WO2023002974A1

WO2023002974A1 - 生体細胞処理作業用プレートおよび生体細胞凍結前処理作業用キット

Info

Publication number: WO2023002974A1
Application number: PCT/JP2022/028017
Authority: WO
Inventors: 太井上
Original assignee: 株式会社北里コーポレーション
Priority date: 2021-07-21
Filing date: 2022-07-19
Publication date: 2023-01-26
Also published as: US20240150694A1; JPWO2023002974A1; EP4375358A1

Abstract

生体細胞処理作業用プレート１ａは、プレート本体２ａと蓋３ａを備える。プレート本体は、上面部５２ａ備える台座部５ａ、台座部５ａより上方に延びる環状壁部６ａ、環状壁部６ａの内側に凹部８、凹部に細胞処理液、凹部を封止する封止シート４を備える。蓋は、プレートの環状壁部および凹部を被包し、台座部上に載置される。封止シート４は、凹部を封止するシート本体部４１と、剥離用把持部４２を備える。蓋装着状態において、剥離用把持部は、環状壁部と蓋間を通過し、台座部の上面部５２ａ上に近接し、蓋非装着状態では、剥離用把持部は起き上がり、上面部５２ａより離間する。

Description

生体細胞処理作業用プレートおよび生体細胞凍結前処理作業用キット

　本発明は、生体細胞の各種処理、例えば、哺乳動物の卵子、胚などの卵、精子、造血幹細胞、多能性幹細胞等の幹細胞などの生体細胞を凍結のための前処理、凍結保存した生体細胞の融解処理などの際に使用する生体細胞処理作業用プレートおよび生体細胞凍結前処理作業用キットに関する。

　生体細胞である哺乳動物胚の凍結保存は、特定の系統や品種の遺伝資源の保存を可能とする。また、絶滅の危機に瀕している動物種の維持にも有効である。さらに、ヒトの不妊治療においても有用である。
　哺乳動物胚の凍結保存方法としては、特開２０００－１８９１５５公報（特許文献１）において、哺乳動物胚または卵子を滅菌処理した凍結ストロー、凍結バイアルまたは凍結チューブ等の凍結保存用容器の内面に、これらの胚または卵子を包被するに充分な最少量のガラス化液で貼り付け、この凍結保存用容器を密封し、そしてこの容器を液体窒素に接触させて急速に冷却することが提案されている。

　また、本願発明者は、特許文献２（特開２００２－３１５５７３、ＷＯ　０２－０８５１１０　Ａ１）を提案している。特許文献２の卵凍結保存具１は、耐寒性材料により形成された本体部２と、本体部２の一端に取り付けられ、可撓性かつ透明性かつ液体窒素耐性材料により形成された卵付着保持用ストリップ３と、卵付着保持用ストリップ３を被包可能に本体部２に着脱自在に取り付けられる一端が封鎖され、かつ耐寒性材料により形成された筒状部材４とからなるものである。

　特開２０１７－１１８８８４（特許文献３）には、移植直前の胚の処理等の、処理液を用いた細胞の処理に用いるための細胞処理容器が提案されている。

　また、本件出願人は、ＷＯ２０２１／０２５０１７（特許文献４）の細胞凍結前処理作業用プレートを提案している。

　また、登録実用新案３２２６９１１号公報（特許文献５）には、細胞を操作する際に使用する細胞操作用器具１であって、第一の溶液が充填される第一ウェル８を有する本体部２と、本体部２の上面に剥離可能な状態で設けられたシール材３とを備え、第一ウェル８に第一の溶液が充填された状態で、シール材３が第一ウェル８の開口部２０の周縁部２０Ａに密着され、シール材３によって第一ウェル８が密閉されている構成をとるものが開示されている。

特開２０００－１８９１５５特開２００２－３１５５７３（ＷＯ　０２－０８５１１０　Ａ１）特開２０１７－１１８８８４（ＷＯ　２０１６－１９０３２２　Ａ１）ＷＯ２０２１／０２５０１７登録実用新案３２２６９１１号公報

　そして、上記の特許文献１ないし４のものは、単なる作業用プレートであり、生体細胞処理液は、作業者が準備する必要がある。生体細胞処理作業は、準備が迅速に行えるものが望まれている。特許文献５のものは、液体の準備は不要であるが、シール材の剥離作業が容易ではない。

　本発明の目的は、生体細胞処理液を準備することなく、かつ、生体細胞を投入するための準備作業が容易であり、生体細胞処理作業を迅速に開始することができる生体細胞処理作業用プレートおよび生体細胞凍結前処理作業用キットを提供するものである。

上記目的を達成するものは、以下のものである。
　凹部と、前記凹部に充填された生体細胞処理液と、前記凹部の開口部に剥離可能に設けられた封止シートとを備える生体細胞処理作業用プレートであって、
　前記生体細胞処理作業用プレートは、前記凹部を被包する蓋を備え、
　前記プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、前記環状壁部の内側に、前記凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、
　前記蓋は、前記プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置されるものとなっており、
　前記封止シートは、前記凹部の前記開口部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より延出した剥離用把持部を備えており、
　前記蓋が、前記プレートの前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置された状態において、前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記蓋が、前記プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となる生体細胞処理作業用プレート。

