WO2022259679A1 - 制御弁式鉛蓄電池およびそれを備える蓄電システム - Google Patents

制御弁式鉛蓄電池およびそれを備える蓄電システム Download PDF

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Abstract

制御弁式鉛蓄電池であって、複数のセルと、前記複数のセルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、前記複数のセルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、前記複数のセル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、前記正極板は、正極電極材料を備え、前記負極板は、負極電極材料を備え、前記負極電極材料は、炭素質材料を含み、前記炭素質材料のBET法による比表面積:Scは、Sc≧500m/gを充足し、前記負極電極材料中の前記炭素質材料の含有量:Ccは、Cc≧0.5質量%を充足する、制御弁式鉛蓄電池。

Description

制御弁式鉛蓄電池およびそれを備える蓄電システム
 本発明は、制御弁式鉛蓄電池およびそれを備える蓄電システムに関する。
 制御弁式(密閉式)鉛蓄電池は、車載用(四輪自動車用、小型モビリティ用(自動二輪車用など)など)、産業用の他、様々な用途で使用されている。制御弁式鉛蓄電池は、負極板と、正極板と、負極板および正極板の間に介在するセパレータと、電解液とを含む。セパレータとしては、ガラス繊維の不織布などが使用される。正極板および負極板のそれぞれには、電極材料が含まれる。負極電極材料には、活物質である鉛の他に、炭素材料、有機防縮剤などが含まれる。
 特許文献1は、BET表面積が150m/g~2000m/gであり、D90値が5μmよりも大きい炭素材料を含む、密閉形鉛蓄電池における負極活物質に使用する組成物であって、前記炭素材料の量が、前記組成物の総重量に基づき0.1wt%~1.5wt%の範囲であることを特徴とする組成物を提案している。
 特許文献2は、電池蓋の上面に形成された凹部空間内に、その底壁を貫通して電槽内の夫々のセル室に連通する複数個の排気筒が配設され、且つ夫々の排気筒に安全弁を施して成る化成処理前のシール形鉛蓄電池として、該凹部空間を囲繞する囲繞壁の一部に嵌合係止用凹溝を設けたものを用意し、これを化成処理するに当たり、仮蓋板をこれら安全弁を施された排気筒の上方を被覆して施すと共に、その辺縁部を該嵌合係止用凹溝に嵌合係止して該電池蓋に仮固定し、次でこれを化成処理した後、該仮蓋板を除去し、次で、本蓋板を該凹部空間の開放上面に施し、且つ電池蓋に固着することを特徴とするシール形鉛蓄電池の製造法を教示している。
 一方、特許文献3は、複数のセルから発生する排気ガスを蓋の一括集中排気室に導き、該排気室の一箇所から前記ガスを外部へ排出する密閉形鉛蓄電池であって、前記一括集中排気室は、蓋上面に形成された凹部と、該凹部の上面を覆う上板から形成されているものであり、前記凹部は、各セル上部の底壁に各セルと連通する通気孔が形成され、相隣る該通気孔の間に隔壁を有するものであり、前記隔壁は、前記通気孔間を最長距離で連通させる位置に切欠きが形成されていることを特徴とする密閉形鉛蓄電池を教示している。
特表2015-537345号公報 特開平9-270268号公報 特開2001-84981号公報
 鉛蓄電池は、部分充電状態(Partial State Of Charge:PSOC)と呼ばれる充電不足状態で使用されることがある。例えば、アイドリングストップ(Idle ReductionまたはStart-Stop)制御される車両に搭載される鉛蓄電池は、PSOCで使用される。鉛蓄電池がPSOCで使用されると、徐々に電池上部の電解液比重が低く、電池下部の電解液比重が高くなる成層化が進行し易くなる。成層化が進行すると、負極板の下部で硫酸鉛の蓄積が顕著になり、硫酸鉛の結晶が生成するサルフェーションが起こり易くなる。これにより、容量が低下するとともに、不均一な充放電反応により極板が劣化して、鉛蓄電池の寿命が短くなる。なお、本明細書中、アイドリングストップを単にISと称することがある。
 本発明の一側面は、
 制御弁式鉛蓄電池であって、
 複数のセルと、前記複数のセルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、
 前記複数のセルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、
 前記複数のセル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、
 前記正極板は、正極電極材料を備え、
 前記負極板は、負極電極材料を備え、
 前記負極電極材料は、炭素質材料を含み、
 前記炭素質材料のBET法による比表面積:Scは、Sc≧500m/gを充足し、
 前記負極電極材料中の前記炭素質材料の含有量:Ccは、Cc≧0.5質量%を充足する、制御弁式鉛蓄電池に関する。
 本発明の他の側面は、
 制御弁式鉛蓄電池と、
 前記制御弁式鉛蓄電池から電力の供給を受ける車両と、
 前記制御弁式鉛蓄電池のSOCを制御する充電状態制御部と、を備え、
 前記制御弁式鉛蓄電池は、複数のセルと、複数の前記セルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、
 複数の前記セルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、
 複数の前記セル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、
 前記負極板は、炭素質材料を含む負極電極材料を備え、
 前記炭素質材料のBET法による比表面積:Scは、Sc≧500m/gを充足し、
 前記負極電極材料中の前記炭素質材料の含有量:Ccは、Cc≧0.5質量%を充足し、
 前記車両は、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが90%以上の閾値以上の場合にアイドリングストップ制御され、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが前記閾値未満の場合にはアイドリングストップ制御されない、蓄電システムに関する。
一実施形態に係る各セル排気型の鉛蓄電池の構造を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係る一括排気型の鉛蓄電池の構造を模式的に示す断面図である。 一実施形態に係る蓄電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
 本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本発明の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
 鉛蓄電池がPSOCで使用されると成層化が進行し、負極板でサルフェーションが起こりやすくなり、結果として、鉛蓄電池の寿命が短くなる。これに対し、負極電極材料に炭素質材料を含ませ、かつ下記条件(A)および(B)を充足する場合、サルフェーションの進行が抑制される。
 条件(A) 炭素質材料のBET法による比表面積ScがSc≧500m/g
 条件(B) 負極電極材料中の炭素質材料の含有量CcがCc≧0.5質量%
 条件(A)および(B)を満たす負極電極材料中では、炭素質材料が担う導電パスが顕著に発達するとともに、鉛の周辺のイオン伝導性が向上し、負極板で硫酸鉛が還元されやすくなるためである。これにより、極板における充放電反応がより均一に行われるようになり、極板の劣化が抑制される。よって、鉛蓄電池の寿命性能を高めることができる。
 Cc<0.5質量%の場合、炭素質材料が十分な導電パスを形成することができない。そのため、Sc<500m/gの場合と、Sc≧500m/gの場合とで、硫酸鉛の蓄積量はほとんど変わらず、硫酸鉛の蓄積抑制効果もほとんど見られない。
