WO2022172593A1

WO2022172593A1 - ステータ及びブラシレスモータ

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Publication number: WO2022172593A1
Application number: PCT/JP2021/046970
Authority: WO
Inventors: 秀樹田村; 健治岡田; 光政水野; 裕弥阿古
Original assignee: パナソニックＩｐマネジメント株式会社
Priority date: 2021-02-15
Filing date: 2021-12-20
Publication date: 2022-08-18
Also published as: EP4293877A1; US20240097511A1; EP4293877A4; JPWO2022172593A1; CN116964909A

Abstract

本開示の課題は、コイルの占積率の向上を図ることである。ステータ（Ｓ１）は、周方向に沿って並ぶ複数のステータブロック（１）と、複数のステータブロック（１）のそれぞれに巻線（２０）を巻回して設けられる複数のコイル（２）と、を備える。ステータ（Ｓ１）は、複数のステータブロック（１）と複数のコイル（２）の組ごとに、ステータブロック（１）とコイル（２）を電気的に絶縁する複数の絶縁部材（３）を備える。複数のステータブロック（１）のそれぞれは、最外周に位置するヨーク部（１０）と、ヨーク部（１０）の内周面から突出するティース部（１１）と、を有する。複数の絶縁部材（３）のそれぞれは、ティース部（１１）を挟んで対向する位置に配置される一対の絶縁板（３０）を有する。一対の絶縁板（３０）は、ティース部（１１）よりも幅広に形成されている。

Description

ステータ及びブラシレスモータ

　本開示は、ステータ及びブラシレスモータに関し、より詳細には、ボビンレスのステータ、及び当該ステータを有するブラシレスモータに関する。

　従来例として、特許文献１記載のコイルユニットを例示する。特許文献１記載のコイルユニットは、コイルと、コイルと一体的に成形された部分モールド部とを備えている。部分モールド部と、分割コアのティース部とを嵌合させて、分割コアをコイルユニットに装着する。部分モールド部によって、コイルユニットと分割コアとの隙間が、適正範囲に確保される。そして、コイルユニットを含む全体モールド時に、樹脂を隙間全体に充填させ、コイルと分割コアとの間の空隙をなくしている。

　しかしながら、特許文献１記載の従来例では、分割コアのティース部が樹脂モールドされ、かつ、部分モールド部によってティース部とコイルの距離が大きくなるため、コイルの占積率の向上が困難であった。

特開２０１０－１１４９９８号公報

　本開示の目的は、コイルの占積率の向上を図ることができるステータ及びブラシレスモータを提供することである。

　本開示の一態様に係るステータは、周方向に沿って並ぶ複数のステータブロックと、前記複数のステータブロックのそれぞれに巻線を巻回して設けられる複数のコイルと、を備える。前記ステータは、前記複数のステータブロックと前記複数のコイルの組ごとに、ステータブロックとコイルを電気的に絶縁する複数の絶縁部材を備える。前記複数のステータブロックのそれぞれは、最外周に位置するヨーク部と、前記ヨーク部の内周面から突出するティース部と、を有する。前記複数の絶縁部材のそれぞれは、前記ティース部を挟んで対向する位置に配置される一対の絶縁板を有する。前記一対の絶縁板は、前記ティース部よりも幅広に形成されている。

　本開示の一態様に係るブラシレスモータは、前記ステータと、前記ステータの内部に回転可能に配置されるロータと、を備える。

図１は、本開示の実施形態に係るステータ及びブラシレスモータの正面図である。図２は、同上のステータの斜視図である。図３は、同上のステータの斜視図である。図４は、同上のステータにおける板材の正面図である。図５は、同上のステータの変形例１における絶縁部材の一部省略した正面図である。図６は、同上のステータの変形例１における絶縁部材の一部省略した正面図である。図７は、同上のステータの変形例１における絶縁部材の一部省略した正面図である。図８は、同上のステータの変形例２におけるステータブロック及び絶縁部材の正面図である。図９は、同上のステータブロック及び絶縁部材の平面図である。図１０は、同上のステータブロック及び絶縁部材の側面図である。図１１は、同上のステータの変形例２におけるステータブロックの別の構成を示す正面図である。図１２は、同上のステータの変形例３におけるステータブロック及び絶縁部材の正面図である。図１３は、同上のステータブロック及び絶縁部材の平面図である。図１４は、同上のステータブロック及び絶縁部材の側面図である。図１５は、同上の変形例３のステータの一部省略した正面図である。図１６は、同上のステータの変形例４の一部省略した正面図である。

