗も実現できるようにすることである。
 本発明者は、フィラーを、絶縁性樹脂層に押し込むのではなく、絶縁性樹脂層に設けた貫通孔に充填するのでもなく、絶縁性樹脂層に設けた凹部に、凹部の底面の周縁部とフィラーとの間に空隙が存在するようにフィラー充填することにより、本願発明の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
 即ち、本発明は、表面に凹部が形成されている第1接着層と、第1接着層の表面に形成されている凹部に充填されているフィラーとを有するフィラー含有フィルムであって、
 該凹部は底面を有し、底面の少なくとも周縁部とフィラーとの間に、空隙が存在するフィラー含有フィルムを提供する。本発明のフィラー含有フィルムは、第1接着層に第2接着層が積層されていてもよい。
 また、本発明は、前述のフィラー含有フィルムの製造方法であって、
 第1接着層の表面に形成されている凹部に対応する凸部を有する凹部形成型を用意する工程、
 凹部形成型の凸部形成面に、第1接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥した後に、凹部形成型を取り去ることにより表面に凹部が形成された第1接着層を取得する工程、及び
 第1接着層の凹部に、フィラーを充填する工程
を有する製造方法を提供する。この製造方法は、更に、第1接着層の表面又は裏面に、第2接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより、第2接着層を形成する工程、及び
 第1接着層の裏面に第2接着層を形成した場合には、第1接着層の表面に第3接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより第3接着層を形成する工程
を有する製造方法を提供する。
 更に、本発明は、前述のフィラー含有フィルムを介して第1部材と第2部材とが接合されてなる接続構造体を提供する。好ましくは、異方性導電フィルムとして使用されるフィラー含有フィルムを介して第1電子部品と第2部電子部品とが異方性導電接続されてなる接続構造体を提供する。
 また、本発明は、前述のフィラー含有フィルムを介して第1部材と第2部材とを接合する、接続構造体の製造方法を提供する。好ましくは、導電フィルムや異方性導電フィルムとして使用されるフィラー含有フィルムを介して第1電子部品と第2部電子部品とを異方性導電接続する、接続構造体の製造方法を提供する。
 本発明のフィラー含有フィルムは、フィラーとそれを保持する第1接着層とからなる構造を有するが、第1接着層の貫通孔にフィラーが充填されたものではなく、フィラーが第1接着層に無理やり押し込まれたものでもない。本発明のフィラー含有フィルムにおいては、第1接着層に予め凹部を設け、当該凹部にフィラーを充填する。このため、良好なフィラーの保持性を実現することができる。また、凹部の底が絶縁性樹脂から構成されるので、フィラー含有フィルムに良好な仮貼り性を実現することができる。さらに、凹部の底面の少なくとも周縁部とフィラーとの間に、空隙を存在させる。この空隙が樹脂貯めとして機能するため、絶縁性樹脂が流動してもフィラーの不要な移動を抑制することができる。このため、フィラー含有フィルムをフィラーとして導電粒子を使用する導電フィルムや異方性導電フィルムに適用した際に、良好な導通抵抗を実現でき、異方性導電フィルムの場合には良好な絶縁抵抗も実現できる。
図1Aは、本発明のフィラー含有フィルムの概略断面図である。 図1Bは、図1Aのフィラー含有フィルムの部分拡大断面図である。 図2は、本発明のフィラー含有フィルムの概略断面図である。 図3は、本発明のフィラー含有フィルムの概略断面図である。 図4Aは、本発明のフィラー含有フィルムの製造工程の説明図である。 図4Bは、本発明のフィラー含有フィルムの製造工程の説明図である。 図4Cは、本発明のフィラー含有フィルムの製造工程の説明図である。 図4Dは、本発明のフィラー含有フィルムの製造工程の説明図である。 図4Eは、本発明のフィラー含有フィルムの製造工程の説明図である。 図4Fは、本発明のフィラー含有フィルムの製造工程の説明図である。 図4Gは、本発明のフィラー含有フィルムの製造工程の説明図である。 図5は、比較例1のフィラー含有フィルムの概略断面図である。 図6は、参考例1のフィラー含有フィルムの概略断面図である。
 以下、本発明のフィラー含有フィルムの一例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<フィラー含有フィルムの全体構成>
 図1Aは、本発明のフィラー含有フィルム10の概略断面図であり、図1Bは、そのフィラー近傍の部分拡大断面図である。このフィラー含有フィルム10は、第1接着層1に第2接着層2が積層され、第1接着層1の第2接着層側の表面に形成されている凹部3にフィラー4が保持されている構造を有する。この凹部3の底面3aの少なくとも周縁部3bとフィラー4との間には空隙3cが形成されている。この図1Aでは、第2接着層2が第1接着層1に積層されているが、本発明のフィラー含有フィルム10は、第1接着層1の単層であってもよい。
 図1Aにおいては、第1接着層1の凹部3は、第2接着層2側に開口しているが、図2に示すように第2接着層2と反対側に開口してもよい。何れの場合であっても、フィラーと凹部底面との間に空隙が形成され、この空隙が樹脂を受容できる余剰の空間となる。従って、フィラーへの負荷をより繊細に制御した上で、フィラーの凹部への樹脂による充填(例えば、接着剤の充填)が可能となる。上記の制御をより繊細に行う手段として、第1接着層1の第2接着層2と反対側表面に第3接着層5を積層することが挙げられる。
(第1接着層1)
 本発明のフィラー含有フィルム10を構成する第1接着層1は、フィラー4を保持し、フィラー含有フィルム10を製造する際に、その上に第2接着層2を形成するためのベースとなる層である。そのような第1接着層1は、単一の絶縁性樹脂層から構成されていてもよく、複数の絶縁性樹脂層の積層体から構成されていてもよい。また、第1接着層1は、粘着性を示すことが好ましい。
(第1接着層1を構成する樹脂組成物)
 第1接着層1を構成する樹脂組成物は、フィラー含有フィルムの用途に応じて適宜選択され、例えば、熱可塑性樹脂組成物、高粘度粘着性樹脂組成物、あるいは硬化性樹脂組成物を挙げることができる。凹部3をプレス型を用いて形成する場合には、熱可塑性樹脂組成物が好ましい。また、フィラー含有フィルムを異方性導電フィルムとする場合、従来の異方性導電フィルムの絶縁性樹脂層を形成する樹脂組成物と同様に、重合性化合物と重合開始剤から形成される硬化性樹脂組成物を使用することができる。この場合、重合開始剤としては熱重合開始剤を使用してもよく、光重合開始剤を使用してもよく、それらを併用してもよい。例えば、熱重合開始剤としてカチオン系重合開始剤、熱重合性化合物としてエポキシ樹脂を使用し、光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤、光重合性化合物としてアクリレート化合物を使用する。熱重合開始剤として、熱アニオン系重合開始剤を使用してもよい。熱アニオン系重合開始剤としては、イミダゾール変性体を核としその表面をポリウレタンで被覆してなるマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
(第1接着層1の最低溶融粘度)
