WO2022209191A1 - マット - Google Patents

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Abstract

仰臥時における呼吸の促進を可能にしたマット(1)を提供する。マット(1)は、背中支持部(3)を備える。背中支持部(3)は、仰臥した人の背中のうち脊柱の少なくとも第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持する脊柱支持部(8)と、脊柱支持部(8)の幅方向両側に配置され、仰臥した人の左右一対の下後鋸筋のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部(9)とを備える。一対の下後鋸筋対応部(9)および脊柱支持部(8)は、一対の下後鋸筋対応部(9)からの体圧が脊柱支持部(8)からの体圧よりも低くなるように構成されている。

Description

マット
 本発明はマットに関し、特に、仰臥時における呼吸の促進を可能にしたマットに関する。
 マットの中には、人がその身体を横たえるとき、その身体を支えるのに使用されるものがある。この種のマットには、その上に横たわる人に寝心地を良く感じさせる機能が求められる。
 マットの寝心地は、そのマットの反発力と、そのマットの上に横たわる人の体圧との間のバランスに左右される。体圧とは、マットの上に横たわる人がそのマットに与える圧力のことであり、その分布は身体の姿勢によって異なる。たとえば仰臥位での体圧は臀部で最も高い。仰臥した人の全身をマットが支える場合、そのマットの反発力が一様に高いと、体圧が臀部と背中とに集中するので、臀部と背中とがうっ血しやすい。その結果、うっ血を解消するための寝返りが多くなるので、眠りが浅くなりやすい。逆に、マットの反発力が一様に低いと、臀部が最も深くそのマットに沈み込む。その結果、仰臥時の背骨が直立時のS字形状から大きく歪むので、腰痛、猫背の原因となる。
 寝心地を良くするための工夫として、仰臥した人の背骨の方向において反発力、または表面形状を場所によって変化させたマットが知られている(たとえば特許文献1~3参照)。これらのマットでは、臀部と背中とに接触する領域が他の領域よりも柔らかく、または低く設定されている。これにより、臀部と背中とに集中していた体圧が他の部位へ分散される結果、マットの全体で体圧が一様に近づくので、仰臥時の背骨を直立時と同じS字形状に近づけることができる。
 寝心地の良さには、寝返りの回数、背骨の形状の他にも、呼吸の深さが関係する。睡眠中の呼吸が深いほど、寝心地は良い。しかし、上記のようなマットの全体で体圧を一様に近づけても、仰臥時には呼吸が浅くなることがあり、呼吸の促進のためには改善の余地がある。
実開平06-058762号公報 特開2002-119382号公報 特表2016-506797号公報
 本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであって、仰臥時における呼吸の促進を可能にしたマットを提供することを目的とする。
 本発明のマットは、仰臥した人の背中を支持する背中支持部を備えたマットであって、前記背中支持部は、前記仰臥した人の前記背中のうち少なくとも第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持する脊柱支持部と、前記脊柱支持部の幅方向両側に配置され、前記仰臥した人の左右一対の下後鋸筋のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部とを備え、前記一対の下後鋸筋対応部および前記脊柱支持部は、前記一対の下後鋸筋対応部からの体圧が前記脊柱支持部からの体圧よりも低くなるように構成されていることを特徴とする。
本発明の実施形態に係るマットの全体構成を示す斜視図である。 図1のマットの平面図である。 図1のマットのIII-III断面図である。 図1の矢視A図である。 図1のマットに人が仰臥した状態を示す説明図である。 図1のマットと仰臥した人の骨格との相対的な位置関係を模式的に示すマットおよび人の背面図である。 図1のマットと仰臥した人の骨格との相対的な位置関係を模式的に示すマットおよび人の縦断面図である。 人の下後鋸筋および上後鋸筋ならびに図1のマットの下後鋸筋対応部の配置を模式的に示す説明図である。 仙骨のうなずき運動を説明するための骨盤の斜視説明図である。 図1のマットに人が仰臥した際の一対の腸骨の内旋および仙骨のうなずき運動を模式的に示す断面説明図である。 図1のマットに人が仰臥した際の仙骨に対応する部位が仙骨支持部に支持された状態を示す断面説明図である。 本発明の変形例として、下後鋸筋対応部に一部重複する腰方形筋対応部が追加されたマットの全体構成を示す斜視図である。 人の下後鋸筋および腰方形筋ならびに図12のマットの下後鋸筋対応部および腰方形筋対応部の配置を模式的に示す説明図である。 本発明の他の変形例として、図12の下後鋸筋対応部の頭側にさらに中間肋骨対応部が追加されたマットの全体構成を示す斜視図である。 人の下後鋸筋、腰方形筋、および第8~10肋骨ならびに図14のマットの下後鋸筋対応部、腰方形筋対応部および中間肋骨対応部の配置を模式的に示す説明図である。 本発明のさらに他の変形例として、仙骨支持部の載置面が脚側に向かうにつれて低くなる形態を有し、仙骨および腰椎に対応する部位が仙骨支持部の載置面に支持された状態を示す断面説明図である。
 以下、添付図面を参照しながら本発明の好ましい実施の一形態について詳述する。
 (マット1の概要説明)
 図1~4に示されるマット1は、たとえば薄い直方体形状のウレタンなどの弾力性を有する材料によって一体形成されている。マット1は、当該マット1を支えるフレームまたは台(図示せず)と共にベッドを構成する。マット1は、たとえばその上面全体で、その上に仰臥した人50(図5~7参照)の全身を支えることができるサイズである。マット1のサイズは、例えば、標準的な成人の体型(例えば、身長170cm、体重70kg程度の日本の成人男子など)に合わせて設定される。なお、本発明では、マット1は、仰臥した人50の少なくとも背中52(図5~7参照)に対応する部位を支持することが可能なサイズがあればよい。
 なお、本願明細書および図面では、方向を表すために、仰臥した人50の身体が延びる方向X(頭側X1、脚側X2)、仰臥した人50の幅方向Y(右側Y1、左側Y2)、およびマット1の上下方向Z(上側Z1、下側Z2)が定義されている。
 マット1は、仰臥した人50の背中52、骨盤PVおよび脚部に当接可能な部分が上方Z1に突出した形状を有している。具体的には、マット1は、平坦な直方体形状のベース部2と、当該ベース部2の上面2aから上方Z1に突出する3か所の部分、すなわち、背中支持部3と、骨盤支持部4と、脚部支持部5とを備えている。背中支持部3は、仰臥した人50の背中52(図5~7参照)を支持する。骨盤支持部4は、背中支持部3よりも脚側X2に位置し、骨盤PV(図5~6参照)に対応する部位を支持する。脚部支持部5は、骨盤支持部4よりも脚側X2に位置し、脚の大腿骨FM(図5~6参照)付近の部分に対応する部位を支持する。図1に示されるように、背中支持部3、骨盤支持部4、および脚部支持部5の大部分は、同一の高さであるが、背中支持部3の一対の下後鋸筋対応部9および骨盤支持部4の仙骨対応部12は他の部分よりも低くなっており、さらに、骨盤支持部4の一対の腸骨支持部11は他の部分よりも高くなっている。
 マット1における背中支持部3よりも頭側X1には、頭部51(図5参照)が配置される頭部配置領域6が形成されている。頭部配置領域6では、ベース部2の上面2aが露出しており、頭部51を支持する枕Pが配置される。
 マット1における骨盤支持部4と脚部支持部5との間には、股関節J2(図5~6参照)が配置される凹部7aを有する股関節配置領域7が形成される。股関節J2は、人50の仰臥時に凹部7aに収容されることにより、マット1によって圧迫されないので、後述する一対の寛骨HBの幅方向Yの移動の妨げにならない。
 仰臥時には、骨盤支持部4(具体的には、後述の腸骨支持部11)および脚部支持部5は人50の体重によってつぶされるが、凹部7aは仰臥時につぶされないため、股関節J2は不支持状態になる。したがって、凹部7aの深さは人50の体重でもつぶされない程度に設定される。なお、凹部7aを形成する代わりに、股関節配置領域7が骨盤支持部4および脚部支持部5と同一の高さを有するとともに硬度が低い材料で形成しても股関節J2の圧迫を回避することが可能である。
 (背中52の説明)
 背中支持部3によって支持される背中52の内部には、仰臥した人50の呼吸を司る筋肉として、図8に示されるように、一対の下後鋸筋41と一対の上後鋸筋42がある。
 一対の下後鋸筋41は、脊柱の下側部分の左右両側に配置されている。各下後鋸筋41は、4つの部分41a~41dを有している。下後鋸筋41の4つの部分41a~41dは、第11胸椎T11~第2腰椎L2(すなわち、第11胸椎T11、第12胸椎T12、第1腰椎L1、および第2腰椎L2)と第9肋骨R9~第12肋骨R12とをそれぞれ接続する。
 一対の上後鋸筋42は、脊柱の上側部分の左右両側に配置されている。各上後鋸筋42は、第6頸椎C6~第2胸椎T2と第2肋骨R2~第5肋骨R5とをそれぞれ接続する。
