JP4476778B2 - リニアモータ - Google Patents

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Description

この発明は、リニアモータの電機子巻線部の構造に関するものである。
従来、隣り合う磁極の極性が異なるように並べて配設した複数個の永久磁石からなる固定子と、該固定子の磁石と共働して移動推進力を付与される複数個の電機子コイルを有する可動子とを備えたリニアモータにおいて、前記可動子の電機子コイルを、その巻線方向が可動子移動方向に対し直交するように一列に密着させて並べると共に、そのコイル列の両端を電機子コイルと略同じ厚さの第1の支持部材で挟んで固定し、且つ当該第1の支持部材及び電機子コイルを、可動子の移動方向に対し直角方向の一端部において第2の支持部材で保持したリニアモータがあった(例えば、特許文献1参照)。
また、巻始端部と巻終端部とを備えた空芯コイルの内側と外側との双方又は一方の全体又は一部に剛性のある補強材を固定し、補強材に空芯コイルを基板の取付け位置に位置決めするための位置決め突子を設けたリニアモータ用駆動コイルがあった(例えば、特許文献2参照)。
特開2000−50614号公報(段落[0005]、図3等) 特開2000−324789号公報(段落[0008]、図2等)
前記特許文献1のリニアモータの電機子巻線部においては、電機子コイルをボビン等に巻線した後に電機子コイルのみを取り外し一列に並べる必要があり、組立作業に手間がかかり、生産性が悪い。また、隣り合う電機子コイルの密着により、位置が決まるため、高精度の位置決めに限界があり、モータ特性に影響を及ぼす可能性がある。さらに、電機子コイルが空芯状であるため、樹脂モールドにより強固に固定する際、樹脂成形圧によってコイルが変形するおそれがあるという問題点があった。
また、前記特許文献2のリニアモータ用駆動コイルにおいても、電機子コイルをボビン等に巻回した後に電機子コイルを取り外し、電機子コイルの内側又は外側を剛性のある補強材で固定する必要があり、電機子巻線部の組立作業に手間がかかり、生産性が悪いという問題があった。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、電機子巻線部を製造する際、容易かつ高精度に電機子コイルを配設でき、剛性も高く、さらにモールド時にコイルが変形することがない電機子巻線部構造を提供することを目的としている。
第1の発明に係るリニアモータは、隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、電機子巻線部は、電機子コイルをボビンに巻装すると共に、電機子コイルの巻線軸方向が磁石列と直交するようにボビンを並べ、ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、ボビンに設けた位置決め用穴に、ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、ボビンが配設されるベースブロックの反対側には端板が配設され、この端板は平板上の連結部とベースブロックの位置決め用突起が挿入・嵌合される連結用穴を備えたことを特徴とする。
また、第2の発明に係るリニアモータは、隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、電機子巻線部は、電機子コイルをボビンに巻装すると共に、電機子コイルの巻線軸方向が磁石列と直交するようにボビンを並べ、ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、平板状の連結部と位置決め用突起部を有する一対のベースブロックを備え、ボビンに設けた位置決め用穴の両側から、ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めしたことを特徴とする。
また、第3の発明に係るリニアモータは、隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、電機子巻線部は、電機子コイルをボビンに巻装すると共に、電機子コイルの巻線軸方向が磁石列と直交するようにボビンを並べ、ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、ボビンに設けた位置決め用穴に、ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、ベースブロックの位置決め用突起部にモールド充填用穴を設けたことを特徴とする。
