JP2021150221A - 異方性感圧導電膜 - Google Patents

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Ryu Nogimura
龍 野木村
安由 岡本
Yasuyoshi Okamoto
安由 岡本
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文章 渡邉
大輔 上野
Daisuke Ueno
大輔 上野
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Abstract

【課題】非加圧状態では絶縁性であり、厚み方向への加圧力に対して優れた通電応答性を示し、加圧状態を解除した際には初期の絶縁性を回復することができる異方性感圧導電膜を提供する。【解決手段】1つ又は複数の凹部を有する凹部構造単位と、平面視において、該凹部構造単位の周囲の外側に配され、該凹部構造単位の少なくとも直下に存在する空間全体を保持して該凹部構造単位を支える脚部とにより構成される単位膜が面方向に連なる絶縁性エラストマー構造体と、前記凹部内に配された導電性粒子とを有する、異方性感圧導電膜。【選択図】図4

Description

本発明は、異方性感圧導電膜に関する。
各種センサ、スイッチ、キーボード、タッチパネルには、一定以上の加圧力により導電性を得る感圧導電材料が使用されている。例えば、パソコンのキーボードや、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなどの携帯型情報処理装置のタッチパネルなどの接点には感圧導電膜が配され、一定以上の加圧力により、感圧導電膜が加圧部分で導通し、文字等が入力される仕組みになっている。
また、感圧導電材料は、自動車のハンドル保持の有無を検知するグリップセンサや、鉄道車両扉における戸挟み検知センサへの活用も検討されている。
異方性感圧導電膜は、一般的には金属粒子などの導電性粒子を基材(バインダー)中に分散させた接着フィルムである(例えば特許文献1)。異方性感圧導電膜は、膜厚方向の加圧によって加圧部分を膜厚方向に導通させることができ、面方向は、常時、電気的絶縁状態にある。異方性感圧導電膜は、各種感圧センサ、スイッチ、キーボード、タッチパネルなどに広く用いられている。
特開2018−81906号公報
スイッチ、キーボード、タッチパネルなどに用いる異方性感圧導電膜には、非加圧状態では絶縁性を確保でき、かつ、少しの加圧力で、加圧部分だけを、加圧方向(膜厚方向)に確実に導通させることができる高感度で繊細な感圧性能(高感度の通電応答性)が求められる。また、繰り返し使用しても、初期の感圧性能を十分に発現できる特性(復元性)も求められる。感圧センサに用いる異方性感圧導電膜についても、高感度化、高耐久性の要求がある。
本発明は、非加圧状態では絶縁性であり、厚み方向への加圧力に対して優れた通電応答性を示し、加圧状態から解放した際には初期の絶縁性を回復することができる異方性感圧導電膜を提供することを課題とする。
本発明の上記課題は下記の手段により解決された。
〔1〕
1つ又は複数の凹部を有する凹部構造単位と、
平面視において、該凹部構造単位の周囲の外側に配され、該凹部構造単位の少なくとも直下に存在する空間全体を保持して該凹部構造単位を支える脚部と
により構成される単位膜が面方向に連なる絶縁性エラストマー構造体と、
前記凹部内に配された導電性粒子と
を有する、異方性感圧導電膜。
〔2〕
一方の面に複数の凹部を有し、他方の面に複数の凸部を有する絶縁性エラストマーシートと、
前記複数の凹部内に配置される複数の導電性粒子と、を有し、
前記複数の凸部により、前記複数の凹部の少なくとも1つの直下に存在する空間が保持される異方性感圧導電膜。
〔3〕
一方の面に複数の凹部を有し、他方の面に少なくとも1つ以上の凹部を有する絶縁性エラストマーシートと、
前記一方の面の複数の凹部内に配置される複数の導電性粒子と、を有し、
前記他方の面の凹部の側壁により、前記一方の面の複数の凹部の少なくとも1つの直下に存在する空間が保持される異方性感圧導電膜。
〔4〕
前記の導電性粒子が配された凹部の底面を構成する絶縁性エラストマーの、少なくとも一部の厚さが他の部分の厚さよりも薄い、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の異方性感圧導電膜。
〔5〕
前記絶縁性エラストマーの感圧係数が30〜140である、〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の異方性感圧導電膜。
本発明において、「〜」を用いて表される数値範囲は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本発明の異方性感圧導電膜は、非加圧状態では絶縁性であり、厚み方向への加圧力に対して優れた通電応答性を示し、加圧状態を解除した際には初期の絶縁性を回復することができる。
