WO2023054003A1 - 二次電池用電極および二次電池 - Google Patents

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    • H01M4/62Selection of inactive substances as ingredients for active masses, e.g. binders, fillers

Definitions

  • a represents the content ratio of the bromine compound (B) to the active material in the entire active material layer, and the content of the bromine compound (B) in the first region and the content of the bromine compound (B) in the second region are averaged is the value
  • a 0.1 or more
  • the effect of improving cycle characteristics by the bromine compound (B) is sufficiently obtained, and the content of the bromine compound (B) in the second region is reduced. It is possible to suppress deterioration of cycle characteristics in Moreover, when a is 1.5 or less, an increase in internal resistance due to the addition of the bromine compound (B) can be suppressed.
  • the particle diameter of the bromine compound (B) is the average particle diameter obtained by observing the cross section of the active material layer and performing image processing.
  • the cross section may be formed using a cross section polisher (CP).
  • the diameter (equivalent circle diameter) of a circle having the same area as the area of the cross section of the bromine compound (B) particles (the area of the particles observed in the cross section of the active material layer) is obtained, and the average value of the equivalent circle diameters is taken as the base compound.
  • the particle size is defined as (B). Observe 10 or more particles and determine the maximum diameter.
  • the negative electrode contains a negative electrode mixture.
  • the negative electrode includes a negative electrode current collector and a negative electrode active material layer (negative electrode mixture layer) disposed on the surface of the negative electrode current collector.
  • the negative electrode active material layer contains a negative electrode active material and, if necessary, a bromine compound (B) and components other than the negative electrode active material and the bromine compound (B). Examples of other ingredients include binders, conductive agents, thickeners, and the like. Components used in known secondary batteries may be used for those other components.
  • the median diameter (D 50 ) at which the cumulative volume is 50% in the volume-based particle size distribution can be used.
  • the median diameter can be determined, for example, using a laser diffraction/scattering particle size distribution analyzer.
  • a step of washing the second particles with an acid may be performed.
  • the second particles may be washed with an acidic aqueous solution.
  • an acidic aqueous solution By washing with an acid, it is possible to dissolve and remove a minute amount of components such as Li 2 SiO 3 that may be generated when the raw material silicon and lithium silicate are combined.
  • an aqueous solution of inorganic acids such as hydrochloric acid, hydrofluoric acid, sulfuric acid, nitric acid, phosphoric acid and carbonic acid
  • an aqueous solution of organic acids such as citric acid and acetic acid

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Abstract

開示される二次電池用電極は、集電体と、集電体の表面に配置された活物質層と、を有する。活物質層は、活物質と、臭素を含む有機化合物と、を少なくとも含む。活物質層を同じ厚みを有する第1領域と第2領域に分け、第1領域が第2領域よりも集電体側にあるとしたとき、第1領域における活物質に対する有機化合物の質量基準の含有量A1が、第2領域における活物質に対する有機化合物の質量基準の含有量A2よりも大きい。 本開示によれば、二次電池における低温におけるサイクル特性の低下が抑制される。

Description

二次電池用電極および二次電池
 本開示は、二次電池用電極、およびこれを用いた二次電池に関する。
 リチウムイオン二次電池などの非水電解質二次電池は、高出力かつ高エネルギー密度を有する。そのため、非水電解質二次電池は、小型民生用途、電力貯蔵装置、および電気自動車の電源として利用されている。
 特許文献1には、リチウム-遷移金属複合酸化物を主体とする正極活物質に、一つ以上の塩素又は臭素により置換されたハロゲン置換環状有機化合物を添加した正極を用いて、充電状態におけるリチウム-遷移金属複合酸化物との界面における電解液の酸化分解を抑制し、高温保存時の内部抵抗の上昇を低減することが提案されている。