また、上記目的を達成するものは、以下のものである。
　生体細胞凍結前処理作業用キットであって、前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートと、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートとを備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、凹部を備え、前記凹部には、第１ステップ用生体細胞処理液が充填され、前記凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、第１凹部と第２凹部を備え、前記第１凹部には、第２ステップ用の第１生体細胞処理液が充填され，前記第２凹部には、第２ステップ用の第２生体細胞処理液が充填されており、かつ、前記第１凹部の開口部および前記第２凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより、封止されており、
　前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートの前記凹部を被包する第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋と、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートの前記第１および第２凹部を被包する第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋とを備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートおよび前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、前記環状壁部の内側に、前記凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、
　前記蓋は、前記プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置されるものとなっており、
　前記封止シートは、前記凹部の前記開口部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、
　前記蓋が、前記プレートの前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置された状態において、前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記蓋が、前記プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となる生体細胞凍結前処理作業用キット。

図１は、本発明の実施例の生体細胞凍結前処理作業用キットの平面図である。図２は、図１の生体細胞凍結前処理作業用キットに使用されている本発明の生体細胞処理作業用プレート（第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート）のＡ－Ａ線断面図である。図３は、図２に示されている生体細胞処理作業用プレート（第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート）より蓋を取り外した状態の断面図である。図４は、図１の生体細胞凍結前処理作業用キットに使用されている本発明の生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）の正面図である。図５は、図４に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）のＢ－Ｂ線断面図である。図６は、図４に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）のプレート本体の平面図である。図７は、図４に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）のプレート本体の正面図である。図８は、図４に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）の蓋の底面図である。図９は、図４に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）の蓋の右側面図である。図１０は、本発明の生体細胞凍結前処理作業用キットおよび生体細胞処理作業用プレートに使用される封止シートの一例の平面図である。図１１は、図４に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）より蓋を取り外した状態の平面図である。図１２は、図４に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）より蓋を取り外した状態の正面図である。図１３は、図１２に示した生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）のＣ－Ｃ線断面図である。図１４は、本発明の他の実施例の生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）の平面図である。図１５は、図１４に示した生体細胞処理作業用プレートのＤ－Ｄ線断面図である。図１６は、図１４に示した生体細胞処理作業用プレートのプレート本体の平面図である。図１７は、本発明の他の実施例の生体細胞処理作業用プレート（第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート）の断面図である。

　本発明の生体細胞凍結前処理作業用キットおよび生体細胞処理作業用プレートを図面に示す実施例を用いて説明する。
　本発明の生体細胞処理作業用プレート１ａは、プレート本体２ａを備え、プレート本体２ａは、凹部８を備え、凹部８には、生体細胞処理液９が充填されており、さらに、凹部８の開口部は、剥離可能である封止シート４により、封止されている。

　生体細胞処理作業用プレート１ａは、凹部８を被包する蓋３ａを備え、プレート１ａは、台座部５ａと、台座部５ａより上方に延びる環状壁部６ａとを備え、環状壁部６ａの内側に、凹部８を備え、台座部５ａは、環状壁部６ａと台座部５ａの外縁間に位置する上面部５２ａを備え、蓋３ａは、プレート１ａへの装着時において、環状壁部６ａおよび凹部８を被包し、プレート１ａの台座部５ａ上に載置されるものとなっている。封止シート４は、凹部８の開口部を封止するシート本体部４１と、シート本体部４１より、延出した剥離用把持部４２を備えており、蓋３ａが、プレート１ａの環状壁部６ａおよび凹部８を被包し、プレート１ａの台座部５ａ上に載置された状態において、剥離用把持部４２は、環状壁部６ａと蓋３ａ間を通過し、台座部５ａの上面部５２ａ上に位置するとともに、蓋３ａの下端にて押され、上面部５２ａの上面に近接し、把持不能であり、かつ、蓋３ａが、プレートより取り外された状態では、剥離用把持部４２は、起き上がり、上面部５２ａの上面より離間し、把持可能となる。

　また、本発明の生体細胞凍結前処理作業用キット１０は、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート（生体細胞処理作業用プレート）１ａと、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート（生体細胞処理作業用プレート）１ｂとを備え、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ａは、凹部８を備え、凹部８には、第１ステップ用生体細胞処理液９が充填され、凹部８の開口部は、剥離可能である封止シート４により封止されており、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ｂは、平板部２０ｂと、平板部２０ｂに設けられた第１凹部２１、第２凹部２２を備え、第１凹部２１には、第２ステップ用の第１生体細胞処理液１１が充填され，第２凹部２２には、第２ステップ用の第２生体細胞処理液１２が充填されており、かつ、第１凹部２１の開口部および第２凹部２２の開口部は、剥離可能である封止シート４ａ，４ｂにより、封止されている。