また、第4の発明に係るリニアモータは、隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、電機子巻線部は、電機子コイルをボビンに巻装すると共に、電機子コイルの巻線軸方向が磁石列と直交するようにボビンを並べ、ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、ボビンに設けた位置決め用穴に、ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、ボビンは、電機子コイルを巻回するためのボビン巻枠と、このボビン巻枠に設けられ電機子コイルの抜けを防止するボビン外壁を備え、ボビン外壁をボビン巻枠の両端部に設け、ボビン巻枠のボビン外壁のない中央位置にベースブロックの位置決め用突起部が挿入される位置決め用穴を設けると共に、ベースブロックの連結部の幅を、ボビン巻枠の両端部に設けたボビン外壁間の距離より小さくしたことを特徴とする。
また、第5の発明に係るリニアモータは、隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、電機子巻線部は、電機子コイルをボビンに巻装すると共に、電機子コイルの巻線軸方向が磁石列と直交するようにボビンを並べ、ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、ビンに設けた位置決め用穴に、ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、ボビンは、電機子コイルを巻回するためのボビン巻枠と、このボビン巻枠に設けられ電機子コイルの抜けを防止するボビン外壁を備え、ボビンの巻枠にモールド充填用穴を設け、電機子コイルの長手方向中心線からモールド充填用穴の端までの短い方の距離をWh1、長い方の距離をWh2、ベースブロックの端までの距離をW1とすると、Wh2>W1>Wh1となるように設けたことを特徴とする。
この発明に係るリニアモータによれば、電機子コイルをボビンに巻回した後そのままの状態で電機子巻線部として配設することができるので、組み立て作業が容易となり、生産性が向上する。また、ボビンを高精度に製作することが容易であるため、ボビンを並べることで、電機子コイルを高精度に位置決めすることができる。また、ボビンが電機子コイルの支持部材となり剛性が増す。さらに、電機子コイル内周部にボビンが配設されているので、モールド樹脂により強固に固定する際に樹脂圧がかかっても電機子コイルの変形を防止することができる。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1によるリニアモータを示す全体斜視図であり、図2は図1のリニアモータの電機子巻線部を示す平面図である。また、図3は図2の電機子巻線部のX−X断面図である。
図1において、リニアモータ1は、複数の永久磁石31をそれぞれ隣り合う極性が異なるように2列に並べ、この2列の永久磁石31を所定間隔をおいて対向するように界磁ヨーク32に固着されてなる界磁部3と、前記2列の永久磁石31の間にエアギャップを介して配置される電機子巻線部2とを備えている。また、電機子巻線部2には、搬送器等を取り付ける取付け部4を有している。
そして、図2及び図3に示すように、電機子巻線部2は、電機子コイル21を巻装したボビン22をベースブロック23に一列に並べて配設し、さらに取付け部4に搭載してモールド樹脂5により固定している。
図4は図2の電機子巻線部2のボビン22を示す平面図である。また、図5および図6は図4のボビン22に電機子コイル21を巻装した状態を示すものであり、図5は平面図、図6は斜視図である。
図4に示すように、ボビン22は、樹脂製等であって非磁性材料から構成され、電機子コイル21を巻回するためのボビン巻枠221と、ボビン巻枠221の両端部に設けられ電機子コイル21の巻崩れ及び抜けを防止するためのボビン外壁224を備えている。ボビン外壁224は、後述するように複数のボビン22を並べて電機子巻線部2を構成する際に、隣り合うボビン22のボビン外壁224と当接するように設けられている。ボビン巻枠221には、その中央付近に位置決め用穴222が、両端付近にモールド充填用穴223が設けられている。そして、図5及び図6に示すように、電機子コイル21は、単独のボビン22に対してボビン巻枠221とボビン外壁224に沿わせて高密度に巻回することができる。