　以下、本開示の実施形態に係るステータ、及びブラシレスモータについて図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。

　（１）概要
　本開示の実施形態に係るブラシレスモータＭ１（以下、ブラシレスモータＭ１と略す。）は、図１に示すように、本開示の実施形態に係るステータＳ１（以下、ステータＳ１と略す。）と、ステータＳ１の内部に回転可能に配置されるロータＲ１と、を備える。

　ロータＲ１は、軟磁性材料によって円筒状に形成されたロータコア５０と、複数（図示例では６つ）の永久磁石５１と、を有している。ロータコア５０の中心には円筒形状の軸穴５００が貫通している。この軸穴５００に回転軸（不図示）が挿入される。

　６つの永久磁石５１はそれぞれ、長方形の平板状に形成されている。これらの永久磁石５１は、ロータコア５０の周方向に沿って等間隔に並ぶようにロータコア５０の内部に収容される。

　ステータＳ１は、周方向に沿って並ぶ複数（図示例では９つ）のステータブロック１と、複数のステータブロック１のそれぞれに巻線２０を巻回して設けられる複数のコイル２と、を備える（図１参照）。また、ステータＳ１は、複数のステータブロック１と複数のコイル２の組ごとに、ステータブロック１とコイル２を電気的に絶縁する複数（図示例では９つ）の絶縁部材３、を備える。

　複数のステータブロック１のそれぞれは、最外周に位置するヨーク部１０と、ヨーク部１０の内周面から突出するティース部１１と、を有する。

　複数の絶縁部材３のそれぞれは、ティース部１１を挟んで対向する位置に配置される一対の絶縁板３０を有する。一対の絶縁板３０は、ティース部１１よりも幅広に形成されている。

　しかして、ステータＳ１が有する複数のコイル２が励磁されると、各ステータブロック１とロータＲ１の間に磁気吸引力及び磁気反発力が作用し、ステータＳ１に対してロータＲ１が双方向に回転し得る。そして、ロータＲ１の軸穴５００に挿入されている回転軸もロータＲ１と一体に回転可能である。

　ここで、ステータＳ１では、一対の絶縁板３０がティース部１１よりも幅広に形成されているので、コイル２の巻線２０とティース部１１の両側面の間に、絶縁板３０とティース部１１の幅寸法の差に対応した空間（絶縁距離）が形成される。その結果、ステータＳ１は、ボビンを介してティース部１１の回りに巻線２０を巻回する場合に比べて、コイル２の占積率の向上を図ることができる。

　（２）ステータの詳細
　（２－１）ステータブロック
　複数のステータブロック１は、すべて同一の構成を有している。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、図２に矢印で示す上下、前後及び左右の各方向を、ステータブロック１の上下、前後及び左右の各方向と規定する。

　ステータブロック１は、図２及び図３に示すように、ヨーク部１０、ティース部１１、及びフランジ部１３を有する。

　ヨーク部１０は、四角柱状に形成されている。更に詳しく説明すると、ヨーク部１０は、前面、後面、左側面及び右側面が長方形に形成され、上面及び下面が台形に形成されている。ヨーク部１０の前面の上辺と下辺は、ヨーク部１０の後面の上辺及び下辺よりも短く、ヨーク部１０の前面の左辺と右辺は、ヨーク部１０の後面の左辺及び右辺と同じ長さである。

　ティース部１１は、直方体状に形成されている。ティース部１１の高さは、ヨーク部１０の高さと等しい。つまり、ティース部１１の上面及び下面は、それぞれヨーク部１０の上面及び下面と面一になっている。また、ティース部１１は、ヨーク部１０の前面における左右方向の中央から前方へ突出している。なお、ティース部１１の前面は、円筒面状に湾曲している（図１及び図２参照）。