　また、この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ａ、１ｂは、プレート（プレート本体）２ａ、２ｂと、プレート（プレート本体）２ａ、２ｂの凹部を含む平板部を被包する蓋３ａ，３ｂを備える。プレート（プレート本体）２ａ、２ｂは、台座部５ａ，５ｂと、台座部５ａ，５ｂより上方に延びる環状壁部６ａ，６ｂとを備え、環状壁部６ａ，６ｂの内側に、凹部８，２１，２２，２３を備え、台座部５ａ、５ｂは、環状壁部６ａ，６ｂと台座部５ａ，５ｂの外縁間に位置する上面部５２ａ，５２ｂを備え、蓋３ａ，３ｂは、プレート（プレート本体）２ａ、２ｂへの装着時において、環状壁部６ａ，６ｂおよび凹部８，２１，２２，２３を被包し、プレート（プレート本体）２ａ、２ｂの台座部５ａ，５ｂ上に載置されるものとなっており、封止シート４（４ａ，４ｂ，４ｃ）は、凹部８，２１，２２，２３の開口部を封止するシート本体部４１と、シート本体部４１より、延出した剥離用把持部４２を備えており、蓋３ａ，３ｂがプレート（プレート本体）２ａ，２ｂの環状壁部６ａ，６ｂおよび平板部２０ａ，２０ｂを被包し、プレート（プレート本体）２ａ、２ｂの台座部５ａ，５ｂ上に載置された状態において、剥離用把持部４２は、環状壁部６ａ，６ｂと蓋３ａ，３ｂ間を通過し、台座部５ａ．５ｂの上面部５２ａ、５２ｂ上に位置するとともに、蓋３ａ，３ｂの下端３２ｂにて押され、上面部５２ａ，５２ｂの上面に近接し、把持不能であり、かつ、蓋３ａ，３ｂがプレート（プレート本体）２ａ、２ｂより取り外された状態では、剥離用把持部４２は、起き上がり、上面部５２ａ，５２ｂの上面より離間し、把持可能となる。

　生体細胞凍結前処理作業用キット１０は、生体細胞処理作業用プレートである第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ａと、この第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ａに取り外し可能に装着（被嵌）される蓋３ａと、生体細胞処理作業用プレートである第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ｂと、この第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ｂに取り外し可能に装着（被嵌）される蓋３ｂとを備える。

　生体細胞処理作業用プレートである第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ａは、プレート本体２ａを備える。プレート本体２ａは、図１ないし図３に示すように、台座部５ａと、台座部５ａより上方に延びる環状壁部６ａとを備え、環状壁部６ａの内側に、平板部２０ａを備えている。この実施例のプレート本体２ａでは、平板部２０ａは、環状壁部６ａの内側かつ環状壁部６ａの上端に位置している。

　台座部５ａは、環状壁部６ａと台座部５ａの外縁間に位置する上面部５２ａを備え、蓋３ａは、プレート本体２ａへの装着時において、環状壁部６ａおよび平板部２０ａを被包し、プレート本体２ａの台座部５ａ上（具体的には、上面部５２ａ上）に載置されるものとなっている。台座部５ａは、環状脚部５１ａを有し、その上端に上面部５２ａが設けられている。
　そして、上面部５２ａは、剥離用把持部４２を用いた封止シート４の剥離作業時における、指による押圧が可能な押圧可能部を備えている。具体的には、上面部５２ａは、封止シート４の剥離作業時において、凹部８より手前側となる部分に手前側に延びる平面部を備えており、この部分は、指による押圧が可能であり、押圧可能部（押圧部位）として用いることができる。このため、例えば、左手指にて、上面部５２ａを押圧し、プレートを押さえた状態にて、剥離用把持部４２を把持し、引き上げることにより、凹部に充填されている液体を流出させることなく、封止シート４を剥離できる。
　台座部５ａ（環状脚部５１ａ）の高さとしては、２～７ｍｍが好ましく、特に、３～５ｍｍが好ましい。また、環状壁部６ａの高さとしては、１～５ｍｍが好ましく、特に、１．５～４ｍｍが好ましい。

　そして、この実施例のプレート本体２ａでは、平板部２０ａには、凹部８を備えている。なお、凹部８の開口部径としては、１５～４５ｍｍが好ましく、特に、２０～４０ｍｍが好ましい。また、凹部８の深さとしては、５～２０ｍｍが好ましく、特に、７～１５ｍｍが好ましい。この実施例では、凹部８は、部分球面状の凹部となっている。

　そして、凹部８には、生体細胞処理液９が充填されている。生体細胞処理液９としては、細胞処理目的に適合した生体細胞処理液が用いられる。この実施例のプレート１ａが、生体細胞凍結前処理作業用キット１０の第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートである場合、凹部８には、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液９が充填される。

　細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液（ＢＳ）としては、従来より用いられているものが好適に使用される。例えば、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液としては、細胞培養基礎液（例えば、ＨＥＰＥＳ［4-(2-HydroxyEthyl)-1-PiperazineEthaneSulfonic acid］含有細胞培養液）に、細胞膜透過性凍結保護物質を含有させず、必要と考える化合物、例えば、シュークロース、トレハロース、パーコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、フィコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースからなる群より選択された少なくとも一種の水溶性セルロースなどから選択される１種または２種以上の細胞膜非透過性凍結保護物質、ゲンタマイシンのような抗生物質を含有するものが好適である。