図1は、本発明の異方性感圧導電膜を構成する絶縁性エラストマー構造体の一例を示す平面図である。図1(a)が上面からの平面図、図1(b)が下面からの平面図である。 図2は、図1の形態において、凹部構造単位と、脚部と、単位膜との関係の一例を示す説明図である。 図3は、図1ないし図2の形態において、隣り合う単位膜との間で脚部の一部を共用している状態を示す説明図である。図3(a)は、図2(a)における上側脚部を隣り合う単位膜との間で共用している部分を示し、図3(b)は、図2(b)における下側脚部を隣り合う単位膜との間で共用している部分を示す 図4は、図1に示す絶縁性エラストマー構造体の、一点破線Q−R間で切断した模式的な切断面図を、上側凹部に導電性粒子を充填した異方性感圧導電膜の形態として示す図面である。 図5は、図4に示した異方性感圧導電膜を基材上に配した状態における、加圧による通電機構を示す説明図である。 図6は、図1の形態において互いに隣接する平面視円形の下側凹部を重ね合わせた形状とした形態を示す説明図である。 図7は、図6の形態の異方性感圧導電膜について、図4と同じく、一点破線における切断面図として示したものである。 図8は、凹部構造単位が有する凹部の数が4つである絶縁性エラストマー構造体の一例を示す平面図である。図8(a)が上面からの平面図、図8(b)が下面からの平面図である。 図9は、図8(a)において上側凹部が共通する4つの凹部を抜き出して示すものである。 図10は、凹部構造単位が5つの凹部を有する一形態において、凹部構造単位の決定方法を示す説明図である。 図11は、凹部構造単位が4つの凹部を不規則に有する一形態において、凹部構造単位の決定方法を示す説明図である。 図12は、図8に示す絶縁性エラストマー構造体の、一点破線Q’−R’間で切断した模式的切断面図を、上側凹部に導電性粒子を充填した異方性感圧導電膜の形態として示す図面である。 図13は、図12の形態の変形例を示す模式的切断面図である。 図14は、図12の形態の別の変形例を示す模式的切断面図である。 図15は、本発明の異方性感圧導電膜の製造工程の一例を模式的に示す説明図である。 図16は、比較例で用いた異方性感圧導電膜の構造を示す模式的切断面図である。
[異方性感圧導電膜]
本発明の異方性感圧導電膜(以下、単に「本発明の感圧導電膜」とも称す。)は、外部から一定以上の加圧力が印加されていないときには電気的絶縁状態にあり、外部から一定以上の加圧力が膜厚方向に印加された場合に当該加圧部分を膜厚方向に導通させることができ、面方向は常時、電気的絶縁状態にある。すなわち、加圧通電応答が異方性を有する導電膜である。
本発明の感圧導電膜は、
1つ又は複数の凹部を有する凹部構造単位と、
平面視において、該凹部構造単位の周囲の外側に配され、該凹部構造単位の少なくとも直下に存在する空間全体を保持して該凹部構造単位を支える脚部と
により構成される単位膜が面方向に連なる絶縁性エラストマー構造体と、
前記凹部内に配された導電性粒子と
を有している。
本発明において「面方向」とは、絶縁性エラストマー(以下、単に「エラストマー」とも称す。)構造体ないし異方性感圧導電膜の膜面方向である。
また、本発明における「単位膜」とは、凹部構造単位と、この凹部構造単位を支える脚部とを合わせた単位構造を意味する。
さらに、本発明において「単位膜」が「面方向に連なる」とは、各単位膜を個別に作製し、これらを面方向に連ねた形態に限定されず、エラストマーを成形して得られる一体的、連続的な構造体が、結果として、単位膜が面方向に連なった構造体とみなすことができれば、「単位膜」が「面方向に連なる」構造である。本発明において「単位膜」が「面方向に連なる」とは、通常は後者の形態である。本発明において「単位膜」が「面方向に連なる」構造全体を、「絶縁性エラストマー構造体」と称す。
加えて、本発明において、「単位膜」が「面方向に連なる」形態は、一つの単位膜の脚部又は脚部の一部が、当該単位膜と隣り合う別の単位膜の脚部又は脚部の一部と共通(共用)していてもよい。
本発明の感圧導電膜において、「上」「下」の表記は、導電性粒子が充填される凹部を有する側が上、その反対側を下とする。
本発明の感圧導電膜の好ましい実施形態について説明する。
本発明の感圧導電膜の形態を、図面を参照して説明する。なお、各図面は、本発明の理解を容易にするための説明図であり、各部材のサイズないし相対的な大小関係等は説明の便宜上大小を変えている場合があり、実際の関係をそのまま示すものではない。また、本発明で規定する事項以外はこれらの図面に示された外形、形状に限定されるものでもない。
図1は、凹部構造単位が有する凹部が1つであるエラストマー構造体(シート)10を、上面(凹部の開口部側)及び下面(凹部底面側)からみた平面図である。上面からの平面図を図1(a)、下面からの平面図を図1(b)として示す。
図1(a)に示すように、エラストマー構造体10の上面には、規則的に凹部(上側凹部11、本発明で規定する凹部)が形成され、上側凹部11の開口部と底面は円形である(凹部内の空間が円柱状である)。
また、図1(b)に示すように、エラストマー構造体10の下面には、上側凹部11の底面よりも開口部の面積が大きく、上側凹部の底面をすべて包含して上側凹部の底面の直下に形成された空間全体を保持するように、開口部と底面が円形の凹部(下側凹部12、凹部内の空間が円柱状である)が設けられている。
図1の形態は、1つの上側凹部に1つの下側凹部が対応しているため、凹部構造単位が有する凹部が1つであるエラストマー構造体10である。そして、上面側からみたときの上側凹部11以外の部分(上側凸部13)と、下面側からみたときの下側凹部12以外の部分(下側凸部14)とが一体となって、エラストマー構造体10の脚部を構成する(図4も参照)。以下に詳述する。
図1の形態において、本発明で規定する凹部構造単位と、脚部と、単位膜との関係の一例を、図2を参照して説明するが、この説明は好ましい一例であり、本発明は、本発明で規定すること以外、これらの形態に限定されるものではない。