　フランジ部１３は、上下方向を長手方向とする板状に形成され、ティース部１１の左側面及び右側面の前端部から左方向及び右方向にそれぞれ突出している。フランジ部１３の高さは、ティース部１１の高さに等しい。ただし、フランジ部１３の前面は、円筒面状に湾曲してティース部１１の前面と面一になっている。

　ここで、ヨーク部１０、ティース部１１及びフランジ部１３は、けい素鋼板、フェライト、アモルファス合金などの軟磁性材料によって一体に形成されることが好ましい。あるいは、ヨーク部１０、ティース部１１及びフランジ部１３が別々に形成された後で一体に結合されても構わない。

　（２－２）絶縁部材
　絶縁部材３は、一対の絶縁板３０と、連結部３２と、固定部３３と、を有する（図１～図３参照）。

　一対の絶縁板３０はそれぞれ、長方形の平板状に形成されている。ただし、一対の絶縁板３０はそれぞれ、同形状及び同寸法に形成されている。絶縁板３０の左右方向（短手方向）の幅寸法は、ティース部１１の左右方向の幅寸法よりも大きく、かつ、ヨーク部１０の左右方向の幅寸法よりも小さい。絶縁部材３の前後方向（長手方向）の幅寸法は、ステータブロック１の前後方向の幅寸法よりも僅かに小さい（図１参照）。なお、一方の絶縁板３０は、ステータブロック１の上面の上に配置され、他方の絶縁板３０は、ステータブロック１の下面の下に配置される。

　連結部３２は、長方形の平板状に形成されている。連結部３２の長手方向の一端（上端）は、ステータブロック１の上面の上に配置される絶縁板３０の後端とつながっている。連結部３２の長手方向の他端（下端）は、ステータブロック１の下面の下に配置される絶縁板３０の後端とつながっている。つまり、一対の絶縁板３０は、それぞれの後端において連結部３２によって連結されている（図２及び図３参照）。また、連結部３２は、ヨーク部１０の後面に設けられている溝部１００と嵌合する（図３参照）。溝部１００は、ヨーク部１０の後面における左右方向の中央において、ヨーク部１０の上下方向の全長に渡って設けられている。なお、一対の絶縁板３０と連結部３２は、電気絶縁性を有する合成樹脂材料によって一体成形されることが好ましい。

　固定部３３は、一対の絶縁板３０のそれぞれに２つずつ設けられている。各固定部３３は、左右方向から見て鉤状に形成されている（図２参照）。各固定部３３は、各絶縁板３０の左右の両側面において、各絶縁板３０の前後方向の中央に対して後方寄りの位置から左右方向に１つずつ突出している。上方の絶縁板３０に設けられた２つの固定部３３の先端部は、下向きに突出している。一方、下方の絶縁板３０に設けられた２つの固定部３３の先端部は、上向きに突出している（図２参照）。

　（２－３）コイル
　コイル２は、例えば、銅又は銅合金などの導体からなる巻線２０を有する。コイル２は、ティース部１１及び一対の絶縁板３０に巻線２０が巻回されて構成されている。

　ここで、一対の絶縁板３０がそれぞれ、ティース部１１よりも幅広に形成されている。例えば、各絶縁板３０は、ティース部１１よりも０．３ｍｍ程度、幅広に形成されることが好ましい。一対の絶縁板３０がそれぞれ、ティース部１１よりも幅広に形成されることにより、巻線２０とティース部１１の左右両側面の間の絶縁距離が確保される。その結果、ステータＳ１は、ボビンを介してティース部１１の回りに巻線２０を巻回する場合に比べて、コイル２の占積率の向上を図ることができる。なお、図１～図３ではコイル２の巻数を６（６ターン）としているが、７（７ターン）以上であっても構わない。また、巻線２０が絶縁体で被覆されていれば、巻線２０同士を２重以上に重ねて巻回させることも可能である。