図7及び図8は、図2の電機子巻線部2のベースブロック23を示す平面図及び斜視図であり、図9は図8のベースブロック23の丸で囲ったA部詳細図である。
図7及び図8に示すように、ベースブロック23は、横方向に長い平板状の連結部231と、この連結部231に設置された位置決め用突起232を備えている。位置決め用突起232は、ボビン22の位置決め用穴222に挿入嵌合できるように、リニアモータのコイルピッチに合わせた所定の間隔をおいて連結部231上に配設されている。また、位置決め用突起232には、その内部にモールド充填用穴233が設けられている。そして、モールド充填用穴233は図9に示すように貫通穴となっている。
図10は、電機子コイル21を巻装した複数のボビン22をベースブロック23に配設する様子を示す斜視図である。また、図11は複数のボビン22をベースブロック23に配設した後の状態を示す斜視図である。図10に示すように、ボビン22の位置決め用穴222にベースブロック23の位置決め用突起232を挿入・嵌合して、図11に示すように、ボビン22をベースブロック23上に配設する。ボビン22のベースブロック23からの抜け防止は、位置決め用穴222と位置決め用突起232の嵌合を強くしたり、位置決め用穴222と位置決め用突起232に係合部を形成したりすることにより容易に達成することができる。
図12及び図13はベースブロック23に配設したボビン22を取付け部4に配置した状態を示すもので、図12はモールド前の電機子巻線部2を示す平面図であり、図13は図12のXX−XX断面図である。電機子巻線部2は、図12及び図13に示すように、電機子コイル21を巻装したボビン22をベースブロック23に配設するとともに、取付け部4に搭載した状態で、モールド樹脂により固定して図2及び図3のように構成する。本実施の形態においては、ボビン22にモールド充填用穴223を、ベースブロック23にモールド充填用穴233を設けることにより、前述の図2及び図3に示すように電機子巻線部2全体にモールド樹脂5を充填することができる。
また、図12及び図13に示すように、ベースブロック23の連結部231の幅は、ボビン巻枠221の両端部に設けられたボビン外壁224の間の距離より小さくしている。そのため、ベースブロック23の連結部231とボビン外壁224の間に隙間が設けられ、その隙間からモールド樹脂5が充填される。
また、図12及び図13に示すように、ベースブロック23の連結部231をボビン外壁224のない中央のスペースに収め、かつベースブロック23の位置決め用突起232をボビン22の位置決め用穴222に収めている。そのため、電機子巻線部2全体の厚みを薄くでき、モータを小型化、軽量化できる。
さらに、図12に示すように、ボビン22に設けたモールド充填用穴223において、電機子コイルのセンターラインCCからモールド充填用穴223の下端までの距離をWh1、ベースブロック23の上端までの距離をW1、モールド充填用穴223の上端までの距離Wh2とすると、W1>Wh1、またW1<Wh2となるように設けることで、モールド樹脂の充填性を高めることができる。すなわち、W1>Wh1とすることにより、モールド充填用穴223を通ってきたモールド樹脂によりベースブロック23を固定することができる。また、W1<Wh2とすることにより、モールド充填用穴223によるモールド樹脂の表裏の流路が確保される。したがって、Wh2>W1>Wh1と設定することが効果的である。
図14は電機子巻線部2のモールド充填方法の一例を示す模式図である。図14に示すように、電機子コイル21を巻装したボビン22をベースブロック23に配設したものを、モールド充填穴4aを有する取付け部4に配設する。そして、電機子巻線部2の両側面と下部面にモールド用板101及び102を配置して囲み、取付け部4のモールド充填穴4aからモールド樹脂5を図示矢印の方向から充填する。モールド樹脂5は巻装された電機子コイル21の間を縫って移動し、ベースブロック23の配設されていない側面又はベースブロック23の連結部231とボビン外壁224の間に隙間から回り込んでモールド充填用穴223、233に充填される。なお、図14(b)に示すように、電機子巻線部2の側面とモールド用板101との間に隙間L1又はL2を空ければ電機子巻線部2の側面もモールド樹脂5で覆われる構成となる。