図2(a)は、図1(a)に示したエラストマー構造体10の上側凹部11の縦3列、横3列を抜き出したものである(各凹部を11a、11b、11c、11d、11e、11f、11g、11h、11iとする。)。図1ないし図2は、上述のように凹部構造単位が有する凹部が1つであるエラストマー構造体であり、図2(a)において上側凹部11a〜11iは、各々が、それ自体で凹部構造単位となる。凹部構造単位は、上側凹部の底面に沿ってエラストマー構造体10の厚さ方向に存在するエラストマー部分(上側凹部の底面の厚さ部分)を包含する概念である。
上側凹部11eを支える脚部の一例について説明する。この脚部は、上側脚部と下側脚部とが一体となって構成される脚部である。上側脚部は、エラストマー構造体の最上面から上側凹部11eの底面までの厚さ範囲にあり、下側脚部は上側凹部11eの底面から、エラストマー構造体の最下面までの厚さ範囲にある。
上側脚部について説明すると、上面からの平面視において、上側凹部11eの周囲よりも外側部分であって、例えば、上側凹部11eに隣接する上側凹部11b、11d、11f、11hの各凹部の周囲と接する円内(図2(a)中の二点破線内)に、厚さ方向に、エラストマー構造体の最上面から上側凹部11eの底面までの厚さで存在するエラストマー部分を、上側凹部11eの上側脚部とみることができる。
図2(b)は、図1(b)に示したエラストマー構造体10の下側凹部12a、12b、12c、12d、12e、12f、12g、12h、12iの部分を抜き出したものである。下側凹部12a〜12iは、それぞれ、上側凹部11a〜11iに対応する下側の凹部である。
下側脚部11について説明すると、下面からの平面視において、下側凹部12eの周囲よりも外側部分であって、例えば、下側凹部12eに隣接する下側凹部12b、12d、12f、12hの各凹部の周囲と接する円内(図2(b)中の二点破線内)に、厚さ方向に、上側凹部11eの底面からエラストマー構造体の最下面までの厚さで存在するエラストマー部分を、上側凹部11eの下側脚部とみることができる。
そして、上記の上側脚部と下側脚部とが一体となって、上側凹部11eを有する(上側凹部11eからなる)凹部構造単位を支える脚部となる。
上側凹部11a〜11d、11f〜11iについても同様にして、各上側凹部を有する(各上側凹部からなる)各凹部構造単位を支える脚部を適宜に決めることができ、また後述のように各凹部構造単位に対応する単位膜を決めることができる。
このように、本発明において脚部とは、エラストマー構造体の最上面から最下面まで連続するエラストマー構造である。図1の形態においては、上側脚部は上側凹部の側壁を構成する構造体でもある。
上側凹部11(例えば上側凹部11eとその底面に沿って厚さ方向に存在するエラストマー部分)を有する凹部構造単位(上側凹部からなる凹部構造単位)と、この凹部構造単位を支える脚部とを合わせて、単位膜という。
図1の形態は、各単位膜が規則的に、面方向に連なった構造である。各単位膜が有する脚部は、隣り合う単位膜との間で、脚部の一部を共用としている。図3(a)は、図2(a)を用いて説明した上述の上側脚部が、隣り合う単位膜との間で共用する部分を示し、図3(b)は、図2(b)を用いて説明した上述の下側脚部が、隣り合う単位膜との間で共用する部分を示すものである。図3(a)では、図2(a)において破線で示した下側凹部の表示を省略し、図3(b)でも、図2(b)において破線で示した上側凹部の表示を省略している。
図3(a)において、二点破線で示した円の重なり部分が、隣り合う単位膜との間の上側脚部の共用部分である。図3(a)の例では、互いに隣り合う2つの単位膜における上側脚部の共用部分(C2)、互いに隣り合う3つの単位膜における上側脚部の共用部分(C3)、互いに隣り合う4つの単位膜における上側脚部の共用部分(C4)が存在する。
また、図3(b)において、二点破線で示した円の重なり部分が、隣り合う単位膜との間の下側脚部の共用部分である。図3(b)の例では、互いに隣り合う2つの単位膜における下側脚部の共用部分(C2)が存在する。
また、連なる各単位膜の間に空間Zが生じる場合、当該空間は空間のままとしてもよく、また、エラストマー等で満たされた構造としてもよい。図1の形態では、当該空間はエラストマーで満たされた状態にある。
図1の形態において、脚部の考え方の一例を説明したが、これはあくまで1つの考え方を示すものに過ぎない。すなわち、本発明において脚部とみなす部位は一義的に定める必要はなく、「平面視において、該凹部構造単位の周囲の外側に配され、該凹部構造単位の少なくとも直下に存在する空間全体を保持して該凹部構造単位を支える」エラストマー部分として把握できれば、適宜に脚部としてみなすことができる。
面方向に連なる単位膜において、各単位膜は同じ形状であっても、異なる形状であってもよい。例えば、図3(b)において空間Zにエラストマーが満たされた形態を想定したとき、下側脚部の領域は、特段限定されず、いかなる領域であっても良い。すなわち、空間Zに満たされた、「当該エラストマー部分の一部又は全部」を、「当該エラストマー部分を囲う4つの下側凹部に対応する4つの凹部構造単位(4つの上側凹部)のうち、1つ又は複数の凹部構造単位」に対応する下側脚部とみなすこともできる。
図1の実施形態において、エラストマー構造体10の上側凹部11には導電性粒子を充填することにより、異方性感圧導電膜が得られる。
図1に示すエラストマー構造体10の、一点破線Q−R間で切断した模式的な切断面図を、上側凹部11に導電性粒子15を充填した感圧導電膜1の形態として図4に示す。図4に示す形態では、エラストマー構造体10の最下面MLと導電性粒子15との間には空間X(空気層)が存在し、厚さ方向の電気的絶縁状態が保たれている。