 特許文献2には、正極集電体と、正極集電体上に形成された正極活物質を含有する正極層と、を有する正極体において、金属酸化物などの有機電解質の分解を抑制する分解抑制剤を正極層に添加し、正極層の集電体側表面での分解抑制剤の濃度を、集電体側表面とは反対側の反対側表面での分解抑制剤の濃度よりも高くすることで、有機電解質の分解を効率的に抑制し、サイクル特性の向上を図ることが提案されている。
特開2000-58068号公報 特開2009-64715号公報
 ところで、非水電解質二次電池のサイクル特性は、二次電池が使用される温度にも影響を受けることが知られている。特許文献2に開示された技術はサイクル特性の向上について言及されているものの、二次電池の低温におけるサイクル特性の低下の抑制については、未だ改善の余地がある。
 本開示に係る一局面は、二次電池用電極に関する。当該二次電池用電極は、集電体と、集電体の表面に配置された活物質層と、を有し、前記活物質層は、活物質と、臭素を含む有機化合物と、を少なくとも含み、前記活物質層を同じ厚みを有する第1領域と第2領域に分け、前記第1領域が前記第2領域よりも前記集電体側にあるとしたとき、前記第1領域における前記活物質に対する前記有機化合物の質量基準の含有量Aが、前記第2領域における前記活物質に対する前記有機化合物の質量基準の含有量Aよりも大きい。
 本開示に係る他の一局面は、上記二次電池用電極である第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に介在するセパレータを備える、二次電池に関する。
 本開示によれば、二次電池における低温におけるサイクル特性の低下が抑制される。
 本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本開示の一実施形態に係る二次電池の一部を切欠いた概略斜視図である。
 以下、本開示に係る実施形態の例について説明する。なお、以下では、本開示に係る実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や他の材料を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値Bの範囲」という場合、当該範囲には数値Aおよび数値Bを含み、「数値A以上で数値B以下」と読み替えることが可能である。以下の説明において、特定の物性や条件などに関する数値の下限と上限とを例示した場合、下限が上限以上とならない限り、例示した下限のいずれかと例示した上限のいずれかを任意に組み合わせることができる。複数の材料が例示される場合、その中から1種を選択して単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 また、本開示は、添付の請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項の組み合わせを包含する。つまり、技術的な矛盾が生じない限り、添付の請求の範囲に記載の複数の請求項から任意に選択される2つ以上の請求項に記載の事項を組み合わせることができる。
 以下の説明において、「~を含有する」もしくは「~を含む」という用語は、「~を含有する(もしくは含む)」、「実質的に~からなる」および「~からなる」を包含する表現である。
 (二次電池用電極)
 本実施形態に係る二次電池用電極は、集電体と、集電体の表面に配置された活物質層と、を有する。活物質層は、活物質と、臭素を含む有機化合物と、を少なくとも含む。以下において、臭素を含む有機化合物を「臭素化合物(B)」と称する場合がある。
 活物質層中に臭素化合物(B)が含まれることで、電解液の活物質との濡れ性が向上する。これにより、二次電池用電極を用いた二次電池のサイクル特性を高めることができる。
 一方で、二次電池のエネルギー密度を高めるために、活物質層を含む電極を(例えば、圧延により)圧縮し、活物質層における活物質密度を高めることが試みられている。この場合、臭素化合物(B)は活物質と比べて柔らかいため、電極の圧縮工程において電極表層に存在していた臭素化合物(B)が圧縮され易い。これにより、電極表層の空隙が臭素化合物(B)により閉塞され、電極内での電解液の流動を妨げることがある。低温環境では、室温と比較して電解液自体の流動性が低下する場合があり、結果、電極の厚み方向において表層よりも集電体に近い領域ほど、充放電反応が阻害され易くなり、低温におけるサイクル特性が低下し易くなる。
 本実施形態に係る二次電池用電極では、活物質層を同じ厚みを有する第1領域と第2領域に分け、第1領域が第2領域よりも集電体側にあるとしたとき、第1領域における臭素化合物(B)の含有量Aが、第2領域における臭素化合物(B)の含有量Aよりも大きい。すなわち、本実施形態に係る二次電池用電極では、集電体側の電極の表面で確認される臭素化合物(B)の含有量Aの方が、セパレータ側の電極の表面で確認される臭素化合物(B)の含有量Aよりも大きい。臭素化合物(B)の含有量A~Aは、活物質に対する質量基準の含有割合とする。
 電極の表層側の第2領域に含まれる臭素化合物(B)の含有量が低減されていることにより、電極内における電解液の流動性が低下することを抑制できる。電極内における電解液の流動性が確保されることにより、電解液自体の流動性が低下する低温環境下での二次電池の使用であっても、臭素化合物(B)によるサイクル特性を高める効果を享受することが可能になる。
 二次電池用電極は、例えば、集電体上に活物質と臭素化合物(B)とを含む第1層を形成後、第1層上に少なくとも活物質を含む第2層を形成することにより得られる。第1層と第2層は、同じ厚みでなくてもよい。すなわち、第1層と第2層の境界は、第1領域と第2領域との境界と一致していなくてもよい。第1層における臭素化合物(B)の含有量が、第2層における臭素化合物(B)の含有量よりも高ければ、第1層および第2層の全体を同じ厚みを有する第1領域と第2領域とに分けたとき、第1領域における臭素化合物(B)の含有量Aが、第2領域における臭素化合物(B)の含有量Aよりも大きくなる。二次電池用電極は、臭素化合物(B)の含有量が異なる3層以上の活物質層の積層構造を有し、集電体から遠い層ほど臭素化合物(B)の含有量を低くしてもよい。また、活物質層内において、臭素化合物(B)の含有濃度が集電体から遠いほど低くなるように、連続的に変化していてもよい。
 第2領域における臭素化合物(B)の含有量Aは、第1領域における臭素化合物(B)の含有量Aの0.5倍以下(A/Aが1/2以下)であってもよく、より好ましくは0.25倍以下(A/Aが1/4以下)であってもよい。セパレータ側の電極の表面で確認される臭素化合物(B)の含有量Aは、集電体側の電極の表面で確認される臭素化合物(B)の含有量Aの0.5倍以下(A/Aが1/2以下)であってもよく、より好ましくは0.25倍以下(A/Aが1/4以下)であり、セパレータ側の電極の表面で臭素化合物(B)が確認されなくてもよい。AとAがこのような関係を満たす場合に、第1領域において充放電反応が阻害されることが効果的に抑制され、低温下にあっても高いサイクル特性を維持できる。
 第1領域は、二次電池用電極の表面から所定の深さの表層の領域において、臭素化合物(B)を実質的に含まなくてもよい。例えば、二次電池用電極は、活物質層の集電体に対向しない表面から、活物質層の全体の厚みの少なくとも1/4の深さまでの領域に、臭素化合物(B)が含まれなくてもよい。この場合に、第1領域において充放電反応が阻害されることが顕著に抑制され、低温下にあっても高いサイクル特性を維持できる。臭素化合物(B)を含まない表層の領域は、活物質層の全体の厚みの1/3以上の厚みであってもよく、1/2以上の厚みであってもよい。
 ここで、ある領域が「臭素化合物(B)を含まない」とは、その領域における臭素化合物(B)の含有割合が、活物質100質量部に対して0.02質量部以下であることを意味する。