図15及び図16は実施の形態1の他の例による電機子巻線のモールド前の状態を示す断面図及び拡大断面図である。図15及び図16に示すように、ボビン22の位置決め用穴222の深さをH1、ベースブロック23の位置決め用突起232の高さをH2とすると、H2<H1となるように設定する。このように構成することにより、モールド時、図示しないモールド用板101とベースブロック位置決め用突起232間との隙間が広くなりモールドが充填できる。また、矢視Bで示す方向からモールド充填用穴233に流れ込むモールド樹脂の流路を確保し、モールド充填性を高めることができる。
以上のように本実施の形態によれば、電機子コイル21をボビン22に巻装すると共に、電機子コイル21の巻線軸方向が界磁部3の磁石列と直交するようにボビン22を並べて電機子巻線部2を構成したので、電機子コイル21をボビン22に巻回した後、そのままの状態で電機子巻線部2として配設することができ、組み立て作業が容易となり、生産性が向上する。また、ボビン22やベースブロック23は高精度に製作することが容易であるため、ベースブロック23にボビン22を並べることで、電機子コイル21を高精度に位置決めすることができる。また、ボビン22が電機子コイル21の支持部材となり剛性が増す。さらに、電機子コイル21内周部にボビン22の巻枠221が配設されているので、樹脂モールドにより強固に固定する際に樹脂圧がかかっても電機子コイル21の変形を防止することができる。
また、複数のボビン22がベースブロック23により連結されているため、剛性が増しモータトルク発生時の電機子コイル21のずれを防止することができる。また、ボビン22の位置決め用穴222に、ベースブロック23に所定のピッチで設けた位置決め用突起部232を挿入させているので、高い精度の位置決めが可能となる。また、ボビン22の位置決めを位置決め用穴222により行っているため、ボビン22への電機子コイル21の巻線作業を妨げない。
また、電機子コイル21を巻回するためのボビン巻枠221にボビン外壁224を設けているので、電機子コイル21の巻崩れ及び抜けを防止することができる。さらに、ボビン外壁224は、ボビン22を並べて電機子巻線部2を構成する際に、隣り合うボビン22のボビン外壁224と当接するように設けられているので、高精度に位置決めすることができるとともに剛性が増す。
また、ボビン外壁224をボビン巻枠221の両端部に設け、ボビン外壁224のない中央のスペースにベースブロック23の位置決め用突起部232が挿入される位置決め用穴222を設け、ベースブロック23の連結部231の幅を、ボビン外壁224間の距離より小さくしているので、ベースブロック23の連結部231とボビン外壁224の間に隙間が設けられ、その隙間からモールド樹脂5が充填されて全体として剛性が増す効果がある。
また、ベースブロック23の連結部231をボビン外壁224のない中央のスペースに収め、かつベースブロック23の位置決め用突起232をボビン22の位置決め用穴222に収めることができるので、電機子巻線部2全体の厚みを薄くでき、モータを小型化、軽量化できる。
実施の形態2.
図17はこの発明の実施の形態2によるリニアモータの電機子巻線部を示す平面図であり、図18は図17の電機子巻線部に適用されるボビンを示す平面図である。
実施の形態2によるボビン22は、図17及び図18に示すように、ボビン外壁224に、隣り合うボビン22が連結できるように、当接する面の片側に凸部225を、もう片側に凹部226を設けている。そして、図17に示すように、前記ボビン22をベースブロック23に配設する際、ボビン外壁224に設けた隣り合う凸部225と凹部226を係合して連結することにより電機子巻線部2を構成する。
また、前記凸部225及び凹部226は、ボビン外壁224の電機子コイル21が巻装されないスペースに設けることによって、隣り合うボビン22を係合する際、電機子コイル21を係合部分に挟み傷つける等の問題を回避することができる。
さらに、ボビン22の凹凸部係合による連結強度を高めるには、凸部225と凹部226の嵌合を強くしたり、アリ溝形状にしたり、さらには熱等で凹凸係合部分を溶かして結合したりすることが可能である。
以上のように本実施の形態によれば、隣り合うボビン外壁224の片側には凸部225を、もう片側には凹部226を設け、凸部225と凹部226を係合したので、隣り合うボビン間の連結力が増し、例えば、一列に並べたボビン22を取付け部4に搭載する際や、モールド作業途中などでの剛性を確保することができる。また、モータ推力発生時の電機子コイル21のずれを防止することができる。
実施の形態3.