上側凹部11の幅WUは、導電性粒子15の保持性の観点から、導電性粒子15の平均粒径(メジアン径:D50、累積分布において粒子の全体積を100%としたときに50%累積となるときの粒径)をdとしたとき、[d−(15d/100)]≦WU≦[d+(15d/100)]とすることが好ましく、[d−(15d/100)]≦WU≦dとすることがより好ましい。WUを上記好ましい範囲とすることにより、導電性粒子の上側凹部内への充填性を担保しながら、充填された導電性粒子の凹部内への保持性も十分に高めることができる。また、WUを上記好ましい範囲とすることにより、導電性粒子15による上側凹部の変形が抑えられて感圧特性も良化する傾向にある。
なお、図4には、1つの凹部に対して導電性粒子15を1つ充填した形態を示しているが、1つの凹部に対して2つ以上の導電性粒子を充填してもよい。
隣接する上側凹部間の距離(上側脚部の幅)P1は、目的の感圧特性等に応じて適宜定めることができる。P1を一定の範囲に収めることにより、抵抗を抑えながら、加圧時における導電性粒子同士の干渉による反力もより低減することが可能となる。目安として、エラストマー構造体の上側からの平面視において、上側凹部(凹部開口部)の面積占有率が0.05〜60%(好ましくは0.1〜45%、さらに好ましくは1.5〜35%)となるようにP1を決定することができる。
導電性粒子15は、凹部の側壁に接していなくても良いが、粒子保持性の観点より、上側凹部15の壁面に接して当該壁面に挟まれた構造とすることが好ましい。また、導電性粒子15は、上側凹部15の壁面に接着した形態とすることもできる。この接着には、接着剤を用いたり、プラズマや紫外線等の活性光線の照射により表面改質したり、エラストマーそれ自体に接着成分を内添したりして行うことができる。
上側凹部の深さTUは、導電性粒子15の平均粒径dの大きさよりも浅くする(TU<d)ことができる。この場合、加圧端子とエラストマーとの密着を抑えて加圧端子へのエラストマーの固着を抑えることができる。また、TU>dの関係とすることもできる。この場合、上側凹部内に充填された導電性粒子15の保持性の観点で有利である。TUとdの関係は、固着防止、粒子保持性に加え、加圧端子との間の通電性、上側凹部壁面の干渉による加圧時の反力上昇の抑制の観点から、0.5≦TU/d≦1.5が好ましい。
なお、加圧端子とエラストマーとの固着をより抑える観点では、エラストマー構造体の最上面MU上に、コーティング層を単層又は複層に設けることも好ましい。このようなコーティング層はできるだけ体積抵抗が小さいことが好ましい。コーティング層の形成材料として、例えば、導電性フィラーを含有するシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂等を挙げることができる。感圧異方性を担保するため、上側凹部の壁面ないし底面にはコーティング層を設けないことが好ましい。
上側凹部の底面の厚さTBは、加圧通電時の抵抗抑制、加圧時の反力抑制の観点から、導電性粒子の平均粒径dとの関係で、TB<4d/5とすることが好ましい。また、導電性粒子15を確実に保持する観点からはTB>0.2μmが好ましいが、後述するように、TBが0.0μmである(TBが存在しない)形態も、本発明の感圧導電膜に包含される。
下側凹部12の幅WLは、上側凹部11の幅WUよりも広い(WL>WU)。これにより、上側凹部11の少なくとも直下全体に空間Xを形成することができ、加圧通電時に、低加重で良好な感圧導電性を実現できる。
また、加圧時の反力抑制の観点から、WLは下側凹部の深さTLよりも大きい(WL>TL)ことが好ましい。
隣接する下側凹部間の距離(下側脚部の幅)P2は、隣接する上側凹部間の距離P1よりも短い。
図4の形態において、エラストマー構造体(シート)の厚さ(TU+TB+TL)は、10〜200μmが好ましく、12〜120μmがより好ましく、15〜75μmがさらに好ましい。また、TU+TB+TLは20μm以上とすることも好ましく、30μm以上とすることも好ましく、40μm以上とすることも好ましい。このエラストマー構造体の好ましい厚さは、図4の形態に限らず、本発明で規定するエラストマー構造体の好ましい厚さとして適用される。
図5は、図4に示した感圧導電膜1を導電性基材17上に配した状態における、加圧による通電機構を示す説明図である。感圧導電膜1の基材17上への配設には、接着剤を用いることができる。また、プラズマや紫外線等の活性光線の照射により、感圧導電膜1や基材17の表面を改質することによっても接着性を高めることができる。なお、感圧導電膜1が配される基材17の表面は平面であることが好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲で、基材17の表面を曲面とすることもできる。
図5(a)が非加圧状態(電気的絶縁状態)を示し、図5(b)が加圧端子16で加圧したときの導通状態を示す。なお、加圧端子16には検知装置より検知電流が通電されており、基材17には検知部が接続されているが、図5ではこれらの図示を省略している。
図5(a)では、導電性粒子15と基材17との間には上側凹部の底面と、その下の空間Xが存在し、厚さ方向の電気的絶縁状態が保たれている。
そして、図5(b)に示すように加圧端子16が下降して導電性粒子15に押し下げ圧が加わると、導電性粒子15の周囲のエラストマーが変形しながら導電性粒子の位置が下降し、基材17に近接する。このとき導電性粒子15の直下(上側凹部の底面の直下)に空間Xが存在することによって、加圧時の反力の上昇を抑えながら導電性粒子15が基材17へと接近できる。そして、この接近により、導電性粒子15と基材17との間で通電パスが形成されることにより、加圧端子16に通電されていた検知電流が基材17を通って検知部に通電する。これにより、感圧導電膜を良好な荷重応答性を有するスイッチ等として利用できる。なお、上記の通電パスの形成は、上側凹部の底面が、導電性粒子15によってわずかに突き破られるなどして形成されているとも考えられる。上側凹部底面が突き破られたとしても、極微細な穴が形成されるに過ぎないため、加圧状態から解放すれば、図5(a)の状態に戻る過程で塞がれ、上側凹部の底面として当初の図5(a)の状態のように機能する。