　（３）ステータの製造方法
　次に、ステータＳ１の製造方法を説明する。ただし、以下に説明する製造方法は一例であり、一部の工程の順番が入れ替わっても構わない。なお、以下に説明する製造方法は、種々の製造装置によって自動化されているが、一部の工程が人の手で行われても構わない。また、ステータブロック１の製造方法の説明は省略する。

　以下に説明するステータＳ１の製造方法（以下、製造方法と略す。）は、少なくとも第１工程、第２工程、第３工程及び第４工程を含む。

　第１工程は、ステータブロック１に絶縁部材３を取り付ける工程である。まず、連結部３２を撓ませて一対の絶縁板３０の間隔を広げ、ステータブロック１のヨーク部１０の後方から絶縁部材３を被せる。そして、連結部３２を撓ませていた力を取り除くと、ヨーク部１０の後面の溝部１００に連結部３２が嵌まり、かつ、各絶縁板３０の一対の固定部３３の先端部が、ヨーク部１０の前面における左右両端に設けられた凹所１０１に嵌合する（図２及び図３参照）。このようにして、ステータブロック１に絶縁部材３が取り付けられる。

　第２工程は、複数のステータブロック１のそれぞれに巻線２０を巻回してコイル２を設ける工程である。巻線２０の巻回作業は、例えば、巻線機によって行われる。巻線２０は、一対の絶縁板３０に架け渡されるようにティース部１１の周囲に巻回される。このとき、絶縁部材３で覆われていないティース部１１の左右両側面と巻線２０の間に、絶縁板３０とティース部１１の幅寸法の差に対応した絶縁距離が確保される。

　第３工程は、それぞれにコイル２を設けた複数のステータブロック１を周方向に沿って並べる工程である。図１に示すように、９つのステータブロック１を、それぞれのヨーク部１０の左右の側面同士を接触させるようにしてリング状に並べる。

　第４工程は、周方向に沿って並べた９つのステータブロック１を結合する工程である。詳しくは、隣り合って接している２つのステータブロック１のヨーク部１０同士を、溶接又は接着などの適宜の方法で結合する。そして、９つのステータブロック１がすべて結合されることにより、ステータＳ１が完成する。

　ところで、ステータブロック１は、複数枚の板材４を、板材４の厚み方向に積層して構成されてもよい。複数枚の板材４はそれぞれ、図４に示すように、ステータブロック１の上面と同一の形状に形成されている。なお、ヨーク部１０の溝部１００及び凹所１０１はそれぞれ、板材４に設けられる切欠４０によって構成される。そして、厚み方向に重ねられた複数の板材４同士が、溶接又は接着などの適宜の方法で結合されることによってステータブロック１が構成される。

　上述のようにステータブロック１が複数枚の板材４の積層体として構成される場合、ヨーク部１０の溝部１００及び凹所１０１を、板材４の切欠４０で構成することができる。そのため、ヨーク部１０に直接、溝部１００及び凹所１０１を設ける場合に比べて、溝部１００及び凹所１０１を容易に形成することができる。

　（４）ステータの変形例
　次に、実施形態に係るステータＳ１の変形例を説明する。

　（４－１）変形例１
　変形例１のステータＳ１は、複数の絶縁部材３のそれぞれが、一対の絶縁板３０のそれぞれに設けられて巻線２０を整列させる整列部３１を更に有する。

　整列部３１は、例えば、図５及び図６に示すように、一対の絶縁板３０のそれぞれに設けられる複数の突部３１１を有する。複数の突部３１１は、各絶縁板３０の前後方向に沿って一定の間隔を空けて並んでいる。なお、複数の突部３１１は、図５に示すように、各絶縁板３０の左側面及び右側面から、それぞれ左方向及び右方向に突出するように設けられる。あるいは、複数の突部３１１は、図６に示すように、上方の絶縁板３０の上面及び下方の絶縁板３０の下面のそれぞれにおける左右両端から、それぞれ上方向及び下方向に突出するように設けられてもよい。

　また、整列部３１は、図７に示すように、一対の絶縁板３０に設けられた複数の凹部３１０を有してもよい。整列部３１は、複数の凹部３１０のそれぞれに巻線２０を収容して整列させることができる。