 また、Sc<500m/gの場合、Cc≧0.5質量%であっても、硫酸鉛の蓄積抑制効果は得られない。制御弁式の鉛蓄電池は、液式に比べて鉛の周辺に存在する電解液が少ない。一方、充放電反応は、鉛の周辺のイオン伝導性に大きく影響される。BET比表面積Scが500m/g以上の炭素質材料を含有量Ccが0.5質量%以上で用いることで、鉛の周辺に多くの電解液を保持できる。これにより、鉛の周辺のイオン伝導性が高まり、充放電反応がよりスムーズに進行し、硫酸鉛の蓄積が抑制される。
 ただし、負極電極材料に含まれる炭素質材料は、鉛蓄電池の充電時にガス発生反応を促進する起点となり得る。しかも、ガス発生反応は、高温であるほど促進される傾向がある。そして、鉛蓄電池は、高温環境下(例えば東南アジア諸国の夏季)で使用される場合でも、できるだけ長期の寿命を達成することが望まれる。
 ところで、複数のセルと、複数のセルをそれぞれ収容する複数のセル室とを備える制御弁式鉛蓄電池(Valve Regulated Lead-Acid Battery:VRLA)は、制御弁のタイプがそれぞれ異なる各セル排気型と一括排気型が存在する。各セル排気型とは、複数のセル室がそれぞれ互いに独立した排気弁を備えるタイプである。一方、一括排気型とは、複数のセル室に連通する1個以上(ただしセル室数よりも少数)の排気弁を備え、複数のセル室で発生するガスをまとめて排気するタイプである。
 図1は、各セル排気型の鉛蓄電池の構造を模式的に示す断面図である。図2は、一括排気型の鉛蓄電池の構造を模式的に示す断面図である。
 図1において、各セル排気型の鉛蓄電池1Aは、極板群11と電解液(図示せず)とを収容する電槽10を具備する。電槽10の上部開口は蓋12Aにより密閉されている。極板群11は、それぞれ複数枚の負極板2および正極板3を、セパレータ4を介して積層することにより構成されている。
 複数の負極板2のそれぞれの上部には、上方に突出する集電用の耳部(図示せず)が設けられている。複数の正極板3のそれぞれの上部にも、上方に突出する集電用の耳部(図示せず)が設けられている。そして、負極板2の耳部同士は負極用ストラップ(図示せず)により連結され一体化されている。同様に、正極板3の耳部同士も正極用ストラップ(図示せず)により連結されて一体化されている。負極用ストラップは外部端子となる負極柱(図示せず)に接続され、正極用ストラップは外部端子となる正極柱(図示せず)に接続されている。
 電槽10は複数(図示例では3個)の互いに独立したセル室10Rに区分され、各セル室10Rに1つの極板群11が収容されている。蓋12Aは、セル室10R毎に独立した排気弁13を備える。セル室10Rの内圧が所定の上限値を超えると、排気弁13が開き、セル室10Rから直接ガスを外部に放出する。セル室10Rの内圧が上限値以下では、正極板3で発生した酸素が同じセル室10R内の負極板2で還元されて水を生成する。
 図2に示す一括排気型の鉛蓄電池1Bにおいても、電槽10は複数(図示例では3個)の互いに独立したセル室10rに区分され、各セル室10rに1つの極板群11が収容されている。ただし、蓋12Bは、各セル室と排気孔15を介して連通する一括排気室14rを有し、一括排気室14rはセル室の数より少数(図示例では1個)の排気弁13を備える。一括排気室14rの内圧が所定の上限値を超えると、排気弁13が開き、一括排気室14rからガスを外部に放出する。一括排気室14rの内圧が上限値以下では、正極板3で発生した酸素が任意のセル室10rの負極板2で還元されて水を生成する。
 ここで、条件(A)および(B)を満たす一括排気型の制御弁式鉛蓄電池は、高温領域を含む所定の充放電サイクル条件では、出力低下が生じ、電圧推移が不安定になり、想定される寿命に達しない場合があることが判明した。このような現象は、一括排気型で見られる特有の現象である。その原因を探求したところ、一部のセルにおける内部抵抗の増加が確認され、以下のような劣化メカニズムがあることが判明した。
 複数のセル室はそれぞれ環境が異なるため、電解液の減液量は同じではなく、保液量にばらつきが生じる。一括排気型の場合、複数のセル室と排気弁とを連通させる通路(一括排気室14r)を介してガスがセル室間を移動可能である。そのため、相対的に保液量が少ないセルに保液量の多いセルで発生した酸素ガスが流入しやすく、保液量が少ないセルは、より多くの酸素ガスを吸収する。負極板で吸収された酸素はPbOを生成した後、PbSO4に変換される。すなわち、セル間において酸素吸収量に差が生じ、その結果、硫酸鉛の生成量に差が生じる。このようなサルフェーションの程度のばらつきは、充電効率や減液量のばらつきを増大させ、一部のセルの劣化を促進する。
 そこで、本発明の一実施形態に係る制御弁式鉛蓄電池(以下、鉛蓄電池Aとも称する。)は、複数のセルと、複数のセルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、複数のセルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、複数のセル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、正極板は、正極電極材料を備え、負極板は、負極電極材料を備え、負極電極材料は、炭素質材料を含み、条件(A)(炭素質材料のBET法による比表面積Sc≧500m/g)および条件(B)(負極電極材料中の炭素質材料の含有量Cc≧0.5質量%)を充足する。
 各セル排気型の場合、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、各排気弁は対応するセル室のみと連通している。従って、ガスがセル室間を移動することはなく、相対的に保液量が少ないセルに保液量の多いセルで発生した酸素ガスが流入して吸収されることがない。よって、セル間でサルフェーションの程度のばらつきが生じにくく、一括排気型のように充電効率や減液量のばらつきに起因して一部のセルの劣化が促進されることもない。その結果、条件(A)および(B)を満たすこと、すなわち、負極電極材料中に炭素質材料による導電パスが顕著に発達していることによる効果が顕在化し、負極板のサルフェーションを抑制する効果が高められる。各セル排気型では、条件(A)および(B)を満たす場合と満たさない場合とで、制御弁式鉛蓄電池の寿命に顕著な差異が生じるようになる。このような差異は、一括排気型では見られず、各セル排気型に特異的な現象である。
 鉛蓄電池Aは、更に、下記条件(C)を満たすことが好ましい。
 条件(C):650m/g≦Sc≦1000m/g
 条件(C)が充足される場合、鉛の周辺のイオン伝導性を高める効果が十分に発揮されるとともに、比表面積が高すぎることによる影響も抑制される。例えば電池内の有効成分(例えばリグニンなどの有機防縮剤)の吸着反応などが抑制されると考えられる。
 鉛蓄電池Aは、車載用(四輪自動車用、小型モビリティなど)、産業用の他、様々な用途で使用できる。中でも小型モビリティ(例えば、自動二輪車)は、四輪自動車などに比べて、転倒のリスクが高いため、液式(バルブ式)鉛蓄電池の使用が制限され、制御弁式鉛蓄電池が多く採用される傾向にある。よって、鉛蓄電池Aは、小型モビリティに搭載するのに特に適している。
 鉛蓄電池Aは、条件(A)および(B)を満たすことでサルフェーションが進行しにくいため、PSOC状態で使用される用途に適している。PSOC状態で使用される用途として、例えば、アイドリングストップ(IS)制御される車両(以下、ISS車と称する。)、マイクロハイブリッド車、マイルドハイブリッド車などの電源用途が挙げられる。近年アイドリングストップ(IS)制御機能を備える小型モビリティの開発も進んでいる。
 IS制御機能を備える四輪自動車は、通常、鉛蓄電池の高度な充放電制御を行うためのバッテリマネージメントシステム(Battery Management System:BMS)を備える。BMSには、鉛蓄電池の充電状態(SOC)を制御する充電状態制御部が内蔵されている。充電状態制御部は、四輪自動車のIS制御中、鉛蓄電池のSOCを、例えば70%以上90%未満に制御する。これにより、車両の減速時に、回生エネルギーをできるだけ無駄なく鉛蓄電池に充電できるようになる。
 SOCとは、鉛蓄電池の満充電時の充電電気量(100%)に対する、充電された電気量の割合を示す。なお、本明細書中、制御弁式の鉛蓄電池の100%の満充電状態とは、JIS D5302:2004の8.2.2(H16年3月20改正)に記載の満充電の条件に従い充電を終了した状態である。