 活物質層における活物質と臭素化合物(B)との質量比を、活物質:臭素化合物(B)=100:aで表したとき、aは0.1以上1.5以下であることが好ましい。より好ましくは、aは0.1以上1.0以下、0.1以上0.75以下、0.15以上0.75以下もしくは0.35以上0.75以下であってもよい。aは活物質層の全体に占める臭素化合物(B)の活物質に対する含有割合を表し、第1領域における臭素化合物(B)の含有量と第2領域における臭素化合物(B)の含有量を平均した値である。aが0.1以上であると、臭素化合物(B)によるサイクル特性の向上効果が十分に得られるとともに、第2領域における臭素化合物(B)の含有量が低減されていることにより、低温下におけるサイクル特性の低下を抑制できる。また、aが1.5以下であると、臭素化合物(B)の添加による内部抵抗の増大を抑制できる。
 二次電池用電極は、正極であってもよく、負極であってもよい。二次電池用電極が正極である場合、活物質は正極活物質であり、活物質層は正極活物質層である。二次電池用電極が負極である場合、活物質は負極活物質であり、活物質層は負極活物質層である。本実施形態によれば、正極活物質層または負極活物質層のいずれかに、正極活物質または負極活物質とともに臭素化合物(B)を添加し、臭素化合物(B)の含有量を電極表面側において集電体側よりも低減することで、臭素化合物(B)によるサイクル特性の改善効果を最大限に享受でき、且つ、低温下におけるサイクル特性の低下を抑制できる。
 (二次電池用電極の製造方法)
 本実施形態に係る二次電池用電極は、例えば、集電体を準備する工程と、集電体の表面に活物質層を配置する工程と、を有する方法により製造できる。活物質層を配置する工程は、集電体の表面に、活物質と、臭素を含む有機化合物と、を少なくとも含む第1層を形成する工程と、第1層の上に、少なくとも前記活物質を含む第2層を形成する工程と、を含む。
 第1層の形成は、例えば、活物質と臭素化合物(B)とを含むスラリーを集電体上に塗布し、乾燥させることにより行われる。第2層の形成は、例えば、活物質を少なくとも含むスラリーを第1層の上に塗布し、乾燥させることにより行われる。第2層の形成に用いるスラリーにも、臭素化合物(B)が含まれていてもよい。ただし、第2層における臭素化合物(B)の含有量が、第1層における臭素化合物(B)の含有量よりも小さくなるように、第2層の形成に用いるスラリーにおける臭素化合物(B)の含有量は、第1層の形成に用いるスラリーにおける臭素化合物(B)の含有量よりも小さくする。
 臭素化合物(B)を含まないスラリーを用いて、第2層を形成してもよい。これにより、電極の表層に、臭素化合物(B)を実質的に含まない第2層を形成できる。
 第2層の形成後に、活物質層を圧縮する工程をさらに有していてもよい。圧縮は、例えば、活物質層を配置した電極を圧延することにより行われ得る。圧縮により、電極における活物質密度が高まり、高容量を実現し易くなる。
 圧縮により、活物質層の集電体に対向しない表面側が大きな圧縮力を受け易い一方、活物質層の集電体側は圧縮力が緩和され易い。結果、活物質層の第2層は圧縮され易く、第1層は圧縮され難い。また、活物質層に臭素化合物(B)を含む場合、圧縮により臭素化合物(B)が選択的に変形し、活物質層内の空隙を閉塞し易い。
 しかしながら、本実施形態に係る製造方法によれば、第2層における臭素化合物(B)の含有量は低減されているため、活物質層を圧縮する場合であっても、第2層内の空隙の閉塞は抑制される。よって、第1層内への電解液の流動が阻害されることが抑制され、サイクル特性(特に、低温下におけるサイクル特性)を高く維持できる。
 3種以上の電極スラリーを用いて、臭素化合物(B)の含有量が異なる3層以上を積層し、活物質層を形成してもよい。この場合、積層構造において、集電体から遠い層ほど臭素化合物(B)の含有量を小さくすればよい。
 (臭素化合物(B))
 臭素化合物(B)は、活物質の電解液との濡れ性を高め、サイクル特性を高める作用を有する。臭素化合物(B)は、活物質の粒子に付着している。臭素化合物(B)の粒径は、0.5μm~10μmであってもよい。臭素化合物(B)の粒径は、後述するように、活物質層の断面の画像解析により算出される。
 臭素化合物(B)は、臭素原子(Br)が結合した環状構造を含むものであってもよい。環状構造は、芳香環であってもよいし、芳香環でなくてもよい。この場合、すべての臭素原子(Br)が環状構造に結合していてもよいし、一部の臭素原子(Br)のみが環状構造に結合していてもよい。臭素原子(Br)が環状構造に結合している構造は、臭素原子の含有率を高めやすい点で好ましい。
 臭素化合物(B)に占める臭素原子(Br)の割合は45質量%以上であることが好ましい。この割合は、60質量%以上(例えば70質量%以上)であってもよい。上限に特に限定はないが、95質量%以下(例えば90質量%以上)であってもよい。これらの下限と上限とは任意に組み合わせることができる。このような臭素化合物(B)は、多数の臭素原子を有しており、多数の臭素原子を有する臭素化合物(B)により、活物質に対する電解液の濡れ性が一層向上し、サイクル特性の向上効果が高まる。
 なお、このような臭素化合物(B)は、高温時に臭素原子(Br)を放出することによって難燃効果を発現し、二次電池の過剰な発熱を抑制する効果をも有し得る。臭素化合物(B)を活物質層に含む二次電池用電極を用いることで、二次電池の異常時における過剰な発熱を抑制できる。
 臭素化合物(B)の例としては、エチレン-1,2-ビスペンタブロモフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、および2,4,6-トリブロモフェノールからなる群より選択される少なくとも1つが挙げられる。これらの臭素化合物(B)は、市販されているものを用いてもよい。あるいは臭素化合物(B)は、公知の合成方法で合成してもよい。
 臭素化合物(B)の一例であるエチレン-1,2-ビスペンタブロモフェニルの構造式を、以下に示す。エチレン-1,2-ビスペンタブロモフェニルの分子量は971.2であり、それには10個の臭素原子(原子量:79.9)が含まれている。そのため、エチレン-1,2-ビスペンタブロモフェニルに占める臭素原子(Br)の割合は、100×10×79.9/971.2=82.3質量%である。
Figure JPOXMLDOC01-appb-C000001
 加えて、このような臭素原子(Br)を含む臭素化合物(B)は、比重が大きいため、添加重量に対して体積を小さくできる。これにより、十分な量の臭素化合物(B)を添加しながら活物質の搭載量を高く維持することができ、高い容量を維持できる。臭素化合物(B)は、環状構造にハロゲン原子(Ha)が結合することで、比重を大きくし易い。臭素化合物(B)の比重は、例えば、2.7以上であってもよく、3.0以上が好ましい。
 臭素化合物(B)は、化合物の構造において水分を発生させる部分および/または親水性基を含まないことが好ましい。この場合、二次電池の製造工程で水分が電池内に混入し難く、信頼性に優れた二次電池を実現できる。なお、水分を発生させる部分の例には、ヒドロキシ基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、カルボニル基(-CO-)、および、スルホ基、リン酸基などのオキソ酸基が含まれる。親水性基の例としては、上記官能基のほか、アミノ基などが含まれる。
 また、二次電池用電極を負極に用いて、活物質として後述するケイ素(Si)を含む負極活物質を用いる場合には、臭素化合物(B)に含まれる臭素原子(Br)とSiとが反応し、負極活物質の表面に安定な被膜を形成し得る。これにより、より高いサイクル特性を維持でき、高耐久性を期待できる。
 活物質層に占める活物質の含有量は、放電状態の二次電池から活物質層のみを取り出して得られたサンプルから求められる。具体的には、まず、放電状態の二次電池を解体して電極を取り出す。次に、有機溶媒を用いてその電極を洗浄し、さらに真空乾燥した後、活物質層のみを剥離することによってサンプルを得る。当該サンプルに対してTG-DTA等の熱分析を行うことによって、活物質以外の結着剤成分および導電材成分の比率を算出することができる。また、活物質層における臭素化合物(B)の含有量は、活物質層の断面に対するEDS等の元素分析によって求めることができる。
 臭素化合物(B)の粒径は、活物質層の断面を観察し画像処理により求められる粒子の平均直径とする。断面は、クロスセクションポリッシャ(CP)を用いて形成してもよい。臭素化合物(B)の粒子の断面の面積(活物質層の断面に観測される粒子の面積)と同じ面積を有する円の直径(円相当径)を求め、円相当径の平均値を素化合物(B)の粒径とする。10個以上の粒子を観察し、最大直径を求める。
 (二次電池)