 呼吸の際には、呼吸の際に胸郭を形成する12対の肋骨群は、横隔膜DP(図6参照)の上下運動を補助するように運動する。具体的には、呼気の間は胸郭を形成する肋骨群が下後鋸筋41の収縮によって引き下げられて胸郭が狭まる。吸気の間は肋骨群が上後鋸筋42の収縮によって引き上げられて胸郭が広がる。なお、肋骨の間は肋間筋で連結されているので、肋骨群全体が上下運動を行う。
 本実施形態のマット1では、仰臥時において下後鋸筋41による肋骨群の引き下げを制限しないように、以下のような背中支持部3の構造を有する。
 (背中支持部3の説明)
 図1~8に示されるように、背中支持部3は、仰臥した人50の背中52のうち脊柱の少なくとも第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持する脊柱支持部8と、脊柱支持部8の幅方向Yの両側に配置され、仰臥した人50の左右一対の下後鋸筋41のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部9とを備える。脊柱支持部8は、マット1のうち幅方向Yにおける中間位置に配置され、身長方向Xに延びている。一対の下後鋸筋対応部9は、脊柱支持部8の幅方向Yの両側に配置され、身長方向Xに延びている。
 本実施形態の脊柱支持部8は、図1および図7に示されるように、後述の仙骨支持部12aの頭側の端部の位置まで延びている。脊柱支持部8の上面8aは、脚側縁8bまで連続的に延びており、第3腰椎L3まで支持することが可能である。
 脊柱支持部8の長さ(身体が延びる方向Xの長さ)は、仰臥した人50の背中52のうち脊柱の少なくとも第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持することが可能な長さであればよい。図6~8では、脊柱支持部8の長さは、脊柱の第3腰椎L3から第11胸椎T11に対応する部位を連続的に支持可能な長さを有しているが、第3腰椎L3から第12胸椎T12までの範囲または第2腰椎L2から第11胸椎T11までの範囲のように腰椎および胸椎が4個連続した範囲、あるいは第1腰椎L1から第11胸椎T11までの腰椎および胸椎が3個連続した範囲であってもよい。
 また、脊柱支持部8による連続的な支持は、上記の範囲における各腰椎および胸椎を個別に支持していればよい。したがって、脊柱支持部8は、身体が延びる方向Xに連続的に延びている形状に限定されるものではなく、腰椎、胸椎の1個以上の隙間がなければ断続的に途切れている形状であってもよい。
 図2~3に示される脊柱支持部8の幅W1は、少なくとも第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位の範囲内に設定される。言い換えれば、脊柱支持部8の幅W1は、少なくとも第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位に当接するが、胸椎T9~T12から左右両側(幅方向Yの両側)に延びる肋骨R9~R12に対応する部位に当接して圧迫しない範囲に設定されている。
 脊柱支持部8の幅W1は、具体的には、標準的な日本の成人の体型を基準とした場合、4~11cmの範囲(好ましくは、9cm程度)に設定されているのが好ましい。幅W1が4cm未満の場合には、腰椎および胸椎に対応する部位を支持する面積が小さくなりすぎて、腰椎および胸椎の連動した動きを維持できないという問題がある。一方、幅W1が11cmよりも大きい場合には、脊柱支持部8が腰椎および胸椎だけでなく胸椎両側の肋骨まで圧迫するので、呼気を阻害するという問題がある。したがって、腰椎および胸椎の連動性を維持しながら肋骨の圧迫をしない範囲として、上記のように脊柱支持部8の幅W1は、4~11cmの範囲に設定されているのが好ましい。
 一対の下後鋸筋対応部9および脊柱支持部8は、一対の下後鋸筋対応部9からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなるように構成されている。本実施形態では、下後鋸筋対応部9は、背中支持部3の表面に形成された凹部によって構成されることにより、下後鋸筋対応部9からの体圧を低くしている。この凹部の内面(具体的には、凹部の底面および内周面)によって、背中のうち下後鋸筋41に対応する部位への圧迫を緩和する空間部が形成される。
 図3に示されるように、下後鋸筋対応部9を構成する凹部の底部は、ベース部2の上面2aによって構成されている。凹部の深さは、上面2aを基準とした脊柱支持部8の高さH3と同じである。脊柱支持部8の高さH3(すなわち、下後鋸筋対応部9を構成する凹部の深さ)は、仰臥時に脊柱支持部8が沈んだ状態でも、一対の下後鋸筋対応部9からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなる関係を維持できる程度の高さに設定される。なお、下後鋸筋対応部9を構成する凹部の深さは、下後鋸筋対応部9からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなる関係を維持可能な深さであればよく、仰臥時に人の背中が凹部の底面に触れない深さが望ましいが、底面に触れても上記の関係を維持可能な深さがあればよい。
 ここで、脊柱支持部8および下後鋸筋対応部9からのそれぞれの体圧は、例えば、既存の体圧測定機などによって測定される。体圧測定器では、マット1上の領域をマトリックス状に分割してマス目ごとの荷重を体圧として計測する。この体圧測定器を用いることによって、脊柱支持部8および下後鋸筋対応部9からのそれぞれの体圧は、例えば、脊柱支持部8から腰椎、胸椎に対応する部位の領域に与える体圧の平均値、および、下後鋸筋対応部9から下後鋸筋41に対応する部位の領域に与える体圧の平均値として求めることができる。
 図8に示されるように、下後鋸筋対応部9のそれぞれは、一対の下後鋸筋41のそれぞれにおける第2腰椎L2につながる部分41dに対応する部位の少なくとも一部(図8では当該部位の幅方向中間の部分)を含む範囲に形成されていることにより、肋骨群の引き下げに最も寄与する部分の圧迫を確実に回避することが可能である。
 また、本実施形態では、図8に示されるように、一対の下後鋸筋対応部9のそれぞれは、一対の下後鋸筋41のそれぞれにおける第2腰椎L2につながる部分に対応する部位を含む一対の下後鋸筋41のそれぞれのマット1の上面に投影したときの面積の1/2以上(好ましくは3/4以上)の範囲に形成されている。これにより、下後鋸筋41のうち下後鋸筋41において胸郭を形成する肋骨群を引き下げることに大きく寄与する部分の圧迫をより確実に回避することが可能になる。例えば、図8に示される下後鋸筋対応部9は、身体が延びる方向Xにおいて第2腰椎L2から第11胸椎T11までの範囲で、かつ幅方向Yにおいて下後鋸筋41の幅方向中間の部分を覆う範囲に形成されている。これにより、下後鋸筋対応部9は、一対の下後鋸筋41のそれぞれのマット1の上面に投影したときの面積の1/2以上の範囲をカバーすることが可能である。また、下後鋸筋対応部9が幅方向Yにおいて第10肋骨R10の外側端部を覆う範囲に形成されている場合には、一対の下後鋸筋41のそれぞれのマット1の上面に投影したときの面積の3/4以上の範囲をカバーすることが可能である。
 下後鋸筋対応部9の幅W2(幅方向Yの長さ)は、下後鋸筋41における第2腰椎L2につながる部分41dの幅のうち1/2以上を覆う程度の幅であればよい。例えば、脊柱支持部8の幅W1が8cmの場合には、下後鋸筋対応部9の幅W2は4~12cmの範囲に設定される。また、下後鋸筋対応部9の長さS1(身長方向Xの長さ)は、下後鋸筋41の幅方向中間の部分を覆うことが可能な程度の長さであればよく、例えば、標準的な日本の成人の体型を基準とした場合には10cm程度(およそ8~15cmの範囲)に設定されているのが好ましい。
 また、図1~3および図6に示されるように、背中支持部3は、一対の下後鋸筋対応部9よりも幅方向Y外側に位置する一対の外側支持部10をさらに有する。一対の外側支持部10は、背中52のうち少なくとも下後鋸筋41よりも幅方向Yの外側の部分を支持する。本実施形態では、外側支持部10は、背中52のうち下後鋸筋41よりも幅方向Y外側の部分だけでなく下後鋸筋41のうち第9肋骨R9から第12肋骨R12までにそれぞれつながる部分も支持する。とくに、一対の外側支持部10の内側の縁10aは、下後鋸筋対応部9の幅方向Yの外側に位置しており、下後鋸筋41に対応する部位が下後鋸筋対応部9を構成する凹部に入り込んでも背中52の幅方向Yの外側の部分を支持することが可能である。これにより、仰臥時に一対の外側支持部10によって背中52の幅方向Yの外側の部分を支持することが可能である。また、下後鋸筋対応部9の体圧は、外側支持部10の体圧よりも低くなるように設定されている。
 (骨盤PVの説明)
 ここで、骨盤支持部4によって支持される骨盤PVについて詳細に説明する。骨盤PVは、図5~6および図9に示されるように、幅方向Yに離間した一対の寛骨HBと、当該一対の寛骨HBの間に位置する仙骨Sと、仙骨Sの脚側X2の端部に接続された尾骨CCとから構成されている。
 寛骨HBは、その頭側X1の部分を構成する腸骨LMと、腸骨LMの脚側X2の端部から身体の前方(図5の上側Z1)かつ身体中心側に延びるアーチ状の恥骨PBと、腸骨LMの脚側X2から当該脚側X2に湾曲して恥骨PBの身体中心側の端部に接続されたアーチ状の座骨SNとから構成されている。一対の腸骨LMのそれぞれと仙骨Sは、仙腸関節J1によって接続されている。