　しかして、変形例１のステータＳ１は、複数のステータブロック１において、絶縁部材３に設けられた整列部３１により、各ティース部１１に対して巻線２０を整列させて巻回することができる。その結果、変形例１のステータＳ１は、整列部３１を設けない場合に比べて、巻線２０を容易に整列させることができて、巻線２０のずれの抑制を図ることができる。

　（４－２）変形例２
　変形例２のステータＳ１は、ステータブロック１に対する絶縁部材３の取付構造に特徴がある。

　変形例２における絶縁部材３は、図８～図１０に示すように、一対の絶縁板３０を連結する連結部を有していない。さらに、変形例２における絶縁部材３は、鈎状の固定部３３の代わりに、上方の絶縁板３０の下面から下向きに突出する一対の突起３５、及び下方の絶縁板３０の上面から上向きに突出する一対の突起３５、からなる固定部を有している。

　各突起３５は、円柱状に形成されている。各突起３５は、前後方向に間隔を空けて並ぶように絶縁板３０の上面又は下面から突出している。なお、各突起３５は、合成樹脂材料によって、絶縁板３０と一体に形成されることが好ましい。

　一方、変形例２におけるステータブロック１は、ティース部１１の上面及び下面のそれぞれに、各絶縁板３０一対の突起３５が１つずつ嵌合する２つの穴１１０を有している。これらの穴１１０の内周面は、円筒面状に形成されている。ティース部１１の上面に設けられた２つの穴１１０のそれぞれに、上方の絶縁板３０に設けられた一対の突起３５が１つずつ嵌合される。同様に、ティース部１１の下面に設けられた２つの穴１１０のそれぞれに、下方の絶縁板３０に設けられた一対の突起３５が１つずつ嵌合される。なお、各突起３５は、溶接又は接着などの適宜の方法でティース部１１に固定されることが好ましい。あるいは、各突起３５の周面からリブを突出させ、リブを押し潰すようにして各突起３５が穴１１０に圧入されることにより、絶縁板３０がステータブロック１に固定されても構わない。

　しかして、変形例２のステータＳ１は、複数の絶縁部材３の構造を簡素化して小型化を図ることができる。

　なお、変形例２のステータブロック１において、図１１に示すようにヨーク部１０とティース部１１が分離されている場合、一対の絶縁板３０を介して巻線２０が巻回されたティース部１１がヨーク部１０と結合されても構わない。

　（４－３）変形例３
　変形例３のステータＳ１は、複数の絶縁部材３の構造に特徴がある。変形例３における複数の絶縁部材３はそれぞれ、隣接する連結部３２同士を結合する結合部３４を更に有する（図１２～図１４参照）。

　結合部３４は、角柱状に形成されている。結合部３４は、連結部３２の左右両側面において、上下方向の中央位置から左方向及び右方向にそれぞれ突出している。また、結合部３４の先端面（左側面及び右側面）は、ヨーク部１０の左右両側面と面一になるように、後方に向かって傾斜している（図１２参照）。

　変形例３のステータＳ１において、隣り合った絶縁部材３の結合部３４同士が接着などの適宜の方法で結合される（図１５参照）。つまり、変形例３のステータＳ１は、隣り合うステータブロック１のヨーク部１０同士を結合する場合に比べて、ステータＳ１の製造工程の簡素化を図ることができる。

　（４－４）変形例４
　変形例４のステータＳ１は、複数のステータブロック１及び絶縁部材３の構造に特徴がある。

　変形例４のステータＳ１は、複数の絶縁部材３において、連結部３２の幅寸法（左右方向の長さ寸法）が、ステータブロック１のティース部１１の幅寸法（左右方向の幅寸法）よりも小さくされている（図１６参照）。また、変形例４のステータＳ１は、ヨーク部１０の外周面（後面）に設けられた溝部１００の幅寸法（左右方向の幅寸法）がティース部１１の幅寸法よりも小さく、かつ、連結部３２の幅寸法以上とされている。さらに、変形例４のステータＳ１において、溝部１００の深さ（前後方向の深さ）は、連結部３２の厚み（前後方向の厚み）以上とされている。