 第1接着層1の最低溶融粘度は、フィラー含有フィルム10を物品に熱圧着する際の樹脂流動によるフィラー4の不要な移動を抑制し、適度な樹脂流動を導くために、好ましくは1500Pa・s以上、より好ましくは2000Pa・s以上、更に好ましくは3000Pa・s以上であり、好ましくは15000Pa・s以下、より好ましくは10000Pa・s以下、特に好ましくは8000Pa・s以下である。ここで、最低溶融粘度を示す温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。最低溶融粘度は、一例として回転式レオメータ(TA Instruments社製)を用い、測定圧力5gで一定に保持し、直径8mmの測定プレートを使用して求めることができ、より具体的には、温度範囲30~200℃において、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hz、前記測定プレートに対する荷重変動5gとすることにより求めることができる。なお、最低溶融粘度の調整は、溶融粘度調整剤としての微小固形物の種類や配合量、樹脂組成物の調整条件の変更などにより行うことができる。
(第1接着層1の層厚)
 第1接着層1の層厚は、フィラー4を安定的に保持する等のため、フィラー4の平均粒子径の0.6倍以上あればよく、好ましくは1.2倍以上、より好ましくは1.5倍以上である。また、第1接着層1の層厚の上限については、使用方法によって変動するものであるが、フィルムの両面を挟持する場合には樹脂流動によりフィラー4の不要な移動を招かないように、フィラー4の平均粒子径の好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下である。層厚は、公知のシックネスゲージや膜厚測定器により測定することができる。
(第1接着層1の粘着力)
 第1接着層1は、フィラー含有フィルム10を熱圧着する物品に対して、熱圧着前の仮圧着を可能とする粘着力を有していることが好ましい。粘着力は、JIS Z 0237に準じて測定することができ、また、JIS Z 3284-3又はASTM D 2979―01に準じてプローブ法によりタック力として測定することもできる。フィラー含有フィルム10を構成する第1接着層1のプローブ法によるタック力は、例えば、プローブの押し付け速度を30mm/min、加圧力を196.25gf、加圧時間を1.0sec、引き剥がし速度を120mm/min、測定温度23℃±5℃で計測したときに、好ましくは1.0kPa(0.1N/cm2)以上、より好ましくは1.5kPa(0.15N/cm2)以上、特に好ましくは3.0kPa(0.3N/cm2)以上である。
 このような粘着力は、第1接着層1を構成する樹脂組成物を適宜調整し、また、後述するフィラー含有フィルムの製造方法によって、フィラー含有フィルムの外表面をなす第1接着層1の平滑性を向上させることにより、調整することができる。
(第1接着層1に形成される凹部3)
 本発明において、第1接着層1には、第2接着層2側表面又は裏面に、凹部3が設けられている。この凹部3は、フィラー4を収容・保持する機能を有する。なお、凹部3が形成されていない第1接着層1の表面又は裏面は、フィラー含有フィルム10の他部材に対する良好な密着性を担保するために、平坦であることが好ましい。
 凹部3は、フィラー4を収容し確実に保持できるような形状であればよく、好ましくは筒状、タンブラー状、あるいはカップ状の孔であり、中でも平面視における位置制御をより高度に行う点から円筒形状が好ましい。フィラー径がフィルム厚みよりも大きい場合には、フィラーの半分以上が収容されて保持される場合もある。そのため、フィラーの一部が露出していてもよい。このような凹部3は、フィラー4を安定して収容させ易くする点からは、開口部から底部へ向かって孔径が同じであることが好ましいが、底部に向かって孔径が小さくなるようなテーパを有してもよい。このようなテーパを有することで、フィラーの保持性が高まる。このような凹部3の形状は、フィラー含有フィルムの切断面の金属顕微鏡観察や、金属顕微鏡による落射光観察等により確認することができる。
 凹部3は、貫通孔ではないので、底面3aを有する。この底面3aが存在する結果、その少なくとも周縁部3bとフィラー4との間に、空隙3cを存在させることができる。周縁部3bの空隙3cはフィラー4の直下にまで侵入していてもよい。この空隙3cは、樹脂流動が生じた場合に流動樹脂の受容空間として機能し、樹脂が過度に流動することを抑制することができる。このような空隙3cの有無は、フィラー含有フィルム10の切断面の金属顕微鏡観察やレーザー顕微鏡観察、金属顕微鏡による落射光観察等により確認することができる。落射光観察の場合、空隙3cは、気泡としてあるいはフィラー周囲に白色の干渉モヤとして確認できる。凹部に樹脂が充填されきっていないこと、言い換えればフィラーとフィラー含有フィルムとが完全に一体化しておらず、空隙が存在していることが、本発明が従来発明と異なる点になる。なお、空隙の容積は、凹部容積からフィラー体積を減じることで求めることができる。ここで、凹部の容積は、凹部の開口面積に凹部深さを乗じることで求める、あるいは近似することができ、また、フィラー体積は、フィラーを球体としてみなし、粒子径から求めることができる。フィラーのフィルム底面部側において、フィラーとフィルム底面部間に存在する空間があることにより、フィラーとフィルムを形成する樹脂の移動できる空間が保持されることから、移動可能領域として別に定義してもよい。
 凹部3の底面3aは、フィラー4を保持し、空隙3cを存在させることが可能な形状であればよく、好ましくはフィラー含有フィルム10の平面方向に略平行に設けられていることが好ましい。例えば、凹部3が円筒状である場合には、底面3aは円形となる。そのほか、底面3aは、フィラー4側に凸の円錐形、角錐形、円錐台形、角錐台形であってもよい。また、下方に凸のラウンド形(例えば、空隙を確保できる程度の平たい丸皿形)であってもよい。底面3aの形状は、フィラー含有フィルム10の切断面の金属顕微鏡観察や、金属顕微鏡による落射光観察等により確認することができる。
 凹部3の容積は、フィラーとフィラー含有フィルムとの接点を確保し、位置制御を正確に行うためにはフィラーの平均体積の1.1倍以上であればよく、好ましくは1.3倍以上、より好ましくは1.5倍以上であり、生産性のために収容させ易くするために好ましくは8倍以下、より好ましくは5倍以下である。
 凹部3の深さ(即ち、第1接着層表面から凹部3の最底面までの距離)は、後述するフィラー4の大きさ等によっても異なるが、通常、粒子収容性のために、フィラー4の平均粒子径の好ましくは0.5倍以上、より好ましくは0.6倍以上、更に好ましくは0.8倍以上であり、樹脂流動によりフィラー4の不要な移動を招かないように、フィラー4の平均粒子径の好ましくは1.5倍以下、より好ましくは1.2倍以下である。
 凹部3の凹部径は、凹部3の深さ方向で変化する場合もあるため、最大径として定義される。例えば、凹部3の形状が円筒形である場合には、凹部径は開口径と底面径と略同一となり、また、凹部3の形状が、底面に向かって狭くなる円錐台形状の場合には、開口径が凹部径となる。凹部3の凹部径、底面径、最大径は、後述するフィラー4の大きさ等によっても異なるが、通常、粒子収容性のために、フィラー4の平均粒子径の好ましくは1.0倍以上、より好ましくは1.2倍以上であり、樹脂流動によりフィラー4の不要な移動を招かないように、フィラー4の平均粒子径の好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.5倍以下である。