 図5~6および図9に示されるように、腸骨LMは、湾曲した板状の平たい骨である。腸骨LMは、その頭側X1の端部において、身体の幅方向Yの外方かつ前方(図5の上側Z1)に湾曲する円弧状の稜線部分である腸骨稜LMaを有する。言い換えれば、腸骨稜LMaは、腸骨LMにおける仰臥した人50の頭部51に近い側(頭側X1)の縁である。
 (骨盤支持部4の詳細説明)
 上記のように構成された骨盤PVに対応する部位を支持するために、本実施形態の骨盤支持部4は、以下のように構成されている。
 骨盤支持部4は、図1~2および図4~7に示されるように、幅方向Yに互いに離間する一対の腸骨支持部11と、当該一対の腸骨支持部11の間に配置された仙骨支持部12aを有する仙骨対応部12とを備えている。 本実施形態では、仙骨支持部12aとその両側の腸骨支持部11との間は、隙間13(図1~2参照)を介して離間しているので、腸骨支持部11からの体圧が仙骨Sに影響することを回避でき、後述する仙骨Sのうなずき運動を阻害しない。
 一対の腸骨支持部11は、骨盤PVのうち一対の腸骨LMのそれぞれの腸骨稜LMaの下方Z2において当該腸骨稜LMaの少なくとも幅方向Yの外側の部分LMb(図10参照)に対応する部位に当接可能な位置にそれぞれ配置されている。なお、腸骨稜LMaの幅方向Yの外側の部分LMbとは、図9~10に示されるように、腸骨稜LMaのうち下方Z2かつ幅方向Y外側を向く範囲をいう。これにより、一対の腸骨支持部11は、図10に示されるように、一対の腸骨LMに対応する部位を下方Z2から個別に支持することが可能である。各腸骨支持部11は、腸骨LMが載置される載置面11aと、載置面11aにおけるマット1の幅方向Yの中心に近い側の縁である内側上縁11bとを有する。載置面11aは、腸骨支持部11の上面によって構成される。
 載置面11aの形状は、図1~2に示されるように、平面視では、矩形形状を有する平面である。載置面11aは、背中支持部3における腸骨支持部11の周辺部(具体的には、背中支持部3における腸骨支持部11よりも頭側X1に位置する部分3a)の上面よりも高い位置に配置されている。なお、載置面11aは、背中支持部3の脊柱支持部8および外側支持部10の上面と同じ高さ(すなわち、図4の腸骨支持部11の高さH1と脊柱支持部8の高さH3が同じ)で連続していてもよい。
 載置面11aの寸法は、例えば、日本人の成人男子の腸骨稜LMaの少なくとも幅方向Yの外側の部分に対応する部位、具体的には、腸骨稜LMaの幅方向外側の部分LMb(図10参照)に対応する部位に当接可能であるが、恥骨PBおよび座骨SNに対応する部位に当接しない範囲に設定される。
 仙骨対応部12は、一対の腸骨支持部11の間に配置され、骨盤PVのうち一対の腸骨LMの間の仙骨Sに対応する部位の下方Z2に位置する。仙骨対応部12は、図1~2および図11に示されるように、腸骨支持部11の高さH1(図4参照)よりも低い高さH2に設定され、仰臥した人50の仙骨Sにおける頭側X1の部分S1に対応する部位を支持する仙骨支持部12aと、仙骨支持部12aの高さH2よりも低い高さに設定され、当該仙骨Sにおける脚側X2の部分S2から下方Z2に離間することにより当該脚側X2の部分S2に対応する部位を支持しない仙骨不支持部12bとを有する。
 仙骨支持部12aは、仙骨Sにおける当該仰臥した人の頭側X1の部分S1に対応する部位を下方Z2から支持する部分である。仙骨支持部12aは、直方体形状であり、仙骨Sに対応する部位が載置される天面として載置面12a1を有する。載置面12a1は、その脚側X2の端部において、幅方向Yに延びる脚側縁12a2を有する。
 載置面12a1の形状は、平面視では、矩形形状を有する水平方向に平坦な平面であり、腸骨支持部11の載置面11aおよび背中支持部3の脊柱支持部8の上面よりも低くなっている。すなわち、図4に示されるように、仙骨支持部12aの高さH2は、脊柱支持部8の高さH3よりも相対的に低くなるように設定されている。載置面12a1の寸法は、例えば、日本人の成人男子の仙骨Sの少なくとも頭側X1の部分S1に対応する部位に当接可能であるが、腸骨LMに対応する部位には当接しない範囲に設定される。
 腸骨支持部11および仙骨支持部12aにおける相対的な高さを変える場合、具体的には、図4に示されるように、腸骨支持部11の高さH1は、仙骨支持部12aの高さH2よりも相対的に高くなるように設定されている。
 本実施形態では、背中支持部3の脊柱支持部8および脚部支持部5の高さは、腸骨支持部11と同じ高さになるように、設定されている。すなわち、図4に示されるように、腸骨支持部11の高さH1は、脊柱支持部8および脚部支持部5の高さH3よりも高くなるように設定されている。
 しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、腸骨支持部11をこれら背中支持部3および脚部支持部5と同じ高さに設定してもよい。
 また、仙骨支持部12aの高さH2は、仙骨支持部12aから仙骨Sに対応する部位に与える体圧が腸骨支持部11から腸骨LMに対応する部位に与える体圧よりも低くなるように仙骨Sに対応する部位を支持することが可能な高さに設定されている。
 (呼気と仙骨Sのうなずき運動との関係についての説明)
 睡眠時の呼吸は、無意識に自然呼吸を行っているが、この自然呼吸をいかに豊かに行うかが重要となる。呼吸のうち重要なのは呼気(息を吐くこと)である。呼気を促進するためには、図6に示される胸郭RCを収縮させるために横隔膜DPを頭側X1に移動しやすくするようにすればよい。横隔膜DPは、胸郭RCの下端を閉じる筋肉の膜である。横隔膜DPは、頭側X1に突出したドーム状をしており、弛緩時(呼気時)にはドーム状をしており、緊張時(吸気時)には中央部が脚側X2へ移動しながら平坦になる。横隔膜DPは、仙骨Sに連続する第2腰椎L2付近、具体的には腰椎L1~L3につながっている。
 図5~6、9~10に示される仙骨Sが人50の前方(図5の上方Z1と同じ方向)に傾動するうなずき運動をすることによって、仙骨Sにつながる腰椎L1~L5が前方へ移動し、それに伴って腰椎L1~L3につながるドーム状の横隔膜DPが弛緩しやすくなる。これにより、横隔膜DPは、頭側X1へ移動しやすくなり、呼気が促進される。
 ただし、仙骨Sと一対の腸骨LMとを接続する仙腸関節J1が多数の強固な靱帯でおおわれているため、仙骨Sのみを単独で動かすことができない。そこで、本発明者は、一対の腸骨LMと仙骨Sとの連動した動きによって、仙骨Sのうなずき運動を促すことを考えた。
 図9に示されるように、仙骨Sのうなずき運動を行う場合、一対の寛骨HBのそれぞれの腸骨LMに対して、腸骨LMの頭側X1の端部である腸骨稜LMaのうち幅方向Yの外側部分LMbを身体の前方(図5の上方Z1と同じ方向)に力を与える。これによって、一対の腸骨LMが内側(身体の中心側)に閉じる方向に移動する。このとき、仙腸関節J1に隙間または遊びが生じて仙骨Sが動きやすくなる。これにより、仙骨Sの頭側X1の端部である岬角Saが前方(図5の上方Z1と同じ方向)へ移動し、仙骨Sの脚側X2の部分が後方(図5の下方Z2と同じ方向)へ移動し、仙骨S全体が前方(方向Z1)へうなずく運動をスムーズに行うことが可能である。仙骨Sのうなずき運動が大きくなると第2腰椎L2付近(L1~L3の範囲)につながる横隔膜DPが弛緩して頭側X1へ移動しやすくなることで、呼気が豊かになる。それに伴い、呼気のための下部胸郭RCの収縮が豊かになる。
 本実施形態のマット1は、仰臥時に仙骨Sがマット1による圧迫によって当該仙骨Sのうなずき運動が阻害されることを解消しており、その結果、仙骨Sの可動範囲を広げることが可能になる。
 なお、図9に示されるように、仙骨Sがうなずき運動をするときには、寛骨HBのうち腸骨LMは幅方向Yの内側へ移動する。したがって、一対の腸骨LMの間隔が狭まり、腹腔の圧力が上昇することにより、横隔膜DPは頭側X1へさらに移動しやすくなる。寛骨HBの腸骨LM以外の部分では、恥骨PBおよび座骨SNは幅方向Yの外側へ移動する。(すなわち、図10の恥骨結合PBaが開く方向へ移動する。)
 一方、仙骨Sがうなずいて呼気をしばらく行った後にはその反動として、うなずき運動と反対の動きとして、仙骨Sが起き上がる運動が生じる。仙骨Sの起き上がり運動では、仙骨Sの頭側X1の岬角Saが後方(図5の下方Z2と同じ方向)へ移動し、仙骨Sの脚側X2の部分が前方(図5の上方Z1と同じ方向)へ移動する。仙骨Sが起き上がると第2腰椎L2付近(L1~L3)につながる横隔膜DPが脚側X2へ移動して胸郭RCが拡幅することにより、多量の吸気が可能になる。
 (本実施形態の特徴)
 (1)
 本発明者は、仰臥時において呼吸の促進をするために、呼気時に肋骨を下降させる下後鋸筋41の動きを阻害する圧迫を除去するとともに脊柱のしなやかな動きを同時に達成する点について鋭意検討を重ねた結果、以下のマット1を発明するに至った。
 すなわち、本実施形態のマット1は、仰臥した人50の背中52を支持する背中支持部3を備える。背中支持部3は、仰臥した人50の背中52のうち脊柱の少なくとも第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持する脊柱支持部8と、脊柱支持部8の幅方向Yの両側に配置され、仰臥した人50の左右一対の下後鋸筋41のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部9とを備える。一対の下後鋸筋対応部9および脊柱支持部8は、一対の下後鋸筋対応部9からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなるように構成されている。