 一方、自動二輪車のような小型モビリティは、通常、回生エネルギーの充電制御が行われないことが多い。そのため、小型モビリティ用の鉛蓄電池は、充電状態制御部により、IS制御期間中でも十分に高いSOC(例えば、90%以上)に制御される。SOCが高い状態で充放電が繰り返されるほど、ガス発生量は増加する傾向がある。よって、一括排気型の小型モビリティ用の鉛蓄電池は、一段と寿命が低下しやすい。これに対し、各セル排気型の鉛蓄電池Aは、高いSOCで充放電され、ガス発生量が増加しやすい小型モビリティに搭載される場合でも寿命を向上させることができる。
 ここで、小型モビリティ用の鉛蓄電池とは、IEC60095-7:2019の適用範囲、およびJIS D 5302:2004の適用範囲に包含される鉛蓄電池をいう。また、小型モビリティとは、モーターサイクルおよびパワースポーツビークルを言う。モーターサイクルには、例えば、自動二輪車、自動三輪車が包含され、パワースポーツビークルには、例えば、バギー(三輪および四輪の双方を含む)、水上スキー、スノーモービル、および全地形対応車が包含される。なお、小型モビリティには、エンジンとともに、小型モビリティ用の鉛蓄電池Aが搭載される。
 SOCが高い状態では、負極電極材料が導電性の高い鉛を多く含む状態である。負極電極材料の導電性が高い状態では、充放電反応は、鉛の周辺の電解液のイオン伝導性に大きく影響されると考えられる。制御弁式の鉛蓄電池は、液式に比べて鉛の周辺に存在する電解液が少ない。BET比表面積Scが500m/g以上の炭素質材料を含有量Ccが0.5質量%以上で用いることで、鉛の周辺に多くの電解液を保持できる。これにより、鉛の周辺のイオン伝導性が高まり、充放電反応がよりスムーズに進行する。つまり、上記のような炭素質材料を用いることにより、鉛と電解液との界面での反応が促進される。その結果、負極板における硫酸鉛の蓄積が抑制されると考えられる。
 蓄電システムの車両は、鉛蓄電池AのSOCが90%以上の閾値以上の場合にアイドリングストップ制御され、鉛蓄電池AのSOCが閾値未満の場合にはアイドリングストップ制御されない車両であってもよい。鉛蓄電池AのSOCが90%以上の閾値以上の場合にアイドリングストップ制御され、鉛蓄電池AのSOCが閾値未満の場合にはアイドリングストップ制御されない車両では、充電状態制御部は、鉛蓄電池AのSOCが閾値未満の場合には、鉛蓄電池Aを所定のSOCになるまで定電圧で充電する。
 ここで、「閾値」とは、予め設定された基準SOCであり、「閾値に達する」とは、SOCが、閾値またはその近傍のSOCになることをいう。また、閾値の近傍のSOCとは、閾値以下の所定のSOCおよび閾値より高い所定のSOCをいう。よって、充電状態制御部は、SOCが閾値以下の所定のSOCになった場合に鉛蓄電池Aの充電を開始してもよく、SOCが閾値より高い所定のSOCになった場合に鉛蓄電池Aの充電を開始してもよい。このような車両と鉛蓄電池Aとを含む蓄電システムも、本発明の一実施形態に該当する。
 定電圧での鉛蓄電池Aの充電は、エンジンが駆動している間に行われる。このとき、オルタネータが作動して発電が行われ、鉛蓄電池Aに定電圧充電される。定電圧充電の際には、鉛蓄電池Aへの過充電を避けるため、充電電圧が設定されている。例えば、鉛蓄電池AのSOCが閾値より大きい値から閾値に達した場合には、車両のエンジンは停止せず、オルタネータからの定電圧充電が継続される。よって、鉛蓄電池AのSOCは閾値以上を維持するように制御される。
 ここで、SOCが閾値以上(例えばSOCが95%以上もしくは99%以上)になるまで鉛蓄電池Aを充電する際、充電状態制御部は、2.39V/セル以上、2.45V/セル以下の定電圧で鉛蓄電池Aを充電することが好ましい。例えば直列された6セルからなる鉛蓄電池Aの場合、14.34V以上、14.7V以下の定電圧で充電されることが好ましい。このように14.0Vを超える電圧で充電することで、鉛蓄電池の成層化やサルフェーションの進行が更に効果的に抑制される。
 図3は、上記構成を有する蓄電システムを模式的に示すブロック図である。蓄電システム20は、鉛蓄電池Aと、鉛蓄電池Aから電力の供給を受ける車両30と、鉛蓄電池AのSOCを制御する充電状態制御部40とを備える。充電状態制御部40は、鉛蓄電池Aの充電を制御する充電制御ユニット41を備える。車両30は、アイドリングストップ(IS)制御部50によるアイドリングストップシステム(Idle Reduction System)を備えるアイドリングストップ車両(IS車両)である。アイドリングストップシステムをISSと称することがある。ISSとは、車両を駐車または停車させると、エンジン60が停止するように制御されているシステムを言う。ISSにおいて、エンジンが停止している間、車両に必要な電流は、車両に搭載された電池により供給される。ISSでは、エンジンが停止している間、電池のSOCが所定の閾値に達すると、エンジンが再始動される。車両を駐車または停車させることでエンジンが停止してから再始動されるまでの期間を、アイドリングストップ期間(IS期間)と称する。アイドリングストップ制御(IS制御)とは、鉛蓄電池AのSOCが90%以上の閾値を維持するように制御される場合、充電状態制御部40は、IS期間中に鉛蓄電池AのSOCが閾値に達すると、2.39V/セル以上、2.45V/セル以下の定電圧で鉛蓄電池Aを充電する制御を言う。
 負極電極材料は、さらに有機防縮剤を含んでもよい。これにより、低温ハイレート(High Rate:HR)放電性能を向上できる。ただし、有機防縮剤が炭素質材料に吸着されると、有機防縮剤の防縮効果が発揮され難くなる。比表面積Scが大きい炭素質材料を用いると、炭素質材料による有機防縮剤の吸着の影響が現れやすい。より高い低温HR放電性能を確保する観点からは、負極電極材料中の有機防縮剤の含有量:Ce(質量%)が、Ce>0.368Cc+0.054を充足することが好ましい。なお、有機防縮剤は、鉛の表面を被覆することで、水素発生過電圧を増大させるため、電解液の減少を抑制する作用も有すると考えられる。
 有機防縮剤の含有量Ceは、0.372Cc+0.092≦Ce≦0.373Cc+0.249を充足することがより好ましい。0.372Cc+0.092≦Ceとすることで、低温HR放電性能および電解液の減少を抑制する効果をさらに高めることができる。また、Ce≦0.373Cc+0.249とすることで、炭素質材料および鉛の有機防縮剤による過度な被覆が抑制される。負極電極材料の高い導電性が維持されることで、充電受入性の低下を抑制できる。
 鉛蓄電池Aには、広い温度範囲において、硫酸鉛の蓄積抑制と、低温HR放電性能と、充電受入性と、減液抑制効果とのバランスに優れることが求められる。比表面積Scが500m/g≦Scである炭素質材料を用いるとともに、有機防縮剤の含有量Ceを上記のような式により炭素質材料の含有量Ccに応じて調節することで、上記のような特性のバランスを高精度に調節することができる。よって、世界中の様々な地域で鉛蓄電池Aを使用しても優れた性能を発揮させることができ、安定した品質が得られる。
 (正極電極材料)
 正極板において、正極電極材料は、通常、正極集電体に保持されている。正極電極材料とは、正極板から正極集電体を除いたものである。正極板には、マット、ペースティングペーパなどの部材が貼り付けられていることがある。このような部材(貼付部材とも称する)は正極板と一体として使用されるため、正極板に含まれるものとする。正極板が貼付部材を含む場合には、正極電極材料は、正極集電体および貼付部材を除いたものである。
 以下、本発明の実施形態に係る鉛蓄電池Aについて、より具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
(負極板)
 (負極電極材料)
 負極板は、通常、負極集電体と負極電極材料とを含み、負極電極材料は、負極集電体に保持されている。負極電極材料とは、負極板から負極集電体を除いたものである。負極板には、マット、ペースティングペーパなどの部材が貼り付けられていることがある。このような部材(貼付部材とも称する)は負極板と一体として使用されるため、負極板に含まれるものとする。負極板が貼付部材を含む場合には、負極電極材料は、負極集電体および貼付部材を除いたものである。