図19はこの発明の実施の形態3による電機子巻線部のボビンを示す斜視図である。図19に示すように、本実施の形態による電機子巻線部のボビン22は、ボビン外壁224に、隣り合う電機子コイル21を絶縁するための屈曲可能な相間フィルム227を配設している。
図20(a)、(b)は図19の相間フィルム227の使用状態を説明するための図であり、図19のボビン22を矢視XXXの方向から見た平面図に相当するものである。図20(a)は電機子コイル21を巻装した直後のボビン22の状態を示す図であり、図20(b)は取付け部4に配設する前のボビン22の状態を示す図で、図20(a)の相間フィルム227を屈曲した状態を示す図である。相間フィルム227は、図20(a)に示すように、電機子コイル21をボビン22へ巻装する際、巻回作業を妨げることがないように開いた状態にしている。そして、電機子コイル21を巻装した後は、図20(b)に示すように、相間フィルム227を屈曲することにより、取付け部4にボビン22を配設した際に、隣り合う電機子コイル21間を仕切ることができるように構成されている。なお、相間フィルム227はボビン22と一体で製作され、ボビン外壁224の厚みより薄く設けられている。
以上のように本実施の形態によれば、ボビン外壁224に隣り合う電機子コイル21を絶縁するための屈曲可能な相間フィルム227を配設したので、ボビン22への電機子コイル21の巻装作業性を落とすことなく、かつ部品点数を増やすことなく、相間の絶縁性及び剛性を増すことができる。
実施の形態4.
図21はこの発明の実施の形態4による電機子巻線部2の結線を示す平面図であり、図22は図21のボビン22に電機子コイル21を巻線する方法を示す斜視図である。
実施の形態4による電機子巻線部2の結線は、図21に示すように、同相間の結線を電機子コイル21の渡り線211によりそれぞれ行なっている。従来の電機子巻線部の構造では、電機子コイルをボビンに巻線した後に電機子コイルのみを取り外し一列に並べて構成していたため、同相間の電機子コイルも別々に単体で巻線して、電機子コイル配設後に同相間の電機子コイル同士を結線処理していた。本実施の形態4による電機子コイル21の巻線は、電機子コイル21を巻装したボビン22をそのまま配設できる本発明の特徴を活かして、図22に示すように、同相コイル(図ではU相)を一列に並べて同時に巻線することにより渡り線で同相コイル間を接続した後、図21に示すように各相のコイルを巻回したボビン22を所定の順序で並べて構成する。なお、図21及び図22では電機子巻線部2は3相2コイルのものを例に挙げ説明したが、結線仕様については何ら制限されるものではない。
以上のように実施の形態4によれば、電機子巻線部の結線において、同相間の結線を電機子コイルの渡り線により行うようにしたので、従来の結線作業が不要となり、生産性が増し、かつ結線スペースを小さくすることができ、モータを小型化することができる。
実施の形態5.
図23はこの発明の実施の形態5においてボビン22をベースブロック23に配設する様子を示す斜視図であり、図24は本実施の形態においてボビン22をベースブロック23に配設した状態の電機子巻線部2を示す側面断面図である。
図23及び図24において、ボビン22が配設されるベースブロック23の反対側には端板24が配設される。この端板24は、平板状の連結部241と、この連結部241に設けられた連結用穴242を備えている。連結用穴242は、ベースブロック23の位置決め用突起232が挿入嵌合するために、リニアモータのコイルピッチに合わせて所定の間隔をおいて配設されている。
本実施の形態においては、ベースブロック23の位置決め用突起232をボビン22の位置決め用穴222に挿入・嵌合すると共に、ベースブロック23の反対側に配置した端板24の連結用穴242に挿入・嵌合する。なお、ベースブロック23の位置決め用突起232と端板24の連結用穴242は、上述の嵌合の後、図24の矢印K部分を熱カシメ等により固定してもよい。
以上のように本実施の形態によれば、ボビン22をベースブロック23と端板24により両側から固定したので、より信頼性の高い電機子巻線部を提供することができる。
図25はこの発明の実施の形態5による電機子巻線部の他の例を示す側面断面図及び拡大断面図である。図25の電機子巻線部2は、ボビン22の両側を一対のベースブロック23A及び23Bにより固定している。ベースブロック23A、23Bは、平板状の連結部231A、231Bと、この連結部231A、231Bに設置された位置決め用突起232A、232Bを備えている。位置決め用突起232A、232Bは、ボビン22の位置決め用穴222に挿入嵌合できるように、リニアモータのコイルピッチに合わせた所定の間隔をおいて連結部231A、231B上に配設されている。また、位置決め用突起232A、232Bには、その内部にモールド充填用穴233A、233Bが設けられている。そして、モールド充填用穴233A、233Bは貫通穴となっている。
以上のように図25の電機子巻線部によれば、ボビン22を両側から一対のベースブロック23A、23Bとにより両側から連結したので、ボビン22をより強固に固定すると共に、図23及び図24の例と比較して部品点数を低減することができる。
その他の実施の形態.