 凹部3は、第1接着層1にランダム配置パターンで配置していてもよいが、フィラーの特性を引き出すために、規則配置パターンで設けることが好ましい場合もある。これらの配置パターンは、換言すればフィラーの配置パターンと同義となる。規則パターンの例としては、正方格子、長方格子、斜方格子等の格子配置を挙げることができる。異なる形状の格子が、複数組み合わさったものでもよい。凹部3が所定間隔で直線状に並んだ凹部列を所定の間隔で並列させてもよい。凹部3が密に配置されている領域と疎に配置されている領域が規則的に繰り返されていてもよい。フィラー含有フィルム10を異方性導電フィルムとする場合には、凹部3を互いに離隔した規則的な配置とすることが、端子における捕捉安定性とショート抑制の両立のためにより好ましい。なお、凹部3が規則的な配置をしているか否かは、例えばフィルムの長手方向(フィラー含有フィルムを巻装体にした場合の巻取り方向)に凹部3もしくはフィラー4の所定の配置が繰り返されているか否かを観察することで判別することができる。
 また、凹部へのフィラー充填率は、{(フィラー個数/凹部個数)×100(%)}として求めることができる。これは、下記の個数密度と同様にフィルム面視野の観測により求めることができる。フィラー充填率は、95%以上であればよく、98%以上が好ましく、99.5%以上であることがより好ましい。フィラーに充填されていない残存フィラー(残存率)が少ない(ゼロに近い)ことが望ましい。
 凹部3同士の距離は接続する物品や用途に応じて定めることができ、特に制限はないが、凹部3の個数密度は、通常10個/mm2以上、500000個/mm2以下、好ましくは30個/mm2以上、100000個/mm2以下の範囲で適宜定めることができる。例えば、フィラー含有フィルム10を異方性導電フィルムとして使用する場合に、凹部3の個数密度(即ち導電粒子の個数密度)は30個/mm2以上であればよく、上限は360000個/mm2以下であればよく、250000個/mm2以下であることが好ましく、100000個/mm2以下がより好ましい。個数密度は、顕微鏡観察によりフィルム面視野を測定することができる。観測面積が2mm2以上、好ましくは10mm2以上であることが好ましい。
(フィラー4)
 本発明においてフィラー4としては、フィラー含有フィルム10の用途に応じて、公知の無機系フィラー(金属粒子、金属酸化物粒子、金属窒化物粒子など)、有機系フィラー(樹脂粒子、ゴム粒子など)、有機系材料と無機系材料が混在したフィラー(例えば、コアが樹脂材料で形成され、表面が金属メッキされている粒子(金属被覆樹脂粒子)、導電粒子の表面に絶縁性微粒子を付着させたもの、導電粒子の表面を絶縁処理したもの等)から、硬さ、光学的性能などの用途に求められる性能に応じて適宜選択される。例えば、光学フィルムや艶消しフィルムでは、シリカフィラー、酸化チタンフィラー、スチレンフィラー、アクリルフィラー、メラミンフィラーや種々のチタン酸塩等を使用することができる。コンデンサー用フィルムでは、酸化チタン、チタン酸マグネシウム、チタン酸亜鉛、チタン酸ビスマス、酸化ランタン、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸鉛及びこれらの混合物等を使用することができる。接着フィルムではポリマー系のゴム粒子、シリコーンゴム粒子等を含有させることができる。導電フィルムや異方性導電フィルムでは導電粒子を含有させる。導電粒子としては、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウムなどの金属粒子、ハンダなどの合金粒子、金属被覆樹脂粒子、表面に絶縁性微粒子が付着している金属被覆樹脂粒子などが挙げられる。2種以上を併用することもできる。中でも、金属被覆樹脂粒子が、接続された後に樹脂粒子が反発することで端子との接触が維持され易くなり、導通性能が安定する点から好ましい。また、導電粒子の表面には公知の技術によって、導通特性に支障を来さない絶縁処理が施されていてもよい。
(フィラー4の平均粒子径)
 フィラー4の平均粒子径はフィラー含有フィルム10の用途に応じて定めることができる。例えば、フィラー含有フィルムを異方性導電フィルムとして使用する場合、フィラー含有フィルム10の製造時のフィラー4の押込精度を向上させるため、好ましくは1μm以上、より好ましくは2.5μm以上である。また、フィラー含有フィルム10の製造時のフィラー4の位置ずれの影響を抑制するため、好ましくは200μm以下、より好ましくは50μm以下である。フィラー4の平均粒子径は、平面画像又は断面画像から求めることができる。また、フィラー含有フィルム10に含有させる前の原料粒子としてのフィラー4の平均粒子径は湿式フロー式粒子径・形状分析装置FPIA-3000(マルバーン・パナリティカル社)を用いて求めることができる。なお、フィラー4に絶縁性微粒子等の微粒子が付着している場合には、微粒子を含めない径を粒子径とする。
 フィラー含有フィルム10におけるフィラー4の平均粒子径のバラツキについては、CV値(標準偏差/平均)を20%以下とすることが好ましい。これによりフィラー含有フィルム10の物品への圧着時にフィラー含有フィルム10が均等に押圧され易くなり、押圧力が局所的に集中することを防止できる。したがって、フィラー含有フィルム10を異方性導電フィルムとして構成する場合には、接続の安定性が向上し、また接続後には圧痕やフィラー4の挟持状態の観察による接続状態の評価を精確に行うことができる。具体的には、異方性導電フィルムを用いて電子部品同士を異方性導電接続した後の検査において、端子サイズが比較的大きいもの(FOBなど)でも、比較的小さいもの(COGなど)でも圧痕や導電粒子の挟持状態の観察による接続状態の確認を精確に行うことができる。従って、異方性接続後の検査が容易になり、接続工程の生産性を向上させることが期待できる。
 一方、フィラー含有フィルム10をフィルム厚方向に切った断面図では(図1A、図1B)、フィルム厚方向の各フィラー4の頂点が、第1接着層1と第2接着層2との界面に平行な面に面一に揃っていることが好ましい。これにより、フィラー含有フィルム10を物品に均一に圧着させることが容易となる。
(第2接着層2)
 本発明のフィラー含有フィルム10は、第1接着層1の凹部3側表面(図1A)又は裏面(図2)に第2接着層2を有する。この第2接着層2は、フィラー含有フィルム10を用いて物品に仮圧着するための層である。そのような第2接着層2は、単一の絶縁性樹脂層から構成されていてもよく、複数の絶縁性樹脂層の積層体から構成されていてもよい。
(第2接着層2を構成する樹脂組成物)
 第2接着層2を構成する樹脂組成物は、第1接着層1と同様に、フィラー含有フィルム10の用途に応じて適宜選択され、例えば、熱可塑性樹脂組成物、高粘度粘着性樹脂組成物、あるいは硬化性樹脂組成物を挙げることができる。例えば、フィラー含有フィルム10を異方性導電フィルムとする場合、従来の異方性導電フィルムの粘着層を形成する樹脂組成物と同様に、重合性化合物と重合開始剤から形成される硬化性樹脂組成物を使用することができる。この場合、重合開始剤としては熱重合開始剤を使用してもよく、光重合開始剤を使用してもよく、それらを併用してもよい。例えば、熱重合開始剤としてカチオン系重合開始剤、熱重合性化合物としてエポキシ樹脂を使用し、光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤、光重合性化合物としてアクリレート化合物を使用する。熱重合開始剤として、熱アニオン重合開始剤を使用してもよい。熱アニオン重合開始剤としては、イミダゾール変性体を核としその表面をポリウレタンで被覆してなるマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