 かかる構成によれば、仰臥した人50の一対の下後鋸筋41に対応する部位の下方に一対の下後鋸筋対応部9を備え、脊柱支持部8および一対の下後鋸筋対応部9は、一対の下後鋸筋対応部9からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなるように構成されている。これにより、脊柱支持部8が脊柱の少なくとも第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分までに対応する部位を支持しながら下後鋸筋対応部9からの体圧を脊柱支持部8からの体圧よりも低くすることにより、下後鋸筋41の圧迫を回避することが可能である。これにより、下後鋸筋41がマット1の反発力に邪魔されることなく、呼気時に胸郭を形成する肋骨群をスムーズに引き下げることができるようになり、呼気を容易に行うことが可能になる。
 さらに、脊柱支持部8が第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持することにより、呼吸時において腰椎から胸椎に連続する脊柱全体のしなやかな動きをすることが可能になり、胸椎に接続された肋骨の動きが呼吸中に止まることを防止する。具体的には、脊柱支持部8は、第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持しているので、腰椎または胸椎の一部のみをピンポイントに支持する場合と比較して、呼吸時における脊柱がしなやかに上下方向に波打つようにうねる動きを阻害するものが無くなる。その結果、呼吸時における腰椎から胸椎に連続する脊柱全体のしなやかな動きを達成することが可能になる。
 したがって、以上の構成を有するマット1では、下後鋸筋41の圧迫の回避と脊柱のしなやかな動きを同時に達成することが可能になり、仰臥した人50の呼吸を促進することが可能になる。
 (2)
 本実施形態のマット1では、下後鋸筋対応部9のそれぞれは、一対の下後鋸筋41のそれぞれにおける第2腰椎L2につながる部分に対応する部位の少なくとも一部を含む範囲(図8では当該部位の幅方向中間の部分)に形成されている。
 下後鋸筋41のうち、とくに第2腰椎L2につながる部分が呼気時に肋骨群を引き下げることに最も寄与している。そこで、下後鋸筋対応部9が下後鋸筋41のうち第2腰椎L2につながる部分に対応する部位の下方Z2の範囲に形成されることにより、下後鋸筋41において肋骨群を引き下げることに最も寄与する部分の圧迫を確実に回避することが可能になり、呼吸の促進を確実に行うことが可能である。
 (3)
 本実施形態のマット1では、一対の下後鋸筋対応部9のそれぞれは、一対の下後鋸筋41のそれぞれにおける第2腰椎L2につながる部分に対応する部位を含む一対の下後鋸筋41のそれぞれのマット1の上面に投影したときの面積の1/2以上(好ましくは3/4以上)の範囲に形成されている。
 下後鋸筋41のうち、第2腰椎L2につながる部分に対応する部位を含む当該下後鋸筋41のマット1の上面に投影したときの面積の1/2以上の範囲の部分は、呼気時に肋骨群を引き下げることに大きく寄与している。そこで、この構成では、下後鋸筋対応部9が下後鋸筋41のマット1の上面に投影したときの面積の1/2以上の範囲に形成されることにより、下後鋸筋41において肋骨群を引き下げることに大きく寄与する部分の圧迫を確実に回避することが可能になり、呼吸の促進をより確実に行うことが可能である。
 (4)
 本実施形態のマット1では、脊柱支持部8の幅W1は、少なくとも第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位の幅の範囲内に設定されている。
 かかる構成によれば、脊柱支持部8の幅W1が上記の条件を満たすように設定されることにより、当該脊柱支持部8は、肋骨を圧迫することなく、第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を支持することが可能である。これにより、呼吸時の肋骨の動きを脊柱支持部8が阻害することが無くなり、呼吸の促進を確実に行うことが可能になる。
 (5)
 本実施形態のマット1では、脊柱支持部8の幅W1は、4~11cmの範囲に設定されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、脊柱支持部8の幅が上記の条件を満たすように設定されることにより、当該脊柱支持部8は、標準的な成人50に関して、肋骨を圧迫することなくなり、呼吸の促進を確実に行うことが可能になる。
 (6)
 本実施形態のマット1では、下後鋸筋対応部9は、背中支持部3の表面に形成された凹部によって構成されている。
 かかる構成によれば、脊柱支持部8が腰椎および胸椎に対応する部位を支持するとともに下後鋸筋41に対応する部位を下後鋸筋対応部9を構成する凹部に配置することにより、下後鋸筋対応部9からの体圧を脊柱支持部8からの体圧よりも確実に低くすることが可能になる。これにより、下後鋸筋41の圧迫を確実に回避することが可能である。
 (7)
 本実施形態のマット1は、脊柱支持部8よりも仰臥した人50の脚側X2に配置され、仰臥した人50の仙骨Sに対応する部位を支持する仙骨支持部12aをさらに備える。仙骨支持部12aの高さH2は、脊柱支持部8の高さH3よりも相対的に低くなるように設定されている。
 かかる構成によれば、仰臥した人50の仙骨Sに対応する部位を支持する仙骨支持部12aをさらに備え、仙骨支持部12aの高さH2が、脊柱支持部8の高さH3よりも相対的に低くなるように設定されている。これにより、呼気の際に仙骨Sが前方Z1かつ脚側X2へ向けて旋回、すなわち、うなずき運動を、仙骨支持部12aからの反力(体圧)によって阻害されることなく行うことが可能になる。しかもこの構成では、上記のように脊柱支持部8が第1腰椎L1から第12胸椎T12までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持していることによって、腰椎から胸椎に連続する脊柱全体のしなやかな動きをしながら仙骨Sのうなずき運動を円滑に行うことが可能になる。仙骨Sがうなずき運動をすることによって、仙骨Sに連続する腰椎につながる横隔膜DPが仰臥した人50の頭部51へ向かう方向X1に移動し、呼気がより容易になる。その結果、仰臥時における呼吸をより促進することが可能になる。
 (8)
 また、本発明者は、上記のように、仰臥時において呼吸の促進をするために骨盤PVの動きに着目して鋭意検討を重ねた結果、骨盤PVのうち一対の腸骨LMの間に位置する仙骨Sが前方(図5の上方Z1と同じ方向)に傾動するうなずき運動を促すことが呼吸の促進につながることを突き止め、上記構成のマット1を発明するに至った。
 本実施形態のマット1は、上記の腸骨支持部11備え、仙骨支持部12aが腸骨支持部11よりも上下方向Zの高さにおいて低く設定されている。これにより、仙骨支持部12aからの体圧が腸骨支持部11からの体圧よりも低くなるので、仙骨Sのうなずき運動を円滑に行うことができる。
 しかも、仙骨支持部12aからの体圧が低くなることにより、相対的に腸骨支持部11の体圧が上昇する。これにより、一対の腸骨LMにおける腸骨稜LMaの外側部分LMbが閉じる方向(幅方向Yにおいて身体の中心に向かう方向)に押圧される一方、仙腸関節J1が開くので、仙骨Sのうなずき運動が促される。そのため、仰臥時にでも、仙骨Sのうなずき運動が円滑に行われるので、睡眠時にも深い呼吸が可能になり、寝心地が改善される。
 すなわち、本実施形態のマット1は、仙骨支持部12aの幅方向Yの両側に配置され、仰臥した人50の一対の腸骨LMにおける腸骨稜LMaの少なくとも幅方向Yの外側の部分に対応する部位を下方から個別に支持する一対の腸骨支持部11をさらに備える。
 仙骨支持部12aの高さH2は、腸骨支持部11の高さH1よりも相対的に低くなるように設定されている。
 かかる構成によれば、仰臥した人50の一対の腸骨LMにおける腸骨稜LMaの少なくとも幅方向Yの外側の部分に対応する部位を下方から個別に支持する一対の腸骨支持部11をさらに備えているので、腸骨LMの内旋を促して仙骨Sのうなずき運動をさらに容易に行うことが可能になる。すなわち、一対の腸骨LMは、腸骨稜LMaに対応する部位が腸骨支持部11からの反力(体圧)を受けることによって身体の前方Z1かつ中心側へ向かう旋回(内旋)運動が促される。この一対の腸骨LMの内旋によって、腸骨LMと仙骨Sとの間の仙腸関節J1が緩むことによって、仙骨Sのうなずき運動をさらに容易に行うことが可能になる。しかも、仙骨支持部12aの高さH2は、腸骨支持部11の高さH1よりも相対的に低くなるように設定されているので、仙骨支持部12aから体圧が腸骨支持部11からの体圧よりも低くなり、仙骨Sのうなずき運動は阻害されない。その結果、仰臥時における呼吸をより一層促進することが可能になる。
 (9)
 本実施形態では、腸骨支持部11は、脊柱支持部8よりも高くなっているので、腸骨支持部11による腸骨LMを内旋させる効果を高めることが可能である。
 なお、腸骨支持部11の高さH1は、脊柱支持部8の高さH3と同じになるように設定されていてもよい。この場合、仰臥した人50の背中52および腸骨LMに対応する部位がマット1上の同一平面で支持されるので、腸骨支持部11が上方に突出することによる違和感を軽減することが可能である。
 (10)