以上、図1の形態をベースとして、本発明の感圧導電膜の好ましい一実施形態を、構造面から説明した。本発明の感圧導電膜には、本発明の規定を満たす限りにおいて図1の形態の種々の変形例も包含される。例えば、凹部の開口部ないし底面は円形に限られず、楕円形状、多角形状など、種々の形態をとることができる。多角形状の場合、隣接する2辺のなす角度を90度以上とすることが好ましい。こうすることで、隣接する2辺に対応する側壁の加圧変形時における相互干渉を効果的に抑えることができる。
また、図1の形態において互いに隣接する平面視円形の下側凹部の一部を、重ね合わせた形状とすることもできる。この形態の一例を図6に示す。図6では、上側凹部の配置も下側凹部の配置に合わせて設計する(図6中の破線)。図6の形態では、横方向に脚部を有しない連続的な領域を有する下側凹部が形成できるため(脚部の割合を少なくできるため)、感圧通電感度をより高めることが可能となる。この図6の形態の感圧導電膜について、図4と同じように切断面図(図6に一点破線で示したラインに沿った切断面図)としてみたものが図7である。この切断面図においては、脚部は上側凹部全体に対して両端に2つだけ有した形態となる。
図6ないし図7の形態では、図1ないし図4に示す各下側凹部が、当該下側凹部に隣接する下側凹部と連通した形態であることを把握できる。このような場合には、図1ないし図4に示す形態と同様に、凹部構造単位が有する凹部は1つであるとみなすこともできる。
また、次に示す各変形例も、本発明の感圧導電膜の形態として好ましい。
図8に示す形態は、凹部構造単位が、規則的に配置した4つの凹部21を有する。すなわち、平面視において、1つの下側凹部22の周囲の内側に、上側凹部21が4つ内包された構造をとる。図8は、かかるエラストマー構造体(シート)20を、上面(凹部の開口部側)及び下面(凹部底面側)からみた平面図である。上面からの平面図を図8(a)、下面からの平面図を図8(b)として示す。
図8(a)に示すように、エラストマー構造体20の上面には、規則的に凹部(上側凹部21、本発明で規定する凹部)が形成され、上側凹部21の開口部と底面は円形である(凹部内の空間が円柱状である)。
また、図8(b)に示すように、エラストマー構造体20の下面には、上側凹部21を縦横それぞれに2つずつ計4つの底面をすべて包含して上側凹部4つの底面の直下に形成される空間を保持するように、凹部(下側凹部22)が設けられている。
図8の形態は上述のように、凹部構造単位が有する凹部が4つであるエラストマー構造体20であり、上面側からみたときの上側凹部21以外の部分(上側凸部23)と、下面側からみたときの下側凹部22以外の部分(下側凸部24)とが一体となって、エラストマー構造体20の脚部を構成する(図12も参照)。
図8の形態において、4つの凹部を有する凹部構造単位と脚部との境界は次のように決定される。
図9は、図8(a)において下側凹部が共通する4つの上側凹部を抜き出して示すものである。凹部構造単位と脚部との境界の決定に当たって、まず、4つの上側凹部をすべて包含し、かつ、複数の上側凹部の壁面に接する最小の外接円CRを描く。図9の凹部の配置であれば、4つの凹部のすべてに接する外接円が、最小の外接円となる。
また、4つの凹部のうち隣り合う2つの凹部の壁面に接する接線TNを引く。その際、1つの接線に着目したとき、当該接線を境として一方の側にすべての凹部が配されるように、接線が引かれる隣り合う2つの凹部を決定する。例えば、図9に示す接線TNGは、接線TNGを境として、左上側に凹部が3つ、右下側に凹部が1つ配されるため、接線TNではない。
このようにして描かれた外接円CRと接線TNとにより囲まれた範囲内を、凹部構造単位とする。
図8ないし図9の形態以外でも、このルールに従って、凹部構造単位を決定することができる。例えば、凹部構造単位が図10のように平面視において5つの凹部を有する場合には、凹部構造単位の決定に当たって、まず、5つの凹部をすべて包含し、かつ、複数の凹部壁面に接する最小の外接円CRを描く。
また、5つの凹部のうち隣り合う2つの凹部の壁面に接する接線TNを引く。その際、1つの接線に着目したとき、当該接線を境として一方の側にすべての凹部が配されるように、接線が引かれる隣り合う2つの凹部が決定される。
このようにして描かれた外接円CRと接線TNとにより囲まれた範囲内を、凹部構造単位とする。
また、凹部構造単位が図11のように平面視において4つの凹部を有する場合には、凹部構造単位の決定に当たって、まず、4つの凹部をすべて包含し、かつ、複数の凹部壁面に接する最小の外接円CRを描く。
また、4つの凹部のうち隣り合う2つの凹部の壁面に接する接線TNを引く。その際、1つの接線に着目したとき、当該接線を境として一方の側にすべての凹部が配されるように、接線が引かれる隣り合う2つの凹部が決定される。
このようにして描かれた外接円CRと接線TNとにより囲まれた範囲内を、凹部構造単位とする。