(第2接着層2の最低溶融粘度)
 第2接着層2の最低溶融粘度は、フィラー含有フィルム10を物品に熱圧着する際の樹脂流動によるフィラー4の不要な移動を抑制し、適度な樹脂流動を促すため、好ましくは100Pa・s以上、より好ましくは200Pa・s以上、更に好ましくは400Pa・s以上であり、好ましくは5000Pa・s以下、より好ましくは3000Pa・s以下、特に好ましくは1500Pa・s以下である。ここで、最低溶融粘度を示す温度は、好ましくは60℃以上、より好ましくは70℃以上であり、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下である。第2接着層2の最低溶融粘度の測定や調整は、第1接着層1の場合と同様に行うことができる。なお、第2接着層2の最低溶融粘度は、充填性の点から第1接着層1の最低溶融粘度よりも低いことが好ましい。
(第2接着層2の層厚)
 第2接着層2の層厚は、適度な粘着性をフィラー含有フィルム10に付与する等のため、フィラー4の平均粒子径に対して、好ましくは0.5倍以上、より好ましくは1.0倍以上である。また、第2接着層2の層厚の上限については、樹脂流動によりフィラー4の不要な移動を招かないように、フィラー4の平均粒子径の好ましくは30倍以下、10倍以下、より好ましくは5倍以下である。具体的には、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.5μm以上である。フィラーを良好に充填するために、20μm以上としてもよい。厚すぎると巻装体とした場合に樹脂のはみ出しが懸念されることから、50μm以下であることが好ましい。このように、層厚は、目的に合わせて適宜設定することができる。
(第2接着層2の粘着力)
 第2接着層2は、フィラー含有フィルム10を熱圧着する物品に対して、熱圧着前の仮圧着を可能とする粘着力を有していることが好ましい。粘着力は、第1接着層1の場合と同様に測定することができる。粘着力は、第2接着層2を構成する樹脂組成を適宜調整し、また、後述するフィラー含有フィルム10の製造方法によって、フィラー含有フィルム10の外表面をなす第2接着層2の平滑性を向上させることにより調整することができる。なお、第2接着層2の粘着力は、ハンドリング性の点から第1接着層1の粘着力よりも高いことが好ましい。また、第2接着層2(および後述する第3接着層5)は、被着体に接する面になるため、第1接着層よりも粘着力を高くすることが実用上好ましい。
(第3接着層5)
 本発明のフィラー含有フィルム10は、第1接着層1の凹部3側表面の裏面(図3)に第2接着層2を有する場合に、凹部3側表面に第3接着層5を積層することが好ましい。この第3接着層5は、凹部3からのフィラー4の脱落を防止するための層であると共に、フィラー含有フィルム10を用いて物品に仮圧着するための層である。そのような第3接着層5は、単一の絶縁性樹脂層から構成されていてもよく、複数の絶縁性樹脂層の積層体から構成されていてもよい。
(第3接着層5を構成する樹脂組成物)
 第3接着層5を構成する樹脂組成物は、第1接着層1と同様に、フィラー含有フィルム10の用途に応じて適宜選択され、例えば、熱可塑性樹脂組成物、高粘度粘着性樹脂組成物、あるいは硬化性樹脂組成物を挙げることができる。例えば、フィラー含有フィルム10を異方性導電フィルムとする場合、従来の異方性導電フィルムの粘着層を形成する樹脂組成物と同様に、重合性化合物と重合開始剤から形成される硬化性樹脂組成物を使用することができる。この場合、重合開始剤としては熱重合開始剤を使用してもよく、光重合開始剤を使用してもよく、それらを併用してもよい。例えば、熱重合開始剤としてカチオン系重合開始剤、熱重合性化合物としてエポキシ樹脂を使用し、光重合開始剤として光ラジカル重合開始剤、光重合性化合物としてアクリレート化合物を使用する。熱重合開始剤として、熱アニオン系重合開始剤を使用してもよい。熱アニオン系重合開始剤としては、イミダゾール変性体を核としその表面をポリウレタンで被覆してなるマイクロカプセル型潜在性硬化剤を用いることが好ましい。
(第3接着層5の最低溶融粘度)
 第3接着層5の最低溶融粘度は、フィラー含有フィルム10を物品に熱圧着する際の樹脂流動によるフィラー4の不要な移動を抑制し、適度な樹脂流動を促すため、第2接着層2の最低溶融粘度と同様とすることができる。第3接着層5の最低溶融粘度の測定や調整は、第1接着層1の場合と同様に行うことができる。なお、第3接着層5の最低溶融粘度は、充填性の点から第1接着層1の最低溶融粘度よりも低いことが好ましい。
(第3接着層5の層厚)
 第3接着層5の層厚は、第2接着層2と同じでもよい。第3接着層5が被着体に先に貼り付ける面になる場合には、適度な粘着性をフィラー含有フィルム10に付与する等のために、フィラー4の平均粒子径に対して、好ましくは0.1倍以上、より好ましくは0.3倍以上である。また、第3接着層5の層厚の上限については、樹脂流動によりフィラー4の不要な移動を招かないように、フィラー4の平均粒子径の好ましくは2.0倍以下、より好ましくは1.0倍以下としてもよい。
(第3接着層5の粘着力)
 第3接着層5は、フィラー含有フィルム10を熱圧着する物品に対して、熱圧着前の仮圧着を可能とする粘着力を有していることが好ましく、第2接着層2の粘着力と同様とすることができる。第2接着層2の粘着力よりも高くしてもよい。被着体にフィルムを固定し、第2接着層に部品(特に1辺が100μm以下の微小部品)を搭載させ易くできる。
<フィラー含有フィルム10の製造>
 本発明のフィラー含有フィルム10は、以下の製造方法により製造することができる。
 即ち、第1接着層の表面に形成されている凹部に対応する凸部を有する凹部形成型を用意する工程、
 凹部形成型の凸部形成面に、第1接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥した後に、凹部形成型を取り去ることにより表面に凹部が形成された第1接着層を取得する工程、及び
 第1接着層の凹部に、フィラーを充填する工程
を有する製造方法により製造することができる。この製造方法は、更に、第1接着層の表面又は裏面に、第2接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより、第2接着層を形成する工程、及び
 第1接着層の裏面に第2接着層を形成した場合には、第1接着層の表面に第3接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより第3接着層を形成する工程
を有することが好ましい。
 フィラー含有フィルム10は、具体的には図4A~4Gに示すように製造することができるが、この製造方法に限定されない。以下、図面を参照しながら説明する。
 まず、図4Aに示すように、第1接着層(図4C参照)の表面に形成されている凹部(図4Cの42a)に対応する凸部40aを有する凹部形成型40を用意する(図4A)。凹部形成型40は、機械的な加工(切削加工など)やフォトリソグラフィ法等により取得することができる。
 次に、図4Bに示すように、凹部形成型40の凸部形成面に、第1接着層形成用樹脂組成物41を塗布し乾燥する。続いて、図4Cに示すように、凹部形成型40を取り去ることにより表面に凹部42aが形成された第1接着層42を形成する。なお、図示しないが、凹部形成型40を取り去る前に、第1接着層42の凹部が形成されていない面に軽粘着剥離フィルムを貼り付けておくことができる。