上記実施の形態では、図1に示したように、界磁部3が永久磁石31を2列に並べて構成され、2列の永久磁石31の間にエアギャップを介して電機子巻線部2を配置するタイプのリニアモータ1を例に挙げて説明したが、界磁部が永久磁石を1列に並べて構成され、永久磁石にエアギャップを介して電機子巻線部を対向配置するタイプのリニアモータに適用しても構わない。また、上記実施の形態のリニアモータは、電機子巻線部と界磁部の何れを可動子としても、あるいは固定子としてもよく、任意に選択することができる。さらに、上記で説明した以外の項目、例えば電機子コイルの配列数やピッチ、界磁部の構造等については何ら制限されるものではない。
この発明は、例えば半導体製造装置や工作機等に用いられるリニアモータに適用されるものである。
この発明の実施の形態1のリニアモータを示す全体斜視図である。 この発明の実施の形態1のリニアモータの電機子巻線部を示す平面図である。 図2の電機子巻線部のX−X断面図である。 この発明の実施の形態1の電機子巻線部のボビンを示す平面図である。 図4のボビンに電機子コイルを巻装したものを示す平面図である。 図4のボビンに電機子コイルを巻装したものを示す斜視図である。 この発明の実施の形態1の電機子巻線部のベースブロックを示す平面図である。 この発明の実施の形態1の電機子巻線部のベースブロックを示す斜視図である。 図8のベースブロックのA部詳細図である。 この発明の実施の形態1によるボビンをベースブロックに配設する様子を示す斜視図である。 この発明の実施の形態1のボビンをベースブロックに配設した後の状態を示す斜視図である。 ベースブロックに配設したボビンを取付け部に配置した状態を示すもので、図1のモールド前の電機子巻線部を示す平面図である。 図12の電機子巻線部2のXX−XX断面図である。 この発明の実施の形態1による電機子巻線部のモールド充填を示す模式図である。 この発明の実施の形態1の他の例による電機子巻線のモールド前の状態を示す断面図である。 図15の拡大断面図である。 この発明の実施の形態2によるリニアモータの電機子巻線部を示す平面図である。 図17の電機子巻線部に適用されるボビンを示す平面図である。 この発明の実施の形態3による電機子巻線部のボビンを示す斜視図である。 図19の相間フィルムの使用状態を説明するための図である。 この発明の実施の形態4による電機子巻線部の結線を示す平面図である。 図21のボビンに電機子コイルを巻線する方法を示す斜視図である。 この発明の実施の形態5の電機子巻線部においてボビンをベースブロックに配設する様子を示す斜視図である。 この発明の実施の形態5の電機子巻線部を示す側面断面図である。 この発明の実施の形態5による電機子巻線部の他の例を示す側面断面図及び拡大断面図である。
1 リニアモータ、2 電機子巻線部、3 界磁部、5 モールド樹脂、
21 電機子コイル、22 ボビン、23 ベースブロック、24 端板、
31 永久磁石、211 渡り線、221 ボビン巻枠、222 位置決め用穴、
223 モールド充填用穴、224 ボビン外壁、225 凸部、226 凹部、
227 相間フィルム、231 連結部、232 位置決め用突起、
233 モールド充填用穴、241 連結部、242 連結用穴。

Claims (12)

  1. 隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、前記永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、
    前記電機子巻線部は、前記電機子コイルをボビンに巻装すると共に、前記電機子コイルの巻線軸方向が前記磁石列と直交するように前記ボビンを並べ、前記ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、
    平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、前記ボビンに設けた位置決め用穴に、前記ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、前記ボビンが配設される前記ベースブロックの反対側には端板が配設され、この端板は平板上の連結部と前記ベースブロックの位置決め用突起が挿入・嵌合される連結用穴を備えたことを特徴とするリニアモータ。
  2. 前記ベースブロックの位置決め用突起と前記端板の連結穴を挿入・嵌合した部分を熱により溶かし連結したことを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
  3. 隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、前記永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、
    前記電機子巻線部は、前記電機子コイルをボビンに巻装すると共に、前記電機子コイルの巻線軸方向が前記磁石列と直交するように前記ボビンを並べ、前記ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、