 本実施形態に係る二次電池は、上述の二次電池用電極である第1電極と、第2電極と、第1電極と第2電極との間に介在するセパレータを備える。以下において、本実施形態に係る二次電池を「二次電池(S)」と称する場合がある。第1電極および第2電極の一方が正極であり、他方が負極である。
 第1電極および第2電極のうち少なくとも第1電極は、上述の臭素化合物(B)を含む二次電池用電極である。第1電極が正極であり、第2電極が負極であってもよいし、第1電極が負極であり、第2電極が正極であってもよい。すなわち、二次電池(S)の正極が上記二次電池用電極で構成されてもよく、二次電池(S)の負極が上記二次電池用電極で構成されてもよい。正極と負極の両方が上記二次電池用電極で構成されてもよい。以下では、二次電池(S)の正極を上記二次電池用電極とした場合を例として、二次電池(S)の構成を説明する。
 以下に、本実施形態に係る二次電池(S)の例およびその構成要素の例について詳細に説明する。なお、本開示に特徴的な部分ではない構成要素については、公知の構成要素を適用してもよい。二次電池(S)は、例えば、外装体(電池ケース)と、外装体内に配置された正極、負極、電解質、およびセパレータとを含む。セパレータは、正極と負極との間に配置されている。二次電池は、非水電解質二次電池であってもよい。
 二次電池(S)の形状は限定されず、円筒形、角形、コイン形、ボタン形などであってもよい。電池ケースは、二次電池(S)の形状に応じて選択される。
 [負極]
 負極は、負極合剤を含む。典型的には、負極は、負極集電体と、負極集電体の表面に配置された負極活物質層(負極合剤層)とを含む。負極活物質層は、負極活物質を含み、必要に応じて、臭素化合物(B)、および、負極活物質および臭素化合物(B)以外の他の成分を含む。他の成分の例には、結着剤、導電剤、増粘剤などが含まれる。それらの他の成分には、公知の二次電池に用いられている成分を用いてもよい。
 負極活物質層は、負極合剤を分散媒に分散させた負極スラリーを、負極集電体の表面に塗布して塗膜を形成した後、塗膜を乾燥させることによって形成できる。乾燥後の塗膜を、必要により圧延してもよい。分散媒としては、水、アルコール、エーテル、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、またはこれらの混合溶媒などが例示できる。負極合剤中の成分の比率は、負極合剤の材料の混合比率を変えることによって調製できる。
 負極集電体としては、無孔の導電性基板(金属箔など)、多孔性の導電性基板(メッシュ体、ネット体、パンチングシートなど)が使用される。負極集電体の材質としては、ステンレス鋼、ニッケル、ニッケル合金、銅、銅合金などが例示できる。
 [負極活物質]
 負極活物質としては、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵および放出可能な材料が好適に用いられる。このような材料としては、炭素質材料、Si含有材料などが挙げられる。負極活物質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 炭素質材料としては、例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)が挙げられる。炭素質材料は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。充放電の安定性に優れ、不可逆容量も少ないことから、中でも、炭素質材料としては黒鉛が好ましい。黒鉛としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボン粒子が挙げられる。黒鉛には、負極活物質として用いられている公知の黒鉛を用いてもよい。
 黒鉛とは、黒鉛型結晶構造が発達した材料を意味し、一般には、X線回折法により測定される(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以下の炭素材料を言う。
 Si含有材料としては、Si単体、ケイ素合金、ケイ素化合物(ケイ素酸化物など)、リチウムイオン伝導相(マトリックス)内にシリコン相が分散している複合材料などが挙げられる。ケイ素酸化物としては、SiO粒子が挙げられる。Xは、例えば0.5≦X<2であり、0.5≦X<1.6もしくは0.8≦X≦1.6であってもよい。リチウムイオン伝導相としては、SiO相、シリケート相および炭素相からなる群より選択される少なくとも1種を用い得る。
 Si含有材料の例として、SiO(0.5≦X<1.6)の式で表される酸化ケイ素を含む第1の粒子、リチウムシリケート相と当該リチウムシリケート相中に分散したシリコン粒子とを含む第2の粒子、および、炭素相と当該炭素相中に分散したシリコン粒子とを含む第3の粒子からなる群より選択される少なくとも一種の粒子(P)を用いてもよい。なお、この明細書において、第2の粒子に含まれるシリコン粒子をシリコン相と読み替えることが可能であり、第3の粒子に含まれるシリコン粒子をシリコン相と読み替えることが可能である。
 ケイ素(Si)を含む粒子(P)を負極活物質として用いることによって、電池の容量を増大させることが可能である。
 負極活物質は、第1の粒子、第2の粒子、および、第3の粒子からなる群より選択される複数種の粒子を含んでもよい。例えば、粒子(P)は、それらから選ばれる2種類の粒子で構成されてもよいし、それら3種類の粒子のすべてを含んでもよい。具体的には、負極活物質は、第1の粒子と第2の粒子とを含んでもよいし、第1の粒子と第3の粒子とを含んでもよいし、第2の粒子と第3の粒子とを含んでもよい。あるいは、負極活物質は、第1、第2、および第3の粒子のすべてを含んでもよい。粒子(P)は、黒鉛と組み合わせて負極活物質として用いることが好ましい。
 負極活物質が黒鉛および粒子(P)を含む場合、負極活物質における粒子(P)の含有率は1質量%以上であってもよい。この構成によれば、負極活物質が黒鉛のみの場合と比べてより高容量化が可能となる。負極活物質における粒子(P)の含有率は、3質量%以上であってもよい。当該含有率は、50質量%以下であってもよい。これらの下限と上限とは、矛盾がない限り、任意に組み合わせることができる。
 負極活物質における黒鉛の含有率は、50~99質量%の範囲にあってもよい。なお、粒子(P)が表面および/または内部に黒鉛を含む場合、その黒鉛は上記黒鉛の含有率には含めない。黒鉛の含有率は、粒子(P)に含まれない黒鉛の含有率である。
 [第1の粒子]
 第1の粒子は、SiO(0.5≦X<1.6)の式で表される酸化ケイ素を含む。第1の粒子は、酸化ケイ素の粒子と、酸化ケイ素の粒子の周囲に配置された炭素層とを含んでもよい。
 第1の粒子の平均粒径は、1μm~25μmの範囲(例えば4μm~15μmの範囲)にあってもよい。
 [第2の粒子]
 第2の粒子は、リチウムシリケート相とリチウムシリケート相中に分散したシリコン粒子とを含む。リチウムシリケート相は、Li2ZSiO(2+Z)(0<Z<2)の式で表されるリチウムシリケートを含んでもよく、当該リチウムシリケートで構成されてもよい。Zは、0<Z<1の関係を満たすことが好ましい。リチウムシリケート相は、その50質量%以上(例えば60質量%以上)が、0<Z≦0.5を満たすリチウムシリケートで構成されていてもよい。
 第2の粒子は、リチウムシリケート相内に分散している少なくとも1種の元素Meを含んでもよい。少なくとも1種の元素Meは、希土類元素およびアルカリ土類金属元素からなる群より選択される少なくとも1種の元素である。アルカリ土類金属元素の例には、Mg、Ca、Sr、Baなどが含まれる。
 元素Meは、リチウムシリケート相中にMe酸化物として分散していてもよい。Me酸化物は、イットリウム酸化物、セリウム酸化物、カルシウム酸化物、およびマグネシウム酸化物からなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。リチウムシリケート相は、酸化ジルコニウムを含んでもよい。そして、元素Meが、酸化ジルコニウム中に分散していてもよい。
 第2の粒子に含まれる元素Meの量は、元素Meの状態または元素Meの化合物の種類にかかわらず、元素Meが化学量論的な酸化物を形成していると仮定して算出される量(推定Me酸化物量)を指標とすることができる。推定Me酸化物量は、リチウムシリケート相とシリコン粒子との合計に対して、0.001質量%~1.0質量%の範囲にあってもよい。推定Me酸化物量を0.001質量%以上にすることによって、反応面積を低減し、リチウムシリケート相の硬度を向上させる効果が大きくなる。一方、推定Me酸化物量を1.0質量%以下にすることによって、初期容量の減少を抑制できる。