　そして、凹部８の開口部は、剥離可能である封止シート４により、封止されており、封止シート４により、凹部８に充填された液体は、流出しないものとなっている。この実施例では、封止シート４は、図１０に示すように、凹部８の開口部を封止するシート本体部４１と、シート本体部４１より、延出した剥離用把持部４２を備えている。シート本体部４１の下面には、粘着性物質、感圧接着剤などの付着性物質４３が塗布されている。なお、付着性物質は、シート本体部４１の下面の周縁部にのみ設けてもよい。
　シート本体部４１は、凹部８の開口部より大きいものとなっている。また、平面部の一部である凹部８の開口部の外側周縁部は、平坦面となっており、この平坦周縁部に、封止シート４のシート本体部４１の外縁側部分が、剥離可能に貼着されている。封止シート（シート本体部４１）の平面部との貼着部の幅は、０．７ｍｍ以上であることが好ましく、特に、１ｍｍ以上であることが好ましい。
　また、剥離用把持部４２の自由端となっている先端には、端部表示マーカ４４が設けられている。　封止シート４、特に、シート本体部４１としては、ガス難透過性シートが好ましい。このようなものであれば、凹部８に充填されている生体細胞処理液９の変性、濃度変化を抑制できる。封止シート４は、剥離用把持部４２を含み、可撓性シートとなっている。

　封止シート４としては、ある程度の強度と、可撓性と、ガス難透過性を有するものが好ましく、例えば、エチレン酢酸ビニル系共重合体、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、塩化ビニリデン系・アクリロニトリル共重合体、アクリルニトリル系メチルメタアクリレート・ブタジジエン共重合体、ナイロン６、二軸延伸ナイロン、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート、二軸延伸ポリプロピレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー樹脂、金属蒸着フィルムの単独、もしくは、これら重合体の組み合わせたものが好適である。封止シート４の厚さとしては、５～３００μｍが好ましく、特に、２５～２００μｍである。

　そして、この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ａでは、プレート（プレート本体）２ａに蓋３ａが装着（載置）された状態（図１、図２）において、封止シート４の剥離用把持部４２は、折れ曲がり、環状壁部（外面）６ａと蓋（内面）３ａを通過し、台座部５ａの上面部５２ａ上に位置するとともに、蓋３ａの下端３２ｂにて押され、上面部５２ａの上面に近接し、把持不能となっている。
　さらに、この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ａでは、蓋３ａをプレート（プレート本体）２ａより取り外すと、図３の状態となり、剥離用把持部４２は、起き上がり、上面部５２ａの上面より離間し、把持可能となる。特に、この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ａでは、剥離用把持部４２の自由端である端部は、プレート（プレート本体）２ａの端部より延出した状態となり、把持がより容易なものとなる。

　生体細胞処理作業用プレートである第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート１ｂは、プレート本体２ｂと、プレート本体２ｂに装着（載置）される蓋３ｂを備える。第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートのプレート本体２ｂは、図１、図４ないし図７に示すように、台座部５ｂと、台座部５ｂより上方に延びる環状壁部６ｂとを備え、環状壁部６ｂの内側に、平板部２０ｂを備えている。この実施例のプレート本体２ｂでは、平板部２０ｂは、環状壁部６ｂの内側かつ環状壁部６ｂの上端より下方に位置している。このため、環状壁部６ｂは、平板部２０ｂより上方に突出したものとなっている。

　台座部５ｂは、環状壁部６ｂと台座部５ｂの外縁間に位置する上面部５２ｂを備え、蓋３ｂは、プレート本体２ｂへの装着時において、環状壁部６ｂおよび平板部２０ｂを被包し、プレート本体２ｂの台座部５ｂ上（具体的には、上面部５２ｂ上）に載置されるものとなっている。台座部５ｂは、環状脚部５１ｂを有し、その上端に上面部５２ｂが設けられている。
　台座部５ｂ（環状脚部５１ｂ）の高さとしては、１～５ｍｍが好ましく、特に、１．５～４ｍｍが好ましい。また、環状壁部６ｂの高さとしては、１～５ｍｍが好ましく、特に、１．５～４ｍｍが好ましい。

　そして、この実施例のプレート本体２ｂでは、平板部２０ｂには、第１凹部２１のみならず、第２凹部２２、第３凹部２３を備えている。なお、凹部は、２つでもよく、４以上であってもよい。凹部２１，２２，２３の開口部径としては、５～２０ｍｍが好ましく、特に、７～１５ｍｍが好ましい。また、凹部２１，２２，２３の深さとしては、３～１５ｍｍが好ましく、特に、４～１０ｍｍが好ましい。この実施例では、凹部２１，２２，２３は、略半球状の凹部となっている。

　この実施例のプレート１ｂでは、第１凹部２１、第２凹部２２，第３凹部２３には、生体細胞処理液１１，１２，１３が充填されている。凹部が、第１凹部と第２凹部を有する場合、第１凹部に充填された生体細胞処理液と第２凹部に充填された生体細胞処理液は、異なるものであることが好ましい。さらに、一方の生体細胞処理液は、他方の生体細胞処理液と識別可能な色を有していることが好ましい。