 負極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する負極活物質(鉛もしくは硫酸鉛)を必須成分として含む。充電状態の負極活物質は、海綿状鉛であるが、未化成の負極板は、通常、鉛粉を用いて作製される。負極電極材料は、さらに炭素質材料を添加剤として含む。負極電極材料は、さらに、炭素質材料以外の添加剤(有機防縮剤、硫酸バリウムなど)を含んでもよい。
 (負極集電体)
 負極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛シートまたは鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工または打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。負極集電体として格子状の集電体を用いると、負極電極材料を担持させ易いため好ましい。
 負極集電体に用いる鉛合金は、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金のいずれであってもよい。これらの鉛もしくは鉛合金は、更に、添加元素として、Ba、Ag、Al、Bi、As、Se、Cuなどからなる群より選択された少なくとも1種を含んでもよい。負極集電体は、表面層を備えていてもよい。負極集電体の表面層と内側の層とは組成が異なるものであってもよい。表面層は、負極集電体の一部に形成されていてもよい。表面層は、負極集電体の耳部に形成されていてもよい。耳部の表面層は、SnまたはSn合金を含有するものであってもよい。
 (炭素質材料)
 負極電極材料に含まれる炭素質材料としては、カーボンブラック、黒鉛、ハードカーボン、ソフトカーボンなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ランプブラックなどが例示される。ファーネスブラックには、ケッチェンブラック(商品名)も含まれる。黒鉛は、黒鉛型の結晶構造を含む炭素質材料であればよく、人造黒鉛および天然黒鉛のいずれであってもよい。炭素質材料は、一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせてもよい。
 なお、炭素質材料のうち、ラマンスペクトルの1300cm-1以上1350cm-1以下の範囲に現れるピーク(Dバンド)と1550cm-1以上1600cm-1以下の範囲に現れるピーク(Gバンド)との強度比I/Iが、0以上0.9以下である炭素質材料を、黒鉛と呼ぶものとする。黒鉛は、人造黒鉛、天然黒鉛のいずれであってもよい。
 炭素質材料のBET(Brunauer-Emmett-Teller)法による比表面積(BET比表面積)Scは、500m/g以上である。BET比表面積Scが500m/g未満の場合、炭素質材料の含有量を0.5質量%以上としても、負極板における硫酸鉛の蓄積を十分に抑制することが難しい。より高い硫酸鉛の蓄積抑制を確保する観点からは、BET比表面積Scは、650m/g以上が好ましく、750m/g以上がより好ましく、800m/g以上であってもよい。より高い硫酸鉛の蓄積抑制を確保する観点から、BET比表面積Scは、1000m/g以下が好ましい。なお、BET比表面積は、窒素ガスを吸着ガスとして用いるガス吸着法によりBET式を用いて求められる比表面積である。
 炭素質材料のBET比表面積Scを上記のような範囲に制御し易い観点から、炭素質材料は、ファーネスブラック(特に、ケッチェンブラック)を少なくとも含むことが好ましい。炭素質材料は、ファーネスブラック(特に、ケッチェンブラック)とこれ以外の炭素質材料とを含んでもよい。二種類以上の炭素質材料を組み合わせる場合、炭素質材料全体のBET比表面積Scが上記の範囲となるように、組み合わせる炭素質材料の種類を選択したり、比率を調節したりすればよい。
 負極電極材料中の炭素質材料の含有量Ccは、0.5質量%以上である。炭素質材料の含有量Ccが0.5質量%未満である場合、負極板における硫酸鉛の蓄積抑制効果は、炭素質材料のBET比表面積Scによらない。より高い硫酸鉛の蓄積抑制効果を確保する観点からは、炭素質材料の含有量Ccは、0.75質量%以上であってもよい。炭素質材料の含有量Ccは、例えば、2質量%以下であり、1.75質量%以下であってもよい。
 炭素質材料の含有量Ccは、0.5質量%以上、2質量%以下(もしくは1.75質量%以下)または0.75質量%以上、2質量%以下(もしくは1.75質量%以下)であってもよい。
 (有機防縮剤)
 有機防縮剤とは、鉛蓄電池の充放電を繰り返したときに負極活物質である鉛の収縮を抑制する機能を有する化合物のうち、有機化合物を言う。有機防縮剤としては、例えば、リグニン化合物および合成有機防縮剤からなる群より選択される少なくとも一種を用いてもよい。
 リグニン化合物としては、リグニン、リグニン誘導体などが挙げられる。リグニン誘導体としては、リグニンスルホン酸またはその塩(アルカリ金属塩(ナトリウム塩など)など)などが挙げられる。
 鉛蓄電池に使用される合成有機防縮剤は、通常、有機縮合物(以下、単に縮合物と称する。)である。縮合物とは、縮合反応を利用して得られ得る合成物である。縮合物は、芳香族化合物のユニット(以下、芳香族化合物ユニットとも称する。)を含んでもよい。芳香族化合物ユニットは、縮合物に組み込まれた芳香族化合物に由来するユニットをいう。すなわち、芳香族化合物ユニットは、芳香族化合物の残基である。縮合物は、芳香族化合物のユニットを一種含んでもよく、二種以上含んでもよい。
 縮合物としては、例えば、芳香族化合物のアルデヒド化合物による縮合物が挙げられる。このような縮合物は、芳香族化合物とアルデヒド化合物とを反応させることで合成してもよい。ここで、芳香族化合物とアルデヒド化合物との反応を亜硫酸塩の存在下で行ったり、芳香族化合物として硫黄元素を含む芳香族化合物(例えば、ビスフェノールS)を用いたりすることで、硫黄元素を含む縮合物を得ることができる。例えば、亜硫酸塩の量および硫黄元素を含む芳香族化合物の量の少なくとも一方を調節することで、縮合物中の硫黄元素含有量を調節することができる。他の原料を用いる場合も、この方法に準じてよい。縮合物を得るために縮合させる芳香族化合物は一種でもよく、二種以上でもよい。なお、アルデヒド化合物は、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド)でもよく、アルデヒドの縮合物(または重合物)などでもよい。アルデヒド縮合物(または重合物)としては、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキシメチレンなどが挙げられる。アルデヒド化合物は、一種を単独で用いてもよく、二種以上併用してもよい。芳香族化合物との反応性が高い観点からは、ホルムアルデヒドが好ましい。
 芳香族化合物は、硫黄含有基を有してもよい。すなわち、縮合物は、分子内に複数の芳香環を含むとともに硫黄含有基として硫黄元素を含む有機高分子であってもよい。硫黄含有基は、芳香族化合物が有する芳香環に直接結合していてもよく、例えば、硫黄含有基を有するアルキル鎖として芳香環に結合していてもよい。硫黄含有基の中では、安定形態であるスルホン酸基もしくはスルホニル基が好ましい。スルホン酸基は、酸型で存在してもよく、Na塩のように塩型で存在してもよい。
 芳香族化合物が有する芳香環としては、ベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。芳香族化合物が複数の芳香環を有する場合には、複数の芳香環は直接結合または連結基(例えば、アルキレン基(アルキリデン基を含む)、スルホン基)などで連結していてもよい。このような構造としては、例えば、ビスアレーン構造(ビフェニル、ビスフェニルアルカン、ビスフェニルスルホンなど)が挙げられる。
 芳香族化合物としては、例えば、上記の芳香環と、官能基(ヒドロキシ基、アミノ基など)とを有する化合物が挙げられる。官能基は、芳香環に直接結合していてもよく、官能基を有するアルキル鎖として結合していてもよい。なお、ヒドロキシ基には、ヒドロキシ基の塩(-OMe)も包含される。アミノ基には、アミノ基の塩(アニオンとの塩)も包含される。Meとしては、アルカリ金属(Li、K、Naなど)、周期表第2族金属(Ca、Mgなど)などが挙げられる。芳香族化合物は、芳香環に、硫黄含有基および上記の官能基以外の置換基(例えば、アルキル基、アルコキシ基)を有していてもよい。