 本実施形態のマット1では、背中支持部3は、一対の下後鋸筋対応部9よりも幅方向Yの外側に位置し、背中52のうち少なくとも下後鋸筋41よりも幅方向Yの外側の部分を支持する一対の外側支持部10をさらに有する。
 かかる構成によれば、一対の外側支持部は、一対の下後鋸筋対応部9よりも幅方向外側に位置し、背中52のうち少なくとも下後鋸筋41よりも幅方向Yの外側の部分(図8では、下後鋸筋41の幅方向Y外側の部分、および下後鋸筋41のうち第9~12肋骨R9~R12にそれぞれつながる部分)を支持する。そのため、下後鋸筋41に対応する部位が下後鋸筋対応部9によって圧迫が回避されていても、脊柱支持部8および一対の外側支持部10によって背中52を安定して支持することが可能である。なお、図1に示されるマット1では、背中支持部3における脊柱支持部8、下後鋸筋対応部9、および外側支持部10よりも頭側X1の部分31は、脊柱支持部8および外側支持部10と同じ高さで同一平面を構成しているが、背中支持部3における頭側X1の部分31の構造については本発明はとくに限定しておらず種々の構造を採用することが可能である。
 (変形例)
 (A)
 上記実施形態では、マット1がウレタンなどの材料で一体形成され、下後鋸筋対応部9が凹部によって形成されている例が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の変形例として、下後鋸筋対応部9は、凹部の代わりに、仰臥した人50の下後鋸筋41に対応する部位を支持する下後鋸筋支持部を有し、下後鋸筋支持部の高さは、脊柱支持部8の高さと同じになるように設定されている場合において、脊柱支持部8および下後鋸筋支持部のうちの少なくとも一方の材料の性質を変更することにより、下後鋸筋支持部の硬度を脊柱支持部8の硬度よりも低くなるように設定してもよい。
 かかる構成によれば、下後鋸筋支持部は脊柱支持部8よりも柔らかいので、脊柱支持部8によって腰椎および胸椎を支持しながら下後鋸筋支持部からの体圧を低下することが可能になる。その結果、下後鋸筋41の圧迫を回避することが可能である。
 (B)
 上記実施形態のマット1は、仰臥した人の呼気を促進するために、図8に示される一対の下後鋸筋41の圧迫を回避するために、図1に示される凹部によって構成された一対の下後鋸筋対応部9を有しているが、この構成を改良することにより、呼気を促進するために下後鋸筋41だけでなく他の呼吸補助筋の圧迫も回避することが可能なマットの構成も考えられる。
 そこで、本発明の変形例として、図12~13に示されるマット1は、下後鋸筋41の圧迫だけでなく、呼吸補助筋の1つである腰方形筋40の圧迫も回避するために、共通の凹部20によって構成された下後鋸筋対応部9および腰方形筋対応部19を有する。
 ここで、腰方形筋40は、図13に示されるように、脊柱の両側において、骨盤PVの腸骨LMから頭側X1に延びて第12肋骨R12につながる略帯状の平坦な筋肉である。すなわち、腰方形筋40の起始部40aは、腸骨LMの腸骨稜LMaにつながっており、腰方形筋40における頭側X1の停止部40bは、第12肋骨R12につながっている。また、腰方形筋40における脊柱側の停止部(図示せず)は、第1腰椎L1~第4腰椎L4のそれぞれの横突起につながっている。
 腰方形筋40の主な機能は以下のとおりである。まず、人の起立状態で脊柱両側の腰方形筋40が同時に収縮することにより、人の上半身を後側に曲げる(後屈)させることが可能である。また、脊柱両側うちの片側の腰方形筋40のみが収縮することにより、上半身を側方へ曲げることが可能である。さらに、人の仰臥状態では、腰方形筋40は呼気時に一対の腸骨LMを前側Z1に引き寄せる方向に力を与えながら安定化させることにより、上述の仙骨S(図9参照)のうなずき運動が促進され、それとともに肋骨群を引き下げることが可能である。なお、腰方形筋40による仙骨Sのうなずき運動の促進については後段で詳細に説明する。
 図12~13に示されるマット1は、具体的には以下のように構成されている。
 脊柱支持部8は、脊柱のうち少なくとも第12胸椎T12から第3腰椎L3までの部分(図13では、第11胸椎T11から第4腰椎L4までの部分)に対応する部位を連続的に支持する。
 背中支持部3は、上述の下後鋸筋対応部9に加えて、一対の腰方形筋対応部19をさらに備える。一対の腰方形筋対応部19は、脊柱支持部8の幅方向両側に配置され、仰臥した人の左右一対の腰方形筋40のそれぞれに対応する部位の下方に配置されている。
 本実施形態では、腰方形筋対応部19は、マット1の厚み方向(上下方向Z)に凹むことにより形成された凹部20における脚側X2の部分によって構成されている。この凹部20の内面(具体的には、凹部20の底面および内周面)によって、背中のうち下後鋸筋41および腰方形筋40に対応する部位への圧迫を緩和する空間部が形成される。
 すなわち、凹部20の頭側X1の部分は下後鋸筋対応部9を構成し、凹部20における脚側X2の部分は、腰方形筋対応部19を構成している。これら下後鋸筋対応部9および腰方形筋対応部19は、図13に示されるように、第1腰椎L1および第2腰椎L2の左右両側に対応する部位で重複している(言い換えれば、連続している)。下後鋸筋対応部9および腰方形筋対応部19は、1つの凹部20内に形成されており、同一の深さを有する。
 腰方形筋対応部19の範囲は、腰方形筋40をマット1の上面に投影した範囲のうちの少なくとも一部の範囲であればよく、腰方形筋40の圧迫を効果的に回避するために腰方形筋40の起始部40aおよび停止部40bの間でかつ起始部40aおよび停止部40bを含まない範囲に設定されるのが好ましい。
 また、このマット1は、上記図1~2に示されるマット1と同様に、仰臥した人の骨盤PVのうち一対の腸骨LMのそれぞれの腸骨稜LMaの下方Z2において当該腸骨稜LMaの少なくとも幅方向Yの外側の部分LMb(図9~10参照)に対応する部位を下方から個別に支持する一対の腸骨支持部11を備えている。腸骨支持部11の上面を構成する載置面11aは、背中支持部3における腸骨支持部11の周辺部(具体的には、背中支持部3における腸骨支持部11よりも頭側X1に位置する部分3a)の上面よりも高い位置に配置されている。
 一対の腰方形筋対応部19および脊柱支持部8は、一対の腰方形筋対応部19からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなるように構成されている。具体的には、図12に示されるように、腰方形筋対応部19は、凹部20における脚側X2の部分によって構成されていることにより、腰方形筋対応部19からの体圧を脊柱支持部8からの体圧よりも低くしている。また、この構成では、腰方形筋対応部19からの体圧は、脊柱支持部8と同一の高さの外側支持部10からの体圧よりも低くなる。
 なお、図12に示されるマット1のその他の構成は、上記実施形態のマット1(図1~11参照)の構成と共通しているので説明を省略する。
 図12~13に示されるマット1の構成によれば、仰臥した人の一対の腰方形筋40に対応する部位の下方に一対の腰方形筋対応部19を備え、脊柱支持部8および一対の腰方形筋対応部19は、一対の腰方形筋対応部19からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなるように構成されている。これにより、脊柱支持部8が脊柱の少なくとも第12胸椎T12から第3腰椎L3までを含む部分に対応する部位を連続的に支持しながら腰方形筋対応部19からの体圧を脊柱支持部8からの体圧よりも低くすることが可能である。これにより、腰方形筋対応部19が腰方形筋40を圧迫することを回避することが可能である。
 しかも、このマットは、仰臥した人の骨盤PVのうち一対の腸骨LMのそれぞれの腸骨稜LMaの下方Z2において当該腸骨稜LMaの少なくとも幅方向Yの外側の部分LMb(図10参照)に対応する部位を下方から個別に支持する一対の腸骨支持部11を備え、当該腸骨支持部11の載置面11a(上面)は、背中支持部3における当該腸骨支持部11の周辺部(具体的には、背中支持部3における腸骨支持部11よりも頭側X1に位置する部分3a)の上面よりも高い位置に配置されている。腰方形筋40は、一端が腸骨稜LMaに繋がっているので、腸骨支持部11は腰方形筋40の体側方向外側であって腰方形筋対応部19よりも高い位置で当該腰方形筋40の一端を支持する。このため、一対の腸骨支持部11は、その周辺部よりも高い位置で腸骨LMにおける少なくとも腸骨稜LMaの幅方向外側の部分LMbに対応する部位を支持することが可能であるので、当該腸骨支持部11が腰方形筋40を圧迫することも回避することが可能である。
 したがって、上記のように腰方形筋対応部19および腸骨支持部11からの腰方形筋40の圧迫をいずれも回避することが可能になるので、仰臥した人の腰方形筋40は、マットの反発力に邪魔されることなく呼気時において、一対の腰方形筋40の一端がそれぞれつながる一対の腸骨LM(図9~10参照)を仰臥した人の前側Z1に引き寄せる方向に力を与えながら安定化させることが可能である。これにより、骨盤PVのうち一対の腸骨LMの間に位置する仙骨Sが仰臥した人の前側Z1に傾くいわゆる仙骨Sのうなずき運動をしやすくなる。そして、仙骨Sのうなずき運動に伴って腰椎および胸椎につながる横隔膜DP(図6参照)が弛緩しやすくなる。それとともに一対の腰方形筋40によって肋骨群を引き下げることが可能である。その結果、仰臥時における呼気を促進することが可能になる。