 次に、図4Dに示すように、第1接着層42の凹部42aに、常法に従って、フィラー43を充填する。
 次に、図4Eに示すように、第1接着層42の表面(凹部が形成されている面)に第2接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより、第2接着層44を形成する。これにより、図1Aに示す構造のフィラー含有フィルム10が得られる。
 なお、図4Fに示すように、第1接着層42の裏面(凹部が形成されていない面)に第2接着層44を形成した場合には、図4Gに示すように、第1接着層42の表面(凹部が形成されている面)に第3接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより第3接着層45を形成する。これにより図3に示す構造のフィラー含有フィルム10が得られる。なお、フィラー含有フィルムの反応率は、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。これにより、接続構造体の製造を安定して行うことができる。反応率の意味、測定方法等については後述する。
<フィラー含有フィルムの変形態様>
 フィラー含有フィルムは、例えばマイクロLEDなどの微小部品に用いる場合には、RGB1組の1ピクセル単位(1画素単位)など、所定単位の個片であってもよい。個片の形状は、特に限定されるものではなく、接続対象である電子部品の寸法に応じて適宜設定することができる。フィラー含有フィルムの個片をレーザーリフトオフ(LLO:Laser Lift Off)装置(例えば、商品名:Invisi LUM-XTR、信越化学工業株式会社)を用いるレーザーリフトオフ加工法(特開2017-157724号公報参照)により基材フィルム上に形成する場合は、捲れや欠けの発生を抑制するため、個片の形状は、鈍角からなる多角形、角が丸い多角形、楕円、長円、及び円から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
 フィラー含有フィルムの個片の寸法(縦×横)は、接続対象である電子部品の寸法に応じて適宜設定され、電子部品の面積に対する個片の面積の比は、好ましくは2以上より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。また、個片の厚みは、フィラー含有フィルムの厚みと同様、導電粒子の平均粒径に好ましくは1~4μm、特に好ましくは1~2μmを加算したものであり、好ましくは1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上6μm以下、さらに好ましくは2μm以上4μm以下である。
 また、基材フィルム上の個片間の距離は、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは10μm以上である。また、個片間の距離の上限は、好ましくは3000μm以下、より好ましくは1000μm以下、さらに好ましくは500μm以下である。個片間の距離が小さ過ぎる場合、個片のLLOによる転写が困難となり、個片間の距離が大きい場合、個片を貼り付ける方法が好ましくなる。個片間の距離は、顕微鏡観察(光学顕微鏡、金属顕微鏡、電子顕微鏡など)を用いて計測することができる。
<フィラー含有フィルムの変形態様の製造方法>
 フィラー含有フィルムの個片は、スリットやハーフカットにより形成してもよく、レーザーリフトオフ装置を用いて形成してもよい。LLO装置を用いて個片を形成する場合、基材フィルムは、レーザー光に対して透過性を有するものであればよく、中でも全波長に亘って高い光透過率を有する石英ガラスであることが好ましい。
 LLO装置を用いてフィラー含有フィルムの個片を形成する場合、基材フィルム上に設けられたフィラー含有フィルムに対して基材フィルム側からレーザー光を照射し、照射部分のフィラー含有フィルムを除去することにより、基材フィルム上にフィラー含有フィルムの所定形状の個片を形成することができる。
 例えば、開口の窓部が四角形状であるマスクを用い、基材フィルムからフィラー含有フィルムの不要部分を除去することにより、フィラー含有フィルムの残存部分で所定形状の個片を構成することができる。また、例えば、開口の窓部内に所定形状の遮光部が形成されたマスクを用い、基材フィルムから個片周囲のフィラー含有フィルムの不要部分を除去することにより、フィラー含有フィルムの残存部分で所定形状の個片を構成することができる。
 また、レーザーリフトオフ装置を用いてフィラー含有フィルムの個片を作製した場合、個片の反応率は、25%以下、好ましくは20%以下、さらに好ましくは15%以下である。これにより、優れた転写性を得ることができる。なお、レーザー照射前の硬化性樹脂膜やレーザー照射後に得られた個片の反応率の測定は、例えばFT-IRを用いて反応基の減少率により求めることができる。例えば、エポキシ化合物の反応を利用した硬化性樹脂膜の場合、試料に赤外線を照射させてIRスペクトルを測定し、IRスペクトルのメチル基(2930cm-1付近)及びエポキシ基(914cm-1付近)のピーク高さを測定し、下記式のように、メチル基のピーク高さに対するエポキシ基のピーク高さの反応前後(例えばレーザー照射前後)の比率で算出することができる。
Figure JPOXMLDOC01-appb-M000001
 上記式において、Aは反応前のエポキシ基のピーク高さ、Bは反応前のメチル基のピーク高さ、aは反応後のエポキシ基のピーク高さ、bは反応後のメチル基のピーク高さである。なお、エポキシ基のピークに他のピークが重なる場合は、完全硬化(反応率100%)させたサンプルのピーク高さを0%とすればよい。
<フィラー含有フィルムの利用(接続構造体、その製造方法)>
 本発明のフィラー含有フィルムは、従前のフィラー含有フィルムと同様に物品に貼り合わせて使用することができ、貼り合わせる物品に特に制限はない。したがって、フィラー含有フィルムを介して第1部材と第2部材とが接続されている接続構造体、第1部材と第2部材との間にフィラー含有フィルムを配置し、接続することにより接続構造体を製造する方法も本発明の一部である。例えば、フィラーとして導電粒子を採用することによりフィラー含有フィルムを異方性導電フィルムとして構成する場合、熱圧着ツールを用いて異方性導電フィルムを、PN接続を利用した半導体素子(太陽電池等の発電素子、CCD等の撮像素子、チップの一辺が50μm~200μ程度のミニLEDやチップの一辺が50μm未満のマイクロLED等の発光素子、ペルチェ素子)、その他各種半導体素子、ICチップ、ICモジュール、FPCなどの第1電子部品と、FPC、ガラス基板、プラスチック基板、リジッド基板、セラミック基板などの第2電子部品との異方性導電接続に使用することができ、またこのフィラー含有フィルムを導電フィルムとして異方性導電接続以外の用途で電子部品に用いることもできる。なお、フィラー含有フィルムを貼り合せる物品の面は、平滑でもよく、段部や凸形状を有していてもよい。
<接続構造体>
 フィラー含有フィルムを介して第1部材と第2部材とが接続されている本発明の接続構造体において、フィラー含有フィルムで接続する第1部材及び第2部材の形状、大きさ、用途等に特に制限はない。これらの部材が小型で端子サイズが狭小化していてもよく、部材の搭載に高精度のアライメントが必要とされてもよい。例えば、バンプ面積が数十μm2~数千μm2の極小化された電子部品も接続対象とすることができる。一方、外形サイズの大きな電子部品のような部材の実装を、フィラー含有フィルムを用いて行うこともできる。また、実装した部材を分割することにより小片化して使用してもよい。また、大型TVなどに用いる場合は、フィラー含有フィルムを1辺に1m以上、例えば4.5m以上貼着することもある。この場合、フィラー含有フィルムを異方性導電フィルムとして使用する以外に、フィラーをスペーサーとしたスペーサーフィルム等として使用してもよい。