 芳香族化合物ユニットの元となる芳香族化合物は、ビスアレーン化合物および単環式芳香族化合物からなる群より選択される少なくとも一種であってもよい。
 ビスアレーン化合物としては、ビスフェノール化合物、ヒドロキシビフェニル化合物、アミノ基を有するビスアレーン化合物(アミノ基を有するビスアリールアルカン化合物、アミノ基を有するビスアリールスルホン化合物、アミノ基を有するビフェニル化合物など)が挙げられる。中でもビスフェノール化合物が好ましい。
 ビスフェノール化合物としては、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ビスフェノールFなどが好ましい。例えば、ビスフェノール化合物は、ビスフェノールAおよびビスフェノールSからなる群より選択される少なくとも1種を含んでもよい。ビスフェノールAまたはビスフェノールSを用いることで、負極電極材料に対する優れた防縮効果が得られる。
 ビスフェノール化合物は、ビスフェノール骨格を有すればよく、ビスフェノール骨格が置換基を有してもよい。すなわち、ビスフェノールAは、ビスフェノールA骨格を有すればよく、その骨格は置換基を有してもよい。ビスフェノールSは、ビスフェノールS骨格を有すればよく、その骨格は置換基を有してもよい。
 単環式芳香族化合物としては、ヒドロキシモノアレーン化合物、アミノモノアレーン化合物などが好ましい。中でもヒドロキシモノアレーン化合物が好ましい。
 ヒドロキシモノアレーン化合物としては、ヒドロキシナフタレン化合物、フェノール化合物などが挙げられる。例えば、フェノール化合物であるフェノールスルホン酸化合物(フェノールスルホン酸またはその置換体など)を用いることが好ましい。なお、既に述べたように、フェノール性ヒドロキシ基には、フェノール性ヒドロキシ基の塩(-OMe)も包含される。
 アミノモノアレーン化合物としては、アミノナフタレン化合物、アニリン化合物(アミノベンゼンスルホン酸、アルキルアミノベンゼンスルホン酸など)が挙げられる。
 上述のように、負極電極材料は、BET比表面積Scが比較的大きい炭素質材料を含む。このような炭素質材料を用いると、有機防縮剤が炭素質材料に吸着され、有機防縮剤の効果を効果的に発揮させることが難しい場合がある。有機防縮剤を用いることによる効果をより効果的に発揮させる観点から、負極電極材料中に含まれる有機防縮剤の含有量Ceは、炭素質材料のBET比表面積Scに応じて決定することが好ましい。より高い定温HR放電性能を確保する観点から、負極電極材料中の有機防縮剤の含有量Ceは、Ce>0.368Cc+0.054(1)を充足することが好ましい。低温HR放電性能および電解液の減少を抑制する効果をさらに高める観点からは、有機防縮剤の含有量Ceを、0.372Cc+0.092≦Ce(2)とすることが好ましい。また、充電受入性の低下を抑制する効果が高まる観点からは、有機防縮剤の含有量Ceを、Ce≦0.373Cc+0.249(3)とすることが好ましい。なお、これらの関係は、炭素質材料のBET比表面積Scが、500m/g以上(または650m/g以上、750m/g以上もしくは800m/g以上)、1000m/g以下の範囲において成立するものである。
 上記の(1)~(3)の関係は、BET比表面積Scが異なる複数の炭素質材料を用い、炭素質材料の含有量Ccおよび有機防縮剤の含有量Ceを変化させて、低温HR放電性能、充電受入性、および電解液の減少を評価した結果から求められる。
 (硫酸バリウム)
 負極電極材料は、硫酸バリウムを含んでもよい。負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は、例えば0.05質量%以上であり、0.10質量%以上であってもよい。負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は、例えば、3質量%以下であり、2質量%以下であってもよい。
 負極電極材料中の硫酸バリウムの含有量は、0.05質量%以上3質量%以下、0.05質量%以上2質量%以下、0.10質量%以上3質量%以下、または0.10質量%以上2質量%以下であってもよい。
 (負極電極材料の構成成分の分析)
 以下に、負極電極材料またはその構成成分の分析方法について説明する。分析に先立ち、満充電状態の鉛蓄電池を解体して分析対象の負極板を入手する。入手した負極板を水洗し、負極板から硫酸分を除去する。水洗は、水洗した負極板表面にpH試験紙を押し当て、試験紙の色が変化しないことが確認されるまで行う。ただし、水洗を行う時間は、2時間以内とする。水洗した負極板は、減圧環境下、60±5℃で6時間程度乾燥する。乾燥後に、負極板に貼付部材が含まれる場合には、剥離により負極板から貼付部材が除去される。次に、負極板から負極電極材料を分離することにより試料(以下、試料Aと称する)を得るとともに、試料Aの質量(M)を測定する。試料Aは、必要に応じて粉砕され、分析に供される。
 満充電状態の鉛蓄電池は、既化成の鉛蓄電池を満充電したものをいう。鉛蓄電池の満充電は、化成後であれば、化成直後でもよく、化成から時間が経過した後に行ってもよい(例えば、化成後で、使用中(好ましくは使用初期)の鉛蓄電池を満充電してもよい)。使用初期の電池とは、使用開始後、それほど時間が経過しておらず、ほとんど劣化していない電池をいう。
(1)有機防縮剤の分析
 (1-1)負極電極材料中の有機防縮剤の定性分析
 粉砕した試料Aを1mol/Lの水酸化ナトリウム(NaOH)水溶液に浸漬し、有機防縮剤を抽出する。抽出物に複数の有機防縮剤が含まれていれば、次に、抽出物から、各有機防縮剤を分離する。各有機防縮剤を含む分離物のそれぞれについて、不溶成分を濾過で取り除き、得られた溶液を脱塩した後、濃縮し、乾燥する。脱塩は、脱塩カラムを用いて行うか、溶液をイオン交換膜に通すことにより行うか、もしくは、溶液を透析チューブに入れて蒸留水中に浸すことにより行なう。これを乾燥することにより有機防縮剤の粉末試料(以下、試料Bと称する)が得られる。
 このようにして得た有機防縮剤の試料Bを用いて測定した赤外分光スペクトル、試料Bを蒸留水等で希釈し、紫外可視吸光度計で測定した紫外可視吸収スペクトル、または試料Bを重水等の所定の溶媒で溶解することにより得られる溶液のNMRスペクトルなどから得た情報を組み合わせて用いて、有機防縮剤種を特定する。
 (1-2)負極電極材料中における有機防縮剤の含有量の定量
 上記(1-1)と同様に、有機防縮剤を含む分離物のそれぞれについて不溶成分を濾過で取り除いた後の溶液を得る。得られた各溶液について、紫外可視吸収スペクトルを測定する。各有機防縮剤に特徴的なピークの強度と、予め作成した検量線とを用いて、負極電極材料中の各有機防縮剤の含有量を求める。
 なお、有機防縮剤の含有量が未知の鉛蓄電池を入手して有機防縮剤の含有量を測定する際に、有機防縮剤の構造式の厳密な特定ができないために検量線に同一の有機防縮剤が使用できないことがある。この場合には、当該電池の負極から抽出した有機防縮剤と、紫外可視吸収スペクトル、赤外分光スペクトル、およびNMRスペクトルなどが類似の形状を示す、別途入手可能な有機高分子を使用して検量線を作成することで、紫外可視吸収スペクトルを用いて有機防縮剤の含有量を測定するものとする。
(2)炭素質材料および硫酸バリウムの定量
 粉砕した試料A10gに対し、20質量%濃度の硝酸を50ml加え、約20分加熱し、鉛成分を硝酸鉛として溶解させる。次に、硝酸鉛を含む溶液を濾過して、炭素質材料、硫酸バリウム等の固形分を濾別する。
 得られた固形分を水中に分散させて分散液とした後、篩いを用いて分散液から炭素質材料および硫酸バリウム以外の成分(例えば補強材)を除去する。次に、分散液に対し、予め質量を測定したメンブレンフィルタを用いて吸引ろ過を施し、濾別された試料とともにメンブレンフィルタを110℃±5℃の乾燥器で乾燥する。得られる試料は、炭素質材料と硫酸バリウムとの混合試料(以下、試料Cと称する)である。乾燥後の試料Cとメンブレンフィルタとの合計質量からメンブレンフィルタの質量を差し引いて、試料Cの質量(M)を測定する。その後、乾燥後の試料Cをメンブレンフィルタとともに坩堝に入れ、700℃以上で灼熱灰化させる。残った残渣は酸化バリウムである。酸化バリウムの質量を硫酸バリウムの質量に変換して硫酸バリウムの質量(M)を求める。質量Mから質量Mを差し引いて炭素質材料の質量を算出する。それぞれの質量が試料Aに占める比率(質量%)を求め、負極電極材料中の炭素質材料の含有量Ccおよび硫酸鉛の含有量とする。