ここで、図8の形態における脚部の考え方の一例について説明すると、上側脚部は、上面からの平面視において、図9のように決定された凹部構造単位の周囲よりも外側部分であって、例えば、当該凹部構造単位に隣接する凹部構造単位までの間に、厚さ方向に、エラストマー構造体の最上面から上側凹部21の底面までの厚さで存在するエラストマー部分を、当該凹部構造単位を支える上側脚部としてみることができる。当該凹部構造単位の平面視において、4つのコーナー部分の外側に存在するエラストマー部分も含めて、当該凹部構造単位の上側脚部とみなすこともできる。
また、下側脚部については、下面からの平面視において、当該凹部構造単位の下側に形成された下側凹部22の周囲よりも外側部分であって、例えば、当該下側凹部22に隣接する下側凹部22までの間に、厚さ方向に、上側凹部の底面からエラストマー構造体の最下面までの厚さで存在するエラストマー部分を、当該凹部構造単位を支える下側脚部としてみることができる。当該下側凹部の平面視において、4つのコーナー部分の外側に存在するエラストマー部分も含めて、当該凹部構造単位を支える下側脚部とみなすこともできる。
そして、上側脚部と下側脚部が一体となって、当該凹部構造単位を支える脚部を構成する。
図8に示すエラストマー構造体20の、一点破線Q’−R’間で切断した模式的切断面図を、上側凹部11に導電性粒子15を充填した感圧導電膜2の形態として図12に示す。図12に示す形態では、エラストマー構造体20の最下面と導電性粒子15との間には空間X(空気層)が存在し、厚さ方向の電気的絶縁状態が保たれている。
図12において、上側凹部21の幅WUと、隣接する上側凹部間の距離(上側脚部の幅)P1と、下側凹部22の幅WLとの関係が、WL>(2WU+P1)を満たす。その他の形状ないしサイズは、図1の形態に準じて、目的に応じて適宜に設定される。
感圧導電膜が図8に示す形態をとることにより、より低荷重で通電状態を作り出すことができ、厚み方向への加圧力に対してより高感度な通電応答性を実現することができる。
図13は、図12の形態の変形例である。図13に示す形態において下側凹部は、図12の示す下側凹部の底面にさらに凹部ADが形成された形状となっている。この凹部ADの幅WPは、WP<WUを満たす範囲で、目的に応じて適宜に設定することができる。図13に示す形態とすることにより、上側凹部21の底面の厚さをより薄くすることができ、図12の形態に比べて、さらに低荷重で通電状態を作り出すことができ、厚み方向への加圧力に対してより高感度な通電応答性を実現することができる。
このように、本発明の感圧導電膜は、導電性粒子が配された凹部の底面を構成する絶縁性エラストマーの、少なくとも一部の厚さを他の部分の厚さよりも薄くした形態とすることも好ましい。
図14は、図12の形態の別の変形例である。図14に示す形態では、上側凹部の底面が存在しない。つまり、導電性粒子は上側凹部の側壁により挟まれて凹部内に保持されている。すなわち、本発明において「凹部」とは、底面の一部又は全部が存在しない形態も包含する意味である。この形態において、導電性粒子を上側凹部内に保持するために、導電性粒子の平均粒径dと上側凹部の幅WUとの関係を、1.0<d/W<1.3とすることが好ましい。図14の形態のように上側凹部の底面を無くしてしまうことにより、極めて高感度な通電応答性を実現することができる。
また、図14では上側凹部の底面のすべてを無くした状態を示したが、上側凹部の底面の一部を残し、一部を無くした形状とすることも好ましい。こうすることにより、高感度な通電応答性を示しながら、導電性粒子の上側凹部内への保持性をより高めることが可能になる。
上述した各実施形態の説明では、下側脚部が一つの凹部構造単位の周囲に沿った連続的な構造部であるもの(凹部構造単位の周囲に沿って連続的に(例えばリング状に)形成されているもの)を示したが、本発明は本発明で規定すること以外、これらの形態に限定されない。例えば、凹部構造単位の直下を除いた部分に、棒状の脚部を複数本、間隔をおいて設けてもよい。複数の脚部の配置は、本発明の効果を享受する範囲で規則的に配されていてもよく、不規則に配されていてもよい。
つまり、凹部構造単位の少なくとも直下全体の空間を保持して該凹部構造単位を支えることができれば、脚部の構造や配置は何ら限定されるものではない。
続いて、本発明の感圧導電膜の各構成部材、製造方法について説明する。
<導電性粒子15>
導電性粒子15は、一次粒子であることが好ましい。これは、導電性粒子15が加圧端子により押し付けられ、基材との間で通電パスを形成した状態で、より低抵抗の安定した導通状態を達成できるためである。導電性粒子15の形状は、本発明の効果を損なわない範囲で適宜に調整される。なかでも真球状であることが好ましい。真球状であることは、拡大観察等することで把握することができる。本発明において「真球状」とは、球体であることを意味し、球体が完全な球形である場合のみならず、一見して球形と把握できる略球形である場合も含む。
導電性粒子15が真球状である場合、次式で表される真球度が70〜100であることが好ましい。
真球度=100×[1−(Sa−Sb)/Sa]
Sa:導電性粒子の平面画像における導電性粒子の外接円の面積
Sb:導電性粒子の平面画像における導電性粒子の内接円の面積
真球度は、本発明に用いる導電性粒子15を無作為に50個、顕微鏡観察し、これらの平面画像に基づき得られた外接円及び内接円の面積を上記式に当てはめ、50個各々の真球度を算出し、これら50の真球度の値の平均値として定義される。
導電性粒子15の材料は、導電性を確保できるものであれば特に限定されない。例えば、金属粒子、金属被覆粒子、導電性非金属粒子(黒鉛等)が挙げられ、目的に応じて適宜選択される。一例として、ニッケル、銀、銅などの金属粒子、表面を金属被覆した樹脂粒子、表面を金属被覆したガラスビーズなどが挙げられる。またニッケルやコバルトのような磁性を有した導電性粒子を用いれば粒子を配列させる際に磁力による制御が可能となる。金属被覆されたガラスビーズなどの中空粒子を用いれば感圧導電膜をより安価に製造することができる。