　また、凹部が、第１凹部、第２凹部および第３凹部を有する場合、第１凹部２１、第２凹部２２および第３凹部２３に充填された３つの生体細胞処理液１１，１２，１３の少なくとも１つは、他の生体細胞処理液と異なるものであることが好ましい。さらに、異なる生体細胞処理液と残りの２つの生体細胞処理液は、両者を識別可能な色を有していることが好ましい。

　生体細胞処理液が識別可能な色を有するものとする方法としては、一方に着色剤を添加することが有効である。着色剤としては、通常、医薬品に添加することが許可されているものであれば、いずれも使用可能である。着色剤（色素）としては、例えば、赤色２号(アマランス)、赤色３号(エリスロシン)、赤色１０２号(ニューコクシン)、黄色４号(タートラジン)、黄色５号(サンセットイエローFCF)、緑色３号(ファストグリーンFCF)、青色１号(ブリリアントブルーFCF)、青色２号(インジゴカルミン)およびそれらのアルミニウムレーキが挙げられる。

　生体細胞処理液１１，１２，１３としては、細胞処理目的に適合した生体細胞処理液が用いられる。この実施例のプレート１ｂが、生体細胞凍結前処理作業用キット１０の第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートである場合、第１凹部２１には、細胞膜透過性凍結保護物質含有処理液が充填される。具体的には、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液（ＥＳ：Equilibration Solution）が充填される。

　細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液（ＥＳ）としては、細胞培養基礎液（例えば、ＨＥＰＥＳ［4-(2-HydroxyEthyl)-1-PiperazineEthaneSulfonic acid］含有細胞培養液）に、グリセロール、プロピレングリコール、ジメチルスルホサイド（ＤＭＳＯ）、エチレングリコール、ブタンジオールなどの細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度となるように添加するとともに、シュークロース、トレハロース、パーコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、フィコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの細胞膜非透過性凍結保護物質を含有するものが好適である。さらに、このＥＳにおいても、ゲンタマイシンのような抗生物質を含有してもよい。

　なお、このＥＳにおける細胞膜透過性凍結保護物質の含有率は、後述する、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液（ＶＳ）における細胞膜透過性凍結保護物質の含有率の２０～７０％であることが好ましく、特に、３０～６０％であることが好ましい。

　そして、この実施例のプレート１ｂが、生体細胞凍結前処理作業用キット１０の第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートである場合、第２凹部２２，第３凹部２３には、細胞膜透過性凍結保護物質含有処理液が充填される。具体的には、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液（ＶＳ：Vitrification Solution）が充填される。

　細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液（ＶＳ）としては、例えば、細胞培養基礎液（例えば、ＨＥＰＥＳ［4-(2-HydroxyEthyl)-1-PiperazineEthaneSulfonic acid］含有細胞培養液）に、グリセロール、プロピレングリコール、ジメチルスルホサイド（ＤＭＳＯ）、エチレングリコール、ブタンジオールなどの細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度となるように添加するとともに、シュークロース、トレハロース、パーコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、フィコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロースなどの細胞膜非透過性凍結保護物質を含有するものが好適である。

　さらに、このＶＳにおいても、ゲンタマイシンのような抗生物質を含有してもよい。なお、このＶＳにおける細胞膜透過性凍結保護物質の含有率は、上述した「ＥＳ」（細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液）における細胞膜透過性凍結保護物質の含有率の１．５～３倍であることが好ましく、特に、１．７～２．５倍であることが好ましい。

　そして、第１凹部２１の開口部は、剥離可能である封止シート４ａにより封止され、第２凹部２２の開口部は、剥離可能である封止シート４ｂにより封止され、第３凹部２３の開口部は、剥離可能である封止シート４ｃにより封止され、それぞれの凹部に充填された液体は、流出しないものとなっている。
　この実施例では、封止シート４ａ，４ｂ，４ｃとしては、図１０に示し、上述したものが好適に使用できる。

　第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートの蓋３ｂは、図１、図４、図５、図８および図９に示すように、上述した環状壁部６ｂ、平板部２０ｂの全体を被覆するものとなっており、蓋３ｂを被嵌した状態において、台座部５ｂの上面部５２ｂの大半は、露出するものとなっている。このため、蓋３ｂは、上面部５２ｂへの文字記載などの作業の障害とならない。また、この実施例の蓋３ｂは、天板部３１と天板部３１より下方に延びる環状側壁３２を有する。環状側壁３２には、側面に向かい合うスリット３３を備えている。

　そして、この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ｂでは、プレート（プレート本体）２ｂに蓋３ｂが装着（載置）された状態（図１、図４、図５）において、封止シート４ａ，４ｂ，４ｃの剥離用把持部４２は、折れ曲がり、環状壁部６ｂの内面を上方に延び、再び折れ曲がり、環状壁部６ｂの外面と蓋（内面）３ｂを通過し、台座部５ｂの上面部５２ｂ上に位置するとともに、蓋３ｂの下端３２ｂにて押され、上面部５２ｂの上面に近接し、把持不能となっている。