　しかして、変形例４のステータＳ１は、連結部３２の幅寸法及び溝部１００の幅寸法がティース部１１の幅寸法よりも小さいので、ステータブロック１を通る磁束が連結部３２の影響を受けにくい。また、変形例４のステータＳ１は、溝部１００の深さが連結部３２の厚み以上であるので、ヨーク部１０の外周面から連結部３２が突出しない。その結果、変形例４のステータＳ１は、径方向（ステータブロック１の前後方向）における小型化を図ることができる。

　（５）ステータのその他の利点
　各絶縁部材３において、一対の絶縁板３０を連結部３２で連結することにより、ステータブロック１に対する絶縁部材３の取付作業の作業性の向上を図ることができる。なお、連結部３２は、ヨーク部１０の外周面と対向する位置に配置されている。そのため、ステータＳ１とロータＲ１の間のギャップ（図１参照）に対して、連結部３２が及ぼす影響をなくすことができる。

　（６）まとめ
　本開示の第１の態様に係るステータ（Ｓ１）は、周方向に沿って並ぶ複数のステータブロック（１）と、複数のステータブロック（１）のそれぞれに巻線（２０）を巻回して設けられる複数のコイル（２）と、を備える。第１の態様に係るステータ（Ｓ１）は、複数のステータブロック（１）と複数のコイル（２）の組ごとに、ステータブロック（１）とコイル（２）を電気的に絶縁する複数の絶縁部材（３）を備える。複数のステータブロック（１）のそれぞれは、最外周に位置するヨーク部（１０）と、ヨーク部（１０）の内周面から突出するティース部（１１）と、を有する。複数の絶縁部材（３）のそれぞれは、ティース部（１１）を挟んで対向する位置に配置される一対の絶縁板（３０）を有する。一対の絶縁板（３０）は、ティース部（１１）よりも幅広に形成されている。

　第１の態様に係るステータ（Ｓ１）は、コイル（２）の巻線（２０）とティース部（１１）の間に、絶縁板（３０）とティース部（１１）の幅寸法の差に対応した空間（絶縁距離）が形成される。その結果、第１の態様に係るステータ（Ｓ１）は、コイル（２）の占積率の向上を図ることができる。

　本開示の第２の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第１の態様との組合せにより実現され得る。第２の態様に係るステータ（Ｓ１）において、複数の絶縁部材（３）のそれぞれは、一対の絶縁板（３０）同士を連結する連結部（３２）を更に有することが好ましい。

　第２の態様に係るステータ（Ｓ１）は、絶縁部材（３）をステータブロック（１）に取り付ける際の作業性の向上を図ることができる。

　本開示の第３の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第２の態様との組合せにより実現され得る。第３の態様に係るステータ（Ｓ１）において、連結部（３２）は、ヨーク部（１０）の外周面と対向する位置に配置されることが好ましい。

　第３の態様に係るステータ（Ｓ１）は、連結部（３２）がステータブロック（１）とロータ（Ｒ１）の間に配置されないので、ステータ（Ｓ１）とロータ（Ｒ１）の間のギャップに対して、連結部（３２）が及ぼす影響をなくすことができる。

　本開示の第４の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第３の態様との組合せにより実現され得る。第４の態様に係るステータ（Ｓ１）において、ヨーク部（１０）の外周面に、連結部（３２）と嵌合する溝部（１００）が設けられることが好ましい。

　第４の態様に係るステータ（Ｓ１）は、連結部（３２）の少なくとも一部が溝部（１００）と嵌合することにより、ヨーク部（１０）の外周面から突出する連結部（３２）の突出寸法を小さくすることができる。

　本開示の第５の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第４の態様との組合せにより実現され得る。第５の態様に係るステータ（Ｓ１）において、連結部（３２）の周方向に沿った幅寸法が、ティース部（１１）の周方向に沿った幅寸法よりも小さいことが好ましい。