導電性粒子15は、粒度分布がD10/D50=0.6〜1.0であることが好ましく、D90/D50=1.0〜1.2であることが好ましい。また、可能な限り粒子径が均一であることが好ましい。なお、D50とは上述したメジアン径を意味する。粒度分布を上記範囲内にある導電性粒子を用いることにより、上側凹部11内への導電性粒子15の充填性と、上側凹部11内に充填された導電性粒子15の凹部内保持性を十分に高めることができる。また、D10は累積分布において粒子の全体積を100%としたときに10%累積となるときの粒径を意味し、D90は累積分布において粒子の全体積を100%としたときに90%累積となるときの粒径を意味する。
導電性粒子15のD50は5〜100μmが好ましく、10〜50μmがより好ましい。
<エラストマー>
エラストマー構造体の構成材料としては、シリコーン系、アクリル系、ウレタン系などの各種のエラストマーが使用できる。エラストマー構造体は、良好な感圧特性と復元性の両立の観点から、100%モジュラスを0.5〜10.0MPaとすることが好ましく、1.0〜9.0MPaとすることがより好ましく、1.2〜8.0MPaとすることがさらに好ましい。100%モジュラスは、JIS K 6251:2010に準拠する引張試験により得られるエラストマーの100%伸長時(25℃、2倍伸長時)の応力値のことであり、引張荷重を試験片の試験前の断面積で除した値を指す。
また、エラストマー構造体は、良好な感圧特性と復元性の両立の観点から、感圧係数を30〜140とすることが好ましく、40〜120がより好ましい。この感圧係数は、導電性粒子が配される凹部の底面を構成するエラストマーの厚さ(μm)と、エラストマー構造体の100%モジュラス(MPa)との積である。
エラストマー構造体の体積抵抗率は、好ましくは1×10Ω・cm以上であり、より好ましくは1×1010Ω・cm以上であり、1×1012Ω・cm以上とすることも好ましい。エラストマー構造体の体積抵抗率は、通常は1×1017Ω・cm以下であり、1×1016Ω・cm以下であることも好ましい。体積抵抗率は後述する実施例に記載の方法により決定される。
<感圧導電膜を製造>
本発明の感圧導電膜は、本発明に特有の構造とすること以外は、通常のエラストマーの成形技術を適用して常法により得ることができる。本発明の感圧導電膜の製造方法の一例を、図面を参照して説明するが、本発明はこの形態に限定されるものではない。例えば、金型での成型後に粒子を散布する方法や、樹脂層をエッチングやカット加工することで凹みを形成することによって製造することもできる。
図15は、本発明の感圧導電膜の製造工程を模式的に示す説明図である。この製造工程は、5つの工程を含む。
(工程−1)
上側凹部に対応する凸部を有する金型に未硬化状態のエラストマー材料を注型する工程。
(工程−2)
下側凹部に対応する凸部を有する離型フィルムを、エラストマー材料に押し付けて材料を硬化させる工程。この硬化は、加熱、紫外線や電子線等の放射線照射など、材料に応じて好適な硬化方法が適用される。
(工程−3)
エラストマー材料が硬化後(以下、エラストマー構造体とする)、金型から離型フィルムを剥がす工程。例えば、金型に対して予め離型処理を施しておき、表面エネルギーの差によって離型フィルム側にエラストマー構造体を移行させることができる。
(工程−4)
離型フィルム上のエラストマー構造体に導電性粒子を配列させる工程。このとき予め配列させた導電性粒子を対応する上側凹部に挿入しても良いし、エラストマー構造体上に散布した導電性粒子を刷毛やブラシ、ブレードなどの擦り切り手段による擦り切りや振動によって挿入しても良い。上側凹部に挿入されずにエラストマー構造体上に残留した不要粒子を、必要により吸引や粘着テープを用いて除去しても良い。
(工程−5)
導電性粒子を配列させた側(上側)から前記凸部を有する離型フィルムとは異なる表面エネルギーを有する離型フィルムに押し付け、凸部を有する離型フィルムを剥がして上側の離型フィルムに感圧導電膜を移行させる。
上記のような製造ラインを構築することにより、本発明の感圧導電膜の製造を効率化することができる。
本発明の感圧導電膜は、各種感圧センサ、コネクタ用の接点などに使用できる。現在、パソコンのキーボードや家電製品のスイッチパネルなどに使用されているMBSW(メンブレンスイッチ)は、プラスチック製フィルムを基材とし、導電性インクをスクリーン印刷機にて印刷して導電回路や接点を形成し、2枚の電極シートを上下対向に配置してスペーサーを介した構造になっている。シートやスペーサーなどの構成要素の厚さに起因し、小型・省スペース化には限界がある。
本発明の感圧導電膜により、これまで適用が難しいとされた微小空間に感圧導電特性を付与することが可能となる。例えば、薄いキーボードやスイッチパネルを作ることが可能となる。また、自動ドア(エレベータ、車両、住宅ドアなど)や無人車両(バンパー)の衝突検知に用いられるタッチセンサ、津波検知や重量の管理に用いられる重量センサなどにも使用できる。また、自動車のハンドル保持の有無を検知する「グリップセンサー」や鉄道車両扉における「戸挟み検知センサー」への活用が可能となる。
本発明は上述した実施形態に関し、例えば次の感圧導電膜を開示するものである。
<1>
一方の面に複数の凹部を有し、他方の面に複数の凸部を有する絶縁性エラストマーシートと、
前記複数の凹部内に配置される複数の導電性粒子と、を有し、