 本発明のフィラー含有フィルムを用いてICチップやウェーハーをスタックして多層化してもよい。なお、本発明の導電フィルムや異方性導電フィルムとして機能するフィラー含有フィルムで接続する電子部品は、上述の電子部品の例示に限定されるものではない。近年、多様化している種々の電子部品に使用することができる。本発明は種々の物品に本発明のフィラー含有フィルムを貼り合わせたフィルム貼着体も包含する。
 フィラー含有フィルムを物品に貼り合わせる方法(換言すれば、フィラー含有フィルムを物品に搭載する方法)は、フィラー含有フィルムの用途やフィラーの種類等に応じてリフロー、圧着、好ましくは熱圧着とすることができ、あるいは前述したレーザーリフトオフ加工法を利用してもよい。なお、レーザーリフトオフ加工法によれば、フィラー含有フィルムだけでなく、マイクロLED等の第1電子部品あるいは第2電子部品もスタンプ材(例えば、特開2021-141160号公報)やレーザーリフトオフ法を利用して転写材(シリコーンゴムシート)の上に配列させ、第1電子部品に転写することができる。
<接続構造体の製造方法>
 フィラー含有フィルムを異方性導電フィルムとして構成する場合のより具体的な使用方法としては、例えば、第1電子部品が半導体素子を含むICチップやFPC、第2電子部品が基板の場合に、一般的には第1電子部品を加圧ツール側、第2電子部品を第1の電子部品と対向するステージに載置し、第2電子部品に予め異方性導電フィルムを貼着させ、加圧ツールを用いて第1電子部品と第2電子部品の熱圧着を行う。この場合、第2電子部品ではなく第1電子部品に予め異方性導電フィルムを貼着してもよく、また第1電子部品は半導体素子を含むICチップやFPCに限定されない。第1電子部品や第2電子部品は、特に基板である場合、例えばシリコーンゴム層を有してもよい。シリコーンゴム層は、ポリジメチルシロキサン(PDMS)であってもよい。また、導電粒子がハンダの場合には、リフロー処理により第1電子部品と第2電子部品とを接合することができる。
 第1電子部品と第2電子部品を熱圧着により接続するにあたり、必要に応じて、熱圧着前に予め導電粒子周辺の樹脂を排除して仮圧着を行ってもよい。これにより、異方性導電フィルムを電子物品に熱圧着する際に生じる樹脂流動の影響を低減させ、導電粒子の不要な流動を抑制することができる。具体的には、接続する一方の電子部品を異方性導電フィルムの一方の面に貼着し、もう一方の電子部品を異方性導電フィルムの他方の面に仮圧着を行う際に電子部品を加圧ツールで押圧し、電子部品間の樹脂を部分的に排除し、次いで本圧着として熱圧着することにより電子部品同士を接続する(以下、本圧着時の熱圧着だけでなく仮圧着でも押圧する接続方法を2段階押し込みによる接続という)。国際公開WO2016/143789公報には、導電粒子がランダムに分散している異方性導電フィルムを用いて2段階押し込みによる接続を行うことが記載されているが、本発明のように導電粒子が規則的に配列している異方性導電フィルムで電子部品同士を接続する場合にこのような2段階押し込みによる接続を行うと、熱圧着時の導電粒子の不要な流動を大きく低減させることが可能となる。
<接続構造体の製造方法の変形態様>
 なお、非常に微細な第1電子部品を、配線基板等の第2電子部品に実装する場合、前述したようなレーザーリフトオフ加工法により第1電子部品を第2電子部品に着弾させることにより実装することもできる。例えば、第1電子部品が、光透過性基板の表面に形成された膨大な数のマイクロLEDである場合、第2電子部品の所定箇所(例えば配線基板の各電極)に配置されたフィラー含有フィルムに対して、個々の第1電子部品にレーザー光を照射し、第1電子部品を着弾させることにより実装することができる。レーザーリフトオフ加工条件は、第1電子部品の種類や構成材料等に応じて適宜決定することができる。
 フィラー含有フィルムは、例えば配線基板等の第2電子部品の接続部の全面に配置してもよく、また、例えばRGB1組の1ピクセル単位(1画素単位)など表示部の一部に所定単位の個片で配置してもよい。
 フィラー含有フィルムの第2電子部品の表示部等への配置方法としては、特に限定されるものではない。例えばフィラー含有フィルムの表示部の全面に配置する場合、ラミネートする方法などが挙げられる。また、例えばフィラー含有フィルムの個片を表示部の一部に配置する場合、LLO装置を用いて個片を基材フィルムから第2電子部品に直接転写、配置する方法、個片を予め密着させた転写材(スタンプ材)を用いて転写材から第2電子部品に転写、配置する方法などが挙げられる。
 なお、マイクロLED等の第1電子部品を、第2電子部品の所定位置に熱圧着により配置されたフィラー含有フィルム又はレーザーリフトオフ加工法で転写されたフィラー含有フィルムの個片に、レーザーリフトオフ加工法で着弾させる場合、第1電子部品の着弾ずれ、変形、破壊、抜けなどが発生することを防止するために、フィラー含有フィルムの第1接着層及び/又は第2接着層には、着弾の衝撃を和らげるクッション性を付与するゴム成分(例えばアクリルゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、ポリウレタン系エラストマー等)や、機械的強度を付与する無機フィラー(例えばシリカ、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等)を含有させることが好ましい。
 このようなゴム成分や無機フィラーが配合された第1接続層又は第2接続層は、レーザー照射前においては、JIS K6253に準拠したデュロメータA硬度(JIS K6253に準拠)が好ましくは20~40、より好ましくは20~35、特に好ましくは20~30のものであり、JIS K7244に準拠した動的粘弾性試験装置(温度30℃、周波数200Hz;バイブロン、株式会社エー・アンド・デイ)により得られる貯蔵弾性率が好ましくは60MPa以下、より好ましくは30MPa以下、特に好ましくは10MPa以下のものである。
 一方、レーザー照射後の第1接続層又は第2接続層は、動的粘弾性試験(温度30℃、周波数200Hz)により得られる貯蔵弾性率が好ましくは100MPa以上、より好ましくは2000MPa以上のものである。貯蔵弾性率が、この範囲を下回ると良好な導通性や接続信頼性が得られ難くなる傾向がある。なお、貯蔵弾性率は、JIS K7244に準拠し、粘弾性試験機(バイブロン、株式会社エー・アンド・デイ)を用いた引張モードで、例えば、周波数11Hz、昇温速度3℃/minの条件で測定することができる。
 なお、マイクロLED等の第1電子部品を、ポリジメチルシロキサン等のシリコーンゴムシートの所定位置(即ち、第1電子部品を再転写させるべき第2電子部品の所定位置に対応した位置)にレーザーリフトオフ加工法により転写(着弾)させた第1電子部品配置シートを、その第1電子部品側を第2電子部品に対向させ、位置合わせを行った後、転写させることもできる。
 以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
 実施例1~3、比較例1、参考例1
(1)接着層形成用樹脂組成物の調製