 リチウムシリケート相は、金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硼化物などの金属化合物を含んでもよい。好適な金属化合物は、金属酸化物および金属炭化物である。中でも、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、炭化ジルコニウム(ZrC)、炭化タングステン(WC)、および炭化ケイ素(SiC)からなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。元素Me以外の金属元素の化合物の量は、リチウムシリケート相とシリコン粒子との合計に対して、0.005質量%~15質量%の範囲(例えば0.01質量%~10質量%の範囲や0.01質量%~1質量%の範囲)にあってもよい。金属元素の化合物の量は、元素Meの含有率と同様に、金属元素が化学量論的な酸化物を形成していると仮定して算出される量を求めればよい。
 第2の粒子の平均粒径は、1μm~25μmの範囲(例えば4μm~15μmの範囲)にあってもよい。このような範囲では、充放電に伴う第2の粒子の体積変化による応力を緩和しやすく、良好なサイクル特性を得やすくなる。さらに、第2の粒子の表面積も適度になり、非水電解質との副反応による容量低下も抑制される。
 リチウムシリケート相内に分散しているシリコン粒子の結晶子サイズは、例えば10nm以上である。シリコン粒子は、ケイ素(Si)単体の粒子状の相を有する。シリコン粒子の結晶子サイズを10nm以上とする場合、シリコン粒子の表面積を小さく抑えることができるため、不可逆容量の生成を伴うシリコン粒子の劣化を生じにくい。シリコン粒子の結晶子サイズは、シリコン粒子のX線回折(XRD)パターンのSi(111)面に帰属される回析ピークの半値幅からシェラーの式により算出される。
 第2の粒子中のシリコン粒子の平均粒径は、初回充電前において、好ましくは500nm以下(より好ましくは200nm以下で、更に好ましくは50nm以下)であってもよい。初回充電後においては、シリコン粒子の平均粒径は、好ましくは400nm以下(より好ましくは100nm以下)である。シリコン粒子を微細化することにより、充放電時の体積変化が小さくなり、第2の粒子の構造安定性が更に向上する。
 第2の粒子に占めるシリコン粒子(単体Si)の含有率は、高容量化およびサイクル特性の向上の観点から、20質量%~95質量%の範囲(例えば35質量%~75質量%の範囲)にあることが好ましい。この範囲によれば、リチウムイオンの拡散性も良好になり、優れた負荷特性を得やすくなる。さらに、リチウムシリケート相で覆われずに露出するシリコン粒子の表面が減少し、非水電解質とシリコン粒子との副反応が抑制される。
 第2の粒子は、その表面の少なくとも一部を被覆する導電性材料を含んでもよい。リチウムシリケート相は、電子伝導性に乏しいため、第2の粒子の導電性も低くなりがちである。導電性材料で表面を被覆することで、導電性を飛躍的に高めることができる。導電層は、実質上、第2の粒子の平均粒径に影響しない程度に薄いことが好ましい。例えば、導電性の確保とリチウムイオンの拡散性の観点から、導電層の厚さは、1nm~200nm(例えば5nm~100nmの範囲)にあってもよい。導電層の材料の例および形成方法の例については後述する。
 [第3の粒子]
 第3の粒子は、炭素相と当該炭素相中に分散したシリコン粒子とを含む。第3の粒子の炭素相は、無定形炭素(すなわちアモルファス炭素)で構成されてもよい。無定形炭素は、ハードカーボンでもよいし、ソフトカーボンでもよいし、それ以外でもよい。無定形炭素(アモルファス炭素)とは、一般には、X線回折法により測定される(002)面の平均面間隔d002が0.34nmを超える炭素材料を言う。
 第3の粒子は、炭素相と、炭素相中に分散しているシリコン粒子とを含む。第3の粒子の炭素相は、導電性を有する。そのため、第3の粒子の周囲に空隙が形成されても、第3の粒子とその周囲との接点が維持されやすい。その結果、充放電サイクルを繰り返すことによる容量低下が抑制されやすい。
 第3の粒子の平均粒径は、3μm以上で18μm以下であってもよく、6μm以上で15μm以下であってもよく、8μm以上で12μm以下であってもよい。
 第3の粒子中のシリコン粒子の含有率は、30質量%以上で80質量%以下であってもよく、40質量%以上で70質量%以下であってもよい。このような範囲では、負極の充分な高容量化が達成され、かつ、サイクル特性も向上しやすい。
 第3の粒子中のシリコン粒子の平均粒径は、例えば1nm以上であればよい。また、当該シリコン粒子の平均粒径は1000nm以下であってもよく、500nm以下であってもよく、200nm以下であってもよく、100nm以下(さらには50nm以下)であってもよい。シリコン粒子が微細になるほど、充放電時の第3の粒子の体積変化が小さくなり、第3の粒子の構造安定性が向上する。
 第2および第3の粒子の組成、成分の含有率は、国際公開第2018/179969号に記載の方法で分析することが可能である。
 粒子(P)に含まれる各元素の含有率は、例えば、誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)で測定してもよい。具体的には、加熱した酸溶液中で粒子(P)を溶解させ、溶液残渣の炭素を濾過によって除去し、その後、得られた濾液をICP-AESで分析して、各元素のスペクトル強度を測定する。続いて、市販されている各元素の標準溶液を用いて検量線を作成し、各元素の含有率を算出する。
 第2の粒子および第3の粒子は、それぞれ、いわゆる海島構造を有する。第2および第3の粒子中のシリコン粒子(島)はそれぞれ、シリケート相および炭素相のマトリックス(海)中に分散しており、リチウムイオン伝導相(シリケート相および炭素相)で覆われている。海島構造では、シリコン粒子と電解質との接触が制限されるため、副反応が抑制される。また、シリコン粒子の膨張と収縮で生じる応力は、リチウムイオン伝導相のマトリックスで緩和される。
 負極に活物質として含まれる黒鉛(黒鉛粒子)の平均粒径は、13μm以上25μm以下であってもよい。黒鉛の平均粒径は、粒子(P)の平均粒径よりも大きいことが好ましい。この構成によれば、相対的に大きい黒鉛の粒子間に空隙が形成され、その空隙に粒子(P)が収容されやすい。そのため、負極における活物質の充填率を高めやすく、より高容量の負極を得やすくなる。また、空隙に存在する粒子(P)は、黒鉛の粒子間の電子的接触の維持に寄与する。一方、空隙に存在する粒子(P)が膨張・収縮しても、負極全体の膨張・収縮は生じにくいため、充放電サイクルによる劣化を生じにくい。
 負極合剤中の、粒子(P)、粒子(P)中のシリコン粒子、および黒鉛のそれぞれの平均粒径は、負極合剤で形成された層の断面をSEMまたはTEMを用いて観察することによって測定してもよい。その場合、平均粒径は、任意の100個の粒子の最大径を算術平均することによって求められる。
 負極合剤を形成する前の粒子(P)の平均粒径には、体積基準の粒度分布において累積体積が50%になるメジアン径(D50)を用いることができる。メジアン径は、例えばレーザ回折/散乱式粒度分布測定装置を用いて求めることができる。
 [第1の粒子の製造方法]
 第1の粒子は、例えば、以下の方法で製造してもよい。まず、組成がSiO(一酸化ケイ素)の粒子を粉砕・分級して粒度を調整する。次に、得られた粒子の表面を、アルゴン雰囲気下でのCVD法によって、炭素で被覆する。そして、これを解砕・分級することによって、SiOとして表される第1の粒子を調製する。なお、SiO粒子を炭素で被覆する方法については、種々の周知の方法を採用することができる。また、SiO粒子を炭素で被覆する処理については省略してもよい。
 [第2の粒子の製造方法]
 次に、第2の粒子の製造方法の一例について詳述する。第2の粒子は、以下で説明する製造方法以外の方法で製造してもよい。第2の粒子は、国際公開第2018/179969号に記載の方法で製造してもよい。