前記複数の凸部により、前記複数の凹部の少なくとも1つの直下に存在する空間が保持される異方性感圧導電膜。
<2>
一方の面に複数の凹部を有し、他方の面に少なくとも1つ以上の凹部を有する絶縁性エラストマーシートと、
前記一方の面の複数の凹部内に配置される複数の導電性粒子と、を有し、
前記他方の面の凹部の側壁により、前記一方の面の複数の凹部の少なくとも1つの直下に存在する空間が保持される異方性感圧導電膜。
上記<1>及び<2>において、各部材の特性、サイズ等の好ましい形態は、上記で図面を参照して説明した事項をそのまま適用することができる。
本発明を実施例に基づいて、さらに詳細に説明するが、本発明がこれらの形態に限定されるものではない。
[分析方法]
<エラストマー構造体の各構造(幅、深さ、厚み)の測定>
光学顕微鏡による観察画像に基づき決定した。
<導電性粒子の平均粒径>
マイクロトラック・ベル株式会社製マイクロトラックSyncにて測定した。
<引張強さ、100%モジュラス>
JIS K 6251:2010に準拠して測定した。試験片形状は、JIS3号ダンベル(厚さ2mm)を採用した。
<体積抵抗率>
JIS K 6271:2015に準拠して、100mm角に切り出したシートに500Vの直流電圧を印加して測定した。
[実施例1〜5]
図6ないし図7に示す感圧導電膜を得た。以下に具体的に説明する。
表1に示す組成のシリコーンゴム組成物を、金型に流し込み、表1に示す硬化条件としてプレス成形し、図6ないし図7に示すエラストマー構造体を得た。各実施例におけるエラストマー構造体の材料、各構造のサイズを表2に示す。
得られたエラストマー構造体の上側凹部に対して、導電性粒子としてAgコートアクリル粒子(商品名:銀コート粉(汎用タイプ)、三菱マテリアル社製、D50:30μm、真球度70以上)を散布し、指で擦りながら上側凹部内に導電性粒子を充填した。次いで、粘着テープを軽く押し付けて不要な導電性粒子を除去した。
[比較例]
下側凹部を設けていない図16に示す形態のエラストマー構造体を作製し、実施例と同様にして導電性粒子を凹部に充填し、比較例の感圧導電膜を得た。比較例におけるエラストマー構造体の材料、各構造のサイズも表2に示す。
Figure 2021150221
[試験例1] 加圧通電特性
上記実施例ないし比較例の感圧導電膜の下側凸部を導電性基材(SUS304)に接着した。
接触端子先端形状がφ1mmの球状であるコンタクトプローブを用いて、感圧導電膜表面へ垂直(膜厚方向)に荷重を加えたとき、測定電圧1.0V、印加電流(直流)30mAで抵抗を測定した。測定器としては、GW Instek社製LCR−6200を使用した。端子面に対する荷重は0.1Nから3.0Nまで段階的に上げた。この試験において、初期絶縁性と通電荷重を下記評価基準に当てはめ評価した。
<初期絶縁性>
0.1Nの荷重時の抵抗値を測定し、1×10Ω以上を「〇」、1×10Ω未満を「×」とした。
<通電荷重>
抵抗値が10Ωとなったときの荷重を通電荷重とした。
[試験例2] 復元性
通電荷重を測定後、除荷し、再度加圧端子を感圧導電膜に当てたとき(荷重0.1N)の抵抗値を測定した。この抵抗値が1×10Ω以上を「〇」、1×10Ω未満を「×」とした。
結果を表2に示す。
Figure 2021150221
表2に示されるように、下側凹部を有していない比較例の感圧導電膜は、通電荷重が大きく、感圧通電感度に劣る結果となった。また除荷後も、加圧箇所周辺のエラストマー構造体が大きく変形しており、復元性も劣っていた。
一方、下側凹部を有する実施例1〜5の感圧導電膜は、初期絶縁性に優れており、1.0N以下の荷重でも通電することができ、感圧通電感度が大きく高められた。また、復元性も良好な結果を示した。
1、2 異方性感圧導電膜
10、20 絶縁性エラストマー構造体
11、21 上側凹部
12、22 下側凹部
13、23 上側凸部
14、24 下側凸部
15 導電性粒子
16 加圧端子
17 導電性基材

Claims (5)

  1. 1つ又は複数の凹部を有する凹部構造単位と、
    平面視において、該凹部構造単位の周囲の外側に配され、該凹部構造単位の少なくとも直下に存在する空間全体を保持して該凹部構造単位を支える脚部と
    により構成される単位膜が面方向に連なる絶縁性エラストマー構造体と、
    前記凹部内に配された導電性粒子と
    を有する、異方性感圧導電膜。
  2. 一方の面に複数の凹部を有し、他方の面に複数の凸部を有する絶縁性エラストマーシートと、
    前記複数の凹部内に配置される複数の導電性粒子と、を有し、
    前記複数の凸部により、前記複数の凹部の少なくとも1つの直下に存在する空間が保持される異方性感圧導電膜。
  3. 一方の面に複数の凹部を有し、他方の面に少なくとも1つ以上の凹部を有する絶縁性エラストマーシートと、
    前記一方の面の複数の凹部内に配置される複数の導電性粒子と、を有し、
    前記他方の面の凹部の側壁により、前記一方の面の複数の凹部の少なくとも1つの直下に存在する空間が保持される異方性感圧導電膜。
  4. 前記の導電性粒子が配された凹部の底面を構成する絶縁性エラストマーの、少なくとも一部の厚さが他の部分の厚さよりも薄い、請求項1〜3のいずれか1項に記載の異方性感圧導電膜。
  5. 前記絶縁性エラストマーの感圧係数が30〜140である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の異方性感圧導電膜。
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