(3)炭素質材料のBET比表面積Sc
 (3-1)炭素質材料の分離
 粉砕した試料Aを所定量採取し、質量を測定する。この試料Aに、試料A5gあたり、60質量%濃度の硝酸水溶液30mLを加えて、70℃±5℃で加熱する。得られる混合物に、試料A5gあたり、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム10g、28質量%濃度のアンモニア水30mL、および水100mLを加えて、加熱を続け、可溶分を溶解させる。このようにして試料Aに前処理を施す。前処理により得られる分散液を、メンブレンフィルタ(目開き0.1μm)を用いてろ過することにより固形分を回収する。回収した試料を、目開き500μmのふるいにかけて、サイズが大きな成分(補強材など)を除去して、ふるいを通過した成分を炭素質材料として回収する。
 (3-2)BET比表面積Scの測定
 上記(3-1)で回収した炭素質材料について、ガス吸着法により、BET式を用いてBET比表面積Scを求める。より具体的には、炭素質材料は、窒素フロー中、150℃±5℃の温度で、1時間加熱することにより前処理される。前処理した炭素質材料を用いて、下記の装置にて、下記の条件により、BET比表面積を求め、炭素質材料のBET比表面積Scとする。
 測定装置:マイクロメリティックス社製 TriStar3000
 吸着ガス:純度99.99%以上の窒素ガス
 吸着温度:液体窒素沸点温度(77K)
 BET比表面積の計算方法:JIS Z 8830:2013の7.2に準拠
 (その他)
 負極板は、負極集電体に負極ペーストを塗布または充填し、熟成および乾燥することにより未化成の負極板を作製し、その後、未化成の負極板を化成することにより形成できる。負極ペーストは、鉛粉と有機防縮剤および必要に応じて各種添加剤に、水と硫酸を加えて混練することで作製する。熟成する際には、室温より高温かつ高湿度で、未化成の負極板を熟成させることが好ましい。
 化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の負極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。化成により、海綿状鉛が生成する。
(正極板)
 正極板は、通常、正極集電体と正極電極材料とを含む。正極電極材料は、正極集電体に保持されている。鉛蓄電池の正極板は、ペースト式、クラッド式などに分類できる。ペースト式の正極板が好適に使用される。
 正極集電体は、鉛(Pb)または鉛合金の鋳造により形成してもよく、鉛シートまたは鉛合金シートを加工して形成してもよい。加工方法としては、例えば、エキスパンド加工または打ち抜き(パンチング)加工が挙げられる。正極集電体として格子状の集電体を用いると、正極電極材料を担持させ易いため好ましい。
 正極集電体に用いる鉛合金としては、耐食性および機械的強度の点で、Pb-Ca系合金、Pb-Ca-Sn系合金が好ましい。正極集電体は、表面層を備えていてもよい。正極集電体の表面層と内側の層とは組成が異なるものであってもよい。表面層は、正極集電体の一部に形成されていてもよい。表面層は、正極集電体の格子部分のみ、耳部分のみ、または枠骨部分のみに形成されていてもよい。
 ペースト式正極板では、正極電極材料は、正極板から正極集電体を除いたものである。正極板には、マット、ペースティングペーパなどの部材が貼り付けられていることがある。このような部材(貼付部材)は正極板と一体として使用されるため、正極板に含まれるものとする。また、正極板が貼付部材(マット、ペースティングペーパなど)を含む場合には、正極電極材料は、ペースト式正極板では、正極板から正極集電体および貼付部材を除いたものである。
 正極板に含まれる正極電極材料は、酸化還元反応により容量を発現する正極活物質(二酸化鉛もしくは硫酸鉛)を含む。正極電極材料は、必要に応じて、他の添加剤を含んでもよい。
 未化成のペースト式正極板は、正極集電体に、正極ペーストを充填し、熟成、乾燥することにより得られる。正極ペーストは、鉛粉、添加剤、水、および硫酸を混練することで調製される。
 未化成の正極板を化成することにより正極板が得られる。化成は、鉛蓄電池の電槽内の硫酸を含む電解液中に、未化成の正極板を含む極板群を浸漬させた状態で、極板群を充電することにより行うことができる。ただし、化成は、鉛蓄電池または極板群の組み立て前に行ってもよい。
(セパレータ)
 鉛蓄電池Aは、通常、正極板と負極板との間に介在するセパレータを備えている。セパレータは、不織布で構成される。不織布は、ガラス繊維を織らずに絡み合わせたマットである。負極板と正極板との間に介在させるセパレータの厚さは、極間距離に応じて選択すればよい。セパレータの枚数は、極間数に応じて選択すればよい。
 不織布は、繊維を主体とする。繊維としては、ガラス繊維、ポリマー繊維(ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ポリエステル繊維(ポリエチレンテレフタレート繊維など)など)、パルプ繊維などを用いることができる。中でも、ガラス繊維が好ましい。不織布は、繊維以外の成分、例えば、耐酸性の無機粉体、結着剤としてのポリマーを含んでもよい。
 ガラス繊維の平均繊維径は、例えば、0.1μm以上25μm以下が好ましい。平均繊維径は、10本以上の繊維を任意に選択し、選択された繊維の拡大写真から求めることができる。なお、ガラス繊維は、単一の繊維径のものだけでなく、複数の繊維径(例えば、1μmのガラス繊維と10μmのガラス繊維と)を混合して用いてもよい。
 上記の不織布は、ガラス繊維以外に、電解液に不溶性の繊維材料を含んでいてもよい。ガラス繊維以外の繊維材料としては、ポリマー繊維(ポリオレフィン繊維、アクリル繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維などのポリエステル繊維など)、パルプ繊維などを用いることができる。不織布は、例えば、60質量%以上が繊維材料で形成されていることが好ましい。不織布を構成する繊維材料に占めるガラス繊維の割合は、60質量%以上であることが好ましい。また、不織布は、無機粉体(例えば、シリカ粉末、ガラス粉末、珪藻土)などを含んでいてもよい。
 セパレータは、不織布のみで構成してもよい。セパレータは、必要に応じて、不織布と微多孔膜との積層物、不織布とこれと同種または異種の素材とを貼り合わせた物、不織布とこれと同種または異種の素材とで凹凸をかみ合わせた物などであってもよい。
 微多孔膜は、繊維成分以外を主体とする多孔性のシートである。微多孔膜は、例えば、造孔剤(ポリマー粉末およびオイルの少なくとも一方など)を含む組成物をシート状に押し出し成形した後、造孔剤を除去して細孔を形成することにより得られる。微多孔膜は、耐酸性を有する材料で構成することが好ましい。また、ポリマー成分を主体とするものが好ましい。ポリマー成分としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)が好ましい。
(電解液)
 電解液は、硫酸を含む水溶液である。電解液を、必要に応じてゲル化させて鉛蓄電池に用いてもよい。電解液は、必要に応じて、カチオン(例えば、金属カチオン)、およびアニオン(例えば、硫酸アニオン以外のアニオン(リン酸イオンなど))からなる群より選択される少なくとも1つを含んでいてもよい。金属カチオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、リチウムイオン、マグネシウムイオン、およびアルミニウムイオンからなる群より選択される少なくとも1つが挙げられる。
 満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、例えば、1.20以上であり、1.25以上であってもよい。電解液の20℃における比重は、例えば、1.35以下であり、1.32以下であることが好ましい。
 満充電状態の鉛蓄電池における電解液の20℃における比重は、1.20以上1.35以下、1.20以上1.32以下、1.25以上1.35以下、または1.25以上1.32以下であってもよい。