　さらに、この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ｂでは、蓋３ｂをプレート（プレート本体）２ｂより取り外すと、図１１，図１２および図１３の状態となり、剥離用把持部４２は、起き上がり、上面部５２ｂの上面より離間し、環状壁部６ｂの上縁より、斜めに突出する状態となり、把持可能となる。特に、この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ｂでは、剥離用把持部４２の自由端である端部は、プレート（プレート本体）２ｂの環状壁部６ｂの上縁より、斜めに突出するため、把持が容易である。

　生体細胞処理作業用プレート１ａ，１ｂ、蓋３ａ、３ｂは、合成樹脂材料により形成される。生体細胞処理作業用プレートおよび蓋は、透明性が高いことが望ましく、透明性硬質合成樹脂が好適である。透明性硬質合成樹脂としては、ポリスチレン，ＳＢＳなどのスチレン系樹脂、ポリカーボネート、アクリロニトリル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ＰＭＭＡ（ポリメチルメタアクリレート）ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂等を用いることが好ましい。

　また、生体細胞処理作業用プレートとしては、図１４ないし図１６に示すような生体細胞処理作業用プレート１ｃであってもよい。この実施例の生体細胞処理作業用プレート１ｃの基本構成は、上述した生体細胞処理作業用プレート１ｂと同じである。相違点は、プレート本体２ｃの第１凹部２１，第２凹部２２，第３凹部２３の開口部周縁部に、環状リブ２６を有する点のみである。そして、この実施例では、プレート本体２ｃは、平面部２０ｂ上に、平面部２０ｂと環状壁部６ｂと上記３つの環状リブ２６により形成された作業使用液体収納部２７（廃液収納部）を備えている。さらに、封止シート４ａ，４ｂ，４ｃは、この環状リブ２６の上面に貼り付けられている。このため、環状リブ２６の上面は、図示するように、平坦面であることが好ましい。

　また、上述したすべての実施例において、凹部の形状は、上述したものに限定されるものではなく、図１７に示す生体細胞処理作業用プレート１ｄのプレート本体２ｄにおける凹部２８のように、平坦底面２８ａを有する逆円錐台状のものであってもよい。

　本発明の生体細胞処理作業用プレートは、凹部と、凹部に充填された生体細胞処理液と、凹部の開口部に剥離可能に設けられた封止シートとを備える。さらに、生体細胞処理作業用プレートは、凹部を被包する蓋を備え、プレートは、台座部と、台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、環状壁部の内側に、凹部を備え、台座部は、環状壁部と台座部の外縁間に位置する上面部を備え、蓋は、プレートへの装着時において、環状壁部および凹部を被包し、プレートの台座部上に載置されるものとなっており、封止シートは、凹部の開口部を封止するシート本体部と、シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、蓋が、プレートの環状壁部および凹部を被包し、プレートの台座部上に載置された状態において、剥離用把持部は、環状壁部と蓋間を通過し、台座部の上面部上に位置するとともに、蓋の下端にて押され、上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、蓋が、プレートより取り外された状態では、剥離用把持部は、起き上がり、上面部の上面より離間し、把持可能となる。

　このため、蓋が装着されている状態では、封止シートの剥離が実質的に不要なため、不必要な封止シートの剥離が防止されており、かつ、蓋を取り外すことにより、剥離用把持部は、起き上がり、上面部の上面より離間し、把持可能となるため、剥離開始部の認識が容易であり、かつ、封止シートの剥離も容易であり、生体細胞処理液が充填されている凹部の開口部を開封作業を迅速に行うことができる。

　本発明の生体細胞処理作業用プレートは、以下のものである。
　（１）　凹部と、前記凹部に充填された生体細胞処理液と、前記凹部の開口部に剥離可能に設けられた封止シートとを備える生体細胞処理作業用プレートであって、
　前記生体細胞処理作業用プレートは、前記凹部を被包する蓋を備え、
　前記プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、前記環状壁部の内側に、前記凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、
　前記蓋は、前記プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置されるものとなっており、
　前記封止シートは、前記凹部の前記開口部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より延出した剥離用把持部を備えており、
　前記蓋が、前記プレートの前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置された状態において、前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記蓋が、前記プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となる生体細胞処理作業用プレート。

　この生体細胞処理作業用プレートは、凹部と、凹部に充填された生体細胞処理液と、凹部の開口部に剥離可能に設けられた封止シートとを備える。さらに、生体細胞処理作業用プレートは、凹部を被包する蓋を備え、プレートは、台座部と、台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、環状壁部の内側に、凹部を備え、台座部は、環状壁部と台座部の外縁間に位置する上面部を備え、蓋は、プレートへの装着時において、環状壁部および凹部を被包し、プレートの台座部上に載置されるものとなっており、封止シートは、凹部の開口部を封止するシート本体部と、シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、蓋が、プレートの環状壁部および凹部を被包し、プレートの台座部上に載置された状態において、剥離用把持部は、環状壁部と蓋間を通過し、台座部の上面部上に位置するとともに、蓋の下端にて押され、上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、蓋が、プレートより取り外された状態では、剥離用把持部は、起き上がり、上面部の上面より離間し、把持可能となる。