 第2の粒子は、概ね、リチウムシリケートを得る前工程と、リチウムシリケートと原料シリコンから第2の粒子を得る後工程との2つのプロセスを経て合成される。元素Meを添加する場合、元素Meは、前工程でリチウムシリケートの原料に添加してもよいが、リチウムシリケートの合成に影響を与えないように、後工程で添加することが好ましい。より具体的には、第2の粒子の製造方法は、二酸化ケイ素とリチウム化合物とを混合し、得られた混合物を焼成して、リチウムシリケートを得る工程(i)と、リチウムシリケートと原料シリコン(必要に応じてさらに元素Me)とを複合化することによって、リチウムシリケート相とリチウムシリケート相内に分散しているシリコン粒子とを含む第2の粒子を得る工程(ii)とを含むことが好ましい。
 [工程(i)]
 式:Li2ZSiO2+Zで表されるリチウムシリケートのZの値は、二酸化ケイ素とリチウム化合物との混合物におけるケイ素のリチウムに対する原子比:Li/Siによって制御すればよい。アルカリ成分の溶出の少ない良質なリチウムシリケートを合成するには、Li/Siを1より小さくすることが好ましい。
 リチウム化合物には、炭酸リチウム、酸化リチウム、水酸化リチウム、水素化リチウムなどを用いることができる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 二酸化ケイ素とリチウム化合物とを含む混合物は、空気中で、400℃~1200℃、好ましくは800℃~1100℃で加熱して、二酸化ケイ素とリチウム化合物とを反応させることが好ましい。
 [工程(ii)]
 次に、リチウムシリケートと原料シリコンとの複合化が行われる。例えば、リチウムシリケートと原料シリコンとの混合物(さらに元素Meを含んでもよい)にせん断力を付与しながら混合物を粉砕すればよい。原料シリコンには、平均粒径が数μm~数十μm程度のシリコンの粗粒子を用いればよい。最終的に得られるシリコン粒子は、XRDパターンのSi(111)面に帰属される回析ピークの半値幅からシェラーの式により算出される結晶子サイズが10nm以上になるように制御することが好ましい。
 仕込みに用いる元素Meの材料には、元素Meの、酸化物、シュウ酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、炭酸塩などを用いればよい。中でも、安定であり、かつ良好なイオン伝導性を有する点で、Me酸化物が好ましい。より具体的には、CeO、Sc、Y、Er、Tm、Yb、Luなどが挙げられる。また、イットリア安定化ジルコニアのような、元素Meおよび酸素以外の他の元素を含む化合物を用いてもよい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 例えば、リチウムシリケートと原料シリコンと(必要に応じてさらに元素Meの化合物)を、所定の質量比で混合し、ボールミルのような粉砕装置を用いて、混合物を微粒子化しながら攪拌すればよい。ただし、複合化の工程は、これに限定されない。例えば、粉砕装置を使用せず、シリコンナノ粒子と、リチウムシリケートナノ粒子と(必要に応じて元素Meの化合物)とを合成し、これらを混合してもよい。
 次に、微粒子化された混合物を、例えば不活性雰囲気(例えば、アルゴン、窒素などの雰囲気)中で、450℃~1000℃で加熱し、焼成する。このとき、ホットプレスなどで混合物に圧力を印加しながら焼成して、混合物の焼結体を作製してもよい。リチウムシリケートは、450℃~1000℃では安定で、シリコンとほとんど反応しないため、容量低下は生じても軽微である。焼成時にシリケートが軟化し、シリコン粒子間の隙間を埋めるように流動する。その結果、シリケート相を海部とし、シリコン粒子を島部とする緻密なブロック状の焼結体を得ることができる。
 焼結体は、その後、粒状物になるまで粉砕して、第2の粒子とすればよい。このとき、粉砕条件を適宜選択することによって、平均粒径が上述した範囲にある第2の粒子を得ることができる。
 工程(ii)の後に、第2の粒子の表面の少なくとも一部を、導電性材料で被覆して導電層を形成する工程(iii)を行ってもよい。導電性材料は、電気化学的に安定であることが好ましく、炭素材料が好ましい。炭素材料で粒子状材料の表面を被覆する方法としては、アセチレン、メタンなどの炭化水素ガスを原料に用いるCVD法を用いてもよい。あるいは、石炭ピッチ、石油ピッチ、フェノール樹脂などを第2の粒子と混合した後、加熱する方法を用いてもよい。また、カーボンブラックを第2の粒子の表面に付着させてもよい。
 第2の粒子を酸で洗浄する工程を行ってもよい。例えば、酸性水溶液で第2の粒子を洗浄してもよい。酸で洗浄することによって、原料シリコンとリチウムシリケートとを複合化させる際に生じ得る、微量のLiSiOのような成分を溶解させて除去することができる。酸性水溶液としては、塩酸、フッ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、炭酸などの無機酸の水溶液や、クエン酸、酢酸などの有機酸の水溶液を用いることができる。
 [第3の粒子の製造方法]
 第3の粒子を製造する方法の例として、第1および第2の方法を以下に説明する。第3の粒子は、以下で説明する製造方法以外の方法で製造してもよい。
 第1の方法では、まず、原料シリコンと炭素源とを混合し、ボールミルのような粉砕装置を用いて、原料シリコンと炭素源の混合物を微粒子化しながら粉砕および複合化する。混合物に有機溶媒を添加して、湿式粉砕してもよい。このとき、原料シリコンが微粉砕されてシリコン粒子が生成する。シリコン粒子は、炭素源のマトリックスに分散する。
 炭素源としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂、セルロース、スクロースなどの糖類、石油ピッチ、石炭ピッチ、タールなどを用い得るが、特に限定されない。
 有機溶媒としては、アルコール、エーテル、脂肪酸、アルカン、シクロアルカン、珪酸エステル、金属アルコキシドなどを用いることができる。
 次に、シリコン粒子と炭素源との複合物を、不活性ガス雰囲気(例えばアルゴン、窒素などの雰囲気)中で700℃~1200℃に加熱する。この加熱によって炭素源を炭化させ、無定形炭素を生成させる。これにより、無定形炭素を含む炭素相にシリコン粒子が分散した第3の粒子が得られる。
 第2の方法では、まず、原料シリコンと炭素材料とを混合し、ボールミルのような粉砕装置を用いて、原料シリコンと炭素材料との混合物を微粒子化しながら粉砕および複合化する。混合物に有機溶媒を添加して、湿式粉砕してもよい。このとき、原料シリコンが微粉砕されてシリコン粒子が生成する。シリコン粒子は、炭素材料のマトリックスに分散する。
 上記のような原料シリコンと炭素材料との複合化によって、無定形炭素の炭素相にシリコン粒子が分散した第3の粒子が得られる。その後、第3の粒子を、不活性ガス雰囲気中で700℃~1200℃に加熱してもよい。
 炭素材料としては、無定形炭素が好ましく、易黒鉛化炭素(ソフトカーボン)、難黒鉛化炭素(ハードカーボン)、カーボンブラックなどを用い得る。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。炭素材料として黒鉛を用いる場合でも、粉砕装置を用いてシリコン粒子と炭素材料との複合物を得る際に黒鉛の結晶構造がほとんど失われ、無定形炭素の炭素相が形成される。
 結着剤の例には、フッ素樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ビニル樹脂、スチレン-ブタジエン共重合ゴム(SBR)、ポリアクリル酸およびその誘導体などが含まれる。導電剤の例には、カーボンブラック、導電性繊維、フッ化カーボン、有機導電性材料などが含まれる。増粘剤の例には、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリビニルアルコールなどが含まれる。これらの成分には、1種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を組み合わせて用いてもよい。
 [正極]
 正極は、正極合剤を含む。典型的には、正極は、正極集電体と、正極集電体の表面に形成された正極活物質層(正極合剤層)とを含む。正極活物質層は、正極活物質および臭素化合物(B)を含み、必要に応じて、正極活物質および臭素化合物(B)以外の他の成分を含む。他の成分の例には、結着剤、導電剤、増粘剤などが含まれる。それらの他の成分には、公知の二次電池に用いられている成分を用いてもよい。
 正極活物質層は、正極合剤を分散媒に分散させた正極スラリーを、正極集電体の表面に塗布して塗膜を形成した後、塗膜を乾燥させることにより形成できる。乾燥後の塗膜を、必要により圧延してもよい。