 鉛蓄電池は、電槽に、正極板、負極板、および電解液を収容することにより鉛蓄電池を組み立てる工程を含む製造方法により得ることができる。鉛蓄電池の組み立て工程において、セパレータは、通常、正極板と負極板との間に介在するように配置される。鉛蓄電池の組み立て工程は、正極板、負極板、および電解液を電槽に収容する工程の後、必要に応じて、正極板および負極板の少なくとも一方を化成する工程を含んでもよい。正極板、負極板、電解液、およびセパレータは、それぞれ、電槽に収容される前に準備される。
 鉛蓄電池は、上記の負極板を備えるセルを少なくとも1つ備えていればよい。鉛蓄電池全体において、優れた硫酸鉛の蓄積抑制効果を確保する観点からは、鉛蓄電池を構成するセルの50%以上(または75%以上)が上記の負極板を備えていることが好ましく、セルの全てが上記の負極板を備えていることがより好ましい。
 本発明の一側面に係る制御弁式鉛蓄電池およびこれを含む蓄電システムを以下にまとめて記載する。
 (1)制御弁式鉛蓄電池であって、
 複数のセルと、前記複数のセルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、
 前記複数のセルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、
 前記複数のセル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、
 前記正極板は、正極電極材料を備え、
 前記負極板は、負極電極材料を備え、
 前記負極電極材料は、炭素質材料を含み、
 前記炭素質材料のBET法による比表面積:Scは、Sc≧500m/gを充足し、
 前記負極電極材料中の前記炭素質材料の含有量:Ccは、Cc≧0.5質量%を充足する、制御弁式鉛蓄電池。
 (2)前記比表面積Scは、Sc≦1000m/gを充足する、上記(1)に記載の制御弁式鉛蓄電池。
 (3)前記比表面積Scは、650m/g≧Scを充足する、上記(1)または(2)に記載の制御弁式鉛蓄電池。
 (4)前記比表面積Scは、750m/g≧Scを充足する、上記(1)~(3)のいずれかに記載の制御弁式鉛蓄電池。
 (5)前記含有量Ccは、Cc≦2.0質量%を充足する、上記(1)~(4)のいずれかに記載の制御弁式鉛蓄電池。
 (6)前記含有量Ccは、0.75質量%≦Cc≦1.75質量%を充足する、上記(1)~(5)のいずれかに記載の制御弁式鉛蓄電池。
 (7)制御弁式鉛蓄電池と、
 前記制御弁式鉛蓄電池から電力の供給を受ける車両と、
 前記制御弁式鉛蓄電池のSOCを制御する充電状態制御部と、を備え、
 前記制御弁式鉛蓄電池は、複数のセルと、複数の前記セルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、
 複数の前記セルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、
 複数の前記セル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、
 前記負極板は、炭素質材料を含む負極電極材料を備え、
 前記炭素質材料のBET法による比表面積:Scは、Sc≧500m/gを充足し、
 前記負極電極材料中の前記炭素質材料の含有量:Ccは、Cc≧0.5質量%を充足し、
 前記車両は、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが90%以上の閾値以上の場合にアイドリングストップ制御され、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが前記閾値未満の場合にはアイドリングストップ制御されない、蓄電システム。
 (8)前記比表面積Scは、Sc≦1000m/gを充足する、上記(7)に記載の蓄電システム。
 (9)前記比表面積Scは、650m/g≧Scを充足する、上記(7)または(8)に記載の蓄電システム。
 (10)前記比表面積Scは、750m/g≧Scを充足する、上記(7)~(9)のいずれかに記載の蓄電システム。
 (11)前記含有量Ccは、Cc≦2.0質量%を充足する、上記(7)~(10)のいずれかに記載の蓄電システム。
 (12)前記含有量Ccは、0.75質量%≦Cc≦1.75質量%を充足する、上記(7)~(11)のいずれかに記載の蓄電システム。
 (13)前記充電状態制御部は、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが前記閾値未満のときに、定電圧で前記制御弁式鉛蓄電池を充電する、上記(7)~(12)に記載の蓄電システム。
 (14)前記定電圧での充電は、2.30V/セル以上2.45V/セル以下で行われる、上記(7)~(13)のいずれかに記載の蓄電システム。
 (15)前記車両が、小型モビリティである、上記(7)~(14)に記載の蓄電システム。
[実施例]
 以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
《鉛蓄電池A》
 以下の手順で、鉛蓄電池を作製する。
(a)負極板の作製
 原料の鉛粉と、硫酸バリウムと、炭素質材料と、有機防縮剤(リグニンスルホン酸ナトリウム)と、適量の硫酸水溶液と混合して、負極ペーストを得る。このとき、既述の手順で求められる炭素質材料の含有量が1.0質量%となるように炭素質材料を混合する。炭素質材料としては、既述の手順で求められるBET比表面積Scが750m2/gのカーボンブラックを用いる。負極ペーストを、格子状の負極集電体の網目部に充填し、熟成乾燥し、未化成の負極板を得る。
(b)正極板の作製
 原料の鉛粉を硫酸水溶液と混合して、正極ペーストを得る。正極ペーストを、格子状の正極集電体の網目部に充填し、熟成乾燥し、未化成の正極板を得る。
(c)鉛蓄電池の組み立て
 未化成の負極板4枚と未化成の正極板3枚とを用いて、負極板と正極板の間にセパレータを介在させて、負極板と正極板とを交互に積層することにより、極板群を形成する。セパレータとしては、ガラス繊維の不織布シートを用いる。
 極板群をポリプロピレン製の電槽に電解液とともに収容して、各セル排気型の蓋で電槽を密閉して鉛蓄電池を組み立てる。組み立て後の電池に化成を施し、各セル排気型の鉛蓄電池A(小型モビリティ用VRLA)を完成させる。鉛蓄電池Aの定格電圧は12Vで、定格10時間率容量は5Ahである。化成後の電解液の比重は1.32である。
《鉛蓄電池AR》
 既述の手順で求められる炭素質材料の含有量が0.3質量%となるように炭素質材料を負極ペーストに混合すること以外、鉛蓄電池Aと同様に、鉛蓄電池を組み立て、化成を施し、各セル排気型の鉛蓄電池Aを完成させる。
《鉛蓄電池B》
 一括排気型の蓋を用いること以外、鉛蓄電池Aと同様に、鉛蓄電池を組み立て、化成を施し、一括排気型の鉛蓄電池Aを完成させる。
《鉛蓄電池BR》
 既述の手順で求められる炭素質材料の含有量が0.3質量%となるように炭素質材料を負極ペーストに混合すること以外、鉛蓄電池Bと同様に、鉛蓄電池を組み立て、化成を施し、一括排気型の鉛蓄電池Aを完成させる。
[鉛蓄電池の評価]
 満充電後の鉛蓄電池について、下記の充放電サイクルを、25℃±2℃で5000サイクル、40℃±2℃で2500サイクル行う。その後、下記の充放電サイクルを10℃±2℃で下記IS放電(3)の放電末時点の電圧が6Vになるまで繰り返す。
 合計10000サイクル目で当該放電末時点の電圧が6Vに達しない場合は、引き続き、25℃±2℃で5000サイクル繰り返し、その後、40℃±2℃で2500サイクル、その後、10℃±2℃で下記IS放電(3)の放電末時点の電圧が所定値になるまで繰り返した。
<充放電サイクルのスケジュール>
 (a)IS放電(1):定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の2倍の電流値(A)で20秒間放電する。
 (b)再始動時相当の放電:定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の6倍の電流値(A)で1秒間放電する。
 (c)モーター加速時相当の放電:定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の15倍の電流値(A)で0.5秒間放電する。