　また、上記の実施態様は、以下のものであってもよい。
　（２）　前記プレートの前記台座部の前記上面部は、突出する前記剥離用把持部を用いた封止シート剥離作業時における、指による押圧が可能な押圧可能部を備えている上記（１）に記載の生体細胞処理作業用プレート。
　（３）　前記プレートは、前記環状壁部の内側に設けられた平板部を備え、前記凹部は、前記平板部に設けられている上記（１）または（２）に記載の生体細胞処理作業用プレート。
　（４）　前記平板部は、前記環状壁部の内側かつ前記環状壁部の上端より下方に位置している上記（３）に記載の生体細胞処理作業用プレート。
　（５）　前記プレートは、前記凹部の周縁部に設けられた環状リブを備え、前記平板部と前記環状リブと前記環状壁部により形成された液体保留部を備えており、さらに、前記封止シートは、前記環状リブの上面に剥離可能に固着されている上記（４）に記載の生体細胞処理作業用プレート。
　（６）　前記プレートは、前記凹部である第１凹部および第２凹部を備え、前記第２凹部には、生体細胞処理液が充填されており、さらに、前記第２凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより、封止されている上記（１）ないし（５）のいずれかに記載の生体細胞処理作業用プレート。
　（７）　前記第１凹部に充填された生体細胞処理液と前記第２凹部に充填された生体細胞処理液は、異なるものであり、かつ、一方の生体細胞処理液は、他方の生体細胞処理液と識別可能な色を有している上記（６）に記載の生体細胞処理作業用プレート。
　（８）　前記プレートは、前記凹部である第１凹部と、第２凹部と、第３凹部とを備え、前記第２凹部および前記第３凹部には、生体細胞処理液が充填されており、さらに、前記第２凹部、前記第３凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより、封止されている上記（１）ないし（５）のいずれかに記載の生体細胞処理作業用プレート。
　（９）　前記第１凹部、前記第２凹部および前記第３凹部に充填された３つの生体細胞処理液の少なくとも１つは、他の生体細胞処理液と異なるものであり、かつ、前記異なる生体細胞処理液と残りの２つの前記生体細胞処理液は、両者を識別可能な色を有している上記（８）に記載の生体細胞処理作業用プレート。

　また、本発明の生体細胞凍結前処理作業用キットは、以下のものである。
　（１０）　生体細胞凍結前処理作業用キットであって、前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートと、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートとを備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、凹部を備え、前記凹部には、第１ステップ用生体細胞処理液が充填され、前記凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、第１凹部と第２凹部を備え、前記第１凹部には、第２ステップ用の第１生体細胞処理液が充填され，前記第２凹部には、第２ステップ用の第２生体細胞処理液が充填されており、かつ、前記第１凹部の開口部および前記第２凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより、封止されており、
　前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートの前記凹部を被包する第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋と、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートの前記第１および第２凹部を被包する第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋とを備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートおよび前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、前記環状壁部の内側に、前記凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、
　前記蓋は、前記プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置されるものとなっており、
　前記封止シートは、前記凹部の前記開口部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、
　前記蓋が、前記プレートの前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置された状態において、前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記蓋が、前記プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となる生体細胞凍結前処理作業用キット。
　また、本発明の生体細胞凍結前処理作業用キットは、以下のものである。
（１１）　生体細胞凍結前処理作業用キットであって、前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートと、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋と、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートと、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋を備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部と、前記環状壁部の内側に設けられた凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、かつ、前記凹部には、第１ステップ用生体細胞処理液が充填され、前記凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、前記封止シートは、前記凹部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋は、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記台座部上に載置されるものとなっており、さらに、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記台座部上に載置された状態において、前記封止シートの前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となるものとなっており、
　前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部と、前記環状壁部の内側に設けられた第１凹部と第２凹部を備え、前記第１凹部には、第２ステップ用の第１生体細胞処理液が充填され、前記第２凹部には、第２ステップ用の第２生体細胞処理液が充填されており、かつ、前記第１凹部の開口部および前記第２凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、前記封止シートは、前記第１凹部または前記第２凹部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋は、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記第１凹部および前記第２凹部を被包し、前記台座部上に載置されるものとなっており、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記台座部上に載置された状態において、前記封止シートの前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となるものとなっている生体細胞凍結前処理作業用キット。

　また、上記の実施態様は、以下のものであってもよい。
　（１２）　前記第１ステップ用生体細胞処理液は、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液であり、前記第２ステップ用の第１生体細胞処理液は、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液であり、前記第２ステップ用の第２生体細胞処理液は、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液である上記（１０）または（１１）に記載の生体細胞凍結前処理作業用キット。