 正極活物質層は、正極活物質層を同じ厚みを有する正極集電体側の第1領域と正極表面側の第2領域に分けたときに、第1領域における臭素化合物(B)の含有量が第2領域における臭素化合物(B)の含有量よりも大きくなるように形成される。このような正極活物質層は、例えば、正極スラリーの塗布を、臭素化合物(B)の混合比率が異なる2種以上の正極スラリーを用いて、複数回に分けて行うことにより実現できる。正極表面に近づくほど臭素化合物(B)の含有量が小さくなるように、正極活物質層の厚み方向において臭素化合物(B)の含有量を偏らせることで、正極活物質層に臭素化合物(B)を含ませる場合においても、低温下におけるサイクル特性の低下を抑制できる。
 正極活物質としては、リチウム複合金属酸化物を用いることができる。リチウム複合金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMnO、LiCoNi1-b、LiCo1-b、LiNi1-b、LiMn、LiMn2-b4、LiGPO4、LiGPOFが挙げられる。ここで、Mは、Na、Mg、Sc、Y、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、Cr、Pb、Sb、およびBよりなる群から選択される少なくとも1種である。Gは、少なくとも遷移元素を含む(例えば、Mn、Fe、Co、Niよりなる群から選択される少なくとも1種を含む)。ここで、0≦a≦1.2、0≦b≦0.9、2.0≦c≦2.3である。なお、リチウムのモル比を示すa値は、充放電により増減する。
 結着剤および導電剤としては、負極について例示したものと同様のものが使用できる。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛などの黒鉛を用いてもよい。
 正極集電体の形状および厚さは、負極集電体に準じた形状および範囲からそれぞれ選択できる。正極集電体の材質としては、例えば、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、チタンなどが例示できる。
 [電解質]
 電解質には、溶媒と、溶媒に溶解した溶質とを含む電解液を用いることができる。溶質は、電解液中でイオン解離する電解質塩である。溶質は、例えば、リチウム塩を含み得る。溶媒および溶質以外の電解液の成分は添加剤である。電解液には、様々な添加剤が含まれ得る。
 溶媒は、非水溶媒が用いられる。非水溶媒としては、例えば、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル、環状カルボン酸エステル、鎖状カルボン酸エステルなどが用いられる。環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)などが挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジメチルカーボネート(DMC)などが挙げられる。また、環状カルボン酸エステルとしては、γ-ブチロラクトン(GBL)、γ-バレロラクトン(GVL)などが挙げられる。鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル(MP)、プロピオン酸エチル(EP)等が挙げられる。非水溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 非水溶媒として、他に、環状エーテル類、鎖状エーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、ジメチルホルムアミド等のアミド類などが挙げられる。
 リチウム塩としては、例えば、塩素含有酸のリチウム塩(LiClO、LiAlCl、LiB10Cl10など)、フッ素含有酸のリチウム塩(LiPF、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCOなど)、フッ素含有酸イミドのリチウム塩(LiN(FSO、LiN(CFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CSOなど)、リチウムハライド(LiCl、LiBr、LiIなど)などが使用できる。リチウム塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
 電解液におけるリチウム塩の濃度は、1mol/リットル以上2mol/リットル以下であってもよく、1mol/リットル以上1.5mol/リットル以下であってもよい。リチウム塩濃度を上記範囲に制御することで、イオン伝導性に優れ、適度の粘性を有する電解液を得ることができる。ただし、リチウム塩濃度は上記に限定されない。
 電解液は、他の公知の添加剤を含有してもよい。添加剤としては、1,3-プロパンサルトン、メチルベンゼンスルホネート、シクロヘキシルベンゼン、ビフェニル、ジフェニルエーテル、フルオロベンゼンなどが挙げられる。
 [セパレータ]
 正極と負極との間には、セパレータが配置されてもよい。セパレータには、イオン透過度が高く、適度な機械的強度および絶縁性を備えている部材を適用できる。セパレータとしては、微多孔薄膜、織布、不織布などを用いることができる。セパレータの材質としては、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィンが好ましい。
 二次電池(S)の一例は、外装体と、外装体に収容された電極群および非水電解質とを含む。電極群の構造に特に限定はない。電極群の一例は、正極と負極との間にセパレータが配置されるように正極と負極とセパレータとを巻回することによって形成される。電極群の他の一例は、正極と負極との間にセパレータが配置されるように正極と負極とセパレータとを積層することによって形成される。二次電池(S)の形態に限定はなく、円筒形、角形、コイン形、ボタン形、ラミネート形などであってもよい。
 二次電池(S)の製造方法に特に限定はなく、公知の製造方法を適用してもよいし、公知の製造方法の少なくとも一部を変更して適用してもよい。
 本開示に係る実施形態の例について、図面を参照して以下に具体的に説明する。以下で説明する例の構成要素には、上述した構成要素を適用できる。また、以下で説明する例は、上述した記載に基づいて変更できる。また、以下で説明する事項を、上記の実施形態に適用してもよい。また、以下で説明する実施形態において、本開示に係る二次電池に必須ではない構成要素は省略してもよい。
 図1は、本開示の一実施形態に係る角形の二次電池の一部を切欠いた概略斜視図である。図1に示す二次電池1は、有底角形の電池ケース11と、電池ケース11内に収容された電極群10および電解質(図示せず)とを含む。電極群10は、長尺帯状の負極と、長尺帯状の正極と、これらの間に介在し、かつ直接接触を防ぐセパレータとを含む。電極群10は、負極、正極、およびセパレータを、平板状の巻芯を中心にして捲回し、巻芯を抜き取ることによって形成される。
 負極の負極集電体には、負極リード15の一端が溶接などにより取り付けられている。正極の正極集電体には、正極リード14の一端が溶接などにより取り付けられている。負極リード15の他端は、封口板12に設けられた負極端子13に電気的に接続されている。封口板12と負極端子13との間には、ガスケット16が配置され、両者を絶縁している。正極リード14の他端は、封口板12と接続され、正極端子を兼ねる電池ケース11と電気的に接続されている。電極群10の上部には、樹脂製の枠体18が配置されている。枠体18は、電極群10と封口板12とを隔離するとともに負極リード15と電池ケース11とを隔離する。電池ケース11の開口部は、封口板12で封口されている。封口板12には、注液孔17aが形成されている。電解質は、注液孔17aから電池ケース11内に注液される。その後、注液孔17aは封栓17によって塞がれる。
 本開示に係る二次電池について、実施例によってさらに詳細に説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
 この実施例では、複数の種類の二次電池を以下の手順で作製し、評価した。複数の種類の二次電池は、正極を、臭素化合物(B)を含む上記二次電池用電極とし、正極活物質層に占める臭素化合物(B)の含有量、および/または、臭素化合物(B)の厚み方向における分布が異なる。