 したがって、この構成では、図13に示されるように、上記の下後鋸筋対応部9による下後鋸筋41の圧迫緩和による呼気促進効果とともに、腰方形筋対応部19による腰方形筋40の圧迫緩和による呼気促進効果も加わることにより、呼気をさらに容易に行うことが可能になる。
 図12~13に示される一対の腰方形筋対応部19のそれぞれは、一対の腰方形筋40のそれぞれにおける腸骨LMにつながる起始部40aおよび第12肋骨R12につながる停止部40bの間でかつ起始部40aおよび停止部40b以外の部分に対応する部位を含む範囲に形成されているのが好ましい。腰方形筋40は、腸骨LMにつながる起始部40aおよび第12肋骨R12につながる停止部40bの間の部分(とくに起始部40aと停止部40bの中間部分)が腸骨LMの安定化にもっぱら寄与すると考えられる。そこで、この構成では、腸骨支持部11が腸骨LMを支持した状態を維持しながら、腰方形筋対応部19では、腰方形筋40のうち腸骨LMにつながる起始部40aおよび第12肋骨R12につながる停止部40b以外の部分の体圧を効果的に減らして腰方形筋40の圧迫を回避して腸骨LMを前側Z1に引き寄せる方向に力を与えながら効果的に安定化させることが可能になる。これにより、仙骨Sのうなずき運動、および横隔膜DPの弛緩がより促進することが可能である。それとともに一対の腰方形筋40によって肋骨群を効果的に引き下げることが可能である。その結果、呼気がよりし易くなる。
 また、図12~13に示される腰方形筋対応部19は、第1腰椎L1および第2腰椎L2の左右両側に対応する部位で下後鋸筋対応部9と重複するように形成されている。
 図13に示されるように、下後鋸筋41と腰方形筋40は共に第1~2腰椎L1~L2の横突起につながるとともに当該第1~2腰椎L1~L2付近では重なり合っているが、上記のように、腰方形筋対応部19が下後鋸筋対応部9と第1腰椎L1および第2腰椎L2の左右両側に対応する部位で重複するように形成されていることにより、下後鋸筋41および腰方形筋40における第1~2腰椎L1~L2の左右両側の部分における圧迫を確実に回避することが可能になり、呼気がより一層しやすくなる。
 なお、図12~13に示される変形例では、下後鋸筋対応部9および腰方形筋対応部19が重複しているが、これらが重複していない構成であってもよい。例えば、下後鋸筋対応部9が第11胸椎T11から第1腰椎L1までの左右両側に対応する部位に形成され、腰方形筋対応部19が第3腰椎L3から第4腰椎L4までの左右両側に対応する部位に形成されている構成であってもよい(すなわち、下後鋸筋対応部9および腰方形筋対応部19がそれぞれ個別の凹部で構成されていてもよい)。
 図12に示されるマット1では、腰方形筋対応部19は、背中支持部3においてマット1の厚み方向(上下方向Z)に凹むことにより形成された凹部20(具体的には、凹部20における脚側X2の部分)によって構成されている。
 かかる構成によれば、脊柱支持部8が腰椎に対応する部位を支持するとともに腰方形筋40に対応する部位を腰方形筋対応部19を構成する凹部20に配置(具体的には、凹部20に嵌り込むように配置)することにより、腰方形筋対応部19からの体圧を脊柱支持部8からの体圧よりも確実に低くすることが可能になる。これにより、腰方形筋40の圧迫を確実に回避することが可能である。
 なお、上記図12に示されるマット1では、腰方形筋対応部19が凹部20における脚側X2の部分で構成されているが、その代わりに腰方形筋対応部19の部分の硬度を低くしてもよい。すなわち、腰方形筋対応部19は、仰臥した人の腰方形筋40に対応する部位を支持する腰方形筋支持部を有し、腰方形筋支持部の高さは、脊柱支持部8の高さと同じになるように設定され、腰方形筋支持部の硬度は、脊柱支持部8の硬度よりも低くなるように設定されているようにしてもよい。この構成では、腰方形筋40支持部は脊柱支持部8よりも柔らかいので、脊柱支持部8によって腰椎を支持しながら腰方形筋支持部からの体圧を低下することが可能になる。その結果、腰方形筋40の圧迫を回避することが可能である。
 (C)
 また、本発明のマットのさらに他の変形例として、図12に示されるマット1の凹部20を、図14~15に示されるように頭側X1に延長して第8肋骨R8および第9肋骨R9の圧迫を回避するようにしてもよい。
 すなわち、図14~15に示される凹部20は、下後鋸筋対応部9よりも頭側X1に第8肋骨R8および第9肋骨R9に対応する中間肋骨対応部21をさらに有する。この構成では、中間肋骨対応部21からの体圧が脊柱支持部8からの体圧よりも低くなるので、第8肋骨R8および第9肋骨R9の圧迫を回避することが可能になる。これにより、仰臥した人の第8肋骨R8および第9肋骨R9の圧迫が回避され、呼吸時における第8肋骨R8および第9肋骨R9を含む胸郭の身長方向への移動が円滑になり、より円滑な呼吸が促進される。
 (D)
 上記実施形態では、仙骨支持部12aの載置面12a1は、水平方向に平坦な平面であるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明のさらに他の変形例として、図16に示されるように、仙骨支持部12aの高さは、仰臥した人50の脚に向かうにつれて(すなわち、脚側X2へ向かう方向へ行くにしたがって)低くなるように、設定され、仙骨支持部12aは、仰臥した人50の少なくとも仙骨Sおよび当該仙骨Sに隣接する腰椎に対応する部位を下方から連続的に支持してもよい。すなわち、仙骨支持部12aの載置面12a1が脚側X2へ向かうにつれて下降するスロープ状に形成し、このスロープ状の載置面12a1によって、仙骨Sにつながる腰椎L3~L5に与える負荷を軽減してもよい。
 かかる構成によれば、仙骨支持部12aが脊柱支持部8の上面8aに連続して仰臥した人50の脚に向かうにつれて低くなるように傾斜する載置面12a1を有している。これにより、仙骨Sが前方Z1にうなずいた状態であっても、脊柱支持部8の上面8aおよびそれに連続した仙骨支持部12aの載置面12a1によって、全ての腰椎を含む少なくとも第12胸椎T12から仙骨Sまでの範囲を連続的に支持することが可能になり、仙骨Sおよび腰椎に対応する部位の広範囲に当接して体圧を分散させながら支持することが可能になる。その結果、仙骨Sにつながる腰椎に与える負荷をさらに小さくすることが可能になる。
 すなわち、図16に示されるように、腰椎L4~5および仙骨Sに対応する部位の全体がスロープ状の載置面12a1に載置されていることにより、脊柱支持部8の脚側縁8bにおける腰椎L3とL4との間で屈曲する角度は小さくなっている。これは、図16に示されるように仙骨Sの水平の載置面12a1の脚側縁12a2に部分的に載置されている場合と比較して、腰椎L3とL4との間の屈曲角度が大幅に小さくなっており、腰椎L3~L5に与える負荷が小さくなっていることが分かる。
 (E)
 上記実施形態では、一対の腸骨支持部11の間に配置され、仙骨Sの下方に位置する仙骨対応部12の一例として、仙骨Sに対応する部位を支持する仙骨支持部12aを有する仙骨対応部12が示されているが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の仙骨対応部12は、一対の腸骨支持部11の間に配置され、仙骨Sの下方に位置しており、一対の腸骨支持部11および仙骨対応部が、仙骨対応部から仰臥した人の仙骨Sに対応する部位に与える体圧が一対の腸骨支持部11から仰臥した人50の一対の腸骨LMに対応する部位に与える体圧よりも低くなるように構成されていればよい。
 したがって、本発明のさらに他の変形例として、仙骨対応部12は、仰臥した人の仙骨Sに対応する部位から離間することにより当該仙骨Sに対応する部位を支持しない仙骨不支持部12bによって全体的に構成されていてもよい。この構成では、仙骨Sは、仙骨不支持部12bの上方に形成された空間部に収容された状態になる。この構成では、仙骨Sに対応する部位は、仙骨対応部12を構成する仙骨不支持部12bからの反力(体圧)による影響を全く受けないでうなずき運動可能に支持することが可能になり、その結果、仙骨Sにつながる腰椎L3~L5に与える負荷を小さくすることが可能になる。
 (F)
 上記実施形態のマット1は、図1~7に示されるように、背中支持部3、骨盤支持部4(一対の腸骨支持部11および仙骨支持部12a)、脚部支持部5が平坦な矩形の厚板形状を有しているが、本発明はこれ限定されるものではなく、仰臥した人50の体型に沿った曲線形状に形成されていてもよい。とくに、仙腸関節J1に対応する部位を支持する部分は、仙腸関節J1に対応する部位にストレスを与えないようなスムーズな傾斜や空間を有する形状であることが好ましい。
  <実施形態のまとめ>
 前記実施形態をまとめると以下のとおりである。
 前記実施形態にかかるマットは、仰臥した人の背中を支持する背中支持部を備えたマットであって、前記背中支持部は、前記仰臥した人の前記背中のうち脊柱の少なくとも第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持する脊柱支持部と、前記脊柱支持部の幅方向両側に配置され、前記仰臥した人の左右一対の下後鋸筋のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部とを備え、前記一対の下後鋸筋対応部および前記脊柱支持部は、前記一対の下後鋸筋対応部からの体圧が前記脊柱支持部からの体圧よりも低くなるように構成されていることを特徴とする。