 表1に示した配合で、絶縁性の第1接着層形成用樹脂組成物、第2接着層形成用樹脂組成物、及び第3接着層形成用樹脂組成物を常法に従って調製した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
(2)フィラー含有フィルムとしての異方性導電フィルムの作成
(a)実施例1(図1Aの構造)の異方性導電フィルムの作成
 凸径が3.5μm、凸高さ3.0μm、凸ピッチ6.4μm、凸個数密度28000個/mmの正方格子配列凸パターンを有する金型を作製した(図4A)。即ち、金型の凸パターンが正方格子配列で、格子軸における凸部のピッチが平均導電粒子径の約2.1倍であった。
 この金型の凸パターン面に、図4Bのように、第1接着層形成用樹脂組成物を溶融させ塗布し、冷やして固め、金型から引き剥がすことにより、内径3.5μm、深さ3.0μmの凹部を有する厚さ4μmの第1接着層を形成し(図4C)、更にその凹部に、導電粒子として金属被覆樹脂粒子(積水化学工業(株)、AUL703、平均粒子径3μm)を充填することにより凹部に導電粒子が充填された第1接着層を作成した。
 剥離PETフィルムに、第2接着層形成用樹脂組成物を溶融させ塗布し、冷やし固めることにより、厚さ8μmの第2接着層を作成した。
 第1接着層の導電粒子が充填された凹部側表面に。第2接着層を被せ、60℃、0.5MPaで押圧することで貼着させ、剥離PETフィルムを取り去ることにより、図1Aの構造の異方性導電フィルムを得た。なお、使用した金属被覆樹脂粒子のCV値はFPIA-3000(マルバーン社)を用いて、粒子個数1000個以上で測定したところ20%以下であった。
 なお、フィラーとしての導電粒子の下方における空隙の有無を、レーザー顕微鏡により観察した。その結果、空隙の存在が確認できた。なお、空隙の容積は、凹部容積からフィラー体積を減じることで求めることができる。ここで、凹部の容積は、凹部の開口面積に凹部深さを乗じて求めることができ、また、フィラー体積は、フィラーを球体としてみなし、粒子径から求めることができる。
(b)実施例2(図2の構造)の異方性導電フィルムの作成
 第2接着層を、第1接着層の凹部が形成されていない側の表面に積層すること以外、実施例1と同様の操作を繰り返すことにより、図2の構造の異方性導電フィルムを、作成した。
 なお、フィラーとしての導電粒子の下方における空隙の有無を実施例1と同様に観察した。その結果、空隙の存在が確認できた。
(c)実施例3(図3の構造)の異方性導電フィルムの作成
 剥離PETフィルムに、第3接着層形成用樹脂組成物を溶融させ塗布し、冷やし固めることにより、厚さ1μmの第3接着層を作成した。
 次に、第3接着層を、第1接着層の凹部が形成されている側の表面に積層すること以外、実施例2と同様の操作を繰り返すことにより、図3の構造の異方性導電フィルムを作成した。但し、第2接着層の厚みを7μmとした。
 なお、フィラーとしての導電粒子の下方における空隙の有無を実施例1と同様に観察した。その結果、空隙の存在が確認できた。
(d)比較例1(図5の構造)の異方性導電フィルムの作成
 第1接着層形成用樹脂組成物、第2接着層形成用樹脂組成物、及び第3接着層形成用樹脂組成物を、それぞれ別々の剥離PETフィルム上に溶融させ塗布し、冷やし固めることにより、厚さ4μmの第1接着層51、厚さ7μmの第2接着層52、及び厚さ1μmの第3接着層55を作成した。
 次に、第1接着層51の片面に第2接着層52、他面に第3接着層55を積層し、60℃、0.5MPaで押圧することで貼着させ、剥離PETフィルムを取り去ることにより積層体を得た。
 得られた3層構造の積層体に対し、凸パターンを有している金型を押し込んで貫通孔53を形成した。この積層体の貫通孔の個数に対して、導電粒子54の個数が110%になるように散布することにより、図5の構造の異方性導電フィルムを作成し、粒子充填率が95%以上になる部分を評価に使用した。
 なお、導電粒子の下方における空隙の有無を、実施例1と同様に観察した。その結果、本発明でいう空隙ではなく、貫通孔の存在が確認できた。
(e)参考例1(図6の構造)の異方性導電フィルムの作成
 まず、実施例1と同様の金型を作成した。この金型に対し、公知の透明性樹脂のペレットを溶融させた状態で該金型に流し込み、冷やして固めることで、凹部を有する転写型を作成した。作成した転写型の凹部に実施例1で使用した導電粒子を充填した。
 次に、剥離PETフィルムに、第1接着層形成用樹脂組成物を溶融させ塗布し、冷やし固めることにより、厚さ4μmの第1接着層61を作成した。この第1接着層61を、転写型の導電粒子が充填された凹部が形成されている表面に被せ、60℃、0.5MPaで押圧することで貼着させた。そして、型から第1接着層61を剥離し、第1接着層61上の導電粒子63を、加圧(押圧条件:60~70℃、0.5Mpa)することで第1接着層61に押し込んだ。
 次に、剥離PETフィルムに、第2接着層形成用樹脂組成物を溶融させ塗布し、冷やし固めることにより、厚さ8μmの第2接着層62を作成した。この第2接着層62を、第1接着層61の導電粒子63が押し込められた側の表面に被せ、60℃、0.5MPaで押圧することで貼着させ、剥離ペットフィルムを除去することにより、図6の構造の異方性導電フィルムを作成した。
 なお、導電粒子の下方における空隙の有無を、実施例1と同様に観察した。その結果、空隙の存在が確認できなかった。
(3)製造した異方性導電フィルムの評価
 作製した実施例、比較例及び参考例の異方性導電フィルムに対し、以下のように、(a)導通性、(b)絶縁性、(c)粒子捕捉性、(d)仮貼り性を試験評価した。得られた結果を表2に示す。
(a)導通性
 各実施例、比較例及び参考例の異方性導電フィルムを、導通特性の評価用ICとガラス基板との間に挟み、加熱加圧(170℃、20MPa、10秒)して評価用接続構造体を作成し、その初期導通抵抗を測定し、以下の導通性評価基準に従って評価した。得られた結果を表2に示す。初期導通抵抗は、実用上、A又はB評価であることが求められる。
 ここで、評価用ICとガラス基板とは、互いに端子(バンプ)パターンが対応しており、サイズは次の通りである。また、評価用ICとガラス基板を接続する際には、異方性導電フィルムの長手方向とバンプの短手方向を合わせた。
導通特性の評価用IC
 外形 1.8×20.0mm
 厚み 0.5mm
 バンプ仕様 幅30μm×長85μm、バンプ間距離50μm、バンプ高さ15μm
ガラス基板(Ti/Al配線)
 ガラス材質 コーニング社製1737F
 外形 30×50mm
 厚み 0.5mm
導通性評価基準
A: 初期導通抵抗が1.0Ω未満
B: 初期導通抵抗が1.0Ω以上2.0Ω未満
C: 初期導通抵抗が2.0Ω以上4.0Ω未満
D: 初期導通抵抗が4.0Ω以上
(b)絶縁性
 導通性評価で使用したものと同じ評価用接続構造体を作成し、7μm幅の隣接バンプ間スペースの100スペースについて導通抵抗を測定し、測定値が1×10Ω以下を示した場合をショートが発生したと判断し、以下の絶縁性評価基準に従って評価した。得られた結果を表2に示す。絶縁性は、実用上、A、B又はC評価であることが求められる。
絶縁性評価基準
A: ショートが生じたスペースが0か所
B: ショートが生じたスペースが1か所
C: ショートが生じたスペースが2か所
D: ショートが生じたスペースが3か所以上
(c)粒子捕捉性