 [負極の作製]
 負極活物質には、黒鉛を用いた。まず、負極活物質と、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)と、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)と、水とを所定の質量比で混合し、負極スラリーを調製した。次に、銅箔(負極集電体)の表面に負極スラリーを塗布することによって塗膜を形成した。その塗膜を乾燥させた後、圧延した。このようにして、銅箔の両面に負極合剤層を形成した。
 [正極の作製]
 正極活物質として、LiNi0.88Co0.09Al0.03を用いた。正極活物質、ポリフッ化ビニリデン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセチレンブラック、および、必要に応じて臭素化合物(B)としてエチレン-1,2-ビスペンタブロモフェニル(アルベマール日本株式会社製のSAYTEX(登録商標)-8010)を、所定の質量比で混合することによって、第1の正極スラリーを調製した。
 次に、上記正極活物質、ポリフッ化ビニリデン、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、アセチレンブラック、および、必要に応じて臭素化合物(B)としてエチレン-1,2-ビスペンタブロモフェニル(アルベマール日本株式会社製のSAYTEX(登録商標)-8010)を、所定の質量比で混合することによって、第2の正極スラリーを調製した。
 アルミニウム箔(正極集電体)の表面に第1正極スラリーを塗布して塗膜を形成後、乾燥させ、正極活物質層の第1層を形成した。その後、第1層上に第2正極スラリーを塗布して塗膜を形成後、乾燥させ、正極活物質層の第2層を形成した。第1層に占める正極活物質の全質量と、第2層に占める正極活物質の全質量と、が同じになるように、第1正極スラリーおよび第2正極スラリーの塗布量を設定した。
 その後、正極活物質層を圧延して、アルミニウム箔の両面に第1層(下層)および第2層(上層)の2層を有する正極活物質層が形成された正極を得た。
 [電解液の調製]
 エチレンカーボネート(EC)およびエチルメチルカーボネート(EMC)を3:7の体積比で含む混合溶媒に、リチウム塩としてLiPFを加え、電解液を調製した。非水電解液におけるLiPFの濃度は1.3mol/リットルとした。
 [二次電池の作製]
 各電極にリードタブをそれぞれ取り付けた。次に、リードが最外周部に位置するように、セパレータを介して正極と負極とを渦巻き状に巻回した。このようにして電極群を作製した。次に、アルミニウム箔をバリア層とするラミネートフィルム製の外装体内に電極群を挿入し、真空乾燥した。次に、外装体内に非水電解液を注入し、外装体の開口部を封止した。このようにして、二次電池を得た。
 この実施例では、第1層における臭素化合物(B)の含有量X、および、第2層における臭素化合物(B)の含有量Xを変化させて複数の二次電池(電池A1~A8、B1~B4)を作製した。第1層における臭素化合物(B)の含有量Xは、第1正極スラリーの調製の際に臭素化合物(B)の混合比を変化させることによって、変化させた。第2層における臭素化合物(B)の含有量Xは、第2正極スラリーの調製の際に臭素化合物(B)の混合比を変化させることによって、変化させた。
 作製された二次電池について、以下の評価を行った。
 (1)容量維持率の測定
 作製された二次電池の放電容量を以下の方法で測定した。まず、10℃の環境下で、0.5Cの定電流で電池電圧が4.2Vになるまで電池を充電し、その後、電流値が0.02Cになるまで定電圧で充電を継続した。充電後の電池を20分間放置した後、0.5Cの定電流で電池電圧が2.5Vになるまで放電した。その後、20分間放置した。この操作(充放電サイクル)を50回繰り返した。
 初回の放電時の放電容量を初期容量DC0とし、上記の充放電サイクルを50回繰り返した後の放電容量DC1とを測定した。そして、以下の式から容量維持率を求めた。
容量維持率(%)=100×DC1/DC0
 評価結果を表1に示す。表1には、第1層における臭素化合物(B)の含有量X、および、第2層における臭素化合物(B)の含有量X、含有量XのXに対する比(X/X)、および、正極活物質層の全体に占める臭素化合物(B)の含有量((X+X)/2)が併せて示されている。表1において、含有量XおよびXは、正極活物質100質量部に対する質量部として示す。本実施例では、第1層の厚みと第2層の厚みは略等しいため、含有量XおよびXは、それぞれ、正極活物質層の全体を同じ厚みを有する第1領域と第2領域に分けたときの含有量AおよびAに、略等しくなる。
 電池B1~B4は比較例であり、第1層と第2層とで臭素化合物(B)の含有量を変化させていない(X=X)。電池B1では、第1層と第2層のいずれにも臭素化合物(B)を含まない(X=X=0)。電池B2~B4では、電池B1と比べて、臭素化合物(B)の添加による容量維持率の改善が見られる。しかしながら、容量維持率は75%以下であり、改善幅は小さい。
 これに対し、電池A1~A8では、第1層における臭素化合物(B)の含有量Xを、第2層における臭素化合物(B)の含有量Xよりも高くしている。(X>X)。この場合に、容量維持率は82%以上に高く維持できた。電池A5~A8では、第2層に臭素化合物(B)を含まない(X=0)。この場合、容量維持率は87%以上であり、サイクル特性が顕著に改善した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 本開示は、二次電池に利用できるが、用途はこれに限定されるものではない。
 本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
 1:非水電解質二次電池、10:電極群、11:電池ケース、12:封口板、13:負極端子、14:正極リード、15:負極リード、16:ガスケット、17:封栓、17a:注液孔、18:枠体

Claims (7)

  1.  集電体と、
     集電体の表面に配置された活物質層と、を有し、
     前記活物質層は、活物質と、臭素を含む有機化合物と、を少なくとも含み、
     前記活物質層を同じ厚みを有する第1領域と第2領域に分け、前記第1領域が前記第2領域よりも前記集電体側にあるとしたとき、前記第1領域における前記活物質に対する前記有機化合物の質量基準の含有量Aが、前記第2領域における前記活物質に対する前記有機化合物の質量基準の含有量Aよりも大きい、二次電池用電極。
  2.  前記第2領域における前記活物質に対する前記有機化合物の質量基準の含有量Aが、前記第1領域における前記活物質に対する前記有機化合物の質量基準の含有量Aの0.5倍以下である、請求項1に記載の二次電池用電極。
  3.  前記活物質層の前記集電体に対向しない表面から前記活物質層の少なくとも1/4の深さまでの領域に、前記有機化合物が含まれない、請求項1または2に記載の二次電池用電極。
  4.  前記活物質層における前記活物質と前記有機化合物との質量比を、前記活物質:前記有機化合物=100:aで表したとき、前記aは0.1以上1.5以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載の二次電池用電極。
  5.  前記有機化合物は、臭素原子が結合した環状構造を含み、
     前記有機化合物に占める臭素原子の割合は45質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の二次電池用電極。
  6.  前記有機化合物は、エチレン-1,2-ビスペンタブロモフェニル、エチレンビステトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン、および2,4,6-トリブロモフェノールからなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1~5のいずれか1項に記載の二次電池用電極。
  7.  請求項1~6のいずれか1項に記載の二次電池用電極である第1電極と、
     第2電極と、
     前記第1電極と前記第2電極との間に介在するセパレータを備える、二次電池。
     
     
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