 (d)定電圧充電(1):定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の電流値(A)を最大電流として2.42V±0.03V/セル(約14.52V/6セル)の定電圧で50秒間充電する。
 (e)IS放電(2):定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の2倍の電流値(A)で20秒間放電する。
 (f)再始動時相当の放電:定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の6倍の電流値(A)で1秒間放電する。
 (g)モーター加速時相当の放電:定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の20倍の電流値(A)で0.3秒間放電する。
 (h)IS放電(3):定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の8倍の電流値(A)で3秒間放電する。
 (i)定電圧充電(2):定格10時間率容量(Ah)として記載の数値の電流値(A)を最大電流として2.42V±0.03V/セル(約14.52V/6セル)の定電圧で100秒間充電する。
 鉛蓄電池A、AR、BおよびBRの結果を表1に示す。なお、鉛蓄電池Aは合計17720サイクル目のIS放電(3)の放電末時点で6Vに達し、寿命となった。10000サイクル時点での放電末電圧は8.6Vを維持していた。他の電池は10000サイクル以下で6Vに達した。10000サイクル到達までに放電末時点の電圧が6Vに達した電池については、10000サイクル時点での放電末電圧が測定できないため、表1に「-」と表示した。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000001
 次に、各セル排気の鉛蓄電池AおよびARについて、上記スケジュールの定電圧充電(1)および(2)の充電電圧を2.42V±0.03V/セル(約14.52V/6セル)から2.33V±0.03V/セル(約13.98V/6セル)に変更し、同様の充放電サイクルを繰り返した。結果を表2に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000002
 表1、2を対比すると、定電圧充電を14.0Vを超える電圧で行う場合に、鉛蓄電池の成層化やサルフェーションの進行がより効果的に抑制されることが理解できる。
《鉛蓄電池C1~C16》
 既述の手順で求められる炭素質材料の含有量が表3に示すCc値となるように比表面積が表3に示すSc値の炭素質材料を負極ペーストに混合すること以外、鉛蓄電池Aと同様に、鉛蓄電池を組み立て、化成を施し、各セル排気型の鉛蓄電池C1~C16を完成させる。
 次に、上記と同様に評価する。結果を表3に示す。
Figure JPOXMLDOC01-appb-T000003
 表3に示されるように、負極電極材料中の炭素質材料の含有量Ccが0.5質量%以上の場合、高い維持電圧が得られ、鉛蓄電池の成層化やサルフェーションの進行が効果的に抑制されることが理解できる。また、炭素質材料の比表面積Scが500m2/g以上(特に1000m2/g以下)の場合、高い維持電圧が得られる。そして、炭素質材料の含有量Ccが0.5質量%未満の場合、炭素質材料の比表面積Scが500m2/g以上であっても鉛蓄電池の成層化やサルフェーションの進行を抑制できないことがわかる。
 本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
 制御弁式鉛蓄電池(VRLA)は、小型モビリティ用またはIS車両用途などに適している。なお、これらの用途は単なる例示であり、これらの用途に限定されるものではない。
  1A:各セル排気型の鉛蓄電池
  1B:一括排気型の鉛蓄電池
  2:負極板
  3:正極板
  4:セパレータ
 11:極板群
 10:電槽
 10R、10r:セル室
 12A:蓋
 13:排気弁
 14r:一括排気室
 20:蓄電システム
 30:車両
 40:充電状態制御部
 41:充電制御ユニット
 50:IS制御部
 60:エンジン

Claims (15)

  1.  制御弁式鉛蓄電池であって、
     複数のセルと、前記複数のセルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、
     前記複数のセルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、
     前記複数のセル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、
     前記正極板は、正極電極材料を備え、
     前記負極板は、負極電極材料を備え、
     前記負極電極材料は、炭素質材料を含み、
     前記炭素質材料のBET法による比表面積:Scは、Sc≧500m/gを充足し、
     前記負極電極材料中の前記炭素質材料の含有量:Ccは、Cc≧0.5質量%を充足する、制御弁式鉛蓄電池。
  2.  前記比表面積Scは、Sc≦1000m/gを充足する、請求項1に記載の制御弁式鉛蓄電池。
  3.  前記比表面積Scは、Sc≧650m/gを充足する、請求項1または2に記載の制御弁式鉛蓄電池。
  4.  前記比表面積Scは、Sc≧750m/gを充足する、請求項1~3のいずれか1項に記載の制御弁式鉛蓄電池。
  5.  前記含有量Ccは、Cc≦2.0質量%を充足する、請求項1~4のいずれか1項に記載の制御弁式鉛蓄電池。
  6.  前記含有量Ccは、0.75質量%≦Cc≦1.75質量%を充足する、請求項1~5のいずれか1項に記載の制御弁式鉛蓄電池。
  7.  制御弁式鉛蓄電池と、
     前記制御弁式鉛蓄電池から電力の供給を受ける車両と、
     前記制御弁式鉛蓄電池の充電状態:SOCを制御する充電状態制御部と、を備え、
     前記制御弁式鉛蓄電池は、複数のセルと、複数の前記セルをそれぞれ収容する複数のセル室と、を備え、
     複数の前記セルは、それぞれ正極板と負極板と電解液とを備え、
     複数の前記セル室は、それぞれ互いに独立した排気弁を備え、
     前記負極板は、炭素質材料を含む負極電極材料を備え、
     前記炭素質材料のBET法による比表面積:Scは、Sc≧500m/gを充足し、
     前記負極電極材料中の前記炭素質材料の含有量:Ccは、Cc≧0.5質量%を充足し、
     前記車両は、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが90%以上の閾値以上の場合にアイドリングストップ制御され、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが前記閾値未満の場合にはアイドリングストップ制御されない、蓄電システム。
  8.  前記比表面積Scは、Sc≦1000m/gを充足する、請求項7に記載の蓄電システム。
  9.  前記比表面積Scは、Sc≧650m/gを充足する、請求項7または8に記載の蓄電システム。
  10.  前記比表面積Scは、Sc≧750m/gを充足する、請求項7~9のいずれか1項に記載の蓄電システム。
  11.  前記含有量Ccは、Cc≦2.0質量%を充足する、請求項7~10のいずれか1項に記載の蓄電システム。
  12.  前記含有量Ccは、0.75質量%≦Cc≦1.75質量%を充足する、請求項7~11のいずれか1項に記載の蓄電システム。
  13.  前記充電状態制御部は、前記制御弁式鉛蓄電池のSOCが前記閾値未満のときに、定電圧で前記制御弁式鉛蓄電池を充電する、請求項7~12のいずれか1項に記載の蓄電システム。
  14.  前記定電圧での充電は、2.30V/セル以上2.45V/セル以下で行われる、請求項7~13のいずれか1項に記載の蓄電システム。
  15.  前記車両が、小型モビリティである、請求項7~14のいずれか1項に記載の蓄電システム。
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