 かかる構成によれば、仰臥した人の一対の下後鋸筋に対応する部位の下方に一対の下後鋸筋対応部を備え、脊柱支持部および一対の下後鋸筋対応部は、一対の下後鋸筋対応部からの体圧が脊柱支持部からの体圧よりも低くなるように構成されている。これにより、脊柱支持部が脊柱の少なくとも第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を支持しながら下後鋸筋対応部からの体圧を脊柱支持部からの体圧よりも低くすることにより、下後鋸筋の圧迫を回避することが可能である。これにより、下後鋸筋がマットの反発力に邪魔されることなく、呼気時に胸郭を形成する肋骨群をスムーズに引き下げることができるようになり、呼気を容易に行うことが可能になる。
 さらに、脊柱支持部が第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持することにより、呼吸時において腰椎から胸椎に連続する脊柱全体のしなやかな動きをすることが可能になり、胸椎に接続された肋骨の動きが呼吸中に止まることを防止する。
 したがって、以上の構成を有するマットでは、下後鋸筋の圧迫の回避と脊柱のしなやかな動きを同時に達成することが可能になり、仰臥した人の呼吸を促進することが可能になる。
 上記のマットにおいて、前記下後鋸筋対応部のそれぞれは、前記一対の前記下後鋸筋のそれぞれにおける第2腰椎につながる部分に対応する部位の少なくとも一部を含む範囲に形成されているのが好ましい。
 下後鋸筋のうち、とくに第2腰椎につながる部分が呼気時に肋骨群を引き下げることに最も寄与している。そこで、下後鋸筋対応部が下後鋸筋のうち第2腰椎につながる部分に対応する部位の下方の範囲に形成されることにより、下後鋸筋において肋骨群を引き下げることに最も寄与する部分の圧迫を確実に回避することが可能になり、呼吸の促進を確実に行うことが可能である。
 上記のマットにおいて、前記一対の下後鋸筋対応部のそれぞれは、前記一対の下後鋸筋のそれぞれにおける前記第2腰椎につながる部分に対応する部位を含む前記一対の下後鋸筋のそれぞれのマット上面に投影したときの面積の1/2以上の範囲に形成されているのが好ましい。
 下後鋸筋のうち、第2腰椎につながる部分に対応する部位を含む当該下後鋸筋のマット上面に投影したときの面積の1/2以上の範囲の部分は、呼気時に肋骨群を引き下げることに大きく寄与している。そこで、この構成では、下後鋸筋対応部が下後鋸筋のマット上面に投影したときの面積の1/2以上の範囲に形成されることにより、下後鋸筋において肋骨群を引き下げることに大きく寄与する部分の圧迫を確実に回避することが可能になり、呼吸の促進をより確実に行うことが可能である。
 上記のマットにおいて、前記脊柱支持部の幅は、少なくとも前記第1腰椎から前記第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位の幅の範囲内に設定されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、脊柱支持部の幅が上記の条件を満たすように設定されることにより、当該脊柱支持部は、肋骨を圧迫することなく、第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を支持することが可能である。これにより、呼吸時の肋骨の動きを脊柱支持部が阻害することが無くなり、呼吸の促進を確実に行うことが可能になる。
 上記のマットにおいて、前記下後鋸筋対応部は、前記背中支持部の表面に形成された凹部によって構成されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、脊柱支持部が腰椎および胸椎に対応する部位を支持するとともに下後鋸筋に対応する部位を下後鋸筋対応部を構成する凹部に配置することにより、下後鋸筋対応部からの体圧を脊柱支持部からの体圧よりも確実に低くすることが可能になる。これにより、下後鋸筋の圧迫を確実に回避することが可能である。
 上記のマットにおいて、前記下後鋸筋対応部は、前記仰臥した人の前記下後鋸筋に対応する部位を支持する下後鋸筋支持部を有し、前記下後鋸筋支持部の高さは、前記脊柱支持部の高さと同じになるように設定されており、前記下後鋸筋支持部の硬度は、前記脊柱支持部の硬度よりも低くなるように設定されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、下後鋸筋支持部は脊柱支持部よりも柔らかいので、脊柱支持部によって腰椎および胸椎を支持しながら下後鋸筋支持部からの体圧を低下することが可能になる。その結果、下後鋸筋の圧迫を回避することが可能である。
 前記脊柱支持部は、前記脊柱のうち少なくとも前記第12胸椎から第3腰椎までの部分に対応する部位を連続的に支持し、前記背中支持部は、前記脊柱支持部の幅方向両側に配置され、前記仰臥した人の左右一対の腰方形筋のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の腰方形筋対応部をさらに備え、前記マットは、前記仰臥した人の骨盤のうち一対の腸骨における少なくとも腸骨稜の幅方向外側の部分に対応する部位を下方から個別に支持する一対の腸骨支持部をさらに備え、前記一対の腰方形筋対応部および前記脊柱支持部は、前記一対の腰方形筋対応部からの体圧が前記脊柱支持部からの体圧よりも低くなるように構成され、前記腸骨支持部の上面は、前記背中支持部における前記腸骨支持部の周辺部の上面よりも高い位置に配置されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、仰臥した人の一対の腰方形筋に対応する部位の下方に一対の腰方形筋対応部を備え、脊柱支持部および一対の腰方形筋対応部は、一対の腰方形筋対応部からの体圧が脊柱支持部からの体圧よりも低くなるように構成されている。これにより、脊柱支持部が脊柱の少なくとも第12胸椎から第3腰椎までを含む部分に対応する部位を連続的に支持しながら腰方形筋対応部からの体圧を脊柱支持部からの体圧よりも低くすることが可能である。これにより、腰方形筋対応部が腰方形筋を圧迫することを回避することが可能である。
 しかも、このマットは、仰臥した人の骨盤のうちの一対の腸骨における少なくとも腸骨稜の幅方向外側の部分に対応する部位を下方から個別に支持する一対の腸骨支持部を備え、当該腸骨支持部の上面は、背中支持部における当該腸骨支持部の周辺部の上面よりも高い位置に配置されている。腰方形筋は、一端が腸骨稜に繋がっているので、腸骨支持部は腰方形筋の体側方向外側であって腰方形筋対応部よりも高い位置で当該腰方形筋の一端を支持する。 このため、一対の腸骨支持部は、その周辺部よりも高い位置で腸骨における少なくとも腸骨稜の幅方向外側の部分に対応する部位を支持することが可能であるので、当該腸骨支持部が腰方形筋を圧迫することも回避することが可能である。
 したがって、上記のように腰方形筋対応部および腸骨支持部からの腰方形筋の圧迫をいずれも回避することが可能になるので、仰臥した人の腰方形筋は、マットの反発力に邪魔されることなく呼気時において、一対の腰方形筋の一端がそれぞれつながる一対の腸骨を仰臥した人の前側に引き寄せる方向に力を与えながら安定化させることが可能である。これにより、骨盤のうち一対の腸骨の間に位置する仙骨が仰臥した人の前側に傾くいわゆる仙骨のうなずき運動をしやすくなる。そして、仙骨のうなずき運動に伴って腰椎および胸椎につながる横隔膜が弛緩しやすくなる。それとともに一対の腰方形筋によって肋骨群を引き下げることが可能である。その結果、仰臥時における呼気を促進することが可能になる。
 したがって、上記の構成では、上記の下後鋸筋対応部による下後鋸筋の圧迫緩和による呼気促進効果とともに、腰方形筋対応部による腰方形筋の圧迫緩和による呼気促進効果も加わることにより、呼気をさらに容易に行うことが可能になる。
 前記一対の腰方形筋対応部のそれぞれは、前記一対の前記腰方形筋のそれぞれにおける前記腸骨につながる起始部および第12肋骨につながる停止部の間でかつ前記起始部および前記停止部以外の部分に対応する部位を含む範囲に形成されているのが好ましい。
 腰方形筋は、腸骨につながる起始部および第12肋骨につながる停止部の間の部分が腸骨の安定化にもっぱら寄与すると考えられる。そこで、上記の構成では、腸骨支持部が腸骨を支持した状態を維持しながら、腰方形筋対応部では、腰方形筋のうち腸骨につながる起始部および第12肋骨につながる停止部以外の部分の体圧を効果的に減らして腰方形筋の圧迫を回避して腸骨を前側に引き寄せる方向に力を与えながら効果的に安定化させることが可能になる。これにより、仙骨のうなずき運動、および横隔膜の弛緩がより促進することが可能である。それとともに一対の腰方形筋40によって肋骨群を効果的に引き下げることが可能である。その結果、呼気がよりし易くなる。
 前記腰方形筋対応部は、前記第1腰椎および第2腰椎の左右両側に対応する部位で前記下後鋸筋対応部と重複するように形成されているのが好ましい。
 下後鋸筋と腰方形筋は共に第1~2腰椎につながるとともに当該第1~2腰椎付近では重なり合っているが、上記のように、腰方形筋対応部が下後鋸筋対応部と第1腰椎および第2腰椎の左右両側に対応する部位で重複するように形成されていることにより、下後鋸筋および腰方形筋における第1~2腰椎の左右両側の部分における圧迫を確実に回避することが可能になり、呼気がより一層しやすくなる。