Claims

凹部と、前記凹部に充填された生体細胞処理液と、前記凹部の開口部に剥離可能に設けられた封止シートとを備える生体細胞処理作業用プレートであって、
　前記生体細胞処理作業用プレートは、前記凹部を被包する蓋を備え、
　前記プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、前記環状壁部の内側に、前記凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、
　前記蓋は、前記プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置されるものとなっており、
　前記封止シートは、前記凹部の前記開口部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より延出した剥離用把持部を備えており、
　前記蓋が、前記プレートの前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置された状態において、前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記蓋が、前記プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となることを特徴とする生体細胞処理作業用プレート。
前記プレートの前記台座部の前記上面部は、突出する前記剥離用把持部を用いた封止シート剥離作業時における、指による押圧が可能な押圧可能部を備えている請求項１に記載の生体細胞処理作業用プレート。
前記プレートは、前記環状壁部の内側に設けられた平板部を備え、前記凹部は、前記平板部に設けられている請求項１または２に記載の生体細胞処理作業用プレート。
前記平板部は、前記環状壁部の内側かつ前記環状壁部の上端より下方に位置している請求項３に記載の生体細胞処理作業用プレート。
前記プレートは、前記凹部の周縁部に設けられた環状リブを備え、前記平板部と前記環状リブと前記環状壁部により形成された液体保留部を備えており、さらに、前記封止シートは、前記環状リブの上面に剥離可能に固着されている請求項４に記載の生体細胞処理作業用プレート。
前記プレートは、前記凹部である第１凹部および第２凹部を備え、前記第２凹部には、生体細胞処理液が充填されており、さらに、前記第２凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより、封止されている請求項１ないし５のいずれかに記載の生体細胞処理作業用プレート。
前記第１凹部に充填された生体細胞処理液と前記第２凹部に充填された生体細胞処理液は、異なるものであり、かつ、一方の生体細胞処理液は、他方の生体細胞処理液と識別可能な色を有している請求項６に記載の生体細胞処理作業用プレート。
前記プレートは、前記凹部である第１凹部と、第２凹部と、第３凹部とを備え、前記第２凹部および前記第３凹部には、生体細胞処理液が充填されており、さらに、前記第２凹部、前記第３凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより、封止されている請求項１ないし５のいずれかに記載の生体細胞処理作業用プレート。
前記第１凹部、前記第２凹部および前記第３凹部に充填された３つの生体細胞処理液の少なくとも１つは、他の生体細胞処理液と異なるものであり、かつ、前記異なる生体細胞処理液と残りの２つの前記生体細胞処理液は、両者を識別可能な色を有している請求項８に記載の生体細胞処理作業用プレート。
生体細胞凍結前処理作業用キットであって、前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートと、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートとを備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、凹部を備え、前記凹部には、第１ステップ用生体細胞処理液が充填され、前記凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、第１凹部と第２凹部を備え、前記第１凹部には、第２ステップ用の第１生体細胞処理液が充填され，前記第２凹部には、第２ステップ用の第２生体細胞処理液が充填されており、かつ、前記第１凹部の開口部および前記第２凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、
　前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートの前記凹部を被包する第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋と、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートの前記第１および第２凹部を被包する第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋とを備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートおよび前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部とを備え、前記環状壁部の内側に、前記凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、
　前記蓋は、前記プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置されるものとなっており、
　前記封止シートは、前記凹部の前記開口部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、
　前記蓋が、前記プレートの前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記プレートの前記台座部上に載置された状態において、前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記蓋が、前記プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となることを特徴とする生体細胞凍結前処理作業用キット。
生体細胞凍結前処理作業用キットであって、前記生体細胞凍結前処理作業用キットは、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートと、第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋と、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートと、第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋を備え、
　前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部と、前記環状壁部の内側に設けられた凹部を備え、前記台座部は、前記環状壁部と前記台座部の外縁間に位置する上面部を備え、かつ、前記凹部には、第１ステップ用生体細胞処理液が充填され、前記凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、前記封止シートは、前記凹部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋は、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記凹部を被包し、前記台座部上に載置されるものとなっており、さらに、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記台座部上に載置された状態において、前記封止シートの前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記第１ステップ用生体細胞処理作業用プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となるものとなっており、
　前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートは、台座部と、前記台座部より上方に延びる環状壁部と、前記環状壁部の内側に設けられた第１凹部と第２凹部を備え、前記第１凹部には、第２ステップ用の第１生体細胞処理液が充填され、前記第２凹部には、第２ステップ用の第２生体細胞処理液が充填されており、かつ、前記第１凹部の開口部および前記第２凹部の開口部は、剥離可能である封止シートにより封止されており、前記封止シートは、前記第１凹部または前記第２凹部を封止するシート本体部と、前記シート本体部より、延出した剥離用把持部を備えており、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋は、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートへの装着時において、前記環状壁部および前記第１凹部および前記第２凹部を被包し、前記台座部上に載置されるものとなっており、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記台座部上に載置された状態において、前記封止シートの前記剥離用把持部は、前記環状壁部と前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋間を通過し、前記台座部の前記上面部上に位置するとともに、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋の下端にて押され、前記上面部の上面に近接し、把持不能であり、かつ、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレート用蓋が、前記第２ステップ用生体細胞処理作業用プレートより取り外された状態では、前記剥離用把持部は、起き上がり、前記上面部の前記上面より離間し、把持可能となるものとなっていることを特徴とする生体細胞凍結前処理作業用キット。
前記第１ステップ用生体細胞処理液は、細胞膜透過性凍結保護物質非含有処理液であり、前記第２ステップ用の第１生体細胞処理液は、細胞膜透過性凍結保護物質を低濃度にて含有する低濃度処理液であり、前記第２ステップ用の第２生体細胞処理液は、細胞膜透過性凍結保護物質を高濃度にて含有する高濃度処理液である請求項１０または１１に記載の生体細胞凍結前処理作業用キット。