　第５の態様に係るステータ（Ｓ１）は、ステータブロック（１）を通る磁束が連結部（３２）の影響を受けにくくなる。

　本開示の第６の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第１～第５のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第６の態様に係るステータ（Ｓ１）において、複数の絶縁部材（３）のそれぞれは、複数のステータブロック（１）のうちで一対一に対応するステータブロック（１）に固定される１つ以上の固定部（３３）を有することが好ましい。

　第６の態様に係るステータ（Ｓ１）は、固定部（３３）を有することで絶縁部材（３）をステータブロック（１）に容易に固定することができる。

　本開示の第７の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第６の態様との組合せにより実現され得る。第７の態様に係るステータ（Ｓ１）において、固定部（３３）は、鉤状に形成されてヨーク部（１０）に引掛かけられることが好ましい。

　第７の態様に係るステータ（Ｓ１）は、固定部（３３）をヨーク部（１０）に容易に固定させることができる。

　本開示の第８の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第７の態様との組合せにより実現され得る。第８の態様に係るステータ（Ｓ１）において、ヨーク部（１０）は、固定部（３３）が引っ掛けられる部位に、固定部（３３）を収容する凹所（１０１）を有することが好ましい。

　第８の態様に係るステータ（Ｓ１）は、巻線（２０）を巻回する際に固定部（３３）が邪魔になりにくいので、巻線（２０）の巻回作業の作業性の向上を図ることができる。

　本開示の第９の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第８の態様との組合せにより実現され得る。第９の態様に係るステータ（Ｓ１）において、複数のステータブロック（１）のそれぞれは、複数枚の板材（４）を板材（４）の厚み方向に積層して構成されることが好ましい。凹所（１０１）は、複数枚の板材（４）に設けられる切欠（４０）によって構成されることが好ましい。

　第９の態様に係るステータ（Ｓ１）は、複数枚の板材（４）の積層体としてステータブロック（１）を構成する場合、ヨーク部（１０）の凹所（１０１）を、板材（４）の切欠（４０）で構成することができる。そのため、第１２の態様に係るステータ（Ｓ１）は、ヨーク部（１０）に直接、凹所（１０１）を設ける場合に比べて、凹所（１０１）を容易に形成することができる。

　本開示の第１０の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第６の態様との組合せにより実現され得る。第１０の態様に係るステータ（Ｓ１）において、固定部（突起３５）は、一対の絶縁板（３０）のそれぞれからティース部（１１）に向かって突出するように構成されることが好ましい。固定部は、ティース部（１１）に設けられた穴（１１０）と嵌合するように構成されることが好ましい。

　第１０の態様に係るステータ（Ｓ１）は、ティース部（１１）に対して一対の絶縁板（３０）を容易に固定することができる。

　本開示の第１１の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第２～第５のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第１１の態様に係るステータ（Ｓ１）において、複数の絶縁部材（３）のそれぞれは、隣接する連結部（３２）同士を結合する結合部（３４）を更に有することが好ましい。

　第１１の態様に係るステータ（Ｓ１）は、結合部（３４）によって複数の絶縁部材（３）同士を容易に結合することができる。

　本開示の第１２の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第１～第１１のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第１２の態様に係るステータ（Ｓ１）において、複数の絶縁部材（３）のそれぞれは、一対の絶縁板（３０）のそれぞれに設けられて巻線（２０）を整列させる整列部（３１）を更に有することが好ましい。

　第１２の態様に係るステータ（Ｓ１）は、複数のステータブロック（１）において、絶縁部材（３）に設けられた整列部（３１）により、各ティース部（１１）に対して巻線（２０）を整列させて巻回することができる。その結果、第１２の態様に係るステータ（Ｓ１）は、整列部（３１）を設けない場合に比べて、巻線（２０）を容易に整列させることができて、巻線（２０）のずれの抑制を図ることができる。

　本開示の第１３の態様に係るステータ（Ｓ１）は、第１２の態様との組合せにより実現され得る。第１３の態様に係るステータ（Ｓ１）において、整列部（３１）は、一対の絶縁板（３０）に設けられた複数の凹部（３１０）を有し、複数の凹部（３１０）のそれぞれに巻線（２０）を収容して整列させることが好ましい。