 前記腰方形筋対応部は、前記背中支持部に形成された凹部によって構成されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、脊柱支持部が腰椎に対応する部位を支持するとともに腰方形筋に対応する部位を腰方形筋対応部を構成する凹部に配置することにより、腰方形筋対応部からの体圧を脊柱支持部からの体圧よりも確実に低くすることが可能になる。これにより、腰方形筋の圧迫を確実に回避することが可能である。
 前記腰方形筋対応部は、前記仰臥した人の前記腰方形筋に対応する部位を支持する腰方形筋支持部を有し、前記腰方形筋支持部の高さは、前記脊柱支持部の高さと同じになるように設定されており、前記腰方形筋支持部の硬度は、前記脊柱支持部の硬度よりも低くなるように設定されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、腰方形筋支持部は脊柱支持部よりも柔らかいので、脊柱支持部によって腰椎を支持しながら腰方形筋支持部からの体圧を低下することが可能になる。その結果、腰方形筋の圧迫を回避することが可能である。
 上記のマットにおいて、前記脊柱支持部よりも前記仰臥した人の脚側に配置され、前記仰臥した人の仙骨に対応する部位を支持する仙骨支持部をさらに備え、前記仙骨支持部の高さは、前記脊柱支持部の高さよりも相対的に低くなるように設定されているのが好ましい。
 かかる構成によれば、仰臥した人の仙骨に対応する部位を支持する仙骨支持部をさらに備え、仙骨支持部の高さが、脊柱支持部の高さよりも相対的に低くなるように設定されている。これにより、呼気の際に仙骨が前方かつ脚側へ向けて旋回、すなわち、うなずき運動を、仙骨支持部からの反力(体圧)によって阻害されることなく行うことが可能になる。しかもこの構成では、上記のように脊柱支持部が第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持していることによって、腰椎から胸椎に連続する脊柱全体のしなやかな動きをしながら仙骨のうなずき運動を円滑に行うことが可能になる。仙骨がうなずき運動をすることによって、仙骨に連続する腰椎につながる横隔膜が仰臥した人の頭へ向かう方向に移動し、呼気がより容易になる。その結果、仰臥時における呼吸をより促進することが可能になる。
 上記のマットにおいて、前記仙骨支持部は、前記脊柱支持部の上面に連続して前記仰臥した人の脚に向かうにつれて低くなるように傾斜する載置面を有しており、前記載置面は、前記仰臥した人の少なくとも前記仙骨における前記仰臥した人の頭側部分および当該仙骨に隣接する腰椎に対応する部位を下方から連続的に支持するのが好ましい。
 かかる構成によれば、仙骨支持部が脊柱支持部の上面に連続して仰臥した人の脚に向かうにつれて低くなるように傾斜する載置面を有している。これにより、仙骨が前方にうなずいた状態であっても、脊柱支持部の上面およびそれに連続した仙骨支持部の載置面によって、全ての腰椎を含む少なくとも第12胸椎から仙骨までの範囲を連続的に支持することが可能になり、仙骨および腰椎に対応する部位の広範囲に当接して体圧を分散させながら支持することが可能になる。その結果、仙骨につながる腰椎に与える負荷をさらに小さくすることが可能になる。
 上記のマットにおいて、前記背中支持部は、前記一対の下後鋸筋対応部よりも幅方向外側に位置し、前記背中のうち前記下後鋸筋よりも幅方向外側の部分を支持する一対の外側支持部をさらに有するのが好ましい。
 かかる構成によれば、一対の外側支持部は、一対の下後鋸筋対応部よりも幅方向外側に位置し、背中のうち下後鋸筋よりも幅方向外側の部分を支持する。そのため、下後鋸筋に対応する部位が下後鋸筋対応部によって圧迫が回避されていても、脊柱支持部および一対の外側支持部によって背中を安定して支持することが可能である。
 以上のように構成された本実施形態のマットは、仰臥時における呼吸の促進を可能にすることが可能である。

Claims (13)

  1.  仰臥した人の背中を支持する背中支持部を備えたマットであって、
     前記背中支持部は、
     前記仰臥した人の前記背中のうち脊柱の少なくとも第1腰椎から第12胸椎までを含む腰椎および胸椎が3個以上連続した部分に対応する部位を連続的に支持する脊柱支持部と、
     前記脊柱支持部の幅方向両側に配置され、前記仰臥した人の左右一対の下後鋸筋のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の下後鋸筋対応部と
    を備え、
     前記一対の下後鋸筋対応部および前記脊柱支持部は、前記一対の下後鋸筋対応部からの体圧が前記脊柱支持部からの体圧よりも低くなるように構成されている、
    ことを特徴とするマット。
  2.  請求項1に記載のマットにおいて、
     前記一対の下後鋸筋対応部のそれぞれは、前記一対の前記下後鋸筋のそれぞれにおける第2腰椎につながる部分に対応する部位の少なくとも一部を含む範囲に形成されている、
    ことを特徴とするマット。
  3.  請求項2に記載のマットにおいて、
     前記一対の下後鋸筋対応部のそれぞれは、前記一対の下後鋸筋のそれぞれにおける前記第2腰椎につながる部分に対応する部位を含む前記一対の下後鋸筋のそれぞれのマット上面に投影したときの面積の1/2以上の範囲に形成されている、
    ことを特徴とするマット。
  4.  請求項1~3のいずれか1項に記載のマットにおいて、
     前記下後鋸筋対応部は、前記背中支持部に形成された凹部によって構成されている、
    ことを特徴とするマット。
  5.  請求項1~3のいずれか1項に記載のマットにおいて、
    前記下後鋸筋対応部は、前記仰臥した人の前記下後鋸筋に対応する部位を支持する下後鋸筋支持部を有し、
     前記下後鋸筋支持部の高さは、前記脊柱支持部の高さと同じになるように設定されており、
     前記下後鋸筋支持部の硬度は、前記脊柱支持部の硬度よりも低くなるように設定されている、
    ことを特徴とするマット。
  6.  請求項1~5のいずれか1項に記載のマットにおいて、
     前記脊柱支持部は、前記脊柱のうち少なくとも前記第12胸椎から第3腰椎までの部分に対応する部位を連続的に支持し、
     前記背中支持部は、前記脊柱支持部の幅方向両側に配置され、前記仰臥した人の左右一対の腰方形筋のそれぞれに対応する部位の下方に配置された一対の腰方形筋対応部をさらに備え、
     前記マットは、前記仰臥した人の骨盤のうち一対の腸骨における少なくとも腸骨稜の幅方向外側の部分に対応する部位を下方から個別に支持する一対の腸骨支持部をさらに備え、
     前記一対の腰方形筋対応部および前記脊柱支持部は、前記一対の腰方形筋対応部からの体圧が前記脊柱支持部からの体圧よりも低くなるように構成され、
     前記腸骨支持部の上面は、前記背中支持部における前記腸骨支持部の周辺部の上面よりも高い位置に配置されている、
    ことを特徴とするマット。
  7.  請求項6に記載のマットにおいて、
     前記一対の腰方形筋対応部のそれぞれは、前記一対の前記腰方形筋のそれぞれにおける前記腸骨につながる起始部および第12肋骨につながる停止部の間でかつ前記起始部および前記停止部以外の部分に対応する部位を含む範囲に形成されている、
    ことを特徴とするマット。
  8.  請求項6または7に記載のマットにおいて、
     前記腰方形筋対応部は、前記第1腰椎および第2腰椎の左右両側に対応する部位で前記下後鋸筋対応部と重複するように形成されている、
    ことを特徴とするマット。
  9.  請求項6~8のいずれか1項に記載のマットにおいて、
     前記腰方形筋対応部は、前記背中支持部に形成された凹部によって構成されている、
    ことを特徴とするマット。
  10.  請求項6~8のいずれか1項に記載のマットにおいて、
    前記腰方形筋対応部は、前記仰臥した人の前記腰方形筋に対応する部位を支持する腰方形筋支持部を有し、
     前記腰方形筋支持部の高さは、前記脊柱支持部の高さと同じになるように設定されており、
     前記腰方形筋支持部の硬度は、前記脊柱支持部の硬度よりも低くなるように設定されている、
    ことを特徴とするマット。
  11.  請求項1~10のいずれか1項に記載のマットにおいて、
     前記脊柱支持部よりも前記仰臥した人の脚側に配置され、前記仰臥した人の仙骨に対応する部位を支持する仙骨支持部をさらに備え、
     前記仙骨支持部の高さは、前記脊柱支持部の高さよりも相対的に低くなるように設定されている、
    ことを特徴とするマット。
  12.  請求項11に記載のマットにおいて、
     前記仙骨支持部は、前記脊柱支持部の上面に連続して前記仰臥した人の脚に向かうにつれて低くなるように傾斜する載置面を有しており、
     前記載置面は、前記仰臥した人の少なくとも前記仙骨における前記仰臥した人の頭側部分および当該仙骨に隣接する腰椎に対応する部位を下方から連続的に支持する、
    ことを特徴とするマット。
  13.  請求項1~12のいずれか1項に記載のマットにおいて、
     前記背中支持部は、前記一対の下後鋸筋対応部よりも幅方向外側に位置し、前記背中のうち少なくとも前記下後鋸筋よりも幅方向外側の部分を支持する一対の外側支持部をさらに有する、
    ことを特徴とするマット。
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