 各実施例、比較例及び参考例の異方性導電フィルムを、粒子捕捉性の評価用ICと、端子(バンプ)パターンが対応するガラス基板(ITO配線)との間に、アライメントを6μmずらして挟み込み、加熱加圧(180℃、60MPa、5秒)して評価用の接続構造体を作成した。この接続構造体において、評価用ICのバンプとガラス基板の端子とが重なる、6μm×66.6μmの領域の100個について導電粒子の捕捉数を計測し、最低捕捉数を求め、以下の粒子捕捉性評価基準に従って評価した。得られた結果を表2に示す。実用上、A又はB評価であることが望まれる。
 粒子捕捉性の評価用IC
 外形 1.6×29.8mm
 厚み 0.3mm
 バンプ仕様 サイズ 12μm×66.6μm、バンプピッチ 22μm(L/S=12μm/10μm)、バンプ高さ 12μm
 粒子捕捉性評価基準
A: 最低捕捉数が5個以上
B: 最低捕捉数が3個以上5個未満
C: 最低捕捉数が1個以上3個未満
D: 最低捕捉数が0個
(d)仮貼り性
 各実施例、比較例及び参考例の異方性導電フィルムを、SiN被膜が形成されたガラス基板の当該SiN被膜に載置し、加熱加圧(60℃、1MPa、1秒)して仮貼りすることにより、仮貼り評価用の接続構造体を取得し、以下の仮貼り性評価基準に従って評価した。得られた結果を表2に示す。実用上、A、B又はC評価であることが望まれる。
 仮貼り性評価基準
A: 仮貼り領域に気泡が観察されることなく仮貼り可能
B: 仮貼り領域に若干の気泡が観察されるが仮貼り可能
C: 仮貼り領域に比較的大きな気泡や若干のめくれが観察されるが仮貼り可能
D: 仮貼り不能
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 実施例1の異方性導電フィルムは、第1接着層に円筒形の凹部が形成されており、凹部側に第2接着層が積層されている。また、凹部の底面周縁部と導電粒子との間に空隙が形成されるように導電粒子が凹部に保持されている。このため、「導通性」、「絶縁性」、「粒子捕捉性」、及び「仮貼り性」の各評価項目について、いずれもA評価であった。
 実施例2の異方性導電フィルムは、第1接着層に円筒形の凹部が形成されており、凹部と反対側に第2接着層が積層されている。また、凹部の底面周縁部と導電粒子との間に空隙が形成されるように導電粒子が凹部に保持されている。このため、「導通性」、「絶縁性」、「粒子捕捉性」、及び「仮貼り性」の各評価項目について、いずれもA評価であった。
 実施例3の異方性導電フィルムは、実施例2の異方性導電フィルムの第1接着層の凹部を塞ぐように第3接着層が形成されている。このため、実施例2の異方性導電フィルムよりも、被着体への仮貼り性及び、粒子抜け落ち防止が期待できる。また、凹部の底面周縁部と導電粒子との間に空隙が形成されるように導電粒子が凹部に保持されている。このため、「導通性」、「絶縁性」、「粒子捕捉性」、及び「仮貼り性」の各評価項目について、いずれもA評価であった。
 それに対し、比較例1の異方性導電フィルムは、第3接着層/第1接着層/第2接着層が積層された積層構造を有しているが、導電粒子が第1接着層の凹部に保持されているのではなく、この積層構造に設けられた貫通孔の第1接着層付近に保持されている。このため、導通性がA評価であり、絶縁性がB評価であったが、粒子捕捉性と仮貼り性とはD評価であった。これは凹部の空洞になる部分(余剰な空隙)が大きいため、被着体面から導電粒子までの距離が広がりすぎて導電粒子が圧着時に流動しやすくなる、と考えられる。また、空洞部分が多くなることで、樹脂と被着体の接触面が相対的に少なくなり、仮貼り性も悪くなった、と考えられる。
 また、参考例1の異方性導電フィルムは、第1接着層に凹部を設けずに、導電粒子を単に押し込んでいるので、空隙が形成されず、その結果、導通性がB評価であった。
 1,42,51,61 第1接着層
 2,44,52,62 第2接着層
 3,42a 凹部
 3a 底面
 3b 底面の周縁部
 3c 空隙
 53 貫通孔
 4,43,54,63 フィラー、導電粒子
 5,45,55 第3接着層
10,50,60 フィラー含有フィルム
40 凹部形成型
40a 凸部
41 第1接着層形成用樹脂組成物

Claims (18)

  1.  表面に凹部が形成されている第1接着層と、第1接着層の表面に形成されている凹部に充填されているフィラーとを有するフィラー含有フィルムであって、
     該凹部は底面を有し、底面の少なくとも周縁部とフィラーとの間に、空隙が存在するフィラー含有フィルム。
  2.  凹部の容積が、導電粒子の平均体積の1.1倍以上8倍以下である請求項1記載のフィラー含有フィルム。
  3.  第1接着層に、更に第2接着層が積層されている請求項1又は2記載のフィラー含有フィルム。
  4.  第2接着層が、第1接着層の凹部が形成されている表面に積層されている請求項3記載のフィラー含有フィルム。
  5.  第2接着層が、第1接着層の凹部が形成されていない裏面に積層され、更に、第3接着層が、第1接着層の凹部が形成されている表面に積層されている請求項3記載のフィラー含有フィルム。
  6.  該凹部が筒状である請求項1又は2記載のフィラー含有フィルム。
  7.  該凹部の底面が、フィラー含有フィルムの平面方向に略平行に設けられている請求項1又は2記載のフィラー含有フィルム。
  8.  該凹部の凹部径が、フィラーの平均粒子径の1.0倍以上2.0倍以下である請求項1又は2記載のフィラー含有フィルム。
  9.  第1接着層の層厚が、フィラーの平均粒子径の1.2倍以上10倍以下である請求項1又は2記載のフィラー含有フィルム。
  10.  フィルムの反応率が25%以下である請求項1又は2記載のフィラー含有フィルム。
  11.  フィラーが導電粒子であり、導電フィルムとして使用される請求項1又は2記載のフィラー含有フィルム。
  12.  導電フィルムが異方性導電フィルムである請求項11記載のフィラー含有フィルム。
  13.  請求項1記載のフィラー含有フィルムの製造方法であって、
     第1接着層の表面に形成されている凹部に対応する凸部を有する凹部形成型を用意する工程、
     凹部形成型の凸部形成面に、第1接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥した後に、凹部形成型を取り去ることにより表面に凹部が形成された第1接着層を取得する工程、及び
     第1接着層の凹部に、フィラーを充填する工程
    を有する製造方法。
  14.  更に、第1接着層の表面又は裏面に、第2接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより、第2接着層を形成する工程、及び
     第1接着層の裏面に第2接着層を形成した場合には、第1接着層の表面に第3接着層形成用樹脂組成物を塗布し乾燥することにより第3接着層を形成する工程
    を有する請求項13記載の製造方法。
  15.  請求項1~11のいずれかに記載のフィラー含有フィルムを介して第1部材と第2部材とが接合されてなる接続構造体。
  16.  異方性導電フィルムとして使用される請求項12記載のフィラー含有フィルムを介して第1電子部品と第2部電子部品とが異方性導電接続されてなる接続構造体。
  17.  請求項1~11のいずれかに記載のフィラー含有フィルムを介して第1部材と第2部材とを接合する、接続構造体の製造方法。
  18.  異方性導電フィルムとして使用される請求項12記載のフィラー含有フィルムを介して第1電子部品と第2電子部品とを異方性導電接続する、接続構造体の製造方法。
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