　第１３の態様に係るステータ（Ｓ１）は、整列部（３１）によって巻線（２０）を容易に整列させることができる。

　本開示の第１４の態様に係るブラシレスモータ（Ｍ１）は、第１～第１３のいずれかの態様に係るステータ（Ｓ１）と、ステータ（Ｓ１）の内部に回転可能に配置されるロータ（Ｒ１）と、を備える。

　第１４の態様に係るブラシレスモータ（Ｍ１）は、コイル（２）の巻線（２０）とティース部（１１）の間に、絶縁板（３０）とティース部（１１）の幅寸法の差に対応した空間（絶縁距離）が形成されるので、コイル（２）の占積率の向上を図ることができる。

　Ｍ１　ブラシレスモータ
　Ｓ１　ステータ
　Ｒ１　ロータ
　１　ステータブロック
　２　コイル
　３　絶縁部材
　４　板材
　１０　ヨーク部
　１１　ティース部
　２０　巻線
　３０　絶縁板
　３１　整列部
　３２　連結部
　３３　固定部
　３４　結合部
　３５　突起（固定部）
　４０　切欠
　１００　溝部
　１０１　凹所
　１１０　穴
　３１０　凹部
　３１１　突部

Claims

　周方向に沿って並ぶ複数のステータブロックと、
　前記複数のステータブロックのそれぞれに巻線を巻回して設けられる複数のコイルと、
　前記複数のステータブロックと前記複数のコイルの組ごとに、ステータブロックとコイルを電気的に絶縁する複数の絶縁部材と、
を備え、
　前記複数のステータブロックのそれぞれは、
　　最外周に位置するヨーク部と、
　　前記ヨーク部の内周面から突出するティース部と、
を有し、
　前記複数の絶縁部材のそれぞれは、前記ティース部を挟んで対向する位置に配置される一対の絶縁板を有し、
　前記一対の絶縁板は、前記ティース部よりも幅広に形成されている、
ステータ。
　前記複数の絶縁部材のそれぞれは、前記一対の絶縁板同士を連結する連結部を更に有する、
請求項１記載のステータ。
　前記連結部は、前記ヨーク部の外周面と対向する位置に配置される、
請求項２記載のステータ。
　前記ヨーク部の前記外周面に、前記連結部と嵌合する溝部が設けられる、
請求項３記載のステータ。
　前記連結部の前記周方向に沿った幅寸法が、前記ティース部の前記周方向に沿った幅寸法よりも小さい、
請求項４記載のステータ。
　前記複数の絶縁部材のそれぞれは、前記複数のステータブロックのうちで一対一に対応するステータブロックに固定される１つ以上の固定部を有する、
請求項１～５のいずれか１項に記載のステータ。
　前記固定部は、鉤状に形成されて前記ヨーク部に引掛かけられる、
請求項６記載のステータ。
　前記ヨーク部は、前記固定部が引っ掛けられる部位に、前記固定部を収容する凹所を有する、
請求項７記載のステータ。
　前記複数のステータブロックのそれぞれは、複数枚の板材を前記板材の厚み方向に積層して構成され、
　前記凹所は、前記複数枚の板材に設けられる切欠によって構成される、
請求項８記載のステータ。
　前記固定部は、前記一対の絶縁板のそれぞれから前記ティース部に向かって突出し、前記ティース部に設けられた穴と嵌合するように構成される、
請求項６記載のステータ。
　前記複数の絶縁部材のそれぞれは、隣接する前記連結部同士を結合する結合部を更に有する、
請求項２～５のいずれか１項に記載のステータ。
　前記複数の絶縁部材のそれぞれは、前記一対の絶縁板のそれぞれに設けられて前記巻線を整列させる整列部を更に有する、
請求項１～１１のいずれか１項に記載のステータ。
　前記整列部は、前記一対の絶縁板に設けられた複数の凹部を有し、前記複数の凹部のそれぞれに前記巻線を収容して整列させる、
請求項１２記載のステータ。
　請求項１～１３のいずれかのステータと、
　前記ステータの内部に回転可能に配置されるロータと、
を備える、
ブラシレスモータ。