    平板状の連結部と位置決め用突起部を有する一対のベースブロックを備え、前記ボビンに設けた位置決め用穴の両側から、前記ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めしたことを特徴とするリニアモータ。
  4. 隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、前記永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、
    前記電機子巻線部は、前記電機子コイルをボビンに巻装すると共に、前記電機子コイルの巻線軸方向が前記磁石列と直交するように前記ボビンを並べ、前記ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、
    平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、前記ボビンに設けた位置決め用穴に、前記ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、前記ベースブロックの位置決め用突起部にモールド充填用穴を設けたことを特徴とするリニアモータ。
  5. 前記ボビンは、前記電機子コイルを巻回するためのボビン巻枠と、このボビン巻枠に設けられ前記電機子コイルの抜けを防止するボビン外壁を備えたことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  6. 前記ボビン外壁は、前記ボビンを並べて前記電機子巻線部を構成する際に、隣り合うボビンのボビン外壁と当接するように配設されることを特徴とする請求項5に記載のリニアモータ。
  7. 隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、前記永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、
    前記電機子巻線部は、前記電機子コイルをボビンに巻装すると共に、前記電機子コイルの巻線軸方向が前記磁石列と直交するように前記ボビンを並べ、前記ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、
    平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、前記ボビンに設けた位置決め用穴に、前記ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、前記ボビンは、前記電機子コイルを巻回するためのボビン巻枠と、このボビン巻枠に設けられ前記電機子コイルの抜けを防止するボビン外壁を備え、前記ボビン外壁を前記ボビン巻枠の両端部に設け、前記ボビン巻枠の前記ボビン外壁のない中央位置に前記ベースブロックの位置決め用突起部が挿入される位置決め用穴を設けると共に、前記ベースブロックの連結部の幅を、前記ボビン巻枠の両端部に設けたボビン外壁間の距離より小さくしたことを特徴とするリニアモータ。
  8. 前記ボビンの巻枠にモールド充填用穴を設けたことを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  9. 隣り合う極性が異なるように並設した複数個の永久磁石からなる界磁部と、前記永久磁石の磁石列とエアギャップを介して対向配置されると共に、複数個の空芯状の電機子コイルを有する電機子巻線部とを備えたリニアモータにおいて、
    前記電機子巻線部は、前記電機子コイルをボビンに巻装すると共に、前記電機子コイルの巻線軸方向が前記磁石列と直交するように前記ボビンを並べ、前記ボビン間をモールド樹脂により固定して構成し、
    平板状の連結部と位置決め用突起部を有するベースブロックを備え、前記ボビンに設けた位置決め用穴に、前記ベースブロックの連結部に所定のピッチで設けた位置決め用突起部を挿入させて位置決めし、前記ボビンは、前記電機子コイルを巻回するためのボビン巻枠と、このボビン巻枠に設けられ前記電機子コイルの抜けを防止するボビン外壁を備え、前記ボビンの巻枠にモールド充填用穴を設け、前記電機子コイルの長手方向中心線から前記モールド充填用穴の端までの短い方の距離をWh1、長い方の距離をWh2、前記ベースブロックの端までの距離をW1とすると、Wh2>W1>Wh1となるように設けたことを特徴とするリニアモータ。
  10. 隣り合う前記ボビンにおいて、片側のボビン外壁には凸部を、もう片側のボビン外壁には凹部を設け、前記凸部と凹部を係合したことを特徴とする請求項6から請求項9のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  11. 前記ボビン外壁に、隣り合う電機子コイルを絶縁するために屈曲可能に配設される相間フィルムを設けたことを特徴とする請求項5から請求項10のいずれか1項に記載のリニアモータ。
  12. 前記電機子巻線部の結線において、同相間の結線を前記電機子コイルの渡り線により行うことを特徴とする請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のリニアモータ。
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